文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、幅広い事業を世界中で展開し、革新的な技術で世界をリードすることで、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する企業となることを目指しています。
『ADEKA VISION 2030』の実現に向けたファーストステージとして、2021年度から新中期経営計画『ADX 2023』をスタートしました。
「ADX」は「ADEKAは変わります(ADEKA Transformation)」という決意を表しており、2030年を目標年とするSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、カーボンニュートラルをはじめとする新しい社会環境に対応するとともに、利益を重視し、足腰の強い企業体質へと自ら変革することで、社会価値と経済価値の追求による企業価値向上を図っていきます。
中期経営計画の最終年度である2023年度に、「営業利益350億円(連結売上高3,800億円)、ROE9%」を目指しています。
「新しい社会環境に対応する経営基盤へ変革し、利益を重視した持続的な成長を目指す」
持続可能な社会の実現に向けて製品・サービスの提供を通じ、社会的課題の解決に取り組み、売上・利益を最大化していきます。中長期的視野で持続的に成長できる収益構造を構築し、社会価値と経済価値を追求することで、企業価値の向上を図ります。
カーボンニュートラルをはじめとする新しい社会環境に対応するために、ADEKAは変わります。社会価値と経済価値を最大化させるべく、以下の3つの基本戦略を進めます。加えて、基本戦略遂行を支える基盤として、人財戦略、DX戦略を進めます。
SDGsの達成に貢献していくため、樹脂添加剤・化学品・食品・ライフサイエンスの各事業における戦略製品に、気候変動対応、環境負荷低減や資源の有効活用等に貢献する「環境貢献製品」や、社会の期待に応える価値創出を目指した「ADEKA Innovative Value製品」(AIV製品)を組み入れ、社会価値と経済価値の双方を追求します。また、事業活動全体で生産性向上を進め、トータルコストの最適化を図ります。
成長ドライバーとして「ライフサイエンス」「環境」「エネルギー」「次世代ICT」分野をターゲットとし、事業化を推進します。加えてM&Aによるポートフォリオの拡充と最適化を図ります。
グループの求心力を高めるべく、グループガバナンスを一層強化するとともに、健全な財務基盤の構築により足腰の強い企業を目指します。また、同時に新しい働き方の追求にも取り組んでまいります。
3.サステナビリティを意識した企業経営
当社グループは、中長期的な視点に立ち、「サステナビリティ」における課題に取り組むことで、グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献していきます。
2021年度は、社会価値と経済価値の追求による一層の企業価値向上に向けてサステナビリティに関する下掲の取り組みを実行しました。
さらに、2022年4月には、経営企画部に「サスティナビリティ推進室」と「カーボンニュートラル戦略企画室」を新設し、機動的に推進する組織体制を整備しました。
〔最近の主な活動〕
・「国連グローバル・コンパクト」署名(2021年4月)
・「ADEKAグループ健康経営宣言」表明(2021年4月)
・タスクチームを社内に設置し、女性活躍推進を加速(2021年4月)
・「ADEKAグループ人権方針」制定(2022年2月)
・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同表明(2022年2月)
・「ADEKAグループ・カーボンニュートラル・ロードマップ」の公表(2022年3月)
・GHG排出量削減目標値の上方修正(2030年「2013年比 46%」へ)(2022年3月)
・「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定(2022年3月)
4.グループ戦略課題
各国における経済政策の効果に加え、ワクチン接種の進展に伴う行動制限や海外渡航制限の段階的な緩和により、緩やかな景気回復が継続すると予想されます。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ウクライナ情勢の悪化に伴うさらなる原燃料価格の高騰、物流停滞、インフレの加速など世界経済の不確実性が増大しており、経営環境は予断を許さない状況が続くと予想されます。
当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、半導体不足や材料調達難といった懸念材料が残るものの、新車需要は引き続き高い水準にあり自動車生産の緩やかな回復を見込んでいます。ICT・家電分野は、5G通信の普及拡大に伴う端末の高機能化や通信ネットワーク、データセンターの高度化を背景に、半導体や電子部品関連の成長トレンドが続くと見込んでいます。食品分野は、外出自粛ムード解消の遅れや原材料・包装材等のコスト上昇が重石となり、土産物・外食産業の本格的な回復は下期以降になると見込んでいます。ライフサイエンス分野は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルでの農薬需要の拡大が見込まれます。
このような状況のなか、当社グループは中期経営計画『ADX 2023』の2年目として、社会価値と経済価値を基盤とした企業価値向上と持続可能な社会に一層の貢献を果たすべく各施策の実行に取り組んでいきます。
『ADX 2023』の1年目で目標とする財務指標(最終年度である2024年3月期に営業利益350億円、ROE9%)の水準に到達しましたが、さらなる業績向上に向けて、市場での拡大が見込める競争優位な製品群の拡販を推し進めます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当連結グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものです。
なお、ここに記載しました事項は、当連結会計年度末現在において、当連結グループがリスクと判断したものであり、当連結グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
グローバル事業展開の拡大を進めている当連結グループは、海外に多数の生産・販売拠点を有しており、当連結グループが製品を販売する国や地域の経済状況、地政学的リスク、天候による影響を受ける可能性があります。
また、当連結グループは多様な事業ポートフォリオを有しており、提供する製品は幅広い業界で産業用中間素材として使用されています。このため、当社の関連需要業界における景気や市場動向、公的規制等による需要の減少と、それに伴う取引先の倒産による貸倒れリスクや棚卸資産の長在化リスク等、直接的、間接的な影響を受けます。
地政学的リスクに関しては、2022年2月下旬に発生したロシアによるウクライナ侵攻が当連結グループの事業に与える影響やリスクについて、幅広く情報を集め、リスクマネジメント委員会で議論を行い、グループ間で情報を共有しています。当連結グループは、ロシア・ウクライナに生産・販売拠点を有しておらず、直接的な影響は少ないものと認識していますが、両国の軍事的対立が激化・長期化した場合、原燃料価格の高止まりや物流停滞、世界的なインフレの加速といった間接的なリスクが顕在化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延が続いており、当社製品の需要業界やサプライチェーンの動向により、当連結グループの業績や事業継続に影響を受ける可能性があります。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う景気後退により、当社関連需要業界の需要が減少すれば、売上減少等の影響を受けます。一方、リモートワークやオンライン会議の普及・拡大等、社会全体のデジタル化により、デジタル製品の高機能化やデータセンター投資が進展し、半導体向けやディスプレイ向け製品の販売機会拡大の可能性も想定されます。
また、当連結グループでは、原材料の購買ルートの複数化、適正数量の製品在庫の備蓄や物流合理化等、事業継続計画を推進していますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内外のサプライヤーからの原材料の供給停止や、航空規制・輸入貨物規制等による物流停滞等が発生した場合、製品の生産や供給に、直接的、間接的な影響を受ける可能性があります。
当連結グループでは、各国政府・地域の法令・指導に従い、従業員・顧客を含むステークホルダーの感染防止対策を引き続き徹底するとともに、製品・サービスの提供に支障が生じないよう、業務のデジタル化、事業継続計画(BCP)の整備と、サプライチェーン網の維持等に努めています。また、在宅勤務・サテライトオフィス等でのリモートワーク、会議のオンライン化やペーパーレス化を推進し、従業員のパフォーマンスの向上と業務効率化に向け、きめ細かなITサポートを拡充しています。
当連結グループの事業で用いる主要原材料である石油化学原料及び油脂原料の購入価格は、国内・国外の市況、為替相場の変動の影響を受けます。
業績に及ぼす影響は、販売価格への転嫁、為替リスクヘッジ等により極力回避していますが、予期せぬ異常な変動が生じた場合には、販売価格への転嫁の時間的ギャップ等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結グループは世界各国で事業を展開しており、連結子会社の財務諸表項目は連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、輸出入等の外貨建て取引においても、同様の可能性があります。これに対し、当連結グループでは、主要通貨の為替動向を注視するとともに、ヘッジ等を通じて為替リスクの低減に努めておりますが、為替相場が大きく変動した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結グループは、新製品開発力の強化に注力しており、成長事業として位置づけている情報・電子化学品事業は、半導体やデジタル関連製品等に用いられる革新的な新材料の占める割合が多くなっています。
当連結グループは、継続して当社独自の技術優位のある新製品を開発し提供できると考えていますが、関連需要業界は、技術的進歩、変化が著しく、それに伴うメーカー間の技術競争が激しくなっています。また、近年は、製造技術の進歩により、新興国をはじめとする海外のコンペティターによる追随の速度が速まっています。
従って、次のようなリスクが想定されます。
上記のリスクをはじめとして、当連結グループが、業界と市場の変化を十分に予測できず、顧客のニーズにあった魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性に影響を及ぼす可能性があります。
これらリスクが顕在化する時期や程度は、現時点で想定しておりません。
当連結グループは、人体や環境への安全性に配慮して、製品の品質規格と安全審査基準を定めており、新製品を開発・販売する際に厳しくチェックしています。また、化学品ではSDS、イエローカードにより、食品では製品規格書により、安全な使用と取扱いのための情報提供を行っています。加えて、工場は、ISO9001、FSSC22000等の品質や食品安全に対するマネジメントシステム、トレーサビリティシステム等を導入し、製造を行っています。
製品検査値の改ざん・転記ミス防止対策を含む品質安全管理は、統一したルールに基づき実施されていることを監査により確認しています。
しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
当連結グループを取り巻くステークホルダーに安全・安心を提供すべく、「4つの安全(労働安全、環境安全、品質安全、設備安全)」活動を推進しており、ISO9001、ISO14001、FSSC22000、ISO45001、ISO22301等の国際標準に基づくマネジメントシステムを導入し、運営しています。当社では保安力の向上活動に注力し、生産工場における事故・災害の予防を図っています。また、災害、パンデミック等のインシデントによる予期せぬ事業停止に備えた事業継続マネジメントシステム(BCMS)の構築に取り組み、2010年に国内の化学工業として初めて、当社化学品の一部製品の製造について、BCMS規格 BS25999-2の認証を取得しました。さらに、ISO22301:2012を取得、2015年に適用範囲に物流関係会社を加え、顧客への安定供給体制を構築し運営しています。
グループ全体でトラブル情報を共有化しており、監査により安全管理状況を確認しています。
また、食品の安全に関する関心の高まりを受け、食品生産工場を中心に食品安全管理システムの導入や食品安全リスク低減活動等を推進するなど、予防力向上に注力しています。FSSC22000の認証取得については、2011年度に加工油脂業界として初めて鹿島西製造所で認証取得以降、当社及び国内外の関係会社の各工場で順次拡大してきました。保安力向上活動を当社の重点テーマとし、パトロール、入出管理の強化、安全教育と技術継承、設備点検とメンテナンス、感染症予防策としての従業員と職場の衛生管理強化、緊急時対応訓練、海外拠点、OEMを含めた併産工場の確保及び取引先事業者への監督指導の強化に努めています。
しかし、当連結グループまたはサプライチェーンにおいて以下のトラブルが発生した場合には、工場停止または稼動率低下による供給不能または供給困難、製品の品質・環境・地域住民や従業員の安全への影響が発生する可能性があります。
② 無差別テロによる食品への異物・毒物混入、化学品の危険物漏洩
当連結グループは、研究開発の強化・生産技術の深化によるイノベーションの創出と競争力の強化を目指しています。技術立地なハイテクメーカーとして、技術情報等の営業秘密の保護は不可欠であり、また、各国における個人情報保護法制の強化に伴い、個人情報保護対策が重要性を増しています。当連結グループでは、情報セキュリティ・ポリシー及びセキュリティ関連規程に基づき、ハッキング、コンピューターウイルス、サイバー攻撃への対策や、従業員教育等、セキュリティ強化対策を進めていますが、情報漏えいやセキュリティ事故等が発生した場合、当局による行政処分・制裁、利害関係者からの損害賠償請求による経済的損失や、当連結グループの競争力やレピュテーションの低下につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
多様化する業務に対応すること等を目的として、ソフトウエアの更新・改良を行う場合があります。ソフトウエアの更新・改良にあたっては、システム保守体制等の万全を期していますが、更新・改良に伴う予期せぬ障害等によりシステムトラブルが発生した場合には、当連結グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
データセンター等に設置しているシステムが災害等により稼働できなくなった場合に備え、遠隔地へのデータ複製のほかバックアップ用回線等の整備を行っていますが、予期せぬ災害等によりシステムトラブルが発生した場合には、当連結グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
事業を取り巻く様々な政府規制、法規制に対し、コンプライアンス推進委員会その他の各種委員会の活動を通じて、コンプライアンス強化に努めています。特に近年は欧州REACH規則をはじめとして世界各国で化学物質規制法が大幅に改定され始めているため、情報収集力の強化と法規制対応に注力しています。また、米国・中国間の貿易摩擦等を巡る対立が顕著となり、米国の安全保障貿易関連規制等が一層強化され、中国においても、2020年12月に輸出管理法が施行されました。当連結グループは、両国の幅広い業界で産業用中間素材として使用される製品を供給していることから、このような米中対立に伴う規制強化により、製品の販売に、直接的、間接的な影響を受ける可能性があります。規制に関する重大な変更がなされた場合には、当連結グループの活動が制限され、あるいはコストが増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
(1) 業績等の概要
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の防疫対策により経済社会活動が正常化に向かうなかで、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、オミクロン株による感染再拡大や部材不足による供給制約、原燃料価格の高騰が景気回復の下押し要因となりました。
当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、半導体不足や物流混乱の影響が長期化し、自動車生産は僅かな回復に留まりました。ICT(情報通信技術)・家電分野は、社会全体のデジタル化が急速に進むなかでデータセンター投資が引き続き拡大、5G通信対応スマートフォンの出荷台数も伸長しました。食品分野は、感染再拡大への警戒感や自粛ムード、海外でのロックダウン等が影響し、土産物・外食産業を中心に食品全体として厳しい状況が続きました。ライフサイエンス分野は、国内の農薬市場は堅調に推移しましたが、夏場の天候不順の影響から病害虫等の防除機会が減少傾向となりました。海外では、主要な農作物の作付面積の増加等に伴い、総じて農薬需要が拡大しました。
このような状況のなか、当社グループは2030年のありたい姿『ADEKA VISION 2030 ~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献する Innovative Company~』の実現に向け、昨年4月から3カ年の中期経営計画『ADX 2023』をスタートしました。基本戦略として掲げる「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」のもと、利益の最大化を重視した規模拡大への転換を図るべく諸施策に着手しました。樹脂添加剤では、米国で建材向けや錫代替として需要拡大が続く塩ビ用安定剤の設備増強に着手しました。また、UAEでワンパック顆粒添加剤の設備増強を進めています。情報・電子化学品では、千葉工場で先端フォトレジスト向け光酸発生剤など半導体周辺材料の増産投資、台湾艾迪科精密化学股份有限公司で先端ロジック半導体向け材料の新プラント建設を決定しました。また、化学品事業のさらなる拡大に向けた将来的な増産、新分野への発展性を見据え、韓国において全羅北道完州郡の工場用地取得を決定しました。機能化学品では、CASEやMaaSをキーワードにしたモビリティの進化に貢献することを目指し、車載用電子部品の高精度接着・固定を可能とするエポキシ樹脂接着剤の設備増強を三重工場で進めています。ライフサイエンス事業では、新規水稲用殺虫剤の国内外での本格販売に向け、インドでの製造設備の増強を進めています。気候変動問題への取り組みでは、カーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定し、2030年の温室効果ガス削減目標を2013年度比46%削減に上方修正しました。あわせて、2022年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同表明し、気候変動が事業活動に及ぼす影響の分析・評価と、持続可能な社会の実現に貢献するための対応策を検討・推進しています。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。また、当連結会計年度より、タマ化学工業株式会社を持分法の適用範囲に含めています。連結子会社であったNICHINO CHEMICAL INDIA PVT.LTD.は当社の連結子会社であるNICHINO INDIA PVT.LTD.を存続会社とする吸収合併により消滅したため、連結の範囲から除外しています。
売上高は前連結会計年度に比べ、359億53百万円(前連結会計年度比+11.0%)増収の3,630億34百万円となりました。
売上原価は前連結会計年度に比べ、261億62百万円(同比+10.9%)増加し、2,665億11百万円となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、38億43百万円(同比+6.7%)増加し、615億95百万円となりました。
営業利益は前連結会計年度に比べ、59億47百万円(同比+20.5%)増益の349億27百万円となりました。
営業外収益から営業外費用を控除した営業外損益は、前連結会計年度の利益(純額)2億90百万円に比べ、5億51百万円利益額が増加し、8億42百万円の利益(純額)となりました。
経常利益は前連結会計年度に比べ、64億99百万円(同比+22.2%)増益の357億70百万円となりました。
特別利益から特別損失を控除した特別損益は前連結会計年度の損失(純額)15億49百万円に比べ、28億21百万円利益額が増加し、12億72百万円の利益(純額)となりました。
これは、主に環境対策費の減少によるものです。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、93億20百万円(同比+33.6%)増益の370億42百万円となりました。
法人税等は前連結会計年度に比べ、13億98百万円(同比+16.9%)増加し、96億78百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、5億97百万円(同比+19.8%)増加し、36億18百万円となりました。
上記要因の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ、73億24百万円(同比+44.6%)増益の237億44百万円となりました。
セグメントの状況は、以下の通りです。
自動車向けでは、半導体等の部材不足による減産の影響を受けましたが、前期比では核剤の販売が堅調に推移し、光安定剤の販売は伸長しました。
建材向けでは、北米で床材をはじめとする住宅内装材の需要が拡大し、塩ビ用安定剤の販売が好調に推移しました。また、錫価格の高騰や東南アジアにおける鉛系安定剤の規制強化を背景に、インフラ用途で重金属フリー安定剤の販売が好調に推移しました。
食品包装・医療用途向けでは、中食需要の拡大やディスポーザブル医療器具の需要増加により、透明化剤等の販売が海外を中心に堅調に推移しました。
自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に幅広く使用される酸化防止剤は、上半期に海外での競合品の供給トラブルに伴う需給の引き締まりもあり、販売が好調に推移しました。
難燃剤は、家電筐体に使用されるエンジニアリングプラスチックの堅調な需要に支えられました。また、ポリオレフィン樹脂向けもEV関連他への用途拡大もあり販売が順調に拡大しました。
樹脂添加剤全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、価格改定の効果と為替の影響もあり、前期に比べ増収増益となりました。
半導体向けでは、IoTや5G通信の普及拡大に伴うデジタル機器の高機能化やデータセンター投資の拡大を背景に、最先端のDRAMに使用される高誘電材料、NAND向け製品の販売が好調に推移しました。また、EUVやArFなどの最先端のフォトレジスト向けに光酸発生剤の販売が順調に拡大しました。
ディスプレイ向けでは、第3四半期以降、テレビやPC等の巣ごもり消費が一巡し、パネルの余剰感が色濃くなりましたが、パネル生産が高水準で推移したことから、液晶ディスプレイ用エッチング薬液、カラーフィルター向け光重合開始剤、光学フィルム向け光硬化樹脂の販売が好調に推移しました。
情報・電子化学品全体では、販売数量の増加と為替の影響もあり、前期に比べ増収増益となりました。
自動車向けでは、半導体等の部材不足による減産の影響を受けましたが、前期比ではエンジンオイル用潤滑油添加剤やタイヤ用スチールコード伸線潤滑剤、特殊エポキシ樹脂やエポキシ樹脂接着剤の販売が好調に推移しました。
一般工業向けでは、インバウンド需要の低迷が続き化粧品原料の販売が低調でしたが、建築塗料や粘・接着剤向けに反応性乳化剤の販売は国内外で好調に推移しました。また、プロピレングリコール類は第4四半期に原料価格高騰の影響を受けましたが、通年では工業用、パーソナルケア用ともに堅調に推移しました。
機能化学品全体では、原料価格高騰や物流混乱の影響を受けましたが、販売数量の増加と価格改定の効果に加え為替の影響もあり、前期に比べ増収増益となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ242億95百万円(前連結会計年度比+13.8%)増収の2,001億19百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ89億97百万円(同比+44.2%)増益の293億47百万円となりました。
製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング、フィリング類は、アジア各国での断続的な人流抑制策の影響により海外販売が伸び悩みましたが、国内での菓子パン需要が回復し前期に比べて販売は堅調に推移しました。利益面ではパーム油等の植物性油脂に加え、動物性油脂の価格が日を追うごとに未曾有の高値を付けるなかで、先例のない3度の価格改定を断行しましたが、国内外ともに極めて厳しい結果となりました。食品ロス削減に貢献する「マーベラス」シリーズは、おいしさの持続と消費期限延長に寄与する機能性が評価され、販売が順調に拡大しました。
洋菓子用では、量販店やコンビニのデザート向けにホイップクリームの販売が好調に推移しました。
食品事業全体では、原料価格高騰に伴う価格改定により増収となりました。一方、利益面は販管費などの固定費圧縮、工場での生産性向上と機能性素材の販売増加に努めましたが、原材料・用役価格高騰分をカバーするには至らず、また為替の円安進行が追い打ちとなり営業損失となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ32億94百万円(同比+4.7%)増収の733億37百万円となり、営業損失は前連結会計年度に比べ20億83百万円減益の6億86百万円(前年同期は13億97百万円の営業利益)となりました。
(ライフサイエンス事業)
農薬は、国内では、2021年10月からコルテバ社製品の販売を開始したことなどから、国内全体の売上高は前期を上回りました。海外では、米州、アジア等での販売が好調でした。
医薬品は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から来院患者数が低迷したことなどにより、外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が低調に推移しました。
ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売の拡大により前期に比べ増収となりました。一方、利益面は医薬品の販売減少もあり、前期に比べ減益となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ104億17百万円(同比+14.6%)増収の818億99百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ3億42百万円(同比△5.7%)減益の56億95百万円となりました。
③ 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ、376億47百万円(前連結会計年度末比+8.6%)増加の4,753億4百万円となりました。
主な要因は、以下の通りです。
流動資産は前連結会計年度末に比べ、383億42百万円(同比+15.0%)増加の2,938億67百万円となりました。
これは、主に商品及び製品の増加によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、6億95百万円(同比△0.4%)減少の1,814億37百万円となりました。
有形固定資産は前連結会計年度末に比べ、4億8百万円(同比+0.3%)増加の1,193億18百万円となりました。
無形固定資産は前連結会計年度末に比べ、6億88百万円(同比+4.3%)増加の168億43百万円となりました。
投資その他の資産は前連結会計年度末に比べ、17億91百万円(同比△3.8%)減少の452億76百万円となりました。
これは、主に投資有価証券の減少によるものです。
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べ、122億60百万円(同比+7.4%)増加の1,784億33百万円となりました。
主な要因は、以下の通りです。
流動負債は前連結会計年度末に比べ、75億70百万円(同比+7.1%)増加の1,148億52百万円となりました。
これは、主に支払手形及び買掛金の増加によるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ、46億89百万円(同比+8.0%)増加の635億80百万円となりました。
これは、主に長期借入金の増加によるものです。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表」に記載しています。
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ、253億86百万円(同比+9.4%)増加の2,968億71百万円となりました。
これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の増加による利益剰余金の増加によるものです。
その結果、自己資本比率は前連結会計年度末52.1%に比べ、0.5ポイント増加の52.6%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末の資金残高に比べ6億77百万円(前連結会計年度末比+0.8%)増加し、827億99百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りです。
営業活動による資金収入は、前連結会計年度に比べ155億5百万円(前連結会計年度比△42.1%)減少し、213億67百万円となりました。
これは、主に棚卸資産の増加によるものです。
投資活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ28億71百万円(同比△20.2%)減少し、113億17百万円となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出の減少によるものです。
財務活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ53億2百万円(同比+80.9%)増加し、118億53百万円となりました。
これは、主に長期借入金の返済による支出の増加によるものです。
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しています。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注) 1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.その他については、生産は行っていません。
その他の一部で受注生産を行っていますが、金額僅少のため省略しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る販売実績については、当該会計基準等を適用した後の数値となっています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。また、この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いています。これら繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損等の見積りは、過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、繰延税金資産の回収可能性及び新型コロナウイルス感染症の影響に係る会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。
資金調達と流動性マネジメント
当連結グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。当連結グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入及び社債により調達しています。
当連結会計年度末現在において、当連結グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の総額は827億99百万円となっています。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載の通りです。
当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。
国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。
第160期(2021年度)の研究開発方針として、
① 持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する研究開発を心がける。
② 戦略製品を中心とした市場開発・新製品開発に注力し、更なる事業拡大へ繋げる。
③ 「エネルギー」「環境」「次世代ICT」「ライフサイエンス」などフロンティア領域での新規事業創出を推進する。
の3項目を掲げて研究開発活動を推進しました。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
なお、新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕在化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。
既存事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。
主な成果は以下の通りです。
電気自動車用のバッテリー周辺部材や家電の内部部品など金属代替を目的とした用途を中心に、ガラス繊維強化ポリプロピレン向けの難燃剤「FP-2500S」の採用が増加しました。
自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に使用される環境対応型製品アデカシクロエイドは、昨年の上市以来、ユーザーでの評価件数が順調に増加しています。
半導体向けでは、最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。ロジック半導体向けの新規ALD材料もユーザーでの性能評価が進展しています。また、EUVを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤の採用が拡大しています。
自動車向けでは、電気自動車のモーターなどに使われる電磁鋼板向けの水系樹脂や、高分子型エンジン油用摩擦調整剤を開発し顧客提案を進めています。
水系塗料や粘接着剤に用いられるアクリル樹脂エマルジョン用の反応性乳化剤「アデカリアソープ」は、地域や用途特性に合わせた処方提案を進め、海外大手メーカーでの実績が拡大しています。
船舶のSOx排出規制に対応する低硫黄燃料向けのスラッジ分散剤、潤滑性向上剤、低温流動性向上剤を開発し、4月開催のSEA JAPANに出展。徐々に採用が拡大しています。
子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、高濃縮タイプの食器洗浄機用固形洗浄剤に機能付加した新製品を開発・上市しました。この新製品は、取り扱いやすい非劇物で、アルミニウム材質にも使用できることに加え、従来は配合が困難であった塩素化剤の安定配合を可能としており、除菌・洗浄効果に優れていることが特長です。既に特許も出願済みです。
一方で食品工業用洗浄剤分野では、使用量の多いお客様がいることから、改正PRTR法で新たに対象となった物質を含んだ製品の代替検討を行い、一部製品を除いて新配合を確立しました。対象物質を含まないことで、お客様による対象物質の排出・移動量の把握や国への届け出が不要になります。今後は現場での性能確認試験を実施します。
子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、世界的な物流の停滞を受け、主力製品の原料に供給不安が生じています。そこで、供給安定化とコストダウンを目的に原料の複数購買化を進めています。他社との共同研究においては、試作品3品種を提出し、3月より試験を開始しました。また、潤滑性に関する機構のさらなる解明に向けた研究も行っています。
乾式伸線剤では、生産技術再構築として小型二軸押出機による生産の検討を開始しました。生産に必要なパラメーターの洗い出しを行っています。
粉末冶金用潤滑剤では、粉末冶金用鉄粉製造販売の世界大手と次世代製品の開発を目的とした共同開発契約の協議を進めています。締結後は、共同開発会議を行い、試作品3品種を紹介予定です。
食品ロス削減や労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達など、社会課題への対応をはじめ、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題を捉え、ニーズに即した新製品開発を行っています。
2021年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~世の中の変化と課題に対応~」をテーマに、以下を中心とした7製品をラインナップしました。なお、2020年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては、持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。
パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂『マーベラス』シリーズのアイテム拡充を図りました。冷凍・冷蔵で販売されるパンに向けて電子レンジで加熱した際の品質低下を抑制する「マーベラスSL」を、リテールベーカリーに向けて焼き立てパンのおいしさを保持する「マーベラスアソシエ」を上市しました。加えて、プラントミルクとして人気のアーモンドミルク風味のファットスプレッド「ソルクリーム(アーモンドミルク)」を上市しました。
冷凍・解凍後もおいしさを保持できるフローズンチルド製品向けホイップクリームの拡充アイテムとして、濃厚なガナッシュ風味を付与した「ガナッシュホイップFC」を上市しました。また、労働力不足への対応の一助となるよう、湯煎焼きをせず、直焼きでもスフレ製品が簡便に作れる機能性練込用素材「リスエール」を上市しました。
“おいしさ”はもちろん、社会の変化に応じて浮上する様々な社会課題の解決に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。
連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
当期における主な成果は以下の通りです。
当連結会計年度より新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)の国内開発を開始しました。本剤は、チョウ目およびコウチュウ目害虫など幅広い殺虫スペクトルを示し、浸透移行性にも優れ、既存剤抵抗性害虫に対しても高い効果を示すことから、汎用性に優れた新規有効成分です。そのため様々な対象害虫や処理方法での委託試験を実施予定であり、利便性の高い害虫防除資材となるように国内開発を進めてまいります。
日本およびインドで農薬登録を取得した新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、製品ラインアップの強化を進めています。インドでは2022年より販売開始予定であり、水稲栽培の盛んなアジア広域で本剤ビジネスの最大化を図ります。
新規汎用性殺菌剤ピラジフルミド(商品名「パレード」)は、新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発に加え、多くの作物で登録を取得して幅広い場面で使用可能となりました。また、グローバルな開発も展開中であり、米国(カリフォルニア州含む)、カナダ、メキシコ、コロンビア、ベトナムで登録を申請し、米国では2022年内に果樹、ナッツ、芝での登録認可を見込んでいます。
(4) 新規事業の推進
「エネルギー」「環境」「次世代ICT」「ライフサイエンス」などフロンティア領域において、組織の壁を越えた技術を融合し、ADEKAグループの強みを活かした新規事業創出を推進しています。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。
臓器修復など、多用途への展開を検討している脱細胞化ウシ心のう膜は、国内外の医療関係者へのヒアリング調査を実施するとともに、医療機器としての認証取得に向けた試験やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
次世代二次電池用途では、グラフェンのサンプル配布に向けて、三重工場に設置したパイロット設備において溶剤分散液グレードの試作を開始しました。一方で、水系分散液の開発にも着手しています。硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」は、硫黄含量を高めたグレードを開発し、複数のユーザーで性能評価が開始しています。