独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書
2025年6月25日
旭化成株式会社
取 締 役 会 御 中
東京事務所
指定有限責任社員 業務執行社員
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公認会計士
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好 田 健 祐
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指定有限責任社員 業務執行社員
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公認会計士
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五 代 英 紀
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指定有限責任社員 業務執行社員
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公認会計士
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新 田 將 貴
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<連結財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている旭化成株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、旭化成株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
マテリアルセグメントにおける固定資産に関する減損損失の認識の判定 ・【注記事項】(重要な会計上の見積り)1. マテリアルセグメントの固定資産に関する減損
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
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監査上の対応
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旭化成株式会社及び連結子会社(以下、「会社グループ」)は、当連結会計年度において、マテリアルセグメントに関して固定資産695,767百万円(連結総資産に占める割合:17%)を計上している。 会社グループは、マテリアルセグメントにおいて、リチウムイオン電池用セパレータや石油化学関連製品を中心とする環境ソリューション事業、自動車用途向け製品を中心とするモビリティ&インダストリアル事業、電子部品・電子材料、繊維、消費財を中心とするライフイノベーション事業を営んでおり、管理会計上の区分を基礎として製造工程、地域性、投資の意思決定単位等を加味して固定資産をグルーピングしている。これらの資産グループに減損の兆候を識別した場合、主として資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定している。 セパレータ事業や石油化学関連製品を扱う基盤マテリアル事業を含むマテリアルセグメントの業績は、リチウムイオン電池の主たる用途である電気自動車市場の成長遅延や石油化学製品の需給バランスの悪化等に起因して低迷している。このような経営環境の中、マテリアルセグメントにおいて、継続的に営業損益がマイナスとなっている資産グループを構成する事業が存在しており、減損損失の認識の要否の判定をしている。 減損損失の認識の要否の判定に用いられる割引前将来キャッシュ・フローは、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎として見積られているが、当該数値には将来の電気自動車市場の成長やシェアの獲得、石油化学製品の需給バランスの見通しに基づく、販売数量や販売価格、原料価格の見通し等の仮定が含まれている。 これらの仮定は、見積りの不確実性の程度が高く、仮定の選択において、経営者の主観的な判断を伴うことから、当監査法人はマテリアルセグメントにおける固定資産に関する減損損失の認識の判定が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
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当監査法人は、マテリアルセグメントにおける固定資産に関する減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ 営業活動から生ずる損益の見積りの基礎となる将来の販売数量や販売価格、原料価格等の仮定の設定を含む、固定資産の減損損失の認識の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの基礎とされた事業計画(以下、「事業計画」)について、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値との整合性を検討した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を評価するため、事業計画の合理性に関して、主に以下の手続を実施した。 - 事業計画に含まれる販売数量、販売価格、原料価格等の見通しの仮定について、経営者に対して質問するとともに、電気自動車市場の成長や石油化学製品の需給バランスに関する外部情報、顧客からの内示情報、直近の原料価格の実績との整合性を検討した。 - 過年度の事業計画と実績を比較し、未達の場合にはその理由を検討し、当連結会計年度以降の事業計画に反映されているかを確認した。
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Polypore International, LLCにおける固定資産に関する減損損失の認識の判定 ・【注記事項】(重要な会計上の見積り)2. Polypore International, LLCの固定資産に関する減損
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
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監査上の対応
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会社グループは、当連結会計年度において、マテリアルセグメントのセパレータ事業に含まれる連結子会社Polypore International, LLC(以下、「Polypore社」)が保有する固定資産62,152百万円(連結総資産に占める割合:2%)を計上している。 Polypore社は、環境対応車用途や三元系正極を使用したエネルギー貯蔵システム用途の販売低迷により、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなっていることから、Polypore社の資産グループに減損の兆候を識別している。このため、Polypore社は、当連結会計年度において減損損失の認識の要否を判定した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額は帳簿価額を上回っていたことから、減損損失を認識しなかった。 割引前将来キャッシュ・フローの総額は、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎として見積られているが、当該数値には環境対応車及びリン酸鉄リチウム系の正極を使用したエネルギー貯蔵システム向けリチウムイオン電池の需要の獲得等の計画を考慮して見積られた将来の売上予測といった仮定が含まれる。 これらの仮定は見積りの不確実性の程度が高く、仮定の選択において、経営者の主観的な判断を伴うことから、当監査法人はPolypore社における固定資産に関する減損損失の認識の判定が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
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当監査法人は、Polypore社における固定資産に関する減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ 環境対応車及びリン酸鉄リチウム系の正極を使用したエネルギー貯蔵システム向けリチウムイオン電池の需要の獲得等の計画を考慮して見積られた将来の売上予測といった仮定の設定を含む、固定資産の減損損失の認識の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの基礎とされた事業計画(以下、「事業計画」)について、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値との整合性を検討した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を評価するため、当該見積りの基礎とされた事業計画の合理性に関して、主に以下の手続を実施した。 - 事業計画に含まれる売上予測等の仮定について、経営者へ質問するとともに、顧客からの内示情報や第三者機関による環境対応車の需要予測等との整合性を検討した。 - 過年度の事業計画と実績を比較し、未達の場合にはその理由を検討し、当連結会計年度以降の事業計画に反映されているかを確認した。
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Bionova Scientific, LLC.の買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損損失の認識の判定 ・【注記事項】(重要な会計上の見積り)3. Bionova Scientific, LLC.の買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
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監査上の対応
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会社グループは、当連結会計年度において、ヘルスケアセグメントに属するバイオ医薬品製薬企業への製造プロセス開発受託及び医薬品の製造管理及び品質管理の基準に準拠し抗体医薬品を製造する抗体医薬品GMP製造受託を営むBionova Scientific, LLC.(以下、「Bionova社」)が保有する有形固定資産及び同社を企業結合により取得した際に生じたのれんを含む無形固定資産合計52,403百万円(連結総資産に占める割合:1%)を計上している。 会社グループは、Bionova社が営むバイオ医薬品製薬企業への製造プロセス開発受託事業、抗体医薬品GMP製造受託事業及びプラスミド事業を含む会社グループを独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングしている。当該資産グループに減損の兆候を識別した場合、主として資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定する必要がある。 Bionova社は、主にバイオベンチャーへの資金流入の減少による需要の低迷等により、継続して営業損失を計上しており、会社グループは、Bionova社の資産グループに減損の兆候があると判断している。このため、Bionova社は、当連結会計年度末において減損損失の認識の要否を判定した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が資産グループの帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しなかった。 割引前将来キャッシュ・フローの総額は、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値を基礎としており、Bionova社の事業の成長性を考慮して、将来の顧客パイプラインの獲得、バイオ医薬品の開発製造の受託件数の増加及びプラスミド製造開始による売上高の増加等の仮定が含まれている。 これらの仮定は見積りの不確実性の程度が高く、仮定の選択において、経営者の主観的な判断を伴うことから、当監査法人は、Bionova社の買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損損失の認識の判定が、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
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当監査法人は、Bionova社の買収により認識されたのれんを含む固定資産に関する減損損失の認識の判定を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ バイオ医薬品の開発製造の受託件数の増加による売上高の増加等を考慮して見積られた将来の売上予測といった仮定の設定を含む、固定資産の減損損失の認識の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの基礎とされた事業計画(以下、「事業計画」)について、取締役会により承認された会社グループの中期経営計画の前提となった数値との整合性を検討した。 ・ 将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を評価するため、当該見積りの基礎とした事業計画の合理性に関して、主に以下の手続を実施した。 - 事業計画に含まれる売上高の増加等の仮定について、経営者に質問するとともに、当該仮定が将来の顧客パイプラインと整合していることを確認した。 - 将来の顧客パイプラインについて、提案書、顧客とのコミュニケーション記録及び契約書等の関連証憑を閲覧し、顧客獲得率の見積りの妥当性について検討した。 - 将来のバイオ医薬品の開発製造の受託件数の増加及びプラスミド製造開始による売上高の増加等の仮定について、市場の拡大の規模と時期の基礎となった市場予測と第三者機関が公表している市場予測データを比較した。 - 過年度の事業計画と実績を比較し、未達の場合にはその理由を検討し、当連結会計年度以降の事業計画に反映されているかを検討した。
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Calliditas Therapeutics ABの買収により取得した技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積り ・【注記事項】(重要な会計上の見積り) 4.Calliditas Therapeutics ABの買収により取得した技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積り、(企業結合等関係)スウェーデン製薬企業Calliditas Therapeutics ABの株式の取得について
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由
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監査上の対応
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旭化成株式会社(以下、「会社」)は、2024年9月2日の株式公開買付及び2025年2月19日のスクイーズアウトの手続を合わせて、現金167,810百万円を対価とした取引により、Calliditas Therapeutics AB(以下、「Calliditas社」)を完全子会社化している。 会社は本買収を通じて、Calliditas社が保有するIgA腎症治療薬、事業資産及び人財の活用によってポテンシャルを最大限に活かし、グローバルスペシャリティファーマとしての進化を加速することに加えて、米国での腎疾患及び自己免疫疾患における販売体制の拡充により米国市場でのプレゼンスを確立すること、グローバルスペシャリティファーマとしてのプラットフォームを活用し新たな医薬品や開発パイプラインの導入機会を拡充することを期待している。 当該取引は企業結合に関する会計基準上の取得に該当し、取得原価について、受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点で識別可能なもの(識別可能資産・負債)に対して、その企業結合日における時価を基礎として配分し、取得原価と取得原価の配分額との差額はのれんとして会計処理する必要がある。なお、無形資産については観察可能な市場価格がなく、経営者が合理的に算定した価額に基づくため、経営者の見積り及び判断に大きく影響を受ける。 当連結会計年度における取得原価の配分手続の結果、会社は、企業結合日時点において存在していた事実及び状況に基づき、技術関連資産(166,242百万円)を識別した。会社は、技術関連資産の時価を超過収益法、すなわち、技術から得られると見積られる将来キャッシュ・フローを踏まえた超過収益の現在価値によって算定しているが、将来キャッシュ・フローに含まれる競合品及び後発品参入リスクを踏まえた将来の販売数量並びに加重平均資本コストを踏まえて決定される技術関連資産に対する割引率の影響を受ける。 識別可能資産・負債の企業結合日の時価の算定において、将来キャッシュ・フローに含まれる競合品及び後発品参入リスクを踏まえた将来の販売数量並びに技術関連資産に対する割引率の決定は見積りの不確実性の程度が高く、経営者の主観的な判断を伴う。加えて、当該企業結合取引により識別された技術関連資産の重要性が高いことから、当監査法人は、Calliditas社の買収により取得した技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積りについて、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。
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当監査法人は、Calliditas社の買収により取得した技術関連資産の企業結合日時点における時価の見積りの検討にあたり、主として以下の監査手続を実施した。 ・ 取引の概要や目的の理解を行うため、経営者に質問するとともに、取締役会議事録、主要な契約書等、デュー・デリジェンス報告書及び株式価値算定資料の閲覧を行った。 ・ 将来キャッシュ・フローの基礎に含まれる競合品及び後発品参入リスクを踏まえた将来の販売数量並びに技術資産に対する割引率の決定を含む、取得原価の配分に関連する会社の内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。 ・ Calliditas社の取得に関連して行われた技術関連資産の企業結合日における時価評価に係るモデルが目的に照らして適切であるかどうか、利用された仮定が合理的であるか、利用された基礎データの信頼性を検討した。これらの検討にあたっては、監査人の利用する評価の専門家を関与させている。なお、実施した具体的な手続は以下を含む。 - 技術関連資産の企業結合日における時価評価に係るモデル及び技術関連資産に対する割引率の決定方法を理解するために、経営者への質問及び評価資料の閲覧を実施した。 - Calliditas社の事業計画に基づく将来キャッシュ・フローに含まれる、競合品及び後発品参入リスクを踏まえた将来の販売数量の妥当性について、主力製品の特許権の有効期間、過去の販売実績及び外部機関が公表した市場成長予測等を踏まえて検討した。 - 技術関連資産に対する割引率が、加重平均資本コストを踏まえて、合理的に決定されているかを確認した。
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その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、旭化成株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、旭化成株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>
当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
(注) 1. 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。 2. XBRLデータは監査の対象には含まれていません。
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