第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、事業等のリスクについての重要な変更及び新たに発生した重要なリスクはありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

(1) 業績等の概要

当第1四半期連結累計期間(2021年4月1日から同年6月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、ワクチン接種の広がりや各国での経済対策の効果もあり、特に欧米、中国で景気持ち直しの動きが続きました。一方で、変異ウイルスによる感染再拡大や資源価格の高騰による景気の下振れリスクが高まるなど、先行き不透明な状況で推移しました。

当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、世界的な半導体不足で自動車生産が伸び悩み、販売回復のペースが鈍化しました。ICT(情報通信技術)・家電分野は、デジタル技術やオンラインサービスを活用した新しい生活様式が浸透・定着するなかで、パソコンやディスプレイ等のデバイス需要が増加し、データセンター投資も拡大しました。食品分野は、緊急事態宣言等に伴う県外移動の制限や時短営業により、土産物・外食産業は依然として厳しい状況が続きました。ライフサイエンス分野は、国内の農薬市場が春の需要期を迎え堅調に推移しました。また、乾燥した気候が続いた北米も例年より害虫の発生が多く農薬需要が拡大しました。

このような状況のなか、当社グループは本年4月から、2030年のありたい姿『ADEKA VISION 2030 ~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献する Innovative Company~』のファーストステージと位置付ける3カ年の中期経営計画『ADX 2023』をスタートしました。「新しい社会環境に対応する経営基盤へ変革し、利益を重視した持続的な成長を目指す」という基本方針のもと、基本戦略として掲げる「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」を推し進め、社会価値と経済価値の追求によりさらなる企業価値向上を目指します。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ162億9百万円(前年同期比+23.9%)増収840億58百万円となり、営業利益は前年同期に比べ39億5百万円(同+77.4%)増益89億52百万円、経常利益は前年同期に比べ47億38百万円(同+105.0%)増益92億50百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ28億49百万円(同+91.8%)増益59億54百万円となりました。

 

<報告セグメントの概況>

(化学品事業)

当事業の売上高は前年同期に比べ119億79百万円(同+33.2%)増収480億28百万円となり、営業利益は前年同期に比べ33億61百万円(同+90.8%)増益70億64百万円となりました。

 

① 樹脂添加剤

自動車向けでは、自動車生産が前年同期の落ち込みから回復が進んだことなどにより、核剤、光安定剤、ゴム用可塑剤の販売が好調に推移しました。

建材向けでは、北米で塩ビ用安定剤の新規採用が進み販売が好調に推移しました。また、東南アジアにおいて鉛やスズ等の有害重金属を含む安定剤を規制する動きが加速し、インフラ用途で重金属フリー安定剤の販売も好調に推移しました。

食品包装・医療用途向けでは、内食需要及びディスポーザブル医療器具の増加により透明化剤等の販売が海外を中心に堅調に推移しました。

自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に幅広く使用される酸化防止剤は、海外での競合品の供給トラブルに伴う需給の引き締まりもあり、販売が好調に推移しました。

家電筐体向けエンジニアリングプラスチック用難燃剤は、パソコンやテレビの需要が増加し、中国、東南アジアで販売が好調に推移しました。

樹脂添加剤全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、販売数量の増加により、前年同期に比べ増収増益となりました。

② 情報・電子化学品

半導体向けでは、5G通信やテレワークの広がりに伴う世界的なデジタル関連需要の拡大を背景に、最先端のDRAMに使用される高誘電材料の販売が好調に、NAND向け製品の販売も堅調に推移しました。また、EUVに代表される最先端のリソグラフィ工程で使用される光酸発生剤の販売も好調に推移しました。

ディスプレイ向けでは、液晶・有機ELパネルの需要が増加し、液晶ディスプレイ用エッチング薬液、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤の販売が好調に推移しました。

情報・電子化学品全体では、販売数量の増加により、前年同期に比べ増収増益となりました。

③ 機能化学品

自動車向けでは、自動車生産が前年同期の落ち込みから回復が進んだことなどにより、エンジンオイル用潤滑油添加剤、特殊エポキシ樹脂やエポキシ樹脂接着剤の販売が好調に推移しました。

一般工業向けでは、インバウンド需要や外食産業向け需要の低迷が継続し、化粧品や洗浄剤向け界面活性剤の販売が低調でした。一方、建築塗料向けや米国FDA認証(昨年9月取得)の強みを活かした営業展開により、食品包装ラベル用水性粘・接着性樹脂向けに反応性乳化剤の販売が好調に推移しました。また、プロピレングリコール類も工業用を中心に需要が回復し、堅調に推移しました。

機能化学品全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、販売数量の増加により、前年同期に比べ増収増益となりました。

 

(食品事業)

当事業の売上高は前年同期に比べ15億61百万円(同+9.5%)増収179億31百万円となり、営業利益は前年同期に比べ46百万円(同+20.2%)増益2億77百万円となりました。

製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング、フィリング類は、前年同期に比べて販売は堅調に推移しましたが、利益面では原料価格高騰の影響を大きく受け厳しい結果となりました。食品ロス削減に貢献する「マーベラス」シリーズは、パン等の買い置きニーズや冷凍・冷蔵など新たな用途でおいしさが持続する機能性が評価され、販売が順調に拡大しました。

洋菓子・デザート向けでは、コンビニ来店客数の回復もあり、ホイップクリームの販売が好調に推移しました。

海外では、中国を中心に販売拡大に努めた結果、製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング類の販売が好調に推移しました。

食品事業全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、固定費圧縮と機能性素材の販売増加により、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった前年同期に比べ増収増益となりました。

 

(ライフサイエンス事業)

当事業の売上高は前年同期に比べ24億93百万円(同+17.7%)増収165億45百万円となり、営業利益は前年同期に比べ4億23百万円(同+41.9%)増益14億35百万円となりました。

農薬は、国内では春の需要期を迎え主力自社開発品目の販売が堅調に推移しましたが、一部品目の取り扱い終了の影響等から国内全体の売上高は前年同期を下回りました。海外では、北米での害虫多発に伴う殺ダニ剤の需要拡大に加え、欧州での環境規制強化を受けて競合剤の登録失効の影響による除草剤の販売拡大等もあり、米州、欧州での販売が好調に推移しました。

医薬品は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から来院患者数が低迷したことなどにより外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が低調に推移しました。

ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売の拡大により、前期に比べ増収増益となりました。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当第1四半期連結会計期間末における総資産は4,406億49百万円(前連結会計年度比+0.7%)となり、前連結会計年度末に比べ29億92百万円の増加となりました。

主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加です。

(負債)

当第1四半期連結会計期間末における総負債は1,659億77百万円(同△0.1%)となり、前連結会計年度末に比べ1億95百万円の減少となりました。

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は2,746億72百万円(同+1.2%)となり、前連結会計年度末に比べ31億87百万円の増加となりました。

主な要因は、利益剰余金の増加です。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① グループ戦略課題

先進国の財政支援策やワクチン接種の進展により世界経済は緩やかな回復基調で推移することを見込んでいますが、より感染力の強い変異ウイルスの流行や深刻化する米中対立の動向、資源価格の変動が及ぼす影響等、多くの不確実性を孕んでおり、当社を取り巻く環境においても予断を許さない状況にあります。
 当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、半導体不足の長期化による減産の影響が強く懸念されますが、通期では中国や米国を中心に生産台数の回復を見込んでいます。IT・家電分野は、5G通信を利用したサービスの拡大、デジタルインフラの整備が進み、これに適応する形で製品開発が加速することを見込んでいます。食品分野は、土産物・外食産業の回復は限定的である一方、内食・中食需要の拡大やEコマースの普及により、新しい生活様式・販売チャネルに対応した製品開発が活発化することを見込んでいます。
 このような状況のなか、中期経営計画『ADX 2023』の基本戦略として掲げる「収益構造の変革」、「新規事業領域の拡大による持続的な成長」、「グループ経営基盤の強化」をグループ一丸となって推進し、『ADX 2023』最終年度の経営目標の達成を目指してまいります。

なお、前連結会計年度の有価証券報告書で記載した内容から重要な変更はありません。

② 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第1四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、32億4百万円です。

なお、新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕在化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。

 

① 化学品事業

当社の基盤技術を活用して、CSR優先課題やSDGs達成に貢献しうる新製品の研究開発を推進しています。また、国内および海外開発拠点も含めたグループ間の連携を強化し、市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えることで、既存事業の拡大にも努めています。成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。

 

i) 樹脂添加剤分野

新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は堅調に推移しています。その一方で、プラスチックごみによる環境汚染や石化資源の利用による地球温暖化など、製造側には新たな対策が求められています。当社は、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会の実現に貢献します。

ガラス繊維強化ポリプロピレン向けの難燃剤「FP-2500S」は、電気自動車用のバッテリー周辺部材や家電の内部部品など金属代替を目的とした用途を中心に採用が増加しました。また、昨年上市した環境対応型製品アデカシクロエイドのユーザーでの評価件数も順調に増加しています。

ⅱ) 情報・電子化学品分野

5G通信の商用化の加速に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の増設、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大、ディスプレイでは液晶から有機ELへの置き換えが本格化しています。当社は、このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も考慮し、研究開発を推進しています。

最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。また、EUVを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤の採用が加速しています。

ⅲ) 機能化学品分野

SDGsやパリ協定の採択により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みが大きな機会をもたらすことが期待されます。当社は、自動車のエンジンオイルに添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料をはじめとする環境配慮型製品の開発を推進しています。

反応性乳化剤「アデカリアソープ」は、水系アクリル樹脂に耐久性を付与できる「高架橋タイプ」を開発し、防食塗料用途で好評を得ています。水系塗料を高機能化する手段を提供することで溶剤系塗料の水系化を促進しVOC削減に貢献します。また、水系樹脂の開発では、電気自動車のモーターなどに使われる電磁鋼板向けの製品を開発し、採用が決定しました。

 

② 食品事業

食品ロス削減や労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達など、社会課題への対応をはじめ、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題をとらえ、ニーズに即した新製品開発を行っています。

 

2021年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~世の中の変化と課題に対応~」をテーマに、以下を中心とした7製品をラインナップしました。なお、2020年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては、持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。

i) 加工油脂分野

パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂『マーベラス』シリーズのアイテム拡充を図りました。冷凍・冷蔵で販売されるパンに向けて電子レンジで加熱した際の品質低下を抑制する「マーベラスSL」を、リテールベーカリーに向けて焼き立てパンのおいしさを保持する「マーベラスアソシエ」を上市しました。加えて、プラントミルクとして人気のアーモンドミルク風味のファットスプレッド「ソルクリーム(アーモンドミルク)」を上市しました。

ⅱ) 加工食品分野

冷凍・解凍後もおいしさを保持できるフローズンチルド製品向けホイップクリームの拡充アイテムとして、濃厚なガナッシュ風味を付与した「ガナッシュホイップFC」を上市しました。また、労働力不足への対応の一助となるよう、湯煎焼きをせず、直焼きでもスフレ製品が簡便に作れる機能性練込用素材「リスエール」を上市しました。

“おいしさ”はもちろん、社会の変化に応じて浮上する様々な社会課題の解決に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。

 

③ ライフサイエンス事業

連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。

当期における主な成果は以下の通りです。

日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2020年9月に日本で農薬登録を取得し、2021年5月に販売を開始いたしました。インドでも2019年2月に登録申請を完了し、順調に評価が進んでおり、2022年の登録取得を見込んでいます。

 

④ 新規事業分野

特に「ライフサイエンス」、「環境・エネルギー」の各分野において、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。

i) ライフサイエンス分野

高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療後のQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。

脱細胞化再生医療材料は、国内外での認証取得のための申請に向けた試験データの取得やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。

ⅱ) 環境・エネルギー分野

再生可能エネルギーの導入拡大のなかで太陽光や風力などのクリーンエネルギーのコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源を活用するためには出力変動への対応が必須であり、その一つとして二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤など各種材料の開発を推進しています。

グラフェンのサンプル配布に向けて、三重工場に設置したパイロット設備において溶剤分散液グレードの試作を開始しました。一方で、水系分散液の開発にも着手しています。硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」は、硫黄含量を高めたグレードを開発し、サンプル提供の目処を得ました。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び戦略的現状と見通し

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

当第1四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針についての変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。