第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、1941年の創業から続く「製品を売るにあらずして技術を売る」という信条のもと、界面科学と毛髪科学を基盤技術として、繊維加工をはじめ、金属加工、紙・パルプ、クリーニングの各業界向け薬剤、情報技術分野で使用される機能ポリマーなどの機能化学品、ヘアケア剤やスタイリング剤などの頭髪用化粧品など、様々な分野で事業を展開しております。企業活動を通じて世界中のお客様、ステークホルダーの価値を創造していくとともに、持続可能な社会の発展と地球環境に貢献し続けることで、経営理念である「お客様、社員、株主、そして社会から信頼され選ばれる企業」を目指してまいります。

 

(2)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境及び社会環境は、大量生産・大量消費を前提とした経済から循環型経済への移行、世界的な地球環境問題や健康意識の高まり、温暖化等の気候変動とそれらによる消費行動の変化、国内における少子高齢化の進行、アジア・アフリカ地域を中心とした新興国での人口増加など激しく変化し、企業活動に大きな影響を及ぼすと認識しております。また、AI、IoT、ロボット、ブロックチェーンなどのデジタル技術やバイオテクノロジーなどが飛躍的な発展を遂げる中、それらを積極的に企業活動に取り込み、イノベーションを創出し続けることが、今後の企業成長に不可欠であると認識しております。

このような中、当社グループは、2025年までの全社基本ビジョンである「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー 」実現に向け、「Innovation」「Efficiency」「Sustainability」の3つの経営軸のもと、激変する経営環境をビジネスチャンスへと昇華し、社会からますます求められる価値を提供する事業に注力することで、着実に成長を遂げる真に強い企業集団へと生まれ変わるため、次の課題に取り組んでまいります。

 

(3)対処すべき課題等

①「地球環境」「健康なくらし」「スマート社会」に貢献する事業の強化

当社グループは、人々の健康と地球環境に配慮した製品開発を強化することで持続可能な社会に貢献するとともに、情報技術分野において求められる先駆的な技術や製品を提供することでスマート社会の実現に貢献する、個性ある化学メーカーを目指してまいります。

 

②デジタル革新の積極推進によるイノベーションの加速

当社グループは、AI、IoT、ロボットに代表されるデジタル技術を積極的に企業活動に取り込むことで、デジタルトランスフォーメーションを推進し、研究開発、営業活動及び生産活動を飛躍的に効率化してまいります。また、効率化によって生み出された経営資源を、お客様とのコミュニケーションに有効活用することで、最重要課題であるイノベーションの創出を加速してまいります。

 

③「ダイバーシティ経営」及び「持続可能な開発目標(SDGs)」に対する取り組みの推進

当社グループは、「持続可能な開発目標(SDGs)」が示す世界的な優先課題及び世界のあるべき姿に対し、企業活動を通じて貢献していくとともに、多様な人材が持てる能力を最大限発揮し、グローバルに活躍できる企業集団を目指し、様々な取り組みを進めてまいります。

 

当社グループは、上記諸施策に加え、コーポレート・ガバナンスの強化及び社会に配慮した経営を推進するとともに、お客様、株主の皆様、そして社会から信頼され選ばれる企業を目指し、長期的な成長の実現と一層の企業価値向上を図ってまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、主に連結売上高、連結営業利益、EBITDA、ROE(自己資本利益率)を用いております。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)海外展開とカントリーリスクについて

当社グループは14社の海外拠点を持ち連結売上高に占める海外売上高は40%を超えており、高い水準で海外市場に依存しております。従って、為替相場の影響を受けやすい状況にあります。当社グループは、外貨建ての債権と債務のバランスを考慮するほか、外貨建て債権の回収サイトの短縮化に努めており、その影響を最小限に抑えることができると考えておりますが、急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは複数の新興国において事業を展開しており、地域を分散させることでカントリーリスクの回避に努めておりますが、政治及び経済の急激な変動やテロ、暴動等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)有利子負債への依存について

当社グループの有利子負債(短期借入金及び長期借入金)残高は、19,530百万円と総資産に対して35.5%となっており有利子負債への依存度が幾分高い水準にあります。現在、当社グループは有利子負債の削減に努めておりますが、今後の金融市場の動向により資金調達コストの急激な上昇があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、運転資金などの必要資金を主に金融機関からの借入により調達しているため、金融機関からの借り換えが出来ない場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)財務制限条項について

当社は事業資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関複数行との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。これらに抵触した場合、該当する借入金の一括返済及び契約解除のおそれがあり、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料の市場変動の影響について

当社グループの生産のために調達する原材料は石油化学品の割合が高く、石油の国際市況の影響を受けやすい状況にあります。天然物及び石油関連原材料の割合が高く、需給バランス、天候不順、為替レートの変動に伴い市況価格が変動します。当社グループでは納入業者との共存体制の強化を図るとともに、コストダウンを推進し顧客対応力及び技術革新力による高付加価値製品の上市等により利益確保を図ってまいりますが、石油市況が急激に上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の欠陥について

当社グループは、全ての化学品生産拠点において品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得し、また、全ての化粧品生産拠点において化粧品製造・品質管理の国際規格ISO22716の認証を取得しており、製品品質の向上に努め各製品の製造をしておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来クレームが発生する可能性が全くないという保証はありません。製品の欠陥は当社グループの評価に影響を与え、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)法的規制について

現在、国内外ともに人間の健康や環境保護に対し様々な法令が制定がされており、特に環境面に関しては世界的な意識の高まりを受け、より法的規制が強化されております。

当社グループの事業活動においては、化学品及び化粧品の化学物質の管理関連、製品製造関連、国内外への製品輸送関連をはじめとし、内部統制関連、労務関連、取引関連の法令などの数多くの規制を受けております。

当社グループでは、これら法規制を確実に遵守するのは勿論のこと、品質や環境に関するISO基準の運用により活発な改善活動を進めています。

しかし、これらの関連規制に加え、諸外国における同様の規制の追加及び変更が実施される場合や、当社グループの事業活動を継続するにあたっての主要な許可の取消しを受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)生産設備の毀損等について

当社グループは、日本及び海外に多くの生産拠点を構えており、火災等の事故発生リスクを抱えております。そのため、安全衛生委員会活動等の事故防止対策に積極的に取り組んでおります。また、不慮の事故が発生した場合にも十分な生産対応能力を有しておりますが、重大な災害や大規模地震等の自然災害等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)固定資産の減損について

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦を起点とした世界経済の減速懸念から製造業を中心に下押し圧力がかかり、さらに消費税増税後の消費動向の回復の遅れなどもあり景気先行きに不透明感が強まっております。また、世界的な環境規制の強化、化学品規制の動向、金融資本市場の変動、原油価格の変動など、当社グループを取り巻く環境は引き続き注視が必要な状況が続いております。

このような中、当社グループは、永続的成長に向けて2025年までの全社基本ビジョンを「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー」と掲げ、2019年度を最終年度とする当中期経営計画期間を「改変期」とし、3つの全社経営戦略(「イノベーションの推進」「グローバルネットワークの強化と拡大」「『勝ち続ける』経営基盤の構築」)のもと、激変する経営環境に左右されない強固な経営基盤の構築を図ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高46,191百万円(前連結会計年度比8.0%減)、営業利益1,395百万円(同39.4%減)、経常利益1,334百万円(同45.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益900百万円(同63.4%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。

 

(化学品事業)

化学品事業には、当社グループの主力となる繊維化学品の他に特殊化学品、クリーニング・メディカル用薬剤、機能化学品、先端材料が含まれております。

売上高は33,890百万円(前連結会計年度比4.5%減)、セグメント利益は1,441百万円(同24.4%減)となりました。

ベトナムや南西アジアにおける市場開拓、業務用クリーニング薬剤の販売が堅調に推移した一方、主力である繊維加工用薬剤は、暖冬や米中貿易摩擦、中国環境規制などの影響により中国を中心に需要が伸び悩みました。さらに、韓国における大型ビジネスの減少、アジア通貨に対する円高の影響もあり、化学品セグメント全体では売上高が減少しました。

また、売上高の減少に加え、特定原料価格の値上がり、鹿島工場における減価償却費の増加により、化学品セグメント全体ではセグメント利益が減少しました。

 

(化粧品事業)

化粧品事業はヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤、スキャルプケア剤及びスタイリング剤が主な取扱品であります。

売上高は11,399百万円(前連結会計年度比18.4%減)、セグメント利益は1,687百万円(同26.2%減)となりました。

当社デミ コスメティクスにおいて、国内美容サロン業界全体の伸び悩みや消費税増税後の消費回復の遅れなどの影響を受けたものの、主力ヘアケアブランドの拡販によりヘアケアカテゴリーを順調に伸ばすとともに、新商品が堅調に推移したことにより、国内サロン向け化粧品の販売が増加いたしました。また、子会社のDEMI KOREA CO.,LTD.が韓国市場環境の影響を受けましたが、主力であるヘアカラーの拡販に注力したことにより売上高は堅調に推移いたしました。

しかし、山田製薬株式会社における化粧品製造受託事業において大口顧客の市場在庫の影響を受け大幅に売上減となったことや、アジア通貨に対する円高の影響もあり、化粧品セグメント全体では売上高及びセグメント利益ともに減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー1,104百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フロー2,139百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー229百万円の支出により、前連結会計年度末に比べ、1,274百万円減少し、当連結会計年度末には5,931百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,104百万円となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益1,602百万円、減価償却費2,234百万円を計上しましたが、仕入債務の減少による支出1,549百万円、法人税等の支払903百万円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は2,139百万円となりました。

これは主に、定期預金の預入による支出723百万円、定期預金の払戻による収入2,342百万円、有形固定資産の取得による支出3,801百万円、補助金の受取額による収入143百万円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は229百万円となりました。

これは主に、借入れによる収入1,625百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出818百万円、配当金の支払1,032百万円等があったことによるものです。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

化学品(百万円)

34,309

94.1

化粧品(百万円)

4,441

123.8

 報告セグメント計(百万円)

38,751

96.8

合計(百万円)

38,751

96.8

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.報告セグメント以外のその他については、生産活動になじまないため記載しておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.製商品仕入実績

 当連結会計年度の製商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

化学品(百万円)

3,530

115.7

化粧品(百万円)

761

58.1

 報告セグメント計(百万円)

4,291

98.4

合計(百万円)

4,291

98.4

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.報告セグメント以外のその他については、仕入実績はありませんので記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当社グループは、主として、販売計画、生産状況を基礎とした見込生産を行っており、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

化学品(百万円)

33,890

95.5

化粧品(百万円)

11,399

81.6

 報告セグメント計(百万円)

45,289

91.5

その他

901

127.2

合計(百万円)

46,191

92.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としており、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測をしておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り・予測と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産合計)

当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、1,543百万円減少し55,053百万円となりました。この主な要因は有形固定資産の増加1,445百万円、現金及び預金の減少2,922百万円が主な要因であります。

 

(負債合計)

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、392百万円減少し32,639百万円となりました。この主な要因は、借入金の増加1,648百万円、退職給付に係る負債の増加208百万円、支払手形及び買掛金の減少1,552百万円であります。

 

(純資産合計)

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、1,150百万円減少し22,414百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加613百万円、資本剰余金の減少125百万円、為替換算調整勘定の減少207百万円、退職給付に係る調整累計額の減少197百万円及び非支配株主持分の減少1,196百万円であります。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の35.6%から36.7%となりました。

 

b.経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3,997百万円(前連結会計年度比8.0%減)減少し、46,191百万円となりました。

国内販売は、主に化粧品事業の製造受託事業において大口顧客の市場在庫の影響を受け大幅に売上減となったこと等により前連結会計年度と比較して2,674百万円(同10.3%減)減少し、23,318百万円となりました。

海外販売は、化学品事業におけるベトナムや南西アジアにおける販売や化粧品事業における韓国の販売が堅調に推移した一方、為替の影響、暖冬、米中貿易摩擦や中国環境規制などの影響を受けたことにより、前連結会計年度と比較して1,322百万円(同5.5%減)減少し、22,873百万円となりました。

なお、セグメントの概況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

営業利益は、化学品事業、化粧品事業ともに売上高の減少の影響を受け、前連結会計年度に比べ905百万円(同39.4%減)減少し、1,395百万円となりました。

経常利益は、前連結会計年度に比べ1,095百万円(同45.1%減)減益の1,334百万円となりました。

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ4,549百万円(同74.0%減)減益の1,602百万円となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,557百万円(同63.4%減)減益の、900百万円となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金・設備投資資金については、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入による調達を基本としております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析内容・検討内容

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループは、持続的な成長と技術革新の実現をめざし、研究開発活動に注力しております。

当連結会計年度は、本社敷地内に2017年11月に竣工した研究開発の中核拠点である「NICCA イノベーションセンター」(以下「NIC」)をフルに活用し、より一層ビジネスパートナーとの距離を縮め、社内外の情報やアイデアを組み合わせることで、新しい製品と事業の創出に取り組んでまいりました。また、NICを産官学連携のプラットフォームとして活用することで、環境、電子材料、医療・福祉、自動車、先端素材など各分野でのオープン・イノベーションを推進し、早期事業化を目指しているところであります。

また、NICの竣工に伴い当社研究開発の中核である化学品事業の界面科学研究所と化粧品事業の毛髪科学研究所が一体となり、日華化学(中国)有限公司の研究開発部門、台湾日華化学工業股有限公司の先端研発センター、NICCA KOREA CO.,LTD. の研究開発部門など、海外子会社の研究開発部門と連携しながら相乗効果を発揮することで、既存事業の強化と新展開、新規事業の創生を進めております。

当連結会計年度における特許登録件数は、国内で15件、海外で10件となりました。特許の譲受、期間満了の他不要特許の整理を実施したため、当連結会計年度末において当社の保有する特許登録件数は、国内は1件増加して、236件となり、海外は4件増加して94件となりました。

当連結会計年度の各セグメント別研究開発活動の状況は、次のとおりです。

研究開発費については、当社グループの研究開発費を各セグメントに配分したもので、当連結会計年度の総額は2,289百万円であります。

 

(1)化学品事業

当連結会計年度における研究開発費は、1,937百万円となっております。

化学品事業においては、2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されたように、深刻化する環境課題などへの解決に向けた持続可能な社会の構築に貢献することがますます要望されております。この様な状況を鑑み、化学品事業における研究開発活動は、NICの竣工とともに発足した界面科学研究所を核として、国外7拠点の開発部隊との連携を更に進めるとともに、産官学とのオープン・イノベーションを継続して展開し、EHS(環境・健康・安全)に配慮した技術・商品開発に注力しております。

繊維化学品事業の研究開発においては、これまで注力してきた機能剤の開発と並行して弊社が伝統的に強みとしてきた合繊用の工程薬剤の開発に取り組み、サステナブルに着目した画期的な製品群を上市、お客様から好評を得ることができました。機能剤については、昨年開発してきたフッ素フリー撥水剤がこれまでにない性能を示すことを確認できており、今後非常に期待がもてる新製品上市を進めています。また、難燃剤については、国外開発部隊と連携して取り組んだ開発が進展し、難燃バッキング剤の上市・展開が進みました。

クリーニング&メディカル事業の研究開発においては、ホームクリーニング分野で新たな挑戦として開発に取り組んだシューズクリーニングは業界を活性化させ、新たなマーケット創出が期待されます。リネンサプライ分野では、開発中の薬剤供給システムでお客様の品質管理に寄与するとともに、オープン・イノベーションにより、ユニフォーム類の再汚染防止や手術用リネンの洗浄処方検討が進展しました。メディカル分野では、医療器具向けの洗浄剤を中心にお客様との連携によりスムーズに新製品を上市いたしました。

特殊化学品関連の研究開発においては、特殊樹脂用原料開発において課題解決を進め、顧客でのラボ認証を得るとともに工業スケールでの量産化検討を進めています。紙パルプ分野において、古紙リサイクル品の品質向上につながる薬剤の開発・提案を進めています。また、現在好評を頂いておりますUV硬化インク対応脱墨剤において、紙パルプ業界に貢献した個人・企業を表彰する佐々木賞を受賞しました。

注力分野であるウレタン関連研究開発においては、繊維分野において国外開発部隊との連携による新規処方の確立を行いました。2019年に運用を開始した鹿島工場での生産は順調に立ち上がり、複数の開発品においてお客様での中量試験に移行いたしました。

新規分野では、5G向けを中心としたフッ素ポリマーの開発に注力するとともに、人工核酸については、光架橋性人工核酸を用いた体外診断システムの実用化に向けた医工連携の取り組みが進展、実際の事例での開発を引き続き進めています。非環状型人工核酸については国の支援を受けた実用化検討を推進、工業化に目処をつけるとともに、オープン・イノベーションでの医療分野向け応用用途開拓が進展しております。精密重合技術を活用した用途開拓については、スケールアップ検討に移ったライフサイエンス用途に続いて、工業用途向け検討がスタートいたしました。

界面科学研究所はNICという「創発の場」を最大限に活かし、様々な形でのオープン・イノベーションを積極的に推進し、コア技術を更に磨き上げ、弊社グループR&Dの研究開発力を高めることで、持続可能な社会の達成に貢献できる環境配慮型新製品の開発に引き続き注力してまいります。

 

(2)化粧品事業

当連結会計年度における研究開発費は352百万円となっております。

美容業界は、美容室への来店サイクルの長期化、客単価の低下、来客数の減少など、依然として厳しい市場環境が続いております。このような市場環境のもと、メーカー、代理店、美容室のそれぞれにおいてさらに二極化が拡大し、デフレ現象、供給過多、価格競争、代理店競争、サロン競争、人材確保が益々激化してきていることから、業界が一体となって、美容室における来店頻度の向上、スタッフの生産性アップのために高付加価値メニュー創出と店頭販売商品の推進に取り組んでおります。また、美容師の人材不足問題に関しては、生涯美容師育成のためのスタッフ育成教育に業界を挙げて注力しており、代理店も含めて、リクルート&リテインの観点から働き方改革が促進されてきております。

日本においては大人社会の本格的到来、高齢化により、ヘアカラー、パーマの繰り返しによる髪のダメージ、頭皮のトラブル、髪が細くなる、薄くなる、白髪が増えるなどの悩みが年々増加しており、安全、安心に対する意識の高まりと相まって、本物志向の自然派商品、高付加価値商品の店頭販売商品の市場は伸び続けております。

このような状況に対応すべく、当社の毛髪科学研究所は、美容室におけるヘアカラーの高付加価値商品の開発ならびにヘアケア、スキャルプケアの店頭販売商品の開発にさらに注力しております。

ヘアカラーの分野においては、女性のファッションカラーに対する意識が高まり、色と艶を重視するお客様のニーズに対応すべく付加価値の高いヘアカラーの開発に取り組んでまいりました。その成果として、酸化染料と酸性染料をミックスした当社独自処方を開発し、多彩な色を表現できるヘアカラー「FUSIONIST(フュージョニスト)」(1剤全37アイテム、2剤全2アイテム)を発売いたしました。NIC開設により強化してきた社内オープンイノベーションの推進による界面科学研究所の繊維染色技術と毛髪科学研究所の毛髪科学に基づいて開発されました。さらに付加価値を高めるべく、カラーバリエーションの充実に取り組んでおります。

ヘアケア、スキャルプケアの分野においては、近年メンズの美意識の高まりに対応すべくビジネスマンをサポートするメンズ向け新ブランド「ELEVATE (エレベート)」(全15アイテム)を発売いたしました。男性特有の髪、頭皮、肌の悩みを解決してメンズの清潔感を高めることに取り組みました。「エレベート」ブランドの強化に向けて、さらにメンズの髪、肌の悩みを解決するために、機能性植物成分の探索とそれを生かした商品開発に取り組んでおります。

また、新たな取り組みとして、20代前半の流行に敏感な女性をターゲットにした新ブランド「Treneejo(トレニージョ)」(全22アイテム)を発売いたしました。気分に合わせて自由自在に色が表現できるように、塩基性染料、HC染料を使用したヘアカラー(染毛料)ならびに脱色剤・脱染剤とカラーを長く楽しんでもらうためのシャンプー、トリートメント、アウトバストリートメントなどのホームケアアイテムを開発いたしました。

新規分野においては、大人の女性が抱える肌の悩みに応えるためにスキンケアに特化した研究開発をおこなっております。基礎研究においては、「すべての人に10代の髪を生やす」という長期ビジョンをかかげ、研究機関や大学との共同研究による毛髪と皮膚の微細構造の解析、毛髪と皮膚のタメージの解析ならびに植物抽出成分、天然成分による新たな機能性探究を進めるとともに、新規市場創造のための素材開発、用途開発に取り組んでおります。また、サステナブルな社会を実現するために、さらに環境にやさしい製品開発に取り組んでおります。