第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、米国の堅調な景気回復が続き、欧州経済も緩やかな回復基調の下で推移しましたが、年後半は、日・米・欧の金融政策の影響や中国を中心とした新興国の経済減速、原油をはじめ資源価格の大幅下落や地政学的リスクの高まりなどにより不透明感が拡大しました。わが国経済も、緩やかな回復基調を持続したものの、足元は個人消費が伸び悩むとともに、新興国の需要の減速や急速な円高進行が企業業績に影響を与え始め、先行き不透明な情勢となっております。

このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の売上高は、海外事業の拡大により555,227百万円(前連結会計年度(以下、前期)比0.6%増)と6期連続の増収となり、過去最高の売上高となりました。また、営業利益は38,220百万円(前期比55.1%増)、経常利益は33,038百万円(前期比33.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,985百万円(前期比16.4%増)といずれも大幅な増益となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

① 化成品事業

塩化ビニール樹脂は、国内需要は低調に推移しましたが、円安や原料価格の下落を背景として海外向け販売が好調に推移しました。塩ビペースト樹脂は、海外向け販売が増加しました。また塩素化塩ビは、米国における生産能力増強が販売に寄与しました。か性ソーダは、国内需要が低調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は103,430百万円と前期比7,285百万円(6.6%減)の減収となりましたが、営業利益は5,568百万円と前期比2,640百万円(90.2%増)の増益となりました。

 

② 機能性樹脂事業

モディファイヤーは、製品差別化力の向上とグローバルな取り組みを強化すると共に、非塩ビ用途向けなど新製品の市場開発を進めたことで、収益が拡大しました。変成シリコーンポリマーは、オンリーワン製品としてユニークな品質特性への評価が高く、建築用途などでの他素材からの置き換えに加え、欧米及びアジア市場での販売が拡大しました。また、当第4四半期連結会計期間よりセメダイン㈱を連結子会社化しました。資本関係の強化により、今後高成長が期待される市場のニーズを的確に捉えた製品開発を積極的に進めてまいります。

以上の結果、当セグメントの売上高は98,385百万円と前期比2,998百万円(3.1%増)の増収となり、営業利益は15,117百万円と前期比3,824百万円(33.9%増)の増益となりました。

 

③ 発泡樹脂製品事業

発泡スチレン樹脂・成型品は、農水産分野および土木分野を中心に販売が堅調に推移し、原料価格の下落及びコストダウン効果も寄与して収益が拡大しました。押出法発泡ポリスチレンボードは、住宅関連市場の回復のペースが遅く、前年並みの販売数量となりました。ビーズ法発泡ポリオレフィンは、中国経済の減速の影響を受けたものの、欧州市場での自動車分野向けの販売数量が増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は65,148百万円と前期比924百万円(1.4%減)の減収となりましたが、営業利益は6,310百万円と前期比1,889百万円(42.8%増)の増益となりました。

 

④ 食品事業

食品は、国内需要の伸び悩みと低価格志向が継続する中で、消費者のニーズを先取りした新製品の開発・販売に注力し、販売数量の拡大と製品ミックスの高付加価値化に努めると共に事業構造改革を着実に進めた結果、事業採算は大きく改善しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は144,960百万円と前期比5,231百万円(3.7%増)の増収となり、営業利益も3,748百万円と前期比1,941百万円(107.4%増)の増益となりました。

 

 

⑤ ライフサイエンス事業

医療機器は、インターベンション事業の国内・海外向けの販売が堅調に推移し、欧米などグローバル市場での新製品の販売拡大や、消化器内治療など新領域への事業拡大、また他社との共同事業にも注力しました。医薬品は、中間体の販売数量が増加し、API(医薬品としての有効成分を有する原体)やバイオロジクス分野における販売も順調に拡大しました。機能性食品素材は、サプリメント市場におけるヘルスケア効果の認知が一段と進み、日本では機能性表示食品制度がスタートしたことも背景に、海外市場、日本市場ともに着実に販売数量が増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は58,922百万円と前期比5,522百万円(10.3%増)の増収となり、営業利益は11,723百万円と前期比2,381百万円(25.5%増)の増益となりました。

 

⑥ エレクトロニクス事業

超耐熱ポリイミドフィルム、超高熱伝導グラファイトシート、光学材料は、全般的にスマートフォン市場の需要低迷の影響を大きく受けました。その中で超高熱伝導グラファイトシートは、スマートフォンメーカーでの採用モデルの増加により販売数量が増加しました。太陽電池は、世界最高レベルの変換効率を誇るヘテロ接合技術を用いた新製品の販売を開始するなど技術開発に注力すると同時に、事業構造改革を引き続き進め、採算が改善しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は39,123百万円と前期比3,625百万円(8.5%減)の減収となり、営業利益は19百万円と前期比963百万円の増益となりました。

 

⑦ 合成繊維、その他事業

合成繊維は、アフリカ市場での頭髪分野向けの旺盛な需要が持続する中で、当社の品質・ブランド力により好調な販売を継続しました。また円安が続いたことも寄与し、収益が大幅に拡大しました。マレーシアにおける新工場につきましては、早期の稼働に向けた取り組みに注力しております。

以上の結果、当セグメントの売上高は45,257百万円と前期比1,121百万円(2.5%増)の増収となり、営業利益は15,658百万円と前期比3,527百万円(29.1%増)の増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ 15,141百万円増加し、43,161百万円となりました。

区分毎の概況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、59,704百万円(前期比26,101百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益30,601百万円、減価償却費26,438百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額5,386百万円等による資金の減少がその主な内容です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、40,751百万円(前期比2,537百万円増)となりました。有形固定資産の取得による支出38,552百万円がその主な内容です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、3,551百万円(前期比2,747百万円増)となりました。借入による資金の増加5,383百万円と、配当金の支払5,344百万円、自己株式の取得による支出3,584百万円による資金の減少がその主な内容です。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

化成品

93,147

△5.1

機能性樹脂

94,009

3.2

発泡樹脂製品

47,745

△3.7

食品

72,645

1.4

ライフサイエンス

62,558

23.0

エレクトロニクス

44,143

△5.9

合成繊維、その他

44,817

6.3

合計

459,067

1.9

 

(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。

2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

化成品

103,430

△6.6

機能性樹脂

98,385

3.1

発泡樹脂製品

65,148

△1.4

食品

144,960

3.7

ライフサイエンス

58,922

10.3

エレクトロニクス

39,123

△8.5

合成繊維、その他

45,257

2.5

合計

555,227

0.6

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 当面の対処すべき課題の内容等

当社グループは、平成21年に策定した長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』において、『人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。』を企業理念と定め、市場ニーズを先取りした事業創造・新製品開発を行い、地球環境とゆたかな暮らしに貢献し、共に未来を創りだしていく「先見的価値共創グループ」“Dreamology Company”として、新興国を含めた世界の市場で存在感のある真のグローバル企業を目指しております。

「環境・エネルギー」「健康」「情報通信」「食料生産支援」を重点戦略分野と位置づけ、経営の重点施策として、①研究開発型企業への進化、②グローバル市場での成長促進、③グループ戦略の展開、④アライアンスの推進、⑤CSRの重視、に取り組むとともに、事業ポートフォリオの変革と成長領域への事業シフトに注力し、長期経営ビジョンに掲げた新たな成長・飛躍の実現を目指しております。中期経営計画においては、R&Dの強化による新規事業の創出とグローバルな飛躍に注力し、事業構造を変革させ、当社グループの変革と成長を加速してまいります。

長期経営ビジョンで掲げた諸施策やグループ業績目標を実現していく上で、既存事業の一層の強化と新規事業の早期戦力化による収益力向上、市場・顧客志向に立脚したビジネスモデルへの変革、製造・研究・技術・営業を含めたバリューチェーン全体のコストパフォーマンスの向上、現地視点に立脚したグローバル化の加速、を当面の課題として位置づけております。そして、これらの諸課題を解決して魅力ある企業像と競争力のある事業構造の実現に取り組み、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの期待に応え、高く評価される企業に変革してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社が公開会社である以上、当社の株式が市場で自由に取引されるべきことは当然であり、仮に当社取締役会の賛同を得ずに、いわゆる「敵対的買収」がなされたとしても、それが企業価値ひいては株主共同の利益につながるものであるならば、これを一概に否定するものではありません。しかし、当社株式に対する大規模な買収行為が行われる場合には、株主に十分な情報提供が行われることを確保する必要があると考えます。また、もっぱら買収者自らの利潤のみを追求しようとするもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう敵対的かつ濫用的買収が当社を対象に行われた場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために、必要・適正な対応策を採らなければならないと考えております。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み

イ.長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』

当社は、平成21年に創立60周年を迎えて、2020年(平成32年)に向けた長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』を策定いたしました。この中で、カネカグループの抜本的な「変革」と継続的な「成長」をめざし、「環境・エネルギー」「健康」「情報通信」「食料生産支援」を重点戦略分野と位置づけ、経営の重点施策として、(ⅰ)研究開発型企業への進化、(ⅱ)グローバル市場での成長促進、(ⅲ)グループ戦略の展開、(ⅳ)アライアンスの推進、(ⅴ)CSRの重視、に取り組んでおります。

 

ロ.中期経営計画

平成28年度は、カネカグループは新たな成長ステージに入っており、長期経営ビジョンの実現に向けて、「変革」と「成長」を目標に、3ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。

ポイントは以下のとおりです。

ⅰ.「研究開発」と「グローバル化の推進」を成長ドライブとして、事業ポートフォリオの変革を加速します。

・オープンイノベーションを推進し、機能性樹脂、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域における新規・既存両分野で事業拡大を図ります。

・有機EL照明、バイオポリマー、オプトエレクトロケミカルズ、再生・細胞医療、バイオ医薬等の大型新規事業の立ち上げに注力し、新製品売上高を伸張させていきます。

・米州、欧州、アジアにおける地域統括会社において、地域本社機能を強化し、現地視点に立った地域戦略の遂行により、新市場の開拓や社外資源の活用等迅速に進め、海外売上高をさらに伸ばしていきます。

ⅱ.優れた技術と素材開発を進め、ソリューションを提供できるメーカーを目指します。

・環境保護や省エネルギー化を実現する製品や技術開発を積極的に推進します。太陽電池をはじめ住宅関連の差別化した部材・工法を活かし、住宅のゼロエネルギー化に貢献するシステムやソリューションの提供により高品質でサスティナブルな住宅市場創出に貢献します。

・医療器、医薬品原料等のグローバル展開や機能性食品素材のラインアップの拡充により、世界の人々の健康に貢献します。

ⅲ.当社の「変革」と「成長」を牽引するグローバルに活躍できる人材、リーダーシップを発揮できる人材の育成を重要な経営課題と位置づけ、育成プログラムを拡充します。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、引き続き当社の中長期にわたる企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「本プラン」といいます)の継続を、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会において株主のみなさまにご承認いただいております。本プランの概要は以下のとおりです。

イ. 本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等に対する買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます)を対象とします。

ロ. 当社の株券等に対する大規模買付行為を行おうとする際に遵守されるべき所定の手続(以下、「大規模買付ルール」といいます)を予め定めておいて、当該大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報提供を求め、当該大規模買付行為についての情報収集・検討を行い、また株主のみなさまに対して当社取締役会としての意見や代替案等を提示する、あるいは買付者との交渉を行っていく機会と時間を確保します。

ハ. 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当社に回復しがたい損害を与えるなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、当該大規模買付行為に対する対抗措置として新株予約権の無償割当を行うことがあります。

ニ. 当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、当社取締役会から独立した組織である特別委員会に対し、対抗措置の発動の可否を諮問します。対抗措置の発動の可否は、当社取締役会の決議によりますが、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重いたします。また、当社取締役会が株主の皆様の意思を確認することが適切であると判断した場合には、株主総会を招集し、対応措置発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。

ホ. 本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までとします。

 

 

④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由

当社取締役会は、前号の取組みが、本基本方針に沿うものであること、当社の株主の共同の利益を損なうものではないこと、及び当社の会社役員の地位を維持するものでないこと、という三つの要件に該当すると判断しております。その理由は、以下に記載するとおりであります。

 

イ. 本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しております。また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。

ロ. 本プランは、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が適切なものであるか否かを株主のみなさまが判断するために必要な情報や時間を確保し、株主のみなさまのために交渉を行うことなどを可能とすることで、株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されたものです。

ハ. 本プランは、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会で、株主のみなさまのご承認をいただいております。また、本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までと設定されておりますが、その時点までに当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主のみなさまの意向が反映されるものとなっております。

ニ. 社外取締役、社外監査役または社外有識者から構成される特別委員会によって当社取締役の恣意的行動を厳しく監視し、その勧告の概要及び判断の理由等は適時に株主のみなさまに情報開示することとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの運用が行われる仕組みが確保されております。

ホ. 本プランは、大規模買付行為に対する対抗措置が合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されております。

ヘ. 特別委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家の助言を得ることができるとされており、特別委員会の判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっております。

ト. 本プランは、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。さらに、当社は取締役の任期を1年としており、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 当社事業の優位性の確保と国内外の経済環境の動向に係るリスク

当社グループは、高分子技術及び発酵技術を基礎とし、それらの技術を複合・融合させることで、多岐にわたる分野で高付加価値製品を開発、商品化し、継続的に新規市場の開拓を行うことで、事業の優位性を確保しております。同時に、競合他社の参入による価格競争の激化、収益力の低下や製品の汎用化等により需要が減退した事業や製品については、事業の撤退や構造改革を推し進めることで、経済環境の動向に左右されない企業体質の確保に努めております。しかしながら、急激な経済環境の悪化や当社技術の陳腐化等により、予期しないスピードで当社製品に対する需要が減少した場合には、これらの施策が必ずしも成功するとは限らず、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 事業のグローバル化に伴うリスク(為替変動、海外事業展開)

当社グループは、経営戦略のひとつとしてグローバル化の推進を掲げております。海外における事業活動には、予期できない法律、規制、税制などの変更や移転価格税制による課税、テロ・戦争などによる社会的、政治的混乱などのリスクを伴っており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。また、為替レートの変動が、当社グループの業績に重要な影響を与える構造となっていることから、当社グループとしては、このリスクを最小化することを目的として、輸出入取引については必要な範囲で為替予約などのヘッジ策を講じております。しかしながら、急激な為替変動により、当社グループの財政状態及び経営成績にヘッジすることができない影響をこうむる可能性があります。

 

(3) 原燃料価格の変動に係るリスク

当社グループは、原燃料の調達に当たっては中長期の契約とスポット市場での購入を組み合わせ最有利な調達を行う体制を構築しておりますが、その多くは国際市況商品であることから、予想を超えて急激に購入価格が変動した場合、価格上昇分についてコストダウン、価格転嫁などによって吸収することができないリスクがあります。特に、塩ビ・ソーダ、モディファイヤー、発泡樹脂製品、食品などは石化原料、燃料、油脂原料などの価格動向によっては、財政状態及び経営成績に大きな影響が生じる可能性があります。

 

(4) 製造物責任・産業事故・大規模災害に係るリスク

当社グループは、安全に流通し、安全に使用できる製品の提供に万全の対策を講じております。加えて、万一製品事故が発生した場合に備えることを目的に当社グループ全体をカバーする賠償責任保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ品質問題などによる大規模な製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループは安全を最優先に保安防災に取り組んでおりますが、想定外の産業事故や地震などの大規模災害により主要な製造設備が損壊し、財物保険のカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。このような状態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(5) 知的財産権の保護に係るリスク

当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略を取っております。しかしながら、グローバル化や情報技術の進展などにより、開発した技術やノウハウなどが外部へ流出するリスクや、当社の知的財産権の供与及び他社の知的財産権の使用などに関して係争が発生するリスクを完全に回避することは困難であります。このような事態が発生した場合には、当社グループの競争力が低下し財政状態及び経営成績に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(6) 環境関連規制の影響

当社グループは、企業活動が地球環境と生態系に及ぼす影響に注目して、製品の全ライフサイクルにおいて環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに努めております。一方、環境関連規制は年々強化される方向にあり、規制の内容によっては製品などの製造、保管、処分などに関連する費用が発生し当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7) 訴訟などに係るリスク

当社グループは、コンプライアンス経営を重視し、法令及び社会的ルールの遵守の徹底を図っております。しかしながら、国内外事業に関連して、訴訟、行政措置などの対象となるリスクがあり、重要な訴訟などが提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(8) その他のリスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持のため、取引先及び金融機関の株式を保有しております。これら株式の期末時の時価等が著しく下落した場合には、「金融商品に関する会計基準」の適用により、減損損失を計上する可能性があります。

固定資産については、今後、事業環境が大幅に悪化したり、保有する遊休土地の時価が更に低下した場合等には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率等の基礎率と年金資産の長期期待運用収益率に基づき計算されます。したがいまして、割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

繰延税金資産は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得等に関する予測に基いて回収可能性を検討し計上しておりますが、実際の課税所得等が予測と異なり、繰延税金資産の取崩しが必要となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

これらのほか、製品市況の変動、法的規制の変更、研究開発テーマの遅延、技術革新などが当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

(1) 事業セグメント別の主な活動

当社グループの主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

① 化成品事業

塩ビ事業では、新グレードの開発、および競争力を強化するためのプロセス開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、塩素化塩ビの製造法および品質向上につながる技術開発を進めました。

 

② 機能性樹脂事業

グローバルに事業を展開するための新しい高機能性材料の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、変成シリコーンポリマーについて新たに防水コーティング材への適用を進めました。また、当社独自の生分解性バイオポリマーは欧州での市場開発を中心に進めております。

 

③ 発泡樹脂製品事業

発泡樹脂の衝撃吸収、断熱性をさらに追求し、自動車の軽量化や建築物の断熱など、省エネルギーに貢献できる製品開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、押出法発泡ポリスチレンボードでの次世代省エネ住宅向け高断熱グレードの開発に注力しました。

 

④ 食品事業

食の多様化に貢献する新素材の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、独自の油脂改質技術を活用して素材の風味がでる油脂を開発し、クロワッサンやデニッシュに用いるロールインシートの開発に成功しました。

 

⑤ ライフサイエンス事業

醗酵、合成、高分子の技術を健康分野に適用し、医薬品有効成分(API) 、機能性食品、医療用カテーテルの開発等を行なっております。当連結会計年度は、新たに消化器用カテーテルの製品開発を進めました。また、機能性表示食品制度に対応するサプリメント商品の拡充を進めております。

 

⑥ エレクトロニクス事業

情報通信を支えるユニークな素材の開発、および住宅やビルのゼロエネルギー化に向けた製品開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、次世代ディスプレイの材料開発を進めました。また、新たに開発したヘテロ接合結晶シリコン太陽電池セルにおいては世界最高レベルの変換効率を達成しました。

 

⑦ 合成繊維、その他事業

独特の風合いと難燃性に優れた繊維「カネカロン」を世界市場で展開すべく種々の技術開発を進めています。当連結会計年度は、新しいプロセス技術を採用した新工場稼動に向け注力しました。

 

(2) 研究開発費

当連結会計年度における研究開発費は、総額で26,767百万円となりました。その内訳は、化成品事業587百万円、機能性樹脂事業2,108百万円、発泡樹脂製品事業487百万円、食品事業806百万円、ライフサイエンス事業3,245百万円、エレクトロニクス事業1,540百万円、合成繊維、その他事業526百万円及び特定のセグメントに区分できない基礎的研究開発費17,466百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3,038百万円、0.6%増加いたしました。海外売上高は、グローバルな事業基盤強化により217,412百万円と前連結会計年度比6,347百万円(3.0%増)の増収となりました。地域別にはアジア、北米、欧州すべての地域が増収となり、海外売上高比率は、39.2%と前連結会計年度(38.2%)を上回りました。セグメント別では、売上高は、機能性樹脂事業、食品事業、ライフサイエンス事業、合成繊維、その他事業が増収、化成品事業、発泡樹脂製品事業、エレクトロニクス事業が減収となりましたが、営業利益は、主力製品を中心とした販売数量の拡大と収益性の向上により全セグメントで増益となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、設備投資拡大に伴なう有形固定資産の増加等により前連結会計年度末に比べて19,288百万円増の577,251百万円となりました。負債は、退職給付に係る負債の増加等により前連結会計年度末に対して19,792百万円増加し268,528百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金が増加しましたが、退職給付に係る調整累計額等の減少により、前連結会計年度末に対し504百万円減の308,722百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.6%、D/Eレシオは0.39となりました。

なお、ROA(総資産経常利益率)は5.8%となり前連結会計年度(4.6%)を上回りました。ROE(自己資本純利益率)は7.1%となり前連結会計年度(6.3%)を上回りました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。