今後の経済情勢につきましては、国内では東京オリンピックを控えたインフラ投資が引き続き増加するほか、個人消費の持ち直しにより、内需も底堅く推移することが見込まれます。他方、海外では、米国と中国との貿易摩擦の激化や英国のEU離脱問題が懸念されるなど、世界経済の先行きには不透明感が高まっています。
このような状況のなか、当社グループでは、水素化技術をはじめとするコア技術の進化により新規事業を創出し、収益体質の改善を図ってまいります。高付加価値製品の開発・事業化に積極的に投資するとともに他社との連携を強化し、成長加速を目指します。また、生産技術および製造プロセスの革新によりコスト構造の改善に取り組むほか、全社的な業務プロセスの見直しにより生産性向上を実現し、外部環境に左右されない強固な事業基盤を構築してまいります。
当社グループでは、「もの創りを通して広く社会の発展に貢献します」という経営理念のもと、地球環境に調和する製品の開発や、従業員が能力を発揮し健康的に働くことのできる職場環境の提供、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組み、ステークホルダーへの社会的責任を果たしてまいります。
(経営理念)
私たち新日本理化グループは、もの創りを通して広く社会の発展に貢献します。
・もの創りにこだわり、安定した品質の製品を安定して供給することにより、顧客の信頼に応えます。
・最先端の化学技術に挑戦し、地球環境に調和した製品を開発します。
・安全な職場環境を確保し、活力ある働きがいのある職場を創ります。
・健全かつ透明度の高い経営に努め、ステイクホルダーズの理解と信頼を深めます。
(経営戦略)
・水素化技術をはじめとする優位性のある独自技術を以って製品展開し、化学業界の競争を勝ち抜いていきます。
・製造および調達コストの削減により収益構造を改善し、外部環境に影響されない強い企業体質を作ります。
・事業部制を活用した機動的な体制により、顧客満足度の高い営業および顧客ニーズを先取りした開発提案営業を行います。
・樹脂添加剤、電子材料、医薬中間体、環境対応製品などの分野で、開発部門と営業部門の連携および様々な企業との共同開発により、新機能を備えた材料を提供していきます。
・海外拠点を活用し、今後も継続的な成長が見込まれる東南アジア地域を中心とした事業展開を目指します。
また、地球環境に調和する製品の開発や安全・安定した生産活動、リスク管理体制の高度化を推進するとともに、コーポレート・ガバナンス体制を継続的に強化することで、当社グループの持続的な成長を実現してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の内容は当社に関する全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの主要原材料である油脂原料及び石化原料の購入価格は、国内・国外の市況の変動の影響を受けます。
油脂原料の購入価格については、植物系油脂原料価格は産地の天候に左右され、動物系油脂原料価格は疫病等による供給減の影響を受ける可能性があります。また、石化原料の購入価格は、原油・ナフサの国際市況に影響を受けます。原油価格は、国際的な需給関係に加え、中東等の産油国の情勢、先物市場での投機的な要因により変動する可能性があります。当社グループの化学製品事業の業績はこれらによって大きく影響を受けます。
上記のような原料価格の変動に対しては、販売価格への転嫁等の対策をとっておりますが、変動が大きく対応しきれない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
輸入原料の増加等に伴い、当社グループの支払に占める外貨決済額は増加しており、為替相場の変動が当社の業績に与える影響は増大しつつあります。
この影響を最小化することを目的として、必要な範囲で為替予約等のヘッジ策を講じておりますが、急激な為替変動により、当社グループの業績及び財務状況にヘッジすることができない影響を被る可能性があります。
また、連結財務諸表の作成のために、在外連結子会社及び在外持分法適用会社の財務諸表は円換算されています。換算時の為替相場により、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、製品の開発、生産にあたって安全性や品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって、製品回収や損害賠償につながる可能性があります。
保険に加入し賠償に備えておりますものの、保険による補填ができない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発された技術・製品を保護するために、特許等の知的財産権の確立を進めますほか、製品及び商品の製造・販売に先立ち、第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないように努めております。
しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業活動全般において無事故・無災害に努めておりますが、当社グループの工場において万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入することで備えておりますものの、被災地域への損害賠償や社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績を背景に設備投資の増加が続いたほか、良好な雇用・所得環境を受け、個人消費も底堅く推移しました。
また、世界経済は、米国において企業業績および雇用環境が改善するなど拡大基調が続いた一方、中国では製造業の生産活動を中心に景気減速の兆候がみられるなど、その先行きは不透明な状況にあります。
このような環境のなか、当社グループにおきましては、既存事業の収益改善により事業基盤を固めるとともに、コア技術である水素化技術を応用した新製品・新技術の開発に注力し、高付加価値製品の事業拡大を図りました。また、個人および組織の生産性向上を目指し、職場単位で業務のあり方を見直すとともに、職場間の業務フロー最適化に向けた改善活動を進めました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、286億4千1百万円(前期比4.1%増)となり、損益面では、営業利益6億2百万円(前期比2.2%増)、経常利益7億9千5百万円(前期比26.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億7千3百万円(前期比38.2%増)となりました。
主要製品の概況は次のとおりであります。
オレオケミカル製品は、グリセリンおよび脂肪酸の販売が堅調に推移したものの、期前半の不飽和アルコールおよび界面活性剤の需要低迷が響き、販売数量・売上高ともに前年をやや下回りました。
可塑剤は、主要販売先である住宅資材用途において電線分野を中心に需要が伸び悩み、販売数量は減少したものの、原材料価格高騰に応じた製品価格改定が奏功し、売上高は前年を上回りました。
機能性化学品は、海外向けの自動車用油剤が好調に推移した一方、水素化関連製品の受注が落ち込んだため、販売数量・売上高ともに前年を下回る結果となりました。
樹脂原料製品は、自動車用途の輸出において、安価な競合品の攻勢を受け苦戦を強いられたものの、原材料価格高騰に応じた製品価格改定の効果もあり、売上高は前年を上回りました。
樹脂添加剤は、国内・海外販売ともに好調に推移し、販売数量・売上高ともに前年を上回りました。
当連結会計年度末の総資産は前期末比0.7%増、金額で2億5千7百万円増加の347億6千5百万円となりました。
流動資産につきましては、短期貸付金(その他流動資産)が減少した影響などにより前期末比0.8%減、金額で1億4千5百万円減少の178億1千3百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券について時価が下落しましたが、新研究所建設用地の購入などにより前期末比2.4%増、金額で4億3百万円増加の169億5千2百万円となりました。
流動負債につきましては、1年内返済予定の長期借入金が減少したことなどにより前期末比1.7%減、金額で2億3百万円減少の118億2百万円となりました。固定負債につきましては、長期借入金が増加したことなどにより前期末比5.7%増、金額で4億4千3百万円増加の82億1千1百万円となりました。
純資産につきましては、利益剰余金が増加したことなどにより前期末比0.1%増、金額で1千8百万円増加の147億5千1百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は39.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、2億5千6百万円増加し、23億4千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は9億8千1百万円増加(前期は9億3千9百万円増加)しました。これは主に、減価償却費6億2千7百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は12億7千7百万円減少(前期は8億5千4百万円減少)しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15億5千万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は5億5千万円増加(前期は1億1百万円減少)しました。これは主に、短期借入金の増加10億6千4百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
2) 受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針及び見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計方針及び会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を要するものであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結貸借対照表上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用などに重要な影響を及ぼすことがあります。
そのうち特に重要なものと考えているのは固定資産の減損であり、事業環境の悪化等により減損損失の計上が必要となる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前期比4.1%増の286億4千1百万円となりました。これは主に、原材料価格上昇に伴い主要製品の価格の見直しに取り組んだことによるものであります。
売上総利益は、前期比2.5%増の48億5千2百万円、売上総利益率は16.9%、販売費及び一般管理費については、前期比1億6百万円増の42億5千万円となり、この結果、営業利益は前期比1千3百万円増の6億2百万円となりました。これは主に、付加価値の高い製品の販売強化や全社的にコスト削減に努めたことによるものであります。
受取配当金、持分法による投資利益等の営業外損益を加えた経常利益は前期比1億6千5百万円増の7億9千5百万円となり、減損損失、法人税等を計上しました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億5千8百万円増の5億7千3百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、原材料の価格変動、為替相場の変動、製造物責任、知的財産権及び産業事故災害が挙げられます。詳細につきましては「事業等のリスク」に記載のとおりです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金を内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入金による資金調達につきましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は88億7千1百万円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23億4千7百万円となっております。
該当事項はありません。
新日本理化は、まもなく100年の大きな節目を迎えます。当社グループはもの創りを通して広く社会の発展に貢献することを経営理念として、さらに次の100年に向けて、既存事業および海外戦略の強化による「企業基盤の整備」を推進すると共に、「高付加価値製品の強化への再挑戦」を経営計画基本方針に掲げ、用途分野毎のテーマ探索を促進し、市場変化による新たなニーズを発掘して、次世代新製品開発のスピードアップを図ってまいりました。研究と営業が一体となって顧客へアプローチできる事業部体制の利点を活かし、変化の激しいニーズを迅速且つ的確に掴むことによって、研究開発力の向上と新製品の早期上市を強力に推進しております。
今後は、市場変化への対応をより一層強化し、開発テーマの優先順位を明確にして、次世代高付加価値製品の早期創出を図ってまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
オレオケミカル製品では、非石油系の自然原料を利用した環境配慮型の製品開発に重点をおき、顧客ニーズに密接に対応した研究開発を進めております。現在開発中の新規アミノ酸系両性界面活性剤は、法的な認証を取り付けるに至り幅広い配合処方を可能とし、製品ラインナップを充実させることで顧客層の拡大を図っています。さらに、長年蓄積したオレオケミカル技術を活かし、新たな分野の顧客ニーズにも対応を始めております。
可塑剤では、塩ビ用汎用可塑剤である DOP、DINP に代わる次世代型の高機能フタレートや非フタレート系可塑剤に着目し、開発を進めております。
医療用途、自動車向け耐熱電線用途などの可塑剤開発を視野に、国内外市場への積極展開を図っております。また、塩ビ以外の樹脂用可塑剤について開発を着手し、幅広い可塑剤開発に取り組んでいます。
国内外の法規制が厳しくなる中、お客様の要望に応えるべく様々な分野でお使いいただける可塑剤の提供を目指して参ります。
機能化学品では、各種水素化製品、高機能オイル、樹脂原料および樹脂添加剤を重点開発分野として、素材の提供から開発を一歩進め、顧客ニーズにマッチする機能・性能を発揮するパフォーマンスケミカルズへの展開を強化・推進しております。水素化製品としては、コア技術である選択水素化技術と分離精製技術を組み合わせることにより立体的に制御した脂環式化合物を種々提案しており、電子材料や医・農薬の中間原料として採用いただいています。また自社製品の拡大のみならず、受託水素化にも積極的に取り組みを行い数百㎏から数百tレベルに対応できる環境を整えています。高機能オイル製品としては、高度な分子設計とエステル化技術を駆使して開発した省燃費・環境対応型潤滑油が自動車向け基油、HDD用の流体軸受け油に採用されています。今後、電気自動車向け駆動オイルや、各種耐熱オイルの開発などを進めてまいります。
樹脂原料製品は、従来困難とされてきたエポキシ樹脂の薄膜硬化を可能にした固体の不揮発性酸無水物を開発しました。お客様の用途に応じた溶剤を選択できるようになり、これまで以上に使い勝手を改善しました。また、インクジェット凝集剤やハンダフラックス用添加剤として採用されている TCR-100 が、不揮発性酸無水物に続き大阪工研協会から工業技術賞を授与されました。更なる拡販を進めて参ります。
樹脂添加剤は、ポリプロピレンの低温加工時の透明性を高めた新規透明化核剤 RiKAFAST EDX および EDXP を開発しました。低温加工によるエネルギーコストの抑制、膜厚1㎜以下の透明性向上が特徴であり、透明性と環境にやさしい点が特に海外のお客様から評価されています。
これら市場投入した新製品の更なる改良などを進め、早期業績への寄与を目指し開発促進を図ってまいります。