第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した5つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

 

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓「品質第一、原価逓減、研究努力」を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

(2)経営戦略

 5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでまいります。

①新しい企業価値の創造

 保有資産の産み出す業績と株式時価総額の最大化に努めます。

②誰にもわかる企業像づくり

 企業イメージの認知度の向上を図ります。

③さらなるガバナンスの深化

 企業統治に意を用い経営の効率化に取り組みます。

④適切なROE水準の維持と向上

 中長期を展望したROE指標を意識します。

⑤協調による優位性の構築

 取引先、大学、団体などと連携し、材料と技術の開発に努めます。

⑥マザー工場の加速と充実

 四日市複合基地構想を柱に全社的な生産性の向上を図ります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2015年4月からスタートした5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は、4年が経過しました。売上高は昨年の過去最高を更新しました。難燃剤・光硬化樹脂用材料が顕著に伸びたことが主な理由です。また営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高となった前の期から減益となりました。新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却負担の増加が主な要因です。

 一昨年、経営計画の副題とした「飛躍への行動」ができていないと判断して、売上高の見直し、ローリングを行いました。

①連結売上高 670億円以上

②連結売上高営業利益率 9.0%以上

目標の達成は難しい環境ではありますが、過去最高益を目指し、全社一丸となって実現に励みます。

(4)経営環境

 5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」の第四年度である第155期は、個人消費やインバウンド需要、企業の積極的な設備投資に支えられて景気の回復が続きました。しかし、米国の通商政策の不透明感からの中国経済や世界経済への影響、消費税増税による国内経済への影響が出始めています。現計画の最終年度となる第156期は、企業体質の強化を図りつつ第154期に収めた過去最高益の更新を目指します。併せて、2030年を展望した安定成長が可能となる次期5ヵ年経営計画の「FELIZ 115」を描く年度となります。

 当連結会計年度は、前期に比べて増収減益の結果となりました。新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却負担の増加が主因です。一方で、稼働させた第一、第二プラントの業績への貢献は期待を上回るものになっています。2018年3月に起工した第三プラントは、2019年4月に竣工し2019年度上期から売上に反映する予定です。第四プラントの計画も進行中です。新投資の償却負担は増加しますが、未来の基盤作りに不可欠な工程です。

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 対処すべき課題は、次の3点と認識しています。

 第一に、5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」の最終年度に質的充実を図ります。計画の売上高670億円、営業利益60億円の目標達成が厳しい状況を機会として、事業ポートフォリオを見直します。既に、実施している撤退ルールによる不採算分野の継続の是非を判断します。既存事業の周辺領域を「ネクスト」と呼び、新工場を立ち上げました。利益性の高い分野でキャッシュを創出できる間に、「ドリーム」と名付けた新規事業を立ち上げるためです。特定商品を提供するインスパイアード・パートナーとの連携が深化しています。

 第二に、化学の素材メーカーとして新材料の開発スピードを加速することです。2018年4月1日付でセルロースナノファイバーの開発に取り組むレオクリスタ事業部と、エレクセル㈱の電池用途向け部素材開発を行う機能を研究開発本部の所属としました。成長領域の用途と顧客の開発に特化して取り組んでいます。さらに、機械などの異業種と交流中であり、プロセスイノベーションで開発スピードを上げます。また、検討している製剤のベンチャーとの連携も開発の加速化の一環です。R&D技術開発型の企業として、研究開発費の売上高比率は5%以上としています。

 第三に、立ち上げた将来の事業の核になる新ビジネスを確実にすることです。第155期は新分野となるライフサイエンスに実績のある2社を子会社化しました。㈱バイオコクーン研究所と池田薬草㈱です。2019年4月1日に、社長特命室から分離発展させた製剤開発推進室を創設しました。ライフサイエンス事業の新拠点となる約76千平米の土地と建物も取得しました。ライフサイエンス分野を伸長させます。人間生活に不可欠な領域で、景気変動の影響が少なく収益性の高い成長分野です。事業を確実にしながら将来の基盤を堅固にします。

 令和の新元号がスタートする記念の2019年に、創業110周年を迎えることができました。次期経営計画への橋渡しの年です。2025年、2030年を見据えた経営計画が、新しい第一工業製薬100年の土台となります。ユニークさで評価される「ユニ・トップ」企業が、2025年度の115周年を意識した計画の名称は、「FELIZ 115」です。英語のハッピーを意味するスペイン語です。英語の頭文字でF=未来、E=環境、L=生命、I=革新、Z=挑戦が行動指針となります。株主の皆様のご理解と、今後とも変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

 

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、これらのものは、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られるものではありません。

①原材料の市況変動

 当社グループの製品は、石油化学製品系の原材料を使用していることが多いことから、原油・ナフサ価格の高騰による主要原材料の価格の上昇は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

②為替の変動

 当社グループは、中国などのアジアを中心に生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。在外連結子会社等の財務諸表の円換算額や外国通貨建取引において為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、いずれの場合にも為替相場の大幅な変動により経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③中国を中心とするアジア経済の変動

 当社グループは、グローバルな海外活動を行うために、中国などのアジアにおいて生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。このような海外展開において、予期し得ないような外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、人材確保の困難性などを含め、常に経済的、社会的なリスクが存在しますが、これらが顕在化することによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

④特有の法的規制等に係る課題

 法規制あるいは当局の法令解釈が従来よりも厳しくなること等により、当社グループの事業が規制を受ける可能性またはこれらの法規制に適合するために当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑤大規模地震等の自然災害

 当社グループは、日本レスポンシブル・ケア協議会に加盟し、環境・安全問題を経営の重要課題のひとつとして、地球温暖化防止対策、産業廃棄物の削減、化学物質の適正管理、労働安全衛生の向上を4つの柱にして環境保護活動に取り組んでいます。しかし、大規模地震等の大きな自然災害が発生した場合には、生産活動や原料搬入・製品搬出などが中断させられる可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の世界経済は、継続的に拡大基調であるものの、ここにきて国際通貨基金(IMF)が世界の成長率見通しを引き下げました。昨年来から継続する米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題等が懸念材料となり、今後も成長率が鈍化することが危惧されます。

 わが国の経済は、企業の堅調な設備投資や個人消費増により、景気回復が戦後最長となった可能性が高く、今後も緩やかな回復基調が継続すると見込まれます。しかしながら、世界経済の不透明感から日本の成長率見通しについても下方修正されました。

 一方、化学業界では、国産ナフサ価格は昨年後半がピークとなり、年末から下落に転じた後、足元ではやや上昇傾向に転じるなど価格転嫁が課題となります。

 このような市場環境のもと、当連結会計年度はライフサイエンス事業への参入を果たし、昨年7月にライフサイエンス分野で2社を完全子会社化、また、本年3月には岡山県に約76千平米の新拠点用地を取得し、新たな事業領域へ挑戦することになりました。5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」の最終年度となる次年度は、更に質的充実を重視した活動を進めてまいります。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ22億48百万円増加し、759億6百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億17百万円増加し、423億15百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億30百万円増加し、335億91百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は595億74百万円(前期比4.6%増)、営業利益は43億41百万円(前期比14.1%減)、経常利益は41億75百万円(前期比11.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億81百万円(前期比23.0%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 界面活性剤の売上高は219億57百万円(前期比2.5%増)、営業利益は15億95百万円(前期比26.5%減)となりました。

 アメニティ材料の売上高は81億51百万円(前期比8.7%増)、営業利益は2億25百万円(前期比64.7%減)となりました。

 ウレタン材料の売上高は90億26百万円(前期比1.0%減)、営業利益は41百万円(前期比59.0%減)となりました。

 機能材料の売上高は162億39百万円(前期比15.4%増)、営業利益は24億4百万円(前期比24.8%増)となりました。

 電子デバイス材料の売上高は41億99百万円(前期比13.4%減)、営業利益は74百万円(前期比65.5%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて41億23百万円減少し、72億78百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は32億36百万円(前期は50億17百万円)となりました。これは、売上債権の増加12億77百万円(前期は16億45百万円)、たな卸資産の増加18億94百万円(前期は14億66百万円)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益39億79百万円(前期は55億9百万円)、減価償却費25億55百万円(前期は24億73百万円)などにより資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は56億94百万円(前期は11億30百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得37億7百万円(前期は25億5百万円)、投資有価証券の取得9億70百万円(前期は2百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は15億10百万円(前期は18億58百万円)となりました。これは、長期借入金の新規借入れ59億18百万円(前期は40億円)により資金が増加したことに対し、短期借入金の純減少額6億85百万円(前期は55百万円)、長期借入金の返済60億5百万円(前期は48億円)、配当金の支払い7億9百万円(前期は6億6百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

17,654

104.3

アメニティ材料(百万円)

6,597

108.0

ウレタン材料(百万円)

6,760

90.6

機能材料(百万円)

7,377

98.2

電子デバイス材料(百万円)

4,137

96.2

合計(百万円)

42,527

100.5

(注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

21,957

102.5

アメニティ材料(百万円)

8,151

108.7

ウレタン材料(百万円)

9,026

99.0

機能材料(百万円)

16,239

115.4

電子デバイス材料(百万円)

4,199

86.6

合計(百万円)

59,574

104.6

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5  経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているため省略しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ22億48百万円増加し、759億6百万円となりました。

 流動資産は393億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億26百万円減少しました。これは主に受取手形及び売掛金が13億57百万円、商品及び製品などのたな卸資産の合計が19億87百万円増加しましたが、現金及び預金が40億38百万円減少したことなどによるものです。

 固定資産は365億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億74百万円増加しました。これは主に機能性ウレタン製造設備及び台湾の連結子会社における新工場の建設等により、有形固定資産の合計が21億40百万円増加したこと、ライフサイエンス分野で新しく2社を完全子会社としたことにより、8億71百万円ののれんが発生したことなどによるものです。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億17百万円増加し、423億15百万円となりました。

 流動負債は242億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億8百万円増加しました。これは主に支払手形及び買掛金が7億3百万円、設備関係未払金などのその他(流動負債)が6億13百万円増加したことなどによるものです。

 固定負債は180億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億90百万円減少しました。これは主に長期借入金が8億2百万円減少したことなどによるものです。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億30百万円増加し、335億91百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益25億81百万円及び剰余金の配当7億10百万円により利益剰余金が18億90百万円増加したことなどによるものであります。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績といたしましては、『機能材料』セグメントのIT・電子用途の光硬化樹脂用材料やゴム・プラスチック用途の難燃剤が顕著に伸長しましたことから、当連結会計年度の売上高は595億74百万円(前期比4.6%増)となりました。

 損益面につきましては、『機能材料』セグメントのIT・電子用途等を中心とした高付加価値品の売上高が顕著に伸長しましたが、ライフサイエンス事業をはじめ、今後の安定成長に向けた研究開発促進・強化のための費用がかさみましたことから、営業利益は43億41百万円(前期比14.1%減)となりました。また、営業外収支は改善しましたが、経常利益は41億75百万円(前期比11.6%減)となりました。これに特別損益として、リチウム電池事業の再編成に伴う中国の太陽光発電メーカーへの株式譲渡により関係会社株式売却益を計上しましたが、『電子デバイス材料』セグメントにおいて固定資産の減損損失が発生し、税金費用を差し引きました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は25億81百万円(前期比23.0%減)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 2015年4月からスタートした5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」は、4年が経過しました。売上高は昨年の過去最高を更新しました。難燃剤・光硬化樹脂用材料が顕著に伸びたことが主な理由です。また営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高となった前の期から減益となりました。新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却負担の増加が主な要因です。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製品の製造費、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。

3) 財務政策

 当社グループは5ヵ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」を達成するため積極的に投資活動を行っていますが、これを支えるため自己資金で不足する分は、金融機関にて長期借入金を主とする資金調達を行っております。また、78億円のコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。

 なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断をするための客観的な指標等

 一昨年、経営計画の副題とした「飛躍への行動」ができていないと判断して、売上高の見直し、ローリングを行いました。

①連結売上高 670億円以上

②連結売上高営業利益率 9.0%以上

目標の達成は難しい環境ではありますが、過去最高益を目指し、全社一丸となって実現に励みます。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(界面活性剤)

 界面活性剤の売上高は、総じて好調に推移しました。

 国内では、石鹸・洗剤用途は大きく落ち込み、トイレタリー用途は低調に推移し、機械・金属用途はやや低調に推移しました。ゴム・プラスチック用途は順調に推移し、IT・電子用途は好調に推移しました。

 海外では、繊維用途はやや低迷しましたが、塗料・色材用途は伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は219億57百万円(前期比2.5%増)、営業利益は15億95百万円(前期比26.5%減)となりました。

 

(アメニティ材料)

 アメニティ材料の売上高は、総じて伸長しました。

 国内では、セルロース系高分子材料は飼料用途がやや低調に推移しましたが、医薬品用途は堅調に推移し、エネルギー・環境用途は伸長しました。ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移しました。

 海外では、セルロース系高分子材料は食品用途が低調に推移しましたが、ショ糖脂肪酸エステルは香粧品用途が好調に推移し、食品用途は伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は81億51百万円(前期比8.7%増)、営業利益は2億25百万円(前期比64.7%減)となりました。

 

(ウレタン材料)

 ウレタン材料の売上高は、総じてやや低迷しました。

 IT・電子用途の機能性ウレタンは好調に推移し、フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は堅調に推移しましたが、土木用薬剤は大きく落ち込みました。

 その結果、当セグメントの売上高は90億26百万円(前期比1.0%減)、営業利益は41百万円(前期比59.0%減)となりました。

 

(機能材料)

 機能材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 国内外とも、難燃剤はゴム・プラスチック用途が顕著に伸長し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が顕著に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は162億39百万円(前期比15.4%増)、営業利益は24億4百万円(前期比24.8%増)となりました。

 

(電子デバイス材料)

 電子デバイス材料の売上高は、総じて低迷しました。

 太陽電池用途の導電性ペーストは伸長しましたが、射出成形用ペレットはやや低迷しました。

 その結果、当セグメントの売上高は41億99百万円(前期比13.4%減)、営業利益は74百万円(前期比65.5%減)となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、工業用薬剤メーカーとして、産業の化学化にこたえる存在感のある企業であり続けることを経営理念とし、積極的な研究活動を行っております。

 当連結会計年度は、電池材料やセルロースナノファイバーの新規用途開発、IT・電子用途等を中心とした高付加価値付与品の研究開発に注力し、出願した特許は163件であります。ライフサイエンス事業への本格参入により研究開発に要した費用の総額は2,765百万円で、これは売上高の4.6%にあたります。

 各セグメント別の研究の狙いと当連結会計年度の主な研究開発成果は次のとおりであります。

(1)界面活性剤

 従来から注力している水生生物毒性に配慮した環境対応型界面活性剤の市場開発に加え、「環境と高機能化」をキーワードに高付加価値製品の研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、様々な産業分野でエネルギーコスト削減やVOC(揮散有機化合物)削減に繋がる工程薬剤、樹脂分野向けを中心とした反応性乳化剤や糖誘導体、電子・情報機器関連材料分野向けの洗浄剤、表面処理剤の開発を実施しました。また、海外の関係会社に対しては、化成品分野全般の機能加工薬剤の技術支援を行なうとともに、協力して塗料・粘着剤分野向け添加剤の開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は832百万円であります。

(2)アメニティ材料

 食品、医薬・香粧品、トイレタリーをはじめ、水畜産、土木、農業、脱臭等の産業分野を対象に、生活関連工業密着型の素材提供と機能を追究するための研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、食品分野では、各種用途に適したショ糖脂肪酸エステル及び配合製剤の応用開発検討に取り組みました。また、東南アジア、中国などの飲料・菓子分野などを中心とした市場開発支援も行いました。カルボキシメチルセルロースナトリウムについては、リチウムイオン電池向け分散剤としての品質向上と応用開発検討に注力しました。セルロースナノファイバーについては、社会実装に向けた用途開発を加速させました。本格参入したライフサイエンス事業の研究開発も積極的に推進しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は627百万円であります。

(3)ウレタン材料

 社会的及び顧客ニーズである「地球環境や資源・エネルギー及び健康に配慮した高機能性を有するウレタン材料」に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、機能性ウレタン分野では、長期難燃性、信頼性に優れた高機能性電気絶縁材料、水フィルター用接着剤、無溶剤型の防水材及び弾性舗装材用ウレタンプレポリマー、鋼管やコンクリート保護塗料としての重防食塗料、そして含水ゲル化材、次に、フォーム分野では温暖化ガスの排出量削減に寄与するノンフロン及び水発泡断熱材用ポリオールやシステムなどの開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は308百万円であります。

(4)機能材料

 VOCを主とした環境リスクや省エネルギーに配慮した水系ウレタン樹脂、光(紫外線・電子線)硬化性樹脂と難燃剤をはじめとした樹脂添加材料の研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、自動車、家電、建築等への塗料・接着材料、フィルム、金属等へのコーティング材料及びフィラ―、繊維等へのバインダー材料としての水系ウレタン樹脂の応用開発、液晶テレビ等フラットパネルディスプレイ表示部材用途等をはじめとする電子材料分野、及び、プラスチック・建材(木材)等への意匠性を付与する機能性塗料・コーティング用途に用いられる紫外線硬化樹脂材料用モノマー及び機能性オリゴマーの開発を実施しました。また、発泡ポリスチレン用の環境に配慮した次世代の難燃剤への移行について本格的に販売を開始しました。既存品においては、増加する需要への供給体制強化や製造コスト削減などに取り組みました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は577百万円であります。

(5)電子デバイス材料

 エネルギーデバイス及びディスプレイデバイスに関する新規デバイス及び材料を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、リチウム電池材料についてゲルポリマー型電解液を開発し、実用化に向けて検討をさらに進めております。また、低粘度で高イオン導電性を示すイオン液体の開発は、エネルギー分野・電子材料分野でのアプリケーションに向けてさらなる技術開発及び市場開拓を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は419百万円であります。

 

 なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。