文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、取引先に信頼され、株主・社員に報い、社員が誇りと意欲をもって働く企業を目指します。
小粒でも光るファインケミカル中心の中堅優良化学メーカーとして、社会に貢献するとともに、独自性のある技術・製品を擁し、環境志向等時代のニーズへの即応力を備え、CS(顧客満足度)においても高い評価を得られる企業グループとなるよう努めてまいります。
当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」(以下、「中計」という。)に取り組んでおります。中計に掲げた数値目標と課題は、(3) 目標とする経営指標、(5) 対処すべき課題に記載のとおりです。中計においては、多岐にわたる製品群と幅広い技術を有する当社グループの特色や強みは生かしながらも、「選択と集中」を一層徹底し、経営資源を成長事業へ集中的に投入することにより、収益力を改善・強化すべく全力で取り組んでおります。
中計では、継続的な事業規模の拡大と収益性の向上、財務の健全性確保、資本の効率的な活用、株主の皆様への還元を重視し、下記の指標を数値目標としております。
数値目標(連結) <最終年度(2025年3月期)>
2024年3月期は、世界的な需要の鈍化、とりわけ中国の景気低迷による需給関係悪化の影響が大きく、化学業界においては厳しい状況が続きました。2025年3月期は、半導体不況の底打ち及び回復が見込まれるなど、需要は徐々に増加に向かうことが期待されますが、一方、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の回復の遅れ、物価上昇による消費者マインドの悪化懸念、中東情勢の緊迫化等、懸念材料も多く、先行きは不透明な状況が続いております。
中計(2023年3月期~2025年3月期)の重要課題と対応状況につきましては以下のとおりです。
(最重要課題)
製品別営業利益を強く意識する姿勢が社員に着実に浸透し、販売面では、低採算品を中心に採算是正のための売価見直しを推進するなど、収益改善に向けた取り組みが進捗しております。また、生産面においても、数々の製品で工程見直しなどの合理化を実施し、コスト削減による採算改善を進めております。低採算品かつ他社との競合があり採算是正が難しい製品については、生産・販売の継続の是非を含め、見直しを進めております。
2023年度は、半導体不況の影響によって同分野の製品の販売量が減少し、2022年度に稼働を開始した新プラントの稼働率向上は計画比で遅れることとなりました。しかしながら、その間に、生産要員の教育、生産工程の自動化、適正在庫の確保、原材料の安定確保を目的とした冷蔵倉庫の新設など、需要回復時のV字回復に向けた準備を着実に進めてまいりました。先端製品の研究開発についても取り組みを強化し、先端製品の量産化等を目的とする既存プラント拡張工事が2024年6月に完工予定です。当社製品の供給能力増強に対する取引先からの期待は強く、2022年度に稼働した新プラントの二期増設工事についても、需要動向を見極め、好機を逃さないよう準備を進めてまいります。
2023年度は、中国の景気低迷により需要が振るわなかったことに加え、安全規制対応工事のために生産設備の稼働を一時停止した影響が大きく、同社の営業利益は赤字となりました。しかしながら、中国の景気低迷下、中国と日本との原料調達価格の差が拡大し、原料調達面で同社の優位性はより高まっております。同社は、大型の生産設備を有し生産性が高く、原料調達面の優位性も加わり、その利点を十分に活かすため、国内工場からの生産移管に注力しております。当社グループの生産体制の最適化を図り、競争力を高めるためには、同社の更なる活用が必須であり、それに伴って、同社の業績も早期に改善するものと見込んでおります。
(その他重要課題)
2023年11月に当社の重要課題(マテリアリティ)を決定し、各重要課題への具体的な取り組み内容や目標を定めて取り組んでおります。2023年度は、エネルギー消費の実態を把握するための計器の増設を概ね完了させるとともに、CO2排出量算定支援システムを新たに導入し、数値目標や長期計画の策定に向けた分析を進めております。生産工程においては、廃水削減や廃熱の回収・再利用、廃水処理場の運転最適化等の取り組みを進めております。2024年3月には労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001を新たに取得いたしました。また、環境負荷低減製品の開発においては、土木建築用薬剤等の製品開発に注力しており、販売実績化などの進捗がありました。
千葉工場における電子情報材料事業のウエイトを高めるための生産移管や、東邦化学(上海)有限公司の活用を拡大するための生産移管など、グループ全体の競争力を高めるための最適生産体制の構築が着実に進捗しております。四日市工場においては、樹脂エマルション製品の生産性向上と増産に向けた設備が完工するなど、生産移管に必要な設備の増設も進んでおります。昨今、中国等と日本との原料調達価格の差が拡大したことから、品質面・技術面で差別化が難しい汎用製品については、競合する中国等からの輸入品との競争が一層激化しております。その対策として、競争力の乏しい汎用製品については生産を縮小し、収益性の高い製品にシフトするなど、生産品の見直しを進めております。一例としては、鹿島工場や千葉工場における香粧分野製品(一般洗浄剤)の生産を大幅に減らし、空いた生産余力を活用すべく、鹿島工場では代替製品の生産に向けた貯槽の増設を行い、千葉工場では人的資源等を電子情報材料事業にシフトするなどの対応を進めております。
当社の強みである多分野・多品種にわたる様々な技術の組み合わせによる課題解決に取り組んでおります。その成果としては、ガラス繊維用の新製品の生産技術を確立し生産・販売を開始したことや、塗料用薬剤の開発が進捗したことなどが挙げられます。また、電子情報材料の先端製品の開発についても着実に進捗しているほか、ライフサイエンス領域では複数の製品が新たに販売に結びつきました。
人材教育により一層注力すべく、社員研修用のインターネットサイトを新たに作成し、eラーニング用コンテンツの充実を図るなどの取り組みを進めております。また、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正に伴う事務負担の増加に対しては、新たなシステムの導入や事務作業のアウトソーシングにより、間接部門の人員増抑制を図っております。生産面においては、自動運転プログラムの作成技術向上を図り、電子情報材料をはじめとして自動運転化の範囲を拡大させているほか、生産合理化によって各製品の生産時間を短縮するなど、省人化への取り組みを継続しております。
また、中計に掲げた課題に加え、2023年2月の当社サーバーに対する不正アクセス発覚以降、二度とこのような事態を起こさぬよう、情報セキュリティの強化に全力で取り組んでまいりました。外部専門家によるコンサルティングを受け、監視の強化とログイン認証の強化、データのバックアップの堅牢化を最重要視し、対策を実施したほか、社内規程類の整備や見直し等の施策を進めております。今後は、情報セキュリティをより一層強化するための取り組みと並行して、業務効率化・利便性向上に向けたITインフラの見直しについても、外部専門家の意見を参考にしつつ、実施してまいります。
2023年6月に発生した四日市工場のC9留分漏えい事故に関しては、再発防止策として、漏えい防止対策工事を行ったほか、作業方法の見直しや作業指示書・チェックリスト等の改訂、緊急時通報体制の見直しや通報訓練実施などの対策を行いました。更に、この事故の反省点を全工場に横展開し、安全総点検を実施いたしました。
当社グループでは、不正アクセス及びC9留分漏えい事故を立て続けに発生させたことを厳粛に受け止め、万全の再発防止策を講じ、信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいります。
「新三ヵ年中期経営計画」(2019年度~2021年度)初年度の2019年7月1日時点では、社外取締役を除く取締役8名のうち、50歳台は2名で、6名は60歳以上でした。2024年7月1日時点では、社外取締役を除く取締役8名のうち、1名が40歳台、4名が50歳台、3名が60歳以上となり、世代交代は着実に進捗しております。また、従来3名であった執行役員に、新たに50歳台前半から半ばの3名が加わります。引き続き執行体制の強化を図るとともに、経営人材の層をより厚くし、経営の中核を担うリーダーを育成することに力を注いでまいります。
当社を取り巻く事業環境の変化のスピードはますます加速し、グローバルベースでの競争が一段と激化しております。外部環境の変化のスピードに負けないスピード感を持つ人材の登用を積極的に進め、全社一丸となって厳しい環境に立ち向かい、業績の早期改善に向けて全力で取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、取締役会及びコンプライアンス・リスク管理委員会においてサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視・監督しており、サステナビリティ関連の取組状況を共有し、目標の設定や更なる改善に向けた議論等を実施する体制となっております。
サステナビリティに関する課題については、気候変動対応、人的資本・多様性、サプライチェーン、品質管理、事業継続・最適生産等を中心に、各部門及び部署がそれぞれ中期経営計画の目標としてサステナビリティに関する課題を掲げております。これらの課題は経営企画部が進捗状況を管理するとともに、定期的に取締役会及びコンプライアンス・リスク管理委員会に報告され、レビュー・評価を実施しております。
コンプライアンス・リスク管理委員会では、サステナビリティに係るリスクの識別や優先的に対応すべきリスクの絞り込み、サステナビリティ関連の機会の識別や評価及び優先順位付け等を実施し、重要なリスク及び重要と認識された機会については、執行役員会での協議を経て戦略、計画に反映させるとともに、取締役会へ報告し、監督を行ってまいります。
当社では、2023年11月に重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。マテリアリティの特定プロセス及び「リスクと機会」との関連性、各種社内方針及びSDGs等との関係については以下のとおりです。
<マテリアリティの特定プロセス>
Step1.課題の洗い出し
社会的な課題と企業理念、CSR憲章及びそれを補完すべく定めた各種方針に基づき、また国内外のCSR国際規格等(国連の持続可能な開発目標(SDGs)やISO26000など、国内外のCSR国際規格や各種ガイドライン)も参考にしながら、課題の洗い出しを行う。
Step2.マテリアリティの抽出
抽出された課題について、当社グループとステークホルダーの各視点から重要性を評価し、マテリアリティ分析マップに落とし込んでマテリアリティを抽出し、ESGの分類に分けて集約する。
〔マテリアリティ分析マップ〕※ (S)社会、(G)ガバナンス、(E)環境

〔抽出・集約されたマテリアリティ〕
① 製品を通じた豊かな社会づくりへの貢献
(生産合理化・最適生産体制構築、スピーディーな新製品開発、サプライヤー・ユーザーとの連携強化等)
② 人材の確保・育成及び幸福度の追求
(人事制度改革とエンゲージメント向上の推進、障がい者雇用の促進等)
③ レジリエントな組織と強固なガバナンス体制・リスク管理体制の構築
(サイバーセキュリティ対策の強化、コンプライアンス、リスクマネジメント、労働安全衛生・化学物質のリスク低減等)
④ 地球環境への配慮と保全
(GHG排出量・エネルギー使用量の削減、高効率な設備への更新、排水や廃棄物の削減、3Rの推進等)
Step3.マテリアリティの特定
抽出されたマテリアリティはコンプライアンス・リスク管理委員会に答申し、マテリアリティの該当性評価を実施し、最終的に取締役会において決議され、特定する。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりです。
・人材育成方針「採算意識とスピードに対する意識を持ち、国内外の職場で活躍できる人材の育成を目指す」
各種教育制度のほか、社員一人一人に活躍の場を与えて、チャレンジ意欲を喚起する職場環境の整備や、報いるべき社員にしっかり報いるメリハリの利いた人事制度への改訂を目指すなど、社員の成長を促す環境づくりに注力し、企業も個人も成長できる企業風土の醸成を進めてまいります。
・社内環境整備方針「女性・外国人・中途採用者等を区別せず、公平な業績評価、管理職登用、適所適材の人員配置に努め、ダイバーシティ(多様性)やワーク・ライフ・バランスの向上を目指す」
上記社内環境整備方針に基づく各種取り組みに加え、職場の安全衛生の向上、労働災害の発生件数の大幅な削減の実現に向けた取り組みの一環として、2024年3月末にISO45001の認証を取得いたしました。また、2023年より全社員を対象としたエンゲージメント調査を実施し、人的資本たる社員の意識を詳細に把握するとともに、調査結果を踏まえ各種制度や施策の策定に反映しております。
「脱炭素化へ向けた取り組み方針」に基づき、長期目標として「カーボンニュートラルの実現」を掲げ、その実現に向けて共通認識とスピード感を持って取り組んでおります。具体的な数値目標及びスケジュールについては当中期経営計画「TOHO Step Up Plan 2024」(2022年4月~2025年3月)期間中に策定予定です。
(a) 人的資本・多様性
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
なお、女性活躍推進法 一般事業主行動計画に定まる管理職に占める女性労働者の割合に関する目標は下記のとおりです。今後新たな指標及び目標の設定又は更新を実施する予定です。
目標:10.0%(目標設定期間 2026年6月まで)
当社単体の2023年度のGHG排出量の詳細は以下のとおりです。なお、具体的な数値目標及びスケジュールについては当中期経営計画「TOHO Step Up Plan 2024」(2022年4月~2025年3月)期間中に策定予定です。
サプライチェーン排出量算定について
・準拠ガイドライン
「GHGプロトコル」及び環境省・経産省発行「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(Ver.2.6)」に基づき算定しております。
・排出原単位
「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」及び「IDEA(Ver.2.3)」を使用しております。
・組織範囲
東邦化学工業株式会社(単体)
なお、今後は連結での排出量算定を進めていく予定です。
・算定範囲
Scope1、Scope2、Scope3 Category1~7
なお、Scope3 Category8・13・14・15については排出活動が存在しないことから、また、Scope3 Category9・10・11・12は算定に必要なデータ収集が困難であることから算定しておりません。
当社グループの経営活動において財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループは、このようなリスクに対処する体制等を「リスク管理規程」に定めるとともに、リスクを横断的に管理する組織として、代表取締役社長が委員長を務めるコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、主要製品分野の業界の需要が低迷した場合、売上高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、景気の悪化によって取引先の信用リスクが顕在化し、回収不能が発生した場合には、貸倒引当金や貸倒損失の計上等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの製品は、石油化学製品、油脂、化成品等を主な原料としており、その仕入価格は特に原油価格の変動の影響を強く受けております。原材料価格が高騰し、製品価格への転嫁が困難な場合や遅れた場合には、売上原価が増加し、利益が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っております。また、安全在庫の確保や原材料メーカーとの協力体制強化に努め、一部の重要な原材料については自製化の研究も進めております。しかし、原材料メーカーの被災・事故・倒産等による生産活動停止、サプライチェーンや物流の混乱・寸断等により、原材料の入手が困難になる可能性があります。そのような場合には、生産活動の停滞に伴う売上高の減少や、原材料価格の高騰による売上原価の増加により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場の操業停止によるマイナス影響を最小限にするため、安全教育の徹底のほか、すべての設備について日常点検と、シャットダウンしての定期的な点検を行い、耐震補強工事や津波・高潮対策工事も順次実施しております。さらに、汎用設備で生産可能な製品については順次複数工場での生産を可能とし、リスクの分散を図っております。しかし、一部の製品については専用設備でしか生産できず、しかも専用設備が単独の工場にしかないものもあります。これらの製品については、大規模地震等により工場の操業を停止する事象が発生した場合には、生産能力が著しく低下し、顧客への供給に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの国内生産能力の大部分は千葉県、神奈川県、茨城県の関東3県に位置しているため、関東広域にわたって甚大な被害を及ぼす災害が起こった場合は、それらの生産機能が同時に停止する可能性もあります。加えて、災害に伴いサプライチェーンや物流の混乱・寸断が発生した場合には、(2)②に記載の原材料の調達への影響のほか、顧客への出荷活動に悪影響を及ぼす可能性があります。それらの結果、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、危険物及び化学製品の取り扱いについて、事故発生の未然防止のため、すべての製造設備の定期的な点検の実施、安全教育の徹底、安全装置及び消火設備の充実等、安全操業体制の強化に日々取り組んでおります。しかしながら、万一、当社グループの工場において火災・爆発・化学物質の流出等の事故が発生し、当社グループの事業活動及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、社会的信用の失墜、補償等を含む事故への対応費用、生産活動の停止による機会損失等により、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対しては、従業員とその家族の安全と健康を最優先にした対策を徹底し、生産・販売・在庫・物流状況の把握などの施策を通じて影響の最小化を図ってまいりました。中国・上海市にある連結子会社2社については、2022年度に上海市のロックダウンによる影響を受けましたが、国内においては、事業活動に大きな影響が及ぶ事態は避けられました。しかしながら、今後新たな感染症が当社グループの従業員に発生し、拡大した場合、一時的な操業の停止等の結果、売上高が減少するなど、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
不測の事態によりシステム障害が発生し長期化した場合には、事業活動の停止や対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、情報の漏えい、滅失又は毀損が発生した場合には、社会的信用の失墜、ノウハウの流出又は逸失による競争力の低下、損害賠償責任の発生、対応費用の発生などにより、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
そのようなリスクがある中、2023年2月、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受けたことを確認し、専門家による調査の結果、当社が保有するデータの一部が外部に流出したことが確認されました。現在までに、情報の不正利用等の二次被害に関する報告はありませんが、当社としては引き続き、影響を最小限に食い止めるべく、本事案への対応を最優先課題として取り組んでまいります。また、二度とこのような事態を起こさぬよう、情報セキュリティの強化に全力で取り組んでおります。
当社グループは、独自性を有する技術力の強化による製品の差別化、生産性の改善による価格競争力の向上、品質管理の厳格化や納期厳守等による顧客からの信頼獲得等、競争優位性の維持・向上に努めております。また、当社グループが生産する製品の種類は多く、さまざまな分野や用途で使用されており、特定の製品の売上・利益が変動することで業績が左右されるリスクは抑えられております。しかしながら、海外安価品の流入等による価格競争の激化、新興国企業の台頭、競合他社の急速な技術力アップ、当社が製品を販売している化学品メーカーにおける当該製品の自製化等、環境の変化により、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
また、当社グループの新技術・新製品の開発期間が長期化し、顧客のニーズに適時・適切に対応できない場合や、生産性の改善が進まない場合にも、当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。それらの結果、売上高の減少や利益率の低下による利益の減少等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
東邦化学(上海)有限公司は、2014年4月に商業生産を開始し、黒字化実現に当初想定以上の時間を要しましたが、2019年度に操業開始以来初の営業損益黒字化を、2020年度には初の経常損益黒字化を達成しました。しかしながら、2021年度はコロナ禍に加え、中国国務院の査察により生産停止指示を受け、約3ヵ月間生産を停止したことから営業損益は赤字となりました。2022年度も上海市のロックダウンや近接する他社の爆発火災事故などの不測のマイナス要因があり、営業損益の黒字回復は果たしたものの、利益は低水準にとどまりました。2023年度は、中国の景気低迷により需要が振るわなかったことに加え、安全規制対応工事のため生産設備の稼働を一時停止した影響が大きく、営業損益は赤字となりました。
現在、中国を中心とした海外市場の開拓、開発案件の早期実績化、国内工場からの製造移管、2020年8月に完工した第2期増設設備の稼働率向上等に注力しておりますが、投資額に見合う業績の拡大を果たせない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同社の業績の悪化や保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、同社の固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは製品の一部を中国で生産しており、中国を中心に、アジア、欧米などの海外市場に向けて販売しております。中国において、政治・経済情勢の悪化、予期しない法律・規則の変更、人材の採用・確保の困難、テロ・戦争・労働争議その他の社会的混乱の発生、治安の悪化、感染症の流行等のリスクが顕在化した場合、中国に所在する連結子会社3社の生産活動や販売活動に悪影響を及ぼし、売上高の減少やコストの増加等、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に足許の懸念材料としては、中国国内の環境面や安全面での規制強化が進むことや、世界経済のブロック化により貿易が停滞すること、台湾情勢の緊迫化等により日中関係が悪化することなどが、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性のあるものとして挙げられます。
当社グループの在外連結子会社の財務諸表は、連結財務諸表作成のため円換算しておりますが、その円換算額は為替相場の動向に左右されます。在外連結子会社3社はすべて中国に所在しているため、日本円と中国元との間の為替相場に大幅な変動が生じた場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループには2024年3月末時点で30,265百万円の借入金・社債・リース債務を含む有利子負債があります。借入金に係る金利変動リスクに対しては金利スワップの活用等によりリスクの低減を図っておりますが、市場金利が上昇した場合、支払金利が増加し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社グループと金融機関との取引関係は長期間にわたり安定的に推移しておりますが、金融市場の変動や当社の信用状態の変化によって、当社グループが必要とする金額の資金調達を金融機関から適時に行うことができない場合、当社グループの資金繰りに大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、工場における生産活動に関し、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得し、各種製品の製造及び品質管理を行っております。また製造物責任賠償保険にも加入しております。しかしながら、将来的にすべての製品に欠陥がなく、不良品が発生しない保証はありませんし、この保険が、最終的に負担する賠償額をすべてカバーできるとも限りません。このような保険金額を上回る損害賠償や、大規模なクレームを引き起こす欠陥は、多額のコスト発生による利益の減少や、当社グループの評価・信用の悪化に伴う売上減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、研究開発活動で得た当社グループ独自の技術・ノウハウについて、特許出願や営業秘密の外部流出防止策徹底により知的財産の保護を行っております。しかしながら、「(4)情報セキュリティに関するリスク」にも記載のとおり、2023年2月、当社のサーバーが第三者による不正アクセスを受けたことを確認し、専門家による調査の結果、当社が保有するデータの一部が外部に流出したことが確認されました。当社から流出した当社独自の技術・ノウハウが不正利用され、当社グループの競争力が低下した場合、売上高の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、新たな技術・製品の開発に当たっては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で、独自の技術・製品を開発しておりますが、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして係争が生じた場合、売上高の減少やコストの増加等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、「脱炭素化へ向けた取り組み方針」を定め、長期目標として「カーボンニュートラルの実現」を掲げております。CO2排出量の抑制につながる省エネ・省資源対策を中心に取り組んでおりますが、各国政府により温暖化ガス排出量取引が本格的に導入された場合や炭素税が適用された場合には、直接的なコストが増加する可能性があるほか、それらを原因とした原燃料価格や電力価格の上昇も危惧されます。加えて、再生可能エネルギーやバイオマス原料・燃料の使用割合を増やす必要が生じた場合には、それに伴ってコストが増加する可能性があります。また、当社グループは、環境負荷低減製品の開発にも注力しておりますが、化石燃料由来品の使用見直し等、顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業に大きなマイナス影響が生じる可能性があります。さらに、気候変動に対する当社グループの取り組みが不十分とみなされた場合には、社会的信用が低下し、売上高の減少等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けております。当社グループでは、すべての法律、規制の遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「東邦化学工業グループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含め、コンプライアンス体制の構築に努めております。しかし、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、売上高の減少やコストの増加等により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、人材戦略を事業活動における最重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しております。多様な人材の積極的な採用や育成を通じた最適な人材の確保、生産工程の省人化等による人的資源の有効活用に努めておりますが、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、または機会損失が生じるなど、売上高の減少により当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、社会経済活動の正常化が進んだことから、緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、世界的な金融引き締めや物価上昇による消費意欲の冷え込み、中国経済の停滞、ロシア・ウクライナ問題の長期化や中東情勢の緊迫化などにより、世界経済は厳しい状況となりました。
化学業界におきましては、世界的な需要の鈍化、とりわけ中国の景気低迷による需給関係の悪化がマイナス要因となり、厳しい状況が続きました。
このような経営環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、海外の自動車関連や電子情報材料関連をはじめとする需要の低迷や、原料不足による石油樹脂の減産、香粧原料の大口ユーザー向け販売の減少等により、前期比4,764百万円、8.6%減収の50,596百万円となりました。
損益面につきましては、営業利益は771百万円となり、前期比大幅減益(44.3%減益)となりました。上期は、売上高の減少による収益へのマイナス影響が大きく、加えて人件費・設備費等の固定費の増加や2023年2月26日に発覚した当社サーバーへの不正アクセスに係る対応費用及び情報セキュリティ強化対策費用の発生もあり、上期の営業利益は256百万円にとどまりました。下期においても、主原料の値上がりや当社連結子会社東邦化学(上海)有限公司での安全規制対応工事の実施といったマイナス要因がありましたが、一方、製品価格の値上げや生産性改善等の採算改善への取り組みを進めたことや、第4四半期には電子情報産業用微細加工用樹脂等で売上高が前年同期を上回るなど製品需要にやや回復の兆しが見えはじめたことから、下期の営業利益は上期対比では改善し、514百万円となりました。また、経常利益は、前期比435百万円減益の743百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比430百万円減益の546百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(界面活性剤)
香粧原料は、一般洗浄剤の大口ユーザー向け販売の減少により25億円弱の大幅な減収となりました。プラスチック用添加剤は、上期において帯電防止剤等の販売が振るわず、下期の売上高は前年同期並みに回復したものの、通期では減収となりました。土木建築用薬剤は、下期においてコンクリート用関連薬剤の販売が振るわず減収となりました。農薬助剤は、国内外ともに主に上期の販売が低調で減収となりました。繊維助剤は、中国での販売がやや回復し増収となりました。紙パルプ用薬剤は、販売数量は減少したものの、製品売価の上昇により増収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比2,487百万円、8.3%減収の27,574百万円となり、セグメント利益は、前期比346百万円減益の427百万円となりました。
(樹脂)
石油樹脂は、原料不足による大幅な減産の影響で、特に上期は前年同期比5割超の大幅減収となりましたが、下期は上期に比べると状況が改善し、通期では前期比3割強の減収となりました。合成樹脂は、上期において自動車部品向け等の販売が減少し、下期は前年同期比増収となったものの、通期では減収となりました。樹脂エマルションは、ガラス繊維用薬剤等の販売伸長により増収となりました。アクリレートは、中国における電子情報材料関連の需要の落ち込みを主因に、上期は前年同期比4割超の大幅減収となり、下期は上期対比では販売は回復したものの、通期でも3割近い減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比992百万円、20.0%減収の3,964百万円となり、セグメント利益は、0百万円(前期は8百万円の損失)となりました。
(化成品)
合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、海外の自動車関連需要の落ち込みの影響があり、加えてロジンの相場価格下落に伴う製品単価の値下がりもあり、上期は前年同期比4割超の減収となりましたが、下期には販売数量が前年同期に近い水準まで回復し、通期では前期比3割弱の減収となりました。金属加工油剤は、上期において水溶性切削油剤等の販売数量が減少したものの、下期の販売数量は前年同期並みに回復し、製品売価の上昇により増収となりました。石油添加剤は、上期において国内外ともに販売が低調で、下期は前年同期比増収となったものの、通期では減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比998百万円、14.4%減収の5,935百万円となり、セグメント利益は、前期比125百万円減益の9百万円となりました。
(スペシャリティーケミカル)
溶剤は、ブレーキ液基剤や液晶関連等の需要回復により増収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、特に第2四半期から第3四半期にかけて半導体不況によるマイナス影響が大きく、第4四半期は前年同期比増収と回復の兆しが見えたものの、通期では減収となりました。
その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比275百万円、2.1%減収の12,997百万円となり、セグメント利益は、前期比10百万円減益の407百万円となりました。
なお、上記の各セグメント利益の前期比の数値は、(セグメント情報等)「報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報」の表における「報告セグメント」の比較情報です。
加えて、報告セグメントに含まれないその他の事業セグメント(環境調査測定・分析業務等)の営業利益が6百万円、各セグメントに帰属しない調整額(棚卸資産の調整額等)が△80百万円(前期は44百万円)あります。
当連結会計年度末の総資産は、69,936百万円と前期比1,985百万円の増加となりました。その内訳は、流動資産が1,157百万円増加の38,126百万円、固定資産が827百万円増加の31,810百万円です。
流動資産の主な増減要因は、現金及び預金が675百万円の増加、受取手形が382百万円の増加、商品及び製品が106百万円の増加、原材料及び貯蔵品が137百万円の減少、その他(流動資産)が未収入金の増加を主因に193百万円の増加です。
固定資産の主な増減要因は、有形固定資産が126百万円の増加、無形固定資産が75百万円の減少、投資その他の資産が777百万円の増加です。
一方、負債合計は50,776百万円と前期末比590百万円の増加となりました。主な増減要因は、流動負債で、支払手形及び買掛金が643百万円の減少、1年内償還予定の社債が500百万円の減少、未払法人税等が169百万円の減少、その他(流動負債)が未払消費税等や設備関係支払手形の増加を主因に932百万円の増加、固定負債で、社債が300百万円の減少、長期借入金が273百万円の増加、リース債務が758百万円の増加、退職給付に係る負債が170百万円の増加です。
純資産は、19,160百万円と前期末比1,395百万円の増加となりました。主な増減要因は、利益剰余金が、配当金の支払いと親会社株主に帰属する当期純利益との差額の231百万円の増加、その他の包括利益累計額が、その他有価証券評価差額金と為替換算調整勘定の増加を主因に1,164百万円の増加です。
その結果、自己資本比率は27.3%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により3,402百万円の増加、投資活動により1,928百万円の減少、財務活動により900百万円の減少となり、その結果、前連結会計年度末に比べ675百万円増加し、当連結会計年度末には6,558百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは3,402百万円の収入(前期比1,702百万円の収入増)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益722百万円、減価償却費2,954百万円、退職給付に係る負債の増加額143百万円、棚卸資産の減少額114百万円等であり、支出の主な要因は、売上債権の増加額177百万円、仕入債務の減少額758百万円、法人税等の支払額396百万円等であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,928百万円の支出(前期比2,663百万円の支出減)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,914百万円等であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは900百万円の支出(前期は1,417百万円の収入)となりました。収入の主な要因は、長期借入金の純増額294百万円、セール・アンド・リースバックによる収入300百万円等であり、支出の主な要因は、社債の償還による支出800百万円、リース債務の返済による支出317百万円、配当金の支払額315百万円等であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況について)
売上高は、海外の自動車関連や電子情報材料関連をはじめとする需要の低迷や、原料不足による石油樹脂の減産、香粧原料の大口ユーザー向け販売の減少等により、前期比4,764百万円、8.6%減収の50,596百万円となりました。
セグメント別の売上構成は、界面活性剤54.5%(前期は54.3%)、樹脂7.8%(同9.0%)、化成品11.7%(同12.5%)、スペシャリティーケミカル25.7%(同24.0%)、その他0.2%(同0.2%)となっております。
売上総利益は、売上高総利益率が13.5%と前期比0.3%改善したものの、減収によるマイナス影響により、前期比456百万円減益の6,836百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、2023年2月26日に発覚した当社サーバーへの不正アクセスに係る対応費用及び情報セキュリティ強化対策費用の発生等により156百万円増加しました。その結果、営業利益は前期比613百万円減益の771百万円となりました。
営業外損益は、支払利息等により27百万円のマイナス(前期は205百万円のマイナス)となり、その結果、経常利益は前期比435百万円減益の743百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比430百万円減益の546百万円となりました。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について)
外部要因として、お取引先の業界の景況と原材料価格の動向、内部要因として東邦化学(上海)有限公司の業績の動向が挙げられます。
当社のお取引先は、幅広い業界に亘っており、各業界の景況並びにそこでのお取引先の業績の状況が販売実績に影響します。当連結会計年度は、中国をはじめとする世界的な需要の鈍化により、海外の自動車関連や電子情報材料関連をはじめ多くの業界において販売は低調となりました。
東邦化学(上海)有限公司につきましては、当連結会計年度は、中国の景気低迷により需要が振るわなかったことに加え、安全規制対応工事のために生産設備の稼働を一時停止した影響が大きく、営業利益は赤字となりました。しかしながら、中国の景気低迷下、中国と日本との原料調達価格の差が拡大し、原料調達面で同社の優位性はより高まっております。同社は、大型の生産設備を有し生産性が高く、原料調達面の優位性も加わり、その利点を十分に活かすため、国内工場からの生産移管に注力しております。
その他、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業運営に必要な資本の財源及び流動性については、自己資金のほか借入金等の有利子負債を活用し、全体のバランスをみながら安定的に確保することを基本方針としております。このうち有利子負債の調達に関しましては、短期運転資金については、短期借入金、受取手形割引等により、設備投資資金や長期運転資金については、長期借入金や社債及びリースにより、資金調達をしております。
今後の重要な資本的支出の予定は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除去等の計画」に記載のとおりですが、その資金調達に関しましても、上記方針に則り調達を実施する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金・社債・リース債務を含む有利子負債の残高は30,265百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,558百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが3,402百万円のプラスとなりました。一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが1,928百万円のマイナスとなりましたので、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は1,474百万円のプラスと、6期ぶりのプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、900百万円のマイナスとなりました。その結果、現金及び現金同等物は675百万円の増加となっております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注1)
・自己資本比率:自己資本÷総資産
・時価ベース自己資本比率:株式時価総額÷総資産
・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷支払利息
(注2)
・各指標は、連結ベースの財務数値より算出しております。
・株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
・有利子負債は連結貸借対照表に計上されている社債・借入金の合計額を対象としております。
・支払利息は連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について)
当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」(以下「中計」という。)において、売上高、営業利益、売上高営業利益率、純資産額、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、1株当たり配当額の7つの指標を数値目標としております。
各指標の2025年3月期の目標値(中計で掲げた目標値)と2024年3月期の実績は下記のとおりです。
当連結会計年度は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は前期比8.6%の減収となり、営業利益は大幅減益(44.3%減益)となりました。その結果、売上高営業利益率は1.5%となり、前期比1.0%低下いたしました。純資産額は、利益剰余金の増加に加え、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定が増加したことがプラス要因となり、前期末比1,395百万円増加いたしました。自己資本比率は、純資産額の増加により前期末比1.3%改善いたしました。ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益となったことに伴って低下し、3.0%となりました。1株当たり配当額は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比減益であったものの、株主の皆さまへの収益還元を重視し、また、2025年3月期以降の業績回復を見込み、前期比2円増配の17円配当といたしました。
2025年3月期は、半導体不況の底打ち及び回復により、電子情報産業用の微細加工用樹脂の販売伸長が期待されます。また、その他の分野も全般的に、製品需要は緩やかに回復に向かうものと見られます。一方、海外メーカーとの競合等、厳しい環境は続くものと見られますが、2025年3月期は、2024年3月期に落ち込んだ業績を確実に2023年3月期以前の水準まで回復させることに全力を挙げてまいります。中計に掲げた数値目標の達成は難しい状況にありますが、業績改善に向けた足場を固めるため、引き続き中計に掲げた重要課題に全力で取り組んでまいります。(中計の重要課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)対処すべき課題」に記載しております。)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社の財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
当社グループは、棚卸資産の評価基準及び評価方法として移動平均法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。
当社グループの保有する棚卸資産は、経済環境の影響を受けて価格が大きく変動する傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、棚卸資産の簿価を切り下げ、売上原価を増加させることになります。
当社グループは、投資有価証券の期末における時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当社グループの規定に基づき回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能額が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒の損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率については、過去3期の貸倒実績に基づき算出しております。顧客の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合等、追加引当が必要となる可能性があります。
当社グループは、退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び死亡率などがあります。それぞれの前提条件は、現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されております。退職給付費用及び債務の計算に影響を与える最も重要な前提条件は、割引率です。当連結会計年度の退職給付費用の計算に適用した割引率は0.6%です。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の利回りなどを考慮して決定しています。
なお、一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり簡便法を採用しております。
退職給付費用及び債務の計算の前提条件と実際の結果に差異が生じた場合や、前提条件自体が変更になった場合、退職給付債務及び将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を十分に検討し、回収可能と判断した額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、当連結会計年度末における将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減することができる範囲内で繰延税金資産を計上しております。課税所得の見積りは、取締役会の承認を得た事業計画を基礎としております。
事業計画における主要な仮定は、原料価格、製品の販売数量及び販売価格であります。当該仮定に変動が生じ、課税所得の見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。また、税制や税率が変更された場合、繰延税金資産の回収可能性の評価に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについて、帳簿価格を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損損失を判定するに当たりましては、販売・生産拠点を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候を判定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化による収益性の変動等により、想定していた投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合、減損処理を実施し、減損損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社追浜研究所、千葉研究所の2つの研究開発機関で行っております。
当連結会計年度は、15%に相当する要員を研究開発に充て、界面活性剤、樹脂、化成品及びスペシャリティーケミカルを含む機能性化学薬品の研究開発を推進しております。
これに要した研究開発費の総額は
なお、研究開発費はセグメント別に関連づけられないものもあるため、セグメント別の研究開発費の金額は記載しておりません。
主な研究開発
当セグメントは、香粧原料、プラスチック用添加剤、土木建築用薬剤、農薬助剤、繊維助剤、紙パルプ用薬剤などの多岐用途に渡ります。
高機能・高付加価値製品の開発を進め、香粧原料分野ではスキンケアポリマー等の化粧品用原料の製品開発、土木建築用薬剤分野では低炭素、低環境負荷建設材料向け薬剤の製品開発、プラスチック用添加剤分野は耐久性ポリマー型プラスチック添加剤の製品開発を主に行っております。
香粧原料は家庭用洗剤原料の開発品が引き続き販売に結びついております。またスキンケアの需要が高まり開発した新製品が新たに採用に結びつきました。
プラスチック用添加剤は海外食品個包装の要求に応じたプラスチック用添加剤、乳化重合用薬剤が引き続き販売に結びついております。また顧客要望に合わせた製品開発を進めております。
土木建築用薬剤は開発した低環境負荷建設材料向け薬剤が引き続き販売に結びついております。コンクリート用環境対応薬剤が環境へのニーズが高まり採用となりました。物流負荷が軽減される新たな高濃度開発品が採用に結びつきました。
農薬助剤は除草用助剤、殺虫剤用助剤の開発品は夏日増加に伴い需要が堅調であり引き続き採用に結びついております。
繊維助剤は海外向け開発製品が引き続き販売に結びついております。また海外向け染色助剤、精練剤原料の開発に注力し新たに採用に結びつきました。
紙パルプ用薬剤は段ボール、古紙リサイクル関連薬剤、化粧板原紙関連薬剤が引き続き販売に結びついております。また海外向け開発に注力し抄紙用消泡剤が採用に結びつきました。その他、インキ顔料用薬剤、水処理関係薬剤の開発を進めております。今後も国内外の顧客要求に合わせた新製品の開発と生産性向上に取り組んでまいります。
(2) 樹脂
当セグメントは、合成樹脂、樹脂エマルション及びアクリレートに関する研究開発に取り組んでおります。
合成樹脂では、特に地球温暖化防止に寄与する樹脂の開発に注力しております。その結果、顧客の要求に合わせて前期までに研究完成したウレタンフォーム断熱材の原料は引き続き販売に結びついております。さらに、今期は顧客の要求に合わせて研究開発した親水性ウレタン樹脂が販売に結びつきました。今後の需要確保と国内外の顧客の要求、地球温暖化防止に寄与する新製品の研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
樹脂エマルションでは、インク用添加剤、鋼板処理表面の処理剤の開発に注力しております。その結果、今期は顧客の要求に合わせて研究開発したインク用添加剤が販売に結びつきました。また、顧客要求に合わせて前期までに研究完成したガラス繊維集束剤は引き続き販売に結びついております。今後の需要確保と国内外の顧客の要求に合わせた新製品の研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
アクリレートは前期までに研究完成したプリント配線基板向け感光性材料が市況の影響を受けながらも引き続き販売に結びついております。また、顧客の要求に合わせた新規開発品の検討も行っております。今後も既存製品の需要拡大に備えた生産性の向上と新しい生産技術の確立に取り組んでまいります。
当セグメントは石油添加剤、金属加工油剤に関する研究開発に取り組んでおります。
石油添加剤では、解乳化剤、流動点硬化剤、粘度指数向上剤などの様々な原油薬剤の開発に注力しております。その結果、顧客の要求に合わせて前期までに研究完成した原油薬剤が販売に結びついております。さらに、顧客の要求に合わせて研究開発した原油薬剤が販売に結びつきました。今後の需要確保と顧客の要求に合わせた新製品の研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
金属加工油剤では、顧客の要求に合わせて前期までに研究完成した金属部品用洗浄剤が引き続き販売に結びついております。今後の需要確保と顧客の要求に合わせた研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
(4) スペシャリティーケミカル
当セグメントは溶剤、電子情報産業用の感光性微細加工用樹脂の研究開発に取り組んでおります。
溶剤では、汎用溶剤、高純度溶剤、ブレーキ液基剤など様々な用途で用いられる溶剤の研究開発と生産合理化に取り組んでおります。その結果、前期までに研究完成したグリコールジエーテルは引き続き販売に結びついております。また、既存品の生産合理化も実施いたしました。今後の需要確保と顧客の要求に合わせた研究開発と既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。
電子情報産業用の感光性微細加工用樹脂では、汎用の樹脂から更なる高機能を求められる次世代向け樹脂の研究開発に幅広く取り組んでおります。その結果、顧客の新しい要求に合わせて前期までに研究完成した感光性微細加工用樹脂は引き続き販売に結びついております。また、顧客の新しい要求に合わせて研究開発した次世代半導体向け感光性微細加工用樹脂が販売に結びつきました。
今後の需要確保と顧客の新しい要求に合わせた新製品の研究開発と顧客の更なる需要拡大に備えた生産体制強化並びに既存製品の生産性向上に取り組んでまいります。