第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.グループ戦略課題

新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、その終息時期が不透明ななか、国内外経済への深刻な影響は避けられず、当社グループを取り巻く経営環境も大変厳しくなるものと見込んでいます。

当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、一部の自動車メーカー等で生産調整・停止が行われたことで、自動車部材に使用される当社の樹脂添加剤をはじめとする化学製品にも既に影響が及んでおり、今後も不透明な状況です。IT・デジタル家電分野は、世界的な消費の冷え込みが懸念されるものの、5G通信のサービス開始やテレワーク等の加速により中長期的な成長が続くと見込んでいます。

食品分野は、パンや菓子等の需要は底堅く推移すると予想されるものの、個人消費の落ち込みやインバウンド消費の回復に相当の時間を要することから、厳しい状況で推移すると見込んでいます。

このような状況のなか、当社グループは3カ年の中期経営計画『BEYOND 3000』の最終年度を迎え、3つの基本戦略「3本柱の規模拡大」「新規領域への進出」「経営基盤の強化」のもと、事業環境の潮目の変化を的確に捉え、掲げた目標の達成を目指してまいります。市場環境の変化や社会ニーズを先読みできるよう、サプライチェーンの全体像を把握し、強固なプラットフォームのもとで技術優位な製品をグローバルに提供することで、さらなる成長を続けてまいります。

 

2.中長期的な会社の経営戦略

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。

(2) 目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、中長期的な目指すべき方向性を示した2025年のありたい姿『ADEKA VISION 2025』を掲げ、現在の事業基盤である「化学品と食品」のみならず幅広い事業を世界中で展開し、メーカーとして世界の技術をリードしつつ、本業を通じて社会に貢献する「先端技術で明日の価値を創造し豊かなくらしに貢献するグローバル企業」を目指します。

中期経営計画『BEYOND 3000』では、最終年度(2020年度)に、『連結売上高3,000億円超(オーガニックグロース)、営業利益率 10%、ROE 10%』を目指し、3つの基本戦略のもと、「経営管理:グループ経営管理の強化」「グローバル:グローバリゼーションの拡大とローカライゼーションの加速」「技術:イノベーションの創出と競争力の強化」「人財:グローバル人財、リーダー人財の拡充」「企業価値:CSRを推進し社会とともに発展」からなる5つの施策を実行してまいります。事業領域の拡大と新規事業の育成を目的としたM&Aグロースにつきましても、積極的に進めてまいります。ADEKAグループ一丸となって経営戦略を着実に実行し、株主をはじめとするステークホルダーの皆様の信頼に応える企業を目指していきます。

 

〔中期経営計画 3つの基本戦略〕
① 3本柱の規模拡大

『樹脂添加剤』『化学品』『食品』を事業の3本柱として、事業毎に定める戦略製品の販売をグローバルで拡大する。

② 新規領域への進出

ターゲットとする『ライフサイエンス』『環境』『エネルギー』分野において、ビジネスモデルを構築し、事業化を推進する。

③ 経営基盤の強化

CSRを推進し、社会への貢献と社会からの信頼を高める。

ADEKAグループの相互連携を強化し、総合力を発揮する。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当連結グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものです。

なお、ここに記載しました事項は、当連結会計年度末現在において、当連結グループがリスクと判断したものであり、当連結グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

1.経済状況等

グローバル事業展開の拡大を進めている当連結グループは、海外に多数の生産・販売拠点を有しており、当連結グループが製品を販売する国、または地域の経済状況、地政学的リスク、天候等の影響を受けます。

また、当社の提供している製品の多くが、幅広い業界で産業用中間素材として使用される製品であることから、当社の関連需要業界における景気や市場動向、公的規制等による需要の減少と、それに伴う取引先の倒産による貸倒れリスクやたな卸資産の長在化リスク等、直接的、間接的な影響を受けます。

 

 2.新型コロナウイルスの影響について

現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延が発生し、長期化が懸念されており、当連結グループの業績や事業継続に影響を受ける可能性があります。

当社の提供している製品の多くが、幅広い業界で産業用中間素材として使用される製品であることから、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う景気後退により、当社関連需要業界の需要が減少すれば、売上減少等の影響を受けます。

また、当連結グループでは、原材料の購買ルートの複数化、適正数量の製品在庫の備蓄や物流合理化等、事業継続計画を推進していますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外のサプライヤーからの原材料の供給停止や、航空規制・輸入貨物規制等による物流停滞等が発生した場合、製品の生産や供給に、直接的、間接的な影響を受ける可能性があります。

 

3.原材料の価格変動について

当連結グループの事業で用いる主要原材料である石油化学原料及び油脂原料の購入価格は、国内・国外の市況、為替相場の変動の影響を受けます。

業績に及ぼす影響は、販売価格への転嫁、為替リスクヘッジ等により極力回避していますが、予期せぬ異常な変動が生じた場合には、販売価格への転嫁の時間的ギャップ等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 産油国の地政学的リスクにより、投機資金が大量に流入若しくは流出すると、原油価格、ナフサ価格及び天然ガス価格が影響を受け、石油化学原料にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 油糧作物、穀物の価格は天候により大きな影響を受けますが、温暖化、大規模森林火災の発生等、異常気象(旱魃・豪雨等)が頻発しています。また、パーム油や大豆油等の原料価格は生産国の地政学的リスク(米中貿易摩擦等)、中国・インドといった大口需要国の動向による影響を受けます。昨今は地球温暖化、人口増加等により動きも激しくなりつつあります。
③ 新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の冷え込み、ロックダウン措置等による稼働停止、物流混乱等により化学品・食品を問わず原料の安定確保のリスク、それに伴う価格変動のリスクが高まっております。

 

4.為替の変動について

当連結グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

5.新製品開発

当連結グループは、新製品開発力の強化に注力しており、成長事業として位置づけている情報・電子化学品事業は、半導体やデジタル関連製品等に用いられる革新的な新材料の占める割合が多くなっています。

当連結グループは、継続して当社独自の技術優位のある新製品を開発し提供できると考えていますが、関連需要業界は、技術的進歩、変化が著しく、それに伴うメーカー間の技術競争が激しくなっています。また、近年は、製造技術の進歩により、新興国をはじめとする海外のコンペティターによる追随の速度が速まっています。

従って、次のようなリスクが想定されます。

① ユーザーとの共同研究開発により新製品開発を進めるケースが増えており、共同研究開発のパートナーである当社ユーザーの最終製品の技術が業界で優位となれば、当社製品の売上も増大しますが、逆の場合には、当社製品の需要が実現しない可能性もあります。
② 技術の急速な進歩により、当社製品・技術の一部が陳腐化する可能性があり、また、技術の急速な普及や国内外のコンペティターの新規参入に伴う価格競争の激化により、製品価格が想定以上に下落する可能性があります。
③ 新製品の開発や生産、販売を行うにあたり、他者の知的財産権を侵害することがないよう、事前に調査しています。しかしながら見解の相違などにより、他者に知的財産権侵害を主張される可能性が否定できません。その場合、当該製品を販売できなくなる可能性や、損害賠償責任や訴訟費用が発生する可能性があります。

上記のリスクをはじめとして、当連結グループが、業界と市場の変化を十分に予測できず、顧客のニーズにあった魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 昨今の新型コロナウイルス感染症による新製品開発への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕著化しておりません。しかしながら、今後の世界状況や政府方針により、影響する可能性が考えられます。
 これらリスクが顕在化する時期や程度は、現時点で想定しておりません。

 

6.製品の欠陥

当連結グループは、人体や環境への安全性に配慮して、製品の品質規格と安全審査基準を定めており、新製品を開発・販売する際に厳しくチェックしています。また、化学品ではSDSを作成し、食品では製品規格書により、安全な使用と取扱いのための情報提供を行っています。加えて、工場は、ISO9001、HACCP、ISO22000、FSSC22000、トレーサビリティ・システム等の品質管理システムを導入し、製造を行っています。

しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

 

7.災害・事故等のトラブル

当連結グループを取り巻くステークホルダーに安全・安心を提供すべく、「4つの安全(労働安全、環境安全、品質安全、設備安全)」活動を推進しており、ISO9001、ISO14001、HACCP、ISO22000、FSSC22000、ISO45001、OHSAS18001等の国際標準に基づくマネジメントシステムを導入し、運営しています。近年、化学品生産工場での爆発や火災事故が頻発しており、当社では2014年度より、保安力の向上活動に注力し、生産工場における事故災害の予防を図っています。また、災害、パンデミック等のインシデントによる予期せぬ事業停止に備えた、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の構築に取り組み、2010年に国内の化学工業として初めて、当社化学品の一部製品の製造について、BCMS規格 BS25999-2の認証を取得しました。さらに、ISO22301:2012を取得、2015年に適用範囲に物流関係会社を加え、顧客への供給体制を強化しました。

国内外の食品企業にて異物の混入事件が発生していることを受け、2014年度は食品生産工場を中心にフード・ディフェンス活動を推進し、予防力を高めることに注力しました。2011年度の鹿島西製造所に続き、2014年度は鹿島東工場と明石工場で、2015年度からは国内外の関連会社工場で食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000の認証取得を順次拡大して来ました。保安力向上やフード・ディフェンス活動は当社の重点テーマとし、重大なリスクを低減するよう努めてまいります。

しかし、当連結グループまたはサプライチェーンにおいて以下のトラブルが発生した場合には、工場停止または稼動率低下による供給不能または供給困難、製品の品質・環境・地域住民や従業員の安全への影響が発生する可能性があります。

① 無差別テロによる食品への異物・毒物混入、化学品の危険物漏洩
② 天災による工場破損、製品在庫の滅失・毀損
③ 爆発・火災・人為的ミスによる事故災害
④ 集団食中毒や伝染病・感染症の蔓延による操業停止
⑤ コンビナート関連企業、公共機関の事故災害による影響
⑥ 単一工場での工場トラブルによる生産停止
⑦ 原料サプライヤー、外注先、OEM依頼先における工場トラブル等による製品停止
⑧ 物流事故

上記のリスクの回避策として、パトロール、入出管理の強化、安全教育と技術継承、設備点検とメンテナンス、緊急時対応訓練、海外拠点、OEMを含めた併産工場の確保及び取引先事業者への監督指導の強化に努めています。

 

 8.情報漏洩、セキュリティ・インシデント

当連結グループは、中期経営計画「BEYOND 3000」の施策の1つとして、研究開発の強化・生産技術の深化によるイノベーションの創出と競争力の強化を目指しています。技術立地なハイテクメーカーとして、技術情報等の営業秘密の保護は不可欠であり、また、各国における個人情報保護法制の強化に伴い、個人情報保護対策が重要性を増しています。当連結グループでは、情報セキュリティ・ポリシー及びセキュリティ関連規程に基づき、ハッキングやコンピューターウイルス対策や従業員教育等、セキュリティ強化対策を進めていますが、情報漏えいやセキュリティ事故等が発生した場合、当局による行政処分・制裁、利害関係者からの損害賠償請求による経済的損失や、当連結グループの競争力やレピュテーションの低下につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.システムトラブル

(1) ソフトウエアの更新・改良に伴うトラブル

多様化する業務に対応すること等を目的として、ソフトウエアの更新・改良を行う場合があります。ソフトウエアの更新・改良にあたっては、システム保守体制等の万全を期していますが、更新・改良に伴う予期せぬ障害等によりシステムトラブルが発生した場合には、当連結グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 災害等によるシステムトラブル

データセンター等に設置しているシステムが災害等により稼働できなくなった場合に備え、遠隔地へのデータ複製のほかバックアップ用回線等の整備を行っていますが、予期せぬ災害等によりシステムトラブルが発生した場合には、当連結グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.公的規制

事業を取り巻く様々な政府規制、法規制に対し、コンプライアンス推進委員会その他の各種委員会の活動を通じて、コンプライアンス強化に努めています。特に近年は欧州REACH規則をはじめとして世界各国で化学物質規制法が大幅に改定され始めているため、情報収集力の強化と法規制対応に注力しています。規制に関する重大な変更がなされた場合には、当連結グループの活動が制限され、あるいはコストが増加し、当連結グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

 当期における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化による中国経済の減速に加え、第4四半期には、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済活動への影響が深刻化しました。国内経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景として緩やかな回復基調で推移しましたが、消費税増税や多発した大雨被害により個人消費が低迷し、さらには新型コロナウイルス感染症の流行により、今後の先行きに不透明感や停滞感が増してきました。
 当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、景気減速の影響などで新車の買い控えが続き、世界的に販売台数が減少しました。IT・デジタル家電分野は、スマートフォンの販売低迷に加え、液晶ディスプレイ関連の一部で生産調整が継続し、厳しい状況で推移しました。製パン・製菓関連分野は、消費者の節約志向が根強く残る一方で、健康志向の高まりを背景に産地や原材料にこだわった商品の需要は拡大しました。また、業界では食品ロス削減や人手不足等への対策が強化されました。
 このような状況のなか、当社グループは、中期経営計画『BEYOND 3000』の3つの基本戦略「3本柱の規模拡大(樹脂添加剤、化学品、食品)」「新規領域への進出」「経営基盤の強化」に基づき、中長期的な成長を見据えた施策を着々と推し進めました。化学品では、中国の艾迪科精細化工(浙江)有限公司で樹脂添加剤などの化学製品を製造する新工場が完成し、本格稼働に向けて準備を進めています。また、三重工場でポリオレフィン用高機能添加剤、鹿島工場とADEKA KOREA CORP.で高誘電材料、相馬工場で潤滑油添加剤、千葉工場で水系ウレタンの増強設備がそれぞれ稼働し、グローバル市場でのさらなる拡販を図っています。食品では、中国の艾迪科食品(常熟)有限公司で加工油脂の設備を増強するとともに、販売拠点として広州分公司を新設し、中国での事業のさらなる拡大を進めています。環境・エネルギー分野では、SPAN及びグラフェンのパイロットプラントを相馬工場に設置し、次世代二次電池向け等にサンプル出荷を開始しました。

 なお、当期に海外連結子会社4社(台湾艾迪科精密化学股份有限公司、ADEKA(ASIA)PTE.LTD.、ADEKA Europe GmbH、ADEKA(SINGAPORE)PTE.LTD.)の決算日を12月31日から3月31日に変更しました。これに伴い、当該4社の会計期間は2019年1月1日から2020年3月31日までの15カ月間となっています。この影響により、売上高は32億18百万円、営業利益は2億14百万円それぞれ増加しています。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況の分析

① 財政状態の状況
(資 産)

当連結会計年度の総資産は前連結会計年度に比べ、50億97百万円(前連結会計年度比△1.2%)減少4,094億52百万円となりました。

主な要因は、以下の通りです。

流動資産は前連結会計年度に比べ、54億52百万円(同比△2.3%)減少2,276億35百万円となりました。

これは、主に受取手形及び売掛金の減少によるものです。

固定資産は前連結会計年度に比べ、3億54百万円(同比+0.2%)増加1,818億16百万円となりました。

有形固定資産は前連結会計年度に比べ、45億57百万円(同比+4.2%)増加1,132億30百万円となりました。

これは、主に機械装置及び運搬具によるものです。

無形固定資産は前連結会計年度に比べ、12億26百万円(同比△7.0%)減少163億70百万円となりました。

投資その他の資産は前連結会計年度に比べ、29億76百万円(同比△5.4%)減少522億16百万円となりました。

 

(負 債)

当連結会計年度の負債は前連結会計年度に比べ、112億31百万円(同比△6.6%)減少1,588億18百万円となりました。

流動負債は前連結会計年度に比べ、144億52百万円(同比△13.5%)減少927億4百万円となりました。

これは、主に支払手形及び買掛金の減少によるものです。

固定負債は前連結会計年度に比べ、32億20百万円(同比+5.1%)増加661億14百万円となりました。

有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  ⑤ 連結附属明細表」に記載しています。

 

(純資産)

当連結会計年度の純資産は前連結会計年度に比べ、61億33百万円(同比+2.5%)増加2,506億34百万円となりました。

これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の増加による利益剰余金の増加によるものです。

その結果、自己資本比率は前連結会計年度49.4%に比べ、2.0ポイント増加の51.4%となりました。

 

② 経営成績の状況
(売上高及び営業利益)

海外連結子会社4社(台湾艾迪科精密化学股份有限公司、ADEKA(ASIA)PTE.LTD.、ADEKA Europe GmbH、ADEKA(SINGAPORE)PTE.LTD.)の決算日を12月31日から3月31日に変更したことに伴い、当該4社の会計期間は2019年1月1日から2020年3月31日までの15カ月間となっています。

売上高は前連結会計年度に比べ、47億76百万円(前連結会計年度比+1.6%)増収3,041億31百万円となりました。

売上原価は前連結会計年度に比べ、2億52百万円(同比△0.1%)減少し、2,245億75百万円となりました。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、91億49百万円(同比+19.1%)増加し、570億38百万円となりました。

営業利益は前連結会計年度に比べ、41億21百万円(同比△15.5%)減益225億17百万円となりました。

(営業外損益及び経常利益)

営業外収益から営業外費用を控除した営業外損益は、前連結会計年度の損失(純額)35百万円に比べ、5億5百万円(同比+1,407.5%)費用額が増加し、5億40百万円の損失となりました。

これは、支払利息及び為替差損の増加によるものです。

経常利益は前連結会計年度に比べ、46億26百万円(同比△17.4%)減益219億76百万円となりました。

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

特別利益から特別損失を控除した特別損益は前連結会計年度の損失(純額)63百万円に比べ、10億34百万円利益額が増加し、9億71百万円の利益となりました。

これは、主に投資有価証券売却益の発生によるものです。

この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、35億91百万円(同比△13.5%)減益229億47百万円となりました。

(法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益)

法人税等は前連結会計年度に比べ、14億93百万円(同比△20.9%)減少し、56億46百万円となりました。

非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、2億58百万円(同比△11.0%)減少し、20億84百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記要因の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ、18億39百万円(同比△10.8%)減益152億16百万円となりました。

 

 

③ 報告セグメントの状況

セグメントの状況は、以下の通りです。

(化学品事業)
イ.樹脂添加剤

 ポリオレフィン用添加剤は、自動車部材の軽量化等に寄与する核剤や食品容器等に使用される透明化剤の販売が米国を中心に好調に推移しましたが、汎用酸化防止剤は価格競争の激化により海外を中心に販売が低調でした。
 家電筐体向けエンジニアリングプラスチック用難燃剤は、安定操業による供給体制が評価され、中国、欧州等での販売が期を通じて好調に推移しました。
 可塑剤・塩ビ用安定剤は、長引く自動車市場の低迷による影響などから、米国、中国を中心に需給バランスが悪化し、販売が低調に推移しました。
 樹脂添加剤全体では、販売数量の減少や為替の影響等により、前期に比べ減収減益となりました。

ロ.情報・電子化学品

 情報化学品は、中国等での液晶パネル減産の影響により、光硬化樹脂や重合開始剤の販売が前期を下回りました。一方で、半導体リソグラフィ用途で使用される光酸発生剤の販売は好調に推移しました。
 電子材料は、エッチング薬液の販売において液晶パネル向けの新製品が国内を中心に伸長しましたが、プリント基板向けは低調でした。半導体材料では、NANDフラッシュメモリ向け製品が第3四半期以降に持ち直したものの、期を通じた販売が前期を下回りました。また、DRAM向け製品においても高誘電材料の新製品の出荷を開始しましたが、DRAM向け既存製品の販売単価低下により、低調に推移しました。
 情報・電子化学品全体では、販売単価の低下や為替の影響等により、前期に比べ減収減益となりました。

ハ.機能化学品

 界面化学品は、化粧品向け特殊界面活性剤や塗料・粘接着剤向け反応性乳化剤の販売が海外を中心に好調に推移しました。また、自動車のエンジンオイルに使用される潤滑油添加剤の販売が堅調でした。
 機能性樹脂は、電子機器の接着用途でエポキシ樹脂関連製品の販売が好調に推移しました。一方で、塗料、コーティング等に使用される水系樹脂の販売は苦戦しました。
 工業用薬剤は、日用品用途で使用されるプロピレングリコールの販売は底堅く推移しましたが、市況低迷の影響を受けた過酸化製品の販売が前期を大きく下回りました。
 機能化学品全体では、積極的な設備投資に伴う固定費の増加等もあり、前期に比べ減収減益となりました。

以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ166億7百万円(前連結会計年度比△9.2%)減収1,641億76百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ40億64百万円(同△18.8%)減益175億30百万円となりました。

 

(食品事業)

 国内では、製パン業界での菓子パン類の販売不振の影響を受け、練り込み用マーガリンやショートニング類等の販売が低調に推移しました。一方で、食品ロスの削減と省力化に貢献する機能性マーガリン、みずみずしさを保ちおいしさの向上に寄与するホイップクリームの販売が大きく伸長しました。
 海外では、中国、東南アジアで製パン、製菓向けにマーガリン、ショートニング類の販売が好調に推移しました。また、東南アジアでフラワーペーストの販売が堅調に推移しました。
 食品事業全体では、高付加価値品の拡販とコスト削減に努めた結果、前期に比べ減収増益となりました。

以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ7億46百万円(同比△1.0%)減収710億6百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ3億13百万円(同比+24.9%)増益15億71百万円となりました。

 

(ライフサイエンス事業)

 当セグメントは、2018年9月末に日本農薬株式会社及びその子会社を連結子会社化したことにより新設したセグメントであり、前期比につきましては、前連結会計年度(2018年10月1日から2019年3月31日までの6カ月間)と当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日までの12カ月間)の業績を比較し、算出しています。
 当事業の主力である農薬は、国内では天候不順による需要減を要因とする在庫調整の影響等により、販売が低調に推移しました。海外ではインド、欧州、北米などで販売が堅調でしたが、中南米や東南アジアで在庫調整の影響等により、販売が低調でした。
 医薬品は、足白癬分野で外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が低調に推移しました。

以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ259億84百万円(同比+75.5%)増収604億3百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ7億4百万円(同比△21.2%)減益26億20百万円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末の資金残高に比べ43億83百万円(前連結会計年度末比+7.8%)増加し、608億88百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金収入は、前連結会計年度に比べ90億67百万円(同比+49.5%)増加し、273億98百万円となりました。

これは主に、売上債権の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ30億30百万円(同比△16.6%)減少し、152億28百万円となりました。

これは主に、有価証券の取得による支出の減少によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金収入は、前連結会計年度に比べ164億92百万円減少し、74億96百万円の支出となりました。

これは主に、社債の発行による収入の減少によるものです。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2016年

3月期

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

自己資本比率(%)

60.5

62.0

63.0

49.4

51.4

時価ベースの自己資本比率(%)

62.8

57.4

63.2

40.3

34.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.3

1.4

1.4

3.3

2.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

51.6

59.7

56.0

27.2

27.2

 

(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しています。

営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の支払額を使用しています。

4.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係るキャッシュ・フロー関連指標の推移については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっています。

 

 

⑤ 生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

 

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

化学品事業

102,789

△9.1

食品事業

49,510

△3.4

ライフサイエンス事業

34,408

75.0

報告セグメント計

186,709

1.5

その他

合計

186,709

1.5

 

(注) 1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

2.その他については、生産は行っていません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

4. 海外連結子会社4社の決算日を当期より12月31日から3月31日に変更しています。この変更に伴い、当該海外連結子会社の生産実績は、2019年1月1日から2020年3月31日までの15ヶ月間の生産実績を反映しています。

 

ロ.受注実績

その他の一部で受注生産を行っていますが、金額僅少のため省略しています。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。

 

 

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

化学品事業

164,176

△9.2

食品事業

71,006

△1.0

ライフサイエンス事業

60,403

75.5

報告セグメント計

295,585

3.0

その他

8,545

△31.1

合計

304,131

1.6

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。 

4. 海外連結子会社4社の決算日を当期より12月31日から3月31日に変更しています。この変更に伴い、当該海外連結子会社の販売実績は、2019年1月1日から2020年3月31日までの15ヶ月間の業績を反映しています。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当連結グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債、税金費用等の見積りはそれぞれ適正であると判断しています。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に係る会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績に重要な影響を与える要因について

当連結グループを取り巻く事業環境は、情報・電子化学品をはじめ世代交代が激しい分野が多く、研究開発力が大きなポイントとなります。研究開発について従来から積極的に経営資源を投入し、技術優位な製品の開発に注力しています。

また、石油化学原料、原料油脂を多く使用しており、原料価格相場の変動や為替相場の変動等の影響を受けますが、コストダウンや製品販売価格の改定により極力吸収するようにしています。

ロ.次期の見通しについて

 次期の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、その終息時期が不透明ななか、国内外経済への深刻な影響は避けられず、当社グループを取り巻く経営環境も大変厳しくなるものと見込んでいます。
 当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、一部の自動車メーカー等で生産調整・停止が行われたことで、自動車部材に使用される当社の樹脂添加剤をはじめとする化学製品にも既に影響が及んでおり、今後も不透明な状況です。IT・デジタル家電分野は、世界的な消費の冷え込みが懸念されるものの、5G通信のサービス開始やテレワーク等の加速により中長期的な成長が続くと見込んでいます。食品分野は、パンや菓子等の需要は底堅く推移すると予想されるものの、個人消費の落ち込みやインバウンド消費の回復に相当の時間を要することから、厳しい状況で推移すると見込んでいます。
 このような状況のなか、当社グループは3カ年の中期経営計画『BEYOND 3000』の最終年度を迎え、基本戦略として掲げる「3本柱の規模拡大」「新規領域への進出」「経営基盤の強化」のもと、事業環境の潮目の変化を的確に捉え、掲げた目標の達成を目指してまいります。市場環境の変化や社会ニーズを先読みできるよう、サプライチェーンの全体像を把握し、強固なプラットフォームのもとで技術優位な製品をグローバルに提供することで、さらなる成長を続けてまいります。

ハ.経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。

当社グループは、中長期的な目指すべき方向性を示した2025年のありたい姿『ADEKA VISION 2025』を掲げ、現在の事業基盤である「化学品と食品」のみならず幅広い事業を世界中で展開し、メーカーとして世界の技術をリードしつつ、本業を通じて社会に貢献する「先端技術で明日の価値を創造し豊かなくらしに貢献するグローバル企業」を目指します。

中期経営計画『BEYOND 3000』では、最終年度(2020年度)に、『連結売上高3,000億円超(オーガニックグロース)、営業利益率 10%、ROE 10%』を目指し、3つの基本戦略のもと、「経営管理:グループ経営管理の強化」「グローバル:グローバリゼーションの拡大とローカライゼーションの加速」「技術:イノベーションの創出と競争力の強化」「人財:グローバル人財、リーダー人財の拡充」「企業価値:CSRを推進し社会とともに発展」からなる5つの施策を実行してまいります。事業領域の拡大と新規事業の育成を目的としたM&Aグロースにつきましても、積極的に進めてまいります。ADEKAグループ一丸となって経営戦略を着実に実行し、株主をはじめとするステークホルダーの皆様の信頼に応える企業を目指していきます。

 

〔中期経営計画3つの基本戦略〕

・3本柱の規模拡大

『樹脂添加剤』『化学品』『食品』を事業の3本柱として、事業毎に定める戦略製品の販売をグローバルで拡大する。

・新規領域への進出

ターゲットとする『ライフサイエンス』『環境』『エネルギー』分野において、ビジネスモデルを構築し、事業化を推進する。

・経営基盤の強化

CSRを推進し、社会への貢献と社会からの信頼を高める。

ADEKAグループの相互連携を強化し、総合力を発揮する。

また、当社グループは、コーポレートガバナンスの強化、コンプライアンスの推進、震災・災害を踏まえたリスクマネジメント体制の再構築・強化、環境保全・品質安全の徹底等を通して、企業の社会的責任を果たしていくとともにステークホルダーの皆様からの期待に応え、本業を通じた社会貢献を基本としたCSR経営に取り組んでまいります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

資金調達と流動性マネジメント

当連結グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。当連結グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入及び社債により調達しています。

当連結会計年度末現在において、当連結グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の総額は608億88百万円となっています。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

会社名

契約締結先

契約年月日

内容

技術料

契約期間

当社

AMFINE CHEMICAL
CORP.(アメリカ)

1994年

4月1日

樹脂添加剤の製造・
販売追加技術供与

頭金及び販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

ADEKA POLYMER
ADDITIVES EUROPE
SAS(フランス)

2002年

11月1日

樹脂添加剤粉砕の
製造・販売技術供与

販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

ADEKA KOREA CORP.

(韓国)

2003年

10月1日

樹脂添加剤の製造・
販売追加技術供与

販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

ADEKA FINE CHEMICAL
(THAILAND)CO.,LTD.

(タイ)

2004年

6月15日

安定剤の製造・販売
技術供与

頭金・販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

台湾艾迪科精密化学股份有限公司(台湾)

2004年

12月1日

情報化学品の製造・
販売技術供与

頭金・販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

艾迪科食品(常熟)
有限公司(中国)

2004年

7月1日

マーガリン、ショートニング等の製造・販売技術供与

頭金・販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

ADEKA KOREA CORP.

(韓国)

2006年

7月1日

誘電材料の製造・
販売技術供与

販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間(継続中)

艾迪科精細化工
(上海)有限公司

(中国)

2013年

1月1日

精密化学品の製造・
販売技術供与

販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

販売開始日から
10年間

艾迪科精細化工
(常熟)有限公司
(中国)

2015年

4月1日

酸化防止剤、エポキシ化大豆油、難燃剤の製造・販売技術供与

販売金額に対し一定率のロイヤリティー(収入)

2015年4月1日
から6年間

日本農薬㈱

全国農業協同組合連合会

2003年

12月11日

農薬製品の売買に関する売買基本契約(更改)

2003年10月1日から1年間とし、文書による別段の意思表示なき時は1年ごとの自動延長(継続中)

全国農業協同組合連合会

2019年

11月29日

売買基本契約に基づく2019農薬年度の売買に関する契約

2019年12月1日から1年間

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。

国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点における研究開発のローカライゼーションも推進しており、国内の研究所から人的支援や技術支援を行っています。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、14,398百万円です。

 

(1) 化学品事業

 当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも務めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。

主な成果は以下の通りです。

① 樹脂添加剤

新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、海洋プラスチック問題で注目されるバイオプラスチックや、廃プラスチック再利用時の実用性向上など、製造側には新たな対策が求められています。当社は以前から、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献しています。

ポリオレフィン製自動車部材の力学物性を高めることで、軽量化による燃費向上および二酸化炭素削減に寄与する高性能核剤を開発しました。さらに、樹脂のリサイクル時の劣化抑制による用途拡大を可能にする添加剤パッケージを開発しました。また、植物由来の原料を使用した可塑剤や、鉛、カドミウムといった有害重金属を使用しないポリ塩化ビニル用安定剤などの環境配慮型製品の開発も推進しています。

② 情報・電子化学品

 5G通信の商用化エリア拡大に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の拡大、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大が進んでいます。また、スマートフォンやプリント配線基板では、中国企業の台頭が目覚ましく、中国内での部材の地産地消が進んでいます。このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も鑑み、研究開発体制を整えています。

ADEKA KOREAの開発拠点では、半導体メモリ用高誘電成膜材料の評価設備を増設し、現地ユーザー向け開発体制を強化しました。タッチパネル張り合わせなどでディスプレイ用パネル製造において採用が加速しているUV-LED(紫外線発光ダイオード)光源に対応する光重合開始剤やUV硬化樹脂を開発しました。

③ 機能化学品

 持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の発効により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みがますます大きな機会をもたらすと考えられます。当社では以前から、自動車のエンジンオイルへ添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料といった環境配慮型製品の開発を推進しています。

大気汚染の原因となるSOxの規制強化に対応した各種船舶用燃料添加剤を開発しました。スラッジ分散剤「アデカエコロイヤルSD-20」、耐摩耗剤「同AW-37F」、防カビ剤「同AF-50」のユーザーでの評価・採用が進んでいます。化粧品原料では、サスティナビリティーへの対応や自然派化粧品のニーズが高まっていることを受け、使用原料の天然由来化や持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の認証取得に取り組みました。水系コーティング材料の海外、特に中国での市場開発を加速するため、ADEKA(中国)投資有限公司上海創新中心(イノベーションセンター)を設置しました。

 

 

子会社であるADEKAクリーンエイド㈱では、広く殺菌・除菌・防腐成分として用いられているDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロリド)を一定濃度以上含むものが、2019年7月より劇物指定されたことを受け、DDACを配合していた洗浄剤や除菌剤について性能低下を招くことなく非配合品への代替を実施しました。ついては、DDAC配合の他社製品を使用する顧客へ、非劇物の当社製品を紹介することで採用に繋げています。
 また、食品工場向けには、ビール製造設備用の洗浄剤 アデカサイクルBD35を上市しました。本製品に使用したキレート剤(金属イオン封鎖剤)は、他社製品よりもスケール汚れの溶解力に優れ、かつ好気性微生物処理において速やかに生分解されます。そのため、排水処理設備を持つビール工場においては、排水放流基準値の一つであるCOD値(COD:化学的酸素要求量で、排水放流基準値の一つ)の低減に貢献できる洗浄剤となります。

 

子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、環境対応型湿式伸線剤の開発を加速させるため、外部連携先の探索を開始しました。現在、東京理科大学トライボロジーセンターと共同研究を前提に協議しています。また、塑性加工時の応力シミュレーションが可能な協業先も探索中です。

粉末冶金用潤滑剤では、カナダの鉄粉メーカー向けとして、MEL-03の改良品試作品、2品を設定しました。本試作品は、キャラクターの異なる設計を行い、ユーザーの要望に広く応えるものと期待しています。早期の評価を経て、上市を目指してまいります。

 

(2) 食品事業

当社食品部門では、市場環境変化に伴う課題を捉え、ユーザーのヒット商品創出に貢献できる新製品開発を行っています。また海外関係会社でも中国や東南アジア諸国など、各国の嗜好性や流行に合致した製品開発を進めています。

① 加工油脂

自然なバター風味と使いやすさを特徴としたコンパウンドタイプの練込油脂「EZマーガリンCP」、折込油脂「オリンピアクレール(スライス)」を上市しました。香料に頼らず作り上げた自然なバター風味によって、低コンパウンド率ながらベーカリー製品に豊かなバター風味を付与できる点に加えて、幅広い温度で使える作業性の良さがお客様の好評をいただいています。

② 加工食品

 高品質なフローズンチルドデザート作りを可能にするホイップクリーム「ブレンドホイップFC」を上市しました。人手不足による製造効率化、食品ロス削減、販売チャネル拡大(ネット販売や海外輸出)等の課題によって拡大するフローズンチルドデザートのニーズに応える製品としてお客様の好評をいただいています。

濃厚な風味でなめらかな食感の日持ちクリーム「ナイスワンNEO(カスタード、キャラメル)」を上市しました。ますます活性化する土産菓子やロングライフパン市場において、おいしさを追求した多彩なメニュー開発が可能になる素材として好評をいただいています。

 

今後も市場環境の変化を鋭敏に捉えながら、お客様の「商品価値」や「作業性、生産性」の向上に貢献する製品開発に取り組んでまいります。

 

(3) ライフサイエンス事業

連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
当期における主な成果は以下の通りです。

日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2019年2月に日本およびインドで登録申請を完了しており、順調に評価が進んでおります。同剤は日本で2020年、インドで2022年の登録取得を見込んでおります。

汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、国内において野菜用で新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発を推進し、2019年8月にレタスで、2020年1月にキャベツ、ハクサイでの農薬登録を取得しました。同剤については、グローバルな開発も展開中であり、2019年2月に韓国において製剤登録を取得し、韓国販社と協力し、2020年3月に販売を開始しました。また、2019年11月に米国での農薬登録申請をしました。
 

 

(4) 新規事業の推進

 注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。

世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。

国立研究法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターの委託プロジェクト「新規機能性成分によるナス高付加価値化のための機能性表示食品開発」において、国立大学法人信州大学、学校法人電子開発学園北海道情報大学らとともに、ナス由来の成分コリンエステルの血圧改善効果と気分改善効果を臨床試験にて世界で初めて実証しました。本成果は栄養学の分野で評価の高い「Nutrients」に掲載されました。また、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485:2016」認証を、脱細胞化再生医療材料として日本で初めて取得し、サンプル提供を開始しました。臨床応用等に向けた医療機関との共同研究が可能となり、実用化に向けた取り組みを進めていきます。

再生可能エネルギーの導入拡大の中で電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源が増加するには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つにリチウムイオン二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤といった各種材料の開発を推進しています。

レアメタルフリーの次世代二次電池向け電極活物質であるSPAN(硫黄変性ポリアクリロニトリル)や導電助剤として用いられるグラフェンのパイロットプラントを相馬工場に設置しました。電気自動車や定置用蓄電池向けをターゲットにサンプル提供を開始しました。