文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループでは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループ理念のもと、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することをグループビジョン(目指す姿)として掲げています。
その上で、従業員の持つべき共通の価値観を「誠実」「挑戦」「創造」と定めており、すべてのステークホルダーの皆さまに対し「誠実」に経営することを通じて、社会の課題解決や事業環境の変化に積極果敢に「挑戦」し、絶えず新たな価値を「創造」することで、事業を通じて企業の社会的責任を果たしていくことを基本方針としています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、企業としての本来の事業活動の成果を示す「営業利益」を主要な経営指標と位置付けていますが、これに加え、「当期純利益」「キャッシュ・フロー」「営業利益率」などを、また、財務体質強化の観点からは「D/Eレシオ」、資本効率指標として「ROE」を目標とする主要な経営指標としています。
(3) 経営環境を踏まえた当社グループの対処すべき課題
当社グループでは、2016年度より3カ年の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」(以下、「CT2018」)を実行してきました。「CT2018」では、「クリーンな環境エネルギー社会(Environment)」「健康・快適で安心な長寿社会(Social)」の実現に向けた経営を最適なガバナンス(Governance)体制によって推進し、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」となるべく、飛躍に向けた成長戦略と持続的成長に向けた事業基盤づくりを進めてきました。
成長戦略としては、新たなトレンドにより変革が起きている自動車関連分野での事業拡大のためマテリアル領域では、米国の自動車内装材メーカーであるSage Automotive Interiors,Inc.の買収及びリチウムイオン二次電池用セパレータの製造設備増設、C02ガスセンサモジュール事業の本格展開を推進し、住宅領域においてはシニア向け賃貸住宅事業などの新規事業の展開を積極的に行いました。
持続的成長に向けた事業基盤づくりでは、耐震化や更新による製造設備などの強化、高度専門職制度の改定などによる人財育成の強化、リスク管理、コンプライアンスの徹底、品質保証体制の強化、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを行いました。
計数面では、利益目標(営業利益1,800億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,100億円)を上回る業績を達成しました。
次期中期経営計画では、「CT2018」での投資及び施策の効果を着実に発現するとともに、さらなる成長を目指して、以下の2点に取り組んでいきます。
① 企業価値の持続的な向上について
地球温暖化問題やSDGs(持続可能な開発目標)に象徴される世界の諸課題への意識の高まり、デジタル化の著しい進展など、新たな外部環境変化への対応は継続する課題です。当社グループは、今後も「多様性」と「変革力」を活かしてこれらの課題に向き合っていきます。
2019年度から始まる3カ年の次期中期経営計画では、引き続き社会のニーズをとらえ、環境の変化に対応した事業ポートフォリオ変革を図ることで、さらなる成長拡大を果たし、新たな事業の創出・新たな市場への展開を進めていきます。そして事業や製品の付加価値を創造し、生産性を向上させることで、企業価値の持続的向上を図るとともに、その成果を世の中に還元することで持続可能な社会の実現に貢献していきます。2019年度からはそれらを推進すべく、SDGs/ESGを含む非財務側面の視点から経営の推進を加速する専任部署を設置するとともに、全社横断のマーケティング機能を強化することで、これまで以上に「CT2018」の基本的な考え方である社内外のConnectを促進し、さまざまな分野でデジタル技術を活用することで、事業の高度化を進めていきます。
② 事業基盤の強化について
成長拡大を実現させ、当社グループをサステナブルなものにしていくための基盤は、「人財」「品質」「リスク管理」「コンプライアンスの徹底」「環境保全」「安全・健康」であり、「CT2018」に引き続き、各項目とも重点テーマと位置付けて取り組みます。
とりわけ「リスク管理」と「コンプライアンスの徹底」への取り組みについては、2015年10月に公表した杭工事施工データの流用などの問題を踏まえ、引き続き強化していきます。「現場」「現物」「現実」を重視して行動する三現主義を徹底することで、社会から常に信頼される企業となることを目指します。
当社グループは、これらの課題に真摯に向き合い、「誠実」に行動し、果敢に「挑戦」し、新たな価値を「創造」していきます。そのうえで、サステナビリティの実現を目指すとともに、さらなる企業価値の向上と持続的成長を図っていきます。
(4) 会社の支配に関する基本方針
当社は、当社の支配権の取得を目的とした当社株式の大量取得行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様全体の意思に基づいて行われるべきものと考えており、当社株式の大量取得であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量取得の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものもあります。当社は、当社株式の大量取得行為を行おうとする者に対しては、当該大量取得行為が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれがないかどうか株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、また、当該大量取得行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための時間の確保に努めるなど、法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていきます。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載します。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしていきます。
下記事項には、将来に関するものが含まれますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2019年6月25日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1) 原油・ナフサの市況変動
当社グループにおいて、石油化学事業を中心に、原油・ナフサなどの価格の変動をタイムリーに製品価格に反映できず、そのスプレッドを十分確保することができなかった場合、原油・ナフサなどの市況変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループの円貨建以外の項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、通貨変動に対するヘッジなどを通じて、短期的な為替の変動による影響を最小限に止める措置を講じていますが、短期及び中長期の予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) グローバルな事業活動
海外での事業活動には、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難など、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的又は政治的混乱などのリスクが存在します。また、主要国の通商政策の変更により、輸出入や投資などに関する規制が強化され、貿易取引の減少、原料調達価格の高騰、国内需要の減少などが生じるリスクがあります。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画に影響を与える可能性があります。
(4) 住宅関連税制及び金利の動向
当社グループの住宅事業は、国内の住宅取得に関連する税制及び金利動向の影響を受けます。住宅関連税制や消費税及び金利の動向が住宅事業に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5) 医薬・医療事業及びクリティカルケア事業の環境
当社グループの医薬・医療事業及びクリティカルケア事業において、各国政府の医療政策やその他の制度改定などによって大きな影響を受ける可能性があります。また、予想できない副作用や不具合の発生によって大きな問題となる可能性や、再審査によって承認が取り消される可能性、後発品の参入により競争が激化する可能性もあります。開発中の新薬や新医療機器の場合は、医薬品や医療機器としての承認を受けられない又は承認に長期間を要する可能性や、想定ほど市場に受け入れられない可能性、想定していた薬価や償還価格が得られない可能性もあります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6) 産業事故・自然災害
当社グループの工場などにおいて、万一大きな産業事故災害や自然災害などが発生した場合には、それに伴って生ずる社会的信用の失墜や、補償などを含む産業事故災害への対策費用、また、工場設備の被災や原材料調達などサプライチェーンの障害に伴う生産活動の停止による機会損失などによって、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7) 知的財産・製造物責任(PL)・法規制
当社グループの事業運営上において、知的財産に係わる紛争が将来生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して大規模な製品回収や損害賠償につながるリスクが現実化し、これを保険により填補できない事態が生じたり、当社グループが事業展開している各国の法規制により事業活動が制限されたりする可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(8) 取引先などによるリスク
当社グループ取引先の不正行為や、信用不安による予期せぬ貸倒れリスクなどが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(9) 事業・資本提携
当社グループが実施する企業買収や他社との戦略的事業・資本提携について、買収などの対象事業や提携先などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していた成果やシナジーを得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、出資先が業績不振となり「のれん」などの減損損失を計上する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日、以下、「当期」)における世界経済は、米国経済が好調だったことなどから、前半は堅調に推移しましたが、後半は米中貿易摩擦などにより中国経済の減速が顕著になり、先行き不透明感が高まりました。日本経済は、自然災害などがあったものの、底堅い成長を続けましたが、後半はこうした世界経済の動きを受け、景気減速懸念が広がりました。
このような状況の中で、当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」)の当期における連結業績は、各事業での販売が好調に推移したことに加え、マテリアル領域においてケミカル事業の交易条件が改善したことから、売上高は2兆1,704億円となり前連結会計年度(以下、「前期」)比1,282億円の増収、営業利益は2,096億円で前期比111億円の増益、経常利益は2,200億円で前期比74億円の増益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の減少や前期における米国税制改正による一時的な増益要因がなくなり、1,475億円と前期比227億円の減益となりましたが、引き続き高水準を維持しました。
営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」の計数目標を上回り、売上高、営業利益及び経常利益は過去最高を更新しました。
当期の単独業績は、売上高は6,658億円、営業利益は511億円、経常利益は1,067億円、当期純利益は893億円となりました。
(セグメント別概況)
当社グループの3つの報告セグメント「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」及び「その他」に区分してご説明します。なお、2018年4月4日付で買収を完了したスウェーデンSenseair AB及びその連結子会社の業績、並びに2018年9月27日付(米国東部時間)で買収を完了したSage Automotive Interiors,Inc.の業績については「マテリアル」セグメントに含めて開示しています。また、2018年11月30日付(米国東部時間)で買収を完了したErickson Framing Operations LLC及びその連結子会社の業績については「住宅」セグメントに含めて開示しています。
「マテリアル」セグメント
売上高は1兆1,762億円で前期比885億円の増収となり、営業利益は1,296億円で前期比76億円の増益となりました。
繊維事業では、原燃料などのコストが上昇しましたが、マイクロファイバースエード「ラムース™」やキュプラ不織布「ベンリーゼ™」を中心に不織布の販売数量が増加したことや、キュプラ繊維「ベンベルグ™」の収益性が改善したこと、Sage Automotive Interiors,Inc.を連結子会社化したことなどから、前期比増収、増益となりました。
ケミカル事業の石油化学事業では、アクリロニトリルなどの交易条件が改善したことや、前期に実施したナフサクラッカーの定期修理が当期は行われなかったことなどから、前期比増収、増益となりました。高機能ポリマー事業では、エンジニアリング樹脂の交易条件が改善しましたが、合成ゴムでは前期ほど良好な交易条件とならなかったことなどから、前期比増収、営業利益は前期並みとなりました。高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、イオン交換膜や「サランラップ™」などの販売が堅調に推移しましたが、電子材料製品の販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。
エレクトロニクス事業のセパレータ事業では、リチウムイオン二次電池用セパレータの販売数量が増加したものの、世界的な自動車市場の減速の影響を受け鉛蓄電池用セパレータの販売数量が減少したことなどから、前期比増収、減益となりました。電子部品事業では、スマートフォン向け電子部品などの販売が前期を下回ったことなどから、前期比減収、減益となりました。
なお、繊維事業では、2018年9月に米国自動車内装材メーカーSage Automotive Interiors,Inc.を買収しました。また、2019年3月に、タイにおけるスパンボンド不織布製造設備の増設を決定しました。
ケミカル事業では、2018年9月に宮崎県延岡市における第3石炭火力発電所について、天然ガス火力発電所への更新を決定しました。また、同年11月に宮崎県西臼杵郡に保有する五ヶ瀬川発電所(水力)の大規模改修工事を決定しました。
エレクトロニクス事業では、2019年3月に、滋賀県守山市及び米国ノースカロライナ州におけるリチウムイオン二次電池用セパレータ製造設備の増設を決定しました。
「住宅」セグメント
売上高は6,598億円で前期比188億円の増収となり、営業利益は682億円で前期比38億円の増益となりました。
住宅事業における建築請負部門では、戸建住宅の引渡棟数が減少し前期比減収となりましたが、コストダウンなどにより営業利益は前期並みとなりました。建築請負部門の受注高は、戸建住宅の受注が堅調に推移したことや、集合住宅において消費増税前の駆け込み需要が一部に見られたことなどから、前期比11.3%の増加となりました。一方、不動産部門では賃貸管理事業・分譲事業ともに順調に推移し、リフォーム部門も堅調に推移しました。この結果、住宅事業全体では、前期比増収、増益となりました。
建材事業では、各製品の販売数量が増加したことなどにより、前期比増収、増益となりました。
なお、住宅事業では、2018年11月に、米国建築部材サプライヤーErickson Framing Operations LLCを買収しました。
「ヘルスケア」セグメント
売上高は3,162億円で前期比199億円の増収となり、営業利益は418億円で前期比24億円の増益となりました。
医薬事業では、骨粗鬆症治療剤「テリボン™」や関節リウマチ治療薬「ケブザラ™」などの新薬の販売数量が増加しましたが、薬価改定や後発医薬品の影響を受けてその他の医薬品などで販売数量が減少したことから、前期比減収、減益となりました。
医療事業では、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の販売数量が増加したものの、透析事業における償還価格改定などから、前期比増収、減益となりました。
クリティカルケア事業では、医療機関向け除細動器の販売数量が大幅に増加したことなどから、前期比増収、増益となりました。
なお、医薬事業では、2018年10月に、骨粗鬆症治療剤「テリボン™皮下注28.2μgオートインジェクター」について、日本における製造販売承認申請を行いました。また、同年12月に、関節リウマチ治療薬「ケブザラ™皮下注オートインジェクター」を発売しました。
「その他(エンジニアリング事業、各種リサーチ・情報提供事業、人材派遣・紹介事業 等)」
売上高は183億円で前期比10億円の増収となり、営業利益は24億円で前期比5億円の増益となりました。
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)、投資活動によるキャッシュ・フローは1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期に比べ319億円増加し1,805億円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため、生産の状況については、(経営成績等の状況の概要)における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているので、特記すべき受注生産はありません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月25日)現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、たな卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(流動資産)
流動資産は、たな卸資産が677億円、現金及び預金が376億円増加したことなどから、前期比1,124億円増加し、1兆514億円となりました。
(固定資産)
固定資産は、無形固定資産が1,154億円増加したことなどから、前期比1,556億円増加し、1兆5,238億円となりました。
(流動負債)
流動負債は、短期借入金が204億円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが570億円、1年内償還予定の社債が200億円増加したことなどから、前期比927億円増加し、6,819億円となりました。
(固定負債)
固定負債は、長期借入金が667億円、繰延税金負債が117億円増加したことなどから、前期比778億円増加し、4,906億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、前期比1,231億円増加し、4,249億円となりました。
(純資産)
純資産は、配当の支払517億円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,475億円計上したことなどから、前期比975億円増加し、1兆4,027億円となりました。
その結果、1株当たり純資産額は前期比67.40円増加し989.51円となり、自己資本比率は前期末の55.8%から53.6%となりました。D/Eレシオは、前期末から0.07ポイント悪化し、0.31となりました。
(売上高と営業利益)
当期の売上高は、2兆1,704億円で前期比1,282億円の増収となりました。海外売上高は、8,593億円で「マテリアル」セグメントを中心に前期比916億円増加し、売上高に占める海外売上高の割合は、39.6%で前期比2.0ポイント増加しました。国内売上高については、「マテリアル」セグメントや「住宅」セグメントを中心に前期比366億円増加し、1兆3,111億円となりました。
当期の営業利益は、2,096億円で前期比111億円の増益となりました。当期の売上原価率は68.3%と前期比0.1ポイントの悪化となりました。また、売上高販管費率は、販管費が283億円増加したものの、売上高が増加したことから、22.1%と前期並みとなりました。なお、売上高営業利益率は、9.7%と前期並みとなりました。
(営業外損益と経常利益)
当期の営業外損益は、104億円の利益で、前期の141億円の利益から37億円悪化しました。これは、持分法による投資損益の悪化があったことなどによるものです。この結果、経常利益は2,200億円で、前期比74億円の増益となりました。
(特別損益)
当期の特別損益は、96億円の損失で、前期の58億円の利益から154億円悪化しました。これは、投資有価証券売却益116億円などによる特別利益122億円を計上した一方で、減損損失111億円、固定資産処分損66億円、事業構造改善費用39億円などによる特別損失を218億円計上したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益の2,200億円に特別損益96億円を控除した結果、税金等調整前当期純利益は2,104億円となりました。ここから税金費用606億円(法人税、住民税及び事業税637億円から法人税等調整額31億円を控除した額)及び非支配株主に帰属する当期純利益23億円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,475億円で、前期比227億円の減益となりました。
この結果、ROEは11.1%となり、前期比2.9ポイント悪化しました。また、1株当たり当期純利益金額は105.66円となり、前期比16.27円減少しました。
当期のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、税金等調整前当期純利益などを源泉とした収入が、固定資産の取得や連結範囲の変動を伴う子会社株式の取得による支出などによる支出を上回り、131億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入などにより、174億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて319億円増加し、1,805億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払677億円、たな卸資産の増加580億円などの支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,104億円、減価償却費846億円などの収入があったことから、2,121億円の収入(前期比378億円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、貸付金の回収による収入188億円、投資有価証券の売却による収入170億円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出1,147億円、Sage Automotive Interiors,Inc.買収などの連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出935億円などがあったことから、1,989億円の支出(前期比886億円の支出の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出538億円、配当金の支払額517億円などがあったものの、長期借入れによる収入855億円、コマーシャル・ペーパーの増加570億円などがあったことから、174億円の収入(前期比1,518億円の収入の増加)となりました。
コスト競争力の向上、製品力の向上、事業構造改善などによる収益力強化、グループファイナンスの活用や適正在庫水準の維持等による資金効率化などにより、フリー・キャッシュ・フローの拡大を目指します。また、資金調達活動については、当社グループを取り巻く金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債、コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段により、より安定的で低コストの資金調達を目指します。
これらの資金を次期中期経営計画では、事業基盤の強化を継続しつつ、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略投資資金及び株主の皆様への配当原資等に活用していきます。
これらの施策を進めることにより、当社グループの企業価値向上、株主の皆様への利益還元を図る一方、財務規律にも配慮し、健全な財務体質の維持を目指していきます。
(注) 提出日現在において契約を解消しています。
(2) Sage Automotive Interiors,Inc.の買収について
当社は、2018年7月13日付で、米国の自動車内装材メーカーであるSage Automotive Interiors,Inc.(本社:米国サウスカロライナ州、CEO:Dirk R. Pieper、以下、「Sage社」)を買収することについて、Sage社を100%保有するClearlake Sage Holdings,LLC(本社:米国デラウェア州)との間で合意し、2018年9月27日付(米国東部時間)で本買収を完了しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しています。
(3) Erickson Framing Operations LLCの買収について
当社の連結子会社である旭化成ホームズ㈱(以下、「旭化成ホームズ」)は、2018年11月2日付(米国東部時間)で、旭化成ホームズの米国子会社であるAsahi Kasei Homes North America,Inc.を通じて、戸建住宅ビルダーへのプレハブ建築部材の提供を行うErickson Framing Operations LLC(本社:米国アリゾナ州、CEO:Rich Gallagher、以下、「Erickson社」)を買収することについて、Erickson社を100%保有するErickson Framing Holdings LLCとの間で合意し、2018年11月30日付(米国東部時間)で本買収を完了しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載しています。
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の主たる研究開発活動の概要、成果及び研究開発費(総額
「マテリアル」セグメント
(繊維事業)
繊維事業では、グループ内外との連携により、研究開発機能を充実・高度化させるとともに、成果実現のスピードアップを図っています。主力製品であるポリウレタン弾性繊維「ロイカ™」、キュプラ繊維「ベンベルグ™」、ナイロン66繊維「レオナ™」及び各種不織布において、独自性を活かした新たな価値商品の創出や、生産プロセスの革新を進めています。また、「健康で快適な生活」「環境との共生」に寄与する新事業領域の創出にも注力しており、新規セルロース素材の事業化や、高機能テキスタイル、新基軸不織布の開発などに取り組んでいます。
(ケミカル事業)
石油化学事業では、AN、MMA等当社の強みである触媒のブラッシュアップに継続的に取り組んでいます。また、水島製造所内に炭酸ガスを原料とするジフェニルカーボネートの実証プラントを建設し、2017年1月から実証運転を開始し、2018年度中には更なる運転安定性と操作性を確認しました。
高機能ポリマー事業では、新たなポリマー設計による高剛性・易成形性のポリアミドや次世代省燃費タイヤ用変性SBRなどの開発が進捗しています。さらに、独自CAE(Computer Aided Engineering)技術の高度化を推進し、機能樹脂事業において新規用途開拓と海外展開を加速していきます。
高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、環境に配慮した食塩電解プロセス用のフッ素系イオン交換膜の開発を強化すると共に、電子材料関連では、次世代電子デバイスの要求に対応できる感光性樹脂材料の開発を加速しています。また、事業本部の広範な技術シナジーを活用した新事業創出の取組みも実施しています。
(エレクトロニクス事業)
セパレータ事業では、高分子設計・合成や、製膜加工などのコア技術を活かして、「省資源・省エネルギー」「環境負荷軽減」に貢献する新規材料の開発を推進しています。民生・車載・電力貯蔵用途に展開するリチウムイオン二次電池用高機能セパレータや鉛蓄電池用セパレータなどの環境・エネルギー関連素材の展開に注力していきます。
電子部品事業では、IoT社会の進展に対応して、「磁気」「音」「可視外光」「高周波」を主軸に「エンドユーザーのベネフィット」に繋がるソリューションを提供できる技術及び製品の開発を推進しています。豊富な技術資産と柔軟なエンジニア組織運営により、ミックスドシグナルLSI・化合物半導体・高機能パッケージなどを融合し、独自のソフトウェアを活かした高機能電子部品の開発のみならず、モジュール型製品への展開にも積極的に取り組んでいきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
「住宅」セグメント
(住宅事業)
住宅事業では、「ロングライフ住宅の実現」を支えるコア技術について重点的な研究開発を続けています。
シェルター技術については、安全性(耐震・制震・免震技術、火災時の安全性向上技術)、耐久性(耐久性向上・評価技術、維持管理技術、リフォーム技術)に加えて、居住性(温熱・空気環境技術、遮音技術)、環境対応性(省エネルギー技術、低炭素化技術)の開発を行っています。住ソフト技術については、二世帯同居などの住まい方についての研究を、評価・シミュレーション技術については、ITなどの活用により直感的に理解可能な環境シミュレーションシステムの構築を、それぞれ進めています。また、住宅における生活エネルギー消費量削減とともに、人の生理・心理から捉えた快適性を研究し、健康・快適性と省エネルギーを両立させる環境共生的住まいを実現する技術開発に注力しています。
(建材事業)
建材事業では、「絶えざる改善・革新で、お客様に安全、安心、快適を提供します」を事業ビジョンとし、軽量気泡コンクリート(ALC)、フェノールフォーム断熱材、高機能基礎システム、鉄骨造構造資材の4つの事業分野において基盤技術の強化を推進しています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
「ヘルスケア」セグメント
(医薬事業)
医薬事業では、自社オリジナル製品の研究開発で培った経験をもとに、整形外科領域(骨、疼痛など)及び救急領域を中心に有効な治療方法がない医療ニーズを解決することによって、「健康でいたい」と願う世界中の人びとのQOLの向上を図ることを目指して積極的な研究開発を行っています。
創薬技術や創薬シーズ、創薬テーマについては、世界中の企業や大学とのコラボレーションを積極的に推進することによって、絶えざる革新を日々進めています。
(医療事業)
医療事業では、治療の可能性を広げ、医療水準を向上させる製品、技術、サービスを提供するために、グループ総力をあげた研究開発に取り組んでいます。これまで培ってきた豊富な基礎技術と研究開発の応用により、人工腎臓、血液浄化技術、白血球やウイルスの除去技術をさらに発展させていきます。
(クリティカルケア事業)
クリティカルケア事業では、突然の心停止からの生存率を向上する技術開発を原点とし、新規領域にも研究を広げています。急性心筋梗塞・脳卒中・敗血症・呼吸困難など、予後の悪い数多い緊急疾病に対する新規治療法や技術が求められている昨今、全ての事業にわたり、患者と臨床医に役立つことを共通の使命としています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
「その他」
エンジニアリング分野等に関する研究開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費の金額は
当社グループは、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」を目指して、「コア技術の育成・獲得」「高付加価値化の追求」「マーケットチャネルの活用」の3軸で新事業開発及び研究開発を進めています。
「コア技術の育成・獲得」については、培ってきたコア技術・ノウハウや事業プラットフォームの棚卸しを前期より行い、新事業創出を目的に強化領域を定めました。その領域の競争力を高めるべく、中核を担うプロフェッショナル人財を高度専門職に任命し技術開発力の強化を図りました。当期は、事業基盤を担う各事業部門の固有領域や事務系職種に同制度を拡大展開し、それらの領域を牽引する人財も新たに高度専門職に任命し、新規事業・事業強化への参画・貢献を図っています。進展が著しいIoT、AI、ビッグデータなどのデジタル技術への対応については、前期から研究開発・知的財産領域、製造・生産技術領域に新たな組織を発足させ活用を推進しています。当期はその活動を強化・スピードアップすべく、デジタルイノベーションセンターを立ち上げました。IoT、AI、ビッグデータ分析などを活用(デジタルトランスフォーメーション)し、国内外の生産拠点・関係会社の生産革新を強力に推進します。
「高付加価値化の追求」の具体例としては、「液体を高度に濃縮できる新規の膜システムの開発」や「世界最小の高精度・低消費電力CO2センサの開発」などが挙げられます。
「液体を高度に濃縮できる新規の膜システムの開発」は、当社のコア技術であり、多岐にわたる事業を生み出してきた膜・セパレーション技術を活かしたものです。加熱や加圧プロセスが不要となる新規濃縮技術を実現し、熱に弱い有効成分などの品質を保持したまま高度濃縮する技術が求められている食品・医薬用途などでの早期実用化を目指します。
「世界最小の高精度・低消費電力CO2センサの開発」は、当期に買収したSenseair ABの光路設計の技術と、当社のコア技術である化合物半導体による赤外線小型受発光素子の技術とを組み合わせて実現するものです。この技術により、自動車の車室内、ビルや住居などの居住空間環境の空気質だけでなく、室外環境のモニタリングが可能になります。また、アルコール検知用途など、さまざまな分野への応用展開が期待されます。これらを通じて、環境エネルギー及び自動車などの安全運転支援に貢献できると考えています。
「マーケットチャネルの活用」の取り組みについては、コンセプトカー「AKXY™(アクシー)」を通して、お客様に対し、自動車の安全性や快適性の向上、環境への貢献に資する多様なキーアイテムを提案しています。当期は、当社技術の「進化」をテーマに、車体のさらなる軽量化・低燃費化や安全性・快適性の一層の向上を実現する構造材料やセンシング技術など、8製品を新たに「AKXY™」に搭載し、より多くのニーズに対してご提案ができるようリニューアルしました。このコンセプトは欧州で高く評価され、「ドイツデザインアワードSpecial Mention Category 2019」を受賞しました。
全社に係る研究開発費の金額は、