第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成28年4月~平成29年3月)のわが国経済は、所得や雇用環境の改善を背景に個人消費は持

ち直しつつあり、緩やかな回復基調が続いております。一方で、海外の経済情勢は、英国のEU離脱問題や米国新

政権の動向、資源国・アジア新興国の景気減速など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 化学業界におきましては、基礎原料ナフサ価格は低水準で推移していますが、中東情勢の混迷、資源国や新興国

経済の減速懸念など、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループの5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は第二年度が終わりま

した。初年度は国内の新拠点として、四日市第三コンビナート内に新たに建設した霞工場が平成27年12月に本格稼

働し、電子材料、土木用薬剤を中心に増産体制が整いました。本年度は、売上高拡大の取り組みを強化するととも

に、霞工場のマザー工場化を加速・充実させるべく、平成28年11月には非イオン界面活性剤の新設備に着工し、さ

らに、シンガポールの新会社を起点に国際展開も進めてまいりました。第三年度の平成29年度は、5ヵ年経営計画

の前半と後半をつなぐ中間点であり、計画達成に向けての「飛躍への行動」を本格化させてまいります。

 当連結会計年度の業績といたしましては、景気が緩やかな回復基調のなか、基礎原料ナフサ価格は低水準で推移

し、『機能材料』では、ゴム・プラスチック用途の臭素系の難燃剤やIT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に

伸長しましたが、『電子デバイス材料』では、太陽電池用途の導電性ペーストが大きく落ち込み、当連結会計年度

の売上高は522億54百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

 損益面につきましては、霞工場の本格稼動による固定費等の負担増加や営業経費の増加もありましたが、『機能

材料』のIT・電子用途の高付加価値品の売上高が顕著に伸長し、また、原材料価格が低水準で推移しましたこと

から、営業利益は39億44百万円(前年同期比14.7%増)となりました。また、営業外収支の改善により、経常利益

は37億73百万円(前年同期比17.9%増)となりました。これに固定資産の減損損失や税金費用を差し引きました結

果、親会社株主に帰属する当期純利益は24億89百万円(前年同期比13.2%増)となりました。なお、各利益ともい

ずれも3期連続で過去最高益となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

  [界面活性剤]

 界面活性剤の売上高は、総じてやや低迷しました。

 国内では、ゴム・プラスチック用途の活性剤は堅調に推移しましたが、ナフサ価格の下落の影響を受け機械・金

属用途の活性剤はやや低迷し、石鹸・洗剤用途の活性剤は顕著に落ち込みました。

 海外では、ゴム・プラスチック用途の活性剤は堅調に推移しましたが、繊維用途の活性剤は低迷しました。

 その結果、当セグメントの売上高は197億93百万円(前年同期比4.7%減)、営業利益は20億94百万円(前年同期

比4.4%減)となりました。

 

  [アメニティ材料]

 アメニティ材料の売上高は、総じてやや低迷しました。

 国内では、セルロース系高分子材料はエネルギー・環境用途が好調に推移し、飼料用途は順調に推移しました

が、医薬品用途はやや低調に推移しました。ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移しました。

 海外では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移しましたが、香粧品用途はやや低迷しました。

 その結果、当セグメントの売上高は69億86百万円(前年同期比3.1%減)、営業利益は4億13百万円(前年同期

比0.9%増)となりました。

 

  [ウレタン材料]

 ウレタン材料の売上高は、総じて好調に推移しました。

 フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は、ナフサ価格の下落の影響を受け低迷しました。建築用薬剤は

大きく落ち込みましたが、土木用薬剤は公共工事の増加により顕著に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は90億93百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益は1億27百万円(前年同期

比44.8%減)となりました。

 

[機能材料]

 機能材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 国内では、水系ウレタン樹脂は繊維用途が順調に推移し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が、臭素系の難燃

剤はゴム・プラスチック用途が顕著に伸長しました。

 海外では、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が低迷し、アミド系滑剤はゴム・プラスチック用途が顕著に落ち

込みました。リン系の難燃剤は電気・電子材料用途が低迷しましたが、臭素系の難燃剤はゴム・プラスチック用途

が顕著に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は125億17百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は13億5百万円(前年同

期比93.8%増)となりました。

 

[電子デバイス材料]

 電子デバイス材料の売上高は、総じて大きく落ち込みました。

 射出成形用ペレットは大きく落ち込み、太陽電池用途の導電性ペーストは顕著に落ち込みました。電子デバイス

用途のデバイス材料は新規開発が実り順調に推移しました。

 その結果、当セグメントの売上高は38億62百万円(前年同期比16.0%減)、営業利益は3百万円(前年同期は65

百万円の損失)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて1億5百万円減少し、92億96百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動の結果、得られた資金は、37億50百万円(前年同期は41億97百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益35億47百万円(前年同期は30億54百万円)、減価償却費23億35百万円(前年同期は20億87百万円)、たな卸資産の減少4億9百万円(前年同期は5億40百万円の減少)などにより資金が増加したことに対し、売上債権の増加16億14百万円(前年同期は5億31百万円の減少)、法人税等の支払い8億4百万円(前年同期は5億59百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動の結果、使用した資金は、33億36百万円(前年同期は76億87百万円)となりました。これは、当社及び連結子会社である四日市合成株式会社における設備投資等による有形固定資産の取得39億円(前年同期は78億29百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動の結果、使用した資金は、4億77百万円(前年同期は11億54百万円の調達)となりました。これは、長期借入金の新規借入83億93百万円(前年同期は50億円)などにより資金が増加したことに対し、短期借入金の純減少額31億90百万円(前年同期は6億20百万円の純増加)、長期借入金の返済37億72百万円(前年同期は36億4百万円)、自己株式の取得による支出10億4百万円、配当金の支払い5億26百万円(前年同期は4億74百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

界面活性剤(百万円)

15,152

97.7

アメニティ材料(百万円)

5,891

96.1

ウレタン材料(百万円)

6,266

101.1

機能材料(百万円)

6,183

90.9

電子デバイス材料(百万円)

3,553

81.5

合計(百万円)

37,047

95.0

 (注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。

        2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

界面活性剤(百万円)

19,793

95.3

アメニティ材料(百万円)

6,986

96.9

ウレタン材料(百万円)

9,093

101.8

機能材料(百万円)

12,517

111.2

電子デバイス材料(百万円)

3,862

84.0

合計(百万円)

52,254

99.0

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した5つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

 

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓「品質第一、原価逓減、研究努力」を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

(2)経営戦略

 中期経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでまいります。

①新しい企業価値の創造

 保有資産の産み出す業績と株式時価総額の最大化に努めます。

②誰にもわかる企業像づくり

 企業イメージの認知度の向上を図ります。

③さらなるガバナンスの深化

 企業統治に意を用い経営の効率化に取り組みます。

④適切なROE水準の維持と向上

 中長期を展望したROE指標を意識します。

⑤協調による優位性の構築

 取引先、大学、団体などと連携し、材料と技術の開発を進めます。

⑥マザー工場の加速と充実

 四日市複合基地構想を柱に全社的な生産性の向上を図ります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2015年4月からスタートした中期経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は、2年が経過しました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも3期連続で過去最高益なりました。ナフサを主とする原料価格が安価な水準であること、開発した高採算事業が順調に伸びていること、そして、コストダウンの取り組みが功を奏していることが理由です。一方で、残念ながら売上高は2期連続で低迷しました。期待した太陽電池事業の極端な不振と、事業の海外展開への遅れが背景です。

 経営計画の副題とした「飛躍への行動」ができていないと判断して、売上高の見直し、ローリングを年初から行いました。これは、行動の革新を論じる作業でした。計画の経営方針、基本戦略と利益目標は不変です。

①連結売上高 670億円以上

②連結売上高営業利益率 9.0%以上

(4)経営環境

 中期経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」の第二年度である第153期は、所得や雇用環境の緩やかな改善が続きました。しかし、英国のEU離脱問題、米国の新政権発足など先行きの不透明な状況が経済に不安定な動きを引き起こしています。地政力学の変化も加わり先行きを見通し難い環境にありますが、全社一丸となって目標実現に励みます。

 不確実性の高まりに対応して、原材料の安定的な購入と総経費の節減に努めました。既存製品の拡販体制を強化すると共に、当社グループの技術を生かした「電子材料向け素材」や「セルロースナノファイバー」など新製品による市場開発に取り組みました。未来づくりの拠点である霞工場は、商業生産開始後、順調に稼動を続けております。非イオン界面活性剤設備の着工、次世代の人材育成の拠点となる安全研修所の開設、電池の材料開発を担うエレクセル株式会社の移転を行い工場の充実を図りました。当社グループのマザー工場となるステップを着実に進めております。

 コーポレートガバナンスの強化と安定した企業成長を着実にするために、執行役員制度を廃止しました。取締役と監査役の本来的な経営機能を高める措置となります。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 対処すべき課題は、3点と認識しています。

 第一に、売上拡大を確かにする営業行動のイノベーションを実施することです。計画通り進んでいる基本方針と利益目標は変えませんが、2年連続して減収となった売上目標値はローリングを行い、2020年の計画を670億円に見直しました。これを確実に達成する行動改革、営業革新を実行します。第二に、2015年12月に商業生産を開始した霞工場を当初のグランドデザインに則って仕上げることです。グループのマザー工場として生産性の向上とスマート化を加速します。第三に、グループの海外関連の売上高増強策を講ずることです。新国際事業部の下、グループの海外戦略を実行し、国際的優良取引先を通じた海外展開を目指します。

 ユニークさで評価される企業を展望して、「ユニ・トップ」を掲げました。「京都から、世界へ未来へ。」とした成長戦略を軌道に乗せるために次の取り組みを展開します。

①5ヵ年経営計画の「REACTマトリクス」の20項目の中身を更に充実させます。

②素材の品揃えを洗練すると共に、お取引先のニーズに応えるユーザーインで業績を拡大します。

③自前主義でない、異業種、異分野との連携を「ユニ・ユナイト」と号して優位性づくりに注力します。

 

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、これらのものは、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られるものではありません。

①原材料の市況変動

 当社グループの製品は、石油化学製品系の原材料を使用していることが多いことから、原油・ナフサ価格の高騰による主要原材料の価格の上昇は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

②為替の変動

 当社グループは、中国などのアジアを中心に生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。在外連結子会社等の財務諸表の円換算額や外国通貨建取引において為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、いずれの場合にも為替相場の大幅な変動により経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③中国を中心とするアジア経済の変動

 当社グループは、グローバルな海外活動を行うために、中国などのアジアにおいて生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。このような海外展開において、予期し得ないような外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、人材確保の困難性などを含め、常に経済的、社会的なリスクが存在しますが、これらが顕在化することによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

④特有の法的規制等に係る課題

 法規制あるいは当局の法令解釈が従来よりも厳しくなること等により、当社グループの事業が制限を受ける可能性またはこれらの法規制に適合するために当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑤大規模地震等の自然災害

 当社グループは、日本レスポンシブル・ケア協議会に加盟し、環境・安全問題を経営の重要課題のひとつとして、地球温暖化防止対策、産業廃棄物の削減、化学物質の適正管理、労働安全衛生の向上を4つの柱にして環境保護活動に取り組んでいます。しかし、大規模地震等の大きな自然災害が発生した場合には、生産活動や原料搬入・製品搬出などが中断させられる可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、工業用薬剤メーカーとして、産業の化学化にこたえる存在感のある企業であり続けることを経営理念とし、積極的な研究活動を行っております。

 当連結会計年度は、電池材料やトンネル工事用の岩盤固結剤の開発、糖誘導体事業の増強と既存事業の周辺領域における製品改良並びに高付加価値付与品の研究開発に注力し、出願した特許は108件であります。これらの研究開発に要した費用の総額は23億93百万円で、これは売上高の4.6%にあたります。

 各セグメント別の研究の狙いと当連結会計年度の主な研究開発成果は次のとおりであります。

(1)界面活性剤

 従来から注力している水生生物毒性に配慮した環境対応型界面活性剤の市場開発に加え、「環境と高機能化」をキーワードに高付加価値製品の研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、様々な産業分野でエネルギーコスト削減やVOC(揮散有機化学物質)削減に繋がる工程薬剤、樹脂分野向けを中心とした反応性乳化剤や糖誘導体、電子・情報機器関連材料分野向けの洗浄剤、表面処理剤の開発を実施しました。また、海外の関係会社に対しては、繊維分野を中心に機能加工薬剤の技術支援を行なうとともに、塗料・粘着剤分野向け添加剤の開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は7億12百万円であります。

(2)アメニティ材料

 食品、医薬・香粧品、トイレタリーをはじめ、水畜産、土木、農業、脱臭等の産業分野を対象に、生活関連工業密着型の素材提供と機能を追究するための研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、食品分野では、各種用途に適したショ糖脂肪酸エステル及び配合製剤の応用開発に取り組みました。また、東南アジア、中国などの飲料・菓子分野などを中心とした市場開発を実施しました。カルボキシメチルセルロースナトリウムについては、リチウムイオン電池向け分散剤の機能向上を進めました。セルロースナノファイバーについては、当該製品を世界で初めて実用化したボールペンが伊勢志摩サミット支援アイテムに採用されるなど、社会実装に向けた用途開発を加速させました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は4億42百万円であります。

(3)ウレタン材料

 社会的及び顧客ニーズである「地球環境や資源・エネルギー及び健康に配慮した高機能性を有するウレタン材料」に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、機能性ウレタン分野では、長期難燃性、信頼性に優れた高機能性電気絶縁材料、水フィルター用接着剤、無溶剤型の防水材及び弾性舗装材用ウレタンプレポリマー、鋼管やコンクリート保護塗料としての重防食塗料、そして含水ゲル化材、次に、フォーム分野では温暖化ガスの排出量削減に寄与するノンフロン及び水発泡断熱材用ポリオールやシステムなどの開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は2億67百万円であります。

(4)機能材料

 VOCを主とした環境リスクや省エネルギーに配慮した水系ウレタン樹脂、光(紫外線・電子線)硬化性樹脂と難燃剤をはじめとした樹脂添加材料の研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、自動車、家電、建築等への塗料・接着材料、フィルム、金属等へのコーティング材料及びフィラー、繊維等へのバインダー材料としての水系ウレタン樹脂の応用開発、液晶テレビ等フラットパネルディスプレイ表示部材用途等をはじめとする電子材料分野、プラスチック・建材(木材)等への意匠性を付与する機能性塗料・コーティング用途に用いられる紫外線硬化樹脂材料用モノマー及び機能性オリゴマーの開発を実施しました。また、発泡ポリスチレン用の環境に配慮した次世代の難燃剤への移行について本格的に販売を開始しました。既存品においては、増加する需要への供給体制強化や製造コスト削減などに取り組みました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は5億49百万円であります。

(5)電子デバイス材料

 エネルギーデバイス及びディスプレーデバイスに関する新規デバイス及び材料を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、安全性に優れたリチウム電池の開発を進め実用化を図っております。リチウム電池材料については、ポリマー型電解液を開発し、実用化に向けた検討を進めております。また、低粘度で高イオン導電性を示すイオン液体の開発は、エネルギー分野・電子材料分野でのアプリケーションに向けてさらなる技術開発及び市場開拓を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は4億21百万円であります。

 

 なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5  経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているため省略しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 景気が緩やかな回復基調のなか、基礎原料ナフサ価格は低水準で推移し、『機能材料』では、ゴム・プラスチック用途の臭素系の難燃剤やIT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に伸長しましたが、『電子デバイス材料』では、太陽電池用途の導電性ペーストが大きく落ち込み、当連結会計年度の売上高は522億54百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

 損益面につきましては、霞工場の本格稼動による固定費等の負担増加や営業経費の増加もありましたが、『機能材料』のIT・電子用途の高付加価値品の売上高が顕著に伸長し、また、原材料価格が低水準で推移しましたことから、営業利益は39億44百万円(前年同期比14.7%増)となりました。また、営業外収支の改善により、経常利益は37億73百万円(前年同期比17.9%増)となりました。これに固定資産の減損損失や税金費用を差し引きました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は24億89百万円(前年同期比13.2%増)となりました。なお、各利益ともいずれも3期連続で過去最高益となりました。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 わが国経済は、所得や雇用環境の改善を背景に個人消費は持ち直しつつあり、緩やかな回復基調が続いております。一方で、海外の経済情勢は、英国のEU離脱問題や米国新政権の動向、資源国・アジア新興国の景気減速など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 化学業界におきましては、基礎原料ナフサ価格は低水準で推移していますが、中東情勢の混迷、資源国や新興国経済の減速懸念など、先行き不透明な状況が続いております。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動の結果得られた資金は、37億50百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益35億47百万円、減価償却費23億35百万円、たな卸資産の減少4億9百万円などにより資金が増加したことに対し、売上債権の増加16億14百万円、法人税等の支払い8億4百万円などにより資金が減少したことによるものです。