当第1四半期連結累計期間において、事業等のリスクについての重要な変更及び新たに発生した重要なリスクはありません。
(1) 業績等の概要
当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日から同年6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により急速かつ大幅に悪化しました。国内経済は、4月の緊急事態宣言による外出自粛などの影響もあり、個人消費や企業活動が著しく停滞し厳しい状況で推移しました。
当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、世界的な自動車販売の減速及び自動車メーカーの生産調整等により生産台数が前年同期を下回りました。IT・デジタル家電分野は、テレワークの拡大やいわゆる「巣ごもり需要」によりパソコンやテレビの需要が増加した一方で、スマートフォンの需要は低迷しました。食品分野は、スーパー、ドラッグストアにおいて食パン、大袋菓子等の需要が増加した一方で、インバウンド需要の激減や外出自粛等により観光・外食産業は低調に推移しました。
このような厳しい事業環境ではありますが、当社グループは中期経営計画『BEYOND 3000』(2018年度~2020年度)の最終年度として、3つの基本戦略「3本柱の規模拡大(樹脂添加剤、化学品、食品)」「新規領域への進出」「経営基盤の強化」のもと、目標達成に向けて施策を推し進めています。
また、当社グループにおける新型コロナウイルス感染症への対応としましては、お客様ならびに従業員の安全を最優先にウェブ会議の活用やテレワークなど社内外への感染症拡大防止を推進しつつ、各国政府の政策に対応した形で事業活動を継続しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ23億6百万円(前年同期比△3.3%)減収の678億49百万円となり、営業利益は前年同期に比べ5億52百万円(同+12.3%)増益の50億46百万円、経常利益は前年同期に比べ2億82百万円(同+6.7%)増益の45億12百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ1億9百万円(同△3.4%)減益の31億4百万円となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間より、財務諸表上の重要性が増したため、艾迪科精細化工(浙江)有限公司、ADEKA AL OTAIBA MIDDLE EAST LLC、Nichino Europe Co., Ltd.の3社を連結の範囲に含めています。また同じく、Nichino Vietnam Co., Ltd.を持分法の適用範囲に含めています。
<報告セグメントの概況>
(化学品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ34億90百万円(同△8.8%)減収の360億49百万円となり、営業利益は前年同期に比べ10億87百万円(同△22.7%)減益の37億2百万円となりました。
① 樹脂添加剤
自動車の販売・生産台数が減少したことにより、自動車部材に使用される核剤、光安定剤、ゴム用可塑剤の販売が低調でした。
建材向けでは、住宅着工件数の減少により塩ビ用安定剤の販売が北米を中心に低調でした。
食品包装や医療用途では、感染予防対策として食品の個包装が増加したこと、また間仕切りシートや医療用ホース等の需要増加により、透明化剤、塩ビ用安定剤の販売が海外を中心に伸長しました。
自動車や家電、日用品などのプラスチック製品に幅広く使用される酸化防止剤は、価格競争の影響を受け販売が低調でした。
家電筐体向けエンジニアリングプラスチック用難燃剤は、テレワークの広がりによるパソコン需要の拡大に対し安定供給を実施したことで、中国、東南アジア等で販売が堅調に推移しました。
樹脂添加剤全体では、固定費の削減に努めたものの販売数量の減少等により、前年同期に比べ減収減益となりました。
② 情報・電子化学品
半導体向けでは、DRAM向け新製品の出荷が着実に増え、NAND向け製品の販売も中国を中心に回復しました。また、リソグラフィ工程で使用される光酸発生剤等の販売が好調でした。一方で、既存製品の価格下落や為替の影響もあり全体では低調でした。
ディスプレイ向けでは、フラットパネルディスプレイ減産の影響により、光硬化樹脂、光重合開始剤の販売が低調に推移しました。また、プリント基板用エッチング薬液の販売も低調でした。
情報・電子化学品全体では、販売数量の減少や為替の影響により、前年同期に比べ減収減益となりました。
③ 機能化学品
自動車の販売・生産台数が減少したことにより、エンジンオイル用潤滑添加剤や特殊エポキシ樹脂の販売が低調に推移しました。また、一般工業向け界面活性剤、過酸化製品、プロピレングリコール類の販売も低調でした。
化粧品・トイレタリー向けでは、感染予防策として手洗い・消毒向け製品の販売が堅調に推移したものの、インバウンド需要の激減等により化粧品向け特殊界面活性剤の販売が国内外で低調でした。
機能化学品全体では、販売数量の減少と固定資産の減価償却費負担の増加等により、前年同期に比べ減収減益となりました。
(食品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ10億67百万円(同△6.1%)減収の163億70百万円となり、営業利益は前年同期に比べ14百万円(同△6.0%)減益の2億30百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大による内食需要の高まりを背景に、国内の製パン、製菓、ラーメン・カレー向けのマーガリン、ショートニング類の販売が堅調に推移しました。また、食品ロス削減や省力化に貢献する機能性マーガリンの採用が進みました。一方で、海外では中国、東南アジアでの移動制限に伴う営業活動の停滞もあり、製パン向けマーガリンの販売が低調でした。
洋菓子・デザート向けでは、ホイップクリームの販売が堅調に推移しました。
インバウンド需要の激減や外出自粛の影響を大きく受け、土産菓子向けのマーガリン、ショートニング、フィリング類の販売が低調でした。
食品事業全体では、高付加価値品の拡販に努めたものの販売数量の減少等により、前年同期に比べ減収減益となりました。
(ライフサイエンス事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ27億98百万円(同+24.9%)増収の140億52百万円となり、営業利益は前年同期に比べ16億80百万円増益の10億11百万円(前年同期は6億68百万円の営業損失)となりました。
農薬は、国内では、主力自社開発品目の普及拡販に努めた結果、販売が好調に推移しました。海外では、北米、欧州、インドなどでの販売が好調でした。一方で、南米地域ではブラジル市場の競争激化の影響などから、販売が低調でした。
医薬品は、爪白癬分野で外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が好調に推移しました。
ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売の拡大等により、前年同期に比べ増収増益となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は3,990億3百万円(前連結会計年度比△2.6%)となり、前連結会計年度末に比べ104億48百万円の減少となりました。
主な要因は、受取手形及び売掛金の減少です。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における総負債は1,495億5百万円(同△5.9%)となり、前連結会計年度末に比べ93億12百万円の減少となりました。
主な要因は、支払手形及び買掛金の減少です。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は2,494億98百万円(同△0.5%)となり、前連結会計年度末に比べ11億36百万円の減少となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
①グループ戦略課題
新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、その終息時期が不透明ななか、国内外経済への深刻な影響は避けられず、当社グループを取り巻く経営環境も大変厳しくなるものと見込んでいます。
当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、一部の自動車メーカー等で生産調整・停止が行われたことで、自動車部材に使用される当社の樹脂添加剤をはじめとする化学製品にも既に影響が及んでおり、今後も不透明な状況です。IT・デジタル家電分野は、世界的な消費の冷え込みが懸念されるものの、5G通信のサービス開始やテレワーク等の加速により中長期的な成長が続くと見込んでいます。
食品分野は、パンや菓子等の需要は底堅く推移すると予想されるものの、個人消費の落ち込みやインバウンド消費の回復に相当の時間を要することから、厳しい状況で推移すると見込んでいます。
このような状況のなか、当社グループは3カ年の中期経営計画『BEYOND 3000』の最終年度を迎え、3つの基本戦略「3本柱の規模拡大」「新規領域への進出」「経営基盤の強化」のもと、事業環境の潮目の変化を的確に捉え、掲げた目標の達成を目指してまいります。市場環境の変化や社会ニーズを先読みできるよう、サプライチェーンの全体像を把握し、強固なプラットフォームのもとで技術優位な製品をグローバルに提供することで、さらなる成長を続けてまいります。
なお、前連結会計年度の有価証券報告書で記載した内容から重要な変更はありません。
② 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に変更はありません。
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、31億4百万円です。
なお、昨今の新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕著化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。
① 化学品事業
当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも努めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。
i) 樹脂添加剤分野
新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、海洋プラスチック問題で注目されるバイオプラスチックや、廃プラスチック再利用時の実用性向上など、製造側には新たな対策が求められています。当社は、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献します。
ⅱ) 情報・電子化学品分野
5G通信の本格運用やデータセンターの需要拡大に伴い、半導体の高機能化、高容量化が加速しており、半導体素子のさらなる微細化を実現する新たなプロセス薬剤の開発に注力しています。また、大型テレビは4K/8Kなどの高精細化が進んでおり、画素の微細化を実現するレジスト用重合開始剤や回路配線のエッチング薬液の開発を推進しています。
ⅲ) 機能化学品分野
世界的な環境意識の高まりにより、環境に関する課題解決への取組みが企業の社会的責任となっています。船舶排気ガス中のSOx規制強化に伴い低硫黄燃料の導入が進む中、燃料添加剤の新たなニーズが生じており、船舶燃料用スラッジ分散剤SD-20を上市しました。また、揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料をはじめ環境配慮型製品の開発を推進しています。
② 食品事業
食品ロスの削減や人手不足、環境への配慮といった社会的な課題への対応に加え、食品産業の構造変化、また新型コロナウイルス感染症禍による働き方の多様化や消費行動の変化などに伴う課題をとらえ、ニーズに即した新製品開発を行っています。
2020年4月には、「おいしさとやさしさで貢献します」をテーマに以下の新製品を発表しました。
i) 加工油脂分野
焼き立てのパンのような食感を時間が経っても維持できる機能性練込油脂「マーベラス」、さっくりとした食感に仕上がり、作業性に優れ長持ちする固形フライオイル「EZフライオイル」など。
ⅱ) 加工食品分野
合わせる素材の風味を引き立て、冷凍・解凍後もおいしさを維持できる混合用のホイップクリーム「アレンジホイップ」、洋菓子生地の食感改良や形状安定化による歩留まり向上に効果のある練込素材「スタビリティリキッド」など。
パーム油を配合する製品にあっては、全て持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。
“おいしさ“はもちろん、食品ロス削減や労働力不足解消、持続可能な原料の使用など、お客様や環境、社会、健康に貢献する”やさしさ“を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。
③ ライフサイエンス事業
連結子会社である日本農薬㈱は、「研究開発型企業」として、技術革新をすすめ、安全性の高い環境に配慮した新製品の開発を行っています。
持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
④ 新規事業分野
注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。
i) ライフサイエンス分野
世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務となっています。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。
ⅱ) 環境・エネルギー分野
再生可能エネルギーの導入拡大の中で太陽光や風力などの電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源をさらに増加させるには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つに二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤などの各種材料の開発を推進しています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
当第1四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針についての変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。