第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題

社会の変容や事業環境の変化は劇的なスピードで進み、エネルギー、資源、食糧問題等サステイナブル社会の実現に向けた取組みが地球規模で加速していくことが想定されます。パラダイムがシフトし、化学会社にとって、IoT、AIや生命科学の進歩が産み出す新たなビジネスチャンスが到来しています。当社グループは、このグローバルな潮流を捉え、研究開発型素材メーカーとしてソリューションを提供し、事業ポートフォリオの変革に取り組んでまいります。

当社グループは、昨年刷新した経営システムを更に進化させ、カガクで世界の人々の人生と環境の進化に貢献し、価値あるソリューションをグローバルに提供する“ソリューション・プロバイダー”として、地球環境保護、省エネルギー、情報技術革新、快適な暮らしの実現、食糧問題、高齢化社会、高度医療化などの社会的諸課題を解決していく取組みを一層強化してまいります。

成長のドライバーを「R&D」、「グローバル化」、「人材育成」とし、市場・顧客視点に立ったビジネスアプローチの強化、研究・製造・営業を束ねたバリューチェーン全体の生産性の向上、現地視点に立脚したグローバル化を加速してまいります。そしてこれらの諸課題を解決して魅力ある企業像と競争力ある事業構造の実現に取り組み、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの期待に応え、高く評価される企業に変革してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社が公開会社である以上、当社の株式が市場で自由に取引されるべきことは当然であり、仮に当社取締役会の賛同を得ずに、いわゆる「敵対的買収」がなされたとしても、それが企業価値ひいては株主共同の利益につながるものであるならば、これを一概に否定するものではありません。しかし、当社株式に対する大規模な買収行為が行われる場合には、株主に十分な情報提供が行われることを確保する必要があると考えます。また、もっぱら買収者自らの利潤のみを追求しようとするもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう敵対的かつ濫用的買収が当社を対象に行われた場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために、必要・適正な対応策を採らなければならないと考えております。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み

当社は、平成21年に長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』を策定いたしました。この中で、当社グループの抜本的な「変革」と継続的な「成長」をめざし、「環境・エネルギー」、「健康」、「情報通信」、「食料生産支援」を重点戦略分野と位置付け、経営の重点施策として、①研究開発型企業への進化、②グローバル市場での成長促進、③グループ戦略の展開、④アライアンスの推進、⑤CSRの重視に取り組んできました。

平成30年からスタートした中期経営計画においては、昨年刷新した経営システムを基盤におき、「価値あるソリューションをグローバルに提供することを通じて世界の人々の人生と環境の進化に貢献し、存在感ある企業として成長し続ける」ESG経営へ進化させ、ソリューション・プロバイダーとして社会的課題を解決することにより、事業ポートフォリオを変革していきます。成長ドライバーを「R&D」、「グローバル化」、「人材育成」とし、ソリューション・プロバイダーとしての取組みを強化することにより、事業構造を変革させ、当社グループの成長を加速します。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、引き続き当社の中長期にわたる企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「本プラン」といいます)の継続を、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただいております。本プランの概要は以下のとおりです。

イ. 本プランは、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等に対する買付行為(以下、「大規模買付行為」といいます)を対象とします。

 

ロ. 当社の株券等に対する大規模買付行為を行おうとする際に遵守されるべき所定の手続(以下、「大規模買付ルール」といいます)を予め定めておいて、当該大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報提供を求め、当該大規模買付行為についての情報収集・検討を行い、また株主の皆様に対して当社取締役会としての意見や代替案等を提示する、あるいは買付者との交渉を行っていく機会と時間を確保します。

ハ. 大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当社に回復しがたい損害を与えるなど当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益を守ることを目的として、当該大規模買付行為に対する対抗措置として新株予約権の無償割当を行うことがあります。

ニ. 当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、当社取締役会から独立した組織である特別委員会に対し、対抗措置の発動の可否を諮問します。対抗措置の発動の可否は、当社取締役会の決議によりますが、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重いたします。また、当社取締役会が株主の皆様の意思を確認することが適切であると判断した場合には、株主総会を招集し、対応措置発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。

ホ. 本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までとします。

 

④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由

当社取締役会は、前号の取組みが、本基本方針に沿うものであること、当社の株主の共同の利益を損なうものではないこと、及び当社の会社役員の地位を維持するものでないこと、という三つの要件に該当すると判断しております。その理由は、以下に記載するとおりであります。

 

イ. 本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しております。また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。

ロ. 本プランは、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が適切なものであるか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために交渉を行うことなどを可能とすることで、株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されたものです。

ハ. 本プランは、平成28年6月29日開催の第92回定時株主総会で、株主の皆様のご承認をいただいております。また、本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の当社第95回定時株主総会終結の時までと設定されておりますが、その時点までに当社株主総会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになり、株主の皆様の意向が反映されるものとなっております。

ニ. 社外取締役、社外監査役または社外有識者から構成される特別委員会によって当社取締役の恣意的行動を厳しく監視し、その勧告の概要及び判断の理由等は適時に株主の皆様に情報開示することとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本プランの運用が行われる仕組みが確保されております。

ホ. 本プランは、大規模買付行為に対する対抗措置が合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されております。

ヘ. 特別委員会は、当社の費用で独立した第三者専門家の助言を得ることができるとされており、特別委員会の判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっております。

ト. 本プランは、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。さらに、当社は取締役の任期を1年としており、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 当社事業の優位性の確保と国内外の経済環境の動向に係るリスク

当社グループは、高分子技術及び発酵技術を基礎とし、薄膜形成技術、バイオ・有機合成技術を培い、多岐にわたる分野で高付加価値製品を開発、商品化し、継続的に新規市場の開拓を行うことで、事業の優位性を確保しております。同時に、競合他社の参入による価格競争の激化、収益力の低下や製品の汎用化等により需要が減退した事業や製品については、事業の撤退や構造改革を推し進めることで、経済環境の動向に左右されない企業体質の確保に努めております。しかしながら、急激な経済環境の悪化や当社技術の陳腐化等により、予期しないスピードで当社製品に対する需要が減少した場合には、これらの施策が必ずしも成功するとは限らず、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 事業のグローバル化に伴うリスク(為替変動、海外事業展開)

当社グループは、経営戦略のひとつとしてグローバル化の推進を掲げております。海外における事業活動には、予期できない法律、規制、税制などの変更や移転価格税制による課税、テロ・戦争などによる社会的、政治的混乱などのリスクを伴っており、これらのリスクが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。また、為替レートの変動が、当社グループの業績に重要な影響を与える構造となっていることから、当社グループとしては、このリスクを最小化することを目的として、輸出入取引については必要な範囲で為替予約などのヘッジ策を講じております。しかしながら、急激な為替変動により、当社グループの財政状態及び経営成績にヘッジすることができない影響をこうむる可能性があります。

 

(3) 原燃料価格の変動に係るリスク

当社グループは、原燃料の調達に当たっては中長期の契約とスポット市場での購入を組み合わせ最有利な調達を行う体制を構築しておりますが、その多くは国際市況商品であることから、予想を超えて急激に購入価格が変動した場合、価格上昇分についてコストダウン、価格転嫁などによって吸収することができないリスクがあります。特に、塩ビ・ソーダ、モディファイヤー、発泡樹脂製品、食品などは石化原料、燃料、油脂原料などの価格動向によっては、財政状態及び経営成績に大きな影響が生じる可能性があります。

 

(4) 製造物責任・産業事故・大規模災害に係るリスク

当社グループは、安全に流通し、安全に使用できる製品の提供に万全の対策を講じております。加えて、万一製品事故が発生した場合に備えることを目的に当社グループ全体をカバーする賠償責任保険を付保しております。しかしながら、予期せぬ品質問題などによる大規模な製品事故が発生する可能性があります。また、当社グループは安全をすべてにおいて優先し、法令順守の下、事業活動に取り組んでおりますが、想定外の産業事故や地震などの大規模な自然災害により主要な製造設備が損壊し、財物保険のカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。このような状態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(5) 知的財産権の保護に係るリスク

当社グループは、事業の優位性確保のため、新規開発技術の特許保護を重視する戦略を取っております。しかしながら、グローバル化や情報技術の進展などにより、開発した技術やノウハウなどが外部へ流出するリスクや、当社の知的財産権の供与及び他社の知的財産権の使用などに関して係争が発生するリスクを完全に回避することは困難であります。このような事態が発生した場合には、当社グループの競争力が低下し財政状態及び経営成績に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(6) 環境関連規制の影響

当社グループは、企業活動が地球環境と生態系に及ぼす影響に注目して、製品の全ライフサイクルにおいて、地球温暖化防止、資源の有効活用及び環境負荷低減に努めております。一方、環境関連規制は年々強化される方向にあり、規制の内容によっては製品などの製造、保管、処分などに関連する費用が発生し当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7) 訴訟などに係るリスク

当社グループは、コンプライアンス経営を重視し、法令及び社会的ルールの遵守の徹底を図っております。しかしながら、国内外事業に関連して、訴訟、行政措置などの対象となるリスクがあり、重要な訴訟などが提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

(8) その他のリスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持のため、取引先及び金融機関の株式を保有しております。これら株式の期末時の時価等が著しく下落した場合には、「金融商品に関する会計基準」の適用により、減損損失を計上する可能性があります。

固定資産については、今後、事業環境が大幅に悪化したり、保有する遊休土地の時価が更に低下した場合等には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される割引率等の基礎率と年金資産の長期期待運用収益率に基づき計算されます。したがいまして、割引率の低下や年金資産の運用利回りの悪化等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

繰延税金資産は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得等に関する予測に基いて回収可能性を検討し計上しておりますが、実際の課税所得等が予測と異なり、繰延税金資産の取崩しが必要となる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

これらのほか、製品市況の変動、法的規制の変更、研究開発テーマの遅延、技術革新などが当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(以下、当期)の世界経済は、中国の中成長路線への政策転換や増大する地政学的リスクの懸念があったものの、米国、欧州の堅調な経済に牽引され、比較的穏やかな成長が続きました。一方、わが国の経済は、川上インフレ、川下デフレが継続し、輸出は増加したものの内需は力強さに欠け、停滞を脱することができませんでした。

こうした状況のなか、当社グループの当期の業績は、ヨーロッパ、アメリカ、マレーシア等海外主力拠点におけ
る生産能力増強が大きく寄与し、R&Dの果実である差別化力ある新製品投入が売上高増を牽引しました。

その結果、売上高は過去最高の596,142百万円(前連結会計年度(以下、前年同期)比8.7%増)、営業利益は36,888百万円(前年同期比11.2%増)となりました。経常利益は32,775百万円(前年同期比19.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,571百万円(前年同期比5.3%増)とそれぞれ前年実績を上回りました。

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(Material Solutions Unit)

当セグメントの売上高は238,880百万円と前年同期比31,584百万円(15.2%増)の増収となり、営業利益は27,109百万円と前年同期比4,857百万円(21.8%増)の増益となりました。

Vinyls and Chlor-Alkaliについては、アジアでの旺盛な需要に支えられてフル稼働が続きました。今後も海外市
場の需要拡大が続く塩素化塩ビ及び塩ビペースト樹脂の生産能力増強を検討中であります。

Performance Polymersのモディファイヤーについては、欧米の堅調な需要に加えマレーシアの新しい第2系列が
稼働し、供給のボトルネックを解消することができました。

変成シリコーンポリマーについては、マレーシアの新設備が昨年7月に稼働し中国・アセアン地域の新しい需要
創出R&Dが本格的に始まりました。世界オンリーワンプロダクトの需要拡大は続いており、すでに決定したベル
ギーの能力増強を計画通り立ち上げることと、アメリカの新系列増強計画を急ぎます。

自動車・電子部品の用途開発が進んだエポキシマスターバッチに加え航空機・宇宙産業向けの複合材や生分解性
ポリマーなどの次世代先端技術素材の新しい工場についての本格的検討に着手いたしました。

 

 

(Quality of Life Solutions Unit)

当セグメントの売上高は149,360百万円と前年同期比12,510百万円(9.1%増)の増収となりましたが、営業利益は13,730百万円と前年同期比1,310百万円(8.7%減)の減益となりました。

E & I Technologyの超耐熱ポリイミドフィルムについては、高機能化を進め大手スマートフォンメーカーの新し
いモデルやディスプレイ向けの販売が増加しました。一昨年稼働した新工場もフル稼働になりましたので、今後、
デジタルデバイスの小型化や高機能化に伴い、超耐熱ポリイミドフィルムや超高熱伝導グラファイトシートの需要
が拡大するため、日本、アメリカ、マレーシアでの生産能力増強を順次実行してまいります。

Foam & Residential Techsについては、販売数量は順調に拡大しましたが、原料価格高騰の影響を受けました。
コスト構造を見直すとともに、価格改定による損益改善を実行します。今後は、地球環境・省エネ・健康・食のグ
ローバルな広がりに貢献できるユニークな軽量・断熱発泡樹脂素材を住宅・医療・自動車・食料生産支援事業と組
み合わせ、新しい需要を創出してまいります。

Performance Fibersについては、アフリカ市場の頭髪需要は確実に回復しており、高機能頭髪としてのブランド
力を強化し、アフリカ及びその他市場の需要開拓を鋭意進めてまいります。難燃・パイル分野の販売が拡大しまし
たが、原料価格高騰の影響を受けました。

PV & Energy managementについては、高効率太陽電池の販売が順調に拡大し、構造改革が進みました。太陽電池をコアに設計した住宅やビルのゼロエネ・マネジメント・システム開発が世界的に見直されており、当社の多様な素材や多角的な事業モデルを組み合わせた計画を推進してまいります。

 

(Health Care Solutions Unit)

当セグメントの売上高は45,856百万円と前年同期比715百万円(1.6%増)の増収となりましたが、営業利益は9,849百万円と前年同期比1,047百万円(9.6%減)の減益となりました。

Medical Devicesについては、国内・海外市場とも販売が堅調に推移しました。高機能バルーンカテーテルなど新
製品の販売も順調に進みました。今後も薬剤を塗布したバルーンや消化器カテーテルなど新規医療領域の開拓によ
る事業拡大に注力します。

Pharmaについては、カネカユーロジェンテック社のバイオ医薬品の販売は順調に拡大しましたが、販売が前年に
集中した低分子医薬品原料の販売数量減少が大きく影響しました。ベルギーの生産能力増強を計画通り立上げ、グ
ローバルに事業拡大を図ってまいります。

カネカUSイノベーションセンターを活用したオープンイノベーションを強化し事業を拡大してまいります。

 

(Nutrition Solutions Unit)

当セグメントの売上高は160,930百万円と前年同期比2,940百万円(1.9%増)の増収となり、営業利益は6,531百万円と前年同期比1,251百万円(23.7%増)の増益となりました。

Foods & Agrisについては、大手製パン、コンビニエンスストアや食品メーカーへの積極的な提案型営業を進め、
ユニークな新規食品素材の販売が拡大しました。ベルギーのピュア・ナチュール社の技術を導入して、牛乳・バタ
ーをはじめとする乳製品事業に参入しました。おいしさと健康を追求するNutrition事業を拡大してまいります。食
料生産支援事業と組み合わせて、酪農家の生産性向上や循環型酪農に貢献してまいります。

Supplemental Nutritionについては、主力の還元型コエンザイムQ10の販売が大幅に増加し業績拡大に貢献し
ました。引き続き拡大するマーケットの販売促進に取り組むとともに、乳酸菌をはじめ新しいサプリメント素材を
開発し事業拡大を進めます。

 

(その他) 

当セグメントの売上高は1,114百万円と前年同期比168百万円(17.9%増)の増収となり、営業利益は520百万円と前年同期比138百万円(36.2%増)の増益となりました。 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

Material Solutions Unit

224,267

16.9

Quality of Life Solutions Unit

126,713

3.5

Health Care Solutions Unit

49,672

3.0

Nutrition Solutions Unit

86,627

1.1

その他

合計

487,279

8.7

 

(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。

2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

主として見込み生産であります。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前年同期比(%)

Material Solutions Unit

238,880

15.2

Quality of Life Solutions Unit

149,360

9.1

Health Care Solutions Unit

45,856

1.6

Nutrition Solutions Unit

160,930

1.9

その他

1,114

17.9

合計

596,142

8.7

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金や有形固定資産の増加等により前連結会計年度末に比べて48,109百万円増加し641,009百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の増加等により前連結会計年度末に対して23,061百万円増加し294,410百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末に対し25,047百万円増加し346,599百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.9%となりました。

なお、ROA(総資産経常利益率)は5.3%となり前連結会計年度(4.7%)を上回りました。ROE(自己資本当期純利益率)は6.8%となり前連結会計年度(6.9%)を下回りました。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ 6,395百万円増加し、47,413百万円となりました。

区分毎の概況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、49,750百万円の収入(前期比1,631百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益31,085百万円、減価償却費30,323百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額7,309百万円等による資金の減少がその主な内容です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、38,796百万円の支出(前期比2,426百万円増)となりました。有形固定資産の取得による支出34,113百万円等がその主な内容です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、5,390百万円の支出(前期比8,222百万円減)となりました。配当金の支払5,933百万円、自己株式の取得による支出2,618百万円等による資金の減少と、借入による収入3,160百万円等による資金の増加がその主な内容です。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの必要資金は、当社グループ製品の製造販売に係る原材料費、経費、販売費及び一般管理費等の運転資金及び、設備投資、子会社株式の取得等に係る投資資金が主なものであり、これらの資金については自己資金及び借入金にて充当しております。
 今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の新設、除却等の計画」に記載の通りであり、所要資金については、自己資金及び借入金にて充当する予定であります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

(1) 事業セグメント別の主な活動

当社グループの主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

① Material Solutions Unit

素材の豊かさを引き出し、生活と環境の進化に貢献できる機能性材料や、競争力を強化するプロセス開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、発酵技術とポリマー技術の融合で生まれた当社独自の生分解性ポリマーの用途開発を進めました。また、米国において複合材事業を買収し、航空・宇宙分野での製品開発を本格化しました。 

 

② Quality of Life Solutions Unit

衝撃吸収や断熱性にすぐれる発泡樹脂、独特の風合いと難燃性にすぐれた繊維、情報通信を支える高機能素材、住宅やビルのゼロエネルギー化に貢献する製品など、素材の力で生活価値の先端を創る製品の研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)やネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)に貢献する断熱材や太陽電池、エネルギーマネージメントシステムの開発を進めました。また、電子機器向けの高機能ポリイミド関連商品の開発に注力しました。

 

③ Health Care Solutions Unit

発酵、精密合成、ポリマー技術を健康分野に適用し、高齢化社会、医療の高度化に貢献する医薬品原料、医療機器、再生細胞医療などの研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、心臓血管用の薬剤塗布型バルーンカテーテルの開発を開始しました。また、バイオ医薬品の開発や、革新的なiPS細胞の培養技術の開発に注力しました。

 

④ Nutrition Solutions Unit

食の多様化に貢献する新素材や機能性食品などの開発、食料生産に革新をもたらす技術開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、欧州企業と技術提携を行い、高品質でおいしさを追求した乳製品の開発に取り組みました。また、独自のバイオテクノロジーを用いた高機能性肥料の実用化試験が進展しました。

 

(2) 研究開発費

当連結会計年度における研究開発費は、総額で28,039百万円となりました。その内訳は、Material Solutions Unit 3,473百万円、Quality of Life Solutions Unit 2,605百万円、Health Care Solutions Unit 3,054百万円、Nutrition Solutions Unit 965百万円及び特定のセグメントに区分できない基礎的研究開発費17,940百万円であります。