第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念

 私たち新日本理化グループは、もの創りを通して広く社会の発展に貢献します。

・もの創りにこだわり、安定した品質の製品を安定して供給することにより、顧客の信頼に応えます。

・最先端の化学技術に挑戦し、地球環境に調和した製品を開発します。

・安全な職場環境を確保し、活力ある働きがいのある職場を創ります。

・健全かつ透明度の高い経営に努め、ステイクホルダーズの理解と信頼を深めます

 

(2)経営戦略等

 コア技術の進化で次の100年に向けた新規事業を創出し、高収益体質を目指します。

・既存事業および受託業務の拡大により収益力を高めます。

・事業の選択と新製品上市に向けて大型設備投資を行います。

・開発スピードアップとコア技術の進化で新製品売上高目標を達成します。

・海外市場の開拓をさらに進めて海外売上比率を高めます。

・製造現場に革新をもたらす次世代の製造プロセスを開発します。

・全社的にAIやIoTを活用できる環境づくりで業務効率の大幅改善を目指します。

・人事異動・交流や教育体系の見直しによるグループ横断的な人材育成に取組みます。

 

(3)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境につきましては、米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、国内・世界経済ともに先行き不透明な中、企業活動や個人消費の自粛・縮小が懸念されるなど厳しい環境が続くものと思われますが、当社グループとして更なる成長に向けた取り組みを進めて参ります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、技術革新のスピード化が進み、顧客ニーズの変化も早まる中、「収益力強化」と「スピード経営の強化」を目的として、2020年4月より事業部制から本部制へ組織変更を実施いたしました。2021年3月末の「京都R&Dセンター」竣工に向け、研究・営業の各部門が従来の事業部の枠を越えて連携し、全社的な技術開発力および事業推進力を強化してまいります。

 また、当社グループでは、「もの創りを通して広く社会の発展に貢献します」という経営理念のもと、地球環境に調和する事業活動の推進、コンプライアンスの徹底はもとより、当社を構成する従業員一人ひとりがその能力を存分に発揮し、生き生きと働くことのできる職場環境の確保に努めてまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料の価格変動

 当社グループの主要原材料である油脂原料及び石化原料の購入価格は、国内・国外の市況の変動の影響を受けます。

 油脂原料の購入価格については、植物系油脂原料価格は産地の天候に左右され、動物系油脂原料価格は疫病等による供給減の影響を受ける可能性があります。また、石化原料の購入価格は、原油・ナフサの国際市況に影響を受けます。原油価格は、国際的な需給関係に加え、中東等の産油国の情勢、先物市場での投機的な要因により変動する可能性があります。当社グループの化学製品事業の業績はこれらによって大きく影響を受けます。

 上記のような原料価格の変動に対しては、販売価格への転嫁等の対策をとっておりますが、変動が大きく対応しきれない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替相場の変動

 輸入原料の増加等に伴い、当社グループの支払に占める外貨決済額は増加しており、為替相場の変動が当社の業績に与える影響は増大しつつあります。

 この影響を最小化することを目的として、必要な範囲で為替予約等のヘッジ策を講じておりますが、急激な為替変動により、当社グループの業績及び財務状況にヘッジすることができない影響を被る可能性があります。

 また、連結財務諸表の作成のために、在外連結子会社及び在外持分法適用会社の財務諸表は円換算されています。換算時の為替相場により、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

(3)製造物責任

 当社グループは、製品の開発、生産にあたって安全性や品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって、製品回収や損害賠償につながる可能性があります。

 保険に加入し賠償に備えておりますものの、保険による補填ができない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)知的財産権

 当社グループは、開発された技術・製品を保護するために、特許等の知的財産権の確立を進めますほか、製品及び商品の製造・販売に先立ち、第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないように努めております。

 しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)産業事故災害

 当社グループは事業活動全般において無事故・無災害に努めておりますが、当社グループの工場において万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入することで備えておりますものの、被災地域への損害賠償や社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性がありますが、提出日現在において合理的に予測することは困難であります。

 なお、当社グループでは、国内外出張の自粛、在宅勤務の推進等の対策を実施しております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢、所得環境の改善により、緩やかな回復基調が見られたものの、消費増税後の個人消費の落ち込みや米中貿易摩擦等海外情勢の動向に加え、1月以降の新型コロナウイルス感染拡大により先行きは極めて不透明な状況が続きました。

 このような環境のなか、当社グループにおきましては、収益改善に向けた取り組みを進めるとともに、水素化技術をはじめとするコア技術を用いた新製品の研究開発のスピードアップに努めました。

 この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、268億3千9百万円(前期比6.3%減)となり、損益面では、営業利益4億2千8百万円(前期比28.9%減)、経常利益7億7百万円(前期比11.1%減)、親

会社株主に帰属する当期純利益は4億6千万円(前期比19.8%減)となりました。

 

 主要製品の概況は次のとおりであります。

 オレオケミカル製品では、界面活性剤や不飽和アルコールが好調を維持する一方でグリセリンは低迷する状況が続いており、原料価格も一時的な高騰はあったものの、通期では低価格で推移したことから販売単価が低下

し、売上高は前年を下回りました。

 可塑剤は、主要販売先である住宅資材関連向けは、住宅着工件数の落込みに加え、安価な海外品の流入により厳しい状況となりました。

 機能性化学品は、アジア圏への輸出がアメリカ合衆国との貿易摩擦の影響を受け、自動車向け油剤等の需要が減退したことにより、売上高は前年を下回る結果となりました。

 樹脂原料製品は、電材用途においては第4四半期に入り新型コロナウイルスの影響から中国向け販売が減退したものの、国内外ともに販売が堅調でした。また、主要製品のひとつにおいて新規用途が見いだされたため、売上高は前年を上回りました。

 樹脂添加剤は、国内販売が引き続き堅調だったものの、欧州において受注が減少したため、売上高は前年を下回りました。

 

 当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億9百万円減少し327億5千6百万円となりまし

た。負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億5千3百万円減少し181億6千万円となりました。純資産合計

は、前連結会計年度末に比べ1億5千5百万円減少し145億9千5百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比

べ、5億7千4百万円増加し、29億2千1百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金は18億2千1百万円増加(前期は9億8千1百万円増加)しました。これは主に、売上債権の減少17億8千6百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金は6億2千4百万円減少(前期は12億7千7百万円減少)しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6億9千1百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金は6億1千9百万円減少(前期は5億5千万円増加)しました。これは主に、短期借入金の減少4億3百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

生産量(トン)

前年同期比(%)

95,073

96.2

 

2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

販売高(百万円)

前年同期比(%)

26,839

93.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の売上高は、前期比6.3%減268億3千9百万円となりました。これは主に、原材料価格の下落に伴う販売単価の調整によるものであります。

 売上総利益は、前期比0.9%減48億9百万円、売上総利益率は17.9%、販売費及び一般管理費については、前期比1億3千万円増43億8千1百万円となり、この結果、営業利益は前期比1億7千4百万円減4億2千8百万円となりました。これは主に、物流費用の上昇等によるものであります。

 受取配当金、持分法による投資利益等の営業外損益を加えた経常利益は前期比8千8百万円減7億7百万円となり、減損損失、法人税等を計上しました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1億1千3百万円減4億6千万円となりました。

 

 当連結会計年度末の総資産は前期末比5.8%減、金額で20億9百万円減少327億5千6百万円となりました。

 流動資産につきましては、受取手形及び売掛金が減少した影響などにより前期末比8.3%減、金額で14億8千4百万円減少163億2千8百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券について時価が下落

したことなどにより前期末比3.1%減、金額で5億2千5百万円減少164億2千7百万円となりました。

 流動負債につきましては、支払手形及び買掛金が減少したことなどにより前期末比6.2%減、金額で7億3千3百万円減少110億6千8百万円となりました。固定負債につきましては、長期借入金が減少したことなどに

より前期末比13.6%減、金額で11億2千万円減少70億9千1百万円となりました。

 純資産につきましては、利益剰余金が増加したものの、その他有価証券評価差額金が減少したことなどにより前期末比1.1%減、金額で1億5千5百万円減少145億9千5百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は41.6%となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、2「事業等のリスク」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金を内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入金による資金調達につきましては、運転資金については短期借入金で、設備資金などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は82億6千9百万円となっております。

 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は29億2千1百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針及び見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計方針及び会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要

な、或いは主観的な判断を要するものであります。

 連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結貸借対照表上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用などに重要な影響を及ぼすことがあります。

 そのうち特に重要なものと考えているのは固定資産の減損であり、事業環境の悪化等により減損損失の計上が必要となる場合があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「5 経理の状況 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 新日本理化は、今年度100年の節目を迎えました。当社グループはもの創りを通して広く社会の発展に貢献することを経営理念として、次の100年に向けた新規事業の創出を目指し、「開発スピードアップとコア技術の進化」と

「革新的な次世代製造プロセスの開発」を経営計画基本方針に掲げ、当社が保有する水素化、エステル化を筆頭とするコア技術を用いた各事業・用途分野毎のテーマ探索と事業化の促進を図るとともに、コア技術の深化と新たにコアとなる製造技術の開発に邁進しています。

 今後は、けいはんな地区で建設中の「京都R&Dセンター」竣工に向け、従来の枠にとらわれない研究開発テーマの創出および優先開発テーマへの研究資源の重点投入により、市場変化に機敏に対応し、次世代高付加価値製品の早期創出を図って行きます。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は730百万円となっております。なお、当社グループは単一セグメント

であるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 オレオケミカル製品では、非石油系の自然原料を利用した環境配慮型の製品開発に重点をおき、顧客ニーズに密接に対応した研究開発を進めております。皮膚刺激の少ないアミノ酸系両性界面活性剤を基調とした独自処方の研究成果をシャンプー、ボディソープなど化粧品に利用しています。また、これまでの製造技術を見直し、安定でかつ高品質な製品供給体制をさらに強化しています。

 可塑剤では、お客様との連携を強化し、医療用新規可塑剤の採用・上市に向けた開発を進めております。高機能フタレート可塑剤については実機試験生産を経て、お客様の要望に合わせて納入できる体制を整えました。また、

DOP、DINPなど既存の汎用可塑剤をご使用いただいているお客様に対しても、法対応、環境問題に対する情報の提供

や技術課題に対する技術サービスの提供を通して、共に解決を図っております。さらに、塩ビ用可塑剤の開発に加

え、エンプラ、バイオプラ、シーリング用途に対応できる改質剤の開発にも着手し、幅広い分野に対応できる樹脂改

質剤開発に取り組んでおります。

 機能性化学品では、各種水素化製品、高機能オイル、樹脂原料および樹脂添加剤を重点開発分野として、素材の提供から開発を一歩進め、顧客ニーズにマッチする機能・性能を発揮するパフォーマンスケミカルズへの展開を強化・推進しております。水素化製品としては、コア技術である選択水素化技術と分離精製技術を組み合わせることにより立体構造を制御した脂環式化合物を種々提案しており、液晶パネルなどの電子材料原料や環境対応型ポリオレフィン用重合触媒原料として採用いただいています。また自社製品の拡大のみならず、受託水素化にも積極的に取り組みを行い数百kgから数百tレベルに対応できる環境を整えています。

 高機能オイル製品のHDD用流動軸受油は、急速に進んでいるビッグデータ化に必要なサーバー向けHDD用として高評価を受け新たな市場が広がっています。今後は、電気自動車向け駆動オイルや、各種耐熱オイルの開発などを進めてまいります。

 樹脂原料製品は、エポキシ樹脂の薄膜硬化を可能にした固体の不揮発性酸無水物リカシッドTBN-100がお客様での評価が進み採用に向けての技術支援を継続的に実施しています。またお客様の要望を聞きながら新たな製品の検討も開始しています。

 樹脂添加剤は、ポリプロピレンの低温加工時の透明性を高めた新規透明化核剤RiKAFAST EDXおよびEDXPの拡販を進めています。透明性向上、低温加工によるエネルギーコストの抑制が特徴であり、透明性と環境にやさしい点が特に海外のお客様から評価されています。

 これら市場投入した新製品の更なる改良などを進め、早期業績への寄与を目指し開発促進を図ってまいります。