(1) 時代認識
デジタル・トランスフォーメーション、データイズムに代表される技術革新を反映して、社会の変容や事業環境の変化は想像を超えるスピードで進行しています。環境意識が世界的に高まり、エネルギー、資源、食糧問題等サスティナブル社会の実現に向けた取組みが地球規模で加速しています。このような状況の中、Old Economyでは、従来の素材、ソリューションの一部が時代遅れとなり、競争力を喪失し、New Economyに乗り移れない企業は退場を迫られる状況にあります。
(2) 当社の存在意義
企業が生き残るためには、変革のスピードを上げ、新規事業の社会実装を急ぎ、非連続の成長を実現すること以外には道はありません。来るべき社会の変容を想定するなかで新しい社会的課題を発見し、それに対してソリューションを提案する力が企業に求められています。
当社は、「技術革新とグローバル展開を通して、革新的な素材開発によるソリューションを提供することにより、社会的課題を解決し、サスティナブルな社会の実現に貢献する」ことを存在意義と定義しております。
当社の強みである「画期的な製品を継続的に生み出してきた高い技術開発力」と「高い技術力をベースとしたグローバル展開」をベースに、今後求められる社会的ニーズを特定し、ソリューションを提案することにより社会的課題を解決していきます。
(3) 経営方針、経営戦略
当社は、ESG経営を実践し、世界を健康にする「健康経営-Wellness First」を目指します。
・世界のクライシスに対して貢献できる分野を「環境・エネルギー」「食糧」「健康」に重点分野を定めました。
・基盤事業でキャッシュを確保できる施策を取り、得られたものを新しい事業に向かう研究開発や資源投入に活用し、ポートフォリオの変革を実現します。
a.ポートフォリオの変革
ⅰ.Earthology Chemical Solution
化学素材の無限の可能性を引き出し、持続可能型社会を支え、地球環境と生活の革新に貢献します。
・生分解性ポリマーPHBH、PV & Energy management SVの大型新規事業は、社会実装に向け大きく動きはじめ、今後大型新規事業化を目指します。
・Vinyls and Chlor-Alkali SV、Performance Polymers(MOD) SV、Performance Polymers(MS) SVの基盤事業は収益力を強化し、Foam & Residential Techs SVは収益力を強化しながら自動車などの世の中の軽量化ニーズに対応した製品群のラインナップを急ぎます。Performance Fibers SVは高収益事業としていきます。
・E & I Technology SVは急速に変化していく自動車、住宅、医療、情報通信インフラなどのスマート化、デバイスの高機能化などによる生活のクオリティ向上を支えるソリューションを提供することに注力していきます。

ⅱ.Active Human Life Solution
化学を軸に、食と医療を一つにとらえ、人々に健康で活力のある人生をもたらす革新的なソリューションを提供します。
・Foods & Agris SVは構造改革のスピードアップを図り、社会実装化した乳製品など新規事業の本格事業化、サプリメントとの協業によるNutrition価値を追求した製品の創出を通してNew Economyとして新しい事業に変革していきます。
・Medical Devices SVはグローバルに市場拡大を図り、高収益化を実現します。再生細胞医療の社会実装化を急ぎます。
・Pharma & Supplemental Nutrition SVはAPIのグローバル市場において拡販し、カネカユーロジェンテックを中心としたバイオ医薬の成長を実現します。

b.経営基盤の強化
経営モデルの基本構造であるカネカタワーと経営システムのTransformationのトリプルPackageが、当社の社会価値と企業価値を高める両輪、すなわち経営の根幹をなす2大システムです。
当社は、失敗を恐れずに、とにかくやってみる。実験の積み重ねから生まれる答えを楽しむ。他にないソリューションを生み出す「実験カンパニー」であり続けます。新規事業の社会実装化が大きく進み、大量に試してうまくいったものを残すという効果が出てきています。社会の劇的な変化に対応し、変革と成長を実現するためにポートフォリオの変革を急ぎます。
ⅰ.カネカタワー
・当社の経営モデルの基本構造であり、当社の創業以来の持つ強み(DNA)を活かし、「事業構築力(内なる力)」と「市場開発力(外なるPower)」を進化させ、「現場力」がその実行を支え、常に時代の変化に応じて経営革新を自律的に行えるようにします。
・自治機能を高める2つのWork Shop(変革と成長のトライアングル、カネカ1on1)を通して現場をInspireします。

ⅱ.経営システムTransformationのトリプルPackage
変革と成長を実現するための、ビジネス思考のプラットフォームです。経営のソフトウェアとハードウェアをドッキングすることにより、実効性を上げます。
ⅲ.変革と成長のトライアングル
時代認識/仕掛け/成果のトライアングルは、経営計画のなかで、どのように目標を設定し、技術革新を含めた達成のための仕掛けを整え、スケール・スピードを意識したうえで、いったい何を成果として位置付けるのか。経営計画の骨格そのものとなります。

c.経営施策
ⅰ.R&B戦略
当社は、研究開発の目的を、「マーケットとお客様の目線に立った先端技術の積極的な価値追求により1日も早く社会課題を解決すること」と定め、「R&B(Research & Business)」と再定義しました。社会の課題解決に資する技術への目利き力を研ぎ澄まし、圧倒的な競争力を持つ「技術」「素材」の開発と「社会実装」の実現により、ソリューションプロバイダーとして持続的な成長を遂げていきます。
ⅱ.グローバル戦略
当社は、これまで常に世界を視野に置き、他社に先駆けた事業展開を推進してきました。現在ではグローカル(現地発信の事業展開)に軸足を置き、世界各地の特性にあわせた技術開発、素材開発を加速させています。今後も現地に根差した展開を推し進め、価値あるソリューションをタイムリーに世界の市場に提供し、グローバルに存在感ある企業を目指します。
ⅲ.人材戦略
・「Human Driven Company」こそ当社の経営思想の背骨であり、仕事を通じて人の成長を企図する「Work Shop」を制度化したものが「カネカ1on1」です。「カネカタワー」においても、経営革新力を支える「実験カンパニー」の背骨であります。
・新しい時代に適合する業務のリデザインとWork Cultureの変革を急ぎ、デジタルツールの活用によりオペレーションの徹底的効率化を図り、生産性の高い組織・人づくりを行います。
・IoT、ロボティクスを活用した自動化、省人化などの生産革新を推進し、Human Driven Company、アルゴリズムと人間力が共鳴する共同体を創り、モノづくりの競争力を向上させていきます。
ⅳ.コーポレートガバナンスの充実
当社は、社員一人ひとりの心と体の健康と、企業活動や姿勢が健全であるという「健康経営」に取り組んでいます。重要なことは、経営があるべき社会に熟慮し、姿勢を正して行動する企業統治力、コーポレートガバナンスの強化です。
パラダイムチェンジが進み、事業が拡大するなか、執行機能の強化が課題になります。イノベーションを行動の羅針盤“Scope of compass”にして未知を開くESG経営・健康経営を組織(現場)に定着させます。そのためには、各執行機能が全体知(Perspective)を反映させながら、現場を観察し、チョークポイントを発見する執行機能の強化に取り組んでまいります。
自己変革を続け、経営目標を実現する体制づくり、コーポレートガバナンスの一層の充実を図ることが重要と考えています。
(4) 対処すべき課題
今回の新型コロナウイルス問題により社会の変化が加速し、New Economyの時代の到来が早まったと認識しています。世界はひとつです。科学技術に国境はありません。当社が持つ“内なる力”、即ち「広いDomain・多様な技術・世界に広がる企業活動・多様な人材」と「マーケットと技術のインターフェイス」の発揮に一層磨きをかけ、命を育む社会を支えていきます。
カネカグループは、環境をあるべき姿にし、食べ物を健やかにし、人間や動物を元気にしていきます。ビジネスに活気を与え、社会を明るくし、そして世界を「健康」にしていきます。カネカグループはますますカガクにできることを広げ、さまざまなソリューションを通じて、社会と人々の願いをかなえていきます。今後も引き続き、魅力ある企業像と競争力ある事業構造の実現に取り組み、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの期待に応え、高く評価される企業に変革してまいります。
(1) リスクマネジメントの基本的な考え方
リスク管理については、各部門が、業務の遂行に際して、または関連して発生しそうなリスクを想定して適切な予防策を打ち、万一、リスクが発現した場合には、関連部門の支援を得ながら適切に対処することを基本としています。
潜在的リスク発現に対する予防策については、倫理・法令遵守に関するものも含め、ESG委員会コンプライアンス部会が全社の計画の立案・推進を統括します。
リスクが発現した場合、または発現するおそれが具体的に想定される場合には、適宜ESG委員会が当該部門と協働して対処します。
以上のことが、的確に実施されているかどうかについて定期的に点検を行い、体制の形骸化を回避するとともに、実効性を維持・改善していきます。
(2) 事業等のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
① 新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク
当社グループは、テレワーク(在宅勤務)の積極的な活用等、従業員の安全と健康を最優先に考えた感染防止を徹底するとともに、企業活動の本格的な再開を両立させていくことに取り組んでおります。また、今回の新型コロナウイルス問題により加速する社会変化を変革の機会と捉え、新しい仕事の設計(New Style Work Culture)を進めております。しかしながら、当社グループの事業活動は、国境を越え、地球規模のスケールでつながる科学技術のサプライチェーンに沿って行われております。仮に感染症の影響が長期化した場合には、このサプライチェーンの停滞により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 当社事業の優位性の確保と国内外の経済環境の動向に係るリスク
当社グループは、自社開発技術に先端技術を外部から導入あるいは融合し、多岐にわたる分野で高付加価値製品を開発、商品化し、継続的に新規市場の開拓を行うことで、事業の優位性を確保すると同時に、事業構造改革を推し進め経営基盤の強化に取り組んでおります。しかしながら、経済環境の急激な変化、技術革新の急速な進展、自然災害やパンデミックが生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業のグローバル化に伴うリスク(海外事業展開、為替変動)
当社グループは、これまで常に世界に視野を置き、他社に先駆けた事業展開を推進してきました。現在ではグローカル(現地発信の事業展開)に軸足を置き、世界各地の特性にあわせた技術開発、素材開発を加速させています。海外における事業活動には、予測不能な法律、規制、税制などの変更、移転価格税制による課税、急激な為替変動、テロ・戦争などによる社会的、政治的混乱などのリスクがあります。その発現を未然に防ぎまたは影響を軽減するために、グループ会社のガバナンス強化、専門家体制の整備、為替耐性強化策、損害保険の付保、従業員の安全対策等諸施策を講じておりますが、仮にこれらの事象が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 原燃料価格の変動に係るリスク
当社グループは、原燃料の調達について、グローバル購買、中長期契約とスポット市場での購入を組み合わせ最有利に行う体制を構築し運用しておりますが、その多くが国際市況商品であることから、想定外の相場変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 製造物責任・産業事故・大規模災害に係るリスク
当社グループは、お客様に提供する製品の品質、流通には万全の体制を構築して運用し、万一事故が発生した場合に備え、グループ全体を補償対象とする賠償責任保険を付保しております。また、安全をすべてにおいて優先し、法令順守の下、事業活動に取り組んでおりますが、想定外の事故や地震などの大規模自然災害により、主要な製造設備が損壊し財物保険の補償範囲を超えた損失が発生するリスクがあります。このような状態が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権の保護に係るリスク
当社グループは、研究開発の成果を特許などの知的財産として確実に権利化することにより、社会課題の解決に資するソリューションの早期提供を目指しています。一方、他社の知的財産に対しては、これを尊重し係争を未然に回避すべくテーマ提案・事業化・仕様変更などの事業開発の節目において必ず特許調査を実施し、パテントクリアランスの確保に万全を期しております。しかしながら、グローバル化や情報技術の進展などにより、当社グループが開発した技術ノウハウなどの漏洩、不正利用や使用許諾に関する係争等のリスクがあります。仮にこのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 環境関連規制の影響
当社グループは、「ESG憲章」に基づき、製品の全ライフサイクルにおいて、それぞれの段階で地球環境の保護に取り組み、資源の保全、環境負荷の低減により、社会の持続的発展と豊かな社会の実現を目指しています。一方、環境関連規制は年々強化される方向にあり、規制の内容によっては事業のサプライチェーンにおいて活動の制約など、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 訴訟などに係るリスク
当社グループは、コンプライアンス経営を重視し、法令及び社会的ルールの遵守の徹底を図っております。しかしながら、国内外において事業活動を行う過程で、予期せぬ訴訟、行政措置などを受けるリスクがあります。仮に重要な訴訟などが提起された場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ その他のリスク
当社グループは、中長期的な取引関係構築、維持及び強化等を目的に、取引先及び金融機関の株式を保有しております。これら株式の期末時の時価等が著しく下落した場合には、「金融商品に関する会計基準」の適用により、減損損失を計上する可能性があります。
固定資産については、今後、事業環境の大幅な悪化や保有する遊休土地の時価が更に低下した場合等には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
退職給付債務については、数理計算上の基礎である割引率が著しく低下した場合や、年金資産の運用が著しく悪化した場合には、多額の積立不足が生じる可能性があります。
繰延税金資産については、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得等に関する予測に基づいて回収可能性を検討し計上しておりますが、実際の課税所得等が予測と異なり、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。
仮に以上のような事象が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(以下、当期)の世界経済は、歴史に残る波乱の幕開けになりました。前半の約10か月については、米中の貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題、中東の地政学リスクの高まりにより景気は低迷しました。今年1月以降は、発生した新型コロナウイルスのパンデミックな感染拡大が引き金となり、世界中の経済活動がほぼ全面停止状態になりました。人・モノの動きの遮断は、自動車・航空・鉄道などのモビリティ分野、観光・宿泊、外食、小売・百貨店業界を直撃し、世界的にネットワークとサプライチェーンで繋がるあらゆるビジネスに大きな打撃を与えています。また、その流れを受け原油価格の歴史的な下落をまねく事態となっています。
このような状況のなか、当社グループの当期の業績は、売上高601,514百万円(前連結会計年度(以下、前年同期)比3.1%減)、営業利益26,014百万円(前年同期比27.8%減)、経常利益20,166百万円(前年同期比35.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益14,003百万円(前年同期比37.0%減)と減収・減益になりました。
四半期でまとめると、第3四半期までは自動車、エレクトロニクス分野の需要不振の影響を強く受けました。第4四半期になり主力事業の数量拡大による業績回復のモメンタムに転じましたが、新型コロナウイルス問題の発生がそのモメンタムを一時的に打ち消す形となっています。新型コロナウイルス問題の影響は全体として約30億円の利益押し下げ要因になりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
(Material Solutions Unit)
当セグメントの売上高は241,795百万円と前年同期比14,122百万円(5.5%減)の減収となり、営業利益は20,625百万円と前年同期比5,335百万円(20.6%減)の減益となりました。
塩化ビニル樹脂及び特殊塩ビ系樹脂は、国内向けが前年並みの出荷量に留まるなか、アジアを中心とした海外向け需要は活発で順調に販売を伸ばしましたが、新型コロナウイルス問題発生を機に輸出が停滞しました。2020年第1四半期もこの影響が続く見通しです。か性ソーダについては、中国経済の減速を背景としたアジア市況低迷が継続し、業績に大きな影響を与えました。
Performance Polymersのモディファイヤーは、世界経済減速の影響を受けるなかで、非塩ビ向けの拡販や大型新製品の開発・投入など高付加価値の新たな市場創出への取組みが進みましたが、新型コロナウイルス問題により販売減を余儀なくされました。2020年第1四半期も需要の一時的減少が継続する見通しです。エポキシマスターバッチは、自動車用構造接着剤やエレクトロニクス向けなど最先端の市場ニーズを捉えた用途開発が進み、フル生産・フル販売が続いています。本年7月に稼働する高砂の能力倍増設備を計画通りに立ち上げ、旺盛な需要に応えてまいります。次期増設についても早急に具体化します。
変成シリコーンポリマーは、ベルギーの能力増強設備も寄与して順調に販売が拡大しました。ニューフロンティアであるアジア市場の開拓も順調に進めていますが、第4四半期は新型コロナウイルス問題により中国向けの出荷が停滞しました。
カネカ生分解性ポリマーPHBH®は、G20など多数の国際会議や展示会、またBBCやCNNなど海外大手メディアで話題となっています。マイクロプラスチック問題や環境問題に関心の高い国内外の大手ブランドホルダーから引き合いが殺到し、多くの共同開発プロジェクトがスタートしています。高砂の5,000tプラントが完成し、大手コンビニ、食品メーカー、化粧品メーカーなど世界のブランドホルダーへの採用が順調に進んでいます。20,000t規模の量産プラント建設の準備を急ぎ、経営資源を重点投入しながら早期の事業拡大を目指しています。
(Quality of Life Solutions Unit)
当セグメントの売上高は154,837百万円と前年同期比1,837百万円(1.2%減)の減収となり、営業利益は14,189百万円と前年同期比903百万円(6.0%減)の減益となりました。
Performance Fibersについては、アフリカ市場の新規需要創出をめざしガーナに商品開発センターを設置しました。需要旺盛な撥水性ファイバーなど高機能、高付加価値商品に取り組み、マーケット密着型の販売を強化しています。第4四半期は、新型コロナウイルス問題により一時的にマレーシア工場の操業制限やアフリカ向けの出荷減を余儀なくされました。2020年第1四半期もこの影響が続く見通しです。
Foam & Residential Techsのスチレン系発泡樹脂および押出ボードについては、高断熱・高発泡などの新製品の投入や物流の合理化を進め、収益が増加しました。発泡ポリオレフィンについては、新型コロナウイルス問題による世界的な自動車減産の影響を受け、収益が低迷しました。自動車減産の影響は2020年第1四半期も継続する見通しです。
PV & Energy managementについては、高効率太陽電池の市場評価が高く、大手ハウスメーカー向けの販売が順調に拡大し、収益が大幅に改善しました。地球環境意識が高まるなか、自然再生エネルギーの最有力ソリューションとして太陽光発電システムが改めて注目されています。高効率品の供給能力をタイムリーに増強するとともに、大手建設会社との住宅・ビルのゼロエネルギー・マネジメント・システムの開発や大手自動車メーカーとの車載用シースルー太陽電池の開発に共同して取り組み、需要の拡大に応えてまいります。
E & I Technologyのポリイミドフィルムとグラファイトシートについては、スマートフォン市場の減速の影響を強く受けました。第4四半期には、新型コロナウイルス問題による中国などのサプライチェーンの停滞やマレーシア工場の操業制限の影響を受けました。2020年第1四半期にも同様の影響が続く見通しです。今後拡大が見込まれる有機ELディスプレイや5Gスマホ、自動運転システム向けセンサー素材など、市場での当社イノベーション技術への期待が高く、デジタル・トランスフォーメーションを支える独自の新製品の研究開発を加速させます。
(Health Care Solutions Unit)
当セグメントの売上高は46,352百万円と前年同期比1,090百万円(2.3%減)の減収となり、営業利益は8,917百万円と前年同期比1,666百万円(15.7%減)の減益となりました。
Medical Devices のカテーテルについては、昨年11月に発売した塞栓コイルなど新製品の顧客の評判が高く、販売が増加しました。今春には米国での販売を開始しました。ベトナム工場を増設し、薬剤塗布型バルーンカテーテル・血流測定機器など新規医療領域を積極的に拡大してまいります。また、欧米の医療機器会社との技術・資本提携を通じ事業の飛躍的拡大に取り組んでまいります。リクセルの新型コロナウイルス臨床試験研究が開始されました。当社の血液浄化技術を感染症対策に適用すべく研究領域を広げていきます。なお、計画していた技術導出は新型コロナウイルス問題の発生により合意が2020年第1四半期に遅延しました。
Pharmaについては、第4四半期に見込んでいた低分子医薬品のまとまった出荷が新型コロナウイルス問題の影響を受けて2020年第1四半期以降にずれ込みました。次年度は、大阪合成のAPI向けの能力増強やカネカユーロジェンテックのバイオ医薬品向けの能力増強が戦力化し、収益拡大が見込まれます。カネカユーロジェンテックにおいてはベルギー政府の緊急要請を受け、新型コロナウイルス検査試薬の供給を開始しました。また、アビガン原薬供給につき富士フイルムと合意しました。更にmRNAやプラスミドDNAなど最先端の高度技術を活用したワクチンの受託生産や抗ウイルス薬の開発に関する集中研究チームを立ち上げました。
(Nutrition Solutions Unit)
当セグメントの売上高は157,431百万円と前年同期比1,536百万円(1.0%減)の減収となり、営業利益は5,647百万円と前年同期比283百万円(4.8%減)の減益となりました。
Foods & Agrisについては、食パン向け販売は好調に推移しましたが、菓子パンやコンビニの不振の影響を受けました。第4四半期には、新型コロナウイルス問題からインバウンド・土産市場の悪化や休校による給食需要減等、厳しい環境となりましたが、一方では内食化が進み、冷凍食品・カップ麺需要が増加し、カネカサンスパイスの業績は過去最高を記録しました。SV全体としては業績は前年並みとなりました。また、乳製品事業の「パン好きの牛乳」シリーズは、市場で高評価を得て売上高が飛躍的に伸びています。今後、乳製品の本格的工場の建設を急ぎます。日本のパン文化の海外への移植を進めるべく建設しているインドネシア新工場が今夏にも稼働することから、アジアでの事業拡大に一層の弾みがつくものと考えています。
Supplemental Nutritionについては、還元型コエンザイムQ10の米国大手ブランドホルダー向けの出荷のずれ込みが生じました。昨年子会社化したスペインAB-Biotics社の乳酸菌は、販売好調な欧州に次いで米国、日本の販売を開始します。効果効能の科学的データの情報発信を強化する組織再編を行い、多用なサプリメントのブランド戦略を加速してまいります。また、消費者の健康意識が高まるなか、Foodsの乳製品事業とのシナジーを活かし、ヨーグルトなど美味しさと機能を両立させた食の展開も強化してまいります。
(その他)
当セグメントの売上高は1,097百万円と前年同期比943百万円(46.2%減)の減収となり、営業利益は547百万円と前年同期比917百万円(62.6%減)の減益となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。
2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
主として見込み生産であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、売掛金や投資有価証券の減少等により前連結会計年度末に比べて6,325百万円減少し653,262百万円となりました。負債は、借入金の増加等により前連結会計年度末に対して306百万円増加し299,167百万円となりました。また、純資産は、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の減少等により前連結会計年度末に対し6,631百万円減少し354,094百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.7%となりました。
なお、ROA(総資産経常利益率)は3.1%となり前連結会計年度(4.8%)を下回りました。ROE(自己資本当期純利益率)は4.2%となり前連結会計年度(6.7%)を下回りました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,364百万円減少し、37,606百万円となりました。
区分毎の概況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、39,983百万円の収入(前期比1,130百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益19,797百万円、減価償却費34,340百万円等による資金の増加と、仕入債務の減少11,120百万円、法人税等の支払額6,531百万円等による資金の減少がその主な内容です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、41,807百万円の支出(前期比5,421百万円減)となりました。有形固定資産の取得による支出42,977百万円等がその主な内容です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、479百万円の支出(前期比475百万円減)となりました。配当金の支払6,848百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4,574百万円等による資金の減少と、借入による収入11,117百万円等による資金の増加がその主な内容です。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社は、付加価値のある新しい事業を生み出しポートフォリオの変革を実現することで成長を続ける研究開発型企業を目指しています。基盤事業により十分なキャッシュを確保し、新事業創出のための研究開発や設備投資資金に活用していくことを基本とし、更なる成長投資に必要な資金については、その目的・規模や金融環境に応じ最も適切な調達方法を採ることとしています。
資金需要に応じ有利かつ円滑な資金調達ができるよう信用格付の維持・向上や金融機関・資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急な資金需要に備え融資枠や社債発行登録枠の設定を含め十分な手元流動性を確保しています。また、資金調達の方法については、自己資本など財務の安全性を確保しながら、資本効率の向上につながる資本・負債構成を考慮し、社債や借入金のいわゆる負債による資金調達を実施しています。
株主還元については、毎期の業績、中長期の収益動向、投資計画、財務状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%を目安に、自己株式の取得も状況に応じ機動的に実施し、安定的に継続することを基本方針としています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(a)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
(b)棚卸資産の評価
棚卸資産は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、正味売却価額が帳簿価額よりも下回っている場合は、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げております。入庫日から1年超経過している棚卸資産については、需要予測等に基づく収益性の低下の事実を反映するように、個別に回収可能性を見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する棚卸資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(c)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来減算一時差異に対する将来の課税所得等に関する予測に基づいております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(d)退職給付債務の算定
確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等の計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2 確定給付制度 (9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
特記すべき重要な契約等はありません。
(1) 事業セグメント別の主な活動
当社グループの主な研究開発活動は以下のとおりです。
① Material Solutions Unit
素材の豊かさを引出し、生活と環境の進化に貢献できる機能性材料や、競争力を強化するプロセス開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、発酵技術とポリマー技術の融合で生まれた海洋分解性を特徴とする当社独自の生分解性ポリマーの用途開発を大手顧客と共同で進めました。また、エポキシマスターバッチの事業拡大に向けて新規用途開発に注力しました。
② Quality of Life Solutions Unit
素材の力で生活価値の先端を創る製品の研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、衝撃吸収や断熱性にすぐれる発泡樹脂、独特の風合いと難燃性にすぐれた繊維、次世代通信端末向け高機能ポリイミド関連商品などの情報通信を支える高機能素材、住宅やビルのゼロエネルギー化(ZEH、ZEB)に貢献する太陽電池などの製品の開発に注力しました。
③ Health Care Solutions Unit
革新医療がより多くの患者に届けられる世界を創るために高齢化社会、医療の高度化に貢献する製品の研究開発に取り組んでいます。当連結会計年度では、発酵、精密合成、ポリマー技術を健康分野に適用し、脳・心臓血管治療用の医療機器、新規バイオ医薬品の開発に注力しました。
④ Nutrition Solutions Unit
食の多様化に貢献する新素材や機能性食品など食と健康、食料生産に革新をもたらす技術開発に取り組んでいます。当連結会計年度では、欧州企業との提携による技術を活かし、高品質でおいしい乳製品の開発や乳酸菌をはじめとする機能性食品素材の開発を進めました。
(2) 研究開発費
当連結会計年度における研究開発費は、総額で