第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」の下、2022年3月に経営方針「WakuWaku Explosion 2030」(以下、経営方針といいます)を策定し、2022年7月にはマテリアリティの特定を行いました。また、経営方針とマテリアリティに沿って、2023年度を起点とする3ヵ年計画として「新中期経営計画2025」(以下、新中期経営計画といいます)を策定しており、成長の道筋と具体策を明示しております。新中期経営計画では、経営方針で掲げた「実現したい社会」と「ありたい姿」への到達という目標を堅持し、そのために実行すべきミッションである「カーボンニュートラルへの貢献」と「QOLの向上」につながる製品群の開発・製造・販売に経営資源を重点的に投入することを表明しました。そして「基盤事業の見直し」、「基盤事業からの展開」、「新たな成長軌道」の3つの取り組みで「ありたい姿に向けた変革」を加速させ、収益力を向上させることとしておりました。

 そのような中で、2023年度は中国経済悪化の長期化、終息しないロシア・ウクライナ情勢や混乱する中東情勢によるエネルギー価格の高騰、自動車・半導体市況は回復基調にある一方での電子部品需要の低迷など、グローバルに様々な環境変化があり、当社も大きな影響を受けました。その結果、収益力の向上は想定より遅れを呈しており、新中期経営計画の初年度である2024年3月期業績は期初計画未達となりました。また当社グループの業績は、ここ数年、売上高や営業利益の伸びの鈍化や、キャッシュ・フロー創出力の低下が明らかでした。

 このような状況下において当社グループは、コモディティ化により収益が低迷していた高吸水性樹脂事業からの撤退を決定し、同事業に関わる中国の子会社については全持分譲渡の検討を、その他の地域の子会社については解散手続きを開始することとしました。同様に、低収益事業であった中国での界面活性剤等の生産事業からの撤退も決定し、関連する中国の子会社についても解散手続きを開始しています。これらの撤退により、当社グループにとっての長年の懸案事項の1つが解消され、構造改革は大きく前進したと自己評価しており、これにより収益力を向上させる環境整備が一歩進んだと考えております。

 この構造改革により当社グループの売上規模は小さくなるものの、今後はこれらの低収益事業にかけていた経営資源を、高収益の製品群(新中期経営計画に掲げる高付加価値製品群(注力5製品群))及び新規事業の開発・製造・販売にシフトします。

 こうしたポートフォリオの転換により、当社グループは小規模であっても、ユニークな機能を有する唯一無二のパフォーマンス・ケミカルスのメーカーとして、高収益企業を目指します。そして、最終的には「実現したい社会」と「ありたい姿」へ到達するため、今後は以下の事項に重点を置いて取り組んでまいります。

 

1.「ありたい姿に向けた変革」加速のシナリオ

①基盤事業の見直し

 ●社内横断プロジェクト「ものづくり大改革」によるサプライチェーン全体での効率化によるコスト低減

 ●原燃料・資材の高騰を反映した価格適正化による収益力回復

 ●海外原料の積極調達による原料コストの低減

 ●在庫低減によるキャッシュ・フローの改善

 ●他社とのアライアンス等によるウレタン事業の収益改善

②基盤事業からの展開

 ●高付加価値製品群(注力5製品群)を中心とした海外への積極拡販

 ●営業・研究一体による顧客ニーズの的確な把握と自社シーズの高度化による提案力の強化、それに基づく
  新規高収益ビジネスの創出

 ●タイに投資した高機能界面活性剤の新設備の活用による中国・東南アジアへの拡販

③新たな成長軌道

 ●QOL貢献製品の開発としての新たな治癒機構を有する創傷治癒・半月板修復材シルクエラスチン及び匂いセ
  ンサーの円滑な事業立ち上げと細胞外小胞(エクソソーム)精製キットの早期事業化

 ●カーボンニュートラル貢献製品の開発としてのペプチド農業向け新製品の販売開始、当社材料を活用した
  CCU(※)の技術確立

  (※)Carbon dioxide Capture and Utilization(二酸化炭素の回収・有効利用)

 

2.変革を支える活動

マテリアリティを中心に、持続可能な事業基盤を支えるための以下の取り組みを強化します。

①企業存立の基礎である「安全」を最優先する経営の推進

②製品ポートフォリオ変更に伴うCO2排出量削減のみならず、2050年度のカーボンニュートラルに向けたCO2排
 出削減のロードマップ策定とそれに基づく削減策として、生産現場へのCCUの導入、再生可能エネルギーの導
 入、生産工程の見直しの遂行

③働きがいの向上、人財育成と職場環境の向上のための人的資本投資として組織評価制度の導入、人財育成研
 修の強化、DEIの推進

④イノベーションの創出を支えるDXの積極推進とデジタルプラットフォームの活用

⑤重要リスクの管理の徹底と透明性のある経営の実践として、リスク管理については、人権方針に沿った取り
 組みの推進、品質ガバナンスの強化、ハラスメント防止の徹底、また、透明性のある経営については、財務/
 非財務情報の積極的な開示

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、創業以来、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を拠り所として企業活動を行ってきました。企業の社会的責任が高まる中、社是に謳った精神と価値創造との結び付きを明確化するため、2022年度にサステナビリティ基本方針を策定いたしました。

 


 サステナビリティ基本方針

三洋化成グループは、創業以来大切にしてきた社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」に

基づいて、ステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させて、将来に

わたって持続的な成長を目指します。

 

 

 当社グループはこれまで培った化学技術を元に、社会や人々の生活をもっと快適に、もっと便利にする幅広い製品を開発し、「よりよい社会の建設」に寄与してきたという自負を持っております。

 しかし、当社グループが将来に亘って持続的に価値提供を行っていくためには、様々なステークホルダーと連携しながら持続可能なサプライチェーンを構築する必要があることも強く認識しております。2023年度に実施したポートフォリオの抜本的な最適化の結果、2024年度以降は自社事業所からのCO2排出の大幅削減を見込んでおり、よりサステナビリティにフォーカスした経営を推進する体制が整いつつあります。

 また企業の持続可能性という観点でも、従来の当社グループの意思決定の仕組みや人事制度を、より透明性が高く、従業員エンゲージメントの向上にも資するものへと変えていくため、コーポレートガバナンスの実効性強化、人事組織評価の導入などを進めております。

 

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ課題に対し様々な観点から分析、対処するために、独立社外取締役によるガバナンス機能を重視しております。多彩な経験・キャリアを持つ人材(地方自治体首長/公益財団法人所長/事業会社経営など)を独立社外取締役として招聘しており、その女性比率も66.7%となります。枠に捉われることなく、あらゆるステークホルダーへの価値提供に繋がる議論が可能となっています。

 また、取締役会の監督下に、委員長を社長、事務局を経営企画本部長、委員を取締役・監査役としたサステナブル経営委員会を設置しております。会議は原則年に2回開催し、マテリアリティやTCFD提言への対応を含むサステナビリティ課題やステークホルダーとの連携に関する審議、並びに進捗状況の確認を行っており、適宜、取締役会への提案・報告も行っています。

 2023年度の同委員会での主な議題は、以下の通りです。

●経済的価値の向上の取り組み (資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応など含む)

●非財務情報の開示手法

●人的資本の方針とKPIの策定

●気候変動への取り組み

 その他にもサステナビリティ活動を全社一丸となって推進するため、取締役の中からサステナビリティ担当役員を指名しております。同取締役は、常にグループ全体のサステナビリティ活動の実効性や実態をモニターし、不十分な場合は軌道修正を求めたり、進捗状況についても適宜、対外開示を行ったりなど、社内外に対し機動的に働きかける役割を担っております。

 

サステナビリティに関する取り組みを推進する体制は以下の通りです。

 

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●サステナブル経営委員会

開催:年2回(原則)

役割:・当社グループ全体としての持続的成長のために、経済的価値、社会的価値を創出するプロセスについて検討する。

・環境・社会・ガバナンス(ESG)に関するマテリアリティについて、その解決に向けた方針や全社施策を審議・決定し、関連部署の施策に展開する。

・上記施策に関する計画、進捗、成果をレビューし、必要があれば、改善、是正等を審議・決定する。

・ステークホルダーのみならず、国連等グローバル組織とも積極的にコミュニケーションを図るため、当社グループのサステナブル経営についての情報発信拠点となる。

 

●CSR推進管理委員会

 

開催:年2回(原則)

役割:・二酸化炭素の排出量削減を始めとする環境負荷低減のための具体的な取り組み内容を立案・実行する体制と仕組みを構築することと、その実行をモニタリングし、必要に応じて改善策を提言する。

・社是・CSRガイドライン等の基本方針に基づき行うCSR活動の実効性確保の観点から、CSR活動の推進責任者・推進部署による各年度の推進計画の立案と実行をモニタリングし、必要に応じて改善策を提言すること及び当該基本方針(CSRガイドライン等)を、社会の要請や期待に応えるため不断に見直す。

 

②戦略

 当社グループは、社是で示す通り「企業を通じてよりよい社会を建設する」ことをミッションとしています。2030年のありたい姿に向けた経営方針として策定した「WakuWaku Explosion 2030」では、社是の実践として「環境と調和した循環型社会」「健康・安心にくらせる社会」「一人ひとりがかがやく社会」を掲げています。

 サステナブル経営はそのような社会の実現を目指しており、グループ全体での価値創造を通じた「カーボンニュートラルへの貢献」と「QOLの向上」を戦略の中心に据えています。

 

③リスク管理

 サステナビリティに関わるリスクについては、上記サステナブル経営委員会の主要課題として取り上げ、当社グループへの経済的・社会的インパクトや対応策について議論しています。同委員会では、経時的にリスクを管理・監督し、適宜、関連部署からの報告を受けたり、指示を与えるなども行っています。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、マテリアリティを「三洋化成グループの中長期での価値創造に大きな影響を及ぼす重要課題」と定義しています。すべてのステークホルダーの価値創造のため、中長期テーマを特定して優先的に取り組むことが価値創造への最短距離と考え、以下1-4のプロセスをたどってマテリアリティを特定しました。

 

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 上記ステップに基づいて、特定したのが以下の6つのマテリアリティです。「すべてのステークホルダーのワクワク」「環境・社会的価値と経済価値をステークホルダーと共創」「社員一人ひとりが価値の創出に貢献」を実現しながら、 これらの課題に取り組みます。

 

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(2)TCFD提言への対応

 2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明しております。気候関連のリスクと機会については、関連する財務指標に与える影響度を評価し、経営戦略に反映のうえ持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上につなげてまいります。

 また、化学メーカーとしてCO2排出削減に貢献する製品の開発だけでなく、自社事業所からのCO2排出削減などを通したカーボンニュートラルへの貢献も企業としての責務です。これまで当社グループは政府が掲げる省エネ目標に基づいて、2017年度以降CO2排出量を着実に減少させてきました。今後も、サステナビリティ行動計画において目標としている「2030年にCO2削減50%(2013年度比)、2050年にネットゼロ」に向けサプライチェーン全体での排出量削減も目指しながら、グループ全体で積極的に取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

 当社グループは気候変動に関する戦略、リスク管理、指標と目標の策定にあたり、主要事業領域である生活・健康産業関連分野、石油・輸送機産業関連分野、プラスチック・繊維産業関連分野、情報・電気電子産業関連分野、環境・住設産業関連分野等を対象としてTCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施し、事業リスクと機会の選定、重要性評価を行いました。また、2023年度は脱炭素社会への移行が実現する1.5℃シナリオに加え、全世界的に脱炭素が進展せず気候変動が進行した4.0℃シナリオについても定性的な分析を行い、結果についてサステナブル経営委員会にて審議・決定いたしました。

 

●シナリオの考え方

1.5℃シナリオ

「+1.5℃」に気温上昇を抑制していくためにCO2排出を強力に抑制するシナリオ

(国際エネルギー機関における長期的な見通し「Net Zero Emissions by 2050」)を参考としました。

 

4.0℃シナリオ

産業革命以前と比較し、21世紀末に世界の平均気温が4℃上昇する気候変動が進行した成り行きシナリオ

(気候変動に関する政府間パネル 第6次統合報告書(IPCC AR6)「SSP3-7.0」)を参考としました。

 

想定される世界

1.5℃シナリオで想定される世界

●脱炭素社会の実現が最優先、野心的な気候変動政策を実施

・炭素税率の大幅アップ

・内燃機関エンジン(ICE)販売の禁止、電気自動車(EV)化、エネ
 ルギー・原料の脱炭素化

・再生可能エネルギーの主流化

・リサイクルによる化学品節約

・バイオマス、CO原料からの化学品製造

・自然災害は徐々に甚大化

・カーボンニュートラルの実現(2050年)

4.0℃シナリオで想定される世界

●経済活動優先で脱炭素移行は消極的、現時点での気候変動政策のみ実施

・化石エネルギー、原料の需要拡大

・異常気象による自然災害が激甚化

・CO2排出量の大幅な増加

 

 

③リスク管理

 主要な「リスク」「機会」に対する当社グループの対応策および影響度評価を下表のとおり整理しました。影響度評価については影響する金額を推定し、その大小によって大、中、小と分類しています。リスクについてはシナリオを踏まえて、当社グループにおける気候変動リスクをさまざまな観点から検討しました。

 主として脱炭素化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、脱炭素に適した素材への需要シフトをリスクとして想定しています。さらに、循環型経済への移行加速や脱炭素社会に向けた革新技術の登場も検討の対象としています。

 特に事業所からのCO2排出削減としては、当社グループの排出量の多くを占める名古屋工場、鹿島工場での対策として、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:CO2回収・利用)の活用や水素等のエネルギー転換の検討を行っています。さらに個別製品のプロセス改善等を行い、CO2排出量の削減も合わせて検討しています。

 機会については当社の2030年のありたい姿に向けた経営方針:WakuWaku Explosion 2030で示している通り事業ポートフォリオの抜本的な見直しを含め、サステナブル経営を力強く推し進めることでCO2の排出削減に貢献します。

 

<気候変動に関する主要な「リスク」と「機会」に対する三洋化成グループの対応策>

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④指標及び目標

 環境課題を解決するための取り組みとしては、「新中期経営計画2025」の中で、種々の指標や目標を設定しています。

 1つは温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)を削減する指標です。コージェネレーションや太陽光発電の導入に加え、CCUやグリーン水素導入の取り組みを推進していきます。

 もう1つはカーボンニュートラルに貢献する製品を拡大するための指標を設定していきます。

 

●Scope1+Scope2:事業所からの排出

 京都議定書が発効した2005年に「京都議定書に関する活動方針」を定めるとともに、国内各事業所と温暖化対策ワーキンググループを結成し、エネルギー使用の効率化、生産プロセス改善や燃料転換などに取り組んできました。

 一方で2018年度から高付加価値製品の販売に重点を置く経営方針が打ち出され、低付加価値製品の販売をやめたことにより、特に国内の生産量は減少してきました。これにより国内生産品の生産量あたりのCO2排出原単位は減少に転じました。また、2023年度に高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退を決断し、結果として事業ポートフォリオが大きく変わったことにより2024年度以降の自社事業所からのCO2排出量を大幅に削減できる見通しとなり、「2030年度CO2排出量50%削減(2013年度比)」を前倒しで達成できる見込みです。当社グループは引き続き、「2050年ネットゼロ」実現に向けて取り組みを推進してまいります。

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●カーボンニュートラルに向けたロードマップ

 GHG排出量削減策としてエネルギー転換(エネルギーマネジメント導入、太陽光発電・グリーン水素導入、コージェネ

レーション拡大)、製造プロセスの見直しを進めます。さらにCCU導入により「2050年ネットゼロ」実現を目指します。

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●Scope3:サプライチェーンを通じた排出

 燃料使用等による直接排出(Scope1)、他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)に加え、サプライチェーンを通じた排出(Scope3)を算定しています。

 2022年度は、当社事業所からの排出量(Scope1+Scope2)25.5万トンに対し、Scope3では251.3万トン。購入原材料にかかるCO2および当社製品を使用した最終製品の廃棄にかかるCO2が、それぞれScope3全体の58%、38%を占めます。

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 当社製品の販売先での使用・加工・輸送にかかるCO2は、算定に必要なデータ収集が困難であり算定していません。

  また、2022年度より、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を活用し、サプライチェーンを通じたCO2排出削減に取り組んでいます。

 

⑤今後に向けて

 当社グループは社是に基づいた事業活動を通じて、自社のカーボンニュートラルにとどまらず、持続可能な社内の実現に向け貢献してまいります。

 

(3)人的資本

①戦略

 社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、ありたい姿(Vision)に向けた変革を推進していくために、人事理念を「多様性の尊重と協働」としました。この人事理念のもと、「従業員が最も活躍できる環境を作り出すこと」を人事ポリシーとして従業員の働きがいや誇りへ繋げていきたいと考えています。具体的には能力をより活かせる等級制度、能力・役割に応じた報酬制度、公正で透明な評価制度を策定するとともに、マネジメント力強化や専門性の深化、リスキリングなど個々が求める学びを意識した人財育成を実施してまいります。

 

人事理念

多様性の尊重と協働

人事ポリシー

従業員が最も活躍できる環境を作り出す

 

<人事理念、人的資本と経営方針のつながりイメージ>

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 当社グループでは「あらゆる立場の多様な従業員一人ひとりが主役」という考えのもと、全員にスポットライトを当て、従業員一人ひとりが輝き、また達成感を味わえるような会社を目指していきます。その思想を表明するスローガンとして『全部署がプロフィットセンター』を策定しました。従業員一人ひとりがワクワクできる会社を実現していくことが、ありたい姿に向けた変革を支える重要な活動と考えています。

 当社グループは常に新たな目標に向かい、グローバルスタッフを含めた従業員一人ひとりの働きがいを大切にしながら、すべてのステークホルダーとともに“ワクワクする未来”に向かって挑戦していきます。

 

②具体的な取り組み、指標及び目標

<人財育成>

 当社グループでは従来から「“人”中心の経営」を掲げ、従業員一人ひとりが会社とともに成長し、働きがいや幸せを実現できる会社を目指し、誰もが自主的にチャレンジができる制度を整えてきました。今後は「“人”中心の経営」をさらに深化させ、全員にスポットライトをあて、ワクワクしながら変革を推進している状態を目指し、a.「全員が活躍する」b.「リーダーが自然に育つ環境を整える」、を人財育成方針として取り組みます。

 

全員が活躍する

 2023年度は等級制度を一本化し、全員が活躍できる土台を作りました。また、キャリア開発研修を新設し、自身のキャリアを描くことでキャリアオーナーシップを醸成するとともに、キャリアの実現に向け上司が支援する仕組みをつくり実施しました。

施策

目標

達成目標年度

全員が活躍

全社員がコースの区別なく活躍できる環境を提供するため、等級制度を現在の総合職、専任職からアソシエイト職に一本化します。

コース一本化

2023年度達成

主体的に挑戦、主体的に学ぶ

●興味のある業務にチャレンジできる「社内複業制度」、役員へやりたいことを提案できる「本部長等奨励賞」、「社長賞」「JET」「合宿OJT」等の制度を積極的に利用できるよう、現場の意見も取り入れながら、より使い易い制度にブラッシュアップします。

●キャリア開発研修を継続実施し、自分の強みや弱みを理解し、自分の価値を高める努力をし、成長し続けるキャリアを描けるよう支援します。また、描いたキャリアを実現できるように、社内の制度を検討します。

●本部(機能)間・内を問わず、積極的にローテーションを実施することで、多様で幅広い知見や経験を習得する機会を提供します。また、全従業員の適性検査を実施し、一人ひとりの特性に基づいたローテーション(適材適所)ができるように人事データを揃えていきます。

●グローバルに活躍できる人財を育成するため、「海外留学制度」「海外実務者研修」や「語学研修」を継続して実施します。

チャレンジ精神を持ち成長意欲の高い人財であふれている状態

2027年度

組織評価

組織のパフォーマンスを最大化することを目的に、組織を評価する仕組みを導入し、2024年度から実施します。各組織がありたい姿(ワクワクする姿)に向け、組織目標をたて、その組織目標に組織の全員がアクションしている状態をつくりあげていきます。結果として「組織目標の達成率:80%以上」を目指します。

組織目標の達成率80%以上

2025年度

 

 

リーダーが自然に育つ環境を整える

 経営を担う、あるいは主要な事業、機能のキーポジションの候補が自然に育っている理想的な環境をつくることを目指して、まず計画的にリーダーを育てる施策を行い、次に、リーダーに成長していくキャリアをみて、リーダーを目指したいと自ら思い、実践する従業員が増える環境をつくっていきます。

施策

目標

 

達成目標年度

計画的なリーダー育成

●人材育成開発会議を定期的に開催し、次期リーダー候補の選定と育成
 計画を議論することで不足している人財要件の可視化を行います。

●2023年度はリーダー候補者に対して第1回目の選抜研修を実施しまし
 た。研修受講者には、本人の意思も確認しながらローテーション等を
 実施するなど、個別に育成計画を立て、実行していく予定です。選抜
 研修は継続実施していきます。

●不足している人材要件を埋めるため、ローテーションを実施します。

●キャリア開発研修を継続的に実施し、若いうちにキャリアを描き、リ
 ーダーになるために挑戦したい人を発掘します。

各ポジションのリーダー候補が充足している状態

2027年度

 

<社内環境整備>

 当社グループでは、すべての従業員が自分らしさを大切にしながら、健康で、安心して働きやすい企業を目指して、働き方改革や、人財の多様化と、すべての人権や多様な価値観を尊重して受け入れ活躍できる職場環境の実現に向けた取り組みを進めます。

健康経営

 2018年に「健康経営宣言」を制定、2020年度より、社長を筆頭に経営幹部が参画する「健康経営会議」が方針や取り組み内容の審議・決定を行い、各地区の従業員をメンバーとした「健康推進チーム」が地区ごとに従業員への健康経営の周知・浸透ならびに具体的施策を推進する体制とし、会社・労働組合・健康保険組合の三位一体で、全社一丸となり健康への取り組みを推進しています。その結果、「健康経営優良法人」に6年連続、「ホワイト500」に4年連続で認定されました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

●運動、睡眠、食事、飲酒、喫煙の5つの項目について各行動目標(健
 康アプリの導入、ウエアラブルウォッチ購入補助、スマートミール提
 供、卒煙プログラム導入など)を掲げ、それぞれを支援しました。 2024年度は「適正飲酒」を重点テーマとして取り組みます。

●健康診断後のフォローや特定保健指導を個別に実施します。

●ストレスチェックの実施および集団分析結果(ワークエンゲージメン
 ト)から必要時には組織へ個別介入し、職場環境改善指導を実施しま
 す。

私傷病休業者率

1%以下

1.3%

2025年度

労働生産性損失率

30%以下

36%

2025年度

ホワイト500認定

認定

2024年度

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

DEI(Diversity, Equity&Inclusion)

 2014年に女性活躍推進担当と相談窓口を設置し、女性活躍推進法のもと継続就業支援から活躍推進へと軸足を移し、様々な取り組みを加速させています。2018年からは女性に限らずLGBTQをはじめとした社内のマイノリティ全般の活躍支援をより一層加速させ、「D&I AWARD」では、2年連続最高位の「ベストワークプレイス」に認定されています。

施策

目標(※1)

現状

達成目標年度

女性活躍

●2017年3月に「輝く女性の活躍を推進する男性リーダーの会」の行動宣言に賛同し、女性活躍を推進しています。2017年8月には「プラチナくるみん」、2022年3月には「えるぼし」の3つ星(最高位)認定を受けました。また、2022年1月に「イクボス企業同盟」に加盟し、女性活躍推進をさらに加速させています。

●出産した女性従業員およびパートナーや上司を対象とした仕事と育児の両立支援セミナーは、子が誕生した男性従業員と上司にも対象を拡大し動画配信を実施しました。

●育休制度も拡充(28日間給与支給)し、男性が育休を取得しやすい環境をつくっています。

●社内向けダイバーシティNEWSを継続発行し、社内の意識醸成に努めるとともに、DEIアンケート調査や研修(女性のためのエンパワーメント21世紀塾)、他社交流、女性社外取締役サロン、育休復職者両立支援セミナー等を通じて、女性従業員の意識改革やモチベーションアップに繋げていきます。

女性管理職比率

15以上

4.9%

2030年度

男性育休取得率

100%(※2)

92.4%

2025年度

プラチナくるみん

認定(※3)

認定

2025年度

えるぼし3つ星

認定

認定

2024年度

LGBTQ

LGBTQに関する理解促進やインナープロモーションを推進し、多様な価値観を尊重する環境づくりを進めており、「PRIDE指標2023」では「ゴールド」(最高評価)を5年連続で受賞しました。2020年8月には、当社グループにLGBTQ当事者でLGBTQに関する啓発活動を行っているYouTuberのかずえちゃんを仲間に加え、社内外の啓発活動へ積極的に参加してもらうことを通して、当社従業員のLGBTQに関する理解を促進しています。2023年度は国内各事業所で、かずえちゃんによる少人数サロンやオンライン講座の配信を実施し、LGBTQのみならずSOGI(性的指向・性自認)の概念も含めた理解を深める取り組みをしました。社内向けダイバーシティNEWSの発行やレインボーパレードへの参加を継続し、さらなる多様なセクシャリティへの理解を深めていきます。

PRIDE指標のGOLD

認定(※4)

認定

2024年度

障がいのある従業員

障がいの有無にかかわらず、誇りとやりがいをもって一緒に仕事をしている状態を目指します。2023年度はワークサポート相談窓口を開設しました。また、新たに採用した部署には事前に理解研修および入社後の定期フォロー面談を実施し、国内各事業所で安心して活躍できる環境をつくりました。障がい者雇用率は、2024年3月時点2.6%となっています。

障がい者雇用率

2.7以上

2.6%

2026年度

外国籍従業員

当社グループでのグローバル化および多様化を進めるため、国籍を問わず積極的に優秀な人財を採用してまいります。2023年度は3人の外国籍の方を採用しました。

外国籍従業員採用数

毎年2人以上採用

3人

(2023年度)

2024年度

※1.対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

※2.女性活躍推進法の定義にかかわらず、子供が生まれた従業員全員が育児休業を取得することを目指します。

※3.対象は当社のみです。

※4.対象は当社および国内関係会社です。

 

従業員エンゲージメントの向上

 従業員がやりがいや誇りを持ち、会社に対して高い貢献意欲を持ちながら、自らの力を自発的に発揮している状態を創り出すため、役員をはじめ組織のさまざまな立場の方としっかりと対話することが大切だと考えています。しっかりと対話ができる機会を設け、エンプロイエンゲージメントを高めていきます。しかしながら、2年連続でエンプロイエンゲージメントが低下しており、その原因究明と対策を検討し、効果のある施策を実施していきます。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

役員との対話

●「道場」とは役員が道場主として、門下生(従業員)を募り、毎月1回、6カ月~1年間の期間で対話する制度です。1つの道場の参加者(門下生)は約10人で、対話するテーマ(従業員に伝えたいこと)は道場主に一任されています。2023年度は12の道場が実施し、今後も継続します。

●毎月1回、全従業員向けに役員が講話する「全員朝会」を継続して実施します。

エンプロイエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

45.1

2025年度

合宿OJT

事業部や部単位で、1~2日かけて組織の夢や課題などを話し合う制度です。

サロン

部長職以上がサロンのリーダーとなり、数名の従業員と対話する制度

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

働き方改革

 柔軟な働き方、業務改革、IT化・AI化の3つの切り口で働き方改革を推進しています。多様な働き方を提供することで、従業員一人ひとりが誇りややりがいを感じながら成果を創出できる職場環境を目指します。働き方改革を通じて生産性革命に挑む先進企業を選定する「第7回日経スマートワーク経営調査(2024)」において、3.5星に認定されました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

柔軟な働き方

時間単位有給休暇制度、スーパーフレックスタイム制度、在宅勤務制度、フレキシブル休職制度、介護支援制度、服装の自由化

ワークエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

49.6

2025年度

業務革新

社外からイントラネットが利用できる仮想デスクトップサービスの導入、決まった作業を自動化・効率化できるRPA(Robotic Process Automation)の活用、社内情報を効率的に活用できるBI(Business Intelligence)システムの導入

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

 

(4)人権問題への取り組み

 三洋化成グループは、一人ひとりの人権を理解し、個性や価値観を認める土台があってこそ、多様な人財の活躍につながると考えています。また、世界のさまざまな地域で事業活動を進めていくためには、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みが求められています。こうした考えのもと、2023年3月に当社グループ「人権方針」を策定しました。今後は、社内外における人権リスク低減のために積極的に情報開示し、人権デュー・ディリジェンスや救済の仕組み構築などの取り組みを進めます。

三洋化成グループの人権方針のリンク

https://www.sanyo-chemical.co.jp/sustainability/social/human-rights/

 

サプライチェーン上で想定される人権問題

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<サプライチェーンにおける人権配慮>

 サプライヤーを対象として、2022年1月に改定した「サステナブル調達ガイドライン」にサプライチェーンにおける人権配慮を明記し、周知を図りました。事業活動を通じて直接的、間接的にかかわらず人権侵害への加担や助長につながることに関わらないように活動していきます。原料調達においては、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に詳述されている手順に従うよう努めます。当社は2022年から国連グローバル・コンパクト「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」に基づくサプライヤーアンケートを実施し、重大な人権問題の把握に取り組んでいます。

 

 

アンケートの対象

回答数

2022年度

主要原料のサプライヤー

14社

14社

2023年度

界面活性剤製品の主原料である油脂原料のサプライヤーと代理店

67社

51社

 2023年度のアンケート結果から、4社に人権問題の取り組みに対する課題がありました。あらためて当社の調達ガイドラインの説明を行う等、サプライチェーン全体での人権尊重の理解促進と実践を進め、1年後にフォローアップを実施し、人権問題リスクの低減を図ります。2024年度は、無機原料のサプライヤーを対象に調査を実施します。

 

<予防策と軽減策>

 三洋化成グループは、思想、信条、年齢、社会的身分、国籍、出身、民族、宗教、移民、性別、性的指向、性自認、妊娠、貧困、疫病及び障害の有無等の理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為は行いません。また、それらの理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為に苦しむ社会的弱者が抱える課題の把握に努め、行政や自治体、社会福祉団体等の多様なステークホルダーと連携し、その支援に協力することを宣言しています。

 

<是正・救済処置>

 人権侵害が経営上のリスクとなることを十分に認識し、人権侵害を予防し、万一人権侵害があった場合は、これに公正・適切に対応し、児童労働や強制労働には反対するだけでなく、それらによって製造されたと思われる原材料等は使用しません。また、匿名で通報可能な社内従事者用の通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱い、必要な処置を講じます。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。

●内部通報窓口

 社内の通報窓口は、通報者が特定されることのないよう、通報者の保護に十分配慮しなければならないことを規定に定め、運用しています。内部通報窓口の運用状況は、コンプライアンス委員会に報告しています。

●セクハラ・マタハラ・LGBTQ相談窓口

 従業員からのあらゆる相談を受け付けるため、社内外にハラスメントやLGBTQに関する相談窓口を設置しています。

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<人権教育・啓発>

 当社グループは「人権方針」に関する正しい理解が社内外に浸透し、効果的に実行されるよう、適切な教育を継続的に行うことを、本方針の中で明示しています。

 

DEIに関わる2023年度の教育

項目

教育・研修名

対象者

講師

参加人数

(人)

研修時間

(時間)

DEI推進

4社協同企画講演会「世代間ギャップから考えるエイジダイバーシティ」

役員・従業員

社外有識者

165

330

性別

社外公募制研修「女性のためのエンパワーメント21世紀塾」

従業員(女性・主にリーダー職)

社外有識者

2

79

社内公募制研修「女性ネットワークセミナー」

従業員(女性)

社外有識者

9

180

女性社外取締役サロン

従業員

当社社外取締役

57

85.5

育休復職者向け「仕事と育児」両立支援セミナー

子が誕生した従業員と上司、社内外パートナー(任意)

社外有識者

121

184

阪大スタイル産学共創教育事業 育成プログラム

従業員(女性・プログラム内容に適する者)

社外有識者

5

114

LGBTQ

LGBTQ当事者によるサロン

従業員

ダイバーシティ推進部

74

74

オンラインミニ講座 SOGI(性的指向、性自認)

役員・従業員

ダイバーシティ推進部

427

170.8

障がい

障がい者雇用理解推進研修(受け入れ部署向け)

従業員

社外有識者

<算出中>

36+録画

<算出中>

オンラインミニ講座 障がい者雇用

役員・従業員

ダイバーシティ推進部

893

357.2

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在に当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 当該リスクへの対応として、各種社内規定を定め所轄部署が管理し、内部統制委員会の指導・監督の下、監査室がその運用状況を評価し、リスク軽減を図る体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

(1) 経済状況

 当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。

 従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レート

 当社グループの海外における事業展開の拡大に伴い、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が拡大しております。

 

(3) 原料価格の変動

 当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しておりますが、原油価格については中東情勢・需給バランス・為替等の様々な要因により変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の上昇は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(4) 地震等の自然災害

 当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県を含む東海地方は、東海地震の対象地域となっております。

 当社グループでは、地震対策として設備等の耐震構造の強化並びに生産拠点の複数化等の対策を実施しており、東日本大震災において大きな被害をもたらした液状化についても、順次、対策を実施しております。

 しかし、大地震が発生した場合には、様々な要因により生産・販売活動が停止するなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響をもたらす恐れがあります。

 

(5) カントリーリスク

 当社グループは、米国・タイ・中国・マレーシアに続き韓国における生産拠点を構築するなど、海外への事業展開を拡大しております。

 このようなグローバル化の進展は、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、経済活動は正常化に向かい、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、世界的な設備投資意欲の減退など依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米国景気は底堅い一方、欧州は景気減速傾向にあり、また中国は輸出の低迷や不動産市況悪化の影響等により景気回復が遅れております。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢の悪化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。

化学業界におきましては、為替相場は、米国のインフレ率の鈍化や日銀による金融政策正常化への期待の高まりなどから円が反発する場面もありましたが、年間を通して米欧の長期的な金融引き締め観測から円安方向に推移しておりました。原油価格は世界的な景気の鈍化はあるものの中東情勢の緊迫化を背景に上昇基調を示しており、また中国の内需不振に加え中国製品の供給過剰により日本およびアジアマーケットにおける価格競争が激化するなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

このような環境下における当連結会計年度の売上高は、販売量の減少などにより1,595億1千万円(前期比8.8%減)となりました。利益面では、販売量の減少や新基幹システム稼働に伴う減価償却費の増加などにより営業利益は48億8千6百万円(前期比39.8%減)、経常利益は81億8千6百万円(前期比17.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は子会社における減損損失の計上や高吸水性樹脂事業及び中国における生産事業からの撤退に係る損失(事業構造改革費用)の計上などにより85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<生活・健康産業関連分野>

生活産業関連分野は、液体洗濯洗剤用界面活性剤及びポリエチレングリコールが国内外ともに市況が低迷し需要が減少したため、売上高は減少しました。

健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が日本及びアジアで販売数量が減少し、売上高は大幅に減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は458億9千5百万円(前期比19.6%減)、営業損失は14億2千1百万円(前期は2千3百万円の利益)となりました。

 

<石油・輸送機産業関連分野>

石油・輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料が海外安価品の流入により低調でしたが、潤滑油添加剤、自動車内装表皮材用ウレタンビーズが好調に推移したため、売上高は順調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は504億7千9百万円(前期比4.6%増)、営業利益は28億1千9百万円(前期比4.0%減)となりました。

 

<プラスチック・繊維産業関連分野>

プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤が電子部品需要低迷のため低調となり、塗料コーティング用薬剤・添加剤も需要が減少し売上高は減少しました。

繊維産業関連分野は、風力発電用風車向けの炭素繊維用薬剤が低調に推移し、またタイヤコード糸等の製造時に使用される油剤の需要回復が遅れており、売上高は低調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は252億3千5百万円(前期比10.4%減)、営業利益は23億6千7百万円(前期比14.9%減)となりました。

 

<情報・電気電子産業関連分野>

情報産業関連分野は、トナー関連材料の需要が減少したものの、原料価格高騰等による価格改定により売上高は横ばいとなりました。

電気電子産業関連分野は、半導体市場の回復により関連材料の売り上げが増加しましたが、アルミ電解コンデンサ用電解液が民生用の不調により、低調に推移し売上高は減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は228億7千万円(前期比1.3%減)、営業利益は18億3千1百万円(前期比27.0%減)となりました。

<環境・住設産業関連分野他>

環境産業関連分野は、高分子凝集剤用のカチオンモノマーの需要が低迷したため、売上高は低調に推移しました。

住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料及び建築シーラント用原料の販売が減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は150億3千万円(前期比17.8%減)、営業利益は5億3千9百万円(前期比60.7%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

10,852

19,814

8,962

投資活動によるキャッシュ・フロー

△10,172

△6,264

3,908

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,336

△4,006

△1,669

現金及び現金同等物に係る換算差額

193

601

408

現金及び現金同等物の増減額

△1,462

10,145

11,608

現金及び現金同等物の期末残高

17,042

27,188

10,145

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し101億4千5百万円増加し、271億8千8百万円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、198億1千4百万円(前期は108億5千2百万円の増加)となりました。これは、事業構造改革費用120億5千9百万円、減価償却費108億2千8百万円、仕入債務の増加34億1千6百万円、売上債権の減少12億8千8百万円、在庫削減努力による棚卸資産の減少12億8千1百万円などによる資金の増加が、税金等調整前当期純損失73億4千6百万円、法人税等の支払額26億6千8百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、62億6千4百万円(前期は101億7千2百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に70億4千2百万円を支出したことなどによるものです。

 

営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた「フリーキャッシュ・フロー」は、135億5千万円の増加(前期は6億7千9百万円の増加)と大幅に良化しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、40億6百万円(前期は23億3千6百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額37億5千4百万円、長期借入金の返済による支出4億9千万円による資金の減少などによるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

51,212

△15.4

石油・輸送機産業関連分野

47,845

8.4

プラスチック・繊維産業関連分野

27,033

△3.9

情報・電気電子産業関連分野

23,018

△11.6

環境・住設産業関連分野他

15,137

△19.9

合計

164,246

△7.6

(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。

 

(b)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

45,895

△19.6

石油・輸送機産業関連分野

50,479

4.6

プラスチック・繊維産業関連分野

25,235

△10.4

情報・電気電子産業関連分野

22,870

△1.3

環境・住設産業関連分野他

15,030

△17.8

合計

159,510

△8.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ①経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、販売量の減少などにより、1,595億1千万円(前期比8.8%減)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前期比124億8千6百万円減少し、売上原価率は前連結会計年度と変わらず81.6%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前期比2億6千万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の13.8%から15.3%へ1.5ポイント増加しました。

 研究開発費は、前期比4億6千8百万円減少し、対売上高比率は前連結会計年度と変わらず3.3%となりました。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純損益)

 営業利益は、48億8千6百万円(前期比39.8%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の4.6%から3.1%へ1.5ポイント減少しました。

 経常利益は、81億8千6百万円(前期比17.5%減)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損失は、85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となりました。

 

 ②財政状態の分析

(流動資産)

 流動資産は、現金及び預金が101億2千5百万円増加しましたが、商品及び製品が2億8千万円、原材料及び貯蔵品が13億7千4百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて86億4百万円増加し、1,059億2千9百万円となりました。

 

(固定資産)

 固定資産は、投資有価証券が31億2千6百万円増加しましたが、有形固定資産が83億1千3百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて49億6千8百万円減少し、998億8千9百万円となりました。

 

(流動負債)

 流動負債は、買掛金が32億9千4百万円増加、未払金が26億6千3百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて65億8千1百万円増加し、535億1千9百万円となりました。

 

(固定負債)

 固定負債は、事業構造改革引当金47億6百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて44億7千1百万円増加し、107億2千万円となりました。

 

 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は524億1千万円、流動比率は197.9%となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ74億1千7百万円減少し、1,415億7千7百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の72.2%から4.6ポイント減少し67.6%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,617.11円から6,295.31円と321.80円減少しました。

 

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。

 パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近では東南アジアにおける製造拠点新設や設備増強を図っています。

 グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。

 当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。

 

 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは2023年当初の目標として連結売上高1,800億円、連結営業利益100億円、連結経常利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益65億円を掲げておりました。

 当連結会計年度の売上高は販売量の減少などにより1,595億1千万円(前期比8.8%減)、営業利益は48億8千6百万円(前期比39.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は子会社における減損損失の計上や事業構造改革費用の計上などにより85億1百万円(前期は56億8千4百万円の利益)となり、ROEは△6.0%(前期比9.9ポイント減)になりました。

 2025年3月期は社会・経済活動の正常化による景気回復が期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。

 このような状況のもと、当社グループの2025年3月期の連結業績については、事業構造改革に伴う利益良化ならびに高付加価値製品の拡販等により、売上高1,450億円、営業利益80億円、経常利益95億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円を見込んでおります。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術供与

契約会社名

契約先

契約品目

契約内容

契約期間

三洋化成工業

株式会社

(当社)

GC Polyols Co., Ltd.(タイ)

ウレタンフォーム・

接着剤等用ポリオール

1.技術情報の提供

2.製造権及び販売権の許諾

2017年9月8日

から別途解約

されるまで

 

合弁事業契約

契約会社名

契約先

内容

合弁会社名

契約締結日

当社

PTT Global Chemical Public Company Ltd.(タイ)

豊田通商株式会社

タイにおけるポリオール事業の合弁に関する契約

GC Polyols Co.,Ltd.

2017年8月25日

当社

孫 勁鎬(韓国)

アクルーブ生産拠点新設に伴う合弁事業契約

韓国三洋化成製造

株式会社

2018年6月13日

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、界面活性剤事業本部の研究部、高機能マテリアル事業本部の研究部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部の企画開発部とエネルギー事業本部の研究開発グループ、デジタル嗅覚事業創造部の研究開発グループ、研究業務本部、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で370名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。

当連結会計年度における研究開発の成果としては、当社が連携協定を締結している宮崎県新富町にある試験研究用ビニールハウスで、当該地域の方々と協力し『ペプチド肥料』の実用化を目指した検討を行った結果、良好なデータが取得できたため、第一弾のペプチド含有資材を肥料として登録完了しました。また、当社の界面化学および分散技術の知見を活かして開発した匂いセンサー「FlavoTone®」のサービス提供を開始いたしました。販売・レンタルはもとより、有償受託分析やお客様との共同開発による価値創造を開始しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、全社費用として報告セグメントに配分していない新規事業に係る研究開発費1,245百万円を含む5,222百万円であり、各セグメントの主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

(1) 生活・健康産業関連分野

本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては、高機能性アップサイクルコメ素材「コメファイン」や人にも環境にも優しいピッカリング乳化剤「ソリエマー」の開発を推進したこと、環境と人にやさしい京都の石けんをコンセプトに廃棄オリーブオイルや京都・水尾産のゆずの搾りかすを活用した石けん「オリーブの贈りもの」の企画開発を行ったこと、機能性タンパク質「シルクエラスチン」を用いた「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ(P47K-WAS)の検証的臨床試験」が終了し、2024年度に薬事承認申請予定であること、「半月板縫合術に対するシルクエラスチン(P47K-WAS-MR)の有効性・安全性に関する探索的治験」の広島大学での医師主導治験が終了したこと、簡便な操作で高収率かつ高い精製度の細胞外小胞の回収を可能にする精製キット「EXORPTION」を2024年度から販売開始予定であることなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は967百万円であります。

 

(2) 石油・輸送機産業関連分野

本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤などの化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤「ネオプルーバー」を開発し販売を開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,086百万円であります。

 

(3) プラスチック・繊維産業関連分野

本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、ポリオレフィン不織布などに持続的な親水性を付与する不織布用耐久性親水剤「ハイドロスルー」を開発したこと、有機フッ素化合物(PFAS)を含有しない低融点タイプ永久帯電防止剤「ペレスタットシリーズ」の新グレードを開発したこと、廃材からなる木材を含む植物性バイオマスを最大約80%含有させた柔軟なテキスタイル素材(MOC-TEX®)を開発し、加工メーカーでの工業化検討を完了したことが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は732百万円であります。

 

(4) 情報・電気電子産業関連分野

本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、リサイクル樹脂50%以上を原料としたカーボンニュートラルに貢献する環境対応型の画像形成材料を開発したこと、アルミ電解コンデンサ用電解液の新グレードを開発したこと、ストレッチ性に富んだUV硬化樹脂である「ストルテック」を山形大学と共同で開発したこと、近年の電子機器の処理速度増大に伴う電子部品からの発生熱量の効率的な放熱を促すための電子部品と冷却器とを密着させるウレタン系放熱ギャップフィラー『サーマップ』を開発、そのフィラー分散技術を応用しワイヤレス給電や電磁部品向けに磁性粒子分散ウレタン樹脂の開発に着手しサンプルワークを開始したこと、ポリエーテル系グリシジルエーテル誘導体の低塩素化技術を工業化し、電子材料向けに低塩素含量グリシジルエーテル(NOPTECHS ES-100)を開発したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は699百万円であります。

 

(5) 環境・住設産業関連分野他

本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、肥料用薬剤について、コメを活用した生分解性の肥料被覆材「サンアグレックス」が、2023年度の農業技術10大ニュースに選出されたことや圃場での試験を開始したこと、土木・農業用資材について、木質バイオマス素材を土木・農業分野で活用するための加工薬剤の開発を進めていること、住宅用断熱材用原料について、地震発生時の火災への対応意識の高まり及び2030年新築住宅へのZEHスタンダード化の流れに沿い、不燃吹付断熱材用原料を開発し、サンプルワークを開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は490百万円であります。