第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念及び経営ビジョン

 経営理念:私たち新日本理化グループは、もの創りを通して広く社会の発展に貢献します。

 ビジョン2030(2030年のありたい姿):Be the best SPICE!~心躍る極上のスパイスになる~

 

 当社は、1919年の創業からこれまで、上記経営理念のもと着実に事業を継続してまいりました。そして2030年のありたい姿を示すものとして、ビジョン2030「Be the best SPICE!~心躍る極上のスパイスになる~」を策定しております。

 当社が創るものは、社会の様々なシーンを支える、キラリと光る唯一無二の特性をもった素材です。それらの素材は、当社自身が、多様な価値観を活かす、精鋭の集まりであってこそ生み出されるものだと考えております。当社の一人ひとりが、スパイスのようにお互いを引き立て合い、そして人々の心を躍らせるようなスパイスを提供する企業となること、それが2030年に向けて、当社が目指す姿です。

 

(2)中期経営計画の進捗と対処すべき課題

 ビジョン2030の達成に向け、2021年4月からの5か年の中期経営計画を策定し、以下の事業戦略に基づき取組みを進めております。

 

<中期経営計画の基本コンセプト>

・環境・社会・人(命)に関わる課題に果敢にチャレンジし、価値創造企業を目指す。

・「情報・通信」「モビリティ」「ライフサイエンス」「環境ソリューション」の4領域に経営資源を集中し、成長戦略を実現する。

 

<経営目標(連結)>

 

2025年度目標

売上高

360億円

営業利益

22億円

ROE

8.0%

 なお、2022年度は、売上高(連結)331億円、営業損失(連結)4億円、ROE(連結)△2.8%となりました。詳細な結果については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 

<事業戦略の進捗状況及び対処すべき課題>

① 稼ぐ力の再構築

 既存事業のスクラップ&ビルドを急ぎ、事業ポートフォリオの見直しを進めます。2023年度上期を目途に、子会社でのステアリン酸製造を中止するほか、可塑剤や酸無水物の一部品目については製造拠点を集約・合理化し事業競争力を強化します。その他の不採算事業も立て直しを進め、改善が見込めない事業からは順次撤退します。

 一方、成長事業に資源を集中し早期の収益化を目指します。中でも新規結晶核剤やバイオマス由来のエステル油については、脱炭素社会実現に貢献する高付加価値製品として訴求し、市場・用途開拓を推し進めます。

 

② 新たな価値の創造

 2021年5月開設の新拠点「京都R&Dセンター」を核に、同業他社や異業種スタートアップ、学術機関など多様なパートナーとの技術交流や共同研究を進めております。また、2022年4月に立ち上げたDX推進室を中心に全社横断的にデジタル化を進めてまいります。製造現場では設備稼働データに基づく異常・故障の予兆保全、営業現場では顧客管理システムを活用した営業戦略の高度化など、各部門が課題と目標を設定のうえ取組みを推進しております。

③ 組織変革

 企業価値向上の源泉となる人材に対し積極的な投資を行っております。2023年4月に導入した新たな人事制度は、年功的な処遇要素を削減し評価・処遇にメリハリを付けることに主眼を置いたものであり、これにより社員のチャレンジングな行動を促します。また、ダイバーシティ&インクルージョンを推進すべく、女性の管理職登用はもとより、異業種からのキャリア人材の採用拡大やフレキシブルな働き方を可能にする制度など複数の施策を継続的に実施しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「もの創りを通して広く社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、事業を通して社会価値を創造し、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指すことをCSR方針に掲げております。CSRを通してサステナビリティへの取組みを推進し、経営のレジリエンスを高めるため、代表取締役社長が委員長を務めるCSR委員会を設置し、CSRの取組みについて審議・協議し、必要に応じて取締役会に報告しています。

 また、環境への取組みにおいては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2022年4月CN(カーボンニュートラル)推進室を立ち上げました。CN推進室は執行役員を室長とする全社横断型の組織であり、その他取組み内容については、定期的に経営会議に報告しています。

 

(2)戦略

 当社グループは、事業を通して社会価値を創造することが経営理念の実現そのものであると考え、以下のとおりCSR方針及びCSR目標を策定しております。

 

<CSR方針>

1.社会課題の解決

社会課題の解決に事業を通して貢献することで企業の持続的な成長を目指します。

2.環境への責任

事業活動の環境影響に責任を持ち、地球環境と調和した事業活動を行います。

3.安全への責任

安全を事業運営上の最優先に位置付け、職場と地域社会に安全・安心を提供します。

4.人権の尊重

基本的人権を尊重し、あらゆる差別、不当労働やハラスメントなどの非人道的な行いを排除します。

5.企業統治の責任

健全かつ透明度の高い経営に努め、全てのステークホルダーの理解と信頼を深めます。

6.従業員への責任

従業員の自己実現を支援し、安全で働きがいのある職場を創ります。

 

<CSR目標>

① 中期目標(2025年度):環境・社会・人(命)に関わる課題に果敢にチャレンジし、価値創造企業を目指す。

② 2023年度目標:

・ESG活動が業績に直結していることを自覚する(意識)

・スピード!やり切る!全員参加!(行動)

 

 また、上記目標の達成に向けて当社グループが取り組むCSR重要課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しました。

 

<CSR重要課題>

 

重要課題

E

(環境)

カーボンニュートラルの実現

資源(水・燃料)の有効利用

人・環境にやさしい製品の拡充

S

(社会)

人権の尊重

多様な人材の育成と確保

安全で働きやすい職場づくり

サプライチェーンマネジメント

地域活性化への貢献

G

(企業統治)

ステークホルダーエンゲージメントの実践

リスクマネジメントの徹底

迅速果断な意思決定を支えるガバナンスの構築

 

 なかでも、環境項目のカーボンニュートラルの実現及び社会項目の多様な人材の育成と確保は最重要課題と捉え、以下のとおり取組みを進めています。

<カーボンニュートラルの実現に向けた取組み>

① 製造時のCO2排出量削減に向けて

 事業活動で使用する電力及びガスの再生可能エネルギー化を進め、電力については2030年までに国内事業所における再生可能エネルギー化率100%を目指します。加えて、これまでの省エネルギー活動を見直し、設備における燃料の使用状況を根本から把握しムダ・ムラをより一層排除していくことで、燃料効率の向上を図ります。

 

② 事業を通した低炭素社会へのアプローチ

 低炭素社会への移行に伴い、従来主流であった石化原料からバイオマス原料へのシフトが求められます。創業当初より培ってきた油脂技術の知見を活かし、非石化製品群の拡大と需要開拓を進めています。これまでに、バイオマス由来の可塑剤やエステル油など、石化由来品と同等以上の性能を発揮する製品の開発に成功しており、顧客での評価が進んでいます。今後も引き続き、低炭素社会の実現に貢献する製品の拡大と提案強化に努めていきます。

 

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組み>

 当社は、人材の持続的な成長が、企業の持続的な成長に繋がるという考えのもと、Vision2030「Be the best SPICE! ~心躍る極上のスパイスになる~」では、従業員の意欲や挑戦を引き出すこと、多様な価値観を受容する企業風土を創造することで、活力ある組織の実現を目指しています。そのための施策として、人事制度改革、教育制度の見直し、社内環境整備に取り組んでおります。

 

① 人事制度改革

 昨今、経営環境の変化が大幅に加速し、従業員の就労意識や職業観などにも大きな変化が見られるなか、当社は新たな人材マネジメントの実現に向けて人事制度の改革に挑戦しており、2022年より段階的に人事制度の改定を進めております。新たな人事制度では、旧来の制度、事業を守り支えるだけでなく、新たな課題や事業に取り組む挑戦型の人材が評価される仕組みへと改めました。従業員ひとりひとりの課題や問題意識に寄り添い、安心して働きやすい環境を整えることで、チャレンジする従業員をしっかり後押しをするような人材マネジメントを目指します。

 このような企業文化を醸成するため、新しい評価制度は人材育成のツールとして位置づけました。制度定着のため評価者研修を適宜実施しており、評価の基本スキルの習得に加え、部下と成長や課題について話し合う機会をこれまで以上に増やしていくことを促しています。

 

・人事制度改革の方針

 保守的人材から挑戦型人材への変革 ~Change & Challenge!~

 

・人事制度改定のポイント

(評価制度)

 評価制度の改定は、人事制度全体の改定に先んじて2022年4月より実施いたしました。プラス評価中心の前向きな評価基準により、「挑戦力」「変革力」そして「創造力」を培うことを目指しています。また、評価は人材に優劣をつけるものではなく成長を促すものである、との基本に立ち返り、今まで以上に上司、部下とのコミュニケーションの頻度を上げ、成果までのプロセスを重視します。その結果、自身の課題の見える化とその課題解決をより具体的に共有できる制度としています。

 

(等級制度)

 等級制度は、2023年4月より導入いたしました。年功的な処遇要素を大幅に削減し、評価によって昇級など処遇にメリハリをつけることで、よりチャレンジングな行動を促します。等級ごとの処遇差を明確にすることで社員一人ひとりの自覚を促すと同時に、健全な競争意識の向上に繋げます。等級と役職の関係をシンプルに分かりやすく再整理し、昇給、昇格のみならず、人材の育成、配置など人材マネジメント全般の実効性を高めてまいります。

 

② 教育制度の見直し

 人事制度の改定にあわせ、教育制度についても見直しました。従来の階層型研修や次世代経営層の候補者育成のための選抜型研修に加え、2023年4月より新たに選択型研修を導入しています。多種多様な研修を自由に選択し受講出来る環境を整えることで、学びたい意欲のある従業員を支援します。

 

③ 社内環境整備

 当社は、組織風土の変革の加速と実現のため、多様な経験やキャリアを有する人材の採用と登用を通じて、ダイバーシティ&インクルージョンにも取り組んでいます。また、一人ひとりが心身ともに健康であるために、各職場における従業員の安全管理や健康づくりを進めるとともに、柔軟な働き方を可能にする勤務体系の整備にも取り組んでおります。2020年の「女性活躍推進法」に基づく行動計画及び、2022年の「次世代育成支援対策推進法」に基づく行動計画では、男女の均衡ある育児参加や成長機会の提供を念頭に、それぞれの活動を推進しています。

 

(3)リスク管理

 当社グループではCSRとして取組むべき重要課題をCSR委員会にて策定しました。CSR重要課題は、サステナビリティ経営に向け取組まなければならないと認識した社会課題へのアプローチをESGの項目に分けて策定し、各部門の業務計画へ落とし込み、推進しております。CSR重要課題の取組み状況については、CSR委員会の内部組織であるESG事務局が確認・支援を行います。また、取組みの進捗については、各部門より業務計画の進捗に含めて経営会議に報告されます。

 引き続き、サステナビリティに関するリスクと機会に関しては、各種指標やシナリオを参考に分析を進めていき、取締役会および執行の諸機関、委員会におけるサステナビリティに関する議論の活発化を図ってまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、CSR重要課題の各項目に対してKPIを設定し、取組みを進めております。なかでも最重要課題と位置付けている環境項目のカーボンニュートラルの実現及び社会項目の多様な人材の育成と確保においての指標及び目標は以下のとおりです。

 

<カーボンニュートラルの実現に向けた取組みの指標及び目標>

 カーボンニュートラルの実現に向け、パリ協定で努力目標とされる高水準の1.5℃目標でのCO2削減を目指し、2030年度には2013年度比で50%のCO2排出量削減、更に2050年度にはカーボンニュートラルの達成を目標としております。なお、当該目標に関する指標として、現時点では当社及び製造子会社の日新理化㈱におけるScope1及びScope2のCO2排出量を用いており、その実績は次のとおりです。

年度

2013年度実績

2022年度実績

2030年度目標

CO2排出量(t-CO2)

42,182

31,014

21,091

削減率

-

約25.9%

50%

※ 2022年度実績のCO2排出量の算定においては、再生可能エネルギー由来の非化石証書が有する環境価値を付加した電力の使用量を除外しております。

 

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組みの指標及び目標>

 当社グループでは、一人ひとりの多様な背景や経験、知識を活かし、能力を最大限に発揮できる環境を整えるとともに、活躍への意識を高め、次世代を担う人材の育成を加速させます。

 また、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」にも認定され、働く環境の改善やワークエンゲージメントの向上にも取り組んでおり、様々な施策を通じて、多様な人材がそれぞれの強みを生かして働くことのできる組織づくりを進めています。

 なお、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組みの指標は次の通りです。

 本取組みはグループ会社までの実行には至っておらず、以下に示す実績、目標は提出会社である当社のみのデータとなっております。

方針に関する指標

2022年度実績

2025年度目標

管理職に占める女性労働者の割合(%)

4.7%

7%以上

男性労働者の育児休業取得率(%)

42.9%

100%

※ 男女賃金格差については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に当事業年度の実績を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料の価格変動

 当社グループの主要原材料である油脂原料及び石化原料の購入価格は、国内・国外の市況の変動の影響を受けます。

 油脂原料の購入価格については、植物系油脂原料価格は産地の天候に左右され、動物系油脂原料価格は疫病等による供給減の影響を受ける可能性があります。また、石化原料の購入価格は、原油・ナフサの国際市況に影響を受けます。原油価格は、国際的な需給関係に加え、中東等の産油国の情勢、先物市場での投機的な要因により変動する可能性があります。当社グループの化学製品事業の業績はこれらによって大きく影響を受けます。

 上記のような原料価格の変動に対しては、販売価格への転嫁等の対策をとっておりますが、変動が大きく対応しきれない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原材料の調達

 当社グループは主要原材料として油脂原料及び石化原料を国内・国外の幅広い原材料メーカーから調達しております。

 原材料の調達に関しては、取引先への継続的な安定供給を行うために、品質・コストを検討したうえで、複数調達先の確保などで、安定的な調達に努めておりますが、原材料メーカーの生産上のトラブルによる一時的な供給停止や品質不良の発生により、当社製品の安定生産が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)物流の確保

 当社グループは原材料の調達及び製品の出荷において、国内・国外の海運及び国内陸送等の幅広い物流手段を利用しており、コスト・時間・品質面での最適化に努めております。

 昨今の物流事情におきましては、世界的な人手不足、国際的な紛争発生等により、コスト増加が顕著となっており、適時・適切な物流ルート確保に支障をきたすこともあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)為替相場の変動

 輸入原料の増加等に伴い、当社グループの支払いに占める外貨決済額は増加しており、為替相場の変動が当社の業績に与える影響は増大しつつあります。

 この影響を最小化することを目的として、必要な範囲で為替予約等のヘッジ策を講じておりますが、急激な為替変動により、当社グループの業績及び財務状況にヘッジすることができない影響を及ぼす可能性があります。

 また、連結財務諸表の作成のために、在外連結子会社及び在外持分法適用会社の財務諸表は円換算されています。換算時の為替相場により、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

(5)製造物責任

 当社グループは、製品の開発、生産にあたって安全性や品質に十分に配慮しておりますが、製品の予期しない欠陥によって、製品回収や損害賠償につながる可能性があります。

 保険に加入し賠償に備えているものの、保険による補填ができない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権

 当社グループは、開発された技術・製品を保護するために、特許等の知的財産権の確立を進めるほか、製品及び商品の製造・販売に先立ち、第三者が保有する知的財産権を十分調査し、権利を侵害しないように努めております。

 しかし、予期しない事情により当社グループと第三者との間で知的財産権に関する紛争が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)産業事故災害

 当社グループは事業活動全般において無事故・無災害に努めておりますが、当社グループの工場において万が一産業事故災害が発生した場合、自社の保有資産に対しては保険に加入することで備えているものの、被災地域への損害賠償や社会的信用の失墜、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、ゼロコロナ政策に伴う中国経済の停滞や、長引くウクライナ危機による世界的なエネルギー価格の高騰、インフレ抑制を目的とした各国の政策金利引き上げなどの影響を受け、全体として景気は緩やかに減速しました。わが国経済においては、為替相場の急激な変動や資源高による物価上昇などの下押し圧力があったものの、経済活動の正常化が進んだことから景気は緩やかに回復しました。

 当社グループを取り巻く環境においては、原材料である原油・油脂相場は下落基調にあったもののエネルギーコストが大幅に増加したほか、中国・欧州経済の落込みの影響を受けた海外需要の低迷に加え、一部の品目において原材料調達難から販売機会の喪失に見舞われるなど、厳しい事業運営を強いられました。販売数量が伸び悩む中、製造設備の老朽化に伴う保全コストの増加や設備稼働率の低下など、構造的課題の顕在化が更なる利益の押し下げ要因となりました。

 この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、331億5百万円(前期比2.3%増)となり、損益面では、営業損失4億3千9百万円(前期は営業利益12億2百万円)、経常利益1億5百万円(前期比93.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は4億4千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益8億1千1百万円)となりました。

 

 現在、当社グループは中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)に基づき、事業構造の改革を推し進めております。環境価値の高いバイオマス由来製品や結晶核剤など新規事業にリソースを重点配分し成長を加速させる一方、利益率の低迷が続く既存事業については、製造拠点の集約や製品ラインアップの見直しなど合理化を進めます。また、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、デジタル技術を活用した環境負荷低減に取り組むなど、サステナビリティを核にした企業価値向上に引き続き努めてまいります。

 

 当連結会計年度における主要製品の概況は次のとおりであります。

トイレタリー向け界面活性剤原料は国内アメニティ需要の低迷に加え、原料市況の変動により需給が逼迫したことから販売数量は低調に推移し、また、繊維油剤原料向けアルコールは中国市場の停滞が続いたことから販売数量は大きく減少しました。さらに食品・医薬品向け添加剤においても厳しい販売状況となりましたが、原料価格高騰を背景に製品価格水準を高く維持できたことから、売上高は前年を上回りました。

 床材や電線被覆材などの建材向け原料である可塑剤製品においては、上半期の原料調達難により落ち込んだ販売数量が回復せず販売数量は前年を下回りました。しかしながら、変動する原料価格に対応すべく適正な製品価格での販売に努めた結果、売上高は前年を上回りました。

 自動車産業向け製品においては、半導体不足に起因する自動車生産台数の伸び悩みを受け、売上高、数量ともに前年を下回りました。

 電子材料向け製品においては、中国経済の停滞により同国への輸出が低迷したため、売上高、数量ともに前年を下回りました。

 

 当連結会計年度末の総資産は前期末比3.8%減、金額で15億3千2百万円減少の385億5千3百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、5億5千7百万円減少し、27億7千1百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金は1億4百万円増加(前期は10億7千8百万円増加)しました。これは仕入債務の減少25億9千1百万円があるものの、売上債権が29億2千4百万円減少したことが主な理由であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金は6億5千9百万円減少(前期は16億2百万円減少)しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6億9千3百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金は3百万円減少(前期は8億6千1百万円増加)しました。これは主に、借入金の純増2億6百万円と配当金の支払いによる支出1億8千5百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

生産量(トン)

前年同期比(%)

75,493

75.5

 

 

2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

販売高(百万円)

前年同期比(%)

33,105

102.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の売上高は、前期比2.3%増金額で7億4千7百万円増加の331億5百万円となりました。これは主に、原料需給が逼迫したことから販売数量が低調に推移し、繊維油剤原料向けアルコールの中国市場での停滞が続き販売数量が大きく減少したものの、販売単価が増加したことによるものであります。

 営業損失は、4億3千9百万円(前期は営業利益12億2百万円)となりました。これは主に、販売数量が伸び悩む中、製造設備の老朽化に伴う保全コストの増加や設備稼働率の低下など、構造的課題の顕在化によるものであります。

 受取配当金、持分法による投資利益等の営業外損益を加えた経常利益は前期比93.4%減、金額で14億8千3百万円減少の1億5百万円となり、減損損失等の特別損失や法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は4億4千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益8億1千1百万円)となりました。

 当連結会計年度末の総資産は前期末比3.8%減、金額で15億3千2百万円減少の385億5千3百万円となりました。

 流動資産につきましては、受取手形及び売掛金が減少したことなどにより前期末比11.0%減、金額で23億4千1百万円減少の189億8千7百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券について時価が上昇したことなどにより前期末比4.3%増、金額で8億8百万円増加の195億6千5百万円となりました。

 流動負債につきましては、支払手形及び買掛金が減少したことなどにより前期末比7.5%減、金額で10億1千7百万円減少の125億3千2百万円となりました。固定負債につきましては、長期借入金が減少したことなどにより前期末比4.9%減、金額で4億7千万円減少の90億6千6百万円となりました。

 純資産につきましては、利益剰余金が減少したことなどにより前期末比0.3%減、金額で4千4百万円減少の169億5千4百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は41.2%となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、3「事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金を内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入金による資金調達につきましては、運転資金は短期借入金で、設備資金などの長期資金は長期借入金で調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は101億6千5百万円となっております。

 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は27億7千1百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されています。

 連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合がありますが、この前提条件の置き方などにより、連結貸借対照表上の資産及び負債、連結損益計算書上の収益及び費用などに重要な影響を及ぼすことがあります。

 なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 私たち新日本理化グループは、もの創りを通して広く社会の発展に貢献することを経営理念として、次の100年に向けた新規事業の創出を目指します。「京都R&Dセンター」の稼働開始からほぼ2年が過ぎ、活動も本格化しております。コンセプトである「開放」、「融合」、「挑戦」のもと、たくさんの企業との交流を進めており、1年目を上回る約60社の企業・団体にご来所頂いて技術交流会を開催しました。また、弊社研究員が先方の研究所を訪問するなどの相互交流も始まり、京都R&Dセンター内に設けてある共同研究室に協業先を招いての共同実験も実施いたしました。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は878百万円となっております。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 カーボンニュートラル社会の実現に向けた製品開発に注力しており、環境ソリューション、情報・通信、モビリティ、ライフサイエンスの4重点領域それぞれで新製品開発を進めています。

 ポリオレフィン系樹脂の成形速度を飛躍的に高める結晶核剤「RiKACRYSTA」は、一般的な成形サイクルタイムを短縮する効果だけでなく、一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センターの2022年度の技術開発等支援事業として採択され、リサイクルポリオレフィン系樹脂の成形性を改善し、環境改善に寄与する核剤としても評価が進んでいます。

 当社の油脂技術とエステル化技術をもとに開発したバイオマス由来100%エステルは、モビリティ分野である自動車用オイルやグリースでの評価が順調に進んでいる他、ライフサイエンス分野においても、末端消費者の天然指向の高まりの中で化粧品用の素材として注目を受けており、各社での評価が急速に進んでいます。

 さらに、モビリティ分野では、市場が拡大している電気自動車モーター向けの絶縁封止樹脂材料向け製品について、増産・安定供給体制の検討を続けていましたが順調に完了し、今後の需要増にも対応できる体制を構築いたしました。また、今後のモーター技術変革にも対応できるよう改良・後継品の開発を開始しています。

 情報通信分野では、光学レンズ用の樹脂モノマー開発を引き続き行っている他、新たな電気・電子機器向け材料の開発やHDD用部材の開発にも着手しました。極めて高い純度が要求される製品であり、製造工程の見直し、品質管理方法の確立を含めて解決すべき課題についても見通しがつき始めており、早期の立ち上げを目指しています。

 製造技術の革新として進めているフロー合成については、計画より遅れは生じたもののラボスケールでの検討は完了しました。実用化に向けての実機スケールの検証設備の設計も完了しており、早期に検証試験を行った上で技術完成を目指していきます。

 開発活動だけではなく、お客様サポートも行ってまいります。オレオケミカル、可塑剤、酸無水物など製品をご使用いただいているお客様への、法規、環境問題に対する情報の提供や、お客様が抱える技術課題を解決するための技術情報を提供し、信頼関係の強化に努めます。