文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社グループを取り巻く世界経済環境は、各国の通商政策による貿易摩擦の激化、中国やアジア新興国経済の先行き不透明感などにより、景気減速が懸念される状況が続いております。また、世界的な環境規制の強化、化学品規制の動向、金融資本市場の変動、原油価格の乱高下など、引き続き注視が必要な状況が続いております。また、国内経済は、企業収益が底堅く推移しているほか、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復が続いているものの、今後も不確実な世界経済の影響を受けるものと予想されます。
このような中、当社グループは、永続的成長に向けて2025年までの全社基本ビジョンを「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー 」と掲げ、2019年度を最終年度とする当中期経営計画期間を「改変期」とし、激変する経営環境に左右されない強固な経営基盤の構築を図っているところであります。そして、中期経営目標達成のため、「イノベーションの推進」「グローバルネットワークの強化と拡大」「『勝ち続ける』経営基盤の構築」の3つの全社経営戦略のもと、次の課題に取り組んでまいります。
<イノベーションの推進>
当社グループの更なる成長のためには、既存事業でのイノベーションと、主力事業である繊維加工用薬剤事業、化粧品事業に次ぐ将来の事業の柱となる新規事業の創出が不可欠であると認識しております。
当社グループは、2017年に開所した研究開発の中核拠点「NICCA イノベーションセンター」(以下「NIC」)を軸に、より一層ビジネスパートナーとの距離を縮め、社内外の情報やアイデアを組み合わせることで、新しい製品と事業の創出を加速してまいります。また、NICを産官学連携のプラットフォームとして活用することで、既存主力事業分野はもとより、環境、電子材料、医療・福祉、自動車、先端素材など各分野でのオープンイノベーションを推進し、早期事業化を目指してまいります。
<グローバルネットワークの強化と拡大>
当社の強みであるグローバルネットワークを進化させることで、顧客基盤を拡充してまいります。
アジアを中心に展開するグループ各社の顧客対応力を高めるとともに、グループ間の連携をより強化することで、お客様と強固なパートナーシップを構築してまいります。また、新興国など新しいエリアにおいても、大胆に事業展開していくことで業容拡大を図ってまいります。
<『勝ち続ける』経営基盤の構築>
最重要課題である「イノベーションの推進」による業容拡大とともに、為替など外部環境に左右されない強い体質を構築してまいります。
生産機能の集約、コストダウンの推進等により経営効率を高め、人事制度改革、グローバル財務戦略の確立、グループITインフラの戦略的活用等により、経営資源を最大限に活用する体制を整えてまいります。
当社グループは、上記諸施策に加え、コーポレート・ガバナンスの強化及び社会と環境に配慮した経営を推進するとともに、お客様、株主の皆様、そして社会から信頼され選ばれる企業を目指し、長期的な成長の実現と一層の企業価値向上を図ってまいります。
当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)海外展開とカントリーリスクについて
当社グループは12社の海外拠点を持ち連結売上高に占める海外売上高は40%を超えており、高い水準で海外市場に依存しております。従って、為替相場の影響を受けやすい状況にあります。当社グループは、外貨建ての債権と債務のバランスを考慮するほか、外貨建て債権の回収サイトの短縮化に努めており、その影響を最小限に抑えることができると考えておりますが、急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは複数の新興国において事業を展開しており、地域を分散させることでカントリーリスクの回避に努めておりますが、政治及び経済の急激な変動やテロ、暴動等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2)有利子負債への依存について
当社グループの有利子負債(短期借入金及び長期借入金)残高は、178億8千1百万円と総資産に対して31.6%となっており有利子負債への依存度が幾分高い水準にあります。現在、当社グループは有利子負債の削減に努めておりますが、今後の金融市場の動向により資金調達コストの急激な上昇があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、運転資金などの必要資金を主に金融機関からの借入により調達しているため、金融機関からの借り換えが出来ない場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務制限条項について
当社は事業資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関複数行との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。これらに抵触した場合、該当する借入金の一括返済及び契約解除のおそれがあり、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の市場変動の影響について
当社グループの生産のために調達する原材料は石油化学品の割合が高く、石油の国際市況の影響を受けやすい状況にあります。天然物及び石油関連原材料の割合が高く、需給バランス、天候不順、為替レートの変動に伴い市況価格が変動します。当社グループでは納入業者との共存体制の強化を図るとともに、コストダウンを推進し顧客対応力及び技術革新力による高付加価値製品の上市等により利益確保を図ってまいりますが、石油市況が急激に上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の欠陥について
当社グループは、全ての化学品生産拠点において品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得し、また、全ての化粧品生産拠点において化粧品製造・品質管理の国際規格ISO22716の認証を取得しており、製品品質の向上に努め各製品の製造をしておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来クレームが発生する可能性が全くないという保証はありません。製品の欠陥は当社グループの評価に影響を与え、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制について
現在、国内外ともに人間の健康や環境保護に対し様々な法令が制定がされており、特に環境面に関しては世界的な意識の高まりを受け、より法的規制が強化されております。
当社グループの事業活動においては、化学品及び化粧品の化学物質の管理関連、製品製造関連、国内外への製品輸送関連をはじめとし、内部統制関連、労務関連、及び取引関連の法令などの数多くの規制を受けております。
当社グループでは、これら法規制を確実に遵守するのは勿論のこと、品質や環境に関するISO基準の運用により活発な改善活動を進めています。
しかし、これらの関連規制に加え、諸外国における同様の規制の追加及び変更が実施される場合や、当社グループの事業活動を継続するにあたっての主要な許可の取消しを受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)生産設備の毀損等について
当社グループは、日本及び海外に多くの生産拠点を構えており、火災等の事故発生リスクを抱えております。そのため、安全衛生委員会活動等の事故防止対策に積極的に取り組んでおります。また、不慮の事故が発生した場合にも十分な生産対応能力を有しておりますが、重大な災害や大規模地震等の自然災害等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)におけるわが国経済は、豪雪、豪雨、台風、地震等の相次ぐ自然災害の発生による影響があったものの、企業収益が堅調に推移したほか、雇用情勢の改善や設備投資などが底堅く推移したことから、全体としては緩やかな回復基調が持続しました。一方、世界経済は、各国の通商政策による貿易摩擦の激化、中国やアジア新興国経済の先行き不透明感などにより、景気減速が懸念される状況が続いております。また、世界的な環境規制の強化、化学品規制の動向、人件費の上昇、金融資本市場の変動、原油価格の乱高下など、引き続き注視が必要な状況であると認識しています。
このような状況のもと、当社グループは化学品事業において、日本国内での積極的な新規事業展開や、中国をはじめとする東アジア地域での事業拡大、新規開拓を行いました。化粧品事業においては、主力のデミ コスメティクスでの商品リニューアルや、山田製薬株式会社における化粧品ODM事業、韓国をはじめとする東アジア地域での積極的な事業展開を進めました。
この結果、売上高501億8千8百万円(前連結会計年度比3.5%増)、営業利益23億1百万円(同8.8%増)、経常利益24億3千万円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24億5千8百万円(同77.1%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
(化学品事業)
化学品事業には、当社グループの主力である繊維加工用薬剤の他に情報記録紙用薬剤、樹脂原料、業務用クリーニング薬剤、医療・介護施設向け薬剤及びその他機能性化学品が含まれております。
売上高は355億2百万円(前連結会計年度比0.8%増)、セグメント利益は19億5百万円(同1.0%増)となりました。
繊維加工用薬剤の新規案件獲得に加え、製紙用薬剤、非イオン活性剤、機能性樹脂製品の販売が堅調に推移した一方、中国原料供給停止により情報記録紙用薬剤の販売が影響を受けました。連結子会社では、大智化学産業株式会社における半導体市場向け製品の販売が好調であったことに加え、海外では、中国やベトナムにおける新興市場の開拓等が業績に寄与した一方、為替による影響を受けました。これらの結果、売上高及びセグメント利益ともに微増となりました。
(化粧品事業)
化粧品事業はヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤、スキャルプケア剤及びスタイリング剤が主な取扱品であります。
売上高は139億7千7百万円(前連結会計年度比11.9%増)、セグメント利益は22億8千5百万円(同10.7%増)となりました。
国内美容サロン業界全体の伸び悩みに伴い、国内サロン向け化粧品の販売環境は軟調に推移しましたが、当社デミ コスメティクスにおいて主力ヘアケアブランド拡販に注力したことにより、イーラル株式会社とも合わせて国内サロン向け化粧品の販売が増加しました。また、連結子会社では山田製薬株式会社における化粧品ODM事業や、DEMI KOREA CO.,LTD.における販売も引き続き好調であった結果、売上高及びセグメント利益ともに増加となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動によるキャッシュフロー13億1千2百万円の支出、営業活動によるキャッシュ・フロー27億2千6百万円の獲得、財務活動によるキャッシュ・フロー19億2千8百万円の支出により、前連結会計年度末に比べ、7億8千1百万円減少し、当連結会計年度末には72億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は27億2千6百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益61億5千1百万円、減価償却費19億8千2百万円を計上し、仕入債務の増加による収入5億6千4百万円、売上債権の減少による収入1億3千万円がありましたが、たな卸資産の増加による支出17億9千万円、固定資産処分益35億5千3百万円、法人税等の支払12億8千1百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は13億1千2百万円となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出28億6千9百万円、有形固定資産の取得による支出39億4千8百万円、有形固定資産の売却による収入43億3千万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は19億2千8百万円となりました。
これは主に、借入の返済による支出12億2千4百万円、配当金の支払6億9千1百万円等があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
36,446 |
97.2 |
|
化粧品(百万円) |
3,587 |
84.7 |
|
報告セグメント計(百万円) |
40,034 |
96.0 |
|
合計(百万円) |
40,034 |
96.0 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、生産活動になじまないため記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.製商品仕入実績
当連結会計年度の製商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
3,051 |
87.1 |
|
化粧品(百万円) |
1,309 |
127.5 |
|
報告セグメント計(百万円) |
4,360 |
96.3 |
|
合計(百万円) |
4,360 |
96.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、仕入実績はありませんので記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、主として、販売計画、生産状況を基礎とした見込生産を行っており、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
35,502 |
100.8 |
|
化粧品(百万円) |
13,977 |
111.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
49,480 |
103.7 |
|
その他 |
708 |
91.0 |
|
合計(百万円) |
50,188 |
103.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としており、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測をしておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り・予測と異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、15億3百万円増加し565億9千7百万円となりました。主な要因は有形固定資産の増加10億4百万円、現金及び預金の増加12億4千6百万円及び受取手形及び売掛金の減少4億1千万円であります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、4億4千8百万円減少し330億3千2百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加4億3千7百万円、未払法人税等の増加1億8千万円、借入金の減少12億9千3百万円であります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産につきましては、利益剰余金の増加22億7百万円、為替換算調整勘定の減少7億6千7百万円、退職給付に係る調整累計額の減少2千8百万円及び非支配株主持分の増加7億3千8百万円等により、前連結会計年度末に比べ19億5千1百万円増加の235億6千5百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の34.4%から35.6%となりました。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ16億9千5百万円(前連結会計年度比3.5%)増加し、501億8千8百万円となりました。
国内販売は、化粧品事業が伸長したこと等により、前連結会計年度と比較して13億5千2百万円(同5.5%)増加の259億9千2百万円となりました。海外販売は、主に化学品事業における中国、ベトナムでの販売好調や化粧品事業における韓国の増加した一方、為替による影響を受け、前連結会計年度に比べ3億4千2百万円(同1.4%)増加し、241億9千6百万円となりました。
なお、セグメントの概況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
営業利益は、化粧品事業において販売好調による利益の増加したこと等から、前連結会計年度に比べ1億8千5百万円(同8.8%)増加し、23億1百万円となりました。
経常利益は、前連結会計年度に比べ2億5千8百万円(同11.9%)増益の24億3千万円となりました。
税金等調整前当期純利益は、経常利益が増加したことに加え、特別利益に固定資産売却益35億8千8百万円を計上したこと等から、前連結会計年度に比べ38億6千4百万円(同169.0%)増益の61億5千1百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10億7千万円(同77.1%)増加し、24億5千8百万円となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの運転資金・設備投資資金については、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入による調達を基本としております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析内容・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、持続的な成長と技術革新の実現をめざし、研究開発活動に注力しております。
当連結会計年度は、本社敷地内に2017年11月に竣工した研究開発の中核拠点である「NICCA イノベーションセンター」(以下「NIC」)をフルに活用し、より一層ビジネスパートナーとの距離を縮め、社内外の情報やアイデアを組み合わせることで、新しい製品と事業の創出に取り組んでまいりました。また、NICを産官学連携のプラットフォームとして活用することで、環境、電子材料、医療・福祉、自動車、先端素材など各分野でのオープン・イノベーションを推進し、早期事業化を目指しているところであります。
また、NICの竣工に伴い当社研究開発の中核である化学品事業の界面科学研究所と化粧品事業の毛髪科学研究所が一体となり、日華化学(中国)有限公司の研究開発部門、台湾日華化学工業股フン有限公司の先端研発センター、NICCA KOREA CO.,LTD. の研究開発部門など、海外子会社の研究開発部門と連携しながら相乗効果を発揮することで、既存事業の強化と新展開、新規事業の創生を進めております。
当連結会計年度における特許登録件数は、国内で5件、海外で7件となりました。特許の譲受、期間満了の他不要特許の整理を実施したため、当連結会計年度末において当社の保有する特許登録件数は、国内は8件減少して、235件となり、海外は7件増加して90件となりました。
当連結会計年度の各セグメント別研究開発活動の状況は、次のとおりです。
研究開発費については、当社グループの研究開発費を各セグメントに配分したもので、当連結会計年度の総額は22億1千9百万円であります。
(1)化学品事業
当連結会計年度における研究開発費は、18億9千4百万円となっております。
化学品事業においては、2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されたように、深刻化する環境課題などへの解決に向けた持続可能な社会の構築に貢献することがますます要望されております。この様な状況を鑑み、化学品事業における研究開発活動は、NICの竣工とともに発足した界面科学研究所を核として、国外7拠点の開発部隊との連携を更に進めると共に、産官学とのオープン・イノベーションを継続して展開し、EHS(環境・健康・安全)に配慮した技術・商品開発に注力しております。
繊維化学品事業の研究開発においては、これまで注力してきた機能剤の開発と並行して弊社が伝統的に強みとしてきた合繊用の工程薬剤の開発に取り組み、サステナブルに着目した画期的な製品群を上市、お客様から好評を得ることができました。機能剤については、昨年開発してきたフッ素フリー撥水剤がこれまでにない性能を示すことを確認できており、今後非常に期待がもてる新製品上市を進めていきます。また、難燃剤については国外開発部隊と連携して取り組んだ開発が進展し、難燃バッキング剤の上市・展開が進みました。
クリーニング&メディカル事業の研究開発においては、ホームクリーニング分野で新製品のワンショット洗剤が市場から好評を博しており、新たな挑戦として開発に取り組んだシューズクリーニングは業界を活性化させ、新たなマーケット創出が期待されます。リネンサプライ分野ではオープン・イノベーションにより、ユニフォーム類の再汚染防止や手術用リネンの洗浄処方検討が進展しました。メディカル分野では、医療器具向けの洗浄剤を中心にお客様との連携によりスムーズに新製品の上市を実施し、新規分野である3Dプリンター造形物用洗浄剤についても実績が出てきました。
特殊化学品関連の研究開発においては、特殊樹脂用原料開発において課題解決を進め、顧客でのラボ認証を得ると共に工業スケールでの量産化に目処がつきました。また、現在好評を頂いておりますUV硬化インク対応脱墨剤に続く紙パルプ分野の新製品を開発中であり、先行して自己乳化型の消泡剤を上市致しました。情報記録分野においては更なるコストダウンに向けた製法検討を進めています。
注力分野であるウレタン関連研究開発においては、繊維分野において国外開発部隊との連携による新規処方の確立を行うと共に新規採用を獲得し、台湾での生産実績を実現致しました。2019年に運用を開始する鹿島工場での生産を見据えた取り組みも加速し、複数の開発品においてお客様での中量試験に移行致しました。非繊維分野においては特に光硬化型ウレタンに関して家具用途に新規採用となり、植物由来・環境対応ウレタンアクリレートとしてプレスリリースを行いました。
新規分野では、ナノダイヤを応用したプロジェクター用フィルムに関して、従来の透過型に加え新たにホワイト型を開発、上市致しました。現在更なる複合化による新グレード開発を加速しており、製品ラインナップの充実化を図っております。この他炭素繊維複合材料関連では、熱硬化型に加え熱可塑性樹脂向け特殊サイジング剤の開発を推進、特許化を行いました。人工核酸については、光架橋性人工核酸を用いた体外診断システムの実用化に向けた医工連携の取り組みが進展、コンセプト検証が終了し実際の事例での検証に入りました。非環状型人工核酸については国の支援を受けた実用化検討を推進、工業化に目処をつけると共に、オープン・イノベーションでの医療分野向け応用用途開拓が進展しております。精密重合技術を活用した用途開拓についてはスケールアップ検討に移ったライフサイエンス用途に続いて、工業用途向け検討がスタート致しました。NEDOの支援を受けたフェムトリアクター検討では、サイズ制御プレート型銀粒子の合成に成功、特許出願を行いました。本年は、特に機能発現における機構解明を分析担当と商品開発担当が協力して進め、新たな知見の獲得と共に新商品開発に繋げることができました。
界面科学研究所はNICという「創発の場」を最大限に活かし、様々な形でのオープン・イノベーションを積極的に推進し、コア技術を更に磨き上げ、弊社グループR&Dの研究開発力を高めることで、持続可能な社会の達成に貢献できる環境配慮型新製品の開発に引き続き注力して参ります。
(2)化粧品事業
当連結会計年度における研究開発費は3億2千4百万円となっております。
美容業界は、美容室への来店サイクルの長期化、客単価の低下、来客数の減少など、依然として厳しい市場環境が続いております。このような市場環境のもと、メーカー、代理店、美容室のそれぞれにおいて二極化が拡大し、デフレ現象、供給過多、価格競争、代理店競争、サロン競争、人材確保が益々激化してきていることから、業界が一体となって、美容室における来店頻度の向上、高付加価値メニューの提案、店頭販売商品の推進に取り組んでおります。美容師の人材不足問題に関しては、生涯美容師育成のためのスタッフ育成教育に業界を挙げて注力しており、代理店も含めて、リクルート&リテインの観点から働き方改革が促進されてきております。
また、日本においては大人社会の本格的到来、高齢化により、ヘアカラー、パーマの繰り返しによる髪のダメージ、頭皮のトラブル、髪が細くなる、薄くなる、白髪が増えるなどの悩みが増加しており、安全、安心に対する意識の高まりと相まって、本物志向の自然派商品、高付加価値商品の店頭販売商品は市場が伸び続けております。
このような状況に対応すべく、当社の毛髪科学研究所は、美容室におけるヘアケア、スキャルプケアの店頭販売商品の開発ならびにヘアカラーの高付加価値商品の開発にさらに注力しております。
ヘアカラーの分野においては、40~50代女性のサロンカラー比率の高まりに伴い、ヘアカラーの繰り返しによる毛髪のダメージ、頭皮のダメージを少なくして欲しいというお客様のニーズが高まり、これに対応すべく付加価値の高いヘアカラーの開発に取り組んでまいりました。その成果として、世界初の新規染料「グロス染料」を当社独自で開発し、同染料を配合した艶やかな発色で髪や頭皮におだやかなカラー「Le POLISSAGE(ル ポリサージュ)」(全23アイテム)を発売いたしました。「ル ポリサージュ」は、NIC開所を機に強化してきたオープンイノベーションの推進による、界面科学研究所の界面科学・高分子化学を中心とするサーフェスサイエンス技術・合成技術と、毛髪科学研究所の毛髪科学や皮膚科学に基づいた浸透技術・染色技術とのコラボレーションで開発されたもので、さらに付加価値を高めるべく、カラーバリエーションの充実と機能性の向上に取り組んでおります。
ヘアケア、スキャルプケアの分野においては、高付加価値ヘアケアである「フローディア」ブランドに大人女性の頭皮の悩みを解決すべくスキャルプケアライン(全8アイテム)を追加いたしました。多様化するライフスタイルで、日々変化する頭皮環境により複雑化する悩みを解決して、すこやかで美しい艶髪を実現いたしました。「フローディア」ブランドの強化に向けて、さらに大人女性の髪と頭皮の悩みを解決するために、機能性植物成分の探索とそれを生かした商品開発に取り組んでおります。
新規分野においては、大人の女性が抱える肌の悩みに応えるためにスキンケアに特化した研究開発をおこなっております。
基礎研究においては、「すべての人に10代の髪を生やす」という長期ビジョンをかかげ、研究機関や大学との共同研究による毛髪と皮膚の微細構造の解析、毛髪と皮膚のタメージの解析ならびに植物抽出成分、天然成分による新たな機能性探究を進めるとともに、新規市場創造のための素材開発、用途開発に取り組んでおります。