当第3四半期連結累計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動等又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、経済活動が地球規模のスケールでつながるネットワーク社会の時代を迎えています。第3四半期はその観点から米中貿易摩擦の激化が技術的につながる世界のサプライチェーンに影響が広がり、甚大な景気減速要因になりました。英国EU離脱問題や米国とイランの緊張など地政学的リスクが高まったこともあり、第3四半期の景気のモメンタムは減速しました。
第4四半期になり米中貿易摩擦の緩和、英国EU離脱問題や中東情勢の落ち着きに加え米国の政治安定化期待から、景気回復の足取りは徐々に強くなっていましたが、1月に発生した新型コロナウィルスの感染拡大による下振れリスクの懸念は想定外の勢いで広がっています。世界経済に深刻な影響を与えかねない情勢にあります。
当社グループの業績は、アジア・欧州での需要の鈍化、自動車産業やエレクトロニクス産業の低迷の影響により、主にMaterial Solutions Unitを中心として販売減・利益減となりました。当社が力を入れている海外市場の景気減速が業績の大きなトリガーになりました。このような状況のなか、当第3四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年12月31日)の業績は、売上高は452,467百万円(前年同四半期連結累計期間(以下、前年同期)比3.2%減)、営業利益は18,891百万円(前年同期比29.0%減)、経常利益は15,139百万円(前年同期比34.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,232百万円(前年同期比37.1%減)となりました。
各セグメントの状況は、次のとおりであります。
① Material Solutions Unit
当セグメントの売上高は180,661百万円と前年同期と比べ10,464百万円(5.5%減)の減収となり、営業利益は14,669百万円と前年同期と比べ4,954百万円(25.2%減)の減益となりました。
Vinyls and Chlor-Alkaliについては、か性ソーダは中国経済減速の影響が未だ色濃く市況の低迷が続いています。一方、塩化ビニル樹脂及び塩ビ系特殊樹脂は国内の市況は低迷しましたが、インドなど海外の需要は堅調に推移し販売は増加しました。当SVは、第3四半期は前年並みに回復し、第4四半期は一段の回復が進みますが、年間では世界経済の減速の影響を受けて未だ本格的な回復の途上にあります。
Performance Polymersのモディファイヤーについては、米中貿易摩擦による国内外の需要減及び貿易量の減少の影響を強く受けました。当SVは、大型新製品の開発・投入により付加価値の高い新たな市場の創出を進めています。事業構造を変える先兵として開発を進めてきたエポキシマスターバッチは、自動車構造接着剤やエレクトロニクス用途など最先端の市場ニーズに応える技術の特殊性が評価され、販売が急増しています。設備能力を上回る旺盛な需要に応えるため、速やかにデボトルネックによる増産を図るとともに、本年7月稼働に向けて能力を2倍にする能力増強工事を突貫で進めています。
変成シリコーンポリマーについては、欧州では販売が堅調に推移し、ベルギーの能力増強設備が収益に貢献しました。このSVは、技術差別力の高いオンリーワン製品であり、ニューフロンティアとして取り組んでいるアジア市場の開拓は順調に進んでいます。一昨年稼働したマレーシア工場の新系列が業績を押し上げています。
カネカ生分解性ポリマーPHBH®については、G20など国際会議に加え、CNNなどメディアでマイクロプラスチック問題のソリューションとして取り上げられ、環境問題に関心の高いグローバル企業から引き合いが殺到しています。社会システムを変えるイノベーション素材として、日本では、セブン-イレブンをはじめとしたコンビニや化粧品メーカーなどでストローやレジ袋、包装材の幅広い用途に採用が進んでいます。また、海外では、大手ブランドホルダーと多くの新規プロジェクトが始まっています。販売の引き合いは昨年12月に竣工した5,000tプラントの能力を大きく上回っており、20,000t規模の本格量産プラント建設の準備を進めています。
② Quality of Life Solutions Unit
当セグメントの売上高は118,652百万円と前年同期と比べ980百万円(0.8%減)の減収となり、営業利益は11,363百万円と前年同期と比べ440百万円(3.7%減)の減益となりました。
Performance Fibersについては、アフリカ市場拡大が顕著で、加えて、先進国においても新しい需要開拓が進み、当セグメントの収益を牽引しています。旺盛な需要に応えるべく、デボトルネックによる増産を進めるとともに、最速で生産能力増強が可能な高砂工業所での増設を検討しています。
Foam & Residential Techsのスチレン系発泡樹脂および押出ボードについては、薄物高断熱などの新規商品の投入を進め、需要の拡大と相俟って、収益が増加しました。物流効率化に向けた拠点整備など更なる収益力向上を目指した事業プラットフォーム強化に取り組んでいます。発泡ポリオレフィンについては、自動車・モビリティ領域の省エネ、軽量、安全ニーズの高まりのなか、グローバルな需要が拡大しています。タイ、ベルギーでの能力増強や新プロセス導入など事業基盤強化のスピードを上げてまいります。
PV & Energy managementについては、地球温暖化が懸念されるなか、国のエネルギー政策では自然再生エネルギーとりわけ太陽光発電システムを主力電源とする議論が始まっています。大手ハウスメーカーを中心に販売は順調に伸びております。大成建設と外壁・窓が発電する多機能で意匠性を備えた画期的な工法を共同開発しましたが、その技術を使った高効率シースルー太陽電池が新国立競技場に採用になりました。住宅やビルのゼロエネルギー・マネジメント・システム素材である新製品の増産体制を遅滞なく進めて、需要拡大に対応してまいります。
E & I Technologyのポリイミドフィルムとグラファイトシートについては、スマートフォン市場の減速の影響を強く受けました。このSVは、自動車の自動運転システム支援用CMOSセンサー素材など他社が真似できない素材を末端のデジタルデバイスメーカーと共同で開発を進めています。今後拡大が見込まれる有機ELディスプレイや5Gスマートフォンなどデジタルトランスフォーメーションを支えるユニークな新製品の研究開発活動を強化してまいります。
③ Health Care Solutions Unit
当セグメントの売上高は33,251百万円と前年同期と比べ1,841百万円(5.2%減)の減収となり、営業利益は6,048百万円と前年同期と比べ1,304百万円(17.7%減)の減益となりました。
Medical Devicesについては、高機能カテーテルなど新製品の販売が国内外で拡大しています。旺盛な需要に応えるべくベトナム工場の能力増強を検討しています。11月に国内で販売をスタートした新製品の塞栓コイルは、順調に販売が拡大しており、更に米国での発売を予定しています。今後は、薬剤を塗布したバルーンカテーテルや電極カテーテル、血流測定機器など新規医療領域での積極的な事業拡大を目指してまいります。当SVの飛躍的な拡大を図るため米国、欧州の医療機器会社と積極的に資本・業務提携を進めています。
Pharmaについては、大型低分子医薬品の出荷が第4四半期に変更になり、第3四半期の当SUの業績に多大な影響を与えました。ジェネリック医薬品向けのAPIやバイオ医薬品が堅調に拡大しています。大阪合成有機の能力増強が今後の業績に寄与します。カネカユーロジェンテック社の生産能力増強工事が完了し、本格稼働に向けた準備を鋭意進めています。
④ Nutrition Solutions Unit
当セグメントの売上高は119,096百万円と前年同期と比べ1,857百万円(1.5%減)の減収となり、営業利益は3,976百万円と前年同期と比べ101百万円(2.5%減)の減益となりました。
Foods & Agrisについては、大手製パン、コンビニや食品メーカーへの積極的な提案型営業が拡販をドライブし、収益を伸ばしています。味の多様化が進むなか、当社のスパイス市場が拡大しており、カネカサンスパイス製品の新規採用件数の増加が収益拡大に貢献しています。日本の美味しいパン・菓子文化の拡大期を迎えているインドネシアでの新工場増設を5月稼働で遅滞なく立ち上げ収益拡大を図ります。「パン好きの牛乳」「パン好きのカフェオレ」「ベルギーヨーグルト ピュアナチュール」は市場で大好評を博しており、それを追い風にして新しい乳製品事業の立ち上げを急ぎます。乳製品の新工場建設の検討を急ぎ、酪農家とともに循環型酪農の発展を目指します。
Supplemental Nutritionについては、健康意識が高まるなか、ブランド化した還元型コエンザイムQ10を核にカネカらしい新しいサプリメント事業モデルを創出する手がかりとして、スペインのAB-Biotics社を完全子会社化しました。同社の乳酸菌サプリメント素材は、そのユニーク性が高く評価され、グローバルに販売が拡大しています。今後は食品事業との協奏と効果効能の科学的な情報発信を丁寧に行い、サプリメント素材の多品種多様化を図ってまいります。乳酸菌の米国での生産を早期に実行し、米国と日本での販売をスピーディに立ち上げます。
⑤ その他
当セグメントの売上高は805百万円と前年同期と比べ3百万円(0.5%減)の減収となり、営業利益は394百万円と前年同期と比べ22百万円(6.0%増)の増益となりました。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ5,992百万円増の665,580百万円となりました。負債は、買掛金及び借入金の増加等により6,286百万円増の305,148百万円となりました。また、純資産は、為替換算調整勘定の減少等により294百万円減の360,432百万円となりました。この結果、自己資本比率は50.8%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの「経営方針、経営環境及び対処すべき課題」については、重要な変更又は新たな発生はありません。
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値向上ひいては株主の共同の利益を持続的に確保、向上していくことを可能とするものであることが必須と考えております。
当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。しかしながら、当社の企業価値向上ひいては株主の共同の利益を棄損するおそれのある不適切な大量買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えております。そのような大量買付行為が行われた場合は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守るために、必要・適正な措置を講じてまいります。
② 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2016年6月29日開催の第92回定時株主総会において株主の承認を得て、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策、以下「本プラン」)を継続してまいりました。2019年6月21日開催の第95回定時株主総会終結の時をもって、本プランが有効期間満了を迎えるにあたり、株主の意見、買収防衛策に関する近時の動向、当社を取り巻く経営環境の変化等を考慮しながら慎重に検討を重ねた結果、2019年5月14日開催の取締役会において、本プランを有効期間の満了をもって廃止することを決議し、本定時株主総会終結の時をもって廃止いたしました。
当社は、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、株主が当該大規模買付行為の是非について適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求めるとともに、当社取締役会の意見等を開示し、株主の検討のために必要な時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
③ 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取組み
当社は、2009年に長期経営ビジョン『KANEKA UNITED宣言』を策定いたしました。この中で、当社グループの抜本的な「変革」と継続的な「成長」をめざし、「環境・エネルギー」、「健康」、「情報通信」、「食料生産支援」を重点戦略分野と位置付け、経営の重点施策として、①研究開発型企業への進化、②グローバル市場での成長促進、③グループ戦略の展開、④アライアンスの推進、⑤CSRの重視に取り組んできました。
2018年からスタートした中期経営計画においては、2017年に刷新した経営システムを基盤におき、「価値あるソリューションをグローバルに提供することを通じて世界の人々の人生と環境の進化に貢献し、存在感ある企業として成長し続ける」ESG経営へ進化させ、ソリューション・プロバイダーとして社会的課題を解決することにより、事業ポートフォリオを変革していきます。成長ドライバーを「R&B」(Research & Business)、「グローバル化」、「人材育成」とし、ソリューション・プロバイダーとしての取組みを強化することにより、事業構造を変革させ、当社グループの成長を加速します。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は22,044百万円であります。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。