第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものになります。

 当社グループは、社是『企業を通じてよりよい社会を建設しよう』のもと、顧客とともに価値ある製品を創出する「グローバルでユニークな優良企業グループ」を目指しています。また、2018年度からは、第10次中期経営計画“New Sanyo for 2027”を定め、「変える。」のスローガンのもと、業績の向上を図るとともに、従業員一人ひとりが自分らしさを大切にしながら誇りと働きがいを感じることができるよう、多様な価値観を尊重する職場環境づくりを進めてまいりました。

 第10次中期経営計画は2020年度末で期間満了となっておりましたが、直前まで株式会社日本触媒との統合検討を実施していたことも踏まえ、次期経営方針の拙速な作成は控えて2021年度1年間をかけて十分に社内議論を進めてまいりました。その議論の過程において、決められた数値目標を達成するための定型業務に励むことよりも、すべての従業員が行動変容を起こし、モチベーション高く活躍することで企業が成長していくという考えに至り、数値目標中心のイメージが強い“中期経営計画”という表現ではなく、中長期の“経営方針”として「WakuWaku Explosion 2030」を策定いたしました。

 Mission、Values及びVisionを当社グループ全員で共有し、一丸となってその実現に取り組んでまいります。

Mission

企業を通じてよりよい社会を建設しよう

Values

・すべてのステークホルダーのワクワク

・環境・社会的価値と経済価値をステークホルダーと共創

・社員一人ひとりが価値の創出に貢献

Vision

全従業員が誇りをもち、働きがいを感じるグローバルでユニークな高収益企業に成長する

<経営環境を踏まえた中長期的な経営戦略、客観的な指標等>

 激変する経営環境の中でも持続的に企業価値を向上していけるよう、当社グループの現在の事業活動を、「新たな成長軌道」、「基盤事業からの展開」、「基盤事業の見直し」の3つに再整理し、それぞれの方針を「化学の枠を超えたイノベーションで環境・社会課題の解決に貢献」、「強みを活かした事業領域の拡大、深耕による成長」、「構造改革の加速と、環境視点での事業転換」として、事業ポートフォリオの再編、強化に取り組んでまいります。その結果として2030年営業利益500億円、ROIC10%を目指してまいります。 

<対処すべき課題と具体策>

 2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、世界経済の停滞や幅広い産業分野における需要の減少が見られました。2022年度は新型コロナウイルス感染症用のワクチン開発・接種がより一層進み、世界経済の改善が予測されてはおりますが、不確実な状況が今後もしばらくの間続くと想定しています。また、環境・エネルギー問題の深刻化、一部地域における地政学リスクの高まりに起因する急激な原油高及びそれに伴う原料価格の高騰等、当社グループをとりまく経営環境は不透明感を増しています。このような経営環境の中、生産・物流等のコスト削減努力に加え、製品価格への反映等、利益確保のために必要なあらゆる策を講じてまいります。また、将来にわたって当社グループ自身が持続的な成長を遂げるべく、よりよい社会への貢献を通じて、以下の内容に重点を置いて取り組んでまいります。

①2050年CO排出ネットゼロ企業へ

 カーボンニュートラル及びサーキュラーエコノミーへの貢献として、2050年CO2排出ネットゼロ企業を目指すとともに、2030年エコ製品化率50%以上を目指します。また、昨年12月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。今後、同提言に基づいた分析を進めるとともに、適切に開示を行ってまいります。

②全ステークホルダーがワクワクする会社に

 当社グループの海外拠点や生産現場、コーポレート機能等、「あらゆる立場の多様な従業員一人ひとりが主役」との考えのもと、全員にスポットライトを当て、生産現場改革、プロフィットを産み出すためのコーポレート機能戦略、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、職場改革、DXを活用した企業改革等に関する活動方針を策定しております。また、異業種含め産業界の活性化を目指す新たなマッチングサイト(UQ chem)を創設しており、埋もれた製品・技術を活用した新しい価値の提供にも注力していく予定です。加えて、健康経営の推進、社内複業制度の拡充等を進めており、従業員が安心して働きながら達成感を味わえるような、ワクワクできる会社を目指してまいります。

③透明性のある経営の徹底

 非財務情報の開示・株主との対話の充実をはかるとともに、第三者機関を活用した取締役会の実効性評価等を通じて、透明性ある経営を徹底してまいります。なお、昨年6月、取締役の指名・報酬等に係る手続の公正性・透明性・客観性を強化し、コーポレートガバナンスの充実を図るため、任意の指名・報酬委員会を設置しております。

 当社は「ユニークでグローバルな高収益企業」を目指し、ステークホルダーの皆さまのご理解とご協力をたまわりながら、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」の実現に向けて邁進し、その結果としてステークホルダーの皆さまへの還元を充実させてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月20日)現在に当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 当該リスクへの対応として、各種社内規定を定め所轄部署が管理し、内部統制委員会の指導・監督の下、内部統制部がその運用状況を評価し、リスク軽減を図る体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

(1) 経済状況

 当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。

 従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レート

 当社グループの海外における事業展開の拡大に伴い、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が拡大しております。

 

(3) 原料価格の変動

 当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しておりますが、原油価格については中東情勢・需給バランス・為替等の様々な要因により変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の上昇は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(4) 地震等の自然災害

 当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県を含む東海地方は、東海地震の対象地域となっております。

 当社グループでは、地震対策として設備等の耐震構造の強化並びに生産拠点の複数化等の対策を実施しており、東日本大震災において大きな被害をもたらした液状化についても、順次、対策を実施しております。

 しかし、大地震が発生した場合には、様々な要因により生産・販売活動が停止するなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響をもたらす恐れがあります。

 

(5) カントリーリスク

 当社グループは、米国・タイ・中国・マレーシアに続き韓国における生産拠点を構築するなど、海外への事業展開を拡大しております。

 このようなグローバル化の進展は、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、中国において、「中華人民共和国長江保護法」等の法律に基づき、南通開発区化工園区に所在する当社グループの三大雅精細化学品(南通)有限公司、三洋化成精細化学品(南通)有限公司の2社を含む化学企業に対する移転要請があります。移転内容によっては、一時的な操業停止による機会損失や多額な工場移転費用などが発生する可能性があります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症

 当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防止するため、衛生管理や在宅勤務などの感染予防策を実施しておりますが、今後、感染の長期化や、さらに感染が拡大した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み経済活動正常化の動きが見られましたが、年末以降感染が再拡大し個人消費は一進一退の状況となりました。また、輸出は増加基調に陰りが見られ、インバウンド需要も引き続き低迷するなど依然として厳しい状況が続いています。世界経済は、中国の景気拡大に頭打ち感が見られる上、経済活動の正常化を背景に景気が回復基調にある米国・欧州もロシアによるウクライナ侵攻を受け先行き不透明な状況となりました。

化学業界におきましては、為替相場は米国の利上げ観測などにより足元で急激に円安が進み、原料価格は需要回復に対し供給が追い付かず上昇基調にあるなか、地政学リスクの顕在化により更に値上がりするなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

このような環境下における当連結会計年度の売上高は1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)となりました。利益面では、営業利益は118億6千8百万円(前期比0.5%減)、経常利益は為替差益の増加などにより127億7千1百万円(前期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<生活・健康産業関連分野>

生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールが国内外ともに売り上げを伸ばし、また製紙関連薬剤が回復したことにより、売上高は好調に推移しました。

健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が主力の中国市場においてエネルギー不足問題による急激な生産調整により一時的に販売が落ち込みましたが、その後回復基調となり売上高は横ばいとなりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は549億2千2百万円(前期比1.1%増)、営業利益は17億8百万円(前期比46.5%減)となりました。

 

<石油・輸送機産業関連分野>

石油・輸送機産業関連分野は、自動車内装表皮材用ウレタンビーズの販売が横ばいとなりましたが、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、潤滑油添加剤が好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は425億4千万円(前期比14.0%増)、営業利益は32億6千5百万円(前期比3.0%減)となりました。

 

<プラスチック・繊維産業関連分野>

プラスチック産業関連分野は、主力の永久帯電防止剤が引き続き好調に推移したことに加え、塗料コーティング用薬剤・添加剤、塗料用バインダーとして使われる樹脂改質剤も海外向けの需要が回復し、売上高は大幅に増加しました。

繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が売り上げを伸ばし、また自動車に使われる合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂、タイヤコード糸等の製造時に使用される油剤の販売が好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は254億6千6百万円(前期比22.4%増)、営業利益は33億4千6百万円(前期比23.7%増)となりました。

 

<情報・電気電子産業関連分野>

情報産業関連分野は、コロナ禍で落ち込んだオフィスでの印刷需要が回復し、重合トナー用ポリエステルビーズ、粉砕トナー用バインダーの販売がともに好調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。

電気電子産業関連分野は、半導体の需要が引き続き旺盛で、半導体用レジスト原料の販売が好調継続したことに加え、ディスプレイ用UV樹脂の販売も大幅に増加し、売上高は好調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は209億8千9百万円(前期比22.8%増)、営業利益は21億1千万円(前期比46.6%増)となりました。

<環境・住設産業関連分野他>

環境産業関連分野は、海外向け高分子凝集剤用のカチオンモノマーが売り上げを伸ばし、売上高は大幅に増加しました。

住設産業関連分野は、建築シーラント用原料および家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売がともに好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は186億7百万円(前期比22.1%増)、営業利益は14億3千7百万円(前期比17.2%増)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

22,300

11,328

△10,971

投資活動によるキャッシュ・フロー

△12,498

△11,704

794

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,146

△5,979

△1,833

現金及び現金同等物に係る換算差額

523

878

355

現金及び現金同等物の増減額

6,179

△5,475

△11,655

現金及び現金同等物の期末残高

23,647

18,171

△5,475

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し54億7千5百万円減少し、181億7千1百万円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、113億2千8百万円(前期は223億円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益107億3千4百万円、減価償却費96億6千2百万円などによる資金の増加が、売上債権の増加40億5千2百万円、棚卸資産の増加41億1百万円、法人税等の支払額29億8千4百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、117億4百万円(前期は124億9千8百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に85億9千7百万円を支出したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、59億7千9百万円(前期は41億4千6百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額36億3千4百万円、長期借入金の返済による支出14億円による資金の減少などによるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

53,634

△3.2

石油・輸送機産業関連分野

41,995

15.7

プラスチック・繊維産業関連分野

26,198

41.5

情報・電気電子産業関連分野

24,358

29.2

環境・住設産業関連分野他

18,311

24.7

合計

164,497

14.4

(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。

 

(b)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

54,922

1.1

石油・輸送機産業関連分野

42,540

14.0

プラスチック・繊維産業関連分野

25,466

22.4

情報・電気電子産業関連分野

20,989

22.8

環境・住設産業関連分野他

18,607

22.1

合計

162,526

12.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及びその総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

豊田通商㈱

13,910

9.6

14,875

9.2

豊通ケミプラス㈱

12,979

9.0

15,465

9.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ①経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、原料価格上昇に伴う製品価格改定などにより、1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前期比164億5千万円増加し、売上原価率も前連結会計年度の76.9%から78.6%へ1.7ポイント増加しました。

 販売費及び一般管理費は、前期比13億8千2百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の14.9%から14.1%へ0.8ポイント減少しました。

 研究開発費は、前期比2億6千5百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.7%から3.5%へ0.2ポイント減少しました。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業利益は、118億6千8百万円(前期比0.5%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.2%から7.3%へ0.9ポイント減少しました。

 経常利益は、為替差益の増加などにより、127億7千1百万円(前期比6.4%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となりました。

 

 ②財政状態の分析

(流動資産)

 流動資産は、現金及び預金が54億7千5百万円減少しましたが、受取手形及び売掛金が47億4百万円、商品及び製品が23億8百万円、原材料及び貯蔵品が18億1千3百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて44億2千3百万円増加し、937億6千4百万円となりました。

 

(固定資産)

 固定資産は、投資有価証券が25億2千4百万円減少しましたが、無形固定資産が16億6千3百万円、長期貸付金が10億7千4百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて4千7百万円増加し、1,064億2千9百万円となりました。

 

(流動負債)

 流動負債は、1年内返済予定の長期借入金が5億5千万円減少しましたが、買掛金が26億7千1百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて16億8千1百万円増加し、479億4百万円となりました。

 

(固定負債)

 固定負債は、長期借入金が8億5千万円、繰延税金負債が3億3千1百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて12億9千1百万円減少し、52億5千7百万円となりました。

 

 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は458億6千万円、流動比率は195.7%となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ40億8千万円増加し、1,470億3千2百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の71.8%から0.4ポイント増加し72.2%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,371.77円から6,549.60円と177.83円増加しました。

 

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。

 パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近ではタイ・韓国等における製造拠点新設や設備増強を図っています。

 グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。

 当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。

 

 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2021年度の目標として連結売上高1,700億円、連結営業利益135億円、連結経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円を掲げておりました。

 当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う製品価格改定などにより1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)、営業利益は118億6千8百万円(前期比0.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となり、ROEは4.7%(前期比0.7ポイント減)になりました。

 2023年3月期は新型コロナウイルス感染症の社会・経済活動への影響は徐々に沈静化すると期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。このような状況のもと、当社グループの2023年3月期の連結業績については、高付加価値製品の拡販等により、

売上高2,060億円、営業利益125億円、経常利益130億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を見込んでおります。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

技術供与

契約会社名

契約先

契約品目

契約内容

契約期間

三洋化成工業

株式会社

(当社)

GC Polyols Co., Ltd.(タイ)

ウレタンフォーム・

接着剤等用ポリオール

1.技術情報の提供

2.製造権及び販売権の許諾

2017年9月8日

から別途解約

されるまで

 

当社

 

APB株式会社

バイポーラ型リチウム

イオン全樹脂電池

1.技術情報の提供

2.開発権、製造権、販売権の許諾

2020年3月31日

から全ての本件

特許の存続期間が満了する日まで

 

合弁事業契約

契約会社名

契約先

内容

合弁会社名

契約締結日

当社

PTT Global Chemical Public Company Ltd.(タイ)

豊田通商株式会社

タイにおけるポリオール事業の合弁に関する契約

GC Polyols Co.,Ltd.

2017年8月25日

当社

孫 勁鎬(韓国)

アクルーブ生産拠点新設に伴う合弁事業契約

韓国三洋化成製造

株式会社

2018年6月13日

 

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、界面活性剤事業本部の研究部、高機能マテリアル事業本部の研究部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部の企画開発部とエネルギー事業推進部の研究開発グループ及びプロセス開発グループ、研究業務本部、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で397名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は5,650百万円であり、各セグメントの主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

(1) 生活・健康産業関連分野

本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては高吸水性樹脂「サンウェット」でヨウ素移動重合を用いて吸水性能を改良した新製品の採用が広がっていること、昨年度開発した脱水性に優れる高吸水性樹脂を始め、製品ライフサイクル全体におけるCO2発生量削減に向けた新たな開発が推進できたこと、ふけかゆみ低減に効果的なアミノ酸系シャンプー成分が国内外で高く評価され、採用実績が大きく伸びていること、界面活性剤の使用量を低減でき環境負荷低減に貢献する洗浄剤基剤「ミセランドシリーズ」を開発したこと、高吸水性樹脂の技術を用いてエクソソームを高精度・高収率で回収する精製法を開発したこと、機能性たんぱく質「シルクエラスチン」を用いた「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ(P47K-WAS)の検証的臨床試験」の企業治験が全国5施設にて開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,111百万円であります。

 

(2) 石油・輸送機産業関連分野

本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤など自動車関連の化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、自動車エンジンオイルの国際規格「ILSAC GF-6」に適合したエンジンオイル向けに開発した省燃費型新規粘度指数向上剤が多数のユーザーに採用され順調に販売数量を伸ばしていること、「高強度で表面形状を制御したスラッシュ成形用ウレタンビーズ『メルテックスLF』の技術確立と製品化」の業績が認められ、一般社団法人近畿化学協会より「化学技術賞」の表彰を受けたこと、また乗り心地良好な自動車シート用原料として副生物の少ない高純度かつ高分子量のPPGの拡販が進んでいることなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,133百万円であります。

 

(3) プラスチック・繊維産業関連分野

本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、酢酸エチルやイソプロパノール系などの環境対応型のインキに使用可能な帯電防止剤・顔料分散剤として、『ケミスタット3600』を開発したこと、また、ABS樹脂に耐薬品性を付与できる樹脂改質剤「ファンクティブ」シリーズについて、透明ABS樹脂に適用可能なグレードを開発したこと、紙おむつに使用される不織布用処理剤として、繰り返し透水時の耐久親水性および液残りが少なくドライ性に優れた親水化剤「ハイドロスルーシリーズ」を開発したこと、一昨年上市した高硬度タイプのウレタン系合成木材「サンモジュール」が寸法精度と切削性、重量の観点からアルミ製の検査冶具の代替や真空成型用型として需要が増え拡販が進んだこと、消泡剤ノプタムシリーズについて、GOTS(オーガニックコットン製品の国際基準)や米国FDA、中国GB9685等の食品関連法規制に適合したユニバーサル消泡剤を開発したことがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,402百万円であります。

 

(4) 情報・電気電子産業関連分野

本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、省エネ性にすぐれる低温定着性トナーバインダーの採用が決まったこと、UV硬化樹脂「ファインキュア―」シリーズについて基材密着性が高くディスプレイ用途向けの新製品を開発したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,456百万円であります。

 

(5) 環境・住設産業関連分野他

本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、カチオン基含有モノマーについて親水性やアニオン性化合物との吸着性などの機能を有したポリマーを生成できることから塗料用途で拡販が進んでいること、押出成形用セメント分散剤「レベフロー」シリーズについて少量で流動性が向上する新製品の採用が進んでいることなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は546百万円であります。