第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「新しい価値の創造を通じて地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄と豊かな暮らしの実現に貢献できる企業を目指します。」という経営理念のもと、持続的成長力をもつ企業たるべく事業展開を図っております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、お客様に満足していただける製品、技術、サービスの提供を通じて、コアビジネスである国内塗料事業の高付加価値化を図るとともに、海外塗料事業の積極拡大、新収益源となりうる事業の育成・強化を推し進めて、売上高営業利益率10%以上を目指します。

 

(3)経営環境

当社を取り巻く環境としましては、当社の主要市場である国内塗料市場は趨勢的に縮小傾向にあり、今後も企業間競争は激化していくものと予想されます。また、海外経済における不確実性の高まりを背景に、為替相場や原材料価格の変動といった外部要因によるリスクも増大しつつあります。

 

(4)経営戦略及び対処すべき課題

中期経営計画の最終年度にあたる2019年4月以降の展望としましては、下記の重点課題をもとに諸施策に取り組んでまいります。

1.2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う、国内インフラ市場における維持・補修需要の獲得

2.重防食技術やインクジェット加飾技術等、当社の強みをかした市場開拓の推進

3.社会構造の変化に対応し、新たな付加価値の創出を目的とした研究開発体制の強化

4.海外市場における工業用塗料のシェア拡大と構造物塗料の更なる展開

以上のような課題に対応する諸施策を実施し、当社独自の強みを更に洗練させることで、持続的成長力を持つ企業たるべく努めてまいります。

 

(5)株式会社の支配に関する基本方針について

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)

当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。

ただし、株式の大規模買付提案の中には、たとえばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。

② 基本方針の実現に資する特別な取組み

当社は、1929年に島津、三菱、大倉の共同出資により設立された企業であり、今日まで塗料製造を基軸とした事業活動を営んでまいりました。

現在、当社及び当社グループは、塗料、蛍光色材及び照明機器の製造販売を主な事業領域としておりますが、当社グループの企業価値の主な源泉は、「国家社会の繁栄に奉仕し得る将来性ある企業足るべし」という創業精神のもとに、永年に亘ってお届けしている各種製品の品質・性能とサービスが築いたブランド力、顧客との信頼関係にあると考えております。特にコア事業である塗料事業におきましては、起業の礎となった錆止め塗料「ズボイド」をはじめ、市場から絶大な支持を得てまいりました防食塗料、その他の独創的な塗料技術は、地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄、豊かな暮らしの実現に貢献し得たものと自負いたしております。このような創業以来の当社及び当社グループの取組みの積み重ねが企業文化、あるいは「DNT」ブランドとして結実し、現在の企業価値の源泉になっており、今後も企業文化の継続発展を通して当社の社会的存在意義を高めることが、結果として企業価値及び株主共同の利益の最大化につながるものと考えております。

当社グループの経営戦略の基本命題は、コアビジネスである塗料事業の継続的成長を図り、市場の好・不調に影響されることの少ない高収益事業とすることにあります。しかしながら、国内市場の構造変化、海外市場の急速な変貌、更には原油、ナフサ価格、為替相場変動に起因する塗料用原材料価格高騰の影響等により、企業価値・株主共同の利益の確保・向上は容易ではありません。そのため、より強固な企業体質を構築する必要があります。具体的には、

1)  国内塗料事業の高付加価値化

2)  海外塗料事業の積極拡大

3)  新たな収益源事業の育成・強化

を必達目標として掲げ、経営基盤の整備とともに地球環境保全活動、適切な情報開示、社会貢献活動など企業の社会的責任を誠実に果たしてまいります。

また、株主、顧客、従業員及び社会全体から「存在価値のある企業」として認められるには、コーポレート・ガバナンスの充実・強化が経営の最重要課題の一つであると考えております。そのために、当社は、金融庁と東京証券取引所が上場企業の企業統治の指針としたコーポレートガバナンス・コードの主旨を踏まえた「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定し、持続的成長と中長期的な企業価値の向上のために、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方とその枠組み、運営に係る方針を定めて充実・強化を図っております。また、社外取締役や監査役制度により経営監視機能を強化・充実し、決算や経営施策等の情報開示を適時且つ正確に行うなど、透明性の高い企業経営の実現に向けて努力しております。

当社は経営理念「当社は、新しい価値の創造を通じて地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄と豊かな暮らしの実現に貢献できる企業を目指します」のもと、グループ一丸となって、広く社会にとって有用な商品・サービスを提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得することが、歴史と伝統ある島津系・三菱系企業の一員としての使命であると認識し、今後とも様々なステークホルダーと良好な関係を維持・発展させて経営基盤を強化することで、企業価値・株主共同の利益の確保・向上を図ってまいります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組

 当社は、2014年4月24日開催の当社取締役会において、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」(以下、「原プラン」といいます。)の継続を決議し、同年6月27日開催の第131期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。原プランの有効期間は、2017年6月29日開催の第134期定時株主総会終結の時までであることから、当社では、株主共同の利益及び企業価値の維持・向上の観点から、当社を取り巻く事業環境、情勢変化等も踏まえ、更なる検討を加えました結果、同年4月26日開催の当社取締役会において、原プランを一部変更したうえで、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を継続することを決議し(以下、継続する「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を「本プラン」といいます。)、同年6月29日開催の第134期定時株主総会において株主の皆様にご承認をいただきました。

本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け、又は公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けを行う者を対象者として、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要且つ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するためのものであります。

大規模買付者があらかじめ定めるルールを遵守しない場合、又は当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ、且つ対抗措置の発動を相当と判断する場合、当社取締役会の決議に基づき発動する対抗措置としては、原則として新株予約権の無償割当てを行うこととします。ただし、かかる判断に当たっては、当社取締役会から独立した独立委員会の勧告を最大限に尊重します。

なお、本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社のホームページ掲載の2017年4月26日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」( https://www.dnt.co.jp/japanese/ir/library/file/other/news20170426.pdf )をご参照ください。

④ 基本方針にかかる取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由

本プランは、大規模買付者が基本方針に沿う者であるか否かを株主の皆様及び当社取締役会が適切な判断をするに当たり、十分な情報及び時間を確保する為に定めるものであり、特定の者による大規模買付行為を一概に拒絶するものではありません。

本プランの有効期間は3年間としていますが、有効期間満了前であっても株主総会で変更又は廃止できることとし、株主の皆様の意思が反映される仕組みになっております。

また、対抗措置の発動は、当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると判断される場合など、あらかじめ定められた合理的且つ客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発動に当たっては、独立委員会の中立的な判断を重視することとしており、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。更に、発動する対抗措置については、あらかじめその内容を株主の皆様に適時に情報開示を行うこととしております。

したがって、当社取締役会は、前記③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの具体的内容は基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則を充足しており、当社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを網羅したものではありません。

(1)塗料事業に係るリスク

①  販売価格動向による影響

塗料需要の大幅な減少に伴い国内での販売競争が激化しており、今後販売価格が大幅に下落する可能性があります。

なお、塗料原材料価格については、石油関連製品の世界的需要構造の変化及び為替変動により常に上昇するリスクに晒されております。

②  公共投資及び民間住宅投資による影響

当社は、創業以来培ってきた防食技術をはじめとする独自技術により、総合塗料メーカーとして事業を展開しており、その需要分野は多方面に亘りますが、売上の重要部分を占める防食塗料の需要は公共投資の動向に、また、住宅建材用塗料については民間住宅投資の動向やそれに係わる法的規制等にそれぞれ多大な影響を受けることになります。

③  工業用塗料ユーザーの動向による影響

当社の工業用塗料の売上は、販売先であるエレクトロニクス業界や工作機械業界の工場稼働状況に大きく左右されます。今後、世界的な景気動向が低迷した場合、同塗料の売上は多大な影響を受けることになります。

④  クレーム補償による影響

当社が住宅建材メーカーに納入する外装建材用塗料については、1999年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されて以降、住宅建材メーカー各社がこれを契機に高級外装材の拡販戦略として10年あるいはそれ以上の長期保証を打ち出し、塗料メーカーにも同様の塗膜保証を求めてきております。同塗料のトップメーカーである当社としては、製品の開発・製造には万全の注意を払い、損害賠償保険等による対策をとってはいるものの、保証期間が伸長され、新製品発売も数多くに上るという現状は、当社のクレーム発生件数増加や補償負担の発生リスクを伴うものであります。

⑤  法的規制による影響

当社は、地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄、豊かな暮らしの実現に奉仕することを希求しており、環境・安全・健康を確保するための責任ある自主活動「レスポンシブル・ケア」のほか、ISO14001の認証取得による全事業所での環境マネジメントシステムを実施し、環境汚染の防止に関する各種法律の遵守、「ノボクリーンシリーズ」をはじめとする環境対応形各種塗料の開発に努めております。

しかしながら、今後の法改正や法規制強化のあり方次第では、生産・研究施設の改善あるいは商品設計・開発に多大な投資を必要とし、あるいは新商品開発の遅延による機会損失発生の恐れがあります。

⑥  進出国の社会情勢による影響

海外事業は、為替変動に加え、法律・規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更や政治・経済状況の激変、テロ・戦争など海外特有の社会的混乱、その他予期せぬリスクが発生した場合、経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)照明機器事業に係るリスク

①  法的規制による影響

当事業は電機業界に課される法的規制を受けております。同規制は環境・安全・品質保証等広範囲に亘っております。これらの規制は、新たに制定されることもあり、また、従前の規制より厳しいものに変更されることもあります。

これらの規制の新規制定、変更に伴い、当事業の展開が制約を受けることや規制を遵守するために追加費用が発生することが予想されますが、そのような場合、当事業の経営成績は影響を受ける可能性があります。

また、当事業では建設業許可を受け、電気工事業者として登録し、主として当事業の製品である照明器具について、商業施設の内装に係る工事を受注しております。これら電気工事業務は、建設業法並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律の規制を受けているため、当該許可及び登録の更新がなされない場合、当事業の経営成績は影響を受ける可能性があります。

②  品質不良等の発生による影響

当事業の製品である安定器、LED電源、照明器具(蛍光灯及びLED)はISO9001、蛍光ランプはISO14001の採用により品質保証及び環境保全を最優先課題として製造しておりますが、様々な技術上、あるいはそれ以外の要因により不良品が発生し、クレームを受ける場合があります。大規模なクレームや製造物責任を問われる事態が発生した場合、これらの補償、対策が製造原価の上昇となり、当事業の経営成績は影響を受ける可能性があります。

③  事業競合による影響

当事業の主力商品である店舗用棚下照明の市場は商業施設の棚下照明のメンテナンス需要、新設・改装需要から成り立っており、競合メーカーは少数でありましたが、LED化への急速な転換により競合メーカーの市場への参入が顕著になっております。

それゆえ、市場の各メーカー商品のシェア獲得は価格・商品開発において競争が厳しく、顧客の要求する品質の商品開発や販売政策の展開が不可欠であります。この商品戦略において優位なポジションに付けない場合があります。

また、現在の競合他社より大きな資本力・商品力を持つ企業や、コスト面で優位なメーカーの参入があった場合、従来の顧客との取引を維持できなくなり、経営成績は影響を受ける可能性があります。

④  エンドユーザーの投資動向による経営成績への影響

当事業の製品のエンドユーザーはデパート、スーパーマーケット、ブランドショップ等の店舗及びオフィスビル等の内装関係であり、これらエンドユーザーの出店・改装・増床等の投資動向が左右された場合、当事業の経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(3)その他のリスク

災害による影響

当社グループの事業拠点について、塗料事業の生産拠点は分散化を図っておりますが、照明機器事業の生産拠点として、蛍光ランプ類は神奈川県平塚市及び秦野市に、安定器・照明器具類は秋田県潟上市に、蛍光色材事業の生産拠点は神奈川県鎌倉市にあり、今後自然災害等の外的要因により生産活動を停止せざるを得ないケースでは、代替する生産拠点を有しておりません。

各事業の生産拠点のいずれかが地震等の災害に罹災し稼働困難となった場合、コンピュータの基幹システムに重大な障害が発生した場合、あるいは電力需要調整の必要が生じた場合には、当社グループの経営成績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に緩やかな回復基調が継続しました。

一方、米国の通商政策による貿易摩擦の激化や中国経済の減速が景気の下振れリスクとして懸念されており、先行きの不透明感は一層高まっている状況です。

当社グループの経営成績については、売上高は主力の国内塗料事業で前期を下回ったことから、737億4千3百万円(前連結会計年度比 0.5%減)、営業利益は原材料価格高騰により押し下げられ、60億3千9百万円(同 5億4千9百万円減)、経常利益は前期に比べて製品補償引当金繰入額が減少し、62億1千万円(同 1億8千2百万円減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は当本社移転に伴う減損損失3億5千8百万円を特別損失として計上したことなどから、36億4百万円(同 9億6千8百万円減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

[国内塗料事業]

主力の構造物分野では鉄骨需要を中心に堅調に推移しましたが、建材分野では需要が低調に推移し、売上は減少しました。利益面では、製品価格の改訂や高収益品の拡販のほか、経費削減によって収益性の改善に努めたものの、原材料価格高騰の影響により各塗料分野の利益は大きく押し下げられ、当セグメント全体の経営成績としては減収減益となりました。

この結果、売上高は529億7千2百万円(前連結会計年度比 0.8%減)、営業利益は29億3千4百万円(同 5億3千2百万円減)となりました。

 

[海外塗料事業]

東南アジア市場では、主力のタイにおける自動車生産台数の回復を受けて需要が堅調に推移し、自動車部品分野の需要が増大し売上は増加しました。一方、北中米市場では、自動車部品分野における主要取引先の減産影響等により、売上は前期を下回りました。利益面では、当該分野の売上減少を主因に前期を下回り、当セグメント全体の経営成績としては増収減益となりました。

この結果、売上高は80億6千3百万円(前連結会計年度比 1.3%増)、営業利益は11億9千万円(同 2億1千4百万円減)となりました。

 

[照明機器事業]

百貨店等における照明工事の売上は増加しましたが、蛍光灯分野における市場縮小により、売上は減少しました。利益面では、製造原価の低減に努めたことで前期を上回り、減収増益となりました。

この結果、売上高は93億7千7百万円(前連結会計年度比 1.0%減)、営業利益は12億3千8百万円(同 9千2百万円増)となりました。

 

[蛍光色材事業]

塗料分野等の加工品では国内市場において需要が堅調に推移し、売上は増加しました。利益面では、原材料価格高騰の影響を強く受けたことで前期を下回り、増収減益となりました。

この結果、売上高は12億8千7百万円(前連結会計年度比 0.9%増)、営業利益は7千4百万円(同 4千4百万円減)となりました。

 

[その他事業]

売上高は20億4千1百万円(前連結会計年度比 0.1%増)、営業利益は3億1千5百万円(同 1億1百万円増)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より14億4千8百万円増加し、57億4百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、43億5千8百万円(前連結会計年度は53億1千5百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益、仕入債務の増加、利息及び配当金の受取等の収入と、退職給付に係る資産の増加、法人税等の支払等の支出を主因とするものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、24億7千万円(前連結会計年度は3億9千8百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得、無形固定資産の取得等の支出を主因とするものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、3億5千1百万円(前連結会計年度は47億4千7百万円の支出)となりました。これは短期借入金による収入と、配当金の支払、自己株式の取得による支出、リース債務の返済等の支出を主因とするものであります。

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

国内塗料(百万円)

52,222

99.3

海外塗料(百万円)

6,930

100.4

照明機器(百万円)

4,671

91.3

蛍光色材(百万円)

1,090

102.1

合 計(百万円)

64,914

98.9

(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.上記セグメント区分以外の「その他」は、塗装工事事業、物流事業等であり、提供するサービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。

② 受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は、一部特需関係等を除き主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残等について特に記載すべき事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

国内塗料(百万円)

52,972

99.2

海外塗料(百万円)

8,063

101.3

照明機器(百万円)

9,377

99.0

蛍光色材(百万円)

1,287

100.9

報告セグメント計(百万円)

71,701

99.5

その他(百万円)

2,041

100.1

合 計(百万円)

73,743

99.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相 手 先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事ケミカル株式会社

14,349

19.4

13,500

18.3

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積もり、判断は、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)当連結会年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ減収減益となりました。

売上高と営業利益のセグメントごとの経営成績の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)当連結会計年度における財政状態の分析

 

前連結会計年度

(2018年3月31日)

当連結会計年度

(2019年3月31日)

増減額

資産 (百万円)

 

76,155

78,880

2,724

負債 (百万円)

 

32,806

33,796

990

純資産(百万円)

 

43,349

45,083

1,734

自己資本比率(%)

 

53.5

53.6

0.1ポイント増

 

当連結会計年度における総資産は、788億8千万円となり、前連結会計年度末と比較して27億2千4百万円の増加となりました。流動資産は、353億8千8百万円で前連結会計年度末と比較して19億5千6百万円の増加となりましたが、これは現金及び預金の増加14億4千3百万円、受取手形及び売掛金の減少1億7千3百万円、その他の増加5億8千8百万円が主因であります。固定資産は、434億9千1百万円で前連結会計年度末と比較して7億6千8百万円の増加となりましたが、これは無形固定資産の増加1億7千6百万円、投資その他の資産の増加6億4千5百万円が主因であります。

負債は、337億9千6百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億9千万円の増加となりました。流動負債は、276億9千1百万円で前連結会計年度末と比較して12億5千1百万円の増加となりましたが、これは支払手形及び買掛金の増加4億4千7百万円、短期借入金の増加12億7千3百万円、未払法人税等の減少3億7千5百万円が主因であります。固定負債は、61億5百万円で前連結会計年度末と比較して2億6千1百万円の減少となりましたが、これは繰延税金負債の増加1億6百万円、退職給付に係る負債の減少1億4千5百万円、リース債務の減少1億7千4百万円が主因であります。

純資産は、450億8千3百万円となり、前連結会計年度末と比較して17億3千4百万円の増加となりましたが、これは利益剰余金の増加28億8千1百万円、自己株式の増加3億9千8百万円、為替換算調整勘定の減少1億6千万円、退職給付に係る調整累計額の減少8億4千8百万円、非支配株主持分の増加1億6千8百万円が主因であります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、主として内部資金又は借入により資金調達することとしております。

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社グループは経営理念のもと、持続的成長力を持つ企業たるべく事業展開を図っております。そのために、売上高営業利益率を目標とする経営指標として位置付け、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めております。

 

当連結会計年度の達成・進捗状況は以下の通りです。売上高は計画比12億5千6百万円減(計画比 1.7%減)となりました。これは建材分野の需要の落ち込みが想定を超えるものとなったことが主な要因となります。営業利益は計画比5億6千万円減(同 8.5%減)となりました。これは原材料価格の高騰が想定を超えて長期化し、製品価格の是正によって収益性の改善に努めましたが、これを補うまでには至らなかったことが主な要因となります。

この結果、売上高営業利益率は計画比0.6ポイント減の8.2%となりました。

指 標

当連結会計年度

(計 画)

当連結会計年度

(実 績)

当連結会計年度

(計画比)

売上高(百万円)

75,000

73,743

△1,256

営業利益(百万円)

6,600

6,039

△560

売上高営業利益率(%)

8.8

8.2

0.6ポイント減

 

 

4【経営上の重要な契約等】

技術提携

(1)技術供与

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価

PPG Coatings

(Malaysia)Sdn.Bhd.

マレーシア

プラスチック用塗料の製造販売権

2014年7月1日から2019年6月30日まで
以後3年毎の自動更新

売上高に対して一定率

Taiyang Paints

Corporation

台湾

重防食塗料及びその他工業用塗料

の製造販売権

2017年10月20日から2022年10月19日まで
以後5年毎の自動更新

売上高に対して一定率

The Sherwin-Williams Company

米国

プラスチック用塗料の製造販売権

①2018年12月1日から2021年11月30日まで

以後3年毎の自動更新

②2016年8月1日から2026年7月30日まで

以後10年毎の自動更新

売上高に対して一定率

P.T.

Tunggal Djaja

Indah

インドネシア

重防食塗料及びその他工業用塗料

の製造販売権

2019年1月8日から2020年1月7日まで
以後1年毎の自動更新

売上高に対して一定率

Maharani

Innovative Paints

Pvt. Ltd.

インド

自動車部品用塗料及びその他工業

用塗料の製造販売権

2014年2月21日から2024年2月20日まで

以後3年毎の自動更新

①イニシャルロイヤリ ティー

②売上高に対して一定 率

 

 

(2)技術導入

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価

Valspar

Corporation

米国

パイプ用塗料の製造販売権

2019年3月27日から2020年3月26日まで

以後1年毎の自動更新

売上高に対して一定率

The Sherwin-Williams Company

米国

インモールドコーティングの製造

販売権

2016年1月1日から2020年12月31日まで

以後5年毎の自動更新

売上高に対して一定率

 

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、コアビジネスである塗料事業をはじめ、照明機器、蛍光色材、ジェットインク及び機能性材料などの塗料事業以外の商品開発にも取り組んでおります。塗料事業においては市場ニーズに合致する地球環境に優しい商品、省エネルギー・省力化に対応した商品、高機能・高付加価値商品の開発に注力するとともに、新商品開発の基礎となる機能性を有する塗料用樹脂や新規材料の研究開発を始め、防食理論、分析・物性評価技術、顔料分散技術、塗膜形成技術及び塗装技術などの基盤技術を拡充し、新しい価値を継続的に市場へ提供できる取り組みを進めております。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,596百万円となりました。

当連結会計年度の主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)国内塗料事業

① 構造物塗料分野

橋梁や各種プラント施設に代表される大型の鋼構造物や土木コンクリート構造物などにおいて「LCC(ライフサイクルコスト)の低減」、「環境負荷低減」、「省力化」、「点検・診断」、「安全・安心」をキーワードに、公共性の高い社会インフラを長期間護るための材料開発と塗装システム開発及びメンテナンス市場をターゲットとした補修・補強材料や塗膜診断技術を活用した塗膜の寿命予測などに注力しております。LCCの低減では、塗膜の線膨張係数に着目した革新的新商品である剥離抑制型弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料「ケルビンα2.5」、環境負荷低減ではVOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減した「DNT水性重防食システム」、「水性グリーンボーセイ速乾」、省力化では有機ジンクリッチペイントでありながら摩擦接合部への適用が可能となり作業工程が削減できる「ゼッタールEP-HF」、点検・診断では点検時に簡易的な補修が可能な「レジソークType1-NSスプレー」、安全・安心ではコンクリートの剥落防止を短工期で実現する「レジガード1Dayはく落防止(SheiM-CS)システム」やプラント配管設備における保温材下の腐食を抑制する「CUIシャット」などの開発を行い、市場展開に取り組んでおります。

② 建築塗料分野

戸建・集合住宅やオフィスビルの新築・改修において、「省エネ・省工程・安全・快適」をキーワードに環境に優しい独創的な製品の開発に取り組んでおります。独創的な製品では、オフィスビル等の外壁に使用されるカーテンウォールの改修用として、神戸国際交流会館にも採用された高外観メタリック仕上げをローラー塗装で可能にする弱溶剤形ふっ素樹脂塗料「Vフロン#200スマイルRBメタリック」、オフィスビルや商業施設等の扉や手摺りなど人の手が多く触れる箇所の皮脂(手の脂)による汚れ、はがれの問題を解決し、大手テーマパークにも採用された水性塗料「アクアマリンタックレス」、「臭気」をキーワードとした新商品2品として、カーテンウォールの改修用の弱溶剤形塗料の作業性を有し、臭気を60%低減した「Vフロン#201ニオイの少ないタイプ」、商業施設が営業中でも改修を可能としたゼロVOCで安全且つ従来のエマルション塗料の臭気を94%低減した「COZY PACK」などの市場展開に取り組んでおります。

③ 車輌産機・自動車補修塗料分野

車両産機塗料分野においては西武鉄道の新型特急列車「Laview(ラビュー)」に高意匠金属調メタリック塗料「スーパーブライト#2000」が採用されました。今回塗装された新型車両は、世界で活躍する建築家・妹島和世氏がデザイン監修し、日立製作所にて約2年間の試験施工を繰り返し、完成させた車両です。また自動車補修塗料分野では特化則対応塗料としてシャーシ用塗料「鉄壁コート マットブラック」、プライマーサフェーサー塗料「Auto D-NexT プラサフ」、補修用パテ「Auto D-NexT ライトパテ」及び「Auto D-NexT ポリパテ」などの新商品の市場展開に取り組んでおります。

④ 建材塗料分野

新築戸建住宅向け外装建材用塗料、屋根建材用塗料での高意匠、高機能、高耐候性化などの顧客ニーズに応える環境に配慮した塗料と塗装システムの開発に取り組んでおります。

⑤ 金属焼付塗料・粉体塗料分野

メタルカーテンウォールを主とした建築内外装用焼付塗料として、従来の溶剤系塗料に加え、ふっ素樹脂を塗膜表面に選択的に配向させることで長期耐久性を有する二層分離形粉体塗料「パウダーフロンSELA」の市場展開を行い、都市開発案件、オリンピック関連施設への採用に向け取り組んでおります。

⑥ インクジェット・新事業分野

インクジェットインクによる加飾技術と塗料の積層技術を組み合わせた高意匠性かつ高性能な塗膜の形成を実現できるDNTデジタルコーティングシステムによる市場への展開を実施しております。新事業としては貴金属ナノ粒子の合成技術と表面処理技術を応用したバイオセンシング用診断材料や光学材料の開発に取り組んでおります。

 

(2)海外塗料事業

中国、タイ、インドネシア等の東南アジア及びメキシコにおいて自動車部品メーカーを中心に省工程・高意匠の自動車内外装部品用塗料「プラニットシリーズ」及び「アクリタンシリーズ」を市場展開しております。また、金属のような輝度感を有する金属調塗料「アクリタンMY51」も市場展開しており、好評を博しております。

重防食塗料分野においては、中国、東南アジアを中心としたプラント設備向けやODA(政府開発援助)橋梁案件向けに日本の塗料設計技術を提供し、LCCの低減や環境負荷低減の実現を目標として市場展開に取り組んでおります。

 

(3)照明機器事業

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、2019年は照明機器事業部が得意とする商業施設他、ホテル等の施設照明の需要も堅調に推移してゆくことが期待されます。

新商品としては直流24Vの給電レールにマグネットを取り付けることによって、点灯が可能な「スポットライト・レールシステム」を開発し、DNライティングが独自開催した「新商品発表会」及び東京ビッグサイトで開催された「ライティングフェア2019」で好評を博しております。

既存の間接照明器具の「SC-LEDシリーズ」及び「TREシリーズ」に短尺サイズを追加することにより、サイズ・ラインナップを拡充し、使い勝手の良さを向上させております。

その他大手住宅設備メーカー向けに住宅設備機器組込み用として、特注照明器具が採用されました。

また、主力のLED照明器具を中心に設計を見直し、材料・半製品の統合によるコストダウンでの売上総利益率は向上しました。

今後は戦略的に市場動向を分析し、照明を使った快適な空間創造及び魅力的な施設演出のための光技術及び光制御技術を応用した製品開発を行うとともに品質面・コスト面での向上を目指していきます。

 

(4)蛍光色材事業

蛍光顔料事業では、環境に考慮した人体に優しいノンホルマリン型のポリエステル系蛍光顔料や、アクリル系蛍光顔料の開発及び産学官を活用した「高耐候性蛍光顔料」などの機能性蛍光顔料の研究開発にも継続して取り組んでおります。また、電気・電子部品にも使用できるハロゲンフリー型蛍光顔料の市場展開に取り組んでおります。

蛍光塗料事業では、停電時の暗闇で長時間発光する蓄光塗料、駅のホームからの転落防止用CP(色彩心理)ライン「ルミライン#100」、歩行時に水に濡れた床面でも滑らない「ルミノグリップ」、夜間でも光を反射して注意喚起を促す「ビームライトエース」、危険個所表示など雪面にスプレー可能な「蛍光スノースプレー」などの市場展開に取り組んでおります。

 

なお、セグメントごとの研究開発費は、「国内塗料事業」1,215百万円、「照明機器事業」298百万円、「蛍光色材事業」83百万円であります。