第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や日銀の金融緩和政策を背景に、企業利益の改善や設備投資の持ち直しが見られ、景気は緩やかな回復基調を辿りました。一方で消費マインドには停滞感が残り、新興国にも景気減速が見られるなど、先行きは依然として不透明な状況にあります。

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の連結業績につきましては、国内塗料事業は、公共工事の減少の影響を受けましたが、建材分野での需要の回復や前年度に設立した粉体塗料製造会社が連結業績に寄与したことから、売上、利益ともに増加しました。海外塗料事業は、新興国の景気減速を受け、期末にかけて出荷が伸び悩みましたが、為替の影響で売上は前年並みとなりました。照明機器事業は、小売業界の設備投資回復を受け売上は増加しましたが、経費の増加分を吸収するまでには至らず、利益は減少しました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は763億8千8百万円(前連結会計年度比 4.6%増)、利益面につきましては、営業利益は58億5千8百万円(同 14億3千万円増)、経常利益は55億5千9百万円(同 10億6千1百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は36億1千4百万円(同 8億5千7百万円増)となりました。

各事業セグメントにおける営業活動の状況は次のとおりであります。

[国内塗料事業]

一般塗料分野では、拡販品目の出荷が順調に推移しましたが、市況の低迷が続き、需要は低調に推移しました。工業塗料分野では、主要取引先の生産調整の影響を受けた一方、建材分野では需要が回復傾向にあり、前年並みの売上となりました。また、建築分野における塗替需要等が好調であるほか、粉体塗料製造会社の寄与もあり、当セグメント全体での売上は強含みに推移しました。前連結会計年度に引き続き高付加価値品の拡販や経費削減に努めた結果、利益は増加しました。

この結果、国内塗料事業全体の売上高は555億8百万円(前連結会計年度比 4.6%増)となり、営業利益は37億8千5百万円(同 14億3千2百万円増)となりました。

[海外塗料事業]

東南アジア地域では、主力であるタイにおいて、期を通じ自動車生産量が低調に推移し、販売量が伸び悩みました。中国では上期は堅調に推移したものの、期末にかけて景気後退に伴う主要取引先の生産調整の影響を受けました。一方、メキシコでは新規顧客の開拓により売上増となり、当セグメント全体での売上は前年並みとなりました。また、タイにおいて在庫の評価減を実施しましたが、高付加価値品の拡販が伸展し、当セグメント全体での利益は前年を若干上回りました。

この結果、海外塗料事業全体の売上高は74億6千7百万円(前連結会計年度比 0.0%増)となり、営業利益は7億7千5百万円(同 1千2百万円増)となりました。

[照明機器事業]

照明機器事業は、小売業界の設備投資が回復したことで売上の増加が続きました。一方で、新基幹システムの導入や、照明のLED化伸展に伴う蛍光灯関連在庫の評価減を実施したことで、利益は減少しました。

この結果、照明機器事業全体の売上高は96億9千4百万円(前連結会計年度比 6.2%増)となり、営業利益は6億8千8百万円(同 9千7百万円減)となりました。

[蛍光色材事業]

蛍光色材事業は、国内市場では需要拡大により堅調に推移したほか、海外市場でも衣料向け顔料が好調に推移したことで、売上、利益ともに増加しました。

この結果、蛍光色材事業全体の売上高は14億3千2百万円(前連結会計年度比 2.2%増)となり、営業利益は1億7千1百万円(同 1千7百万円増)となりました。

[その他事業]

その他事業全体の売上高は22億8千4百万円(前連結会計年度比 16.5%増)、営業利益は2億2百万円(同 2千4百万円増)となりました。

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より6億2千8百万円増加し、30億7千2百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、57億8千5百万円(前連結会計年度は47億8千3百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益の増加、たな卸資産の減少、災害による保険金等の収入と、退職給付に係る資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払等の支出を主因とするものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、7億1千8百万円(前連結会計年度は18億3千8百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の売却等の収入と、有形固定資産の取得等の支出を主因とするものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、43億1千7百万円(前連結会計年度は29億7千7百万円の支出)となりました。これは長期借入金による調達等の収入と、長期借入金の返済、リース債務の支払、配当金の支払、自己株式の取得等の支出を主因とするものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

国内塗料(百万円)

54,406

103.1

海外塗料(百万円)

6,387

97.3

照明機器(百万円)

5,755

88.2

蛍光色材(百万円)

1,159

94.3

合 計(百万円)

67,709

100.9

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.上記セグメント区分以外の「その他」は、塗装工事事業、物流事業等であり提供するサービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

(2)受注状況

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は、一部特需関係等を除き主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残等について特に記載すべき事項はありません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

国内塗料(百万円)

55,508

104.6

海外塗料(百万円)

7,467

100.0

照明機器(百万円)

9,694

106.2

蛍光色材(百万円)

1,432

102.2

報告セグメント計(百万円)

74,103

104.3

その他(百万円)

2,284

116.5

合 計(百万円)

76,388

104.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相 手 先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事ケミカル株式会社

14,731

20.2

15,178

19.9

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

当社グループの今年度の基本命題は、国内塗料事業の高付加価値化、海外塗料事業の積極拡大、新たな収益源事業の育成・強化を三本柱とする経営戦略に基づき、経営基盤をより一層強化するとともに、コアビジネスである塗料事業においてオンリーワン企業としての存在感を発揮し、広く社会の発展と繁栄に貢献することにあります。

第4次中期3ヶ年計画の3年目に当たる平成28年4月以降の展望としましては、以下の重点方針を基に事業展開を図ってまいります。

① 国内塗料事業における、独自性の強い高収益商品の拡販と製造コストの見直しによる高付加価値化

② メキシコ、東南アジアで拡充した生産基盤活用と海外日系企業等へのアプローチを通じた海外塗料事業の拡大

③ 新分野・新需要への戦略的アプローチと既存技術の応用展開による新たな収益源となりうる事業の育成・強化

以上のような諸施策を実施しつつ、我が社独自の強みを存分に発揮し、長きに亘り国家社会の繁栄に貢献し、将来性ある企業であり続けるべく、努めてまいります。

また、当社グループは、最優先課題である業績向上を睨み、そのために対処すべき課題を以下のものとします。

①  防災や減災、五輪開催に関連する社会資本の整備、国土強靭化計画の施行といった社会的要請に資する製品の充実、サービスの提供

②  重防食分野の技術優位性・品質優位性を活かした国内市場へのアプローチ並びに海外市場への進出展開

③  国内外拠点間の情報展開と国別ポートフォリオ経営の確立による海外塗料事業の拡大

④  新収益源となりうる事業の活動基盤強化・発展と経営資源の効率的配分による利益貢献

⑤  内部統制の徹底、コーポレート・ガバナンス体制強化による業務執行の透明化及び効率化の推進

 

 

(会社の支配に関する基本方針)

(1)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)

当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。

ただし、株式の大規模買付提案の中には、たとえばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。

(2)基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、昭和4年に島津、三菱、大倉の共同出資により設立された企業であり、今日まで塗料製造を基軸とした事業活動を営んでまいりました。

現在、当社及び当社グループは、塗料、蛍光色材及び照明機器の製造販売を主な事業領域としておりますが、当社グループの企業価値の主な源泉は、「国家社会の繁栄に奉仕し得る将来性ある企業足るべし」という創業精神のもとに、永年に亘ってお届けしている各種製品の品質・性能とサービスが築いたブランド力、顧客との信頼関係にあると考えております。特にコア事業である塗料事業におきましては、起業の礎となった錆止め塗料「ズボイド」をはじめ、市場から絶大な支持を得てまいりました防食塗料、そのほかの独創的な塗料技術は、地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄、豊かな暮らしの実現に貢献し得たものと自負いたしております。このような創業以来の当社及び当社グループの取組みの積み重ねが企業文化、あるいは「DNT」ブランドとして結実し、現在の企業価値の源泉になっており、今後も企業文化の継続発展を通して当社の社会的存在意義を高めることが、結果として企業価値及び株主共同利益の最大化につながるものと考えております。

当社グループの経営戦略の基本命題は、コアビジネスである塗料事業の継続的成長を図り、市場の好・不調に影響されることの少ない高収益事業とすることにあります。しかしながら、国内市場の構造変化、海外市場の急速な変貌、更には原油、ナフサ価格急騰に伴う塗料用原材料価格高騰の影響等により、企業価値・株主共同の利益の確保・向上は容易ではありません。そのためより強固な企業体質を構築する必要があります。具体的には、

①  国内塗料事業の高付加価値化

②  海外塗料事業の積極拡大

③  新たな収益源業の育成・強化

を必達目標として掲げ、経営基盤の整備とともに地球環境保全活動、適切な情報開示、社会貢献活動など企業の社会的責任を誠実に果たしてまいります。

また、株主、顧客、従業員及び社会全体から「存在価値のある企業」として認められるには、コーポレート・ガバナンスの充実・強化が経営の最重要課題の一つであると考えております。そのために、取締役会・執行役員制度により、経営と業務執行を適切に分離し、経営環境の変化に対応して迅速・的確な意思決定と管理監督を行うとともに、業務執行の効率を高めております。更に社外取締役や監査役制度により経営監視機能を強化・充実し、決算や経営施策等の情報開示を適時且つ正確に行うなど、透明性の高い企業経営の実現に向けて努力しております。

当社グループは、広く社会にとって有用な商品・サービスを提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得することが、歴史と伝統ある島津系・三菱系企業の一員としての使命であると認識し、今後とも様々なステークホルダーと良好な関係を維持・発展させて経営基盤を強化し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上を図ってまいります。

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組

 当社は、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を導入することに関して、平成20年6月27日開催の第125期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、平成23年6月29日開催の第128期定時株主総会においてこれを継続することについてご承認をいただきました(以下、この継続後の当社株券等の大規模買付行為に関する対応策を「原プラン」といいます。)。更に平成26年4月24日開催の取締役会において原プランを一部変更したうえで「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を継続することを決議いたし(以下、継続する「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を「本プラン」といいます。)、平成26年6月27日開催の第131期定時株主総会において株主の皆様にご承認をいただきました。

本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け、又は公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けを行う者を対象者として、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するためのものであります。

大規模買付者があらかじめ定めるルールを遵守しない場合、又は当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ、且つ対抗措置の発動を相当と判断する場合、当社取締役会の決議に基づき発動する対抗措置としては、原則として新株予約権の無償割当てを行うこととします。ただし、かかる判断に当たっては、当社取締役会から独立した独立委員会の勧告を最大限に尊重します。

なお、本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社のホームページ掲載の平成26年4月24日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」( http://www.dnt.co.jp/japanese/ir/library/file/other/news20140424.pdf )をご参照ください。

(4)基本方針にかかる取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由

本プランは、大規模買付者が基本方針に沿う者であるか否かを株主の皆様及び当社取締役会が適切な判断をするにあたり、十分な情報及び時間を確保する為に定めるものであり、特定の者による大規模買付行為を一概に拒絶するものではありません。

本プランの有効期間は3年間としていますが、有効期間満了前であっても株主総会で変更又は廃止できることとし、株主の皆様の意思が反映される仕組みになっております。

また、対抗措置の発動は、当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると判断される場合など、あらかじめ定められた合理的且つ客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発動にあたっては、独立委員会の中立的な判断を重視することとしており、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。更に、発動する対抗措置については、あらかじめその内容を株主の皆様に適時に情報開示を行うこととしております。

したがって、当社取締役会は、前記(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの具体的内容は基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則を充足しており、当社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを網羅したものではありません。

(1)塗料事業に係るリスク

①  販売価格動向による影響

塗料需要の大幅な減少に伴い国内での販売競争が激化しており、今後販売価格が大幅に下落する可能性があります。

なお、塗料原材料価格については、石油関連製品の世界的需要構造の変化及び為替変動により常に上昇するリスクに晒されております。

②  公共投資及び民間住宅投資による影響

当社は、創業以来培ってきた防食技術をはじめとする独自技術により、総合塗料メーカーとして事業を展開しており、その需要分野は多方面に亘りますが、売上の重要部分を占める防食塗料の需要は公共投資の動向に、また、住宅建材用塗料については民間住宅投資の動向やそれに係わる法的規制等にそれぞれ多大な影響を受けることになります。

③  工業用塗料ユーザーの動向による影響

当社の工業用塗料の売上は、販売先であるエレクトロニクス業界や工作機械業界の工場稼働状況に大きく左右されます。今後、世界的な景気動向が低迷した場合、同塗料の売上は多大な影響を受けることになります。

④  クレーム補償による影響

当社が住宅建材メーカーに納入する外装建材用塗料については、平成11年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されて以降、住宅建材メーカー各社がこれを契機に高級外装材の拡販戦略として10年あるいはそれ以上の長期保証を打ち出し、塗料メーカーにも同様の塗膜保証を求めてきております。同塗料のトップメーカーである当社としては、製品の開発・製造には万全の注意を払い、損害賠償保険等による対策をとってはいるものの、保証期間が伸長され、新製品発売も数多くに上るという現状は、当社のクレーム発生件数増加の恐れや補償負担の発生リスクを伴うものであります。

⑤  法的規制による影響

当社は、地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄、豊かな暮らしの実現に奉仕することを希求しており、環境・安全・健康を確保するための責任ある自主活動「レスポンシブル・ケア」のほか、ISO14001の認証取得による全事業所での環境マネジメントシステムを実施し、環境汚染の防止に関する各種法律の遵守、「ノボクリーンシリーズ」をはじめとする環境対応形各種塗料の開発に努めております。

しかしながら、今後の法改正や法規制強化のあり方次第では、生産・研究施設の改善あるいは商品設計・開発に多大な投資を必要とし、あるいは新商品開発の遅延による機会損失発生の恐れがあります。

⑥  進出国の社会情勢による影響

海外事業は、為替変動に加え、法律・規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更や政治・経済状況の激変、テロ・戦争など海外特有の社会的混乱、その他予期せぬリスクが発生した場合、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)照明機器事業に係るリスク

①  法的規制による影響

当事業は電機業界に課される法的規制を受けております。同規制は環境・安全・品質保証等広範囲に亘っております。これらの規制は、新たに制定されることもあり、また、従前の規制より厳しいものに変更されることもあります。

これらの規制の新規制定、変更に伴い、当事業の展開が制約を受けることや規制を遵守するために追加費用が発生することが予想されますが、そのような場合、当事業の業績は影響を受ける可能性があります。

また、当事業では建設業許可を受け、電気工事業者として登録し、主として当事業の製品である照明器具について、商業施設の内装に係る工事を受注しております。これら電気工事業務は、建設業法並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律の規制を受けているため、当該許可及び登録の更新がなされない場合、当事業の業績は影響を受ける可能性があります。

②  品質不良等の発生による影響

当事業の製品である安定器、LED電源、照明器具(蛍光灯及びLED)はISO9001、蛍光ランプはISO14001の採用により品質保証を最優先課題として製造しておりますが、様々な技術上、あるいはそれ以外の要因により不良品が発生し、クレームを受ける場合があります。大規模なクレームや製造物責任を問われる事態が発生した場合、これらの補償、対策が製造原価の上昇となり、当事業の業績は影響を受ける可能性があります。

③  事業競合による影響

当事業の主力商品である店舗用棚下照明の市場は商業施設の棚下照明のメンテナンス需要、新設・改装需要から成り立っており、競合メーカーは少数でありましたが、LED化への急速な転換により競合メーカーの市場への参入が顕著になっております。

それゆえ、市場の各メーカー商品のシェア獲得は価格・商品開発において競争が厳しく、顧客の要求する品質の商品開発や販売政策の展開が不可欠であります。この商品戦略において優位なポジションに付けない場合があります。

また、現在の競合他社より大きな資本力・商品力を持つ企業や、コスト面で優位なメーカーの参入があった場合、従来の顧客との取引を維持できなくなり、業績は影響を受ける可能性があります。

④  エンドユーザーの投資動向による業績への影響

当事業製品のエンドユーザーはデパート、スーパーマーケット、ブランドショップ等の店舗及びオフィスビル等の内装関係であり、これらエンドユーザーの出店・改装・増床等の投資動向が左右された場合、当事業の業績は影響を受ける可能性があります。

 

(3)その他のリスク

災害による影響

当社グループの事業拠点について、塗料事業の生産拠点は分散化を図っておりますが、照明機器事業の生産拠点として、蛍光ランプ類は神奈川県平塚市及び秦野市に、安定器・照明器具類は秋田県潟上市に、蛍光色材事業の生産拠点は神奈川県鎌倉市にあり、今後自然災害等の外的要因により生産活動を停止せざるを得ないケースでは、代替する生産拠点を有しておりません。

各事業の生産拠点のいずれかが地震等の災害に罹災し稼働困難となった場合、コンピュータの基幹システムに重大な障害が発生した場合、あるいは電力需要調整の必要が生じた場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

技術提携

①  技術供与

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価

PPG Coatings

(Malaysia)Sdn.Bhd.

マレーシア

プラスチック用塗料の製造販売権

平成26年7月1日から平成31年6月30日まで以後3年毎の自動更新

売上高に対して一定率

Taiyang Paints

Corporation

台湾

重防食塗料及びその他工業用塗料

の製造販売権

平成24年10月20日から平成29年10月19日まで
以後5年毎の自動更新

売上高に対して一定率

The Sherwin-Williams Company

米国

プラスチック用塗料の製造販売権

①平成18年8月1日から平成28年7月30日まで

以後10年毎の自動更新

②平成27年12月1日から平成30年11月30日まで

以後3年毎の自動更新

売上高に対して一定率

P.T.

Tunggal Djaja

Indah

インドネシア

重防食塗料及びその他工業用塗料

の製造販売権

平成28年1月8日から平成29年1月7日まで以後1年毎の自動更新

売上高に対して一定率

Maharani

Innovative Paints

Pvt. Ltd.

インド

自動車部品用塗料及びその他工業

用塗料の製造販売権

平成26年2月21日から平成36年2月20日まで以後3年毎の自動更新

①イニシャルロイヤリティー

②売上高に対して一定率

 

 

②  技術導入

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価

Valspar

Corporation

米国

パイプ用塗料の製造販売権

平成28年3月27日から平成29年3月26日まで以後1年毎の自動更新

売上高に対して一定率

The Sherwin-Williams Company

米国

インモールドコーティングの製造

販売権

平成28年1月1日から平成32年12月31日まで以後5年毎の自動更新

売上高に対して一定率

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、コアビジネスである塗料事業をはじめ、照明機器、蛍光色材及びジェットインクなどの塗料事業以外の商品開発にも取り組んでおります。塗料事業においては市場ニーズに合致する地球環境に優しい商品、省力・省エネルギー化に対応した商品、高機能・高付加価値商品の開発に注力すると共に、新商品開発の基礎となる機能性を有する樹脂や新規材料の研究開発をはじめ、防食理論、塗膜分析、顔料分散及び塗膜形成技術などの基盤技術の拡充を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は14億8千3百万円となりました。

当連結会計年度の主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)国内塗料事業

① 構造物塗料分野

橋梁や各種プラント施設に代表される大型の鋼構造物や土木コンクリート構造物など公共性の高い社会インフラを長期間、経済的に護るための材料開発とシステム開発、塗膜寿命の予測可能な技術開発などに注力しております。また、近年のキーワードに「LCC(ライフサイクルコスト)の低減」、「環境負荷低減」及び「安全・安心」を掲げ、これまでに培った技術と経験に基づいて開発に取り組んでおります。LCCの低減では東京スカイツリー®に採用された長期耐久性を有する厚膜形ふっ素樹脂塗料「VフロンHB」、環境負荷低減ではVOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減した「DNT水性重防食システム」及び「水性グリーンボーセイ速乾」、省力化では素地調整にかかるコストを大幅に低減した「サビシャット」、安全・安心ではコンクリートの剥落防止に効果を発揮する「レジガード1DFシステム」などの開発を行い市場展開に取り組んでおります。

② 建築塗料分野

戸建住宅やオフィスビルの新築・改修において、省エネ、省工程、安全及び快適をキーワードに環境に優しい独創的な製品の開発に取り組んでおります。オフィスビルのカーテンウォール改修においてスプレー塗装でしか得られなかった高外観メタリック仕上げをローラー塗装でも可能とした弱溶剤形ふっ素樹脂塗料「Vフロン#200スマイルRBメタリック」、無機素材から金属素材まで適用可能な弱溶剤塗料「マイティー万能エポシーラー」、環境に配慮した水系塗料「マイティー万能水性シーラー」、省エネ効果が期待される遮熱塗料「エコクールシリーズ」、戸建新築時の外装の意匠性を活かしたまま高外観と長期保護を可能とする水性タイプの塗り替え用塗料「SBライズコートアクアSi」、弱溶剤タイプの塗り替え用塗料「SBライズコートスマイル」などの市場展開に取り組んでおります。

③ 車輌産機・自動車補修塗料分野

塗り替え車輌の高外観・高耐久化に貢献する「Vトップ車輌用塗料」及び「Vフロンクリヤー」、環境に配慮した自動車補修用塗料「Auto D-1ベースHS」及び「Auto ブレインクリヤー」など市場ニーズに合致した環境配慮型商品、高耐久性及び高外観商品を提供し、市場展開に取り組んでおります。

④ 建材塗料分野

新築戸建住宅外装建材用塗料向けに高意匠、高機能及び高耐候性化などの顧客ニーズに応える環境に配慮した塗料と塗装システムの開発に取り組んでおります。

⑤ 金属焼付塗料・粉体塗料分野

VOC削減、環境負荷物質低減による地球環境保護を考慮した水系塗料「エマロンシリーズ」及び「テクノンシリーズ」、塗膜表層にふっ素樹脂を配向させることで長期耐久性を有する二層分離形粉体塗料「パウダーフロンSELA」、高輝度なメタリック感を有する接着型ボンディングメタリック粉体塗料「V-PETメタリックシリーズ」の市場展開に取り組んでおります。

⑥ インクジェット・新事業分野

インクジェットの加飾技術と塗料の積層技術を応用した高意匠性、高耐候性に優れた塗装システム及び貴金属ナノ粒子の合成技術と分散技術を応用したバイオセンシング用診断液や新規光学材料の開発と市場展開に取り組んでおります。

 

(2)海外塗料事業

中国、東南アジア及びメキシコなどに進出している日系自動車部品メーカーを中心に、環境・省工程・高意匠の自動車内外装塗料「プラニットシリーズ」及び「アクリタンシリーズ」を市場展開しております。また、重防食塗料分野においては鋼構造物外面用の低VOC塗料「エポオールHS」、施工効率を高める速乾形塗料「エポニックスQD」など海外向け商品をラインナップして市場展開に取り組んでおります。

 

(3)照明機器事業

照明市場におけるLED照明へのシフトは定着化しており、顧客ニーズに応えるための新製品開発、注力する新規市場を確保するための既存製品のリニューアル、既存LED製品シリーズのラインナップ拡充を図っております。新製品としては業界に先駆けて電源部を器具に内蔵し、AC100Vで点灯する什器用ダウンライトを発売しました。新規市場としての屋外向け製品としては、調光仕様を追加した屋外照明器具「HOシリーズ」、防水型照明器具「FL-WPシリーズ」を発売しました。また、既存製品のラインナップの拡充として業界最小の8mm幅照明器具「XCシリーズ」、面発光照明器具「TFPシリーズ」を開発しました。更に、新規開発として新調光規格のDALIシステム、調光調色システム及び植物育成用LEDモジュールに取り組んでおります。

 

(4)蛍光色材事業

市場のニーズに合致した商品、他社にない商品開発をコンセプトに環境・安全に配慮した高耐候性蛍光色材の開発に取り組んでおります。防災・減災に対する関心の高まりから、蛍光顔料の高視認性を活かした「ルミノヘリサイン」、環境に優しい「水性省工程ヘリサイン用塗装システム」、安全に配慮した再帰反射塗料「ビームライトエース」などの市場展開、更に、民間企業や大学と提携してインクジェット用インク、トナー及び3Dプリンタ用蛍光顔料の研究開発に取り組んでおります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 

前連結会計年度

(平成27年3月31日)

当連結会計年度

(平成28年3月31日)

増減額

資産 (百万円)

 

69,252

67,732

△1,520

負債 (百万円)

 

40,811

37,112

△3,698

純資産(百万円)

 

28,441

30,620

2,178

自己資本比率(%)

 

38.2

42.3

4.1ポイント上昇

 

当連結会計年度における総資産は、677億3千2百万円となり、前連結会計年度末と比較して15億2千万円の減少となりました。流動資産は、317億7千9百万円で前連結会計年度末と比較して6億7千9百万円の減少となりましたが、これは現金及び預金の増加6億2千7百万円、受取手形及び売掛金の減少7千3百万円、たな卸資産の減少7億2千3百万円、繰延税金資産の減少1億1千7百万円、その他の減少4億1千9百万円が主因であります。固定資産は、359億5千3百万円で前連結会計年度末と比較して8億4千1百万円減少となりましたが、これは有形固定資産の減少6億4千1百万円、投資その他の資産の減少2億3千5百万円が主因であります。

負債は、371億1千2百万円となり、前連結会計年度末と比較して36億9千8百万円の減少となりました。流動負債は、297億4百万円で前連結会計年度末と比較して34億9千8百万円の減少となりましたが、これは支払手形及び買掛金の減少11億3千9百万円、短期借入金の減少26億1千5百万円、未払法人税等の増加7千2百万円、製品補償引当金の増加1億5千8百万円が主因であります。固定負債は、74億8百万円で前連結会計年度末と比較して2億円の減少となりましたが、これは長期借入金の減少5億9千9百万円、リース債務の増加2億1千1百万円、繰延税金負債の増加2億9千1百万円、再評価に係る繰延税金負債の減少6千9百万円が主因であります。

純資産は、306億2千万円となり、前連結会計年度末と比較して21億7千8百万円の増加となりましたが、これは利益剰余金の増加31億6千8百万円、自己株式の増加2億5千万円、その他有価証券評価差額金の減少3億6千6百万円、土地再評価差額金の増加6千9百万円、為替換算調整勘定の減少2億8千2百万円、退職給付に係る調整累計額の減少1億7千4百万円、新株予約権の増加5千5百万円が主因であります。

なお、キャッシュ・フローの状況については、「1[業績等の概要](2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

(2)経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、「1[業績等の概要](1)業績」に記載のとおりであります。