第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当中間連結会計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における世界経済は、米国の関税政策により減速し、今後の不確実性が一層高まりました。日本では外需の低迷により景気回復に陰りが見られました。米国は内需に支えられ底堅く推移したものの、関税政策により成長が鈍化する見込みが高まりました。欧州経済は緩やかな拡大基調であったものの、先行きに不透明さが増しました。中国は政府の景気刺激策により個人消費が下支えされたものの、不動産市場を中心に低成長が継続しました。

かかる環境下、当社グループの業績においては、売上高は前年同期比11,259百万円2.7%)減399,958百万円、営業利益は19,202百万円42.2%)減26,261百万円、経常利益は22,737百万円51.7%)減21,284百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は16,407百万円53.9%)減14,039百万円となりました。在庫評価差額などのマイナス影響を受け減益となりました。

(単位:百万円)

 

2024年度

中間連結会計期間

2025年度

中間連結会計期間

増減

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

ビニルアセテート

208,840

43,905

202,885

29,871

△5,954

△14,033

イソプレン

37,538

△4,025

39,944

△1,311

2,405

2,714

機能材料

102,764

6,466

98,140

2,899

△4,624

△3,566

繊維

31,233

721

29,751

△57

△1,482

△778

トレーディング

32,233

2,737

33,908

3,042

1,674

304

その他

24,998

905

22,095

726

△2,903

△179

消去又は全社

△26,390

△5,246

△26,766

△8,909

△375

△3,663

合計

411,217

45,464

399,958

26,261

△11,259

△19,202

 

 

 

[ビニルアセテート]

当セグメントの売上高は202,885百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は29,871百万円(同32.0%減)となりました。欧州経済の低迷等により想定したほど販売数量は増えず、また在庫評価差額や原燃料価格上昇によるマイナス影響がありました。

 


 

ポバール樹脂:販売数量は前年の欧州向け物流の混乱に起因した特需が一巡したことに加えて、欧米中心に需要が低調となったことから減少しました。また在庫評価差額や原燃料価格上昇によるマイナス影響がありました。

光学用ポバールフィルム:中国の家電買替支援策などを背景に販売は堅調に推移したものの、在庫評価差額によるマイナス影響がありました。

高機能中間膜:特殊アイオノマーシート〈セントリグラス〉は米州を中心に販売が順調に推移しましたが、PVBフィルムはアジアを中心に競争環境の厳しさが増しており、建築用途及び自動車用途ともに販売数量が減少しました。

水溶性ポバールフィルム:個包装洗剤の需要が回復しつつあり、販売数量は増加しました。

EVOH樹脂〈エバール〉:食品包装用途は想定したほど販売数量は増えなかったものの、引き続き欧米中心に順調に推移し、また自動車用途も堅調だったことから販売数量は増加しました。一方で、利益面では在庫評価差額や原燃料価格の上昇等によるマイナス影響がありました。

 

[イソプレン]

当セグメントの売上高は39,944百万円(前年同期比6.4%増)、営業損失は1,311百万円(前年同期は営業損失4,025百万円)となりました。タイ拠点の稼働安定及び当該拠点を活用した拡販による寄与がありました。

 


 

イソプレンケミカル・エラストマー:欧米を中心に需要が堅調に推移し、販売数量の増加及び販売構成の改善が進みました。

耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉:電気・電子用途の需要回復が力強く、また自動車用途での拡販も進み、販売数量が増加しました。

 

[機能材料]

当セグメントの売上高は98,140百万円前年同期比4.5%減)、営業利益は2,899百万円(同55.2%減となりました。米国寒波や生産トラブル等によるマイナス影響がありました。

 


 

メタアクリル:一時的な生産トラブルにより販売数量が落ち込みました。

メディカル:審美治療用歯科材料の販売が欧米を中心に引き続き好調に推移しており、今後の拡販に向けたマーケティング強化を進めました。

環境ソリューション:北米での需要は底堅く推移したものの、一部顧客の設備投資遅れにより製品納入時期が第3四半期以降に期ずれしました。また欧州で産業用活性炭の需要低調が続いたほか、2024年12月に珪藻土、パーライト事業を譲渡したことなどにより、減収となりました。利益面では米国寒波や生産トラブルによるマイナス影響がありました。

 

[繊維]

当セグメントの売上高は29,751百万円(前年同期比4.7%減)、営業損失は57百万円(前年同期は営業利益721百万円)となりました。欧州経済の低迷やEVの在庫調整等による影響を受けました。

 


 

人工皮革〈クラリーノ〉:欧州市場での需要低迷や中国経済の成長鈍化、EVの在庫調整の影響等により、ラグジュアリー用途及び自動車用途の需要が落ち込み、販売数量が減少しました。

繊維資材:欧州の建材用途などが引き続き低調に推移しました。また、在庫評価差額のマイナス影響がありました。

 

 

[トレーディング]

当セグメントの売上高は33,908百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益は3,042百万円(同11.1%増)となりました。

 


 

繊維関連事業:スポーツ・アウトドア衣料用途が順調に推移しました。また、高機能原糸や環境対応商品といった高付加価値品の拡販を進めました。

樹脂・化成品関連事業:アジア市場を中心に販売が拡大しましたが、輸入品販売で交易条件の悪化による影響がありました。

 

[その他]

その他事業の売上高は22,095百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は726百万円(同19.8%減)となりました。

 


 

(2)財政状態の状況

総資産は、有形固定資産の減少15,854百万円、受取手形及び売掛金の減少5,464百万円及び現金及び預金の減少5,218百万円等により、前連結会計年度末比34,277百万円減の1,256,961百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の減少8,164百万円等の一方、有利子負債の増加21,355百万円等により、前連結会計年度末比875百万円増の510,323百万円となりました。

純資産は、利益剰余金の増加5,294百万円等の一方、為替換算調整勘定の減少30,013百万円等により、前連結会計年度末比35,152百万円減の746,637百万円となりました。自己資本は729,894百万円となり、自己資本比率は58.1%となりました。

 

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 

 

 

(単位:百万円)

 

 第144期

中間連結会計期間

 第145期

中間連結会計期間

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

63,703

42,162

△21,541

投資活動によるキャッシュ・フロー

△35,845

△49,149

△13,304

財務活動によるキャッシュ・フロー

△46,327

3,305

49,633

 

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

税金等調整前中間純利益21,210百万円に対して、減価償却費41,442百万円及び法人税等の支払額10,662百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは42,162百万円の収入となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

有形及び無形固定資産の取得45,151百万円等の支出により、投資活動によるキャッシュ・フローは49,149百万円の支出となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

有利子負債の増加額22,580百万円、自己株式の取得8,290百万円及び配当金の支払額8,744百万円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは3,305百万円の収入となりました。

 

以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より7,758百万円減少して、113,934百万円となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は13,770百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)主要な設備

当中間連結会計期間において、新たに確定した主要な設備の新設計画は次のとおりです。

会社名
事業所名

セグメント
の名称

設備の内容

投資予定金額

資金調達
方法

着手及び完了予定年月

完成後の
増加能力

総額

既支払額

着手

完了

株式会社クラレ

西条事業所

(愛媛県西条市)

ビニル

アセテート

光学用ポバールフィルム

生産設備増設

21,260

(百万円)

426

(百万円)

自己資金

2025年

6月

2027年

12月

3,800万㎡/年

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。