(1)経営方針、目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
現在の社会は、急激な情勢の変化、人々の価値観の多様化など、あらゆる側面において予測不可能な時代と言われております。また地球温暖化、人権などの国際的課題に対する企業の姿勢、貢献についても幅広い関心が集まっております。そのような中、当社は創業以来大切にしてきた「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」という社是に沿って、世界中の皆様の「もっと安全・安心・快適に」の気持ちに応える製品の開発や、持続可能な社会の実現に貢献する活動及び製品開発に取り組んでまいりました。
2018年度から2020年度までの3年を計画期間とする第10次中期経営計画「New Sanyo for 2027」(以下、「第10次中計」といいます)では、既存路線の延長ではなく、2027年のありたい姿「全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じるユニークでグローバルな高収益企業に成長し、社会に貢献する」を起点とし、“変える。”のスローガンの下で変革に取り組み、大きな成果を上げることができました。
2021年度においても、従来から取り組んでいる企業変革を加速し、社是に基づいた当社の事業活動を通じての社会貢献にさらに資するべく、長期的な視点でのサステナブルな経営を推進してまいります。2021年4月1日まで延期としておりました株式会社日本触媒との経営統合については、両社を取り巻く事業環境が急速にかつ大きく変化したことから、現在の事業環境に鑑みたそれぞれの会社が持つ優位性を独自に発揮していくことが、両社の企業価値向上につながると判断し、昨年10月に両社の合意により中止を決定いたしました。今回、相互に得られた知見も多く、両社は引き続き様々な面で良好な関係を維持してまいります。
<第10次中計の振り返り>
第10次中計においては、定性目標として掲げた「全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じる高収益企業」、「従業員(その家族含む)と顧客の満足度№1のグローバルカンパニー」として社会に貢献すべく、“変える。”をスローガンに様々な施策を推進してまいりました。社内改革として、風通しの良い職場風土の醸成、女性活躍推進及び性的マイノリティ(LGBTQ)の理解促進を通じての多様性の実現、従来の慣習(ムリ・ムダ・ムラ)の排除、権限委譲による意思決定スピードの加速を推進し大きな成果を上げることができました。一方で、既存ビジネスにおいて顧客目線での提供価値を高めることによる高付加価値製品へのシフトを進めるとともに、関連会社であるAPB㈱との全樹脂電池の開発、バイオメディカル・アグリニュートリション・化粧品分野での新規大型ビジネスの推進、株式会社TBM・ティエムファクトリ株式会社・株式会社ファーマフーズ等との資本提携に代表される外部企業とのアライアンス、タイ・韓国等での新増設投資推進によるグローバル化の加速等を通じてサステナブルな社会に貢献する企業価値の向上に取り組んでまいりました。
なお、女性活躍及び多様性を推進してきた結果として、厚生労働省から優良な子育てサポート企業として「プラチナくるみん認定」を受けたほか、任意団体work with Prideが策定する性的マイノリティ(LGBTQ)に関する企業の取り組みの評価指標「PRIDE指標」において、2019年から2年連続で最高評価「ゴールド」を受賞することができました。併せて、従業員全員が、自分らしさを大切にしながら働きがいをもっていきいきと働くことができる職場環境づくりを経営重点事項と位置づけ、服装の自由化、コアタイムなしのスーパーフレックスの導入、在宅勤務やテレワーク等の働き方改革、従業員の心身の健康促進に関する取り組み(健康経営)等、社員誰一人も取り残すことがないよう、様々なアプローチを積極的に進めてまいりました。その結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において、2019年から3年連続で「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されました。特に、在宅勤務及びテレワークの取り組みを早い段階で進めていたことにより、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下においても、特段の支障を生じることなく在宅勤務による通常業務を遂行することができました。
一方で、最終事業年度となる当期の定量目標として「連結売上高1,800億円」、「連結営業利益180億円」、「連結ROE10%」を掲げ、高付加価値製品へのシフト等により、その達成を目指してまいりましたが、2019年度第4四半期を発端とする新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による世界経済の停滞、自動車産業をはじめとする幅広い産業分野における需要の減少などにより、結果として、各目標値はいずれも未達となりました。しかしながら、上述のとおり、企業風土の改革を浸透させ、当社の様々な事業活動を通じてサステナブルな社会に貢献していくべく、長期視点での企業価値の増大に向けた施策を大きく進めることができました。当期の業績状況は3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要に記載のとおりです。
<優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題>
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によって、世界経済の停滞や幅広い産業分野における需要の減少が見られました。2021年度は新型コロナウイルス感染症用のワクチン開発・接種が進み、世界経済の改善が予測されてはおりますが、不確実な状況が今後もしばらくの間続くと想定しています。
このような経営環境の中、持続的な社会の実現に貢献することを通じて、当社グループ自身が持続的な成長を遂げるため、以下の取り組みを実施してまいります。
① サステナブル経営の推進
当社グループの社会的価値と経済価値を好循環で創出し、持続的な成長に資する施策を検討・提案するため、取締役会直轄の組織として本年4月1日付で「サステナブル経営委員会」を設置しました。ステークホルダーと連携しながら、当社らしい強みを追求して中長期的な企業価値の向上を目指す「サステナブル経営」を推進してまいります。
② 営業・研究組織の一体化による、経営判断・意思決定のスピードアップ
本年4月1日付の組織変更で全7事業本部体制とし、各事業本部に営業・研究組織を置いて一体運営を推進することといたしました。これにより経営スピードを加速させ、顧客への価値提供の高度化を図ってまいります。
③ 持続可能な社会の実現に向けたソリューションの提供
持続可能な社会の実現に貢献するため、社会課題に対してオープンイノベーション等による新たなソリューションを開発・提案し、当社グループの社会的価値を向上させると同時に、経済価値の向上を図ってまいります。
(ⅰ)再生可能エネルギーの利用拡大:
次世代エネルギーとして期待の大きい「全樹脂電池」を用いた蓄電を一例とする再生可能エネルギーの利用拡大を通じて、より良い社会の建設に積極的に貢献してまいります。APB株式会社では、全樹脂電池の製造拠点であるAPB福井センター武生工場を本年10月に操業させ、量産開始を目指します。
(ⅱ)QOL(Quality of Life)の向上:
「シルクエラスチン」(難治性の傷の回復を早める人工タンパク質)、外科用止血シーラントなど、当社でしか実現できない治療技術のご提供により、患者様が社会活動・経済活動を回復・実現するご支援をしてまいります。また、当社が得意とする界面制御技術を駆使し、化粧品分野においても魅力的なソリューション提案をより一層充実させてまいります。
(ⅲ)その他:
アグリニュートリション等の分野における新たな事業の仕組み作りにも注力し、食糧問題などサステナブル社会の実現のために避けては通れない課題の解決に貢献してまいります。
④ DX推進、基幹システム刷新
DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用して、製品やビジネスモデル、ビジネスプロセスを抜本的に変革すること)推進のため、全社横断の「デジタル革新プロジェクト」を立ち上げました。また、社内基幹システムの刷新も予定しており、事業全般の一層の効率化を図ってまいります。
⑤ 事業拡大のためのアライアンス強化及びグローバル化推進
タイの大手化学企業及び豊田通商株式会社との合弁会社であるGC Polyols Company Limited におけるポリウレタン原料の製造販売の開始は、アライアンスにより価格競争力を高めた最近の事例であり、今後も引き続き、他社とのパートナーシップ強化により、更なる価値提供を図ってまいります。また、主に東アジア、東南アジアでの当社製品に対する顧客需要に対応するため、サンヨーカセイ(タイランド)リミテッドにおいて積極的に設備投資を行い、韓国三洋化成製造株式会社においては潤滑油添加剤の製造を開始するなど、グループとしての価値最大化により、グローバル規模でのお客様の期待に応えてまいります。
⑥ 働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン、健康経営の推進
働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョンについては、他社のロールモデルとなるべく、第10次中計における施策に継続して取り組みます。また、従業員の心身の健康に関する様々な取り組みや活動を重視した「健康経営」をさらに加速するため、会社・労働組合・健康保険組合が三位一体となった推進体制を整備いたしました。社内での活動を活発化させる等、全従業員が参画した取り組みとなるよう意識しながら引き続き活動を進めてまいります。
2022年度からの第11次中期経営計画は、全社員で徹底的に議論し、2021年度1年間をかけて策定してまいります。全社員がモチベーションを高め、働きがいを感じられる「ワクワクする会社」を作り上げ、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。
当社は「ユニークでグローバルな高収益企業」を目指し、ステークホルダーの皆様のご理解とご協力を賜りながら、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」の実現に向けて邁進します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月21日)現在に当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当該リスクへの対応として、各種社内規定を定め所轄部署が管理し、内部統制委員会の指導・監督の下、内部統制部がその運用状況を評価し、リスク軽減を図る体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規定その他の体制」をご参照ください。
(1) 経済状況
当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。
従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レート
当社グループの海外における事業展開の拡大に伴い、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が拡大しております。
(3) 原料価格の変動
当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しておりますが、原油価格については中東情勢・需給バランス・為替等の様々な要因により変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の上昇は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼします。
(4) 地震等の自然災害
当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県を含む東海地方は、東海地震の対象地域となっております。
当社グループでは、地震対策として設備等の耐震構造の強化並びに生産拠点の複数化等の対策を実施しており、東日本大震災において大きな被害をもたらした液状化についても、順次、対策を実施しております。
しかし、大地震が発生した場合には、様々な要因により生産・販売活動が停止するなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響をもたらす恐れがあります。
(5) カントリーリスク
当社グループは、米国・タイ・中国に続きマレーシアにおける生産拠点を構築するなど、海外への事業展開を拡大しております。
このようなグローバル化の進展は、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、中国において、「中華人民共和国長江保護法」等の法律に基づき、南通開発区化工園区に所在する当社グループの三大雅精細化学品(南通)有限公司、三洋化成精細化学品(南通)有限公司の2社を含む化学企業に対する移転要請があります。移転内容によっては、一時的な操業停止による機会損失や多額な工場移転費用などが発生する可能性があります。
(6) 新型コロナウイルス感染症
当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防止するため、衛生管理や在宅勤務などの感染予防策を実施しておりますが、今後、感染の長期化や、さらに感染が拡大した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、個人消費、輸出が大きく落ち込んだことから、急速に悪化しました。経済活動の再開後、輸出が持ち直す等、回復が見られましたが、新型コロナウイルスの感染再拡大により厳しい状況が続いております。世界経済においては、中国は経済活動の再開後順調に回復しつつあり、米国はワクチン普及が個人消費の追い風になるなどの動きがみられますが、欧州は新型コロナウイルスの感染再拡大による活動制限が長期化するなど、前年並みの水準に戻るには時間を要すると見られます。
化学業界におきましては、為替相場は米国の金融緩和長期化観測の高まりなどにより円高傾向にありましたが、米国の景気回復期待から当年度末は円安基調にあり、原料価格は原油価格の下落や世界景気低迷の影響により大幅下落後価格を戻すなど、不安定な状態にあり、事業環境は依然として予断を許さない状況にあります。
このような環境下における当連結会計年度の売上高は、原料価格下落に伴う製品価格の改定などにより、1,447億5千7百万円(前期比6.9%減)となりました。利益面では、営業利益は119億3千2百万円(前期比4.1%減)、経常利益は持分法による投資利益の減少などにより119億9千9百万円(前期比5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は経営統合中止に伴う損失の計上等により72億8千2百万円(前期比5.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<生活・健康産業関連分野>
生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールと液体洗濯洗剤用界面活性剤の販売が低調に推移しましたが、家庭用洗剤に使われる界面活性剤等の販売が増加したため、売上高は横ばいとなりました。
健康産業関連分野は、主力の高吸水性樹脂は、中国の需要は好調に推移したものの原料価格下落に伴う製品価格の改定などにより売り上げは伸びませんでしたが、殺菌剤等の販売が増加したため、売上高は横ばいとなりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は543億2百万円(前期比1.1%増)、高吸水性樹脂の収益性改善により営業利益は31億9千5百万円(前期比100.9%増)となりました。
<石油・輸送機産業関連分野>
石油・輸送機産業関連分野は、9月までの自動車産業分野の不振により、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、潤滑油添加剤および自動車内装表皮材用ウレタンビーズの販売がともに低調に推移し、売上高は大幅に減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は373億1千6百万円(前期比12.8%減)、営業利益は33億6千5百万円(前期比10.0%減)となりました。
<プラスチック・繊維産業関連分野>
プラスチック産業関連分野は、塗料コーティング用薬剤・添加剤、自動車関連用途のモデル用材料、塗料用バインダーとして使われる樹脂改質剤の販売が低調に推移しましたが、主力の永久帯電防止剤の販売が、需要回復に加え新規用途の拡販が進んだため好調に推移し、売上高は横ばいとなりました。
繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤の販売が順調に推移したものの、合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂、タイヤコード糸等の製造時に使用される油剤の販売が低調に推移したため、売上高は減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は208億2百万円(前期比3.0%減)、営業利益は27億5百万円(前期比9.9%減)となりました。
<情報・電気電子産業関連分野>
情報産業関連分野は、在宅勤務の増加などに伴い、オフィスでの複合機等の利用が減少したため、トナーに使用されている粉砕トナー用バインダー、重合トナー用ポリエステルビーズの販売がともに低調に推移し、売上高は大幅に減少しました。
電気電子産業関連分野は、5Gに対応した半導体メモリ用レジストの原料やディスプレイ用樹脂の販売が大幅に増加し、売上高は好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は170億9千6百万円(前期比18.5%減)、営業利益は14億3千9百万円(前期比51.0%減)となりました。
<環境・住設産業関連分野他>
環境産業関連分野は、高分子凝集剤の市況が引き続き低迷したため、その原料であるカチオンモノマーの販売も低調に推移し、売上高は減少しました。
住設産業関連分野は、市況悪化に伴い、建築シーラント用原料および家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売がともに低調に推移し、売上高は減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は152億3千9百万円(前期比8.0%減)、営業利益は12億2千6百万円(前期比5.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
|
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
17,232 |
22,300 |
5,067 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,115 |
△12,498 |
△1,383 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△7,084 |
△4,146 |
2,938 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△173 |
523 |
697 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△1,141 |
6,179 |
7,320 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
18,009 |
23,647 |
5,637 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し56億3千7百万円増加し、236億4千7百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、223億円(前期は172億3千2百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益106億3千8百万円、減価償却費96億7千8百万円などによる資金の増加が、法人税等の支払額23億3千4百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、124億9千8百万円(前期は111億1千5百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に76億2千6百万円を支出したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、41億4千6百万円(前期は70億8千4百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額30億8千3百万円、長期借入金の返済による支出14億円による資金の減少などによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前期比 (%) |
|
金額(百万円) |
||
|
生活・健康産業関連分野 |
55,434 |
0.8 |
|
石油・輸送機産業関連分野 |
36,311 |
△15.4 |
|
プラスチック・繊維産業関連分野 |
18,519 |
△4.4 |
|
情報・電気電子産業関連分野 |
18,857 |
△22.6 |
|
環境・住設産業関連分野他 |
14,681 |
△9.8 |
|
合計 |
143,804 |
△9.0 |
(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。
(b)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前期比 (%) |
|
金額(百万円) |
||
|
生活・健康産業関連分野 |
54,302 |
1.1 |
|
石油・輸送機産業関連分野 |
37,316 |
△12.8 |
|
プラスチック・繊維産業関連分野 |
20,802 |
△3.0 |
|
情報・電気電子産業関連分野 |
17,096 |
△18.5 |
|
環境・住設産業関連分野他 |
15,239 |
△8.0 |
|
合計 |
144,757 |
△6.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及びその総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
豊田通商㈱ |
15,355 |
9.9 |
13,910 |
9.6 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、原料価格下落に伴う製品価格改定などにより、1,447億5千7百万円(前期比6.9%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前期比94億4千9百万円減少し、売上原価率も前連結会計年度の77.6%から76.9%へ0.7ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は、前期比7億9千万円減少し、対売上高比率は前連結会計年度の14.4%から14.9%へ0.5ポイント増加しました。
研究開発費は、前期比6千1百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.4%から3.7%へ0.3ポイント増加しました。
(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
営業利益は、売上高の減少などにより119億3千2百万円(前期比4.1%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.0%から8.2%へ0.2ポイント増加しました。
経常利益は、持分法による投資利益の減少などにより、119億9千9百万円(前期比5.6%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経営統合中止に伴う損失の計上等により72億8千2百万円(前期比5.0%減)となりました。
②財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、受取手形及び売掛金が8億9百万円減少しましたが、現金及び預金が56億3千7百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて35億5百万円増加し、893億4千万円となりました。
(固定資産)
固定資産は、投資有価証券が90億9千7百万円、建設仮勘定が23億9千3百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて133億4千4百万円増加し、1,063億8千2百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、未払費用が12億2千9百万円、短期借入金が10億6百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて34億5千6百万円増加し、462億2千2百万円となりました。
(固定負債)
固定負債は、長期借入金が14億円減少しましたが、繰延税金負債が19億2千4百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて5億3千9百万円増加し、65億4千8百万円となりました。
流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は431億1千7百万円、流動比率は193.3%となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ128億5千3百万円増加し、1,429億5千1百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の71.4%から0.4ポイント増加し71.8%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の5,789.88円から6,371.77円と581.89円増加しました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。
パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近ではタイ・韓国等における製造拠点新設や設備増強を図っています。
グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。
当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の維持や向上に繋げていく所存です。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2018年度から2020年度までの3年を計画期間とする第10次中期経営計画を策定し、最終年度となる2020年度の目標として連結売上高1,800億円、連結営業利益180億円、ROE10%を掲げておりました。
第10次中期経営計画の3年目である当連結会計年度の売上高は、原料価格下落に伴う製品価格の改定などにより、1,447億5千7百万円(前期比6.9%減)、営業利益は119億3千2百万円(前期比4.1%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経営統合中止に伴う損失の計上等により72億8千2百万円(前期比5.0%減)となり、ROEは5.4%(前期比0.6ポイント減)になりました。
2022年3月期は新型コロナウイルス感染症用のワクチン開発・接種が進み、世界経済の改善が予測されてはおりますが、原料価格動向や為替動向など予断を許さない状況が続くと予想されます。このような状況のもと、当社グループの2022年3月期の連結業績については、高付加価値製品の拡販等により、売上高1,700億円、営業利益135億円、経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円を見込んでおります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。
技術供与
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契約会社名 |
契約先 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
三洋化成工業 株式会社 (当社) |
GC Polyols Co., Ltd.(タイ) |
ウレタンフォーム・ 接着剤等用ポリオール |
1.技術情報の提供 2.製造権及び販売権の許諾 |
2017年9月8日 から別途解約 されるまで |
|
当社
|
APB株式会社 |
バイポーラ型リチウム イオン全樹脂電池 |
1.技術情報の提供 2.開発権、製造権、販売権の許諾 |
2020年3月31日 から全ての本件 特許の存続期間が満了する日まで |
合弁事業契約
|
契約会社名 |
契約先 |
内容 |
合弁会社名 |
契約締結日 |
|
当社 |
PTT Global Chemical Public Company Ltd.(タイ) 豊田通商株式会社 |
タイにおけるポリオール事業の合弁に関する契約 |
GC Polyols Co.,Ltd. |
2017年8月25日 |
|
当社 |
孫 勁鎬(韓国) |
アクルーブ生産拠点新設に伴う合弁事業契約 |
韓国三洋化成製造 株式会社 |
2018年6月13日 |
(当社と株式会社日本触媒との共同株式移転による経営統合の中止および経営統合に関する最終契約の合意解約について)
当社は、株式会社日本触媒(以下、「日本触媒」といいます。)との共同株式移転による経営統合(以下、「本経営統合」といいます。)に関し、2019年11月29日付で日本触媒との間で本経営統合に係る最終契約を締結し、2020年4月13日付で株式移転比率の見直しと本経営統合を2021年4月1日に延期することとしておりましたが、2020年10月21日開催の臨時取締役会において、本経営統合を中止することを決議し、両社の合意により本経営統合に係る最終契約を同日付で解約いたしました。
本経営統合の中止および経営統合に係る最終契約の解約については、2020年10月21日付ニュースリリース「株式会社日本触媒と三洋化成工業株式会社との共同株式移転による経営統合の中止および経営統合に関する最終契約の合意解約に関するお知らせ」をご参照ください。
(参考URL:https://www.sanyo-chemical.co.jp/archives/6620)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。
当社グループの研究開発は、事業研究第一本部、事業研究第二本部、研究業務本部、研究企画開発部、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部のエネルギー事業推進部の研究開発グループ及びプロセス開発グループ、及び連結子会社のサンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で432名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。
当連結会計年度における研究開発の成果の1つとして、当社関係会社のAPB株式会社と共同で、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」を川崎重工業株式会社の開発する自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle)に搭載し、実証試験を実施し初期性能試験に合格したことがあげられます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(1) 生活・健康産業関連分野
本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては、高吸水性樹脂「サンウェット」でヨウ素移動重合を用いて吸水性能を改良した新製品の採用が広がっていること、使用済み紙おむつなどの衛生用品の新しい回収・リサイクルシステムの構築に向けて、脱水性に優れる高吸水性樹脂を開発したこと、ふけかゆみ低減に効果的なアミノ酸系シャンプー成分を開発したこと、機能性たんぱく質「シルクエラスチン」を用いた「半月板損傷根治を目指す革新的治療技術創生研究」がAMED 産学連携医療イノベーション創出プログラムに採択されたことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は
(2) 石油・輸送機産業関連分野
本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤など自動車関連の化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、自動車エンジンオイルの国際規格「ILSAC GF-6」の正式なスタートに伴い、「ILSAC GF-6」に適合したエンジンオイル向けに開発した新規粘度指数向上剤が多数のユーザーに採用され、数千トン以上の販売に成功したこと、低泡性で潤滑性に優れた水溶性金属加工油用潤滑油基材「ユーティリオール GA-15P」を開発したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は
(3) プラスチック・繊維産業関連分野
本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス・炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、帯電防止剤「ペレクトロン」シリーズについて、高屈折率な透明ABS樹脂に対して透明性を維持できる「ぺレクトロンCA」を開発したこと、コロナ禍の中、防護服に使用される不織布用途に「ペレスタット230」や「ぺレクトロンPVL」が採用されるなど医療分野で当社永久帯電防止剤の採用が広がっていることがあげられます。また、少量添加でABS樹脂に耐薬品性を付与して塗装時の歩留まり向上や、洗剤や油接触によるクラック発生防止に繋がる樹脂改質剤「ファンクティブ」を開発し、すでに多くのお客様より引き合いを受けていることなどがあげられます。さらには、風車のブレードの強化繊維として使用されるラージトウ炭素繊維の集束剤としてケミチレンシリーズを開発したことなどがあげられます。ウレタン系合成木材「サンモジュール」シリーズにてアルミ製の検査冶具の代替や真空成型用型として使用する高硬度タイプの合成木材を上市したこと、MMAモノマー製造工程薬剤として消泡剤「ノプタム1970」を上市したことがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は
(4) 情報・電気電子産業関連分野
本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、省エネ性にすぐれる低温定着性トナーバインダーの採用が決まったこと、金型からの離型性に優れ、微細パターン成形が可能なナノインプリント用UV硬化樹脂を開発したこと、半導体関連洗浄用強塩基としてメタル顔料をppbレベルに低減したDBUの新グレードを開発したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は
(5) 環境・住設産業関連分野他
本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、植物の育成を阻害することなく農家の省力化や水資源の有効活用をはかるために開発した土壌保水剤「サンフレッシュGT-1」の採用が広がっていること、アスファルト舗装に高い耐久性を付与できる改質剤「ビスコールLM500」が採用されたことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は