第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループは、2017年12月期より日本のコンシューマープロダクツ事業において販売制度の改定を行い、併せてIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」などを早期適用しています(参照104ページ 連結財務諸表に関する注記事項 3.重要な会計方針 (20)会計方針の変更)。なお、比較を容易にするため、これらの影響を補正し、さらに為替変動の影響を除いた増減率を以下、「実質」として記載しております。

注:以下、( )付きの数字はマイナス表示

 

売上高

営業利益

営業利益率

税引前利益

当期利益

親会社の

所有者に帰属する当期利益

基本的

1株当たり

当期利益

 

(億円)

(億円)

(%)

(億円)

(億円)

(億円)

(円)

2017年12月期

14,894

2,048

13.7

2,043

1,486

1,470

298.30

2016年12月期

14,576

1,856

12.7

1,834

1,279

1,266

253.43

増減率

2.2%

実質5.6%

10.4%

-

11.4%

16.2%

16.2%

17.7%

 

当連結会計年度は、2017年から2020年までの4ヵ年にわたる花王グループ中期経営計画「K20」の初年度として、順調にスタートすることができました。連結業績は、2017年10月30日公表の連結業績予想を達成し、8期連続の営業利益及び当期利益の増益、5期連続の営業最高益を達成することができました。

当社グループの主要市場である日本のトイレタリー(化粧品を除くコンシューマープロダクツ)及び化粧品市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると、2017年1月から12月において、金額では堅調に推移しました。特にEコマースチャネルが大きく伸び、デパートチャネルを中心にした化粧品のインバウンド需要は大きく伸長しました。またトイレタリー商品の平均単価は、1ポイント上昇しました。

このような状況の下、当社グループは、研究開発を重視し消費者や顧客の立場にたった“よきモノづくり”に基づき、消費者ニーズの変化に対応した高付加価値商品の発売や育成などに努めるとともに、コストダウン活動などに取り組みました。

売上高は、前期に対して2.2%増の1兆4,894億円(実質5.6%増)となりました。コンシューマープロダクツ事業では、日本において、市場の伸長、新製品・改良品の発売及び販売促進活動のさらなる強化などにより、売り上げは伸長しました。海外では、アジアと米州で売り上げは前期を上回りました。ケミカル事業では、天然油脂価格の上昇に対応した販売価格改定に努め、前期を上回りました。

利益面では、天然油脂などの原料価格が上昇しましたが、日本とアジアのコンシューマープロダクツ事業の増収効果などにより、営業利益は2,048億円(対前期192億円増)、営業利益率は13.7%となり、税引前利益は2,043億円(対前期209億円増)となりました。当期利益は、1,486億円(対前期207億円増)となりました。

基本的1株当たり当期利益は298.30円となり、前期の253.43円より44.87円増加(前期比17.7%増)しました。

当社グループが経営指標としているEVA(経済的付加価値)は、NOPAT(税引後営業利益)が大きく増加し、前期を170億円上回り904億円となりました。

 

当期の海外連結子会社などの財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。

 

 

第1四半期

(1-3月)

第2四半期

(4-6月)

第3四半期

(7-9月)

第4四半期

(10-12月)

米ドル

113.71円[115.31円]

111.13円[108.05円]

110.97円[102.38円]

112.92円[109.41円]

ユーロ

121.13円[127.15円]

122.28円[122.05円]

130.35円[114.24円]

132.95円[117.88円]

中国元

16.50円[ 17.63円]

16.19円[ 16.55円]

16.63円[ 15.36円]

17.07円[ 16.01円]

注:[ ]内は前期の換算レート

 

セグメントの業績

 

売上高

営業利益

通期

増減率

通期

増 減

(億円)

2016年

12月期

(億円)

2017年

12月期

(億円)

(%)

実質

(%)

2016年

12月期

2017年

12月期

(億円)

利益率

(%)

(億円)

利益率

(%)

 

ビューティケア事業

6,016

5,860

(2.6)

2.1

511

8.5

576

9.8

65

 

ヒューマンヘルスケア事業

2,731

2,943

7.8

13.0

259

9.5

387

13.1

127

 

ファブリック&ホームケア事業

3,452

3,357

(2.7)

1.5

781

22.6

761

22.7

(20)

コンシューマープロダクツ事業計

12,198

12,160

(0.3)

4.4

1,551

12.7

1,723

14.2

172

ケミカル事業

2,738

3,103

13.3

10.8

297

10.8

303

9.8

6

小   計

14,936

15,263

2.2

5.5

1,848

-

2,026

-

178

セグメント間消去又は調整

(360)

(369)

-

-

8

-

22

-

14

合   計

14,576

14,894

2.2

5.6

1,856

12.7

2,048

13.7

192

 

販売実績

(億円、増減率%)

通期

日 本

アジア

米 州

欧 州

合 計

 

 

化粧品

2016年

2,153

186

26

184

2,550

2017年

1,979

224

28

195

2,427

増減率

(8.1)

20.6

7.0

6.2

(4.8)

実質増減率

(0.6)

30.2

3.5

5.4

2.1

スキンケア・ヘアケア製品

2016年

1,983

331

689

464

3,467

2017年

1,959

308

723

442

3,433

増減率

(1.2)

(6.7)

4.9

(4.6)

(1.0)

実質増減率

3.1

7.9

3.0

(7.9)

2.1

ビューティケア事業

2016年

4,137

517

716

648

6,016

2017年

3,938

533

751

638

5,860

増減率

(4.8)

3.1

5.0

(1.5)

(2.6)

実質増減率

1.2

15.9

3.1

(4.1)

2.1

ヒューマンヘルスケア事業

2016年

1,908

822

0

-

2,731

2017年

1,975

967

0

-

2,943

増減率

3.5

17.6

-

-

7.8

実質増減率

7.4

25.8

-

-

13.0

ファブリック&ホームケア事業

2016年

3,011

423

17

-

3,452

2017年

2,948

388

21

-

3,357

増減率

(2.1)

(8.3)

21.2

-

(2.7)

実質増減率

1.6

0.4

17.7

-

1.5

コンシューマープロダクツ事業

2016年

9,056

1,762

733

648

12,198

2017年

8,862

1,888

773

638

12,160

増減率

(2.1)

7.1

5.5

(1.5)

(0.3)

実質増減率

2.6

16.8

3.5

(4.1)

4.4

ケミカル事業

2016年

1,189

588

435

526

2,738

2017年

1,239

696

526

642

3,103

増減率

4.2

18.2

21.0

22.1

13.3

実質増減率

4.3

14.0

17.8

16.2

10.8

セグメント間売上高の消去

2016年

(315)

(31)

(1)

(14)

(360)

2017年

(318)

(34)

(1)

(16)

(369)

売上高

2016年

9,930

2,320

1,167

1,160

14,576

2017年

9,782

2,550

1,298

1,264

14,894

増減率

(1.5)

9.9

11.2

9.0

2.2

実質増減率

2.9

16.2

8.8

5.0

5.6

注:コンシューマープロダクツ事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業では、コンシューマープロダクツ事業に対する売上高を含めています。また比較を容易にするため、前期の売上高を同様の方法で記載しています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。

 

売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前期の33.8%から37.0%となりました。

コンシューマープロダクツ事業

売上高は、前期に対して0.3%減の1兆2,160億円(実質4.4%増)となりました。

日本では、数多くの高付加価値商品の発売や提案型販売活動の強化などに取り組んだほか、Eコマースへの対応を強化し、売上高は、前期に対して2.1%減の8,862億円(実質2.6%増)となりました。

アジアでは、中国やインドネシアなどを中心に好調に伸長し、売上高は、7.1%増の1,888億円(実質16.8%増)となりました。

米州の売上高は、5.5%増の773億円(実質3.5%増)となり、欧州の売上高は、1.5%減の638億円(実質4.1%減)となりました。

営業利益は、ヒューマンヘルスケア事業の増収効果があり、1,723億円(対前期172億円増)となりました。

 

当社は、〔ビューティケア事業〕、〔ヒューマンヘルスケア事業〕、〔ファブリック&ホームケア事業〕を総称して、コンシューマープロダクツ事業としております。

 

〔ビューティケア事業〕

売上高は、前期に対して2.6%減の5,860億円(実質2.1%増)となりました。

化粧品の売り上げは、前期に対し4.8%減の2,427億円(実質2.1%増)となりました。海外では、中国を中心にアジアが好調に推移し、売り上げを大きく拡大させることができましたが、日本では、実質の売り上げは、前期をわずかに下回りました。2016年に大きく伸長したインバウンドによる売り上げが減少したほか、中価格帯スキンケアブランドが苦戦しました。一方、化粧品ビジネスの大改革は着実に進んでおり、土台美容液「ソフィーナiP」は、アジアでの展開もスタートし好調に推移しています。また、グローバルブランド「KANEBO」は日本、アジアに加えて欧州での展開を開始しました。デパートチャネルで展開しているプレステージブランドの「SUQQU」や2017年秋に発売した「エスト ザ ローション」が好調に売り上げを伸ばしました。

スキンケア・ヘアケア製品の売り上げは、前期に対し1.0%減の3,433億円(実質2.1%増)となりました。スキンケア製品では、「ビオレ」が日本、アジア、米州で好調に推移しており、欧州での展開も本格化させ、順調に売り上げを伸ばしました。また乾燥性敏感肌ケアの「キュレル」は、エイジングケア市場への新製品の投入や化粧品カテゴリーの品揃えも進んだことなどもあり、日本、アジアで売り上げは大きく伸長しました。一方、ヘアケア製品は、日本では、マス市場の縮小の影響を受けて、売り上げは前期を下回りました。欧州では、ヘアケアブランド「ジョン・フリーダ」の売り上げは前期を下回りましたが、ヘアサロン向け製品は前期に対してほぼ横ばいでした。

なお、2017年12月には、米国のスーパープレミアム価格帯のヘアサロン向けブランド「Oribe(オリベ)」を所有するOribe Hair Care, LLCの買収を発表しました。

営業利益は、576億円(対前期65億円増)となりました。

 

〔ヒューマンヘルスケア事業〕

売上高は、前期に対して7.8%増の2,943億円(実質13.0%増)となりました。

フード&ビバレッジ製品の売り上げは、多くの分野から体脂肪にかかわる特定保健用食品や機能性表示食品が発売されたことなどで、特定保健用食品「ヘルシア」の価値を十分に伝えることが出来ず苦戦しました。

サニタリー製品の売り上げは、前期を上回りました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、売り上げを大きく伸ばしました。日本の売り上げは、激しい競争の中、国内市場で前期を上回り、中国市場向けの越境Eコマースも大きく伸長しました。中国では、2016年度から実施してきた販売構造改革が順調に推移したことやEコマース向けの出荷が伸びたこともあり、売り上げは大きく伸長しました。インドネシアでも、中間所得層向けの現地生産品が順調に売り上げを伸ばしました。生理用品「ロリエ」は、売り上げを伸ばしました。日本では競争が激しく苦戦しましたが、アジアでは順調に売り上げを伸ばしました。

パーソナルヘルス製品の売り上げは、前期を上回りました。オーラルケアは、新製品の発売や高機能品が順調に推移し、売り上げは前期を上回りました。「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」は、前期に比べインバウンド需要が減少しましたが、日本で新たに使用者を開拓し、売り上げは順調に伸長しました。

営業利益は、日本とアジアの増収効果などにより、387億円(対前期127億円増)となりました。

 

〔ファブリック&ホームケア事業〕

売上高は、前期に対して2.7%減の3,357億円(実質1.5%増)となりました。

日本では、ファブリックケア製品の売り上げは、実質では前期を上回りました。衣料用洗剤は、消費者の菌に対する意識が高まる中、「アタックNeo抗菌EX Wパワー」を改良しましたが、厳しい競争環境の中、売り上げは前期に比べてほぼ横ばいに推移しました。また、柔軟仕上げ剤は順調に推移しました。ホームケア製品の売り上げは、高付加価値商品が消費者に受け入れられ、堅調に推移しました。食器用洗剤「キュキュット」では、泡スプレータイプが市場に浸透し、売り上げを伸ばしました。

アジアでは、タイやインドネシアの衣料用洗剤で、厳しい価格競争がありましたが、売り上げは前期に比べ、ほぼ横ばいになりました。

営業利益は、原材料価格の上昇の影響などにより、761億円(対前期20億円減)となりました。

 

ケミカル事業

売上高は、前期に対して13.3%増の3,103億円(実質10.8%増)となりました。

油脂製品では、グローバルで原料価格の上昇に伴う販売価格の改定に努めたことなどにより売り上げは伸長しました。機能材料製品では、日本や中国などでの自動車生産台数の増加に加えて、日本のインフラ関連分野の市況も回復傾向にあり、売り上げを伸ばしました。スペシャルティケミカルズ製品では、情報材料関連製品やハードディスク関連製品などの需要が伸び、売り上げは順調に推移しました。なお、環境負荷低減に貢献する水性インクジェット用顔料インクの開発と事業のグローバル展開を加速するため、米国と欧州の会社を買収し、米国の会社は2016年7月から、欧州の会社は2017年4月から、それぞれ連結子会社となりました。

営業利益は、原料価格の急激な変動の影響を受けましたが、売り上げが伸長し、303億円(対前期6億円増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ400億円増加し、3,431億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,858億円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、△961億円となりました。

以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは、897億円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、△532億円となりました。

 

なお、キャッシュ・フローの詳細は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態の分析」に記載しております。

 

(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

当連結会計年度における主要な項目及び差異の金額は、以下のとおりであります。

なお、当該差異の金額については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、概算額で記載しております。

 

(収益)

日本基準では、当社グループが顧客に対して支払う対価である販売促進費などの一部について、販売費及び一般管理費に含めて表示しておりましたが、IFRSでは売上高から控除しております。この結果、売上高が457億円減少しております。

 

(のれんの償却停止)

日本基準では、のれんの償却については、実質的に償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を停止しております。この結果、販売費及び一般管理費が日本基準より128億円減少しております。

 

(退職給付に係る費用)

①日本基準では、退職給付に係る期待運用収益及び利息費用は退職給付費用として売上原価、販売費及び一般管理費に含めて表示しておりましたが、IFRSでは退職給付に係る利息純額を金融費用として表示しております。この結果、売上原価、販売費及び一般管理費から金融費用に△54億円の表示組替が発生しております。

②日本基準では、数理計算上の差異は、発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により按分した額を発生年度から純損益に認識しておりましたが、IFRSでは、発生時にその他の包括利益として一括で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、日本基準では、過去勤務費用について、発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により按分した額を発生年度から純損益に認識しておりましたが、IFRSでは発生時に純損益として認識しております。これらの結果、売上原価、販売費及び一般管理費が日本基準より5億円減少しております。

③日本基準では、退職給付費用として、退職給付債務に割引率を乗じて利息費用を、年金資産に期待運用収益率を乗じて期待運用収益をそれぞれ認識しておりましたが、IFRSでは退職給付債務と年金資産の純額に割引率を乗じた利息純額を認識しております。この結果、金融費用が62億円増加しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの生産・販売品目は、産業界向けのケミカル製品から一般消費者向けのコンシューマー製品まで極めて多種多様であり、それら製品の在庫をほぼ一定の必要水準に保つように、主として見込み生産を行っております。従って、生産状況は販売状況に類似しているため、生産及び販売の状況については、「1 業績等の概要」をご参照ください。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行い、世界の人々の喜びと満足のある、豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献することを使命としています。

この使命のもと、持続的な社会の形成に寄与するための3つの要素であるESG、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)への対応を将来への「投資」と位置づけ、これまで以上に重視しながら“利益ある成長”を実現していきます。

当社グループ全員の熱意と力を合わせ、資産の最大活用をさらに進めて、清潔で美しくすこやかな暮らしに役立つ商品と、産業界の発展に寄与する工業用製品の分野において、消費者・顧客とともに感動を分かち合う価値ある商品とブランドを提供します。

そして、それぞれの市場で消費者・顧客を最もよく知る企業となることをグローバルに目指し、株主をはじめ全てのステークホルダーの支持と信頼を獲得していきます。

ガバナンスは、経営の想いや夢を「攻め」と「守り」の両面からサポートし、企業価値を継続的に向上させていくための最重要の経営基盤と考えています。そのために、迅速で効率よく、健全かつ公正で透明性の高い経営が実現できるよう、絶えざる革新を図るとともに、経営の執行においては内部統制をさらに充実させながら、グローバルで存在感のある会社を目指します。

当社グループの企業理念は、「花王ウェイ」です。以上の方針を実行していくために、グループ全員でこれを共有し、考え方や行動の拠り所として日々、実践していきます。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、投下資本のコストを考慮した真の利益を表すEVAを経営の主指標としています。その本質は、株主等の資金提供者の視点を持って、資本を効率的に活用し利益を生み出すことにあります。EVAを継続的に増加させていくことが企業価値の増大につながり、株主だけでなく全てのステークホルダーの長期的な利益とも合致するものと考えています。そして事業規模の拡大を図りながら、EVAを増加させることを事業活動の目標としており、個別事業の評価、設備や買収などの投資評価、年度ごとの業績管理や報酬制度などに活用しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

1.長期経営戦略

当社グループは、上記の経営の基本方針に基づき、2030年までに達成したい姿として、持続的な利益ある成長と、事業活動を通じた社会的課題の解決や社会貢献活動による社会のサステナビリティへの貢献との両立により、『グローバルで存在感のある会社「Kao」』を目指します。この実現のために、強みである既存事業の一層の磐石化及び未来を創造する研究開発力を活かしたグローバル視点での新しい市場の創造を推進するとともに、より高いレベルの安全・安心を目指した基本的な活動を実践します。

世界中で起きているさまざまな変化は、スピード、大きさ、変化の方向など、あらゆる面で予見することが難しくなっています。このような状況に対処していくために、「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」をスローガンに、当社グループの総合力を発揮し、目標の実現を目指していきます。

2030年までに達成したい姿として、以下を掲げています。

 

グローバルで存在感のある会社「Kao」

■特長ある企業イメージ

 「生活者の気持ちにそっと寄り添える企業」

■高収益グローバル消費財企業

 ・売上高2.5兆円(海外1兆円)を超える

 ・営業利益率17%を超える

 ・ROE20%を超える

■ステークホルダーへの高レベル還元

2.中期経営計画

当社グループは、2020年までの中期経営計画を「2030年までに達成したい姿」を実現するための重要な通過点と位置付け、企業価値の増大に向けて、2017年度から2020年度までの4ヵ年を対象とした花王グループ中期経営計画「K20」を策定し、2016年12月12日に公表しました。

企業理念である「花王ウェイ」に掲げる「正道を歩む」を貫くことを全員で共有・実践しながら、非財務活動(ESG活動)を一層強化していきます。そしてより次元の高い資産の最大活用を通じて、高いレベルの利益ある成長と新しい資産の創造を行い、以下の目標を達成していきます。

当社グループはESG活動のキーメッセージを「きれいを、こころに。未来に。」と定めました。思いを込めたモノづくりが「コト」を創造し、「ココロ」に届く活動を目指していきます。

 

「K20」の目標 (3つのこだわり)

■特長ある企業イメージの醸成へのこだわり

■「利益ある成長」へのこだわり

 ・過去最高益更新の継続

 ・実質売上高CAGR+5%、営業利益率 15%を目指す

 ・売上高1,000億円ブランドを3つ

  (ベビー用紙おむつ「メリーズ」、衣料用洗剤「アタック」、スキンケア製品「ビオレ」)

※ 実質: 為替の変動・販売制度変更などの影響を除く

 CAGR: 年平均成長率

■ステークホルダー還元へのこだわり

 ・株主: 連続増配継続 (配当性向 40%目標)

 ・社員: 継続的な処遇アップ、健康サポート

 ・顧客: Win-Winの最大化

 ・社会: 社会的課題への先進的取り組み

 

さらにK20では「2030年までに達成したい姿」を実現するために、その礎をしっかりと築いておかなければなりません。それは、積極的な投資を活かしながら稼ぐ力を生み出し、利益ある成長を達成していくという「脱デフレ型成長モデル」を進化させるということです。そのためには、これまでのやり方、あり方、考え方を抜本的に見直し、より高いレベルで当社グループの資産の最大化、そしてその最大活用をしていかなければなりません。当社グループはK20の「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」というスローガンを、「正道を歩む」を貫くことにこだわりながら実践していきます。

 

(4)会社の対処すべき課題

市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動など事業環境は不透明な状況が続いております。消費者の環境や健康などに関する意識の変化やそれに伴う購買意識の変化、さらには高齢化社会の進行や衛生などの社会的課題も増大しています。また、事業がグローバルに拡大し、さまざまな分野で構造的変化が進む中、事業を取り巻くリスクの変化に対応していかなければなりません。このような中、当社グループは、変化の半歩先を行く「よきモノづくり」を通して、利益ある成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を進めていきます。そのために以下のような課題に対し適切に対処していきます。

・事業を取り巻くリスクの変化に対応するため、主要リスクの中から全社的に重要なリスクをコーポレートリスクと定め、管理体制を一層強化することで、グループ全体の企業価値を損なわないように取り組んでまいります。

・2013年7月4日に自主回収を公表しました、カネボウ化粧品ロドデノール配合美白製品につきましては、白斑様症状を発症された方々への回復支援及び補償を真摯に行っております。これとともに、より高いレベルの安全・安心の担保を図りつつ、再発防止に努めることが課題と認識しており、当社グループを挙げて引き続き取り組んでまいります。

・2017年12月期に当社小田原工場の化粧品生産の一部が、消防法に不適合であったことが判明しました。当社は、当該生産を停止し、消防法に適合した生産体制に改善するとともに、各拠点においても消防法の遵守状況を点検し、適法に運用されていることを確認しました。今後は、管理体制を強化し再発を防ぐとともに法令遵守を徹底いたします。

4【事業等のリスク】

企業が事業を遂行している限り、さまざまなリスクが伴います。当社グループにおいては、リスクを把握、評価し、必要な対応策を策定、実行するなどしてリスクを適切に管理しています。また、リスクが顕在化した際には、対策組織を立ち上げ、迅速な対応を行うことで被害、損害をできるかぎり小さくするよう努めております。しかし、以下のような主要リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、以下の主要リスクは当社グループにおける全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらは投資家の判断に影響を与える可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)コンシューマープロダクツ事業

①消費者ニーズの変化への対応
 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、各国市場の景気変動や消費者の価値観の変化により影響を受けます。当事業は消費者ニーズの変化を捉え、当社グループのモノづくりの総合力を活用し、環境・健康・高齢化・衛生などを切り口とした商品の高付加価値化やサービスの提供に取り組み、ブランド価値を維持向上させております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、消費者ニーズの変化に対応した商品やサービスを提供できず、ブランド価値を落とした場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②流通の変化への対応
 当社グループのコンシューマープロダクツ事業は、市場での流通業の合併や統合による新たな企業グループ化の進展、新たな流通チャネルの出現、拡大などの流通構造の変化により影響を受けます。当事業は、このような流通構造の変化に対した販売活動を推進し、新たな提案をしております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、流通構造の変化に対応した販売活動や新たな提案ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ケミカル事業
 当社グループのケミカル事業は、顧客の需要動向や原材料価格の変動などにより影響を受けます。当事業はコスト削減、製品への価格対応を図り、さらに、顧客ニーズに合った製品の高付加価値化、環境に配慮した製品の研究開発を進め、提供しております。しかしながら、この事業活動にはさまざまな要因による不確実性が伴うため、顧客のニーズに合った製品の提供や原材料価格の変動などへの対応ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業買収、業務提携、合弁事業など
 当社グループは事業買収、業務提携、合弁事業などを実施する可能性があります。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定します。しかしながら、事業活動には予想できないさまざまな不確実性が伴うため、当初の期待していた効果が出せない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)海外事業展開
 当社グループは、成長戦略のひとつとしてアジア、欧米市場などでの事業展開を進めており、特に経済成長率が高く、市場規模が大きくなることが予想される国々での事業の強化を重視しております。しかしながら、事業を進める上で、経済成長の鈍化、政治的・社会的に不安定な情勢が生じる、競合との競争の激化、コスト管理が十分できない、小売店・代理店などの取引先との関係に問題が発生するなど、さまざまな要因による不確実性が伴い、事業の強化ができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料の調達
 当社グループの製品で使用している天然油脂や石油関連の原材料の市場価格は、地政学的リスクや需給バランス、異常気象、為替の変動などの影響を受けます。当社グループは原材料価格の上昇に対して、原価低減や売価への転嫁の施策を図り、その影響を軽減しております。また、天然油脂原料に関しては、非可食原料の高度有効利用の研究による代替原料の開発にも取り組んでいます。しかしながら、予想を超えて市場価格に急激な変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)品質管理
 当社グループ商品の品質管理につきましては、消費者・顧客の視点に立ち、関連法規の遵守並びに自主的に設定した厳しい基準に従って設計、製造を行っております。発売前の開発段階では、徹底的に試験、調査研究を行い、安全性を確認しております。また発売後には、消費者相談窓口を通じて、商品への意見、要望などをくみ上げ、さらなる品質向上に努めております。しかしながら、予想を超える重大な品質トラブルまたは新たな科学的知見により商品の安全と安心に対する懸念などが発生した場合には、当該ブランドの問題だけではなく、他のブランドや当社グループ全体の信用の低下にもつながり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)自然災害・事故などへの対応
 当社グループは、地震をはじめとする自然災害に対して、生産工場及び主要な事業拠点を対象に災害対策、事業継続計画(BCP)の策定を行っており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、予想を超える規模の地震やそれにより派生した災害が発生し、原材料の確保、生産の継続などに問題が生じて商品の市場への供給に支障をきたした場合、また、震災に伴う経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 また、生産工場の爆発・火災事故、情報・制御システムの障害、原材料購入先のトラブル、電力や水などの社会インフラの機能不全、有害物質による環境汚染、感染症の蔓延、テロ、政変、暴動などが発生し、商品の市場への供給に支障をきたした場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)為替の変動
 外国通貨建ての取引については為替相場の変動による影響を受けますが、外貨預金口座を通じての決済、為替予約取引や通貨スワップ取引などにより為替変動リスクをヘッジすることにしており、経営成績に与える影響を軽減しております。なお、投機的なデリバティブ取引は行っておりません。しかしながら、在外連結子会社の財務諸表の各項目は円換算するため、換算時の為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受けます。

 

(9)繰延税金資産や減損処理の影響
 当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形資産や企業買収の際に生じたのれん、繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人財の確保
 当社グループは、グローバルでの事業目標達成のために多様で優秀な人財の確保に努めております。消費者の方々に支持される“よきモノづくり”をめざすために、研究開発、生産、マーケティング、販売などに関する高度な専門性を持った人財が不可欠です。しかしながら、雇用情勢の変動などにより、必要な人財を確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)法規制の遵守
 当社グループは、事業活動を行う上で、商品の品質、安全、環境関連、化学物質関連、また会計基準や税法、労務関連、取引関連などの様々な法規制の適用を受けています。当社グループは、コンプライアンス体制を構築し、遵守に努めておりますが、当社グループ及び委託先などが重大な法令違反を起こした場合は、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、現行の法規制の変更や新たな法規制などが追加された場合には、当社グループの事業活動が制限され、あるいはその対応のために投資が必要になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報管理
 当社グループは、研究開発、生産、マーケティング、販売などに関する機密情報や、商品開発、販売促進などに用いる多くのお客様の個人情報を保有しております。当社グループでは、情報取扱いガイドラインによる情報管理を徹底し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルスへの感染などにより、保有する機密情報・個人情報が漏洩した場合には、当社グループへの信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)訴訟の提起
 当社グループは、グローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟などを受ける可能性があります。訴訟が提起された場合には結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)持分譲渡契約

 当社は、米国子会社であるKao USA Inc.を通じて、ヘアサロン向けスーパープレミアムブランドを有するOribe Hair Care, LLCの全持分を米国の投資ファンドLuxury Brand Partners, LLCほかから取得する契約を2017年12月19日に締結し、2018年1月17日に取引を完了しました。

 

(2)合弁事業契約

国名

契約先

合弁会社名称

出資比率

※1

契約日

マレーシア

IOI Oleochemical Industries Berhad

Fatty Chemical

(Malaysia) Sdn. Bhd.

70.0%

2

1988年2月29日

インドネシア

PT Rodamas

PT Kao Indonesia

72.2%

1994年8月29日

 ※1 当連結会計年度末の出資比率を記載しております。

 ※2 出資比率は、間接出資比率であり、 Kao Singapore Private Limited(当社100%出資)が出資しております。

 

6【研究開発活動】

消費者・顧客の立場にたって、心をこめた“よきモノづくり”を行ない、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化を実現するとともに、社会のサステナビリティ(持続可能性)に貢献するという使命のもと、研究開発部門では、多様な国や地域の消費者の様々な文化やニーズを理解し、独創的なシーズと組み合わせることで、新たな価値や市場を創造する画期的な商品・技術の開発に取り組んでおります。

当社と東京理科大学は、お互いに協働することで革新的な技術開発を推進し、教育研究の発展、学術の充実及び研究者の育成に貢献する目的で、産学連携に関する協力協定を締結しました。東京理科大学が持つ有機合成化学や界面科学に関する世界をリードする知見と、当社が持つ化学・材料科学・商品開発のノウハウを融合させることで、イノベーティブな成果を創出する体制を構築し、協働して研究開発を推進することで、人々の健康な暮らしに貢献していきます。

当社グループ全体で、約2,900名が研究開発業務に携わっております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、567億円(売上高比3.8%)であり、主な成果は、下記のとおりであります。

 

コンシューマープロダクツ事業

〔ビューティケア事業〕

世界の人々の肌や髪を深く知る本質研究と、新しい機能を生み出す素材や製剤の開発をとおして、健康で美しい素肌や素髪の実現と、多様な生活スタイルに合わせた美容価値の提案を目指しています。

カウンセリング化粧品では、「エスト」から「ソフィーナ」の最先端技術を結集した基本ケアラインを発売しました。新しい基本ケアラインを象徴する化粧水は、砂漠を生きる生命が生み出す成分が持つ保湿力に着目した化粧水で、過酷な乾燥環境でもうるおい続けます。カネボウ化粧品では、「DEW」ブランドを全面的に刷新しました。長年のヒアルロン酸研究とこだわりの“五感設計”を駆使したラインアップにより、スキンケアというプロセスを、特別な体験に変えていく提案を行い、カネボウ化粧品を代表する基幹ブランドの1つとして育成を図ります。

スキンケア製品では、デオドラントシリーズ「ビオレ/メンズビオレ 薬用デオドラントZ」を発売しました。“汗殺菌スタミナ技術”を採用し、たくさん汗をかいても、ニオイ菌への殺菌作用が続くので、長時間ニオイ予防を実現しました。さらに“汗瞬間ドライパウダー(基剤)”配合により、べたつかず、さらさら快適素肌が続きます。欧米では、うるおいを閉じ込めて、手間がかからず簡単に色づく「ジャーゲンズ ナチュラルグローウエットスキンモイスチャライザー」を米国にて発売しました。アジアでは、乾燥性敏感肌ケアの「キュレル」から、乾燥による小じわの目立ちやハリのなさが気になる、年齢を重ねた乾燥性敏感肌の方に向けて日本で発売した「キュレル エイジングケアシリーズ」を香港、台湾、タイでも発売しました。日本発の乾燥性敏感肌ブランドとして、より幅広い肌ニーズに対応する品質の良さが支持されています。

ヘアケア製品では、「メリットPYUAN(ピュアン)」を刷新しました。汚れを落とすことを一番に考えた「クレンズケアシャンプー」と、フレッシュな香りが生まれ続ける長持ちアロマを配合した「清潔感つづくコンディショナー」で、1日中気持ちよい清潔感が続きます。欧米では、「ジョン・フリーダ」の「シェアブロンド」から、ブロンドヘアをより輝かせ、明るく見せることを実現する新ライン「ブロンド パーフェクティング トリートメント」を発売しました。トリートメントには、富士フイルム株式会社と共同開発を行った“レインボー染料”が導入されています。

当事業に係る研究開発費は、250億円であります。

※エジプトの塩湖で発見された Halomonas elongata

 

〔ヒューマンヘルスケア事業〕

人が本来持っている健康力を生かしたQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、心と身体の両面からヘルスケア研究を進めています。

フード&ビバレッジ製品では、“脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける”特定保健用食品の許可表示を取得している「ヘルシア」から、茶葉のうまみと香りを活かした贅沢な味わいをお楽しみいただける「ヘルシア緑茶 うまみ贅沢仕立て」を発売しました。

サニタリー製品では、赤ちゃんの肌研究から誕生した「メリーズ」スキンケアシリーズを発売しました。うるおいを守る力が弱い赤ちゃんの繊細な肌に、肌本来がもつセラミドのはたらきに着目して開発したスキンケアシリーズです。

パーソナルヘルス製品では、大人の歯のくすみ に影響する「光沢」「色」「明るさ」の3つのポイントに着目した「クリアクリーン プレミアム美白ハミガキ」を発売しました。歯の着色汚れはもちろん、沈着汚れまでも除去して、歯本来のツヤと明るさを維持します。

当事業に係る研究開発費は、134億円であります。

※くすみとは沈着汚れや着色汚れのこと

 

〔ファブリック&ホームケア事業〕

多様なニーズに応える家庭用製品から、高度な清浄・衛生(洗い上がり)が求められる業務用製品まで、幅広い分野での研究開発に取り組んでいます。

ファブリックケア製品では、色柄物にも安心な酸素系衣料用漂白剤「ワイドハイターEXパワー 粉末タイプ」を発売しました。新酵素を配合し洗浄力をアップ させ、しみついた黄ばみ・黒ずみを強力に分解します。また、つけ置きすることでさらに洗浄・漂白効果がアップします。

ホームケア製品では、便器の汚れを落とすだけでなく、便器をきれいに保ちたいという美観維持ニーズに対応したトイレクリーナー「トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ツヤツヤコートプラス」を発売しました。新開発の超親水化ポリマーのはたらきによりスプレーするだけで汚れをよせつけないコーティングが便器全体に広がり、便器がツヤツヤな仕上がりになります。

当事業に係る研究開発費は、87億円であります。

※当社従来品「ワイドハイター 粉末タイプ」との比較

 

ケミカル事業

油脂科学、界面科学、高分子科学等における研究開発の成果をさらに深化させ、幅広い産業界の多様なニーズに対応した特徴あるケミカル製品を提供すべく、研究開発に取り組んでいます。

油脂製品では、油脂アルコールや三級アミンにおいて独自の触媒・プロセス技術開発を進めております。機能材料製品では、環境負荷低減に対応した付加価値製品の開発に努め、廃棄物や、エネルギー低減に寄与する、低温鋼板洗浄剤や鋳造用材料などの開発に取り組んでおります。スペシャルティケミカルズ製品では、環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクなどの技術開発を進めています。

当事業に係る研究開発費は、97億円であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

売上高は、前期に対して2.2%増の1兆4,894億円(実質5.6%増)となりました。コンシューマープロダクツ事業では、日本において、市場の伸長、新製品・改良品の発売及び販売促進活動のさらなる強化などにより、売り上げは伸長しました。海外では、アジアと米州で売り上げは前期を上回りました。ケミカル事業では、天然油脂価格の上昇に対応した販売価格改定に努め、前期を上回りました。

利益面では、天然油脂などの原料価格が上昇しましたが、日本とアジアのコンシューマープロダクツ事業の増収効果などにより、営業利益は2,048億円(対前期192億円増)、営業利益率は13.7%となり、税引前利益は2,043億円(対前期209億円増)となりました。当期利益は、1,486億円(対前期207億円増)となりました。

 

なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。

 

(2) 財政状態の分析

(連結財政状態)

 

 

 

 

前連結会計年度

2016年12月末

当連結会計年度

2017年12月末

増 減

資産合計(億円)

13,383

14,274

891

負債合計(億円)

6,468

6,080

(388)

資本合計(億円)

6,915

8,194

1,279

親会社所有者帰属持分比率

50.8%

56.5%

-

1株当たり親会社所有者帰属持分(円)

1,379.37

1,636.41

257.04

社債及び借入金(億円)

1,206

1,206

(1)

 

(連結キャッシュ・フローの状況)

 

 

 

通期

増 減

2016年12月期

2017年12月期

 

(億円)

(億円)

(億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,843

1,858

15

投資活動によるキャッシュ・フロー

(886)

(961)

(75)

フリー・キャッシュ・フロー(営業活動+投資活動)

957

897

(60)

財務活動によるキャッシュ・フロー

(950)

(532)

418

 

資産合計は、1兆4,274億円となり、前連結会計年度に比べ891億円増加しました。主な増加は、現金及び現金同等物400億円、営業債権及びその他の債権80億円、棚卸資産187億円、有形固定資産250億円、主な減少は、繰延税金資産100億円です。

負債合計は、前連結会計年度に比べ388億円減少し、6,080億円となりました。主な増加は、営業債務及びその他の債務80億円、主な減少は、退職給付に係る負債301億円です。

資本合計は、前連結会計年度に比べ1,279億円増加し、8,194億円となりました。主な増加は、当期利益1,486億円、その他の包括利益313億円であり、主な減少は、配当金506億円です。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の50.8%から56.5%となりました。

また、2017年3月1日に自己株式の消却900万株を実施しました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,858億円となりました。主な増加は、税引前利益2,043億円、減価償却費及び償却費545億円、営業債務及びその他の債務の増減額146億円、未払費用を含むその他145億円であり、主な減少は、棚卸資産の増減額153億円、退職給付に係る負債の増減額309億円、法人所得税等の支払額553億円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、△961億円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出837億円、無形資産の取得による支出63億円です。

営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、897億円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、△532億円となりました。主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金507億円です。なお、2017年3月に100億円、9月に200億円の借入金を返済し、同時に適正な資本コスト率の維持及び成長投資のための財務基盤の強化を目的に、それぞれ同額の借り入れを行いました。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ400億円増加し、3,431億円となりました。