第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における世界経済は、中国経済の成長鈍化や新興国の景気減速が続く一方で、米国では個人消費が増加するとともに雇用が改善し、欧州でも民間消費の回復が見られるなど、全体としては緩やかな回復基調にありました。日本経済は、個人消費が底堅く推移し、企業業績や設備投資も堅調でしたが、新興国のさらなる景気下振れリスクや期後半からの円高懸念による不透明感が拭えない状況にありました。

このような状況の中で、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の当連結会計年度における連結業績は、ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、売上高は1兆9,409億円で前連結会計年度比455億円(2.3%)の減収となったものの、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、営業利益は1,652億円で前連結会計年度比73億円(4.6%)の増益となり、3期連続で過去最高を更新しました。一方で、持分法による投資損益や為替差損益が悪化したことなどにより、経常利益は1,614億円で前連結会計年度比52億円(3.1%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は918億円で前連結会計年度比139億円(13.2%)の減益となりました。

 

(セグメント別概況)

当社グループの4つの報告セグメント「ケミカル・繊維」「住宅・建材」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。

なお、昨年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了した米国Polypore International,LP(注)及びその連結子会社(以下「Polypore」)の業績については「エレクトロニクス」セグメントに含めて開示しています。

(注) Polypore International,Inc.は本年3月31日付でPolypore International,LPへと移行しました。

 

「ケミカル・繊維」セグメント

売上高は8,356億円で、前連結会計年度比1,190億円(12.5%)の減収となり、営業利益は689億円で、前連結会計年度比43億円(6.7%)の増益となりました。

ケミカル事業の石油化学系事業では、各製品において原油安、ナフサ安の影響を受け原燃料価格が下落しましたが、アクリロニトリルを中心に製品市況が悪化しました。高機能ポリマー系事業では、原燃料価格の下落により交易条件が改善したことに加え、エンジニアリング樹脂や省燃費型高性能タイヤ向け合成ゴムの販売が堅調に推移しました。高付加価値系事業では、イオン交換膜を中心に円安の効果を受け、「サランラップ™」の販売量も増加しました。

繊維事業では、各製品において原燃料価格の下落や、円安の効果を受けたことに加え、カーシート向けなどの人工皮革「ラムース™」やポリウレタン弾性繊維「ロイカ™」などの販売量が増加しました。

なお、ケミカル事業では、昨年5月に中国江蘇省南通市においてHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート「デュラネート™」の増設設備が稼働しました。また、本年2月には岡山県倉敷市において水島製造所内のエチレンセンターの稼働を停止しました。

繊維事業では、昨年11月に宮崎県延岡市において再生セルロース長繊維不織布「ベンリーゼ™」の生産設備増設工事を着工しました。

 

「住宅・建材」セグメント

売上高は6,324億円で、前連結会計年度比286億円(4.7%)の増収となり、営業利益は710億円で、前連結会計年度比80億円(12.6%)の増益となりました。

住宅事業の建築請負部門では、集合住宅「へーベルメゾン™」の引渡戸数が増加し、販売促進費などの販管費が減少しました。また、不動産部門では、賃貸管理事業が順調に推移し、リフォーム部門では改装・設備工事を中心に受注が増加しました。

建材事業では、基礎事業の販売量が減少しましたが、原燃料価格の下落に加え、高性能フェノールフォーム断熱材「ネオマ™フォーム」の販売が堅調に推移しました。

 

なお、住宅事業では、昨年5月に、東京都調布市において高経年マンションの建替え事業である「アトラス調布」が竣工しました。また、本年1月に、中古住宅の内装・設備をすべて解体・撤去した構造躯体「フレーム・へーベルハウス™」の試験販売を開始しました。

 

「エレクトロニクス」セグメント

売上高は1,745億円で、前連結会計年度比241億円(16.0%)の増収となり、営業利益は69億円で、前連結会計年度比74億円(51.8%)の減益となりました。

電子部品系事業では、円安の効果に加え、スマートフォン向けでオーディオデバイスやカメラモジュール用電子部品の販売が順調に推移しましたが、電子コンパスの販売量が減少しました。

電子材料系事業では、汎用エポキシ樹脂の生産・販売を終了しましたが、円安の効果に加え、リチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の販売が堅調に推移しました。

なお、Polyporeの業績を当セグメントに含めて開示していますが、買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産の償却などの営業利益への影響は98億円となりました。

電子材料系事業では、昨年9月に宮崎県日向市におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」の生産設備増設を発表しました。    

 

「ヘルスケア」セグメント

売上高は2,854億円で、前連結会計年度比283億円(11.0%)の増収となり、営業利益は362億円で、前連結会計年度比54億円(17.5%)の増益となりました。

医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や血液凝固阻止剤「リコモジュリン™」の販売が堅調に推移しましたが、後発医薬品の影響を受けた排尿障害改善剤「フリバス™」などの販売量が減少しました。

医療事業では、透析関連製品やウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売量が増加しました。

クリティカルケア事業では、営業活動強化に伴う販管費が増加しましたが、着用型自動除細動器「LifeVest™」の業績が引き続き順調に拡大し、その他の除細動器の販売も堅調に推移しました。

なお、医薬事業では、昨年7月に、デュピュイトラン拘縮治療薬「ザイヤフレックス™」の国内製造販売承認を取得し、9月に販売を開始しました。

また、クリティカルケア事業では、昨年9月に、鬱血性心不全のモニタリング機器の技術開発を行うイスラエルの医療機器メーカーKyma Medical Technologies Ltd.を買収しました。さらに、本年2月には、血管内体温管理システム「サーモガード™システム」について日本国内での適応拡大の承認を取得しました。

 

「その他」

売上高は130億円で、前連結会計年度比74億円(36.4%)の減収となり、営業利益は6億円で、前連結会計年度比4億円(41.7%)の減益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,162億円の収入(前連結会計年度比786億円の収入の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローは2,853億円の支出(前連結会計年度比1,848億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は691億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは1,014億円の収入(前連結会計年度比1,754億円の収入の増加)となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ330億円増加し1,453億円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

このため、生産の状況については、「1 業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。

 

(2) 受注状況

当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているので、特記すべき受注生産はありません。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

住宅・建材

400,354

94.1

513,126

99.7

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売実績(百万円)

前期比(%)

ケミカル・繊維

835,582

87.5

住宅・建材

632,418

104.7

エレクトロニクス

174,477

116.0

ヘルスケア

285,404

111.0

その他

13,032

63.6

合計

1,940,914

97.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 前連結会計年度及び当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはありません。

4 昨年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了したPolyporeについては「エレクトロニクス」セグメントに含めて開示しています。

 

3 【対処すべき課題】

(当社グループの対処すべき課題)

(1) 旭化成建材㈱による杭工事施工データ流用等の問題について

当社は、昨年10月14日に、子会社の旭化成建材㈱(以下、「旭化成建材」)が二次下請会社として平成17年から平成18年にかけて施工したマンションにおける杭工事の一部に関して、杭工事の施工時に使用する電流計データおよび杭先端を根固めするセメントミルクの流量計データ(以下、併せて「施工データ」)の流用等があったことを公表しました。

当社では、社内に対策本部および調査委員会、外部の独立した弁護士からなる外部調査委員会を設置して事実関係の調査、原因究明および再発防止策の検討を開始し、昨年10月22日には、旭化成建材が過去10年間に施工した杭工事実績について国土交通省に報告しました。

昨年11月24日には、上記の杭工事実績のうち、施工データの流用等の有無の調査が可能な物件について調査が完了し、国土交通省へ結果を報告しました。調査対象物件3,052件のうち、360件において施工データの流用等が判明しました。なお、旭化成建材は、施工データ流用等が判明した物件に関して、国土交通省の指示に基づいて行われる元請建設会社および施主による建物の安全性確認に協力しており、また、特定行政庁において安全性が確認された物件に関しては、特定行政庁から国土交通省に報告されます。(なお、本年4月5日に開催されました参議院国土交通委員会の中で、国土交通省より360件のうち357件の安全性が確認された旨の報告がなされました。)

 

また、本年1月13日に、旭化成建材は国土交通省関東地方整備局より、平成17年から平成18年にかけて施工したマンションにおける杭工事に関して建設業法第28条第1項の規定に基づく指示処分、同法第28条第3項の規定に基づく営業の停止命令および同法第41条第1項の規定に基づく勧告を受けました。

さらに、当社は、本年1月8日に外部調査委員会による、同年2月9日に社内の調査委員会による中間報告書をそれぞれ公表し、施工データの流用等に関する原因究明および再発防止策について明らかにしました。

当社は、旭化成建材による杭工事施工データの流用等の問題を厳粛に受け止め、「現場」「現物」「現実」を重視して行動する三現主義を徹底してコンプライアンスの強化を図っていきます。また、本年1月1日より、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)全体のリスク情報やコンプライアンスに関する事案を一元的に集約するリスク・コンプライアンス室を新設しました。さらに、環境安全部を環境安全・品質保証部に改組し、品質保証機能の強化も図りました。今後も当社グループは、社会、お客様からの信頼回復に向け、再発防止に取り組んでいきます。

 

(2) 中期経営計画について

① 当社グループでは、平成23年度より5カ年の中期経営計画「For Tomorrow 2015」を実行してきました。この計画では、国内はもとよりシンガポール、韓国、中国、タイ、米国等においてグローバルに競争力を有する製品の製造設備の新増設を行い、グローバルリーディング事業の拡大を図りました。また、平成24年度に米国の救命救急医療機器メーカーであるZOLL Medical Corporationを買収し、クリティカルケア事業に参入したほか、当期には、バッテリーセパレータ事業の拡大を図るために、米国のバッテリーセパレータメーカーであるPolypore International,Inc.(現Polypore International,LP)を買収するなど新しい社会価値の創出や事業基盤の獲得・強化に努めました。これらの成長戦略のために合計およそ1兆円の投資を実施するとともに、国内石油化学事業の基盤強化やコスト削減プロジェクト等を通じ、収益構造の改善も実施しました。一方で、純粋持株会社制移行後、グループの総合力を生かした展開が十分に見られなかったことについては今後の課題と認識しています。

② 当社グループでは、平成28年度から事業持株会社制へ移行するとともに事業領域を「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つに再編し、3カ年の新中期経営計画「Cs(シーズ)* for Tomorrow 2018」を実行していきます。新中期経営計画では「収益性の高い付加価値型事業の集合体」という10年後の当社グループのあるべき姿を見据え、当初の3年間で「多角的な事業・多様な人財の結束で飛躍の基盤をつくる」ことを目指します。その上で「クリーンな環境エネルギー社会」と「健康・快適で安心な長寿社会」の実現に向け、社会問題の解決に取り組んでいきます。

*Cs(シーズ)とは、グループスローガンである「Creating for Tomorrow」の‘C’、新市場の創出に向けた外部、内部、地域および技術における結合(Connect)の‘C’、当社グループが実践する3C‐Compliance(法令遵守)、Communication(コミュニケーション)、Challenge(挑戦)-の‘C’の集合体を意味します。

 

(会社の支配に関する基本方針)

(1) 基本方針の内容

当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務および事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。

当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株式の大量取得であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量取得の中には、その目的などからみて企業価値や株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量取得の内容などについて検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との協議・交渉を必要とするものなど、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

 

特に、当社が今後持続的に企業価値を向上させていくためには、多彩な技術を持ち、多様な市場において多面的な事業モデルを展開する多角化企業として、それらのシナジー(相乗効果)を生かし、挑戦的風土やブランド力をさらに活用・強化していくことが必要不可欠です。当社株式の大量取得を行う者が、当社グループの財務および事業の内容を理解するのは勿論のこと、当社の企業価値の源泉を理解した上で、それを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量取得を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

(2) 基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための特別な取組みとして、次の施策を実施しています。

① 「中期経営計画」による取組み

 当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」というグループ理念のもと、事業環境の変化に対応するため3~5年間にわたる中期経営計画を策定し、多角化された各事業のシナジーを生かして、そこで掲げられた目標の達成に向けて取り組んでいます。

② コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、世界の人びとに新たな価値を提供し、社会的課題の解決を図っていくことをグループビジョン(目指す姿)としています。その上で、イノベーションを起こし、多様な事業の融合によりシナジーを生み出すことで、社会に貢献し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。

そのために、事業環境の変化に応じ、透明・公正かつ迅速・果断に意思決定を行うための仕組みとして、当社にとって最適なコーポレート・ガバナンスの在り方を継続的に追求していきます。

 

(3) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するため
  の取組み

当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていきます。

 

なお、上記(2)および(3)に記載の取組みは、上記(1)に記載の基本方針に従い、当社の企業価値・株主共同の利益に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載します。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしていきます。

下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は有価証券報告書提出日(平成28年6月28日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 原油・ナフサの市況変動

当社グループにおいて、ケミカル事業を中心に、原油・ナフサなどの価格の変動をタイムリーに製品価格に反映できず、そのスプレッドを十分確保することができなかった場合、原油・ナフサなどの市況変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 為替レートの変動

当社グループの円貨建以外の項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、通貨変動に対するヘッジなどを通じて、短期的な為替の変動による影響を最小限に止める措置を講じていますが、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 海外での事業活動

海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難など、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的又は政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画に影響を与える可能性があります。

(4) 住宅関連税制及び金利の動向

当社グループの住宅事業は、国内の住宅取得に関連する税制及び金利動向の影響を受けます。住宅関連税制や消費税及び金利の動向が住宅事業に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(5) エレクトロニクス関連事業の収益力

当社グループのエレクトロニクス関連事業は、業界特性として市況の変化が激しいため、比較的短期間に収益力が大きく低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループの製品は、世代交替の早い先端のエレクトロニクス製品の部品又は材料として、タイムリーに開発・提供していく必要があり、開発遅延や、想定外の需要変動があった場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(6) 医薬・医療事業及びクリティカルケア事業の環境

当社グループの医薬・医療事業及びクリティカルケア事業において、各国政府の医療政策やその他の制度改定などによって大きな影響を受ける可能性があります。また、予想できない副作用や不具合の発生によって大きな問題となる可能性や、再審査によって承認が取り消される可能性、後発品の参入により競争が激化する可能性もあります。開発中の新薬や新医療機器の場合は、医薬品や医療機器としての承認を受けられない又は承認に長期間を要する可能性や、想定ほど市場に受け入れられない可能性、想定していた薬価や償還価格が得られない可能性もあります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 産業事故・自然災害

当社グループの工場などにおいて、万一大きな産業事故災害や自然災害などが発生した場合には、それに伴って生ずる社会的信用の失墜や、補償などを含む産業事故災害への対策費用、また、工場設備の被災や原材料調達などサプライチェーンの障害に伴う生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8) 知的財産・製造物責任(PL)・法規制

当社グループの事業運営上において、知的財産に係わる紛争が将来生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により填補できない事態が生じたり、当社グループが事業展開している各国の法規制により事業活動が制限されたりする可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(9) 取引先などによるリスク

当社グループ取引先の不正行為や、信用不安による予期せぬ貸倒れリスクなどが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(10) 事業・資本提携

当社グループが実施する企業買収や他社との戦略的事業・資本提携について、買収などの対象事業や提携先などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していた成果やシナジーを得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、出資先が業績不振となり「のれん」などの減損損失を計上する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(11) 杭工事の施工データの流用等について

当社の連結子会社である旭化成建材が二次下請会社として施工した横浜市所在のマンションにおける杭工事及び旭化成建材が過去10年間に施工した同様の杭工事の一部について、施工データの流用等があったことが判明しています。

また、平成28年1月13日には、旭化成建材は国土交通省関東地方整備局より、建設業法第28条第1項の規定に基づく指示処分、同法第28条第3項の規定に基づく営業の停止命令及び同法第41条第1項の規定に基づく勧告を受けました。

これらに関連して発生する、信用低下による売上の減少などが、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 合弁会社株主間契約

契約会社名

契約締結先

内容

合弁会社名

契約締結日

契約期間

旭化成
ケミカルズ㈱

 

合弁会社株主間契約 等

PTT Asahi Chemical Co.,Ltd.

平成20年3月24日

締結日から合弁会社の存続する期間

PTT Public Company Limited

 

丸紅株式会社

 

旭化成
ケミカルズ㈱

 

合弁会社株主間契約 (注)

Saudi Japanese
Acrylonitrile
Company

平成23年4月27日

締結日から合弁会社の存続する期間

Saudi Basic
Industries
Corporation

 

三菱商事
株式会社

 

 

 (注) 提出日現在において契約を解消することについて合意しています。

 

(2) 完工保証契約

契約会社名

相手方当事者

内容

完工保証額

契約締結日

旭化成
ケミカルズ㈱

 

 

株式会社三菱東京UFJ
銀行

The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited 等

PTT Asahi Chemical Co.,Ltd.の貸付者からの借入金(上限450百万米ドル)につき、プロジェクト完工までの間、出資比率に応じて保証する旨の契約。
 なお、保証人は旭化成ケミカルズ㈱の他、PTT Public Company
Limited及び丸紅株式会社。

上限
218百万米ドル

平成20年
11月26日

 

 

(3) 共同販売契約

契約会社名

契約締結先

国名

契約締結日

契約内容

旭化成
ファーマ㈱

 

久光製薬株式会社

 

日本

平成24年12月10日

久光製薬株式会社が過活動膀胱治療薬として開発中のHOB-294(オキシブチニン塩酸塩経皮吸収型製剤)の日本国内における共同販売契約

 

  (注) 提出日現在において契約を解消しています。

 

(4) Polypore International,Inc.の買収について

当社は、平成27年2月23日付で、米国のバッテリーセパレータ及び医療・工業用膜関連の高分子ポリマー膜メーカーであるPolypore International,Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、CEO:Robert B. Toth、米国ニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」)上場:PPO、以下「Polypore(ポリポア)社」)との間で、当社の買収目的子会社による現金を対価とする合併(以下「本合併」)によりPolypore(ポリポア)社を買収(以下「本買収」)することについて合意し、平成27年8月26日付(米国東部時間)で本買収を完了し、当社の100%連結子会社となりました。また、本買収に関連し、Polypore(ポリポア)社が同社の医療・工業用膜事業を、本合併の完了前に米国の3M Company(本社:米国ミネソタ州、CEO:Inge G.Thulin、NYSE上場:MMM)に譲渡しています。
 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しています。

 

(5) 米国Polypore International,Inc.の買収に係る資金借入について

当社は、平成27年2月20日の取締役会決議に基づき、Polypore International,Inc.買収に係る所要資金調達のために、株式会社三菱東京UFJ銀行等による米ドル建て及び円建てローン契約を平成27年4月17日付で締結し、平成27年8月25日付で、以下のとおり借入を実行しています。

 

 

① 借入人

当社

 

② 借入先

株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、
株式会社みずほ銀行、農林中央金庫、三井住友信託銀行株式会社

 

③ 借入形式

米ドル建て及び円建てシンジケートローン

 

④ 借入金額

1,738百万米ドル及び1,952億円

 

⑤ 資金使途

Polypore International,Inc.の株式買収資金、Polypore International, Inc.の既存借入債務の弁済資金、本買収に関する費用その他の経費の支払い

 

⑥ 借入利率

基準金利+スプレッド

 

⑦ 借入日

平成27年8月25日

 

⑧ 満期日

平成28年5月24日

 

⑨ 担保の有無

なし

 

⑩ 保証

なし

 

⑪ 財務制限条項

あり

 

 

 

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の主たる研究開発活動の概要、成果及び研究開発費(総額81,118百万円)は以下のとおりです。

 

「ケミカル・繊維」セグメント

  (ケミカル事業)

ケミカル事業では、これまで蓄積してきたコア技術の深耕と新たな技術獲得を通じ「環境・資源・エネルギー」
にフォーカスした研究開発を推進することで社会に新たな価値を提供していきます。
 石油化学系事業では、石化原料の多様化に向けた新技術として、エタンなどさまざまなエチレン性原料やバイオエタノールを原料にプロピレンを高効率的に製造するE-FLEXプロセス及びブテンからブタジエンを製造するBB-FLEXプロセスの実証を進めており、実用化に向けた検討を行っています。また、水島製造所内に炭酸ガスを原料とするジフェニルカーボネートの実証プラント建設に着工しました。
 高機能ポリマー系事業では、新たなポリマー設計による超高耐熱・高剛性・易成形性のポリアミドや次世代省燃費タイヤ用変性SBRなどの開発が進捗しています。また、完全光学等方性を有する新規光学特性樹脂の生産設備を当社川崎製造所千葉工場内に新設し、2015年度に稼働しました。さらに、独自CAE(Computer Aided Engineering)技術の高度化を推進し、機能樹脂事業において新規事業開拓と海外展開を加速していきます。
 高付加価値系事業では、膜・水処理関連として、多孔質構造を有した世界最速のリン吸着剤及びリン吸着・回収システムの大型下水処理施設での実証試験が終了し、日本国内だけでなく、水環境悪化や水不足が進行している米国や中国・アジアへの市場開拓を進めています。また、環境・エネルギー関連として、太陽電池や自動車などに使用される高機能コーティング剤の開発を進めています。さらに、再生可能エネルギーや省エネ関連素材の開発も進捗しており、社内外の技術を融合して開発を加速し、新製品・新事業の創出と立上げを推進していきます。 

 

  (繊維事業)

繊維事業では、グループ内外との連携により、研究開発機能を充実・高度化させるとともに、成果実現のスピードアップを図っています。主力製品であるポリウレタン弾性繊維「ロイカ™」、再生セルロース繊維「ベンベルグ™」、ナイロン66繊維「レオナ™」及び各種不織布において、独自性を活かした新たな価値商品の創出や、生産プロセスの革新を進めています。また、「健康で快適な生活」「環境との共生」に寄与する新事業領域の創出にも注力しており、新規セルロース素材の事業化や、高機能テキスタイル、新基軸不織布の開発などに取り組んでいます。

 

   当セグメントに係る研究開発費の金額は19,410百万円です。

 

「住宅・建材」セグメント

  (住宅事業)

住宅事業では、「ロングライフ住宅の実現」を支えるコア技術について重点的な研究開発を続けています。
 シェルター技術については、安全性(耐震・制震・免震技術、火災時の安全性向上技術)、耐久性(耐久性向上・評価技術、維持管理技術、リフォーム技術)に加えて、居住性(温熱・空気環境技術、遮音技術)、環境対応性(省エネルギー技術、低炭素化技術)の開発を行っています。住ソフト技術については、二世帯同居などの住まい方についての研究を、評価・シミュレーション技術については、ITなどの活用により直感的に理解可能な環境シミュレーションシステムの構築を、それぞれ進めています。また、住宅における生活エネルギー消費量削減とともに、人の生理・心理から捉えた快適性を研究し、健康・快適性と省エネルギーを両立させる環境共生的住まいを実現する技術開発に注力しています。

 

  (建材事業)

建材事業では、「絶えざる改善・革新で、お客様に安全、安心、快適を提供します」を事業ビジョンとし、軽量気泡コンクリート(ALC)、フェノールフォーム断熱材、高機能基礎システム、鉄骨造構造資材の4つの事業分野において基盤技術の強化を推進しています。また、ALC外装リニューアル事業への展開、断熱リフォーム向け製品の開発など、既存事業の周辺領域を取り込んだ新製品及びサービスの開発により、新たなソリューションビジネスも積極的に展開していきます。

 

   当セグメントに係る研究開発費の金額は3,403百万円です。

 

「エレクトロニクス」セグメント

  (電子部品系事業)

電子部品系事業では、技術革新の速い事業環境において、豊富な設計資産と有機的なエンジニア組織体制の構築により、ユニークかつタイムリーなデバイスの提供を図っています。高感度磁気センサの開発を通して蓄積してきた化合物半導体プロセス技術及びミクスドシグナルLSI技術を基盤とする高機能電子部品の開発を積極的に進めていきます。

 

  (電子材料系事業)

電子材料系事業では、高分子設計・合成や、製膜加工、表面微細加工などのコア技術を活かして、「省資源・省エネルギー」「環境負荷軽減」「健康で快適な暮らし」に貢献する新規材料の開発を推進しています。民生・車載用途に展開する高機能リチウムイオン二次電池用セパレータなどの環境・エネルギー関連素材や、半導体・プリント配線基板の微細配線化といった先端技術トレンドを支える新規材料の展開に注力していきます。

 

 当セグメントに係る研究開発費の金額は17,805百万円です。

 

「ヘルスケア」セグメント

  (医薬事業)

医薬事業では、成熟化・高齢化社会において今後一層高まる「健康で快適な生活」へのニーズに応えるため、整形外科領域、中でもロコモティブシンドローム(運動器症候群)領域を中心に、「未だ有効な治療方法がない医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)」の解決に向けた積極的な研究開発を行っています。研究開発対象の新規開拓に加え、自社技術の絶えざる革新と、世界の優れた技術とのコラボレーションを積極的に推進します。

 

  (医療事業)

医療事業では、治療の可能性を広げ、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供するために、グループ総力をあげた研究開発に取り組んでいます。これまで培ってきた豊富な基礎技術と研究開発の応用により、人工腎臓、血液浄化技術、白血球やウイルスの除去技術をさらに発展させていきます。

 

  (クリティカルケア事業)

クリティカルケア事業では、突然の心停止からの生存率を向上する技術開発を原点とし、新規領域にも研究を広げています。急性心筋梗塞・脳卒中・敗血症・呼吸困難など、予後の悪い数多い緊急疾病に対する新規治療法や技術が求められている昨今、私たちは全ての事業にわたり、患者と臨床医に役立つことを共通の使命としています。

 

 当セグメントに係る研究開発費の金額は32,318百万円です。

 

「その他」

エンジニアリング分野では、次世代の生産技術や設備保全関連の検査技術などの研究開発に取り組んでいます。

 当セグメントに係る研究開発費の金額は60百万円です。

 

 

持株会社では、成長戦略の重点分野と定めた「環境・エネルギー」「住・くらし」「ヘルスケア」関連分野において、積極的に経営資源を投入し、新規事業の開発を進めました。

「環境・エネルギー」関連分野では、深紫外発光ダイオード(UVC-LED)の用途開発が進み、分析計測機器用途の「Optan™」に加え、さらなる市場のニーズに対応する「Optan™ SMD」の販売を昨年8月から開始しました。今後は殺菌用途向けの開発を進め、早期の製品化を目指すとともに、水や空気、食品、医療など幅広い分野の新市場を開拓していきます。また、「クリーンな環境エネルギー社会」の実現を目指し、水素製造システムの開発にも取り組んでいます。本開発は、世界トップレベルのイオン交換膜法食塩電解プロセス技術を活かした、高効率なアルカリ水電解プロセスの開発であり、現在、他の企業と共同で実用に向けた実証試験を行っています。

「住・くらし」関連分野では、静岡県富士市に建設した「ヘーベルハウス™」の実証棟「HH2015」において、グループ内外の技術や製品を用いて「医療関連事業」及び「シニア関連事業」の検証を完了しました。「医療関連事業」では、在宅透析の検証に加え、深紫外発光ダイオード(UVC-LED)による空気や水の浄化など、シナジー効果を高めた事業展開の検証を実施し、「シニア関連事業」では、高齢者のくらしの実態の把握とともに、シニア向け集合住宅の実証試験を行い、自立した高齢者が快適に暮らすための研究を行いました。現在、「シニア関連事業」の検証の場を現場に移し、自立から介護まで切れ目のない最適な住まいとサービスの提供について具体的な検討を開始しています。

「ヘルスケア」関連分野では、新規分野の開拓活動に加えて、拡大するクリティカルケア事業と既存の医薬・医療事業とのシナジーを追及する為に、グループ内に設置された「ヘルスケア協議会」においてグローバル事業基盤の強化に向けた議論を進めています。

今後は、事業持株会社制への移行に伴い、研究開発組織の再編を行うことで社内の融合を生む体制とします。「コア技術の育成・獲得」「高付加価値化の追求」「マーケットチャネルの活用」の3軸の視点で研究開発に取り組み、新事業の創出につなげていきます。

全社に係る研究開発費の金額は8,123百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月28日)現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。

当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、たな卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 財政状態の分析

(流動資産)

流動資産は、現金及び預金が222億円増加したものの、受取手形及び売掛金が455億円減少したことなどから、前連結会計年度末比356億円(4.0%)減少し、8,560億円となりました。

 

(固定資産)

固定資産は、投資有価証券が448億円減少したものの、無形固定資産が2,085億円、有形固定資産が535億円増加したことなどから、前連結会計年度末比2,328億円(20.7%)増加し、1兆3,557億円となりました。

 

(流動負債)

流動負債は、支払手形及び買掛金が252億円減少したものの、短期借入金が2,176億円、未払法人税等が225億円増加したことなどから、前連結会計年度末比2,182億円(43.0%)増加し、7,257億円となりました。

 

(固定負債)

固定負債は、長期借入金が358億円減少したものの、退職給付に係る負債が443億円増加したことなどから、前連結会計年度末比193億円(4.7%)増加し、4,287億円となりました。

 

(有利子負債)

有利子負債は、前連結会計年度末比1,807億円(67.2%)増加し、4,497億円となりました。

 

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を918億円計上したものの、配当の支払279億円があったことや、為替換算調整勘定が511億円、退職給付に係る調整累計額が336億円、その他有価証券評価差額金が213億円それぞれ減少したことなどから、前連結会計年度末の1兆977億円から403億円(3.7%)減少し、1兆574億円になりました。

その結果、1株当たり純資産額は前連結会計年度末比29円11銭減少し745円94銭となり、自己資本比率は前連結会計年度末の53.7%から47.1%となりました。D/Eレシオは、前連結会計年度末から0.18ポイント悪化し、0.43となりました。

 

これらの結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比1,972億円(9.8%)増加し、2兆2,117億円となりました。

 

 

(3) 経営成績の分析

(売上高と営業利益)

当連結会計年度の売上高は、1兆9,409億円で前連結会計年度比455億円(2.3%)の減収となりました。海外売上高は、6,797億円で「ヘルスケア」セグメントを中心に前連結会計年度比64億円(1.0%)増加し、売上高に占める海外売上高の割合は、35.0%で前連結会計年度の33.9%から1.1ポイント増加しました。国内売上高については、「ケミカル・繊維」セグメントのケミカル事業で製品市況が悪化したことなどにより、前連結会計年度比519億円(4.0%)減少し、1兆2,612億円となりました。

当連結会計年度の営業利益は、1,652億円で前連結会計年度比73億円(4.6%)の増益となりました。当連結会計年度の売上原価率は69.8%と前連結会計年度比2.7ポイントの改善となりました。また、売上高販管費率は、売上高が減少したことに加え、販管費が319億円増加したことから、21.7%と前連結会計年度比2.1ポイントの悪化となりました。なお、売上高営業利益率は、8.5%と前連結会計年度比0.6ポイントの改善となりました。

 

(営業外損益と経常利益)

当連結会計年度の営業外損益は38億円の損失で、前連結会計年度の86億円の利益から124億円悪化しました。これは、為替差損益の悪化や持分法による投資損益の悪化があったことなどによるものです。この結果、経常利益は1,614億円で、前連結会計年度比52億円(3.1%)の減益となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度は、共同販売契約終了に伴う損失53億円、固定資産処分損52億円、事業構造改善費用36億円、減損損失35億円、特別退職金等20億円、統合関連費用15億円、杭工事関連損失15億円などによる特別損失を242億円計上したことなどから、特別損益は150億円の損失となり、前連結会計年度比69億円の悪化となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

経常利益の1,614億円に特別損益の損150億円を加えた結果、税金等調整前当期純利益は1,464億円となりました。ここから税金費用530億円(法人税、住民税及び事業税554億円から法人税等調整額24億円を控除した額)及び非支配株主に帰属する当期純利益17億円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は918億円で、前連結会計年度比139億円(13.2%)の減益となりました。

この結果、1株当たり当期純利益金額は65円69銭となり、前連結会計年度の75円62銭から9円93銭減少しました。

 

 

(4) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や固定資産の取得などによる支出が、税金等調整前当期純利益や減価償却費を源泉とした収入を上回り、691億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入金の増加などにより、1,014億円の収入となりました。       

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて330億円増加し、1,453億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、法人税等の支払額604億円及び仕入債務の減少241億円などの支出があったものの、税金等調整前当期純利益1,464億円、減価償却費938億円及び売上債権の減少485億円などの収入があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは、2,162億円の収入(前連結会計年度比786億円の収入の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、Polypore International,LP買収などにより連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,937億円があったほか、前連結会計年度に引き続き競争優位事業の拡大や事業競争力の強化のための有形固定資産の取得による支出852億円などがあったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは、2,853億円の支出(前連結会計年度比1,848億円の支出の増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は、長期借入金の返済による支出918億円があったものの、Polypore International,LP買収などに伴う短期借入金の増加2,134億円などの収入があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,014億円の収入(前連結会計年度比1,754億円の収入の増加)となりました。

 

(5) 財務政策について

コスト競争力の向上、製品力の向上、事業構造改善などによる収益力強化、グループファイナンスの活用や適正在庫水準の維持等による資金効率化などにより、フリー・キャッシュ・フローの拡大を目指します。また、資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債、コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指します。
これらの資金を中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の戦略の柱である「成長・収益性の追求」、「新事業の創出」、「グローバル展開の加速」による事業拡大のための戦略投資資金及び株主の皆様への配当原資等に活用していきます。
 これらの施策を進めることにより、当社グループの企業価値向上、株主の皆様への利益還元を図る一方、財務規律にも配慮し、健全な財務体質の維持を目指していきます。