第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 時代認識

コロナパンデミックは終息のめどが立たず、変化の時代を象徴する不透明な状態が続いています。経験したことのない変革期を迎えています。社会の価値観が大きく変化し、社会システムのパラダイムがシフトしています。デジタル技術(DX)の社会実装が進み、ビジネス界は異次元のスピードで「環境にやさしい健康で安全な暮らし」の実現に向かっています。キーワードは「サステナビリティ(持続可能社会)」です。

すでに、カーボンニュートラルを目指す脱炭素社会(持続可能社会)を構想する取り組みは加速し、大きな潮流となっており、全ての企業にとって、エネルギー、資源、食糧問題等に取り組み、技術革新を進めることが必須の経営課題となっています。

 

(2) 当社の存在意義

当社は、世界がこのようなサステナビリティの実現をめざす動きは、「人間性の回復(ルネッサンス)」を求めているものと考えています。

社会の潮流を構造化し、「地球環境・エネルギーの危機」「食の危機」「健康(豊かに生きる)の危機」の3つをサステナビリティのクライシスと考え、事業領域としてきました。

当社は「ESGやSDGsの取り組みを強化し、技術革新とグローバル展開を通して、革新的な素材開発によるソリューションを提供することにより、社会的課題を解決し、サステナブルな社会の構築に貢献する」ことを存在意義と定義しております。

地球環境を守り、人間性の回復に貢献し「命を育む社会を支える」健康経営を進めてまいります。

 

(3) 経営方針、経営戦略

当社は、ESG経営を「世界を健康にする健康経営-Wellness First」と定義し、全ての活動のプラットフォーム(憲法)とします。当社の健康経営は人間賛歌の経営です。価値あるソリューションをグローバルに提供することを通じて世界の人々の人生と環境の進化に貢献し、存在感のある企業として成長し続けます。

 

・不確実な社会環境の中、「人間が人間らしく豊かに生きる」社会の実現を目指し、「人間性の回復-ルネッサンス(SX※)」に重点的に取り組みます。

 

※SX:

サステナブル社会に向けた課題の解決(Sustainability)+

価値ある仕事を創造するDX

 

 

 


 

 

・当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」提言への賛同を表明し、①GHG排出削減、②循環型社会への貢献、③食糧資源の増産の3項目について取り組むことといたしました。

 

 

① サステナブルをめざす健康経営(ESG経営)

ⅰ.カガクでネガイをカナエル会社カネカ

化学という「不思議の海」の冒険を通して、環境負荷を低減し人々の人生に役立つ会社になります。

ⅱ.ソリューションプロバイダー

「経営システムTransformationのトリプルPackage」に基づいてソリューションプロバイダーの道を進みます。

図1、2

ⅲ.実験カンパニー

(大量に試していいものだけを残す)熱い「実験カンパニー」を行動指針とし、新陳代謝を繰り返しながら新しいポートフォリオに変革する「Value Creating Company」を目指します。

 

② 選択と集中

ⅰ. 重点領域

3つのクライシス(「環境・エネルギー」「食糧」「健康と豊かな暮らし」)を重点領域としてサステナブルの視点でポートフォリオ変革を急ぎます。

ⅱ.R&B(リサーチ&ビジネス)

革新的な素材開発(Breakthrough Technology)により社会課題を解決し、サステナブルな社会の実現に貢献します。

ⅲ. コア事業群の強化

キャッシュを生むコア事業群を強化しながら、(未来への投資である)研究開発活動に経営資源を積極的に投入します。

 

③ 経営基盤の強化

ⅰ.新規事業の社会実装化をスピードアップ

スケールのあるテーマに「選択と集中」させ、R&Bの生産性を向上させます。

ⅱ.業務の変革とDX

時代に合致する新しい制度を導入し、(AIではできない)人間的価値を回復させる(ルネッサンス-人間性の回復)Work Culture創出に取り組みます。一人ひとりが価値を生む生産性の高い組織・人づくりを実現します。

ⅲ.カネカ「1on1」

ねらいどおり、仕事と人の成長を両立させる制度として運用を図ります。

ⅳ.オープンイノベーション

アライアンス、M&Aを積極的に実行し、事業ポートフォリオの変革を加速させます。

 

 

図1 カネカタワー「当社の経営モデルの基本構造」-その視座と視点(大切にすること)-

・当社の経営モデルの基本構造であり、当社の創業以来の持つ強み(DNA)を活かし、「事業構築力(内なる力)」と「市場開発力(外なるPower)」を進化させ、「現場力」がその実行を支え、常に時代の変化に応じて経営革新を自律的に行えるようにします。

・自治機能を高める2つのWork Shop(変革と成長のトライアングル、カネカ1on1)を通して現場をInspireします。

 


 

 

図2 経営システムTransformationのトリプルPackage

・変革と成長を実現するための、ビジネス思考のプラットフォームです。経営のソフトウェアとハードウェアをドッキングすることにより、実効性を上げます。

・時代認識/仕掛け/成果のトライアングル(変革と成長のトライアングル)は、経営計画のなかで、どのように目標を設定し、技術革新を含めた達成のための仕掛けを整え、スケール・スピードを意識したうえで、いったい何を成果として位置付けるのか。経営計画の骨格そのものとなります。

 


 

 

(4) ポートフォリオの変革

① Earthology Chemical Solution

化学素材の無限の可能性を引き出し、持続可能型社会を支え、地球環境と生活の革新に貢献します。

・生分解性ポリマー「Green Planet™」は今後大型新規事業化を目指します。PV & Energy management SVはカーボンニュートラル社会への貢献を目指します。

・Vinyls and Chlor-Alkali SV、Performance Polymers(MOD) SV、Performance Polymers(MS) SV、Foam & Residential Techs SV、Performance Fibers SVのコア事業群については、ユニークな特性を生かし世の中の変化に対応した製品群のラインナップを急ぎます。

・E & I Technology SVは5Gに代表されるAIやIoTなどの社会の急速なデジタル化、スマート化、デバイスの高機能化への動きを先取りし、ソリューションを提供する素材開発に注力していきます。

 


 

 

② Active Human Life Solution

化学を軸に、食と医療を一つにとらえ、人々に健康で活力のある人生をもたらす革新的なソリューションを提供します。

・Foods & Agris SVはおいしさに加え食を健康の原点とする食生活の質的向上に貢献する素材を提供してまいります。乳製品など新規事業の本格事業化、サプリメントとの協業によるNutrition価値を追求した製品を開発してまいります。

・Medical SVはユニークな医療デバイスの開発を進め、イノベーティブな医療技術をグローバルに市場開拓を進めます。

・Pharma & Supplemental Nutrition SVは一方でジェネリック化する医薬品市場に注力し新しいAPI製品を開発するとともに、カネカユーロジェンテックを中心としたワクチンや感染症医薬品などバイオ医薬の成長を実現します。還元型コエンザイムQ10を柱とするサプリメント素材の多様化・品揃えを進めてまいります。

 


 

 

(5) 経営施策

① R&B(リサーチ&ビジネス)戦略

当社は多様な事業、多様な技術、Only One、グローバルNo.1の技術から生み出したオリジナル製品により社会課題の解決に貢献してまいりました。世界は今、サステナブルな社会への潮流を加速させています。

ⅰ.自らの技術を磨き、将来の種創出に向けての「選択と集中」を行います。

ⅱ.オープンイノベーションやM&Aなど、世の中の最先端技術、事業資産を融合させ、「実験カンパニー」としてチャレンジを続けます。

ⅲ.新しい技術の創出と社会実装により、付加価値の高いポートフォリオに変革し、サステナブル社会の構築に貢献します。

 

② モノづくり戦略

世界がサステナブル社会への潮流を加速するなか、私たちの技術を製品化し、市場に広く採用されることで社会課題の解決に貢献する(市場の高い評価を得る)ことが、研究開発型企業としての当社のモノづくりの理想像と考えています。その実現に向け、「製造」「販売」それぞれの組織と「顧客・市場」をつなぐネットワーク的企画機能や能力を高め、さらにこれらの機能を統括し(束ね)、全体をデザインする企画機能を高機能化することに取り組んでまいります。

 

③ グローバル戦略

当社は、これまで常に世界を視野に置き、他社に先駆けた事業展開を推進してきました。現在ではグローカル(現地発信の事業展開)に軸足を置き、世界各地の特性にあわせた技術開発、素材開発を加速させています。今後も現地に根差した展開を推し進め、価値あるソリューションをタイムリーに世界の市場に提供し、グローバルに存在感ある企業を目指します。

 

④ 人材戦略

・「Human Driven Company」こそ当社の経営思想の背骨であり、仕事を通じて人の成長を企図する「Work Shop」を制度化したものが「カネカ1on1」です。「カネカタワー(図1)」においても、経営革新力を支える「実験カンパニー」の背骨であります。

・「人の成長」と「仕事の成果」はコインの表と裏であり、「カネカ1on1」を通じて人材育成と目標達成を同時に実現することを目指しています。

・一人ひとりが価値を生む生産性の高い組織・人づくりを実現します。

 


 

 

⑤ コーポレートガバナンスの充実

当社は、社員一人ひとりの心と体の健康と、企業活動や姿勢が健全であるという「健康経営」に取り組んでいます。重要なことは、経営があるべき社会に熟慮し、姿勢を正して行動する企業統治力、コーポレートガバナンスの強化です。

パラダイムチェンジが進み、事業が拡大するなか、執行機能の強化が課題になります。イノベーションを行動の羅針盤“Scope of compass”にして未知を開くESG経営・健康経営を組織(現場)に定着させます。そのためには、各執行機能が全体知(Perspective)を反映させながら、現場を観察し、チョークポイントを発見する執行機能の強化に取り組んでまいります。

自己変革を続け、経営目標を実現する体制づくり、コーポレートガバナンスの一層の充実を図ることが重要と考えています。

 

(6) 対処すべき課題

4月発表のIMF見通しは、先進諸国における大規模な経済対策やワクチン接種の拡大が功を奏し、2021年の世界経済は6.0%のプラス成長に急回復すると予想しています。しかし、①コロナパンデミックがいつどんな風に終息するのか、②地球温暖化を原因とする自然災害は予測不可能ではないか、③米中対立の再燃をはじめ地政学的リスクは高まってはいないか、などを考えると不透明性は否定しようもなく、引き続き情勢を注視していく必要があります。

このコロナ禍のなかで、当社は世界に広がる社員やその家族の健康と安全を守ることを最優先しながら、世界各国・各地域でエッセンシャルビジネスと目される多くの事業群で生産維持に努め、製品の安定供給の責任を果たしてきました。

同時に新型コロナウイルスの治療薬・ワクチン関連製品や健康増進に資するサプリメント、衛生用製品素材などの提供を拡大し、着実に事業ポートフォリオの変革を進めています。

想像を超えたスピードとスケールで社会システムのパラダイムがシフトしており、自らがパラダイムチェンジャーとして変化を先取りし、タイムリーに対応することが不可欠であります。変化は当社にとって大きな飛躍のチャンスと捉え、PainをGainにする無限の可能性に挑戦してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメントの基本的な考え方

当社グループは、世界を健康にする「健康経営-Wellness First」を目指すに当たり、事業展開する上で想定されるリスクへの対応として、「リスク管理に関する基本方針」を定めています。

リスク管理については、各部門が、業務の遂行に際して、または関連して発生しそうなリスクを想定して適切な予防策を打ち、万一、リスクが発現した場合には、関連部門の支援を得ながら適切に対処することを基本としています。

潜在的リスク発現に対する予防策については、倫理・法令遵守に関するものも含め、ESG委員会コンプライアンス部会が全社の計画の立案・推進を統括します。

リスクが発現した場合、または発現するおそれが具体的に想定される場合には、適宜ESG委員会が当該部門と協働して対処します。

以上のことが、的確に実施されているかどうかについて定期的に点検を行い、体制の形骸化を回避するとともに、実効性を維持・改善していきます。

 

(2) 事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク

当社グループは、国境を越え、地球規模のスケールでつながる科学技術のサプライチェーンに沿って事業活動を行っております。このコロナ禍のなかで、世界に広がる社員やその家族の健康と安全を守ることを最優先しながら、世界各国・各地域でエッセンシャルビジネスと目される多くの事業群で生産維持に努め、製品の安定供給の責任を果たしてきました。しかしながら、仮にグローバルに感染症の再拡大等が発生した場合、このサプライチェーンの停滞により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社事業の優位性の確保と国内外の経済環境の動向に係るリスク

当社グループは、自社開発技術に先端技術を外部から導入あるいは融合し、多岐にわたる分野で高付加価値製品を開発、商品化し、継続的に新規市場の開拓を行うことで、事業の優位性を確保すると同時に、事業構造改革を推し進め経営基盤の強化に取り組んでおります。しかしながら、経済環境の急激な変化、技術革新の急速な進展、自然災害やパンデミックが生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業のグローバル化に伴うリスク(海外事業展開、為替変動)

当社グループは、これまで常に世界に視野を置き、他社に先駆けた事業展開を推進してきました。現在ではグローカル(現地発信の事業展開)に軸足を置き、世界各地の特性にあわせた技術開発、素材開発を加速させています。海外における事業活動には、予測不能な法律、規制、税制などの変更、移転価格税制による課税、急激な為替変動、テロ・戦争などによる社会的、政治的混乱などのリスクがあります。その発現を未然に防ぎまたは影響を軽減するために、グループ会社のガバナンス強化、専門家体制の整備、為替耐性強化策、損害保険の付保、従業員の安全対策等諸施策を講じておりますが、仮にこれらの事象が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 原燃料価格の変動に係るリスク

当社グループは、原燃料の調達について、グローバル購買、中長期契約とスポット市場での購入を組み合わせ最有利に行う体制を構築し運用しておりますが、その多くが国際市況商品であることから、想定外の相場変動が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 製造物責任・産業事故・大規模災害に係るリスク

当社グループは、お客様に提供する製品の品質、流通には万全の体制を構築して運用し、万一事故が発生した場合に備え、グループ全体を補償対象とする賠償責任保険を付保しております。また、安全をすべてにおいて優先し、法令順守の下、事業活動に取り組んでおりますが、想定外の事故や地震などの大規模自然災害により、主要な製造設備が損壊し財物保険の補償範囲を超えた損失が発生するリスクがあります。このような状態が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権の保護に係るリスク

当社グループは、研究開発の成果を特許などの知的財産として確実に権利化することにより、社会課題の解決に資するソリューションの早期提供を目指しています。一方、他社の知的財産に対しては、これを尊重し係争を未然に回避すべくテーマ提案・事業化・仕様変更などの事業開発の節目において必ず特許調査を実施し、パテントクリアランスの確保に万全を期しております。しかしながら、グローバル化や情報技術の進展などにより、当社グループが開発した技術ノウハウなどの漏洩、不正利用や使用許諾に関する係争等のリスクがあります。仮にこのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 環境関連規制の影響

当社グループは、「ESG憲章」に基づき、製品の全ライフサイクルにおいて、それぞれの段階で地球環境の保護に取り組み、資源の保全、環境負荷の低減により、社会の持続的発展と豊かな社会の実現を目指しています。本年3月には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、カーボンニュートラルの実現に向けて努力しております。一方、環境関連規制は年々強化される方向にあり、規制の内容によっては事業のサプライチェーンにおいて活動の制約など、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 訴訟などに係るリスク

当社グループは、コンプライアンス経営を重視し、法令及び社会的ルールの遵守の徹底を図っております。しかしながら、国内外において事業活動を行う過程で、予期せぬ訴訟、行政措置などを受けるリスクがあります。仮に重要な訴訟などが提起された場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ その他のリスク

当社グループは、中長期的な取引関係構築、維持及び強化等を目的に、取引先及び金融機関の株式を保有しております。これら株式の期末時の時価等が著しく下落した場合には、「金融商品に関する会計基準」の適用により、評価損を計上する可能性があります。

固定資産については、今後、事業環境の大幅な悪化や保有する遊休土地の時価が更に低下した場合等には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

棚卸資産については、将来の需要予測に基づく見込生産を行うため、その販売可能性には不確実性を伴い、経済条件の変動等により販売が困難と判断した場合には、評価損を計上する可能性があります。

退職給付債務については、数理計算上の基礎である割引率が著しく低下した場合や、年金資産の運用が著しく悪化した場合には、多額の積立不足が生じる可能性があります。

繰延税金資産については、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得等に関する予測に基づいて回収可能性を検討し計上しておりますが、実際の課税所得等が予測と異なり、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。

仮に以上のような事象が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、第1四半期連結会計期間は第1四半期、第2四半期連結会計期間は第2四半期、第3四半期連結会計期間は第3四半期、第4四半期連結会計期間は第4四半期と表示します。

 

(1) 経営成績


コロナパンデミッククライシス

 

コロナパンデミックの終息の目途が見えません。痛々しい数多くの命が失われています。新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されてから一年以上経ちますが世界中が総力戦の戦いを続けています。

人類が築いてきた政治・経済・社会のシステムが地球規模で機能不全に陥っています。

 


世界経済と日本の状況

 

2020年の世界経済は3.3%マイナス成長であったと推定されます。コロナウイルスの大きな打撃を受けました。

 

米国は2021年にはコロナ禍前の水準を上まわると見込まれていますが、しかし多くの先進国ではコロナ禍前の水

準まで回復するのは2022年に入ってからになると思われています。

同じく、新興市場・発展途上国では、中国のGDPが2020年中にすでにコロナ禍前の水準に戻っているのに対して他の多くの国では2023年になっても、しばらくは、コロナ禍水準を回復できないと見込まれています。

2020年マイナス成長4.8%になった日本も景気はコロナ禍前に回復せず、コロナ感染の再拡大によるマイナス影響が懸念されています。

 


米国における大寒波が世界のサプライチェーンに影響をあたえていることも加え、全体として、しばらくは、不透明で不安定な状態が続くと思われます。

※1 「前回想定」は当第1四半期末の、「今回想定」は当連結会計年度末現在の想定です。

※2 横軸は当社グループの連結会計年度(Qは四半期連結会計期間)を示しております。

 

 


当社グループの業績

 

このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度(以下、当期)の業績は、売上高577,426百万円前連結会計年度(以下、前期)比4.0%減)、営業利益27,544百万円前期比5.9%増)、経常利益22,066百万円前期比9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15,831百万円(前期比13.1%増)と減収・増益になりました。

 

2021年3月期  連結業績                               (単位:百万円)

 

2021年3月期

 

前期比

当期
 上半期→下半期

増減

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

 

通期

下半期

売上高

126,644

140,069

154,769

155,942

577,426

 

△24,087

(△4.0%)

9,053

(3.0%)

43,997
(16.5%)

営業利益

2,029

5,005

10,253

10,256

27,544

 

1,530

(5.9%)

7,312

(55.4%)

13,475

(191.6%)

経常利益

823

3,194

8,614

9,434

22,066

 

1,900
 (9.4%)

 7,558
 (72.0%)

14,031
 (349.2%)

親会社株主に帰属する

当期(四半期)純利益

437

2,039

7,183

6,171

15,831

 

1,827
 (13.1%)

5,397
 (67.8%)

 10,877
 (439.2%)

 

 

 

当社グループの業績をセグメント別、四半期別にまとめると下記のとおりとなります。

セグメント別売上高                                                               (単位:百万円)

 

2021年3月期

 

前期比

当期

上半期→下半期

増減

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

 

通期

下半期

Material SU

48,894

55,587

60,240

65,787

230,509

 

△11,286
(△4.7%)

4,646
(3.8%)

21,545
(20.6%)

Quality of Life SU

29,738

33,924

39,159

38,153

140,976

 

△13,860
(△9.0%)

1,387
(1.8%)

13,649
(21.4%)

Health Care SU

11,698

12,756

14,068

13,899

52,422

 

6,070
(13.1%)

3,573
(14.6%)

3,513
(14.4%)

Nutrition SU

35,938

37,560

41,062

37,806

152,368

 

△5,063
(△3.2%)

△552
(△0.7%)

5,370
(7.3%)

その他

373

241

238

296

1,149

 

52
(4.8%)

△1
(△0.2%)

△81
 (△13.2%)

126,644

140,069

154,769

155,942

577,426

 

△24,087
(△4.0%)

9,053
(3.0%)

43,997
(16.5%)

 

 

セグメント別営業利益                                                              (単位:百万円)

 

2021年3月期

 

前期比

当期
 上半期→下半期

増減

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

 

通期

下半期

Material SU

2,855

4,518

6,465

9,433

23,272

 

2,646
(12.8%)

5,475
(52.5%)

8,524
(115.6%)

Quality of Life SU

1,236

2,692

4,439

2,281

10,650

 

 △3,539
(△24.9%)

114
 (1.7%)

2,790
(71.0%)

Health Care SU

2,298

2,672

3,213

3,252

11,436

 

2,519 
(28.2%)

1,598
(32.8%)

1,495
(30.1%)

Nutrition SU

827

605

1,882

1,564

4,879

 

△768
(△13.6%)

160
(4.9%)

2,014
(140.7%)

その他

248

92

98

158

598

 

50 
(9.2%)

△3
(△1.5%)

△84
(△24.8%)

調整額

△ 5,436

△ 5,576

△ 5,844

△ 6,433

△23,291

 

620
(-)

△32
(-)

△1,265
(-)

2,029

5,005

10,253

10,256

27,544

 

1,530
(5.9%)

7,312
(55.4%)

13,475
(191.6%)

 

 


全社業績について

 

全体として、当社グループの業績回復は外需型でした。第1四半期、第2四半期はコロナショックをまともに受けて大きな減収減益になりましたが、第3四半期以降は、地球を地産地消でつなぐネットワーク型のグローカルプラットフォームがフルにその多様性の力を発揮することができました。コロナ禍前を超えるモメンタムを取り戻し下半期の全社業績は上半期に比べ大幅な増収増益となりました。通期も増益を回復しました。

 

第3四半期、第4四半期の営業利益はともに100億円を超える水準となりました。コロナ禍を乗り越え事業ポートフォリオの変革と収益基盤の強化が進んでいます。

 


事業セグメント業績について

 

下半期は、すべての事業セグメントが、上半期と比べ大幅な増収増益となりました。またそれぞれの前年同期に照らしても前年を上回る増益となりました。上半期の厳しい落ち込みをカバーし新しい市場拡大が再び始まっています。

 

各セグメントの海外需要が力強く復調しています。アジアを筆頭に、欧・米が続き、海外事業を中心に業績拡大のモメンタムは一段と強まっています。

 

 


コア事業と先端事業について

 

先端事業の成長のドライバーは、グループの経験知(研究ストック)を全社横断的に結集したInnovativeなBreakthrough Technologyの進化です。

 

特にヘルスケアは、ワクチンや治療薬、検査キットなどコロナ禍に直接貢献するバイオ系製品に加え、細胞の免疫機能を活性化する還元型コエンザイムQ10や乳酸菌、そして衛生用手袋に使われる素材(樹脂原料)など社会の課題に応えるグループのモノつくりが業績を支える原動力になっています。

 

またE & I Technology、PV & Energy managementは、5Gの社会実装化やカーボンニュートラル向けなど当社のユニークなTechnology はすでに新しい成長期に入りつつあります。

 

差別化にこだわり市場ニーズを捉えた競争力ある製品・ソリューションを提供する研究開発型経営が販売を押し上げ収益を伸ばしています。

 

先端事業の全社売上高・収益構造に占める割合は着実に拡大しています。事業ポートフォリオの変革が進んでいます。

 


 

 

コア事業のVinyls and Chlor-Alkali、Performance Polymers(MOD)、Performance Polymers(MS)やPerformance Fibersは、海外市場での研究開発がリードする高付加価値品の販売が拡大しています。全体として市場が巡航モードを回復するなかで、スケールある事業特性がグループ全体の収益力向上を支えています。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(Material Solutions Unit)

当セグメントの売上高は230,509百万円前期比11,286百万円4.7%減)の減収となり、営業利益は23,272百万円前期比2,646百万円12.8%増)の増益となりました。

Vinyls and Chlor-Alkaliにつきましては、コロナ対応で旬の衛生用手袋(ペースト)を筆頭に、アジアの塩ビ市場全体が急回復しています。その旺盛な需要に応えるために内外の工場はフル稼働を続けています。

Performance Polymersのモディファイヤーにつきましては、欧米の建材・DIY用途やアジアの非塩ビ用途(自動車、パソコン・家電向け)の需要増を取り込み、塩ビ系・非塩ビを問わずグループ全体の販売は前年を大きく上回りました。

変成シリコーンポリマーにつきましては、欧米で新製品の販売が拡大するとともに、中国・アジアの建築用途や工業用途の開拓が開花期を迎え下半期は過去最高水準へと販売を伸ばしました。

カネカ生分解性ポリマー「Green Planet™」につきましては、カーボンニュートラルをめざす世界の潮流が鮮明になり引き合いが急増しています。世界の大手ブランドホルダーとの共同開発やニーズに応える加工技術開発、一層のコストダウンの取り組みを加速させています。量産プラントの決定は最終ステージです。

 

(Quality of Life Solutions Unit)

当セグメントの売上高は140,976百万円前期比13,860百万円9.0%減)の減収となり、営業利益は10,650百万円前期比3,539百万円24.9%減)の減益となりました。

Foam & Residential Techsにつきましては、国内の農水産業や住宅着工が低迷するなか、スチレン系発泡樹脂及び押出ボードはシェアを伸ばし販売が拡大しました。発泡ポリオレフィンは自動車生産の世界的回復に伴い販売が復調しています。またコロナワクチンを安全に運ぶ低温輸送ソリューション素材「Tack Pack®」が政府・地方自治体で採用開始され、また一つ新しい用途が開きました。

 

PV & Energy managementにつきましては、ハウスメーカーでの搭載率アップなど住宅向け高効率太陽電池の販売が着実に増加しています。カーボンニュートラルイシューはこの事業にとって絶好のチャンスです。ゼロエネルギー住宅(ZEH)、ゼロエネルギービルディング(ZEB)の社会実装化にフィットした「発電する窓(シースルー型太陽電池)」、「発電する壁(壁面設置型太陽電池)」など省エネソリューションの市場拡大を進めています。

E & I Technologyにつきましては、リモートワーク拡大に伴うタブレット・ノートPCやスマホの需要が拡大しました。好調に推移しピクシオの出荷は過去最高レベルになりました。5Gスマホ向け新製品の開発も順調に進展しています。ポリイミドワニスも有機ELディスプレイ搭載スマホへのシフトが進み販売が拡大しました。

Performance Fibersにつきましては、アフリカ向けの頭髪が第3四半期を境に順調に回復し第4四半期には前年を大きく上回る販売となりました。

 

(Health Care Solutions Unit)

当セグメントの売上高は52,422百万円前期比6,070百万円13.1%増)の増収となり、営業利益は11,436百万円前期比2,519百万円28.2%増)の増益となりました。

Medicalは、Pharmaとともに未来に向かってグループが業容を拡大するコアドメインです。当期は、コロナ禍により患者の治療頻度が減少しましたが、全体的に堅調に推移しました。Web企画など新たなスタイルの販促活動に力を入れ、カテーテルの販売は国内・海外ともに増加しております。血液浄化器は海外の販売が拡大しました。販売が好調な脳動脈瘤塞栓コイル(新製品)が収益を押し上げ、また3月に販売スタートしたASO治療用の新血液浄化器も市場の評価は高く高付加価値ニッチ分野を狙う具体的な武器として期待されます。

Pharmaは、Medicalとともに業容を拡大するコアドメインです。当期は、コロナ禍が深刻化するなか、アビガン原薬やカネカユーロジェンテックのPCR検査試薬及びワクチン中間体の受託製造の受注が急拡大しました。前期比で大幅な増益となりました。昨年秋に完成したカネカユーロジェンテックのバイオ医薬増設ラインは最高のタイミングで決定した投資です。フル戦力化し収益拡大を果たす見通しです。

 

(Nutrition Solutions Unit)

当セグメントの売上高は152,368百万円前期比5,063百万円3.2%減)の減収となり、営業利益は4,879百万円前期比768百万円13.6%減)の減益となりました。

Supplemental Nutritionにつきましては、欧米消費者の「免疫力アップ」意識の高まりを背景に還元型コエンザイムQ10の販売が大きく伸びました。AB-Biotics社の乳酸菌製品は欧州での販売が好調でした。次の一手である米国の生産販売体制を整備強化し拡販力のギアをシフトアップします。

Foods & Agrisにつきましては、コロナ禍に伴う国内のインバウンド需要減や外食産業の低迷が続いています。サプリメントチームと組んで還元型コエンザイムQ10を配合した「わたしのチカラ™ Q10ヨーグルト」を発売しました。また「パン好きのミルクティー®」など本物志向の乳製品の品揃が好評を得ています。DXによる製品の受発注や生産・販売管理などサプライチェーンの抜本的な再編、生産性の向上を最優先で取り組んでいます。DX技術を最大活用し収益性を大きく改善する事業インフラを構築いたします。

 

(その他)

当セグメントの売上高は1,149百万円前期比52百万円4.8%増)の増収となり、営業利益は598百万円前期比50百万円9.2%増)の増益となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前期比(%)

Material Solutions Unit

207,824

△6.3

Quality of Life Solutions Unit

111,955

△14.8

Health Care Solutions Unit

54,178

7.1

Nutrition Solutions Unit

79,915

△1.1

その他

合計

453,873

△6.3

 

(注) 1  生産金額は売価換算値で表示しております。

2  連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

主として見込み生産であります。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前期比(%)

Material Solutions Unit

230,509

△4.7

Quality of Life Solutions Unit

140,976

△9.0

Health Care Solutions Unit

52,422

13.1

Nutrition Solutions Unit

152,368

△3.2

その他

1,149

4.8

合計

577,426

△4.0

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金や投資有価証券の増加等により前連結会計年度末に比べて14,167百万円増加667,429百万円となりました。負債は、借入金の減少等により前連結会計年度末に対して12,778百万円減少286,389百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により前連結会計年度末に対し26,945百万円増加381,040百万円となりました。この結果、自己資本比率は53.5%となりました。

なお、ROA(総資産経常利益率)は3.3%となり前連結会計年度(3.1%)を上回りました。ROE(自己資本当期純利益率)は4.6%となり前連結会計年度(4.2%)を上回りました。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ8,754百万円増加し、46,360百万円となりました。

区分毎の概況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、74,040百万円の収入前期比34,056百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益22,201百万円、減価償却費36,262百万円等による資金の増加がその主な内容です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、43,229百万円の支出前期比1,421百万円増)となりました。有形固定資産の取得による支出39,431百万円等がその主な内容です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、21,903百万円の支出前期比21,424百万円増)となりました。配当金の支払6,523百万円や借入金の返済による支出15,228百万円等による資金の減少がその主な内容です。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社は、付加価値のある新しい事業を生み出しポートフォリオの変革を実現することで成長を続ける研究開発型企業を目指しています。基盤事業により十分なキャッシュを確保し、新事業創出のための研究開発や設備投資資金に活用していくことを基本とし、更なる成長投資に必要な資金については、その目的・規模や金融環境に応じ最も適切な調達方法を採ることとしています。

資金需要に応じ有利かつ円滑な資金調達ができるよう信用格付の維持・向上や金融機関・資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急な資金需要に備え融資枠や社債発行登録枠の設定を含め十分な手元流動性を確保しています。また、資金調達の方法については、自己資本など財務の安全性を確保しながら、資本効率の向上につながる資本・負債構成を考慮し、社債や借入金のいわゆる負債による資金調達を実施しています。

株主還元については、毎期の業績、中長期の収益動向、投資計画、財務状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%を目安に、自己株式の取得も状況に応じ機動的に実施し、安定的に継続することを基本方針としています。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

① 減損会計における将来キャッシュ・フロー

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。

 

② 棚卸資産の評価

棚卸資産は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、正味売却価額が帳簿価額よりも下回っている場合は、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げております。入庫日から1年超経過している棚卸資産については、需要予測等に基づく収益性の低下の事実を反映するように、個別に回収可能性を見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する棚卸資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

③ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来減算一時差異に対する将来の課税所得等に関する予測に基づいております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

④ 退職給付債務の算定

確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等の計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表  注記事項 (退職給付関係) 2 確定給付制度 (9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

(1) 事業セグメント別の主な活動

当社グループの主な研究開発活動は以下のとおりです。

 

① Material Solutions Unit

素材の豊かさを引出し、生活と環境の進化に貢献できる機能性材料や、競争力を強化するプロセス開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、海洋分解性などユニークな特徴を持つ当社独自の生分解性ポリマー「Green Planet™」について、世界の大手ブランドホルダーとの共同開発や様々なニーズに応える加工技術開発に注力し、国内外における用途拡大が進みました。

 

② Quality of Life Solutions Unit

素材の力で生活価値の先端を創る製品の研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度では、衝撃吸収や断熱性にすぐれる発泡樹脂、医薬品などの定温輸送を実現するパッケージ、独特の風合いと難燃性にすぐれた繊維、5Gなど次世代情報通信を支える高機能素材、住宅やビルのゼロエネルギー化(ZEH、ZEB)に貢献する太陽電池などの製品開発に注力しました。

 

③ Health Care Solutions Unit

革新医療がより多くの患者に届けられる世界を創るために高齢化社会、医療の高度化に貢献する製品の研究開発に取り組んでいます。当連結会計年度では、発酵、精密合成、ポリマー技術を健康分野に適用し、低分子医薬品、新規バイオ医薬品、脳・心臓・消化器等の治療用医療機器、新型コロナウイルス検査キットなどの開発を進めました。

 

④ Nutrition Solutions Unit

食の多様化に貢献する新素材や機能性食品など食と健康、食料生産に革新をもたらす技術開発に取り組んでいます。当連結会計年度では、高品質でおいしい乳製品や還元型コエンザイムQ10と乳酸菌を組み合わせた機能性ヨーグルトを上市しました。また、日本たばこ産業株式会社から取得した植物バイオテクノロジーと当社独自技術の融合を進め、食糧危機に対するソリューション開発に注力しています。

 

(2) 研究開発費

当連結会計年度における研究開発費は、総額で27,820百万円となりました。その内訳は、Material Solutions Unit 3,158百万円、Quality of Life Solutions Unit 2,502百万円、Health Care Solutions Unit 2,244百万円、Nutrition Solutions Unit 945百万円及び特定のセグメントに区分できない基礎的研究開発費18,969百万円であります。