第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した6つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

⑥健康食品及び食品/医薬品/化成品等の受託事業を中心とする『ライフサイエンス』

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

 中期経営計画「FELIZ 115」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでいます。

①地政学リスク等の外部環境、注力分野の各市況、主要顧客の販売状況等を鑑みて、最終年度2025年3月期は売上高700億円、営業利益45億円(営業利益率6.4%)に修正します。本計画策定時に想定した2030年3月期の目標売上高1,350億円、営業利益180億円(営業利益率13.3%)は見直し、売上高1,000億円、営業利益100億円(営業利益率10.0%)として総資産回転率1.0回をめざします。

②計画的設備投資の結果である総資産を最大活用し、アクチャルの質的充実、ネクストの拡大増強、ドリームの開発・育成を図ります。製品別管理と並行して、顧客別のマーケティングを強化します。

③営業、研究、生産、管理の本部制を敷き、経営資源の最適配分を行います。貢献に報いる業績評価体系により、社員幸福度経営を実践します。企業を取り巻く4つのステークホルダーの期待に応え、企業価値を高めます。

 当社は、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に4年連続で選定されました。従業員の健康を維持・増進することで会社の生産性向上を、ひいては企業価値の向上をめざします。この取り組みは、担当役員の出席する委員会、会議において結果の報告とそれに基づき策定された計画の承認を得ています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020年4月からスタートした中期経営計画「FELIZ 115」は、計画2年でアクチャル(既存)事業の不採算事業の整理などを推し進め、事業ポートフォリオを再確認しました。計画3年目からは、四日市霞工場を主に展開するネクスト(既存から派生した周辺)事業の成長ならびにライフサイエンスを軸としたドリーム(新規)事業を育成し、企業の成長を加速する計画でした。

 ところが、新型コロナウイルスまん延による経済の停滞、ロシアのウクライナ侵攻を発端とした原材料、エネルギーコストの上昇等、想定を上回る事態が発生し、2023年3月期は、当社の収益構造に大きな打撃を与える結果となりました。

 収益悪化の大きな要因は以下の3点と考えています。①原材料価格上昇分の転嫁遅れ、②注力分野(電子・情報など)を中心とした市況悪化ならびに主要顧客の需要低迷による販売数量減少、③②に起因した工場稼働率低下による工費アップです。

 今期は、売上高680億円、営業利益25億円を業績目標値として既に情報開示しています。当初掲げていた本計画最終年度2025年3月期売上高850億円、営業利益100億円(営業利益率11.7%)から現状が大きく乖離するため、最終年度の修正が必要との判断に至りました。

 

①連結売上高    700億円

②連結営業利益    45億円

③連結営業利益率   6.4%

④総資産回転率    0.88回

⑤設備投資額    144億円(5年累計)

⑥ROE         7.3%

 

なお資本コストや株価を意識した経営については以下のとおりです。

(現状認識)

当社における純資産倍率PBRとの相関関係が強いと想定されるROEは、2023年3月期に△1.1%となりました。それが影響して、PBRは1倍を下回っております。

前5年計画期は最高益を更新しROEは10%強を記録していました。現計画作成時では、足元再確認のため初年、二年度は慎重な計画値としていた中、コロナウイルス禍での実績ROEは2021年3月期で7.7%、2022年3月期で7.0%でした。想定外の軍事侵攻で計画の前提が大きく崩れたのが、2023年3月期です。前々経営計画からROIC≧WACCを方針にしており、PBRを念頭においた施策として新工場用地確保、成長分野投資を前5年計画に実施しておりました。

(対応方針と施策)

この10年間に総資産回転率を意識し、固定資産の内容を転換、充実、拡大いたしました。結果、総資産は20年前の2倍以上となりました。コロナウイルスの第5分類移行に合わせ、経済循環は好転の気配です。

業績回復と向上のために、7つの具体的施策を実行いたします。

①原料高を吸収する価格転嫁、②既存品販売数量を増加する営業展開、③固定費を吸収する工場稼働率6%アップ、④ライフサイエンス事業の2025年3月期までの黒字化、⑤研究開発スピードの加速、⑥ESG・サステナビリティ(存続)目標の具体化、⑦ステークホルダーとの対話

上記施策を講じることでPBRを向上させてまいります。

 

(4)経営環境

 当連結会計年度である第159期は、新型コロナウイルス感染症流行の長期化、原材料価格の高騰、半導体ショックの継続に加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による市況悪化に伴い、価格転嫁、高付加価値製品拡販、経費削減に注力しましたが、大幅な収益低下を招きました。中でも、主要新5工場の稼働率が計画の半分に落ち込んでいます。

 このような状況を打破するため、5カ年経営計画「FELIZ 115」の第四年度である第160期は、喫緊の経営課題である「原材料及びエネルギーコスト上昇分の価格転嫁」、「セグメント管理の強化」、「不採算事業の見直し」、「経営資源の再配分」、「業績評価・報酬体系の再構築」などに取り組み、経営基盤の強化を図ります。さらには、業績回復に資する開発テーマの早期実現とライフサイエンス事業の実績化を図り、グループ一丸となって収益改善に努めます。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。

 第一に、高騰が続く原材料価格への対応です。不安定な状況下でも事業運営に不可欠な原料を確実に確保できるように原料調達プロセスならびにサプライチェーンを見直します。原材料、エネルギーコストの値上がりは販売価格に反映させ、利益を確保します。地政学リスクを慎重に見極めながら、企業としてできることを確実に実行してまいります。

 第二に、経営資源最適化の加速です。2023年4月には、経営と執行の分離を掲げ、最高責任者の経営執行についての答申及び補佐、調査・企画・立案・推進を担う戦略統括部を新設しました。ここで、中長期経営計画の策定管理、事業ポートフォリオの検証と見直し、事業戦略の企画・立案・進捗管理、M&A、協業、事業提携、マーケティング及び情報収集により、素早く事業の方向性を決定し、既存事業の拡大と新規事業の拡充を加速させます。

 第三に、先行投資した事業収益の早期刈り取りと次期投資の絞り込みです。三重県四日市市に投資したプラントは、フル稼働の状態になれば5カ年経営計画「FELIZ 115」の目標値を実現する可能性が高まります。パートナー企業との連携を強化し、早期の投資回収を実現します。

 2023年4月、ライフサイエンス事業の機動力を強化するため、「ライフサイエンス本部」を設置しました。今年2月には、カイコハナサナギタケ冬虫夏草に含まれる「ナトリード」を機能性関与成分とする機能性表示食品「快脳冬虫夏草」の届出が完了しました。今夏発売を予定しています。「ナトリード」には、中高年の方の認知機能の一部である視覚的な記憶力、認知機能速度を維持するのに役立つ機能が報告されています。本計画最終年度には、①「快脳冬虫夏草」の販売を中心とするBtoC、②カイコ冬虫夏草粉末やスダチ果皮エキスなど素材販売を狙ったBtoB、③グループ会社である池田薬草の受託事業拡大などにより、ライフサイエンス事業の黒字化に目途を立てる予定です。

 

 5カ年経営計画「FELIZ 115」で掲げた最終年度の目標を、連結売上高700億円、営業利益45億円へ修正しました。当初、①原料高、②金利上昇、③経済悪化の発生は、ある程度想定した上で計画を組んでいました。最初の2年間は足元を見つめ、3年目から事業拡大するシナリオです。ロシアによるウクライナ軍事侵攻が想定外であり、計画3年目で定量目標完遂の前提条件が崩れました。これに起因する原材料高騰、マーケットの沈滞で未曽有の業績悪化となりました。一方では、取り組んだ成長投資の課題が判明し、腰を据え未来を考える良い契機と受け止めています。

 まずは、営業力強化と共に価格転嫁を集中的に進めます。電子・情報分野、環境・エネルギー分野を中心とした研究開発のテーマを優先性と収益性で絞り込み、経営資源を集中し収益確保に努めます。

 株主の皆様にはご理解と変わらぬご支援ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

 

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社が有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 地球温暖化、資源の枯渇、生物多様性の危機などの環境問題をはじめ、人口増加にともなう食資源、エネルギー問題、さらにはグローバル化の進展と社会の情報化など、さまざまな課題が私たちの暮らしを取り巻いています。当社はこうした社会課題と向き合い、人々の環境や暮らしを守り、安全性や快適性を高めるため、「こたえる、化学。」を追求し、持続可能な社会の構築に貢献しています。

 

① ガバナンス

 当社は、経営会議メンバーで構成される「サステナビリティ会議」を設置し、サステナビリティに関わる委員会、会議を傘下とし、方針の決定、上程事項の審議及び意思決定、会社の活動状況の確認を行う場としています。またサステナビリティ委員会では、気候変動対策ワーキンググループ、人的資本経営ワーキンググループ、人権尊重ワーキンググループを傘下に加え検討推進を行っています。年1回以上、取締役会にて答申・進捗報告を行い、適宜、戦略や目標、計画の見直しを行っています。

 

② リスク管理

 当社の全体的なリスク管理は、担当する執行役員を委員長とし、各部門および関係会社の代表者で構成されるリスクマネジメント統制委員会を定期的に開催して計画的に活動を進めています。

 

(2)個別項目

 当社は、気候変動関連のリスクおよび機会が経営上の重要課題であるという認識の下、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しています。気候変動が当社の事業活動に与える影響などについて情報開示を進め、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に取り組むことで持続可能な社会をめざします。

 

a.気候変動

① ガバナンス

 当社は、温室効果ガス(GHG)排出削減の中長期目標などの重要な課題は「サステナビリティ委員会」において審議・決定するとともに、取締役会へ報告することで、監督が適切に図られる体制を整えています。

 

② 戦略

 気候変動による影響は中長期的に顕在化する可能性が大きいため、当社の中長期の事業に対して財務的な影響を及ぼすと考えられる主な気候変動関連のリスクと機会への認識を深めています。気候変動によるリスクと機会の評価については、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオを参照し、当社事業全体に及ぼすリスクと機会について整理しています。中長期的な視点で予測される機会とリスクに対する認識を高めながら、時間軸を踏まえた戦略の立案と実行に結びつけていきます。

 

③ リスク管理

 当社の全体的なリスク管理は、担当する執行役員を委員長とし、各部門および関係会社の代表者で構成されるリスクマネジメント統制委員会を定期的に開催して計画的に活動を進めています。

 

④ 指標及び目標

 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2030年度に当社グループ国内全体で温室効果ガス排出量(Scope1、Scope2)を2013年度比で30%削減します。今後、当社サプライチェーンの温室効果ガス排出量(Scope3)の把握を進め、早期の開示、削減に取り組んでいきます。

(3)人的資本

 当社にとって最も重要な財産は人であり、人を大切にするという思想のもと、優秀な人材と多様性の確保をめざしています。従業員の成長が会社を発展させる原動力となり、広範な企業価値の向上につながるものと認識しています。また従業員の成長には欠かせない健康管理に対しても積極的な企業文化を持っており、「従業員の幸福度向上」を目標の一つに掲げ、従業員の健康維持・向上に取り組んでいます。

 

① 戦略

 人財開発の取組みについては、従業員の等級に沿った人材育成と評価制度の仕組みにより個人の欲求に働きかけることで、中期経営計画達成の基盤とするという基本方針を掲げ各種施策を推進しています。人材育成は、個人のキャリアプランと会社視点での本人キャリアのすり合わせを行い、両者にとってWIN WINの実現に向けた教育機会の提供や働き方を目指しています。また評価制度については、事業貢献したものに報いる、挑戦を推奨する組織風土の醸成に向けた運用を目指しています。

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健康経営の取組みについては、経営的な視点から健康宣言のもと会社が従業員の健康の維持・向上に努めています。従業員健康行動指針で従業員の具体的な健康アクションを明文化し、「健康経営推進委員会」を設定して全社横断的な健康づくりを健康経営戦略マップに基づき推進しています。

 

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② 指標及び目標

 当連結会計年度の人的資本に関する指標は、以下の通りです。

 

<人材育成、働き方、ダイバーシティに関する項目>

 

DX人材育成プログラム受講者割合(%)

該当者に対する月平均選抜研修時間

(時間)

月平均時間外

労働(時間)

女性産休

復職率(%)

育児フルタイム復職率(%)

障がい者定着率(%)

2022年度

実績

54.6

559

10

100

100

90.9

(注)1.DX受講者割合 = DX研修受講者数/従業員数

2.選抜研修時間 = 年間選抜研修総時間/12

3.総残業時間 = 時間外+休日出勤(時間)/係長以下従業員数

4.女性産休復職率 = 女性育児休職者/女性復職者

5.育児フルタイム復職率 = 育児休職者/フルタイム復職者

6.障がい者定着率 = 在籍障がい者数/入社3年目までの障がい者数

 

<健康経営(健康・安全)に関する項目>

 

目標(2024年度)

2022年度実績

アブセンティーイズムの低減

2.0%以下維持

1.0%

プレゼンティーイズムの低減

2.0%以下維持

1.2%

ワークエンゲージメントの向上

偏差値51達成

50

(健常者に対する発生予防)

腹囲基準を超える者の割合

25.0%

28.4%

(高リスク者に対する重症化予防)

40歳以上のメタボリックシンド

ローム予備軍と該当者の割合

22.0%

25.7%

(メンタルヘルス不調者の発生

予防・早期発見・対応)

メンタルヘルス不調による

休職者の発生率

0.20%以下を維持

0.45%

(禁煙につながる環境づくり)

喫煙者の割合

11.4%

19.4%

 

当社では、健康経営に関する取り組みが評価され、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に4年連続で選定されました。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、リスク管理に関し、組織的な対応として「リスクマネジメント統制委員会」を設置して、活動計画の策定、活動のレビュー、リスクの特定と対応策の検討などを行っています。当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー等に影響を及ぼす可能性があるリスクには、以下のようなものがあります。なお、これらのものは、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれに限られるものではありません。

 

①原材料の市況変動

 当社グループの製品は、石油化学製品系の原材料を使用していることが多いことから、原油・ナフサ価格の高騰による主要原材料の価格の上昇は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

②為替の変動

 当社グループは、中国などのアジアを中心に生産拠点や販売拠点を設立するなど、積極的な海外展開を行っております。在外連結子会社等の財務諸表の円換算額や外国通貨建取引において為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、いずれの場合にも為替相場の大幅な変動により経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③グローバル経済の変動

 当社グループは、海外にも生産拠点や販売拠点を設立するなど、グローバルな事業展開を行っております。このような海外展開において、予期し得ないような外国の法律・規則の変更、産業基盤の不安定性、人材確保の困難性、紛争・政治不安定化など、常に経済的、社会的リスクが存在し、これらが顕在化することによって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

④地政学リスクに関するリスク

 ロシア・ウクライナ問題等により、地政学リスクが著しく高まっております。これら政治的・社会的情勢の不安定化や外交関係の緊迫化、紛争等により事業環境が悪化し、当社グループの企業活動に対して、エネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの分断などが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑤特有の法的規制等に係る課題

 法規制あるいは当局の法令解釈が従来よりも厳しくなること等により、当社グループの事業が規制を受ける可能性またはこれらの法規制に適合するために当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑥大規模地震等の自然災害

 大規模地震等の大きな自然災害が発生した場合には、生産活動や原料搬入・製品搬出などが中断させられる可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑦新型コロナウイルス感染症の蔓延に係る影響

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響が長期化した場合には、需要減少により収益が減少する可能性があります。またサプライチェーンが途絶した場合には、原料調達の遅延や停止による生産への影響、ユーザーへの製品供給の遅延や停止による業績への影響が出る可能性があります。これらが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑧知的財産

 当社グループは、事業活動に関わる知的財産権の取得に努める一方、第三者の知的財産権侵害を防ぐため、第三者の知的財産等の調査を行っております。しかしながら、第三者との知的財産に関わる問題発生の可能性が無いとは言えず、訴訟等が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑨情報セキュリティ

 当社グループでは、事業活動において顧客情報、個人情報、機密情報を保有し、電子情報の形式で保管しております。当社グループ内において情報セキュリティ方針、対策基準及び実施手順を定め、インフラ基盤を随時最適化することにより情報漏洩等に対する対策を講じています。しかしながら、第三者による不正アクセスやコンピューターウイルスの感染により、当社グループが保有する情報の漏洩や改ざん等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑩製品品質

 当社グループは、品質マネジメントシステムを構築し、品質保証の基本方針を遵守して高い品質の確保と顧客満足の向上に取り組んでいますが、予期せぬトラブル等により品質に関する問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑪気候変動に係るリスク

 さまざまな化学物質を取り扱う当社グループでは「環境・安全・健康」を確保するためレスポンシブル・ケア活動を推進し、地球環境に配慮した事業活動を行っておりますが、気候変動による気温上昇を抑制するためにカーボンプライシングや炭素税等が導入された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社は、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しております。TCFDの提言に沿ったシナリオ分析を検討し、気候変動が当社の事業活動に与える影響等について情報開示を進め、持続可能な社会の実現にむけた施策を推進しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進む中、経済活動の緩やかな回復が見られました。一方、半導体不足やサプライチェーンの混乱による原材料の供給制限、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰は企業の成長を妨げ、なお先行き不透明な状況が続いています。

このような環境のもと、当社グループでは前期に比べて増収減益となりました。前述の外的要因や製品の価格転嫁および新規開発の遅れなどの影響で、中期経営計画「FELIZ 115」策定時の前提が大きく崩れる結果となりました。計画4年目となる2024年3月期も当社を取り巻く環境は厳しく、急速な回復は見込めない状況です。

まずは、確実な価格転嫁と経費節減により収益性改善と利益確保に努めます。さらには、開発スピードを上げ、競争力のある製品の生産を増やし工場稼働率を向上させます。ライフサイエンス事業では、カイコハナサナギタケ冬虫夏草を用いた機能性表示食品の届出が完了したことから、販売促進と事業拡大を図り早期黒字化をめざします。

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億43百万円減少し、850億25百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億43百万円増加し、467億29百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億87百万円減少し、382億96百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は650億81百万円(前期比3.8%増)、営業利益は11億86百万円(前期比74.4%減)、経常利益は12億円(前期比71.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は4億7百万円(前期は24億92百万円の利益)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 界面活性剤の売上高は189億76百万円(前期比2.2%増)、営業利益は17億49百万円(前期比29.4%減)となりました。

 アメニティ材料の売上高は80億79百万円(前期比0.2%減)、営業損失は1百万円(前期は5億66百万円の利益)となりました。

 ウレタン材料の売上高は87億61百万円(前期比5.6%増)、営業損失は2億47百万円(前期は55百万円の利益)となりました。

 機能材料の売上高は225億74百万円(前期比13.3%増)、営業利益は2億81百万円(前期比79.2%減)となりました。

 電子デバイス材料の売上高は61億91百万円(前期比15.4%減)、営業利益は1億39百万円(前期比80.6%減)となりました。

 ライフサイエンスの売上高は4億97百万円(前期比4.4%増)、営業損失は7億34百万円(前期は5億43百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて30億99百万円減少し、90億51百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は7億24百万円(前期は55億20百万円)となりました。これは、棚卸資産の増加13億62百万円(前期は20億16百万円の増加)、売上債権の増加7億22百万円(前期は5億19百万円の減少)などにより資金が減少したことに対し、減価償却費32億95百万円(前期は34億30百万円)などにより資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は28億83百万円(前期は27億円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出28億34百万円(前期は26億61百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は10億30百万円(前期は23億36百万円)となりました。これは、長期借入れによる収入77億円(前期は48億90百万円)により資金が増加したことに対し、長期借入金の返済58億79百万円(前期は65億95百万円)、自己株式の取得15億円、配当金の支払い8億40百万円(前期は7億12百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

17,977

110.2

アメニティ材料(百万円)

5,239

97.8

ウレタン材料(百万円)

7,988

110.7

機能材料(百万円)

9,905

99.7

電子デバイス材料(百万円)

5,938

88.1

ライフサイエンス(百万円)

458

83.9

合計(百万円)

47,507

103.0

(注)生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

18,976

102.2

アメニティ材料(百万円)

8,079

99.8

ウレタン材料(百万円)

8,761

105.6

機能材料(百万円)

22,574

113.3

電子デバイス材料(百万円)

6,191

84.6

ライフサイエンス(百万円)

497

104.4

合計(百万円)

65,081

103.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価について
は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているため省略しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億43百万円減少し、850億25百万円となりました。

 流動資産は454億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億22百万円減少しました。これは主に、電子記録債権が6億85百万円、商品及び製品などの棚卸資産の合計が11億28百万円増加したものの、現金及び預金が30億95百万円減少したことなどによるものです。

 固定資産は396億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億21百万円減少しました。これは主に、有形固定資産の合計が6億15百万円減少したことなどによるものです。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億43百万円増加し、467億29百万円となりました。

 流動負債は206億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億86百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金が2億32百万円、短期借入金が1億94百万円、未払法人税等が3億43百万円減少したことなどによるものです。

 固定負債は260億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億30百万円増加しました。これは主に、長期借入金が22億96百万円増加したことなどによるものです。

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億87百万円減少し、382億96百万円となりました。これは主に、非支配株主持分が3億33百万円増加しましたが、自己株式の取得などにより自己株式が14億66百万円増加したことや、親会社株主に帰属する当期純損失4億7百万円及び剰余金の配当8億40百万円などにより利益剰余金が12億48百万円減少したことなどによるものです。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績といたしましては、『機能材料』セグメントの海外向け難燃剤が大幅に伸長したことにより、売上高は650億81百万円(前期比3.8%増)となりました。

 損益面につきましては、将来に向けた研究開発費の増加や原材料価格の高騰が価格転嫁を上回るなど『界面活性剤』セグメントや『機能材料』セグメントを中心に減益となり、営業利益は11億86百万円(前期比74.4%減)となりました。また、営業外収支は改善しましたが、経常利益は12億円(前期比71.4%減)となりました。これに特別損失として『ウレタン材料』セグメントの固定資産の減損処理等を行い、税金費用等を差し引きました親会社株主に帰属する当期純損失は4億7百万円(前期は24億92百万円の利益)となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 2020年4月から始動した中期経営計画「FELIZ 115」の3年目が終了しました。売上高は、『機能材料』セグメントの海外向け難燃剤が大幅に伸長したことにより増収となりました。一方、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から減益となりました。将来に向けた研究開発費の増加や原材料価格の高騰が価格転嫁を上回ったことに加え、『ウレタン材料』セグメントの固定資産の減損処理等を行ったことが主な要因です。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製造に要した費用、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。

3) 財務政策

 当社グループは中期経営計画「FELIZ 115」の資金として2020年2月に銀行保証付私募債を発行し、60億円を調達しております。また、かねてより78億円のコミットメントライン契約(契約期間3年)を締結することで、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。

 なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

今期は、売上高680億円、営業利益25億円を業績目標値として既に情報開示しています。当初掲げていた本計画最終年度2025年3月期売上高850億円、営業利益100億円(営業利益率11.7%)から現状が大きく乖離するため、最終年度の修正が必要との判断に至りました。

①連結売上高    700億円

②連結営業利益    45億円

③連結営業利益率   6.4%

④総資産回転率    0.88回

⑤設備投資額    144億円(5年累計)

⑥ROE         7.3%

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(界面活性剤)

界面活性剤の売上高は、総じて堅調に推移しました。

国内では、IT・電子用途、塗料・色材用途は低調に推移しましたが、機械・金属用途は堅調に推移しました。石鹸・洗剤用途は大幅に伸長しました。

海外では、ゴム・プラスチック用途は低調に推移しましたが、繊維用途は堅調に推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は189億76百万円(前期比2.2%増)となりました。

営業利益は、原材料価格高騰の影響を受け17億49百万円(前期比29.4%減)となりました。

 

(アメニティ材料)

アメニティ材料の売上高は、総じて低調に推移しました。

国内では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途が堅調に推移し、ビニル系高分子材料はゴム・プラスチック用途が堅調に推移しました。セルロース系高分子材料はエネルギー・環境用途が低調に推移しました。

海外では、ショ糖脂肪酸エステルは食品用途、香粧品用途が堅調に推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は80億79百万円(前期比0.2%減)となりました。

営業利益は、原材料価格高騰の影響を受けたことに加え、営業経費が増加したことにより1百万円の営業損失(前期は5億66百万円の利益)となりました。

 

(ウレタン材料)

ウレタン材料の売上高は、総じて堅調に推移しました。

公共工事に関連する土木用薬剤は堅調に推移し、フロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は大幅に伸長しました。

機能性ウレタンは建築用途等が低調に推移しましたが、IT・電子用途が堅調に推移しました。

その結果、当セグメントの売上高は87億61百万円(前期比5.6%増)となりました。

営業利益は、原材料価格高騰の影響を受け2億47百万円の営業損失(前期は55百万円の利益)となりました。

 

(機能材料)

機能材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

国内では、水系ウレタンはIT・電子用途が大きく落ち込みましたが、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大幅に伸長し、難燃剤はゴム・プラスチック用途が大幅に伸長しました。

海外では、難燃剤はゴム・プラスチック用途が大幅に伸長し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大幅に伸長しました。

その結果、当セグメントの売上高は225億74百万円(前期比13.3%増)となりました。

営業利益は、原材料価格高騰の影響を受けたことに加え、研究開発費を中心に営業経費が増加したことにより2億81百万円(前期比79.2%減)となりました。

 

(電子デバイス材料)

電子デバイス材料の売上高は、総じて大きく落ち込みました。

ディスプレイ用途のイオン液体、太陽電池用途の導電性ペーストが大きく落ち込みました。

その結果、当セグメントの売上高は61億91百万円(前期比15.4%減)となりました。

営業利益は、売上高が大きく落ち込んだことにより1億39百万円(前期比80.6%減)となりました。

 

(ライフサイエンス)

ライフサイエンスの売上高は、前期と比べ20百万円増加し、4億97百万円(前期比4.4%増)となりました。健常者及び軽度認知障害者に対する臨床試験において、ナトリード®含有のカイコハナサナギタケ冬虫夏草摂取による認知機能改善効果を確認しました。2023年2月には機能性表示食品「快脳冬虫夏草」の消費者庁への届出が完了し、同年夏頃の発売を予定しています。

医薬品添加物や天然素材からの抽出物の濃縮化、粉末化による健康食品等の受託事業は堅調に推移しました。

営業利益は、売上高は伸長しましたが、研究開発費を中心に営業経費が増加したことにより7億34百万円の営業損失(前期は5億43百万円の損失)となりました。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、工業用薬剤メーカーとして、産業の化学化にこたえる存在感のある企業であり続けることを経営理念とし、積極的な研究活動を行っております。

 当連結会計年度は、電池材料やセルロースナノファイバーの新規用途開発、IT・電子用途等を中心とした高付加価値付与品の研究開発に注力し、出願した特許は145件であります。研究開発に要した費用の総額は3,236百万円で、これは売上高の5.0%にあたります。

 各セグメント別の研究の狙いと当連結会計年度の主な研究開発成果は次のとおりであります。

(1)界面活性剤

 従来から注力している水生生物毒性に配慮した環境対応型界面活性剤の市場開発に加え、「環境配慮と高機能化」をキーワードに高付加価値製品の研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、様々な産業分野でエネルギーコスト削減やVOC(揮散有機化合物)削減に繋がる工程薬剤、樹脂分野向けを中心とした反応性乳化剤や糖誘導体、電子・情報機器関連材料分野向けの洗浄剤、表面処理剤の開発を実施しました。また、海外の関係会社に対しては、化成品分野全般の機能加工薬剤の技術支援を行うとともに、協力して塗料・粘着剤分野向け添加剤の開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は588百万円であります。

(2)アメニティ材料

 食品、医薬・香粧品、トイレタリーをはじめ、水畜産、土木、農業、脱臭等の産業分野を対象に、生活関連産業密着型の素材提供と機能を追究するための研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、各種用途に適したショ糖脂肪酸エステル及び配合製剤については、応用技術検討に取り組みました。また、食品分野、香粧品分野を中心とした国内外の市場開発支援も行いました。カルボキシメチルセルロースナトリウムについては、リチウムイオン電池向け分散剤としての品質向上と応用開発検討に注力しました。セルロースナノファイバーについては、市場要求に応える新規グレードも創製し、社会実装に向けた用途開発を加速させました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は535百万円であります。

(3)ウレタン材料

 社会的及び顧客ニーズである「地球環境や資源・エネルギー及び健康に配慮した高機能性を有するウレタン材料」に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度の成果として、機能性ウレタン分野では、長期難燃性、信頼性に優れた高機能性電気絶縁材料、水フィルター用接着剤、無溶剤型の防水材用ウレタンプレポリマー、含水ゲル化材、次に、フォーム分野ではトンネル掘削用岩盤固結材、温暖化ガスの排出量削減に寄与するノンフロン及び水発泡断熱材用ポリオールやシステムなどの開発を実施しました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は395百万円であります。

(4)機能材料

 VOCを主とした環境リスクや省エネルギーに配慮した水系ウレタン樹脂、光(紫外線・電子線)硬化性樹脂と難燃剤をはじめとした樹脂添加材料の研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、自動車、家電、建築等への塗料・接着材料、フィルム、金属等へのコーティング材料及びフィラ―、繊維等へのバインダー材料としての水系ウレタン樹脂の応用開発、液晶テレビ等フラットパネルディスプレイ表示部材用途等をはじめとする電子材料分野、及び、プラスチック・建材(木材)等への意匠性を付与する機能性塗料・コーティング用途に用いられる紫外線硬化樹脂材料用モノマー及び機能性オリゴマーの開発を実施しました。また、環境に配慮した次世代の発泡ポリスチレン用難燃剤の開発を実施しました。既存品においては、増加する需要への供給体制強化や製造コスト削減などに取り組みました。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は1,135百万円であります。

(5)電子デバイス材料

 エネルギーデバイス及びディスプレイデバイスに関する新規デバイス及び材料を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、リチウム電池材料について新規活物質向けバインダー材料を開発し、実用化に向けて検討をさらに進めております。また、低粘度で高イオン導電性を示すイオン液体の開発は、エネルギー分野・電子デバイス材料分野でのアプリケーションに向けてさらなる技術開発及び市場開拓を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は297百万円であります。

(6)ライフサイエンス

 「カイコ冬虫夏草」や「Sudachin®」をはじめとした健康食品に関して、天然物や培養物からの抽出・高濃度化技術、量産化技術、機能性評価等を中心に研究開発を進めております。

 当連結会計年度の成果として、「カイコ冬虫夏草」に含有する新規有用物質の定量化や高産生条件の探索、「Sudachin®」の高濃縮技術の確立、機能性評価、加えて製品品質の安定化に取組み、機能性表示食品の開発など市場への新製品投入に向けた研究開発を促進しております。

 なお、本セグメントにおける研究開発費の総額は283百万円であります。