第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した6つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

⑥健康補助食品を中心とする『ライフサイエンス』

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

(2)経営戦略

 新5カ年経営計画「FELIZ 115」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでまいります。

①2030年3月期の業績は、アクチャル(既存)、ネクスト(周辺)、ドリーム(新規)が各1/3となる事業構成を目指します。アクチャルの質的充実、ネクストの拡大増強、ドリームの開発・育成を図ります。

②計画的設備投資の結果である総資産を最大活用し、年間売上高に匹敵する総資産回転率1.0を目標とします。製品別管理と並行して、顧客別のマーケティングを強化します。

③営業、研究、生産、管理の本部制を敷き、経営資源の最適配分を行います。貢献に報いる業績評価体系により、社員幸福度経営を実践します。企業を取り巻く4つのステークホルダーの期待に応え、企業価値を高めます。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2015年4月からスタートした5カ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」が終了しました。売上高は昨年の過去最高を更新しました。IT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に伸びたことが主な理由です。一方、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から減益となりました。新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却、のれんの償却負担の増加が主な要因です。

 新5カ年経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げました。

①連結売上高 850億円

②連結営業利益 100億円

③連結営業利益率 11.7%

④総資産 920億円(予想)

⑤総資産回転率 1.0回

⑥設備投資額 120億円(5年累計)

⑦売上高研究開発費率 5.0%

⑧ROE 10%以上

(4)経営環境

 5カ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」の最終年度である第156期が締まりました。有終の美を飾ろうと、前年度との決算比較で増収増益を目指しました。個人消費、インバウンド需要、設備投資に支えられていた景気の回復が、陰り始めました。米国の通商政策に始まる世界経済の不確実性は、本年初めの新型コロナウイルス感染拡大により先行き不透明な状況です。輸出や自動車関連の製品では収益減少の影響も出始めております。しかし、お互いに閃き合う特定のお客様であるインスパイアードパートナーとの取組みや規模でなく独自性で評価されるユニトップ戦略を推進することで競争力を高め、さらにはライフサイエンス分野への投資を推進することで事業の拡大と収益の安定化をはかります。昨秋より、ニューヨーク市場に異常を見て、2月に早めの資金調達も行いました。新計画スタート前のコロナショックは、足元を固める契機としました。新5カ年経営計画の最終年度の数値目標は変えずに、初年度は機動的な事業運営を行う所存です。

 当連結会計年度は、前期に比べて増収減益の結果となりました。コロナショックの前からの新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却負担の増加、外部委託製造コストの増加が主因です。一方で、三重県四日市市で稼働させた霞工場第一、第二プラントの業績への貢献は期待を上回るものになっています。2019年4月に竣工した第三プラントも順調に稼働を開始し、売上高に反映しております。次世代通信規格5G材料の第四プラントは、本年6月に完成する予定です。新投資の償却負担は増加しますが、未来の基盤作りに不可欠な工程と計画的に建設して来ました。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 企業価値を高めるために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。

「黒い白鳥2020」(予測できない事象)、コロナショックに関連する、「バリュー・ストリーミング・マップ」への対処です。「価値」、「流れ」、「位置づけ」の変化への会社としての対処と解釈しています。第一に、商品価値のデジタル化に見る企業価値のありよう、第二に、サプライチェーンの孤立化、分断化への対応、第三に、業界の一部に見られる産業再編の動きです。

 先ず、企業価値を高めるために、前計画の5年間に取り組んだ収益性を高める事業構造転換の加速化です。新5カ年経営計画の初年度、2年度で不採算事業を見直します。後半の3年間で投資事業の刈り取りと拡大を図り、ポートフォリオを充実させ、ソリューションによる機能・用途の開発と共に顧客を軸としたマーケティングを強化することで社訓『品質第一』をより確かなものにします。

 次のテーマである物流の孤立化、分断化には、原料の安定的確保、長期的には非石化原料を増加させることです。パートナー企業との連携を更に強化します。リードタイムの短縮を、新計画の重要施策として、期初から施策を実行しています。社訓にうたう『原価逓減』となります。

 3番目の再編の動きには、掲げているユニ・トップ企業の歩みを前進させることです。規模を追うのではなく、独自性で評価されることです。「工業用薬剤の首位」と掲載される道を今後も大切にします。技術開発型の当社の原点でもあります。社訓の『研究努力』を更に推進してまいります。

 新5カ年経営計画「FELIZ 115」の最終年度の売上高は850億円の実現を掲げました。計画的な設備投資の結果である総資産は、年度末に817億円となっています。金融的には総資産回転率は、年間の売上高に関係しますので、5年後の目標1.0とすれば、可能な水準です。これまでの事業部制から営業・研究・生産・管理の本部制に変えました。経営と執行の分離を明確にして貢献に報いる業績評価体系とします。2025年3月期の115周年を意識した計画の名称は、「FELIZ 115」です。英語のハッピーを意味するスペイン語で、幸福度経営に取り組む5年となります。株主の皆様のご理解と、今後とも変わらぬご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、これらのものは、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られるものではありません。

①原材料の市況変動

 当社グループの製品は、石油化学製品系の原材料を使用していることが多いことから、原油・ナフサ価格の高騰による主要原材料の価格の上昇は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

②為替の変動

 当社グループは、中国などのアジアを中心に生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。在外連結子会社等の財務諸表の円換算額や外国通貨建取引において為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、いずれの場合にも為替相場の大幅な変動により経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③中国を中心とするアジア経済の変動

 当社グループは、グローバルな海外活動を行うために、中国などのアジアにおいて生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。このような海外展開において、予期し得ないような外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、人材確保の困難性などを含め、常に経済的、社会的なリスクが存在しますが、これらが顕在化することによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

④特有の法的規制等に係る課題

 法規制あるいは当局の法令解釈が従来よりも厳しくなること等により、当社グループの事業が規制を受ける可能性またはこれらの法規制に適合するために当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑤大規模地震等の自然災害

 大規模地震等の大きな自然災害が発生した場合には、生産活動や原料搬入・製品搬出などが中断させられる可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります

⑥新型コロナウイルスに係る影響

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染被害抑止のために営業・管理部門を中心に在宅勤務や時差通勤を推進しておりますが、従業員が感染した場合には生産や出荷への影響が出る可能性があります。またサプライチェーンが途絶した場合には、原料調達の遅延や停止による生産への影響、ユーザーへの製品供給の遅延や停止による業績への影響が出る可能性があります。さらに新型コロナウイルスの影響が長期化した場合には、需要減少により収益が減少する可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス流行が世界的なパンデミックに発展、終息が未だ見通せない状況が継続しています。今年開催予定であった東京オリンピックも延期となり、緊急事態宣言が発令される事態となりました。感染抑制のためには、外出制限やイベント等自粛など、人の往来制限を実施することが不可欠となりますが、リーマンショック以上の経済活動への影響が懸念されます。当社においても輸出や自動車関連の製品では収益減少の影響も出始めております。今後、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合には、需要減少による収益減少で当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 一方で、企業におけるテレワークの推進やオンライン活用が加速し、働き方改革が進みました。またインバウンド需要に依存していた構造にも一石を投じる形となりました。

 当社は、2020年4月から中期経営計画「FELIZ 115」をスタートしました。2030年にありたい姿を描きバックキャストして策定した5カ年計画です。計画を成功に導くための7つの全社プロジェクトも始動しました。今回のコロナショックは、足元を固めて新計画を進めるチャンスと前向きにとらえています。引き続き、規模でなく独自性で評価されるユニ・トップ企業を目指します。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ58億29百万円増加し、817億36百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ51億55百万円増加し、474億70百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億74百万円増加し、342億65百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は614億56百万円(前期比3.2%増)、営業利益は41億54百万円(前期比4.3%減)、経常利益は35億24百万円(前期比15.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億14百万円(前期比21.9%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を一部変更しております。当第3四半期連結累計期間まで「界面活性剤」及び「アメニティ材料」セグメントに含めておりましたライフサイエンス事業は、新たに「ライフサイエンス」セグメントとして独立させました。当連結会計年度に健康補助食品の新工場を建設し、品質向上と安定供給を図り、早期製品化を目指します。このため、前期比較の金額及び増減率につきましては、変更後の区分に組替えた数値で比較しております。

 界面活性剤の売上高は189億70百万円(前期比13.1%減)、営業利益は13億12百万円(前期比15.8%減)となりました。

 アメニティ材料の売上高は79億94百万円(前期比0.5%減)、営業利益は2億81百万円(前期比39.5%減)となりました。

 ウレタン材料の売上高は84億70百万円(前期比6.2%減)、営業損失は2億35百万円(前期は41百万円の利益)となりました。

 機能材料の売上高は208億48百万円(前期比28.4%増)、営業利益は28億32百万円(前期比17.8%増)となりました。

 電子デバイス材料の売上高は47億44百万円(前期比13.0%増)、営業利益は3億35百万円(前期は74百万円の利益)となりました。

 ライフサイエンスの売上高は4億27百万円(前期比78.5%増)、営業損失は3億70百万円(前期は2億3百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて28億47百万円増加し、101億26百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は37億66百万円(前期は32億36百万円)となりました。これは、仕入債務の減少15億46百万円(前期は6億88百万円の増加)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益33億64百万円(前期は39億79百万円)、減価償却費27億24百万円(前期は25億55百万円)などにより資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は58億42百万円(前期は56億94百万円)となりました。これは、前期に有価証券の取得として、投資有価証券の取得による支出が9億70百万円、関係会社株式の取得による支出が7億80百万円ありましたが、当期は投資有価証券の取得による支出32百万円のみにとどまりました。また、当期は有形固定資産の取得55億38百万円(前期は37億7百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、得られた資金は49億46百万円(前期は15億10百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純減少額2億45百万円(前期は6億85百万円)、長期借入金の返済52億89百万円(前期は60億5百万円)、配当金の支払い10億67百万円(前期は7億9百万円)などにより資金が減少したことに対し、長期借入による収入60億円(前期は59億18百万円)、銀行保証付私募債の発行による収入58億61百万円などにより資金が増加したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

14,852

84.8

アメニティ材料(百万円)

6,454

101.3

ウレタン材料(百万円)

6,731

99.6

機能材料(百万円)

10,646

137.7

電子デバイス材料(百万円)

3,498

92.5

 ライフサイエンス(百万円)

491

140.1

合計(百万円)

42,675

100.4

(注)1.生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より、セグメント区分の変更を行っており、「前期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

18,970

86.9

アメニティ材料(百万円)

7,994

99.5

ウレタン材料(百万円)

8,470

93.8

機能材料(百万円)

20,848

128.4

電子デバイス材料(百万円)

4,744

113.0

ライフサイエンス(百万円)

427

178.5

合計(百万円)

61,456

103.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度より、セグメント区分の変更を行っており、「前期比(%)」は、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価について
は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載してい
るため省略しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ58億29百万円増加し、817億36百万円となりました。

 流動資産は425億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億34百万円増加しました。これは主に受取手形及び売掛金が4億49百万円減少しましたが、現金及び預金が28億51百万円、商品及び製品などのたな卸資産の合計が4億94百万円増加したことなどによるものです。

 固定資産は391億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億95百万円増加しました。これは主に霞工場で建設中の光硬化樹脂用材料製造設備等により、有形固定資産の合計が35億49百万円増加したことなどによるものです。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ51億55百万円増加し、474億70百万円となりました。

 流動負債は236億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億76百万円減少しました。これは主に短期借入金が6億69百万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が15億39百万円減少したことなどによるものです。

 固定負債は238億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ57億31百万円増加しました。これは主に当連結会計年度に次期中期経営計画の資金として銀行保証付私募債を発行し、60億円の資金を調達したことなどによるものです。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億74百万円増加し、342億65百万円となりました。これは主にコロナショックによる株価下落により、その他有価証券評価差額金が5億65百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益20億14百万円及び剰余金の配当10億67百万円により、利益剰余金が9億47百万円増加したことなどによるものです。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績といたしましては、『機能材料』セグメントのIT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に伸長しましたことから、当連結会計年度の売上高は614億56百万円(前期比3.2%増)となりました。

 損益面につきましては、『機能材料』セグメントのIT・電子用途等を中心とした高付加価値品の売上高が顕著に伸長しましたが、のれんの償却など営業経費がかさみ営業利益は41億54百万円(前期比4.3%減)となりました。また、社債発行費などが営業外収支を圧迫し経常利益は35億24百万円(前期比15.6%減)となりました。これに固定資産処分損や税金費用を差し引きました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は20億14百万円(前期比21.9%減)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 2015年4月からスタートした5カ年経営計画「REACT1000-飛躍への行動を-」が終了しました。売上高は昨年の過去最高を更新しました。IT・電子用途の光硬化樹脂用材料が顕著に伸びたことが主な理由です。一方、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から減益となりました。新規事業関連等の研究開発費用や新工場の償却、のれんの償却負担の増加が主な要因です。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製品の製造費、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。

3) 財務政策

 当社グループは新5カ年経営計画「FELIZ 115」の資金として銀行保証付私募債を発行し、60億円を調達しました。また、78億円のコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。

 なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 新5カ年経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げました。

①連結売上高 850億円

②連結営業利益 100億円

 新型コロナウィルス感染拡大により世界経済の不確実性は先行き不透明な状況ですが、新計画スタート前のコロナショックは足元を固める契機とし、新5カ年経営計画の最終年度の数値目標は変えずに、全社一丸となって実現に励みます。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度より報告セグメントの区分を一部変更しており、前期比較の金額及び増減率につきましては、変更後の区分に組替えた数値で比較しております。

(界面活性剤)

 界面活性剤の売上高は、総じて低迷しました。

 国内では、IT・電子用途は大幅に伸長しましたが、石鹸・洗剤用途、塗料・色材用途、ゴム・プラスチック用途、機械・金属用途は低迷しました。

 海外では、ゴム・プラスチック用途、塗料・色材用途はやや低調に推移しましたが、繊維用途はやや低迷しました。

 その結果、当セグメントの売上高は189億70百万円(前期比13.1%減)、営業利益は13億12百万円(前期比15.8%減)となりました。

 

(アメニティ材料)

 アメニティ材料の売上高は、総じてやや低調に推移しました。

 国内では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移しましたが、ビニル系高分子材料はゴム・プラスチック用途がやや低調に推移しました。セルロース系高分子材料は農業・農薬用途が堅調に推移し、紙パルプ産業用途が順調に推移しました。

 海外では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が順調に推移しましたが、香粧品用途がやや低調に推移しました。

 その結果、当セグメントの売上高は79億94百万円(前期比0.5%減)、営業利益は2億81百万円(前期比39.5%減)となりました。

 

(ウレタン材料)

 ウレタン材料の売上高は、総じて低迷しました。

 土木用薬剤は好調に推移しましたが、フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油、土木・建築用材料は大きく落ち込みました。

 その結果、当セグメントの売上高は84億70百万円(前期比6.2%減)、営業損失は2億35百万円(前期は41百万円の利益)となりました。

 

(機能材料)

 機能材料の売上高は、総じて顕著に伸長しました。

 国内では、臭素系の難燃剤はゴム・プラスチック用途が堅調に推移し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が顕著に伸長しました。

 海外では、臭素系の難燃剤はゴム・プラスチック用途が顕著に落ち込みましたが、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が顕著に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は208億48百万円(前期比28.4%増)、営業利益は28億32百万円(前期比17.8%増)となりました。

 

(電子デバイス材料)

 電子デバイス材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 ディスプレイ用途のイオン性液体が好調に推移し、太陽電池用途の導電性ペーストは大幅に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は47億44百万円(前期比13.0%増)、営業利益は3億35百万円(前期は74百万円の利益)となりました。

 

(ライフサイエンス)

 界面活性剤及びアメニティ材料より独立したライフサイエンスの売上高は、前期と比べ1億88百万円増加し、4億27百万円となりました。カイコ冬虫夏草の売上高は堅調に推移しましたが、医薬品原料や天然物からの抽出物の濃縮化、粉末化による健康補助食品等の受託事業の売上高は伸長しました。

 営業利益は、のれんの償却が利益を圧迫し、3億70百万円の営業損失(前期は2億3百万円の損失)となりました。ライフサイエンス事業につきましては、次期中期経営計画(5ヵ年)では経営資源を集中投下し、早期に地方創生をからめた新規事業の創生、強化を行い将来の基盤づくりを目指します。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、工業用薬剤メーカーとして、産業の化学化にこたえる存在感のある企業であり続けることを経営理念とし、積極的な研究活動を行っております。

 当連結会計年度は、電池材料やセルロースナノファイバーの新規用途開発、IT・電子用途等を中心とした高付加価値付与品の研究開発に注力し、出願した特許は173件であります。研究開発に要した費用の総額は2,748百万円で、これは売上高の4.5%にあたります。

 各セグメント別の研究の狙いと当連結会計年度の主な研究開発成果は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。

(1)界面活性剤

 従来から注力している水生生物毒性に配慮した環境対応型界面活性剤の市場開発に加え、「環境と高機能化」をキーワードに高付加価値製品の研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、様々な産業分野でエネルギーコスト削減やVOC(揮散有機化合物)削減に繋がる工程薬剤、樹脂分野向けを中心とした反応性乳化剤や糖誘導体、電子・情報機器関連材料分野向けの洗浄剤、表面処理剤の開発を実施しました。また、海外の関係会社に対しては、化成品分野全般の機能加工薬剤の技術支援を行なうとともに、協力して塗料・粘着剤分野向け添加剤の開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は774百万円であります。

(2)アメニティ材料

 食品、医薬・香粧品、トイレタリーをはじめ、水畜産、土木、農業、脱臭等の産業分野を対象に、生活関連工業密着型の素材提供と機能を追究するための研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、食品分野では、各種用途に適したショ糖脂肪酸エステル及び配合製剤の応用開発検討に取り組みました。また、東南アジア、中国などの飲料・菓子分野などを中心とした市場開発支援も行いました。カルボキシメチルセルロースナトリウムについては、リチウムイオン電池向け分散剤としての品質向上と応用開発検討に注力しました。セルロースナノファイバーについては、社会実装に向けた用途開発を加速させました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は509百万円であります。

(3)ウレタン材料

 社会的及び顧客ニーズである「地球環境や資源・エネルギー及び健康に配慮した高機能性を有するウレタン材料」に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、機能性ウレタン分野では、長期難燃性、信頼性に優れた高機能性電気絶縁材料、水フィルター用接着剤、無溶剤型の防水材及び弾性舗装材用ウレタンプレポリマー、鋼管やコンクリート保護塗料としての重防食塗料、そして含水ゲル化材、次に、フォーム分野では温暖化ガスの排出量削減に寄与するノンフロン及び水発泡断熱材用ポリオールやシステムなどの開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は414百万円であります。

(4)機能材料

 VOCを主とした環境リスクや省エネルギーに配慮した水系ウレタン樹脂、光(紫外線・電子線)硬化性樹脂と難燃剤をはじめとした樹脂添加材料の研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、自動車、家電、建築等への塗料・接着材料、フィルム、金属等へのコーティング材料及びフィラ―、繊維等へのバインダー材料としての水系ウレタン樹脂の応用開発、液晶テレビ等フラットパネルディスプレイ表示部材用途等をはじめとする電子材料分野、及び、プラスチック・建材(木材)等への意匠性を付与する機能性塗料・コーティング用途に用いられる紫外線硬化樹脂材料用モノマー及び機能性オリゴマーの開発を実施しました。また、環境に配慮した次世代の発泡ポリスチレン用難燃剤を本格的に販売開始しました。既存品においては、増加する需要への供給体制強化や製造コスト削減などに取り組みました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は619百万円であります。

(5)電子デバイス材料

 エネルギーデバイス及びディスプレイデバイスに関する新規デバイス及び材料を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、リチウム電池材料についてゲルポリマー型電解液を開発し、実用化に向けて検討をさらに進めております。また、低粘度で高イオン導電性を示すイオン液体の開発は、エネルギー分野・電子材料分野でのアプリケーションに向けてさらなる技術開発及び市場開拓を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は278百万円であります。

(6)ライフサイエンス

 「カイコ冬虫夏草」や「Sudachin®」をはじめとした健康補助食品に関して、天然物からの抽出・高濃度化技術、量産化技術を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、「カイコ冬虫夏草」に含有する新規物質の定量化や高産生条件の探索、「Sudachin®」の高濃縮技術の確立、加えて製品品質の安定化に取組み、市場への新製品投入に向けた研究開発を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は151百万円であります。

 

 なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。