当第3四半期連結累計期間において、事業等のリスクについての重要な変更及び新たに発生した重要なリスクはありません。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(1) 業績等の概要
当第3四半期連結累計期間(2021年4月1日から同年12月31日)における世界経済は、新型コロナウイルスの防疫対策と経済活動の両立が進み、緩やかな回復が続きましたが、オミクロン株による感染再拡大や物流混乱、部材不足による影響が懸念され、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、地域やメーカーによるばらつきを伴いつつも、自動車生産に回復の兆しが見え始めました。ICT(情報通信技術)・家電分野は、部材不足の影響によりスマートフォンの販売が伸び悩みましたが、社会全体のデジタル化が進むなかで、データセンター投資が拡大しました。食品分野は、緊急事態宣言が解除されたものの、感染再拡大への警戒感や自粛ムードが残り、土産物・外食産業を中心に食品全体として厳しい状況が続きました。ライフサイエンス分野は、国内の農薬市場は堅調に推移しましたが、夏場の天候不順の影響から病害虫等の防除機会が減少傾向となりました。海外では、乾燥した気候が続いた北米で例年より害虫の発生が多く農薬需要が拡大しました。
このような状況のなか、当社グループは2030年のありたい姿『ADEKA VISION 2030 ~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献する Innovative Company~』の実現に向け、昨年4月から3カ年の中期経営計画『ADX 2023』をスタートしました。基本戦略として掲げる「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」のもと、利益の最大化を重視した規模拡大への転換を図るべく諸施策に着手しました。樹脂添加剤では、UAEでワンパック顆粒添加剤の設備増強を進めています。情報・電子化学品では、千葉工場で先端フォトレジスト向け光酸発生剤など半導体周辺材料の増産投資を決定しました。また、化学品事業のさらなる拡大に向けた将来的な増産、新分野への発展性を見据え、韓国において全羅北道完州郡の工場用地取得を決定しました。機能化学品では、CASEやMaaSをキーワードにしたモビリティの進化に貢献することを目指し、車載用電子部品の高精度接着・固定を可能とするエポキシ樹脂接着剤の設備増強を三重工場で進めています。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ471億79百万円(前年同期比+22.1%)増収の2,610億23百万円となり、営業利益は前年同期に比べ98億64百万円(同+62.7%)増益の255億88百万円、経常利益は前年同期に比べ112億39百万円(同+74.1%)増益の264億3百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ87億16百万円(同+83.8%)増益の191億20百万円となりました。
<報告セグメントの概況>
(化学品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ338億15百万円(同+29.5%)増収の1,484億69百万円となり、営業利益は前年同期に比べ92億70百万円(同+70.7%)増益の223億90百万円となりました。
① 樹脂添加剤
自動車向けでは、半導体等の部材不足による自動車減産の影響を受けましたが、前年同期比では核剤、光安定剤の販売が好調に推移しました。
建材向けでは、北米の床材用途で塩ビ用安定剤の販売が好調に推移しました。また、錫価格の高騰や東南アジアにおける鉛系安定剤の規制強化を背景に、インフラ用途で重金属フリー安定剤の販売が好調に推移しました。
食品包装・医療用途向けでは、ディスポーザブル医療器具の需要が落ちついたものの、中食需要が継続し、透明化剤等の販売が海外を中心に堅調に推移しました。
自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に幅広く使用される酸化防止剤は、上半期に海外での競合品の供給トラブルに伴う需給の引き締まりもあり、販売が好調に推移しました。
難燃剤は、家電筐体に使用されるエンジニアリングプラスチックの堅調な需要に支えられました。また、ポリオレフィン樹脂向けもEV関連他への用途拡大もあり販売が順調に拡大しました。
樹脂添加剤全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、販売数量の増加により、前年同期に比べ増収増益となりました。
② 情報・電子化学品
半導体向けでは、IoTや5G通信の普及拡大に伴うデジタル機器の高機能化やデータセンター投資の拡大を背景に、最先端のDRAMに使用される高誘電材料、NAND向け製品の販売が好調に推移しました。また、EUVやArFなどの最先端のフォトレジスト向けに光酸発生剤の販売が順調に拡大しました。
ディスプレイ向けでは、テレビの巣ごもり需要一巡や電子部品不足の影響もあり、市場でのパネルの供給過剰感が出始めたもののパネル生産が高水準で推移し、液晶ディスプレイ用エッチング薬液、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤の販売が好調に推移しました。
情報・電子化学品全体では、販売数量の増加により、前年同期に比べ増収増益となりました。
③ 機能化学品
自動車向けでは、半導体等の部材不足による自動車減産の影響を受けましたが、前年同期比ではエンジンオイル用潤滑油添加剤やタイヤ用スチールコード伸線潤滑剤、特殊エポキシ樹脂やエポキシ樹脂接着剤の販売が好調に推移しました。
一般工業向けでは、インバウンド需要の低迷が続き化粧品原料の販売が低調でしたが、建築塗料向けに反応性乳化剤の販売は国内外で好調に推移しました。また、プロピレングリコール類は工業用、パーソナルケア用ともに好調に推移しました。
機能化学品全体では、原料価格高騰や物流混乱の影響を受けましたが、販売数量の増加と一部製品の価格改定により、前年同期に比べ増収増益となりました。
(食品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ41億53百万円(同+8.1%)増収の553億47百万円となり、営業利益は前年同期に比べ4億20百万円(同△58.2%)減益の3億1百万円となりました。
製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング、フィリング類は、中国での電力問題やアジア各国での断続的な人流抑制策の影響により海外販売が伸び悩みましたが、国内での菓子パン需要回復等により前年同期に比べて販売は堅調に推移しました。利益面ではパーム油等の植物性油脂に加え、動物性油脂の価格が軒並み記録的な高値圏で推移した影響を受け、国内外ともに極めて厳しい状況となりました。食品ロス削減に貢献する「マーベラス」シリーズは、パン等の買い置きニーズの拡大や冷凍・冷蔵など新たな用途でおいしさが持続する機能性が評価され、販売が順調に拡大しました。
洋菓子用では、量販店やコンビニのデザート向けにホイップクリームの販売が好調に推移しました。
食品事業全体では、原料価格高騰に伴う価格改定により増収となりました。一方、利益面は販管費などの固定費圧縮、工場での生産性向上と機能性素材の販売増加に努めましたが、原料価格高騰分をカバーするには至らず前年同期に比べ大幅な減益となりました。
(ライフサイエンス事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ95億32百万円(同+22.8%)増収の512億76百万円となり、営業利益は前年同期に比べ12億93百万円(同+108.5%)増益の24億86百万円となりました。
農薬は、国内では、主力自社開発品目の販売は堅調に推移しましたが、一部品目の取り扱い終了の影響等から国内全体の売上高は前年同期を下回りました。海外では、北米での害虫多発に伴う殺ダニ剤の需要拡大等もあり、米州、アジアなどでの販売が好調でした。
医薬品は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から来院患者数が低迷したことなどにより外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が低調に推移しました。
ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売の拡大により、前年同期に比べ増収増益となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は4,596億5百万円(前連結会計年度比+5.0%)となり、前連結会計年度末に比べ219億48百万円の増加となりました。
主な要因は、商品及び製品の増加です。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における総負債は1,727億77百万円(同+4.0%)となり、前連結会計年度末に比べ66億5百万円の増加となりました。
主な要因は、支払手形及び買掛金の増加です。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は2,868億28百万円(同+5.7%)となり、前連結会計年度末に比べ153億43百万円の増加となりました。
主な要因は、利益剰余金の増加です。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① グループ戦略課題
先進国の財政支援策やワクチン接種の進展により世界経済は緩やかな回復基調で推移することを見込んでいますが、より感染力の強い変異ウイルスの流行や深刻化する米中対立の動向、資源価格の変動が及ぼす影響等、多くの不確実性を孕んでおり、当社を取り巻く環境においても予断を許さない状況にあります。
当社グループの主要対象分野である自動車関連分野は、半導体不足の長期化による減産の影響が強く懸念されますが、通期では中国や米国を中心に生産台数の回復を見込んでいます。IT・家電分野は、5G通信を利用したサービスの拡大、デジタルインフラの整備が進み、これに適応する形で製品開発が加速することを見込んでいます。食品分野は、土産物・外食産業の回復は限定的である一方、内食・中食需要の拡大やEコマースの普及により、新しい生活様式・販売チャネルに対応した製品開発が活発化することを見込んでいます。
このような状況のなか、中期経営計画『ADX 2023』の基本戦略として掲げる「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」をグループ一丸となって推進し、『ADX 2023』最終年度の経営目標の達成を目指してまいります。
なお、前連結会計年度の有価証券報告書で記載した内容から重要な変更はありません。
② 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に変更はありません。
当社の基盤技術を活用して、CSR優先課題やSDGs達成に貢献する新製品の研究開発を推進しています。また、国内及び海外開発拠点も含めたグループ間の連携を強化し、市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えることで、既存事業の拡大にも努めています。成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、103億85百万円です。
なお、新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕在化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。
① 化学品事業
既存事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。
i) 樹脂添加剤分野
電気自動車用のバッテリー周辺部材や家電の内部部品など金属代替を目的とした用途を中心に、ガラス繊維強化ポリプロピレン向けの難燃剤「FP-2500S」の採用が増加しました。
自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に使用される環境対応型製品「アデカシクロエイド」は、昨年の上市以来、ユーザーでの評価件数が順調に増加しています。
ⅱ) 情報・電子化学品分野
半導体向けでは、最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。また、EUVを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤の採用が加速しています。
ⅲ) 機能化学品分野
自動車向けでは、電気自動車のモーターなどに使われる電磁鋼板向けの水系樹脂を開発し、実績が拡大しています。
水系塗料や粘接着剤に用いられるアクリル樹脂エマルジョン用の反応性乳化剤「アデカリアソープ」では、欧州の防腐剤フリートレンドに適合した新製品を上市し、海外大手メーカーでの実績が拡大しています。また、水系防食塗料向けの開発品はユーザー評価が進展し、従来、水系塗料では困難とされた防食塗料の水系化手段を提供することで、溶剤系製品からの転換を促進しVOC削減に貢献します。
② 食品事業
食品ロス削減や労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達など、社会課題への対応をはじめ、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題を捉え、ニーズに即した新製品開発を行っています。
2021年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~世の中の変化と課題に対応~」をテーマに、以下を中心とした7製品をラインナップしました。なお、2020年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては、持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。
i) 加工油脂分野
パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂『マーベラス』シリーズのアイテム拡充を図りました。冷凍・冷蔵で販売されるパンに向けて電子レンジで加熱した際の品質低下を抑制する「マーベラスSL」を、リテールベーカリーに向けて焼き立てパンのおいしさを保持する「マーベラスアソシエ」を上市しました。加えて、プラントミルクとして人気のアーモンドミルク風味のファットスプレッド「ソルクリーム(アーモンドミルク)」を上市しました。
ⅱ) 加工食品分野
冷凍・解凍後もおいしさを保持できるフローズンチルド製品向けホイップクリームの拡充アイテムとして、濃厚なガナッシュ風味を付与した「ガナッシュホイップFC」を上市しました。また、労働力不足への対応の一助となるよう、湯煎焼きをせず、直焼きでもスフレ製品が簡便に作れる機能性練込用素材「リスエール」を上市しました。
“おいしさ”はもちろん、社会の変化に応じて浮上する様々な社会課題の解決に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。
③ ライフサイエンス事業
連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
当期における主な成果は以下の通りです。
2021年9月に新規殺虫剤の登録に向けた開発をさらに進めていくことを決定いたしました。
日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2020年9月に日本で農薬登録を取得し、2021年5月に販売を開始いたしました。インドでも2019年2月に登録申請を完了し、順調に評価が進んでおり、2022年の登録取得を見込んでいます。
④ 新規事業分野
特に「ライフサイエンス」、「環境・エネルギー」の各分野において、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。
i) ライフサイエンス分野
臓器・創傷修復など、多用途への展開を検討している脱細胞化ウシ心のう膜は、国内外での認証取得のための申請に向けた試験データの取得やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
ⅱ) 環境・エネルギー分野
次世代二次電池用途では、グラフェンのサンプル配布に向けて、三重工場に設置したパイロット設備において溶剤分散液グレードの試作を開始しました。一方で、水系分散液の開発にも着手しています。硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」は、硫黄含量を高めたグレードを開発し、サンプル提供の目処を得ました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針についての変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。