第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、2022年3月に経営方針「WakuWaku Explosion 2030」(以下、経営方針といいます)を策定しました。この経営方針の中で当社グループは、「環境と調和した循環型社会」、「健康・安心にくらせる社会」、「一人ひとりがかがやく社会」を実現するためのミッションとして、「カーボンニュートラルへの貢献」、「QOL(生活の質)の向上」、「働きがいの向上」の3つを設定し、その実行に取り組んでまいりました。また経営方針では、2030年度における「ありたい姿」として、「全従業員が誇りをもち、働きがいを感じるグローバルでユニークな高収益企業に成長する」を掲げるとともに、「ありたい姿に向けた変革」のシナリオとして「基盤事業の見直し」、「基盤事業からの展開」、「新たな成長軌道」という3つの取り組みを掲げて努力してまいりました。

 一方で、2022年度はCOVID-19による影響の長期化、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰、半導体不足による自動車減産、急激な円安など、グローバルに様々な環境変化があり、当社グループも大きな影響を受けました。その結果、「基盤事業の見直し」、「基盤事業からの展開」、「新たな成長軌道」という3つの取り組みの進捗にも若干の遅れが生じており、2023年3月期業績は期初計画未達となりました。また当社グループの業績をもう少し長いトレンドで振り返りますと、ここ数年、売上高・営業利益の伸びの鈍化やキャッシュフロー創出力の低下も明らかに読み取れます。

 そのため当社グループでは、「ありたい姿に向けた変革」を加速するため、このたび以下で説明いたしますとおり、「新中期経営計画2025-ありたい姿に向けた変革の加速-」を策定いたしました。今後は、これを着実に実行に移し、「ありたい姿」の実現を確固たるものとしてまいります。

 

<新中期経営計画2025-ありたい姿に向けた変革の加速->

 このたび当社グループでは、「ありたい姿に向けた変革」を加速し、2025年度までの収益改善に向けた具体策と「ありたい姿」の実現に向けた持続的な成長の道筋を明示するため、2023年度を起点とする3ヵ年計画として「新中期経営計画2025-ありたい姿に向けた変革の加速-」(以下、新中計といいます)を改めて策定しました。この新中計では、外部環境の変化と、これまでの変革の取り組みの進捗を検証した結果に基づき、経営方針で掲げた「2024年度:営業利益200億円」の目標を「2025年度:営業利益150億円」に修正することとしました。

 一方で、「ありたい姿」と、それに向けた変革のシナリオ(「基盤事業の見直し」、「基盤事業からの展開」、「新たな成長軌道」)は堅持しつつ、新中計においてはそれを加速するための具体策を明記しました。その全体像と詳しい内容は次項に示すとおりですが、収益改善と持続的な成長のために特に注力するのは、「高付加価値製品群(注力5製品群)へのリソース投入」、「『ものづくり大改革』によるサプライチェーン全体での効率化と収益改善」、「ウレタン事業と高吸水性樹脂(SAP)事業の構造改革」の3項目です。

 これらの実行を通じて、当社グループは2025年までに収益改善を達成し、将来にわたって持続的な成長を遂げ、「ありたい姿」の実現を確固たるものとするとともに、新たな価値創造を加速させてまいります。

 

<対処すべき課題と具体策>

 当社グループは、2025年までに収益改善を達成し、将来にわたって持続的な成長を遂げ、「ありたい姿」の実現を確固たるものとするため、以下の事項に取り組んでまいります。

(1)2023年度~2025年度の事業戦略

①基盤事業からの展開

 カーボンニュートラル(CN)及びQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群を「高付加価値製品群」として位置付け、本製品群への研究開発投資及び設備投資を加速し、収益獲得を図ります。

②基盤事業の見直し

 サプライチェーン全体の改革やウレタン事業と高吸水性樹脂(SAP)事業の構造改革を実行し、収益改善を図ります。

③グローバル展開

 海外関係会社での生産設備増強や販売機能強化による拡販を図ります。

 

 

(2)将来に向けて

①新たな成長軌道

 CN/QOLの向上に貢献する新規事業・製品開発に注力します。継続的なリソース投入、戦略的なアライアンス・M&Aを視野に入れたイノベーション創出のアクションを強化します。

②社会課題の解決

 CCU(※)の導入により将来の大幅なCO2削減を目指します。また、サプライチェーン上で想定される人権問題について積極的に対応していきます。

(※)Carbon dioxide Capture and Utilization(二酸化炭素の回収・有効利用)

③成長を支える仕組み

 人財育成と職場環境の向上に向けた取り組みを進めます。また、安全と品質を最重点に置いてマネジメントし、透明性のある経営を推進します。

 

 当社グループでは、これらの取り組みと並行して、従来から掲げている<株主還元方針>に従い、株主の皆様への還元を確実に行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、経済的価値向上と社会的価値向上を両立し、持続的な成長を目指す「サステナブル経営」をより一層強化するため、2022年7月にサステナビリティ基本方針の策定と中長期での価値創造に大きな影響を及ぼす重要課題として「マテリアリティ」の特定を行いました。今後も、従来から取り組んでいる企業変革を加速し、社是に基づいた当社グループの事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するべく、長期的な視点でのサステナブル経営を推進してまいります。

 

 当社グループはさらなる持続的成長に向けて、2030 年におけるありたい姿を定め、そのありたい姿に向けた経営方針として「WakuWaku Explosion 2030」を策定いたしました。2030年におけるありたい姿の実現に向けては、これまで築いてきた安定的な収益体制と企業風土を進化させ、マテリアリティに対応していくことで企業価値のさらなる向上を目指してまいります。今後も「ユニークでグローバルな高収益企業」を目指し、ステークホルダーのみなさまのご理解とご協力を賜りながら、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」の実現に向けて邁進してまいります。

 

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①ガバナンス

 当社グループは、取締役会による監督体制の下、気候変動など経営上のリスクとなりうる課題に関して、適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。さらに、2021年より社長を委員長とするサステナブル経営委員会を設置しています。

 サステナブル経営委員会は、当社グループが持続的に成長するためステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値をともに向上させています。

 特に気候変動への対応として、TCFD提言への対応もこの委員会で議論を進めています。この委員会で議論された重要事項は取締役会において報告されます。TCFD提言への対応もこのプロセスに従い活動を進めています。

 

 

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●サステナブル経営委員会

開催:年2回(原則)

役割:・当社グループ全体としての持続的成長のために、経済的価値、社会的価値を創出するプロセスについて検討する。

・環境・社会・ガバナンス(ESG)に関するマテリアリティについて、その解決に向けた方針や全社施策を審議・決定し、関連部署の施策に展開する。

・上記施策に関する計画、進捗、成果をレビューし、必要があれば、改善、是正等を審議・決定する。

・ステークホルダーのみならず、国連等グローバル組織とも積極的にコミュニケーションを図るため、当社グループのサステナブル経営についての情報発信拠点となる。

 

●CSR推進管理委員会

開催:年2回(原則)

役割:・二酸化炭素の排出量削減を始めとする環境負荷低減のための具体的な取り組み内容を立案・実行する体制と仕組みを構築することと、その実行をモニタリングし、必要に応じて改善策を提言する。

・社是・CSRガイドライン等の基本方針に基づき行うCSR活動の実効性確保の観点から、CSR活動の推進責任者・推進部署による各年度の推進計画の立案と実行をモニタリングし、必要に応じて改善策を提言すること及び当該基本方針(CSRガイドライン等)を、社会の要請や期待に応えるため不断に見直す。

 

②戦略

 創業以来、社是に基づき実践してきた私たちの企業活動が今後目指す姿を、2022年度に「サステナビリティ基本方針」として明文化しました。これは当社グループのサステナブル経営戦略の基礎となるもので、様々なステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させることが、企業としての持続的な成長になると考えています。

 


 サステナビリティ基本方針

三洋化成グループは、創業以来大切にしてきた社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」に

基づいて、ステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させて、将来に

わたって持続的な成長を目指します。

 

 

③リスク管理

 サステナブル経営委員会では、サステナビリティに関わるリスクと機会を的確に捉え、それらの当社グループへの経済的・社会的インパクトや対応策について議論しています。また経時的にそれらを管理・監督するため、適宜、関連部署からの報告を受け、指示を与える機能も有しています。

 

④指標及び目標

 <マテリアリティ>

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 <経営方針「WakuWaku Explosion 2030」>

 2030年のありたい姿に向けた経営方針として「WakuWaku Explosion 2030」を策定しました。同方針では、サステナブル経営における社是の実践として、「環境と調和した循環型社会」「健康・安心にくらせる社会」「一人ひとりがかがやく社会」の実現を目指しています。そのために当社グループらしく貢献できる領域として、「環境を支える~カーボンニュートラル(CN)への貢献」、「人とくらしを支える~QOL(生活の質)の向上」、「多様性を支える~働きがいの向上」の3つを掲げました。

 

 <新中期経営計画2025>

 2023年5月に、上記経営方針「WakuWaku Explosion 2030」で描いたありたい姿に強くコミットすべく、グループ全体の成長の道筋と具体策を明示した3ヵ年の新中期経営計画を策定しました。

 

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 この新中期経営計画においては、「新たな成長軌道」における積極的な取り組みとしての「CNとQOLへの貢献」について、戦略と目指す姿を具体的に示しました。当社グループとして、戦略的にCN実現とQOL向上にコミットすることにより、企業としての競争力を高めるとともに、2023年3月に新たに策定した人権方針に基づき、サプライチェーン上で想定される人権問題について積極的に対応していく等「社会課題の解決」に努め、サステナブルな社会で必要とされる企業になってまいります。

 

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(2)TCFD提言への対応

 2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明しております。本提言に賛同することで今後は気候関連のリスク、機会について、経営戦略に反映し、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、それらを財務諸表等に落とし込んで開示していき、持続的な企業価値の向上につなげてまいります。

 また、化学メーカーとしてCO2排出削減に貢献する製品の開発だけでなく、自社事業所からのCO2排出削減などを通したカーボンニュートラルへの貢献も企業としての責務です。これまで当社グループは政府が掲げる省エネ目標に基づいて、2017年度以降CO2排出量を着実に減少させてきました。今後、サステナビリティ行動計画において目標としている「2030年にCO2削減50%(2013年度比)、2050年にネットゼロ」に向けサプライチェーン全体での排出量削減も目指しながら、グループ全体で積極的に取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

 当社グループは気候変動に関する戦略、リスク管理、指標と目標の策定のためにTCFD提言に沿ったシナリオ分析から着手することにしました。当社グループの主要事業領域として、生活・健康産業関連分野、石油・輸送機産業関連分野、プラスチック・繊維産業関連分野、情報・電気電子産業関連分野、環境・住設産業関連分野等を対象とし、2021年度から着手しています。定性的なシナリオ分析を行い、結果についてサステナブル経営委員会の審議を経て、取締役会にて報告しました。今後対象範囲をグループ会社に拡大すべく準備を進めています。

 

●シナリオの考え方

 「+1.5℃」に気温上昇を抑制していくためにCO2排出を強力に抑制するシナリオ(国際エネルギー機関における長期的な見通し「Net Zero Emissions by 2050」)を参考としました。

・・・規制の強化と社会や市場の大きな変容を移行リスクの中心シナリオとして検討

 

想定される世界

脱炭素社会の実現が最優先

◆野心的な気候変動政策を実施

炭素税率大幅アップ

ICE販売中止、EV化

◆エネルギー、原料の脱炭素化

再生可能エネルギーの主流化

リサイクルによる化学品節約

バイオ、CO2原料からの化学品製造

◆自然災害は徐々に甚大化

◆カーボンニュートラル実現(2050年)

 

 今後、温暖化対策が十分に進まずに産業革命以来の気温上昇が「+4℃」となっていくシナリオについても評価と対策立案を予定しています。

 

③リスク管理

 主要な「リスク」「機会」に対する当社グループの対応策および影響度評価を下表のとおり整理しました。影響度評価については影響する金額を推定し、その大きさによって大、中、小と分類しています。

 リスクについてはシナリオを踏まえて、当社グループにおける気候変動リスクをさまざまな観点から検討しました。

 主として脱炭素化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、脱炭素に適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速や脱炭素社会に向けた革新技術の登場も検討の対象としています。

 特に事業所からのCO2排出削減としては、当社グループの排出量の多くを占める名古屋工場、鹿島工場及びSDPグループでの対策として、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:CO2回収・利用)の活用や水素等のエネルギー転換の検討を行っています。さらに個別製品のプロセス改善等を行い、CO2排出量の削減も合わせて検討しています。

 機会については当社グループの2030年のありたい姿に向けた経営方針:WakuWaku Explosion 2030で示している通り事業ポートフォリオの抜本的な見直しを含め、サステナブル経営を力強く推し進めることでCO2の排出削減に貢献します。

 

<気候変動に関する主要な「リスク」と「機会」に対する三洋化成グループの対応策>

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④指標及び目標

 「新中期経営計画2025」では、環境課題を解決するための取り組みのための種々の指標や目標を設定しています。

 1つは温室効果ガス排出量(SCOPE1,2,3)を削減する指標です。コージェネレーションや太陽光発電の導入に加え、

CCUやグリーン水素導入の取り組みを推進してまいります。

 もう1つはカーボンニュートラルに貢献する製品を拡大するための指標を設定してまいります。

 

●Scope1+Scope2:事業所からの排出

 京都議定書が発効した2005年に「京都議定書に関する活動方針」を定めるとともに、国内各事業所と温暖化対策ワーキンググループを結成し、エネルギー使用の効率化、生産プロセス改善や燃料転換などに取り組んできました。

 一方で2018年度から高付加価値製品の販売に重点を置く経営方針が打ち出され、低付加価値製品の販売をやめたことにより、特に国内の生産量は減少してきました。これにより国内生産品の生産量あたりのCO2排出原単位は減少に転じました。

 三洋化成グループでは、2030年にCO2削減50%(2013年度比)に向けて取り組みを推進してまいります。

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●カーボンニュートラルに向けたロードマップ

 GHG排出量削減策としてエネルギー転換(エネルギーマネジメント導入、太陽光発電・グリーン水素導入、コージェネ

レーション拡大)、処方改善等を進めます。さらにCCU導入により2030年にCO2削減50%(2013年度比)を目指します。

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●Scope3:サプライチェーンを通じた排出

 燃料使用等による直接排出(Scope1)、他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)に加え、サプライチェーンを通じた排出(Scope3)を算定しています。

 2021年度は、当社グループ事業所からの排出量(Scope1+Scope2)27.6万トンに対し、Scope3では235.8万トン。購入原材料にかかるCO2および当社グループ製品を使用した最終製品の廃棄にかかるCO2が、それぞれScope3全体の52%、43%を占めます。

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 当社グループ製品の販売先での使用・加工・輸送にかかるCO2は、算定に必要なデータ収集が困難であり算定していません。

 また、2022年度より、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を活用し、サプライチェーンを通じたCO2排出削減に取り組んでいます。

 

⑤今後に向けて

 引き続きTCFD提言に沿ったシナリオ分析を行い、気候変動影響の定量評価、評価対象のグループ会社への拡大を進めます。また、毎年定期的に見直し結果を取締役会に報告・審議しながらPDCAを回し、目標の設定・進捗の開示進めていきます。

 

(3)人的資本

①戦略

 社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、ありたい姿(Vision)として「全従業員が誇りをもち、働きがいを感じるグローバルでユニークな高収益企業に成長する」ことを定め、①すべてのステークホルダーのワクワク、②環境・社会的価値と経済価値をステークホルダーと共創、③従業員一人ひとりが価値の創出に貢献、の3つを大切にすること(Values)として掲げています。

 Visionの実現のため、多様な一人ひとりの新しい発想を源泉に、当社グループと全ステークホルダーの『ちから』を掛け合わせ、スピード感ある挑戦を実行し続けることで化学の枠を超えてイノベーションを起こし、「環境・社会的価値と経済価値を共創」することで、その結果として「企業価値」を高めていきます。

 このVisionに向けた変革を推進して行くために「全部署がプロフィットセンター」つまり「あらゆる立場の多様な従業員一人ひとりが主役」との考えのもと、従業員一人ひとりがワクワクできる会社を実現していくことが重要な企業活動と考え、人事理念「多様性の尊重と協働」を策定しました。これは一人ひとりが互いの個性を認め合い、個の繋がりによる相乗効果で新たな価値を創造していくことを理念としています。この理念のもと、「従業員が最も活躍できる環境を作りだすこと」を人事ポリシーとして従業員の働きがいや誇りへ繋げていきたいと考えています。具体的には能力をより活かせる等級制度、能力・役割に応じた報酬制度、公正で透明な評価制度を策定するとともに、マネジメント力強化や専門性の深化、リスキリングなど個々が求める学びを意識した人財育成を実施してまいります。

 

人事理念

多様性の尊重と協働

人事ポリシー

従業員が最も活躍できる環境を作り出す

 

<人事理念、人的資本と経営方針のつながりイメージ>

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②具体的な取り組み、指標及び目標

<人財育成>

 当社グループでは従来から「“人”中心の経営」を掲げ、従業員一人ひとりが会社とともに成長し、働きがいや幸せを実現できる会社を目指し、誰もが自主的にチャレンジができる制度を整えてきました。今後は「“人”中心の経営」をさらに深化させ、全員にスポットライトをあて、ワクワクしながら変革を推進している状態を目指し、a.「全員が活躍する」b.「リーダーが自然に育つ環境を整える」、を人財育成方針として取り組みます。

 

a.全員が活躍する

「強い個(一人ひとりが主役)」で構成される「強い組織(One Team)」が、「あらたな価値を生み出す」と考え、それぞれの施策を進めます。

●強い個

施策

内容

目標

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

全員が活躍

全社員がコースの区別なく活躍できる環境を提供するため、等級制度を現在の総合職、専任職からアソシエイト職に一本化します。

コース制度構築

区別あり

コース一本化

23年度

主体的に挑戦、主体的に学ぶ

・興味のある業務にチャレンジできる「社内複業制度」、役員へやりたいことを提案できる「本部長等奨励賞」や「チャレンジ契約制度」「社長賞・社長激励」「JET」「合宿OJT」などの制度を積極的に利用できるよう、現場の意見も取り入れながら、より使い易い制度にブラッシュアップしてまいります。

・キャリア開発研修を新設し、自分の強みや弱みを理解し、自分の価値を高める努力をし、成長し続けるキャリアを描き、いかに実践して組織に貢献していくかを考えていきます。またキャリアを描いた社員に対して、上司がどう支援していくかを考える研修も併せて実施します。

・本部(機能)間、内を問わず、積極的にローテーションを実施することで、多様で幅広い知見や経験を習得してもらいます。また、全社員の適性検査を実施し、一人ひとりの特性に基づいたローテーション(適材適所)ができるように人事データを揃えていきます。

・グローバルで活躍できる人財を育成するため、「海外留学制度」「海外実務者研修」や「語学研修」を継続して実施してまいります。

チャレンジ精神の醸成

主体的な人と受動的な人が混在

チャレンジ精神をもち成長意欲の高い人財であふれている状態

27年度

 

●強い組織

施策

内容

目標

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

組織評価

組織のパフォーマンスを最大化することを目的に、組織を評価する仕組みを導入します。各組織がありたい姿(ワクワクする姿)に向け、組織目標をたて、その組織目標に組織の全員がアクションしている状態をつくりあげていきます。

組織目標の達成率

80%以上

25年度

 

 

b.リーダーが自然に育つ環境を整える

 経営を担う、あるいは主要な事業、機能のキーポジションのリーダー候補が自然に育っている環境が理想と考えています。そのような環境をつくることを目指して、まず計画的にリーダーを育てる施策を行い、リーダーに成長していくキャリアをみて、リーダーを目指したいと自ら思い、実行する社員が増える環境をつくりたいと考えています。

 

施策

内容

目標

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

計画的なリーダー育成

人材育成開発会議を定期的に開催し、次期リーダー候補の選定と育成計画を議論することで不足している人財要件の可視化を行います。

リーダー候補者にたいして選抜研修を実施し、経営者視点で会社を見ることができ、かつ戦略を立案するスキルを習得してもらいます。

不足している人財要件を埋めるため、ローテーションを実施します。

若いうちにキャリアを描いてもらい、リーダーになるために挑戦したい人を発掘するためにキャリア研修を実施します。

リーダー候補者数

リーダー候補が不明確な状態

各ポジションのリーダー候補が充足している状態

27年度

 

<社内環境整備>

 当社グループでは、すべての従業員が自分らしさを大切にしながら、健康で、安心して働きやすい企業を目指して、働き方改革や、人財の多様化と、すべての人権や多様な価値観を尊重して受け入れ活躍してもらう職場環境の実現に向けた取り組みを進めます。

a.健康経営

 2018年に「健康経営宣言」を制定、2020年度からは、社長を筆頭に経営幹部が参画する「健康経営会議」が方針や取り組み内容の審議・決定を行うように組織をつくりました。また、決定事項に対して、各地区の従業員をメンバーとした「健康推進チーム」を発足し、地区ごとに従業員への健康経営の周知・浸透ならびに具体的施策を推進する体制を整えました。このように、会社・労働組合・健康保険組合の三位一体で、全社一丸となり健康への取り組みを推進した結果、「健康保険優良法人(ホワイト500)」に4年連続で認定されました。引き続き、社員の健康の保持・増進の取り組みを進めていきます。

 

施策

内容

目標(※)

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

健康経営

運動、睡眠、食事、飲酒、喫煙の5つの項目について各々行動目標を掲げ、それぞれを支援(健康アプリの導入、ウエラブルウオッチ購入補助、スムージー・スマートミール提供、卒煙プログラム導入など)します。

健康診断後のフォローや特定保健指導を個別に実施します。

ストレスチェックの実施および集団分析結果(ワークエンゲージメント)から必要時には組織へ個別介入し、職場環境改善指導を実施します。

私傷病休業者率

1.8%

1%以下

25年度

労働生産性損失率

38%

30%以下

25年度

ホワイト

500

認定

認定

23年度

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者であります。

 

b. DEI(Diversity, Equity&Inclusion)

●女性活躍:2017年3月、「輝く女性の活躍を推進する男性リーダーの会」の行動宣言に賛同し、女性活躍を推進しており、2022年3月、京都労働局から「えるぼし」の3つ星(最高位)認定を受けました。また、2022年1月、「イクボス企業同盟」に加盟し、女性活躍推進をさらに加速してまいります。

●LGBTQ:LGBTQに関する理解促進やインナープロモーションを進め、多様な価値観を尊重する環境づくりを進めており、「PRIDE指標2022」で「ゴールド」(最高評価)を4年連続で受賞しました。また、2020年8月、当社グループにLGBTQ当事者でLGBTQに関する啓発活動を行っているYou Tuberのかずえちゃんを仲間に加えました。社内外の啓蒙活動へ積極的に参加してもらうことを通して、当社グループ従業員のLGBTQに関する理解を促進します。

●ハンディキャップ:ハンディキャップを持っている方も、そうでない方も、同じように誇りとやりがいをもって一緒に仕事している状態を目指します。役員や各地区総務関係者に障がい者雇用理解度研修を実施し、その内容を映像配信することで、全社員の理解につなげてきました。障がい者が活躍できる職場環境を目指します。

●外国人:当社グループのグローバル化および多様化を進めるために積極的に優秀な外国人を採用してまいります。

 

施策

内容

目標(※1)

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

女性活躍

ダイバーシティ通信やNEWSを継続発行し、社内意識の醸成に努めます。また、研修(女性ネットワークセミナー、女性のためのエンパワーメント21世紀塾)や女性社外取締役サロン、育休復職者支援セミナーを通じて、女性従業員のモチベーションUPにつなげていきます。

育休制度を拡充(28日間給与支給)し、男性が育休を取得しやすい環境をつくっていきます。

女性管理職比率

4.9%

15%以上

30年度

男性育休取得率

98.2%

100%

25年度

プラチナくるみん(※2)

認定

認定

25年度

えるぼし3つ星

認定

認定

23年度

LGBTQ

当事者であるYou Tuberのかずえちゃんによる社内外への啓蒙活動を継続、ダイバーシティ通信の発行やレインボーパレードへ参加継続し、理解度を深めていきます。

PRIDE指標のGOLD

(※3)

認定

認定

23年度

ハンディキャップ

相談窓口の設定と必要な部署へ理解度研修を実施します。また、本社地区以外での活躍の場を広げていき、当社グループ全体で活躍いただける環境をつくっていきます。

障がい者雇用率

2.2%

2.7%以上

26年度

外国人

外国人留学生との接点を増やし(大学訪問、会社説明会参加など)優秀な学生をコンスタントに採用できる状態を目指します。

外国人採用数

2人

(22年度)

毎年2人以上採用

23年度

※1.対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者であります。

※2.対象は当社のみであります。

※3.対象は当社および国内関係会社であります。

 

c.風通しの良い職場環境

 安心、安全に社員がやりがいや誇りを持ち、会社に対して高い貢献意欲を持ちながら、自らの力を自発的に発揮している状態を創り出すには、役員や組織、いろんな立場の方としっかりと対話することが大切だと考えています。しっかりと対話ができる機会を提供してエンゲージメントを高めていきます。

 

施策

内容

目標(※)

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

役員との対話

役員と従業員がしっかり対話できる制度として「道場」というものがあります。これは役員が道場主として、門下生(従業員)を募り、毎月1回、6カ月~1年間の期間で対話する制度です。対話するテーマ(従業員に伝えたいこと)は道場主に一任されています。1つの道場の参加者(門下生)は6~8人で、同時に複数の道場が開催されています。2022年度は12の道場が実施されました。今後も継続実施し、役員とのエンゲージメントを高めていきます。

毎月1回、全社員向けに役員が講話する「全員朝会」も継続して実施してまいります。

エンゲージメント(ストレスチェック)

49.7

51以上

25年度

合宿OJT

事業部や部単位で、1日~2日かけて組織の夢や課題などを話し合う制度で懇親会費用や宿泊費を会社が補助しています。

サロン

部長職以上がサロンのリーダーとなり、数名の社員と対話する制度

コーヒーミーティング

組織長とコーヒーを飲みながら対話する制度

社内交流費

社内で懇親会などを開く際の補助金を支給

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者であります。

 

d.働き方改革

 2016年に、京都労働局より「働き方改革」に積極的に取り組んでいる会社として、京都府におけるベストプラクティス企業の第一号に認定されました。「全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じる企業」を目指し、より一層改革を進めるため、柔軟な働き方、業務改革、IT化・AI化の3つの切り口で働き方改革を推進しています。働き方改革を通じて生産性革命に挑む先進企業を選定する「第5回日経スマートワーク経営調査」において、4つ星に認定されました。多様な働き方を提供することで、従業員一人ひとりが誇りややりがいを感じながら成果を創出できる職場環境を目指します。

 

施策

内容

目標(※)

達成

時期

項目

現状

目標値/ありたい姿

柔軟な働き方

時間単位有給休暇制度、スーパーフレックスタイム制度、在宅勤務制度、フレキシブル休暇制度、服装の自由化

エンゲージメント(ストレスチェック)

49.7

51以上

25年度

業務革新

社外からイントラネットが利用できる仮想デスクトップサービス、Office365の導入、RPA(Robotic Process Automation)、ペーパーレス会議、BI(Business Intelligence)システム

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者であります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在に当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 当該リスクへの対応として、各種社内規定を定め所轄部署が管理し、内部統制委員会の指導・監督の下、内部統制部がその運用状況を評価し、リスク軽減を図る体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

(1) 経済状況

 当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。

 従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レート

 当社グループの海外における事業展開の拡大に伴い、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が拡大しております。

 

(3) 原料価格の変動

 当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しておりますが、原油価格については中東情勢・需給バランス・為替等の様々な要因により変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の上昇は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(4) 地震等の自然災害

 当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県を含む東海地方は、東海地震の対象地域となっております。

 当社グループでは、地震対策として設備等の耐震構造の強化並びに生産拠点の複数化等の対策を実施しており、東日本大震災において大きな被害をもたらした液状化についても、順次、対策を実施しております。

 しかし、大地震が発生した場合には、様々な要因により生産・販売活動が停止するなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響をもたらす恐れがあります。

 

(5) カントリーリスク

 当社グループは、米国・タイ・中国・マレーシアに続き韓国における生産拠点を構築するなど、海外への事業展開を拡大しております。

 このようなグローバル化の進展は、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、中国において、「中華人民共和国長江保護法」等の法律に基づき、南通開発区化工園区に所在する当社グループの三大雅精細化学品(南通)有限公司、三洋化成精細化学品(南通)有限公司の2社を含む化学企業に対する移転要請があります。移転内容によっては、一時的な操業停止による機会損失や多額な工場移転費用などが発生する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、サプライチェーンの混乱や原材料・部品の供給制約が続くなど依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米欧は金融引き締めを通じた景気減速懸念があり、中国は行動制限による景気下振れからの回復に力強さを欠いている中、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。

化学業界におきましては、為替相場は米欧の利上げなどによる急激な円安進行後、米欧の景気減速懸念や日銀の金融緩和策の修正などから一転して円高方向に推移し、また原油価格は世界的な景気減速懸念と供給不安から価格上昇下落双方の思惑が交錯し方向感のない動きになるなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

このような環境下における当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)となりました。利益面では、販売量の減少、販売費および一般管理費の増加などにより営業利益は84億5百万円(前期比29.2%減)、経常利益は99億1千8百万円(前期比22.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は56億8千4百万円(前期比15.2%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントに帰属しない新規事業にかかる研究開発費の配賦方法の見直しをしております。前年同期の数値を変更後の配賦方法で算出した数値で比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

<生活・健康産業関連分野>

生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールが中国・上海市でのロックダウンの影響により需要が減少したものの、製紙関連薬剤が堅調であったことにより、売上高は順調に推移しました。

健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が全拠点で販売数量を減らし、原料価格上昇に伴う販売価格の改定により売上高は微増となったものの営業利益は大幅に減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は570億6千8百万円(前期比3.9%増)、営業利益は1億1千3百万円(前期比94.2%減)となりました。

 

<石油・輸送機産業関連分野>

石油・輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、自動車内装表皮材用ウレタンビーズおよび潤滑油添加剤が自動車生産調整により需要が減少したものの、原料価格高騰による価格改定により売上高は増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は482億7千9百万円(前期比13.5%増)、販売量の減少などにより営業利益は29億8千8百万円(前期比20.5%減)となりました。

 

<プラスチック・繊維産業関連分野>

プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤が低調でしたが、塗料コーティング用薬剤・添加剤が海外向けに売り上げを伸ばし、好調に推移しました。

繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が順調に売り上げを伸ばし、また合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂の販売も好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は281億7千7百万円(前期比10.6%増)、販売量の減少などにより営業利益は28億3千7百万円(前期比23.6%減)となりました。

 

<情報・電気電子産業関連分野>

情報産業関連分野は、コロナ禍で落ち込んだオフィスでの印刷需要が回復し、重合トナー用ポリエステルビーズの原料、粉砕トナー用バインダーの販売がともに好調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。

電気電子産業関連分野は、半導体市場の減速に伴い、汎用レジスト用材料の需要は減少しましたが、先端レジスト用材料の感光材が売り上げを伸ばし、またアルミ電解コンデンサ用電解液も大幅に売り上げが増加したため、売上高は好調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は231億6千3百万円(前期比10.4%増)、営業利益は25億5千8百万円(前期比1.9%増)となりました。

<環境・住設産業関連分野他>

環境産業関連分野は、海外向け高分子凝集剤用のカチオンモノマーの需要が低迷しましたが、原料価格高騰による価格改定により売上高は増加しました。

住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売が巣ごもり需要の一巡により低調となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は182億8千4百万円(前期比1.7%減)、営業利益は14億8百万円(前期比11.3%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

11,328

10,852

△476

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,704

△10,172

1,531

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,979

△2,336

3,642

現金及び現金同等物に係る換算差額

878

193

△685

現金及び現金同等物の増減額

△5,475

△1,462

4,012

現金及び現金同等物の期末残高

18,171

17,042

△1,129

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し11億2千9百万円減少し、170億4千2百万円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、108億5千2百万円(前期は113億2千8百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益94億1千4百万円、減価償却費102億3千9百万円などによる資金の増加が、棚卸資産の増加43億5千1百万円、法人税等の支払額38億3千9百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、101億7千2百万円(前期は117億4百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に93億8千2百万円を支出したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、23億3千6百万円(前期は59億7千9百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額37億4千3百万円、長期借入金の返済による支出8億5千万円による資金の減少が、長期借入れによる収入21億8千8百万円による資金の増加を上回ったことなどによるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

60,549

12.9

石油・輸送機産業関連分野

44,140

5.1

プラスチック・繊維産業関連分野

28,126

7.4

情報・電気電子産業関連分野

26,031

6.9

環境・住設産業関連分野他

18,894

3.2

合計

177,742

8.1

(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。

 

(b)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

57,068

3.9

石油・輸送機産業関連分野

48,279

13.5

プラスチック・繊維産業関連分野

28,177

10.6

情報・電気電子産業関連分野

23,163

10.4

環境・住設産業関連分野他

18,284

△1.7

合計

174,973

7.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及びその総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

豊通ケミプラス㈱

15,465

9.5

17,016

9.7

豊田通商㈱

14,875

9.2

14,902

8.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ①経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前期比146億8千7百万円増加し、売上原価率も前連結会計年度の78.6%から81.4%へ2.8ポイント増加しました。

 販売費及び一般管理費は、前期比12億2千2百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の14.1%から13.8%へ0.3ポイント減少しました。

 研究開発費は、前期比4千1百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.5%から3.3%へ0.2ポイント減少しました。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業利益は、84億5百万円(前期比29.2%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.3%から4.8%へ2.5ポイント減少しました。

 経常利益は、99億1千8百万円(前期比22.3%減)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、56億8千4百万円(前期比15.2%減)となりました。

 

 ②財政状態の分析

(流動資産)

 流動資産は、現金及び預金が10億5千7百万円減少しましたが、商品及び製品が35億6千1百万円、原材料及び貯蔵品が11億1千8百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて35億6千万円増加し、973億2千4百万円となりました。

 

(固定資産)

 固定資産は、無形固定資産が26億2千8百万円増加しましたが、有形固定資産が15億9千7百万円、投資有価証券が16億9千8百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて15億7千1百万円減少し、1,048億5千7百万円となりました。

 

(流動負債)

 流動負債は、短期借入金が9億6千万円増加しましたが、1年内返済予定の長期借入金が3億7千5百万円、未払法人税等が5億7千万円、賞与引当金が3億4百万円、買掛金が2億6千8百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて9億6千6百万円減少し、469億3千8百万円となりました。

 

(固定負債)

 固定負債は、繰延税金負債が5億7千8百万円減少しましたが、長期借入金が17億5千9百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて9億9千2百万円増加し、62億4千9百万円となりました。

 

 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は503億8千6百万円、流動比率は207.3%となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ19億6千2百万円増加し、1,489億9千4百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末と変わらず72.2%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,549.60円から6,617.11円と67.51円増加しました。

 

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。

 パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近では東南アジアにおける製造拠点新設や設備増強を図っています。

 グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。

 当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。

 

 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2022年度当初の目標として連結売上高2,060億円、連結営業利益125億円、連結経常利益130億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を掲げておりました。

 当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)、営業利益は84億5百万円(前期比29.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、56億8千4百万円(前期比15.2%減)となり、ROEは3.9%(前期比0.8ポイント減)になりました。

 2024年3月期は社会・経済活動の正常化による景気回復が期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。

 このような状況のもと、当社グループの2024年3月期の連結業績については、高付加価値製品の拡販等により、売上高1,800億円、営業利益100億円、経常利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益65億円を見込んでおります。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術供与

契約会社名

契約先

契約品目

契約内容

契約期間

三洋化成工業

株式会社

(当社)

GC Polyols Co., Ltd.(タイ)

ウレタンフォーム・

接着剤等用ポリオール

1.技術情報の提供

2.製造権及び販売権の許諾

2017年9月8日

から別途解約

されるまで

 

当社

 

APB株式会社

バイポーラ型リチウム

イオン全樹脂電池

1.技術情報の提供

2.開発権、製造権、販売権の許諾

2020年3月31日

から全ての本件

特許の存続期間が満了する日まで

 

合弁事業契約

契約会社名

契約先

内容

合弁会社名

契約締結日

当社

PTT Global Chemical Public Company Ltd.(タイ)

豊田通商株式会社

タイにおけるポリオール事業の合弁に関する契約

GC Polyols Co.,Ltd.

2017年8月25日

当社

孫 勁鎬(韓国)

アクルーブ生産拠点新設に伴う合弁事業契約

韓国三洋化成製造

株式会社

2018年6月13日

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、界面活性剤事業本部の研究部、高機能マテリアル事業本部の研究部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部の企画開発部とエネルギー事業本部の研究開発グループ及びプロセス開発グループ、デジタル嗅覚事業創造部の研究開発グループ、研究業務本部、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で397名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。

当連結会計年度における研究開発の成果の1つとして、当社が連携協定を締結している宮崎県新富町にある試験研究用ビニールハウスで、当該地域の方々と協力し『ペプチド農業』の実用化を目指した検討を行った結果、季節によって差はあるものの作物の収量UPにつながるデータが取得できたことがあげられます。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は5,691百万円であり、各セグメントの主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

(1) 生活・健康産業関連分野

本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては高吸水性樹脂「サンウェット」で製品ライフサイクル全体におけるCO2発生量削減に向けて、省資源化につながる高吸収量タイプの開発を推進したこと、石化由来品と同等の吸収力を維持しながらバイオマス由来原料比率を25%まで高めることに成功したこと、バイオマス由来のポリエチレングリコール(PEG)について、海外で広く採用されているISCC Plus認証の取得の審査を完了し2023年度からの販売を目指していること、機能性タンパク質「シルクエラスチン」を用いた「半月板縫合術に対するシルクエラスチン(P47K-WAS-MR)の有効性・安全性に関する探索的治験」の医師主導治験が広島大学にて開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,599百万円であります。

 

(2) 石油・輸送機産業関連分野

本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤など自動車関連の化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、環境に優しい生分解性、潤滑性に優れる水溶性ポリアルキレングリコール系潤滑油基材「エクセビオール」を開発したこと、カーボンニュートラルの観点からウレタンフォームのケミカルリサイクルの工業化プロセスの検討に着手したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は434百万円であります。

 

(3) プラスチック・繊維産業関連分野

本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、これまで培った分散技術などの界面制御技術や高分子設計技術を活用し、木材を含む植物性バイオマスを約80%以上含有させて本革の見た目や質感を再現した柔軟なレザー調テキスタイル「Wood Leather」を開発したこと、またこの「Wood Leather」はエコでエシカルな点が認められ「ウッドデザイン賞2022奨励賞(ライフスタイルデザイン部門、技術・建材分野)」を受賞したこと、ABS樹脂に練り込むことで抗ウイルス性に加え帯電防止性も付与できる抗ウイルス剤「BARRIATEC」を開発したことがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は766百万円であります。

 

(4) 情報・電気電子産業関連分野

本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、リサイクル樹脂を原料とした環境対応型の画像形成材料の開発に着手したこと、硬くて曲がり基材密着性に優れるUV硬化樹脂である「ネオジェット FL」を開発したこと、近年の電子機器の処理速度増大に伴う電子部品からの発生熱量の効率的な放熱を促すための電子部品と冷却器とを密着させるウレタン系放熱ギャップフィラー『サーマップ』を開発したことなどがあげられます。 当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は981百万円であります。

 

(5) 環境・住設産業関連分野他

本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、肥料用薬剤について生分解性樹脂「ネオリザ®」を用い、得意とする界面制御技術により肥料成分の溶出挙動を制御する機能(徐放性)を付与した生分解性の肥料被覆材を開発したこと、土木建築用起泡剤「レベフロー」シリーズについて、微細な気泡を形成できる新製品の採用が進んでいることなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は412百万円であります。