当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当中間連結会計期間の末日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
注:以下、「実質」とは為替変動の影響を除く増減率を表示しています。また、数量等には製品構成差を含んでいます。
世界経済は、関税の政策転換の影響により、国際的なサプライチェーンや調達コストに混乱が生じています。また、欧州や中東における地政学リスクも長期化の様相を呈しており、依然として不透明な状況が続いています。日本においては、物価高の影響が継続し、内需の回復は力強さに欠けています。
当社グループの主要市場である日本のトイレタリー及び化粧品市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると、2025年1月から6月において前年同期を上回りました。
このような経営環境の中、当社グループは花王グループ中期経営計画「K27」達成のため、稼ぐ力の向上に取り組みながら、利益ある成長を伴うグローバル売り上げ拡大の基盤作りを推進しています。
売上高は、前年同期に対して2.7%増の8,090億円(為替1.0%減、実質3.7%増(内訳:数量等0.2%増、価格3.5%増))となりました。営業利益は695億円(対前年同期115億円増)となり、税引前中間利益は718億円(対前年同期74億円増)となりました。中間利益は495億円(対前年同期46億円増)となりました。
当第2四半期(中間期)の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。
注:[ ]内は前年同期の換算レート
第1四半期で実施した報告セグメントの変更の概要は以下のとおりです(参照20ページ 第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表に関する注記事項 5.セグメント情報)。
1.コンシューマープロダクツ事業をグローバルコンシューマーケア事業に、ハイジーン&リビングケア事業をハイジーンリビングケア事業に、ヘルス&ビューティケア事業をヘルスビューティケア事業に改称します。
2.グローバルコンシューマーケア事業の中にビジネスコネクティッド事業を新設します。この事業は、業務用衛生製品(Washing Systems, LLCを除く)とライフケア製品等で構成しています。
3.Washing Systems, LLCはケミカル事業に組み入れています。
4.上記1~3のセグメントの再編により、前年同期の売上高及び営業利益を組み替えて表示しています。
セグメントの業績
販売実績
(億円、増減率%)
注:グローバルコンシューマーケア事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業では、グローバルコンシューマーケア事業に対する売上高を含めています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。
売上高に占める海外の割合は、前年同期の45.3%から44.2%となりました。なお、第1四半期より販売元の所在地に基づいた割合を開示しています。前年同期も同様の方法で算出しています。
売上高 対前年同期比分析
注:ケミカル事業の売上高は、セグメント間取引を含んでいます。
グローバルコンシューマーケア事業
売上高は、前年同期に対して0.6%増の6,058億円(為替0.7%減、実質1.3%増(内訳:数量等1.0%増、価格0.3%増))となりました。
世界では、引き続き生活者の低価格志向がみられる中、実用性や付加価値の高い製品への需要が一層強まっています。日本市場では、一部で賃上げやインバウンド需要の拡大が消費を下支えする動きがみられるものの、物価上昇の影響により、消費行動は引き続き慎重な傾向を示しています。このような中、DXによるマーケティング手法の高度化、高付加価値製品の提案やその価値に見合った価格改定等に取り組みました。
日本の売上高は、前年同期に対して4.4%増の3,995億円となりました。
アジアでは、売上高は7.4%減の1,029億円(実質5.7%減)となりました。
米州の売上高は、6.3%減の606億円(実質3.2%減)となり、欧州の売上高は、2.0%減の429億円(実質1.2%減)となりました。
営業利益は、原材料価格の上昇の影響を受けるも、販売数量の増加と稼ぐ力の向上が寄与し543億円(対前年同期125億円増)となりました。
当社は、〔ハイジーンリビングケア事業〕、〔ヘルスビューティケア事業〕、〔化粧品事業〕、〔ビジネスコネクティッド事業〕を総称して、グローバルコンシューマーケア事業としております。
〔ハイジーンリビングケア事業〕
売上高は、前年同期に対し0.9%増の2,578億円(為替0.4%減、実質1.3%増(内訳:数量等0.7%増、価格0.6%増)、なお、2024年6月に実施したペットケア事業譲渡の影響を実質からさらに除くと1.9%増)となりました。
ファブリック&ホームケア製品の売り上げは、前年同期に対して3.5%増の1,782億円(為替0.0%増、実質3.5%増(内訳:数量等2.0%増、価格1.5%増))となりました。
ファブリックケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本では、市場が伸長する中、衣料用洗剤「アタック」等が引き続きシェア・数量ともに伸長し、売り上げ増に大きく寄与しました。
ホームケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本の食器用洗剤のシェアが引き続き伸長したほか、「マジックリン」ブランドの高付加価値製品のバスクリーナーやトイレクリーナーが好調を維持しています。
ファブリック&ホームケア製品の営業利益は、309億円(対前年同期29億円増)となりました。
サニタリー製品の売上高は、前年同期に対して4.6%減の796億円(為替1.4%減、実質3.2%減(内訳:数量等1.9%減、価格1.3%減)、なお、2024年6月に実施したペットケア事業譲渡の影響を実質からさらに除くと1.5%減)となりました。生理用品「ロリエ」の売り上げは、前年同期を上回りました。中国では引き続きロイヤルティマーケティングが奏功し、売り上げは好調に推移しました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、日本においては前年同期を上回りましたが、アジアの売り上げは前年同期を下回りました。
サニタリー製品の営業利益は、45億円(対前年同期15億円減、なお、2024年6月に実施したペットケア事業譲渡の影響を除くと対前年同期28億円増)となりました。「メリーズ」の営業利益は、稼ぐ力の向上等が寄与し、第1四半期に続き黒字を継続しました。
ハイジーンリビングケア事業の営業利益は、354億円(対前年同期14億円増、なお、2024年6月に実施したペットケア事業譲渡の影響を除くと57億円増)となりました。
〔ヘルスビューティケア事業〕
売上高は、前年同期に対して0.4%増の2,115億円(為替1.2%減、実質1.6%増(内訳:数量等1.8%増、価格0.2%減))となりました。
スキンケア製品の売り上げは、前年同期をわずかに下回りました。日本では、UVケア製品やハンドソープが好調に推移し前年同期を上回りましたが、米州の売り上げは、「Jergens」が競合からの攻勢等を受け、前年同期を下回りました。
ヘアケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本では厳しい競争環境の中、昨年発売した高価格帯の新ヘアケアブランド「melt」と「THE ANSWER」、リブランディングした「エッセンシャル」が引き続き好調で売り上げは伸長しました。欧米のヘアサロン向け製品の売り上げは、「GOLDWELL」が米国や欧州の景況感悪化の影響を受け、前年同期を下回りました。
パーソナルヘルス製品の売り上げは、日本では新製品「ピュオーラ 炭酸ハミガキ」、中国では「めぐりズム」の貢献により前年同期を上回りました。
営業利益は、181億円(対前年同期31億円増、なお、前年同期に実施した欧米子会社の構造改革費用の影響を除くと3億円減)となりました。
〔化粧品事業〕
売上高は、前年同期に対して1.5%増の1,185億円(為替0.6%減、実質2.1%増(内訳:数量等1.3%増、価格0.8%増))となりました。
日本では、好調を継続している「Curél」や「KATE」、「KANEBO」、インバウンド需要を捉えた「SENSAI」、新製品が好調に推移している「SOFINA iP」等の注力6ブランドを中心に、売り上げは前年同期を大幅に上回りました。アジアの売り上げは前年同期を下回りましたが、タイで「KATE」や「KANEBO」が計画を上回る進捗を示しました。欧州では、「MOLTON BROWN」が引き続き好調に推移したほか、「Curél」は欧州での展開を強化し、特に英国で売り上げが伸長しました。
営業利益は、注力6ブランドへの投資の集中や人財構造改革等が利益改善に大きく寄与し、4億円(対前年同期65億円増)と黒字転換しました。
〔ビジネスコネクティッド事業〕
売上高は、前年同期に対して5.4%減の180億円(為替0.0%減、実質5.4%減(内訳:数量等5.4%減、価格の増減はなし)、なお、2024年8月に実施した飲料事業譲渡の影響を実質からさらに除くと0.6%増)となりました。
業務用衛生製品の売り上げは、前年同期をわずかに上回りました。メディカル、介護分野は競合との価格競争の影響等により前年を下回りましたが、フードサービス、宿泊・レジャー分野においては日本・アジアともに堅調な市況に伴い、前年を上回りました。
営業利益は、4億円(対前年同期14億円増)となりました。
ケミカル事業
売上高は、前年同期に対して9.1%増の2,260億円(為替1.9%減、実質11.0%増(内訳:数量等1.5%減、価格12.4%増))となりました。
油脂製品では、地域毎の需要の状況に違いが出ているものの、油脂原料価格の上昇を受けて実施した販売価格改定の貢献が大きく、売り上げは前年同期を上回りました。
機能材料製品は、自動車関連分野等の対象市場の停滞がある中でも、販売価格改定の効果の寄与により、売り上げは前年同期並みになりました。
情報材料製品では、半導体関連やハードディスク等の対象分野の需要が堅調で、その着実な取り込みを通じて、売り上げは伸長しました。
営業利益は、一部の対象分野での需要減と原料価格上昇の影響等を受けて、149億円(対前年同期23億円減)となりました。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ631億円減少し、1兆8,041億円となりました。主な増加は、棚卸資産139億円であり、主な減少は、現金及び現金同等物361億円、営業債権及びその他の債権152億円です。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ447億円減少し、7,237億円となりました。主な減少は、その他の流動負債233億円、営業債務及びその他の債務90億円です。
資本合計は、前連結会計年度末に比べ184億円減少し、1兆804億円となりました。主な増加は、中間利益495億円であり、主な減少は、配当金370億円、在外営業活動体の換算差額299億円です。
なお、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の57.1%から58.4%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、465億円となりました。主な増加は、税引前中間利益718億円、減価償却費及び償却費427億円であり、主な減少は、法人所得税等の支払額222億円、棚卸資産の増減額193億円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△272億円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出288億円です。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、193億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△482億円となりました。主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金363億円、リース負債の返済による支出110億円です。
当中間期末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ361億円減少し、3,216億円となりました。
当中間連結会計期間における研究開発費は、314億円です。
関税の政策転換による混乱や経済の減速、長期化する欧州や中東における地政学リスク等の不透明な事業環境を想定しています。
当中間連結会計期間は計画を上回る進捗を示したこと、さらなるDXによるマーケティング手法の高度化、高付加価値製品の提案やその価値に見合った価格改定等を行うことにより、2025年5月8日に公表した連結業績予想の修正を行いました。
花王グループ中期経営計画「K27」を達成するため、稼ぐ力の向上に取り組みながら、利益ある成長を伴うグローバル売り上げ拡大の基盤作りを推進し、公表数値の達成を目指していきます。
連結業績予想の数値については、2025年8月6日公表の「2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」を参照ください。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。