第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度(以下、当期)の世界経済は、米国は好調であったものの、英国のEU離脱問題、トランプ大統領の誕生など企業心理への影響が懸念される状況となりました。欧州や、新興国・資源国の景気は持ち直しつつありますが、全体としては不安定な展開となりました。わが国経済は、円高の影響や個人消費の伸び悩みがみられました。

このような状況のもと、当社グループの当期の業績は、海外市場を中心に新製品やスペシャリティの高い製品の拡販が順調に進み、化成品事業、機能性樹脂事業、ライフサイエンス事業が堅調に推移するとともに、食品事業は新製品の拡販と事業構造改革の進展により収益が拡大しました。エレクトロニクス事業及び合成繊維事業は、円高の進行や需要回復の遅れなどの影響を受け低調でした。

事業ポートフォリオの変革を目指し、引き続き高水準な研究開発活動(未来への投資)を続けています。

以上の結果、売上高は548,222百万円(前連結会計年度(以下、前期)比1.3%減)と前期実績を若干下回りました。営業利益は33,164百万円(前期比13.2%減)、経常利益は27,426百万円(前期比17.0%減)とそれぞれ減益になりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は20,484百万円(前期比2.4%減)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

① 化成品事業

当セグメントの売上高は96,631百万円と前期比6,798百万円(6.6%減)の減収となりましたが、営業利益は7,428百万円と前期比1,860百万円(33.4%増)の増益となりました。

スペシャリティの高い製品の拡販が順調に進み、米国及びアジアを中心とした海外市場での需要が好調でした。

塩ビ系特殊樹脂は、塩ビペースト樹脂がアジア向けを中心に好調な販売となり、塩素化塩ビも米国及びアジア向けに販売を伸ばしました。マレーシアや米国における供給能力増強と、徹底したコスト競争力の強化が寄与しました。

一般用塩化ビニール樹脂は、インドを中心にアジア市場での販売が好調に推移し、収益が改善しました。

 

② 機能性樹脂事業

当セグメントの売上高は110,664百万円と前期比12,279百万円(12.5%増)の増収となりましたが、営業利益は14,825百万円と前期比292百万円(1.9%減)の減益となりました。

新規用途開発とグローバルな能力増強により拡販が進みましたが、営業利益は円高の影響を受けました。

モディファイヤーは、年度後半における原料価格上昇の影響を受けましたが、非塩ビ用途向けなどの新規用途で拡販が進みました。供給能力不足の状況が続きましたが、マレーシアの新系列は予定通り本年3月に商業運転を開始し、旺盛な需要に応える体制が整いました。

変成シリコーンポリマーは、急激な用途拡大により、供給能力が不足する状況となりました。拡大する需要に着実に応えるために、マレーシアの生産設備新設に加え、ベルギーでの能力増強も決定しました。また、昨年、連結子会社としたセメダイン株式会社については、海外展開やソリューション視点に立った市場拡大へのシナジーを一層強化しています。

 

③ 発泡樹脂製品事業

当セグメントの売上高は64,257百万円と前期比890百万円(1.4%減)の減収となり、営業利益は5,790百万円と前期比519百万円(8.2%減)の減益となりました。

押出法発泡ポリスチレンボードは、供給能力の増強を進め、販売が堅調に推移しました。

ビーズ法発泡ポリオレフィンは、自動車分野向けを中心にアジア市場での販売が拡大しました。海外市場における需要拡大が期待され、グローバルな供給体制の整備を図っています。

発泡スチレン樹脂・成型品は、農水産分野における需要が低調に推移し、また第4四半期連結会計期間(以下、第4四半期)には原料価格高騰の影響を受けました。

平成32年の改正省エネルギー基準の義務化に向けて高性能断熱材の開発に注力するとともに、当社の太陽電池などを組み合わせた省エネルギーと居住快適性を両立させる新たな住宅ソリューション展開に取り組んでいます。

 

④ 食品事業

当セグメントの売上高は147,312百万円と前期比2,352百万円(1.6%増)の増収となり、営業利益は4,515百万円と前期比766百万円(20.4%増)の増益となりました。

国内需要が伸び悩むなか、研究開発力を強化し、消費者のニーズを先取りした新製品の開発・販売と製品ミックスの高付加価値化を進めています。新製品の継続的上市とグループ会社を含めたサプライチェーンの強化を目指した事業構造改革が進み、売上高、営業利益ともに増加しました。

「食」そのものの価値を高めるソリューションの提供を目指し、多様化する市場のニーズに応える特色ある食品素材の開発と新たなビジネスモデルの展開を進めています。

 

⑤ ライフサイエンス事業

当セグメントの売上高は55,818百万円と前期比3,103百万円(5.3%減)の減収となり、営業利益は11,662百万円と前期並みとなりました。

世界的な高齢化の進展による医療・介護等の市場拡大が進むなか、オープンイノベーションや他社との提携、米国R&D拠点の活用による研究開発の強化と事業領域の拡大を進めています。

医療機器は、国内市場での償還価格改定の影響を受け減収となりましたが、インターベンション事業は、海外市場での他社との共同事業が拡大しました。

機能性食品素材は、最大市場である米国を中心に還元型コエンザイムQ10の販売数量が増加しました。

医薬品は、APIやバイオロジクス分野における販売が順調に拡大しました。バイオロジクス分野では、昨年完全子会社化したユーロジェンテックにおいて、旺盛な需要に応えるために生産能力増強を決定しました。

 

⑥ エレクトロニクス事業

当セグメントの売上高は35,551百万円と前期比3,571百万円(9.1%減)の減収となり、営業損失は1,182百万円となりました。

電子材料は、年度後半からスマートフォンなどエレクトロニクス市場全体が回復傾向となるなか、超耐熱ポリイミドフィルムの高機能品の販売は増加しましたが、能力律速により一部製品の供給に遅れが生じました。円高も影響し、減収減益となりました。第4四半期は、市場の技術開発ニーズに応える新規用途での販売が着実に増加し、収益が改善しました。

太陽電池は、新製品の性能向上と美観が評価され、大手ハウスメーカー向けの販売数量が増加するとともに、事業構造改革が進み採算が改善しました。世界最高レベルの変換効率を有するヘテロ接合技術を用いた新製品やシースルー太陽電池等高性能品の販売拡大に一層注力するとともに、ネット・ゼロ・エネルギーハウスやネット・ゼロ・エネルギービルの実現に貢献するソリューションの提供に取り組んでいます。

 

⑦ 合成繊維、その他事業

当セグメントの売上高は37,986百万円と前期比7,271百万円(16.1%減)の減収となり、営業利益は10,815百万円と前期比4,842百万円(30.9%減)の減益となりました。

円高とアジア市場の需要回復の遅れの影響を強く受けましたが、足元のアジア市場は回復基調となっており、着実な販売拡大を実現するために、高付加価値品の拡販や新製品の継続的投入とアジア・アフリカ市場でのマーケティングを強化するとともに、マレーシア生産拠点のコスト競争力を活かし、収益の拡大を図っています。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ 2,143百万円減少し、41,018百万円となりました。

区分毎の概況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、48,119百万円の収入(前期比11,584百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益28,692百万円、減価償却費27,808百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額8,113百万円等による資金の減少がその主な内容です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、36,369百万円の支出(前期比4,381百万円減)となりました。有形固定資産の取得による支出36,726百万円等がその主な内容です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、13,612百万円の支出(前期比10,061百万円増)となりました。配当金の支払6,328百万円、借入金の返済による支出2,593百万円、自己株式の取得による支出1,812百万円等による資金の減少がその主な内容です。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

化成品

86,458

△7.2

機能性樹脂

105,418

12.1

発泡樹脂製品

46,903

△1.8

食品

73,470

1.1

ライフサイエンス

60,429

△3.4

エレクトロニクス

35,447

△19.7

合成繊維、その他

40,085

△10.6

合計

448,214

△2.4

 

(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。

2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

主として見込み生産であります。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

化成品

96,631

△6.6

機能性樹脂

110,664

12.5

発泡樹脂製品

64,257

△1.4

食品

147,312

1.6

ライフサイエンス

55,818

△5.3

エレクトロニクス

35,551

△9.1

合成繊維、その他

37,986

△16.1

合計

548,222

△1.3

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、IoT、AIなどを活用した技術革新により、パラダイムシフトと新たな価値創出が急速に進んでいます。一方、世界人口の増加や気候変動、温暖化ガス抑制などにより、エネルギー、資源、食糧問題が深刻化しており、サスティナブル社会に向けた取組みが一層重要になります。

平成29年度から新たにスタートした中期経営計画においては、地球環境保護や人口の増加、食糧問題、高齢化社会における健康増進など、社会が抱える様々な課題の解決やIoT、AIなどの技術革新による新たな価値創出を通じて社会の発展への貢献を加速させるため、経営システムを大きく変更しました。

事業部門を「Solutions Vehicle」に改称し、ソリューション視点の成長戦略を遂行する組織としました。合わせて、9つの「Solutions Vehicle」をソリューション別に4つの新しいドメイン(「Solutions Unit」)に刷新し、「Material Solutions Unit」、「Quality of Life Solutions Unit」、「Health Care Solutions Unit」、「Nutrition Solutions Unit」にしました。成長ドライバーを「R&D」、「グローバル化」、「人材育成」としながら、オープンイノベーションを積極的に実行し、コア事業の収益力強化と事業ポートフォリオの変革を加速します。

市場・顧客視点に立ったビジネスアプローチの強化、研究・製造・営業を含めたバリューチェーン全体のコストパフォーマンスの向上、現地視点に立脚したグローバル化を加速してまいります。そしてこれらの諸課題を解決して魅力ある企業像と競争力ある事業構造の実現に取組み、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの期待に応え、高く評価される企業に変革してまいります。 

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社が公開会社である以上、当社の株式が市場で自由に取引されるべきことは当然であり、仮に当社取締役会の賛同を得ずに、いわゆる「敵対的買収」がなされたとしても、それが企業価値ひいては株主共同の利益につながるものであるならば、これを一概に否定するものではありません。しかし、当社株式に対する大規模な買収行為が行われる場合には、株主に十分な情報提供が行われることを確保する必要があると考えます。また、もっぱら買収者自らの利潤のみを追求しようとするもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう敵対的かつ濫用的買収が当社を対象に行われた場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために、必要・適正な対応策を採らなければならないと考えております。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み

当社は、平成21年に長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』を策定いたしました。この中で、当社グループの抜本的な「変革」と継続的な「成長」をめざし、「環境・エネルギー」、「健康」、「情報通信」、「食料生産支援」を重点戦略分野と位置付け、経営の重点施策として、①研究開発型企業への進化、②グローバル市場での成長促進、③グループ戦略の展開、④アライアンスの推進、⑤CSRの重視、に取り組んでおります。平成29年4月から新たにスタートした中期経営計画においては、従来の「プロダクトの視点」に基づく事業ドメインの構成を、「ソリューションの視点」で新たに4つのドメインを設定しました。成長ドライバーを「R&D」、「グローバル化」、「人材育成」とし、ソリューション・プロバイダーとしての取組みを徹底することにより、事業構造を変革させ、当社グループの成長を加速します。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、引き続き当社の中長期にわたる企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「本プラン」といいます)の継続を、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただいております。本プランの概要は以下のとおりです。

イ. 本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等に対する買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます)を対象とします。

 

ロ. 当社の株券等に対する大規模買付行為を行おうとする際に遵守されるべき所定の手続(以下、「大規模買付ルール」といいます)を予め定めておいて、当該大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報提供を求め、当該大規模買付行為についての情報収集・検討を行い、また株主の皆様に対して当社取締役会としての意見や代替案等を提示する、あるいは買付者との交渉を行っていく機会と時間を確保します。

ハ. 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当社に回復しがたい損害を与えるなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、当該大規模買付行為に対する対抗措置として新株予約権の無償割当を行うことがあります。

ニ. 当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、当社取締役会から独立した組織である特別委員会に対し、対抗措置の発動の可否を諮問します。対抗措置の発動の可否は、当社取締役会の決議によりますが、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重いたします。また、当社取締役会が株主の皆様の意思を確認することが適切であると判断した場合には、株主総会を招集し、対応措置発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。

ホ. 本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までとします。

 

④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由

当社取締役会は、前号の取組みが、本基本方針に沿うものであること、当社の株主の共同の利益を損なうものではないこと、及び当社の会社役員の地位を維持するものでないこと、という三つの要件に該当すると判断しております。その理由は、以下に記載するとおりであります。

 

イ. 本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しております。また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。

ロ. 本プランは、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が適切なものであるか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために交渉を行うことなどを可能とすることで、株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されたものです。

ハ. 本プランは、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会で、株主の皆様のご承認をいただいております。また、本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までと設定されておりますが、その時点までに当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主の皆様の意向が反映されるものとなっております。

ニ. 社外取締役、社外監査役または社外有識者から構成される特別委員会によって当社取締役の恣意的行動を厳しく監視し、その勧告の概要及び判断の理由等は適時に株主の皆様に情報開示することとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの運用が行われる仕組みが確保されております。

ホ. 本プランは、大規模買付行為に対する対抗措置が合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されております。

ヘ. 特別委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家の助言を得ることができるとされており、特別委員会の判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっております。

ト. 本プランは、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。さらに、当社は取締役の任期を1年としており、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 当社事業の優位性の確保と国内外の経済環境の動向に係るリスク

当社グループは、高分子技術及び発酵技術を基礎とし、それらの技術を複合・融合させることで、多岐にわたる分野で高付加価値製品を開発、商品化し、継続的に新規市場の開拓を行うことで、事業の優位性を確保しております。同時に、競合他社の参入による価格競争の激化、収益力の低下や製品の汎用化等により需要が減退した事業や製品については、事業の撤退や構造改革を推し進めることで、経済環境の動向に左右されない企業体質の確保に努めております。しかしながら、急激な経済環境の悪化や当社技術の陳腐化等により、予期しないスピードで当社製品に対する需要が減少した場合には、これらの施策が必ずしも成功するとは限らず、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 事業のグローバル化に伴うリスク(為替変動、海外事業展開)

当社グループは、経営戦略のひとつとしてグローバル化の推進を掲げております。海外における事業活動には、予期できない法律、規制、税制などの変更や移転価格税制による課税、テロ・戦争などによる社会的、政治的混乱などのリスクを伴っており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。また、為替レートの変動が、当社グループの業績に重要な影響を与える構造となっていることから、当社グループとしては、このリスクを最小化することを目的として、輸出入取引については必要な範囲で為替予約などのヘッジ策を講じております。しかしながら、急激な為替変動により、当社グループの財政状態及び経営成績にヘッジすることができない影響をこうむる可能性があります。

 

(3) 原燃料価格の変動に係るリスク

当社グループは、原燃料の調達に当たっては中長期の契約とスポット市場での購入を組み合わせ最有利な調達を行う体制を構築しておりますが、その多くは国際市況商品であることから、予想を超えて急激に購入価格が変動した場合、価格上昇分についてコストダウン、価格転嫁などによって吸収することができないリスクがあります。特に、塩ビ・ソーダ、モディファイヤー、発泡樹脂製品、食品などは石化原料、燃料、油脂原料などの価格動向によっては、財政状態及び経営成績に大きな影響が生じる可能性があります。

 

(4) 製造物責任・産業事故・大規模災害に係るリスク

当社グループは、安全に流通し、安全に使用できる製品の提供に万全の対策を講じております。加えて、万一製品事故が発生した場合に備えることを目的に当社グループ全体をカバーする賠償責任保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ品質問題などによる大規模な製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループは安全を最優先に保安防災に取り組んでおりますが、想定外の産業事故や地震などの大規模災害により主要な製造設備が損壊し、財物保険のカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。このような状態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(5) 知的財産権の保護に係るリスク

当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略を取っております。しかしながら、グローバル化や情報技術の進展などにより、開発した技術やノウハウなどが外部へ流出するリスクや、当社の知的財産権の供与及び他社の知的財産権の使用などに関して係争が発生するリスクを完全に回避することは困難であります。このような事態が発生した場合には、当社グループの競争力が低下し財政状態及び経営成績に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(6) 環境関連規制の影響

当社グループは、企業活動が地球環境と生態系に及ぼす影響に注目して、製品の全ライフサイクルにおいて環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに努めております。一方、環境関連規制は年々強化される方向にあり、規制の内容によっては製品などの製造、保管、処分などに関連する費用が発生し当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7) 訴訟などに係るリスク

当社グループは、コンプライアンス経営を重視し、法令及び社会的ルールの遵守の徹底を図っております。しかしながら、国内外事業に関連して、訴訟、行政措置などの対象となるリスクがあり、重要な訴訟などが提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(8) その他のリスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持のため、取引先及び金融機関の株式を保有しております。これら株式の期末時の時価等が著しく下落した場合には、「金融商品に関する会計基準」の適用により、減損損失を計上する可能性があります。

固定資産については、今後、事業環境が大幅に悪化したり、保有する遊休土地の時価が更に低下した場合等には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率等の基礎率と年金資産の長期期待運用収益率に基づき計算されます。したがいまして、割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

繰延税金資産は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得等に関する予測に基いて回収可能性を検討し計上しておりますが、実際の課税所得等が予測と異なり、繰延税金資産の取崩しが必要となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

これらのほか、製品市況の変動、法的規制の変更、研究開発テーマの遅延、技術革新などが当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

(1) 事業セグメント別の主な活動

当社グループの主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

① 化成品事業

塩ビ事業では、新グレードの開発、及び競争力を強化するためのプロセス開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、塩素化塩ビの新しいプロセス及び品質向上につながる技術開発を進めました。

 

② 機能性樹脂事業

グローバルに事業を展開するための新しい高機能性材料の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、新しい非塩ビ用途向けのモディファイヤーの開発に注力しました。また、当社独自の生分解性バイオポリマーの市場開発を欧州を中心に進めました。

 

③ 発泡樹脂製品事業

発泡樹脂の衝撃吸収、断熱性をさらに追求し、自動車の軽量化や建築物の断熱など、省エネルギーに貢献できる製品開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、押出法発泡ポリスチレンボードでの次世代省エネ住宅向け高断熱グレードの開発に注力しました。また、新たな発泡体製品の開発を進めました。

 

④ 食品事業

食の多様化に貢献する新素材の開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、おいしさを損なわない減塩素材、生乳の風味を生かしたホイップクリームなどの新素材の開発に注力しました。

 

⑤ ライフサイエンス事業

発酵、合成、高分子の技術を健康分野に適用し、医薬品有効成分(API)、機能性食品、医療用カテーテル、再生・細胞医療の開発等を行なっております。当連結会計年度は、新しい抗体医薬品精製用プロテインA担体の開発を進めました。また、ヒトiPS細胞の大量培養の新技術を開発しました。

 

⑥ エレクトロニクス事業

情報通信を支えるユニークな素材の開発、及び住宅やビルのゼロエネルギー化実現に向けソリューションを提供する製品開発に取り組んでおります。当連結会計年度は、住宅用蓄電システムを製品ラインナップに加え開発を進めました。また、新たに開発したヘテロ結晶シリコン太陽電池モジュールとして世界最高レベルの変換効率を達成しました。

 

⑦ 合成繊維、その他事業

独特の風合いと難燃性に優れた繊維「カネカロン」を世界市場で展開すべく種々の技術開発を進めています。当連結会計年度は、新しいプロセス技術を採用した新工場が稼働しました。

 

(2) 研究開発費

当連結会計年度における研究開発費は、総額で28,513百万円となりました。その内訳は、化成品事業614百万円、機能性樹脂事業2,743百万円、発泡樹脂製品事業579百万円、食品事業850百万円、ライフサイエンス事業3,348百万円、エレクトロニクス事業1,571百万円、合成繊維、その他事業587百万円及び特定のセグメントに区分できない基礎的研究開発費18,218百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度は、円高の影響を強く受け、前連結会計年度(以下、前期)に比べて、売上高が7,004百万円減収(1.3%減)の548,222百万円、営業利益が5,055百万円減益(13.2%減)の33,164百万円となりました。経常利益は、主に為替差損の増加により、前期に比べて5,611百万円減益(17.0%減)の27,426百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の増加や特別損失の減少、税金費用の減少により、20,484百万円と前期に比べ501百万円の減益(2.4%減)にとどまりました。

なお、セグメント別の状況につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、売上債権及び有形固定資産や投資有価証券の増加等により前連結会計年度末(以下、前期末)に比べて15,649百万円増の592,900百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の増加等により前期末に対して2,820百万円増加し271,349百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金の増加等により前期末に対し12,828百万円増の321,551百万円となりました。この結果、自己資本比率は51.5%となりました。

なお、ROA(総資産経常利益率)は4.7%となり前期(5.8%)を下回りました。ROE(自己資本純利益率)は6.9%となり前期(7.1%)を下回りました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。