当第1四半期連結累計期間において、事業等のリスクについての重要な変更及び新たに発生した重要なリスクはありません。
(1) 業績等の概要
当第1四半期連結累計期間(2022年4月1日から同年6月30日)における世界経済は、経済社会活動の正常化が進むなかで緩やかな回復基調が持続しましたが、ウクライナ情勢の悪化、中国でのロックダウン及び原燃料価格の高騰に加え、主要国でのインフレ進行等から、先行きに対する不透明感が増す状況となりました。
当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、半導体をはじめとする供給制約により自動車生産が伸び悩み、販売回復のペースが鈍化しました。ICT・家電分野は、生活防衛意識の高まりによりテレビやスマートフォンの販売が伸び悩みましたが、IoTや5G通信の普及拡大を背景にデータセンター投資が続きました。食品分野は、行動制限の緩和により土産物や外食の需要が持ち直したものの、家計全般の物価上昇に伴い消費者の節約志向・低価格志向が一層強まりました。ライフサイエンス分野は、国内では春の当用期を迎え農薬市場は堅調に推移しました。海外では、北米で干ばつや厳冬による作付遅延の影響等により農薬需要が弱含んだものの、ブラジルで主要作物の作付面積が拡大していることから、農薬需要は総じて堅調に推移しました。
このような状況のなか、中期経営計画『ADX 2023』の2年目となる2022年度は、社会価値と経済価値の追求による企業価値向上に向けて、引き続き「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」の3つの基本戦略のもと施策を推し進めています。
情報・電子化学品では、2022年7月に先端半導体メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズの韓国での増産投資を決定しました。食品では、2022年4月からプラントベースフードの新ブランド「デリプランツ」シリーズの販売を開始し、今後成長が見込めるプラントベース市場に参入しました。気候変動問題への取り組みでは、カーボンニュートラルの実現とSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた新たな組織体制を構築・強化し、2022年4月から始動しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ177億円(前年同期比+21.1%)増収の1,017億18百万円となり、営業利益は前年同期に比べ1億28百万円(同+1.4%)増益の90億60百万円、経常利益は前年同期に比べ11億89百万円(同+12.9%)増益の104億37百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期に比べ1億86百万円(同+3.1%)増益の61億37百万円となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間より、一部の在外子会社等の収益及び費用は、決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、遡及適用後の数値で前年同期比較を行っています。
<報告セグメントの概況>
(化学品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ75億68百万円(同+15.8%)増収の555億97百万円となり、営業利益は前年同期に比べ1億37百万円(同+1.9%)増益の72億1百万円となりました。
① 樹脂添加剤
自動車向けでは、半導体不足等による減産の影響を受け、核剤、ゴム用可塑剤の販売数量が前年同期を下回りましたが、販売価格の改定により増収となりました。
建材向けでは、北米で床材をはじめとする住宅内装材の需要が継続し、塩ビ用安定剤の販売が好調に推移しました。また、錫価格の高騰や東南アジアにおける鉛系安定剤の規制強化を背景に、インフラ用途で重金属フリー安定剤の販売が好調に推移しました。
食品包装向けでは、テイクアウトやデリバリーといった中食需要の拡大を捉え、米国を中心に透明化剤の販売が好調に推移しました。
プラスチック製品に広く使用される酸化防止剤は、競合品の供給トラブル解消による競争激化もあり販売数量が前年同期を下回りましたが、販売価格の改定により増収となりました。
難燃剤は、家電やパソコン等の需要の落ち込みにより、筐体等に使用されるエンジニアリングプラスチック向けの販売が低調でした。
樹脂添加剤全体では、原料価格高騰の影響を受けましたが、販売価格の改定と為替の影響もあり、前年同期に比べ増収増益となりました。
② 情報・電子化学品
半導体向けでは、デジタル化の進展を背景に最先端のDRAMに使用される高誘電材料の販売が好調に推移しました。また、NAND向け製品の販売も堅調に推移しました。EUVやArF等の最先端のフォトレジストに使用される光酸発生剤の販売が堅調に推移しました。
ディスプレイ向けでは、パネルの供給余剰感からパネルメーカーの生産調整の影響を受け、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤、ブラックマトリクスレジスト等の販売が低調に推移しました。
情報・電子化学品全体では、半導体材料の販売拡大により前年同期に比べ増収となりましたが、利益面はディスプレイ関連材料の販売数量減少が影響し減益となりました。
③ 機能化学品
自動車向けでは、半導体不足等による減産の影響を受け、国内需要が落ち込みましたが、米国を中心とした海外需要の増加により、エンジンオイル用潤滑油添加剤や構造接着用特殊エポキシ樹脂の販売が好調に推移しました。
化粧品向け特殊界面活性剤は、国内外で市況が緩やかながらも持ち直し、販売が回復しました。一方、プロピレングリコール類や過酸化製品は、販売は堅調でしたが、原燃料価格高騰の影響を受けました。
機能化学品全体では、原燃料価格高騰に対し販売価格の改定に努めましたが、コスト上昇をカバーできず、前年同期に比べ増収減益となりました。
(食品事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ23億64百万円(同+13.2%)増収の202億95百万円となり、営業損失は前年同期に比べ11億51百万円減益の8億74百万円(前年同期は2億77百万円の営業利益)となりました。
製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング、フィリング類は、中国でのロックダウンの影響を受けましたが、国内で菓子パンや大袋菓子の需要が増加し販売が堅調に推移しました。機能性マーガリン「マーベラス」シリーズは、社会全体での食品ロス削減の動きや買い置きニーズが高まるなかで、おいしさの持続と消費期限延長に寄与する機能性が評価され、販売が順調に拡大しました。また、行動制限の緩和により観光需要が持ち直し、土産菓子用にフィリング類の販売が堅調でした。
食品事業全体では、原料価格高騰に伴う販売価格の改定により前年同期に比べ増収となりました。一方、利益面は度重なる原料価格の上昇に販売価格の改定が追いつかず、また副原料・包材、用役、物流費の高騰や為替の円安進行が追い打ちとなり営業損失となりました。
(ライフサイエンス事業)
当事業の売上高は前年同期に比べ75億9百万円(同+45.5%)増収の240億14百万円となり、営業利益は前年同期に比べ11億32百万円(同+80.0%)増益の25億46百万円となりました。
農薬は、国内では2021年10月からコルテバ社製品の販売を開始したこと等から、国内全体の売上高は前年同期を上回りました。海外では、温暖な気候が続いた北米でダニが例年より多く発生し、殺ダニ剤の販売が好調に推移しました。また、ブラジルで農薬需要が増加したことにより、サトウキビ用除草剤の販売が好調でした。
医薬品は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から来院患者数が低迷したこと等により、外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が低調に推移しました。
ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売拡大により前年同期に比べ増収増益となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は4,965億51百万円(前連結会計年度比+4.5%)となり、前連結会計年度末に比べ212億47百万円の増加となりました。
主な要因は、棚卸資産の増加です。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における総負債は1,925億29百万円(同+7.9%)となり、前連結会計年度末に比べ140億96百万円の増加となりました。
主な要因は、支払手形及び買掛金の増加です。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は3,040億22百万円(同+2.4%)となり、前連結会計年度末に比べ71億51百万円の増加となりました。
主な要因は、為替換算調整勘定の増加です。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、当第1四半期連結累計期間において、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の見直しを行いました。
〔中期経営計画(2021-2023年度)『ADX 2023』経営指標〕
※1 適切な還元を総合的に勘案し、安定配当の維持を基本とする。
※2 カーボンニュートラルの実現に向けた環境投資を含む。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① グループ戦略課題
当第1四半期連結累計期間において、グループの戦略課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
② 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に変更はありません。
(5) 研究開発活動
第161期(2022年度)の研究開発方針として、
ⅰ) 持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する研究開発を推進する。
ⅱ) 戦略製品を中心とした市場開発・新製品開発に注力し、更なる事業拡大へ繋げる。
ⅲ) エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域での新規事業創出を加速する。
ⅳ) カーボンニュートラルの実現をADEKAグループの目標として意識し、研究開発による取り組みを本格化する。
の4項目を掲げて研究開発活動を推進しています。当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、33億63百万円です。
① 化学品事業
既存事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。
ⅰ) 樹脂添加剤分野
食品容器のテイクアウト需要や医療容器のCOVID-19対応に関連して、透明性と剛性に優れるPP容器の軽量・薄肉化技術を市場に提案、各地域で評価されています。
環境対応型製品アデカシクロエイドでは、バイオマス原料を活用した塩ビ用可塑剤や、リサイクルプラスチックに従来のプラスチックと同等もしくはそれ以上の機能を付与する添加剤パッケージを開発しました。ユーザーでの評価が順調に進展するのと並行して、更なる製品のラインナップの拡充を図っています。
ⅱ) 情報・電子化学品分野
半導体向けでは、最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。ロジック半導体向けの新規ALD材料もユーザーでの性能評価が進展しています。また、EUVを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤や関連材料の採用が拡大しています。
ⅲ) 機能化学品分野
高強度の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品を効率よく生産できる技術「ファイバーtoコンポジット(F to C)成形プロセス」の市場開発を開始しました。また、自動車・モビリティ用、風力発電の風車ブレード用、コンストラクション用に素材の特徴を活かしたソリューションをユーザーに紹介しています。
化粧品原料では、グリコール系保湿剤「アデカノールCGE eco」やウレタン皮膜形成剤「アデカノールOU-2 eco」といった天然由来原料からなる製品群を開発し、ユーザーへの提案を進めました。
② 食品事業
カーボンニュートラルをはじめとする環境配慮、食品ロス削減、労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達などの社会課題や、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題に対して、市場ニーズを捉えた新製品開発を行っています。
2022年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~持続可能な社会の実現~」をテーマに、以下の製品を中心とした7製品をラインナップしました。2021年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。
ⅰ) プラントベースフード※「デリプランツ」シリーズ
従来のプラントベースフードのイメージを一新する“おいしさ”と“使いやすさ”を実現するために、高品質な植物性原料の選定と独自の風味・物性構築手法の研究開発を推進し、新ブランド「デリプランツ」シリーズの第1弾として4製品を上市しました。(ⅰ)高濃度のため少量で効果的に使用できる「デリプランツオーツミルク」、(ⅱ)作業性の良さと焼き残り・冷凍耐性を持つ「デリプランツ チーズ(クリーミー)」、(ⅲ)良好な作業性と保形性を持つ「デリプランツ ホイップ」、(ⅳ)コクのあるプラントベースフードが作れる「デリプランツ マーガリン」を用いて、単品だけでなく4製品を組み合わせたアプリケーションを開発しています。今後もシリーズラインナップを拡充し、市場への浸透を図ってまいります。
※弊社では、原材料および食品添加物に動物性原料を直接配合していない製品を「プラントベース」と表記しています。
ⅱ) 「マーベラス」シリーズ
パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂「マーベラス」シリーズが引き続き好評を得ています。焼きたてのおいしさが持続する「マーベラス」、レンジ加熱耐性のある「マーベラスSL」、リテール向けのポンドタイプ「マーベラスアソシエ」の既存3製品に続き、パンをボリュームアップさせながらも保型性の向上によりきれいな外観を保たせ、物流・陳列時のロスを減少させる「マーベラスV」を上市しました。今後、ユーザーの用途に合わせて4製品での展開を進めてまいります。
③ ライフサイエンス事業
連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。
当期における主な成果は以下の通りです。
2021年9月に国内開発を機関決定した新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)は、登録に向けた開発を進めています。本剤は、チョウ目およびコウチュウ目害虫など幅広い殺虫スペクトルを示し、浸透移行性にも優れ、既存剤抵抗性害虫に対しても高い効果を示すことから、汎用性に優れた新規有効成分です。そのため様々な対象害虫や処理方法での委託試験を実施予定であり、利便性の高い害虫防除資材となるように国内開発を進めてまいります。
④ 新規事業分野
エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域において、組織の壁を越えた技術を融合し、ADEKAグループの強みを活かした新規事業創出を推進しています。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。
i) ライフサイエンス分野
臓器修復など、多用途への展開を検討している脱細胞化ウシ心のう膜は、国内外の医療関係者へのヒアリング調査を実施するとともに、医療機器としての認証取得に向けた試験やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
ⅱ) 環境・エネルギー分野
硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」は、硫黄含量を高めたグレードのユーザーでの性能評価が進展しています。相馬工場に設置したパイロット設備の生産能力を増強しながら、量産技術の確立を進めています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
当第1四半期連結累計期間において、経営者の問題認識と今後の方針についての変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。