文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、全体として力強さを欠く展開となりました。英国のEU離脱決定や米国のトランプ新大統領選出という想定外の出来事が世界経済・金融を大きく揺るがすなか、その影響が先進国や新興国・資源国の景気に波及し、減速基調となりました。わが国経済も、世界経済の減速や円高の影響から輸出が弱含み、個人消費も伸び悩みました。
このような状況のもと、当社グループの当第3四半期連結累計期間(平成28年4月1日~平成28年12月31日)の業績は、新製品やスペシャリティの高い製品の拡販を進め全体として数量増を達成しましたが、円高の進行やエレクトロニクス市場の需要低迷の影響を受け、売上高は408,082百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比2.2%減)と減収になり、営業利益は24,570百万円(前年同期比16.3%減)と減益になりました。経常利益は20,762百万円(前年同期比19.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は12,952百万円(前年同期比21.0%減)となりました。
セグメントの状況は、次のとおりであります。
① 化成品事業
塩化ビニール樹脂は、円高と原料価格下落の影響を受けて売上高が減少しましたが、アジア向け輸出の拡大により収益は改善しました。塩ビ系特殊樹脂は、塩ビペースト樹脂がアジア向けを中心に好調な販売となったほか、塩素化塩ビも米国及びアジア向けの販売が堅調に推移しました。か性ソーダは、国内需要の回復が遅れ低調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は69,873百万円と前年同期と比べ8,298百万円(10.6%減)の減収となりましたが、営業利益は4,524百万円と前年同期と比べ1,032百万円(29.6%増)の増益となりました。
② 機能性樹脂事業
モディファイヤーは、非塩ビ用途向けなどの新用途の拡販が進み、国内・海外市場ともに販売数量が増加しました。変成シリコーンポリマーは、ユニークな品質特性が広く認知され、建築用途に加え工業用途の販売も拡大し、国内外全地域において販売数量が増加しました。マレーシアにおけるモディファイヤーの新系列増設工事(2017年3月稼働予定)および変成シリコーンポリマーの生産設備新設工事(2017年7月稼働予定)は順調に進捗し、稼働後はアジア市場の旺盛な需要に速やかに応えてまいります。また、2016年1月に連結子会社としたセメダイン株式会社と海外展開を中心にシナジーを発揮する様々な取組みを進めています。
以上の結果、当セグメントの売上高は79,930百万円と前年同期と比べ9,976百万円(14.3%増)の増収となり、営業利益は10,896百万円と前年同期並みとなりました。
③ 発泡樹脂製品事業
発泡スチレン樹脂・成型品は、農水産分野における需要が低調に推移しました。押出法発泡ポリスチレンボードは、住宅関連市場の回復により販売が堅調に推移し、ビーズ法発泡ポリオレフィンは、自動車分野向けを中心にアジア市場での販売が拡大しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は49,086百万円と前年同期と比べ1,327百万円(2.6%減)の減収となり、営業利益は5,007百万円と前年同期と比べ143百万円(2.8%減)の減益となりました。
④ 食品事業
食品は、国内需要の伸び悩みと食の多様化が進行するなか、研究開発力を強化し、消費者のニーズを先取りした新製品の開発・販売と製品ミックスの高付加価値化を進めています。当第3四半期は、夏場過ぎの天候不順や原料価格高騰の影響を受けましたが、新製品の継続的上市とサプライチェーン全体の強化・効率化を目指した事業構造改革が進み、収益性が改善しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は111,075百万円と前年同期と比べ1,905百万円(1.7%増)の増収となり、営業利益は3,512百万円と前年同期と比べ1,040百万円(42.1%増)の増益となりました。
⑤ ライフサイエンス事業
医療機器は、血液浄化事業の販売が低調に推移しました。一方、インターベンション事業は、国内市場では償還価格改定の影響を受けましたが、海外市場では他社との共同事業が拡大し販売が着実に増加するとともに、新たな提携先との取組みも実績化されています。医薬品は、APIやバイオロジクス分野における販売が順調に拡大しました。機能性食品素材は、最大市場である米国を中心に還元型コエンザイムQ10の販売数量が着実に増加し、日本でも機能性表示食品制度のスタートにより売上が拡大しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は42,090百万円と前年同期と比べ1,362百万円(3.1%減)の減収となり、営業利益は8,392百万円と前年同期と比べ245百万円(2.8%減)の減益となりました。
⑥ エレクトロニクス事業
超耐熱ポリイミドフィルム、超高熱伝導グラファイトシートは、中国メーカーのスマートフォン高機能化が進み、新たな牽引役である高機能品を中心に販売が拡大しましたが、スマートフォン市場の全般的な回復遅れや円高の影響を受けました。太陽電池は、新製品の性能向上と美観が評価され、大手ハウスメーカー向けの販売数量が増加するとともに、事業構造改革が進み採算が改善しました。世界最高レベルの変換効率を有するヘテロ接合技術を用いた新製品や高性能品の販売拡大に一層注力するとともに、ネット・ゼロ・エネルギーハウスの実現に貢献するソリューションの提供に取り組んでおります。
以上の結果、当セグメントの売上高は26,612百万円と前年同期と比べ4,073百万円(13.3%減)の減収となり、1,300百万円の営業損失となりました。
⑦ 合成繊維、その他事業
合成繊維は、高付加価値品の拡販やコストダウンに努めましたが、円高の影響を強く受けました。また、全般的なアフリカ経済の低迷とアジア市場の回復遅れの影響を受けました。引き続き、研究開発による製品の一層の機能向上と、稼働したマレーシア工場の競争力を活かし、収益の改善を図ってまいります。
以上の結果、当セグメントの売上高は29,413百万円と前年同期と比べ5,942百万円(16.8%減)の減収となり、営業利益は8,906百万円と前年同期と比べ3,739百万円(29.6%減)の減益となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、受取手形及び売掛金や投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ21,053百万円増の598,304百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、12,778百万円増の281,306百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金の増加等により8,275百万円増の316,997百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.3%、D/Eレシオは0.37となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,041百万円減少し、41,120百万円となりました。
区分毎の概況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、37,709百万円の収入(前年同期比8,852百万円減)となりました。
その主な内容は、税金等調整前四半期純利益20,168百万円、減価償却費20,503百万円等による資金の増加であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、28,606百万円の支出(前年同期比3,916百万円減)となりました。
その主な内容は、有形固定資産の取得による支出26,893百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、10,860百万円の支出(前年同期比9,365百万円増)となりました。
その主な内容は、配当金の支払額6,328百万円、借入金の返済による支出1,719百万円等による資金の減少であります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更又は新たな発生はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社が公開会社である以上、当社の株式が市場で自由に取引されるべきことは当然であり、仮に当社取締役会の賛同を得ずに、いわゆる「敵対的買収」がなされたとしても、それが企業価値ひいては株主共同の利益につながるものであるならば、これを一概に否定するものではありません。しかし、当社株式に対する大規模な買収行為が行われる場合には、株主に十分な情報提供が行われることを確保する必要があると考えます。また、もっぱら買収者自らの利潤のみを追求しようとするもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう敵対的かつ濫用的買収が当社を対象に行われた場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために、必要・適正な対応策を採らなければならないと考えております。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み
イ.長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』
当社は、平成21年に創立60周年を迎えて、2020年(平成32年)に向けた長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』を策定いたしました。この中で、カネカグループの抜本的な「変革」と継続的な「成長」をめざし、「環境・エネルギー」「健康」「情報通信」「食料生産支援」を重点戦略分野と位置づけ、経営の重点施策として、(ⅰ)研究開発型企業への進化、(ⅱ)グローバル市場での成長促進、(ⅲ)グループ戦略の展開、(ⅳ)アライアンスの推進、(ⅴ)CSRの重視、に取り組んでおります。
ロ.中期経営計画
平成28年度は、カネカグループは新たな成長ステージに入っており、長期経営ビジョンの実現に向けて、「変革」と「成長」を目標に、3ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。
ポイントは以下のとおりです。
ⅰ.「研究開発」と「グローバル化の推進」を成長ドライブとして、事業ポートフォリオの変革を加速します。
・オープンイノベーションを推進し、機能性樹脂、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域における新規・既存両分野で事業拡大を図ります。
・有機EL照明、バイオポリマー、オプトエレクトロケミカルズ、再生・細胞医療、バイオ医薬等の大型新規事業の立ち上げに注力し、新製品売上高を伸張させていきます。
・米州、欧州、アジアにおける地域統括会社において、地域本社機能を強化し、現地視点に立った地域戦略の遂行により、新市場の開拓や社外資源の活用等迅速に進め、海外売上高をさらに伸ばしていきます。
ⅱ.優れた技術と素材開発を進め、ソリューションを提供できるメーカーを目指します。
・環境保護や省エネルギー化を実現する製品や技術開発を積極的に推進します。太陽電池をはじめ住宅関連の差別化した部材・工法を活かし、住宅のゼロエネルギー化に貢献するシステムやソリューションの提供により高品質でサスティナブルな住宅市場創出に貢献します。
・医療器、医薬品原料等のグローバル展開や機能性食品素材のラインアップの拡充により、世界の人々の健康に貢献します。
ⅲ.当社の「変革」と「成長」を牽引するグローバルに活躍できる人材、リーダーシップを発揮できる人材の育成を重要な経営課題と位置づけ、育成プログラムを拡充します。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、引き続き当社の中長期にわたる企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「本プラン」といいます)の継続を、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会において株主のみなさまにご承認いただいております。本プランの概要は以下のとおりです。
イ. 本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等に対する買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます)を対象とします。
ロ. 当社の株券等に対する大規模買付行為を行おうとする際に遵守されるべき所定の手続(以下、「大規模買付ルール」といいます)を予め定めておいて、当該大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報提供を求め、当該大規模買付行為についての情報収集・検討を行い、また株主のみなさまに対して当社取締役会としての意見や代替案等を提示する、あるいは買付者との交渉を行っていく機会と時間を確保します。
ハ. 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当社に回復しがたい損害を与えるなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、当該大規模買付行為に対する対抗措置として新株予約権の無償割当を行うことがあります。
ニ. 当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、当社取締役会から独立した組織である特別委員会に対し、対抗措置の発動の可否を諮問します。対抗措置の発動の可否は、当社取締役会の決議によりますが、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重いたします。また、当社取締役会が株主の皆様の意思を確認することが適切であると判断した場合には、株主総会を招集し、対応措置発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。
ホ. 本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までとします。
④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由
当社取締役会は、前号の取組みが、本基本方針に沿うものであること、当社の株主の共同の利益を損なうものではないこと、及び当社の会社役員の地位を維持するものでないこと、という三つの要件に該当すると判断しております。その理由は、以下に記載するとおりであります。
イ. 本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しております。また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。
ロ. 本プランは、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が適切なものであるか否かを株主のみなさまが判断するために必要な情報や時間を確保し、株主のみなさまのために交渉を行うことなどを可能とすることで、株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されたものです。
ハ. 本プランは、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会で、株主のみなさまのご承認をいただいております。また、本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までと設定されておりますが、その時点までに当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主のみなさまの意向が反映されるものとなっております。
ニ. 社外取締役、社外監査役又は社外有識者から構成される特別委員会によって当社取締役の恣意的行動を厳しく監視し、その勧告の概要及び判断の理由等は適時に株主のみなさまに情報開示することとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの運用が行われる仕組みが確保されております。
ホ. 本プランは、大規模買付行為に対する対抗措置が合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されております。
ヘ. 特別委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家の助言を得ることができるとされており、特別委員会の判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
ト. 本プランは、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。さらに、当社は取締役の任期を1年としており、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は21,412百万円であります。