文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、人々の暮らしを一変させたCOVID-19の世界的な感染拡大が、今なお世界経済に非常に大きな影響を与えており、今後も一定期間は不透明・不確実な状況が継続するものと認識しております。一方で、新たな生活様式(ニューノーマル)の浸透、地球温暖化問題への取り組みの加速、スマート社会への移行や働き方改革など、社会全体は大きな変化のうねりの中にあり、それらを変革の機会として捉えると同時に、AI、IoT、ロボットなどの先端情報技術によるデジタルトランスフォーメーションを積極的に企業活動に取り入れ、イノベーションを創出し続けることが、今後の企業成長に不可欠であると認識しております。
(2)経営方針
当社グループは、全社基本ビジョンである「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー」実現に向け、「Innovation」「Efficiency」「Sustainability」の3つの経営軸のもと、激変する経営環境をビジネスチャンスへと昇華し、社会からますます必要とされる価値を提供する事業に注力することで、着実に成長を遂げる真に強い企業集団へと生まれ変わるため、新たな5か年中期経営計画『INNOVATION25』(2021-2025)を掲げ、5つの全社基本戦略に取り組んでまいります。
(3)全社基本戦略
全社基本戦略① 事業構造の大転換:「環境」「健康・衛生」「先端材料」領域への注力
当社グループは、「環境(Environment)」「健康・衛生(Health)」「先端材料(Digital)」の3つの領域を新たな注力事業領域と定め(以下、「EHD事業」といいます。)、事業ポートフォリオを大きく転換し、持続可能な社会と循環型経済の実現、人々の健康促進や衛生環境の進化、先端情報技術分野での先駆的な技術や材料提供によるスマート社会の実現に貢献する、個性ある化学メーカーを目指してまいります。
中期経営目標:2025年までに、EHD事業の売上・利益比率を「50%」まで引き上げる
全社基本戦略② 生産性改革:デジタルトランスフォーメーションの積極推進
当社グループは、AI、IoT、ロボットに代表されるデジタル技術を積極的に企業活動に取り込むことで、デジタルトランスフォーメーションを強力に推進し、研究開発、営業活動及び生産活動を飛躍的に効率化し、一人当たりの生産性を大きく向上させてまいります。また、効率化によって生み出された経営資源を、EHD事業の推進及びお客様とのコミュニケーション頻度と質の向上に振り向けていくことで、最重要課題であるイノベーションの創出を加速してまいります。
中期経営目標:2025年までに、一人当たりの生産性(付加価値)を2020年度比で「30%以上」向上させる
全社基本戦略③ 財務基盤の強化:不確実性に強く、安定して成長投資ができる財務基盤の構築
当社グループは、不確実性の高い経営環境にあっても、成長投資を機動的かつ安定的に実施できる財務体質、財務基盤をつくり上げるため、EHD事業の推進による事業収益力の強化、一人当たりの生産性向上、コスト適正化活動の継続などを行っていくとともに、運転資金の適正化や有利子負債の圧縮など、バランスシートの適切な圧縮を行ってまいります。
3か年経営目標:2023年までに、ROS及びROEを「5%以上」、ROAを「4.5%以上」にする
全社基本戦略④ サステナブル経営の推進:持続可能な社会への貢献
当社グループは、「持続可能な開発目標(SDGs)」が示す世界的な優先課題及び世界のあるべき姿に対し、企業活動を通じて貢献していくとともに、気候変動対策として、「2030年にグループ全体のCO2実質排出量30%削減(2018年度比)」を新たに経営目標に加え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
長期経営目標:2030年までに、グループ全体のCO2実質排出量を2018年度比で「30%」削減する
全社基本戦略⑤ 大家族主義の進化:ダイバーシティの推進と全社員の働きがい向上
当社グループは、多様な人材が世界中から集い、高いモチベーションで持てる能力を最大限発揮しグローバルに活躍できる企業集団を目指して、「人材」と「働き方」の多様性を高めると同時に、全グループ社員の仕事のやりがいと、貢献度の高い社員の満足度を向上させていくことで、当社グループの重要な経営フィロソフィーである「大家族主義」を進化させてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、足元の不透明な経営環境を考慮し、数値目標は、2023年度を最終年度とする「3か年経営目標」を先ず設定し、目標の達成を目指してまいります。また、経営環境の状況を注視しながら、2025年度を最終年度とする中期経営目標を改めて策定し、発表してまいります。
① 3か年経営目標数値(2023年度連結目標数値)
・売上高:500億円
・営業利益:25億円
・EBITDA:50億円
・ROS(営業利益):5%以上
・ROE(当期純利益):5%以上
・ROA(営業利益):4.5%以上
※ 想定為替レート:105円/USD
※ EBITDA:「営業利益」+「減価償却費(のれん償却額含む)」
② セグメント別事業目標
当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
(1)海外展開とカントリーリスクについて
当社グループは15社の海外拠点を持ち連結売上高に占める海外売上高は40%を超えており、高い水準で海外市場に依存しております。従って、為替相場の影響を受けやすい状況にあります。当社グループは、外貨建ての債権と債務のバランスを考慮するほか、外貨建て債権の回収サイトの短縮化に努めており、その影響を最小限に抑えることができると考えておりますが、急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは複数の新興国において事業を展開しており、地域を分散させることでカントリーリスクの回避に努めておりますが、政治及び経済の急激な変動やテロ、暴動等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2)有利子負債への依存について
当社グループの有利子負債(短期借入金及び長期借入金)残高は、16,301百万円と総資産に対して30.7%となっており有利子負債への依存度が幾分高い水準にあります。現在、当社グループは有利子負債の削減に努めておりますが、今後の金融市場の動向により資金調達コストの急激な上昇があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、運転資金などの必要資金を主に金融機関からの借入により調達しているため、金融機関からの借り換えが出来ない場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務制限条項について
当社は事業資金の効率的な調達を行うため、取引金融機関複数行との間でシンジケートローン契約を締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。これらに抵触した場合、該当する借入金の一括返済及び契約解除のおそれがあり、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の市場変動の影響について
当社グループの生産のために調達する原材料は石油化学品の割合が高く、石油の国際市況の影響を受けやすい状況にあります。天然物及び石油関連原材料の割合が高く、需給バランス、天候不順、為替レートの変動に伴い市況価格が変動します。当社グループでは納入業者との共存体制の強化を図るとともに、コストダウンを推進し顧客対応力及び技術革新力による高付加価値製品の上市等により利益確保を図ってまいりますが、石油市況が急激に上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の欠陥について
当社グループは、化学品生産拠点において品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得し、また、化粧品生産拠点において化粧品製造・品質管理の国際規格ISO22716の認証を取得しており、製品品質の向上に努め各製品の製造をしておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来クレームが発生する可能性が全くないという保証はありません。製品の欠陥は当社グループの評価に影響を与え、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制について
現在、国内外ともに人間の健康や環境保護に対し様々な法令が制定されており、特に環境面に関しては世界的な意識の高まりを受け、より法的規制が強化されております。
当社グループの事業活動においては、化学品及び化粧品の化学物質の管理関連、製品製造関連、国内外への製品輸送関連をはじめとし、内部統制関連、労務関連、取引関連の法令などの数多くの規制を受けております。
当社グループでは、これら法規制を確実に遵守するのは勿論のこと、品質や環境に関するISO基準の運用により活発な改善活動を進めています。
しかし、これらの関連規制に加え、諸外国における同様の規制の追加及び変更が実施される場合や、当社グループの事業活動を継続するにあたっての主要な許可の取消しを受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)生産設備の毀損等について
当社グループは、日本及び海外に多くの生産拠点を構えており、火災等の事故発生リスクを抱えております。そのため、安全衛生委員会活動等の事故防止対策に積極的に取り組んでおります。また、不慮の事故が発生した場合にも十分な生産対応能力を有しておりますが、重大な災害や大規模地震等の自然災害等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(8)固定資産の減損について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)新型コロナウイルス感染症拡大に伴うリスクについて
新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界的な規模で感染者が増加し、社会経済活動に大きな影響を及ぼしております。当該感染症の影響により、当社グループでは一部の海外事業所における一時的な操業停止や一部の製商品における需要の減少が発生しました。
今後、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化することにより、一部の製商品について需要が一層落ち込むほか、予想を上回る規模の事業所の操業停止、原材料の調達難による生産停止、物流機能の停滞等に至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦問題などによる海外需要の悪化により製造業を中心に弱さがみられる中、新型コロナウイルス感染症の拡大により4月に緊急事態宣言が発出され、経済活動の自粛がなされました。緊急事態宣言の解除以降、徐々に経済活動が再開されたものの、断続的な感染症の拡大に伴い経済活動の制限が継続しております。また、世界各国の経済においても、コロナ禍の影響により大幅な減速となったのち一部回復の兆しがみられたものの、感染が再拡大しており、国内外ともに依然先行きは不透明な状況が続いております。
このような中、当社グループは、永続的成長に向けて2025年までの全社基本ビジョンを「世界中のお客様から最も信頼されるイノベーション・カンパニー」と掲げ、3つの全社経営戦略(「イノベーションの推進」「グローバルネットワークの強化と拡大」「『勝ち続ける』経営基盤の構築」)のもと、激変する経営環境に左右されない強固な経営基盤の構築を図ってまいりました。
この結果、売上高41,179百万円(前連結会計年度比10.9%減)、営業利益1,416百万円(同1.5%増)、経常利益1,645百万円(同23.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,044百万円(同16.0%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
(化学品事業)
化学品事業には、当社グループの主力となる繊維化学品の他に特殊化学品、クリーニング・メディカル用薬剤、機能化学品、先端材料が含まれております。
売上高は28,496百万円(前連結会計年度比15.9%減)、セグメント利益は842百万円(同41.5%減)となりました。
特殊樹脂モノマーや環境衛生関連薬剤が堅調に推移し、自動車分野など一部領域で回復基調にはあるものの、コロナ禍の影響により、主力である繊維加工用薬剤をはじめ既存事業分野においてグローバル全体で売上高が大幅に減少しました。また、アジア通貨に対する円高の影響もあり、化学品セグメント全体で売上高が減少しました。
このような状況下、休業や各国の助成金活用を含めコスト削減を実施しましたが、売上高減少及び昨年実施した設備投資による減価償却費増加により、セグメント利益は大幅に減少しました。
(化粧品事業)
化粧品事業はヘアケア剤、ヘアカラー剤、パーマ剤、スキャルプケア剤及びスタイリング剤が主な取扱品であります。
売上高は12,175百万円(前連結会計年度比6.8%増)、セグメント利益は2,250百万円(同33.4%増)となりました。
当社デミ コスメティクスにおいては、コロナ禍による市況悪化の影響を受けたものの、主力ブランド品への根強い支持及び新商品発売による積み上げの結果、売上高の減少幅を縮小しました。山田製薬株式会社においては、大口受託が回復した事に加え、手指消毒剤受注が好調に推移しました。
その結果、化粧品セグメント全体では売上高及びセグメント利益ともに増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー6,479百万円の獲得、投資活動によるキャッシュ・フロー1,549百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー3,626百万円の支出により、前連結会計年度に比べ、1,258百万円増加し、7,190百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,479百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益1,770百万円、減価償却費2,768百万円、売上債権の減少額759百万円、たな卸資産の減少額905百万円等の収入と、法人税等の支払額402百万円等の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は1,549百万円となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入509百万円の収入と、定期預金の預入による支出904百万円、有形固定資産の取得による支出1,334百万円等の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は3,626百万円となりました。
これは主に、借入の返済による支出(純額)3,221百万円、配当金の支払326百万円等の支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
26,271 |
76.6 |
|
化粧品(百万円) |
3,683 |
82.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
29,954 |
77.3 |
|
合計(百万円) |
29,954 |
77.3 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、生産活動になじまないため記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.製商品仕入実績
当連結会計年度の製商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
5,132 |
145.4 |
|
化粧品(百万円) |
581 |
76.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
5,713 |
133.1 |
|
合計(百万円) |
5,713 |
133.1 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメント以外のその他については、仕入実績はありませんので記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、主として、販売計画、生産状況を基礎とした見込生産を行っており、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
化学品(百万円) |
28,496 |
84.1 |
|
化粧品(百万円) |
12,175 |
106.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
40,672 |
89.8 |
|
その他 |
506 |
56.2 |
|
合計(百万円) |
41,179 |
89.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産合計)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、1,878百万円減少し53,175百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が1,650百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が804百万円、商品及び製品が834百万円及び有形固定資産が1,481百万円減少したことによるものであります。
(負債合計)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ、2,630百万円減少し30,009百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が329百万円、未払消費税等が444百万円増加した一方、借入金が3,229百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、751百万円増加し23,166百万円となりました。この主な要因は、非支配株主持分が86百万円及び為替換算調整勘定が84百万円減少した一方、利益剰余金が850百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の36.7%から39.5%となりました。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ5,011百万円(前連結会計年度比10.9%減)減少し、41,179百万円となりました。
国内販売は、主に化粧品事業のODM事業において手指消毒剤関連及びヘアケア大口受託が好調に推移し、また化学品事業において特殊樹脂モノマー及び抗菌・抗ウイルス関連薬剤が堅調に推移しましたが、各事業分野においてコロナ禍の影響を受けた事から、前連結会計年度と比較して807百万円(同3.5%減)減少し、22,510百万円となりました。
海外販売は、主力である繊維加工用薬剤をはじめ既存事業分野において同様にコロナ禍の影響をグローバル全体で受けた事により、前連結会計年度と比較して4,204百万円(同18.4%減)減少し、18,668百万円となりました。
なお、セグメントの概況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
営業利益は、化学品事業の売上高が減少し減価償却費が増加した一方、コスト削減や化粧品事業の売上高が増加した事などにより、前連結会計年度に比べ20百万円(同1.5%増)増益し、1,416百万円となりました。
経常利益は、前連結会計年度に比べ310百万円(同23.3%増)増益の1,645百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ168百万円(10.5%増)増益の1,770百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ143百万円(同16.0%増)増益の、1,044百万円となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析内容・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績等の状況」に記載のとおりであります。
e.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における売上高は41,179百万円、営業利益は1,416百万円、EBITDAは4,187百万円、ROAは2.6%、ROEは5.1%、ROSは3.4%であります。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。
各指標の推移は以下のとおりです。
|
|
第103期 |
第104期 |
第105期 |
第106期 |
第107期 |
|
売上高(百万円) |
44,223 |
48,493 |
50,188 |
46,191 |
41,179 |
|
営業利益(百万円) |
1,458 |
2,116 |
2,301 |
1,395 |
1,416 |
|
EBITDA(百万円) |
3,175 |
4,058 |
4,293 |
3,637 |
4,187 |
|
ROS(%) |
3.3 |
4.4 |
4.6 |
3.0 |
3.4 |
|
ROE(%) |
2.0 |
7.8 |
12.6 |
4.5 |
5.1 |
|
ROA(%) |
2.9 |
4.0 |
4.1 |
2.5 |
2.6 |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金・設備投資資金については、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入による調達を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としており、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測をしておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り・予測と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は次の通りです。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りです。
a.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得に依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、持続的な成長と技術革新の実現をめざし、研究開発活動に注力しております。
当連結会計年度は、徹底した新型コロナウイルス感染対策の実施と、デジタルツールの積極的な活用を通して当社グループの研究開発中核拠点である「NICCA イノベーションセンター」(以下「NIC」)での研究開発活動を維持・高度化することにより、ビジネスパートナーとの距離を縮め、社内外の情報やアイデアを組み合わせることで、新しい製品と事業の創出に取り組んでまいりました。また、EHS(E/環境、H/健康、S/安全)への貢献をテーマに掲げ、各分野でのオープン・イノベーションを推進し、早期事業化を目指してまいりました。
さらに、化学品事業の界面科学研究所と化粧品事業の毛髪科学研究所が一体となり、日華化学(中国)有限公司の研究開発部門、台湾日華化学工業股份有限公司の先端研発センター、NICCA KOREA CO.,LTD. の研究開発部門など、海外子会社の研究開発部門と連携しながら相乗効果を発揮することで、既存事業の強化と新展開、新規事業の創生を進めております。
翌連結会計年度からは、これまでの環境、健康に新たに先端材料を加えた「EHD(E/環境、H/健康、D/先端材料)」を重点領域に位置付け、前中期経営計画でも重視していた「安全」は引き続き各領域で包括しながら、全世界の共通課題であるSDGsの達成に向けて当社の技術力を生かし、より具体的に貢献してまいります。
当連結会計年度における特許登録件数は、国内で17件、海外で10件となりました。特許の譲受、期間満了の他不要特許の整理を実施したため、当連結会計年度末において当社の保有する特許登録件数は、国内は8件減少して228件となり、海外は1件増加して95件となりました。
当連結会計年度の各セグメント別研究開発活動の状況は、次のとおりです。
研究開発費については、当社グループの研究開発費を各セグメントに配分したもので、当連結会計年度の総額は
(1)化学品事業
当連結会計年度における研究開発費は、
①Eの領域
当社主力の繊維加工用薬剤では、これまでも有機溶剤を含まず環境と健康により優しい水系ウレタン樹脂やフッ素フリー系撥水剤、常温洗浄が可能で一般的な高温洗浄と比較しCO₂排出量の削減が期待される金属洗浄剤など、業界に先駆けて環境対応に取り組んでまいりました。中でも、ダウ社との粘り強い共同研究の結果、米国R&D World Magazine主催の「2020 R&D100 Award」を受賞したシリコーン系のフッ素フリー繊維用撥水剤ネオシードNR-8800はオープン・イノベーションの実例であり、今後の展開が期待されます。
今後は、非石油ベース・天然由来原料等を活用し、製品そのものの環境対応も進め、CO₂排出量削減に貢献する製品開発に注力し、持続可能な社会と循環型経済の実現に寄与してまいります。
②Hの領域
2020年度に「生活・環境衛生事業開発室」の新設と併せ、プロジェクト体制で手肌にやさしい保湿成分を配合した手指用消毒剤や抗ウイルス効果を見出したニッカノンRBシリーズ、オーリスシリーズを積極展開、更には処方検討を加速するために抗ウイルス試験室を設置いたしました。これにより、多くのお客様との協業が創出されてきており、衛生関連製品の様々な分野への展開を目指し開発、事業化を迅速に推進しているところであります。また、医療分野の洗浄領域の拡張、産学連携により個別化医療に有用な体外診断薬キット開発などの次世代医療への注力により、世界中の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。
③Dの領域
近年、フッ素化学品をはじめ先端材料分野にも傾注してまいりましたが、2020年度に「スペシャリティケミカル事業部」が新設された事に伴い、DX・5G通信等での高周波・低誘電率材料など先端材料関連製品の開発を強力に推進しているところであります。子会社の大智化学産業で既に開発、実用化している環境にやさしい水系でリサイクル可能なクーラント剤や、新規開発品として需要増加が見込まれるマスキング剤などの開発スピードを加速し、IoTやAIなど最新技術の活用がますます進行するスマート社会の進展に寄与してまいります。
EHD領域での成功の鍵は、社会課題にマッチした新製品・新ソリューションの提案にあると考えております。さらにスピード感をもって上市していくために今後もパートナー企業、大学等との連携によるオープン・イノベーションを加速させてまいります。その仕掛けの場としてNICを有効に活用していくと共に、さらなる研究開発効率向上に向け、研究開発のデジタル化や、AIを用いたデータ解析ツールなどの導入を行うことで、1人1人の対応力を高めるアプローチで新しい試みに挑戦し、当社グループの技術力のベースを更に押し広げ、社会課題の解決に寄与してまいります。
(2)化粧品事業
当連結会計年度における研究開発費は
美容業界は、新型コロナウィルス感染拡大により、来店客数の減少、来店サイクルの長期化、コロナ感染対策による席数減少、美容室での滞在時間短縮による客単価の低下など厳しい市場環境が続いております。緊急事態宣言の解除後は、来客数は回復しつつあるものの、いまだ十分に回復していない状況であります。このような市場環境のもと業界が一体となって、コロナ感染対策を十分に行った上での美容室における来店頻度の向上、スタッフの生産性アップのために高付加価値メニュー創出と店頭販売商品の推進に取り組んでおります。また、美容師の人材不足問題に関しては、生涯美容師育成のためのスタッフ育成教育に業界を挙げて注力しており、代理店も含めて、リクルート&リテインの観点から働き方改革が促進されてきております。
日本においては大人社会の本格的到来、高齢化により、ヘアカラー、パーマの繰り返しによる髪のダメージ、頭皮のトラブル、髪が細くなる、薄くなる、白髪が増えるなどの悩みが年々増加しており、安全、安心に対する意識の高まりと相まって、本物志向の自然派商品、高付加価値商品の店頭販売商品の市場は伸び続けております。
このような状況に対応すべく、当社の毛髪科学研究所は、美容室におけるヘアカラーの高付加価値商品の開発ならびにヘアケア、スキャルプケアの店頭販売商品の開発にさらに注力しております。
ヘアカラーの分野においては、酸化染料と酸性染料をミックスした当社独自処方を開発し、多彩な色を表現できるヘアカラー「FUSIONIST(フュージョニスト)」(1剤全37アイテム、2剤全2アイテム)ブランドに、更に色と艶を重視するお客様のニーズに対応すべく、1剤全14アイテムを追加いたしました。女性のファッションカラーに対する意識の高まりに対し、さらに付加価値を高めるべく、カラーバリエーションの充実に取り組んでおります。
ヘアケア、スタイリング剤の分野においては、近年の本物志向・安心安全志向の高まりに対応すべく、オイル美容の概念を取り入れた新ブランド「UTAU (ウタウ)」(全14アイテム)を発売いたしました。仕事や子育て、目まぐるしく忙しい日々を送る女性に「ヘルスコンシャス」&「ナチュラルビューティー」を届けるべく、植物由来成分に徹底的にこだわり、作りこまないナチュラルなヘアスタイルとすこやかな艶髪を実現いたしました。「ウタウ」ブランドの強化に向けて、さらに大人女性の髪と頭皮の悩みを解決するために機能性植物成分の探索とそれを生かした商品開発に取り組んでおります。
また、ヘアケア最高峰ブランドである「フローディア」に髪のねじれやゆがみで生じる浮き毛をケアすべく、コントロールライン(全3アイテム)を追加いたしました。フローディア独自技術「バルネイドシステム」に水分コントロール技術を付与することで、浮き毛を抑えてみずみずしい艶髪を実現しました。さらに大人女性の髪と頭皮の悩みを解決するために機能性植物成分の探索とそれを生かした商品開発に取り組んでおります。
新規分野においては、大人の女性が抱える肌の悩みに応えるためにスキンケアに特化した研究開発をおこなっております。基礎研究においては、「すべての人に10代の髪を生やす」という長期ビジョンをかかげ、研究機関や大学との共同研究による毛髪と皮膚の微細構造の解析、毛髪と皮膚のダメージの解析ならびに植物抽出成分、天然成分による新たな機能性探究を進めるとともに、新規市場創造のための素材開発、用途開発に取り組んでおります。また、サステナブルな社会を実現するために、さらに環境にやさしい製品開発に取り組んでおります。