当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「新しい価値の創造を通じて地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄と豊かな暮らしの実現に貢献できる企業を目指します。」という経営理念のもと、持続的成長力をもつ企業たるべく事業展開を図っております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、お客様に満足していただける製品、技術、サービスの提供を通じて、提供価値の強化、価格競争力の強化、販売体制の強化、労働生産性の向上、海外事業の強化の5つの基本施策を推し進めて、中長期的には売上高営業利益率10%以上を目指します。
(3)経営環境
当社を取り巻く事業環境としましては、国内塗料事業においては、一般用分野は引き続き堅調な需要環境が見込まれ、工業用分野は経済活動の回復を背景に緩やかな需要回復が期待されます。
海外塗料事業においては、半導体等の部材不足の緩和による自動車生産台数の回復により北中米やタイでは需要の回復が見込まれますが、中国では本格的な需要回復には至らない見通しです。
照明機器事業においては、ホテルやオフィスビルを中心とした再開発案件が堅調に推移することが見込まれるほか、百貨店などの商業施設向け需要はインバウンドの増加を背景に下期からの回復が期待されます。
蛍光色材事業においては、店舗広告、文房具及び衣料などの蛍光顔料需要は経済活動の回復を背景に緩やかな需要回復が期待されるほか、国内市場では減災・防災分野における需要の増加が期待されます。
また、各セグメントに共通してエネルギー価格の上昇に伴う動燃費の上昇が予想されるほか原材料価格の動向も依然として不透明な状況であり、製造原価の低減施策に注力したうえで弾力的な価格戦略を講じていくことが重要課題となります。
(4)経営戦略
中期経営計画最終年度となる2023年4月以降の展望としましては、後記の経営戦略を推進し、当社独自の強みを更に洗練させることで、持続的成長力を持つ企業たるべく努めてまいります。
1.技術センターの活用により顧客ニーズに沿った製品・技術開発を推進し、顧客への提供価値を強化する
2.工場ラインの生産性の向上や生産自動化等による製造コストの圧縮と原材料や塗料配合の見直しによる原材料コストの低減を実現し、市場における価格競争力を強化する
3.販売代理店とのパートナーシップ強化や営業組織体制の適正化により、顧客対応力の強化や市場開発活動の推進を図る
4.従業員の働き方改革を通じて、付加価値創出への貢献という観点から業務プロセスの見直しを図る
5.海外市場における工業用塗料のシェア拡大と特色ある汎用塗料の拡販を図るとともに、中国市場における事業基盤の確立を進める
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前記の経営環境及び経営戦略を踏まえ、当社は以下を優先的に対処すべき課題として取り組んでまいります。
① 社会のニーズにマッチした製品開発による売上増加
当社の主力分野である構造物用塗料分野では、建設土木現場における労働人口の減少が顕著となる中、膨大な社会資本ストックをいかに経済的にメンテナンスするかが近年の重要なテーマとなっております。これに対し、多様な現場環境に適した塗装仕様や工法の確立及びメンテナンスの省人化・省工程化といった社会環境に配慮した提案が求められます。工業用分野では、CO2削減を目的として自動車業界を中心に軽量化素材の適用が進められており、様々な素材に対し、水性塗料、粉体塗料、インクジェットプリントなどのコーティング技術を複合的に組み合わせた塗装工法の提案が必要となります。当社としましては、防食技術センターとコーティング技術センターを拠点に、社会課題に対応した塗料製品や塗装技術の開発及び顧客への提案を推進することで、社会に貢献しつつ、新たな需要を取り込み、製品の拡販に努めてまいります。
② 売上原価及び販売管理費の削減
当社の重要な経営指標である売上高営業利益率を向上させるうえで、売上原価及び販売管理費を削減し、損益分岐点を引き下げることが重要な課題であります。売上原価の大部分を占める原材料コストに関しては、製品や原材料の統廃合、配合の共通化、購買方法の見直し等を通じてコストの低減を図っております。生産体制に関しては、生産設備の最適な配置や新しい設備の導入を進めることにより生産効率を改善し、製造コストを抑える努力を継続しております。
③ 中国における営業開発力の強化及び東南アジア・北中米地域における顧客対応力の強化
中国では政府による環境規制強化に対応すべく、浙江省に工場を設立し、既設の上海工場からの事業移管を進めてまいりました。事業移管の過渡期における費用増加に加えて、新型コロナウイルス感染症とそれに対するゼロコロナ政策による経済活動の停滞の影響を受け、近年は収益力が大幅に低下しておりました。2022年度において事業移管の大部分が完了しており、2023年度は経済活動の正常化も進むことが予測されることから、当社としましては営業開発活動への注力と徹底的なコスト削減により、事業再建に努めてまいります。
東南アジア・北中米地域においては、自動車部品向けビジネスが中心となりますが、近年では顧客ニーズの多様化や、CO2削減をはじめとする環境対応の優先度が高まっていることから、当社としては国内外の連携推進や現地における研究開発体制の充実化を通じて、顧客対応力を強化してまいります。更に、自動車部品向け以外の他の工業用市場の販売拡大や特色ある一般用塗料の販路開拓、各国の環境規制や規格に対応した塗料の開発を推進し、事業リスクの分散を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.ガバナンス
当社はSDGsを背景に「持続可能な社会の実現」に向けた社会課題解決や目標達成を目指し、活動の意義と照らし合わせた取り組みを行っております。技術・製品・サービスの提供など、事業活動を通じた社会課題解決に向け、より一層サステナブル社会の実現に貢献する企業を目指しております。
当社は2021年度に社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しており、原則年2回開催しております。取締役会は、同委員会へ全社的なESGに対する取り組みの協議、施策の決定及び進捗管理を委嘱し、同委員会から報告を受けております。サステナビリティ委員会は、当社の各部門及びグループ会社から委員を構成し、当社グループ全体でのサステナビリティ関連のリスクの識別及び当社グループへの事業及び財務影響を評価し、具体的な対応策を策定しております。
当社は後記の5つを重要課題として認識し、当社を取り巻く事業環境の変化や経営戦略と照らし合わせ、具体的な取組み内容を決定し、ESG活動を推進しております。
①環境への配慮・・・事業活動によるエネルギー使用量、CO2排出量、廃棄物の削減
②製品開発によるソリューションの提案・・・社会情勢や産業構造の変化を反映した環境対応製品の拡販及び技術開発によって、より良い産業基盤の構築
③社会との講和・・・地域社会・国際社会への貢献を目指し、持続可能な社会貢献活動への積極参加
④働く人の幸せ、豊かな職場づくり・・・人事制度の充実化や業務の見直し、効率化により多様な人材登用、働くすべての人の能力を最大限に発揮できるような働き方の推進
⑤公正で誠実な企業活動・・・透明性の高い健全な経営基盤の構築に向けたコーポレート・ガバナンスの充実への取組み
2.戦略
(1)人材育成方針
当社は、「一人ひとりが「自ら考え、行動に移す」こと、周囲へ発信し、刺激を与え、頼られ信頼される人材の育成」という人材育成方針のもと、後記の点に取り組んでおります。
・主体的に課題に取り組み、執念を持って成果に繋げる人材育成
・多様な個性と能力を尊重し、チャレンジ精神ある人材が活躍できる組織風土の実現
・仕事に基づき、一人ひとりの成長を支援するための能力開発教育を推進
(2)社内環境整備
当社は、人材育成方針に基づき、後記の制度を導入し、人材育成に努めております。
人事制度
・人材を軸に会社を活性化できる人事システムを構築
・成果に繋がる行動をとった人、成果を上げた人が報われる評価体系
・人材を軸として組織横断的に適材適所を進める施策として公募制度を導入
研修制度
・階層別研修(新入社員研修、中堅社員育成研修、中堅リーダー研修、新任基幹職研修)、部門別研修、
OJTを通して、自身の成長へ繋げられる研修を実施
・海外事業拡大に向け、若手が活躍できる人材の育成を目的にトレーニー制度を導入
・社員の自己啓発の促進とキャリア形成支援のための通信教育制度
働き方の多様性
社員が生き生きと働ける職場を目指し、自己選択による勤務時間の繰り上げ繰下げ、フレックスタイム、在宅勤務と柔軟な勤務制度をはじめ、子育て支援とし(小学校卒業までの子を有する者)に関してはテレワークを行う事を推進
前記のほか、後記の取組みを進めております。
・女性の活躍機会を増やし男女平等に社会参画できる機会を作ると同時に、労働人口の確保を目的とした女性従業員の採用比率20%の目標達成にむけた取組み。
・定年退職者が引き続き就労することを希望した場合、高齢者雇用安定法の趣旨に基づいて「シニアスタッフ制度」を採用し、定年退職者の豊富な経験・知識・技能を会社の業務に活かし、併せて高齢者の生きがいの充実を図りながら会社の発展に資することを目的とした取組み。
・企業は障がい者への雇用・就労の場を確保することが社会的責任であることから、当社は障がい者の社会参加と職業的自立を図るために、雇用・就労の場を確保することに努めております。
・当社は2019年に「働き方改革プロジェクト」を発足し、「働きがい」と「労働生産性」を向上させることで、個々のレベルアップとともに私生活が充実し職場環境も活性化する良いサイクルが生まれるような取組み。
・従業員が健やかに仕事に取り組めるよう、ストレスチェックテストの実施と従業員が社外の専門家と悩みを相談できる環境を用意することで、身体面の健康ケアだけでなく、様々なメンタルヘルスケアへの取組み。
・当社は労働安全衛生の観点から、職場環境に潜在する危険性や有害性を特定し、労働災害を未然に防止するリスクアセスメント活動を実施しております。また、当社の那須事業所、小牧事業所及び当社の子会社において、経営幹部、労働組合、環境品質保証部による環境・安全パトロールを実施し、安全衛生状態の確認と適切な改善指導を行うことで、現場環境の改善につなげております。また防災訓練を実施することで、大規模地震を想定した避難訓練・人命救急訓練や消火訓練を行うことや、遮断訓練・漏洩訓練を実施することで有事にも即対応できる体制づくりに取り組んでおります。
3.リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク管理について、全社リスクマネジメントの枠組みの中でサステナビリティ委員会がこれに主導的に関与(抽出や評価等)するかたちで運用しております。
4.指標及び目標
当社は、前記「2.戦略」において記載した、人材の多様性確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標(2029年4月までに) |
実績(2023年3月期) |
|
管理職に占める女性労働者の割合(%) |
4以上 |
1.9 |
|
男性労働者の育児休業取得率(%) |
85 |
63.6 |
|
労働者の男女の賃金の差異(%) |
80 |
74.5 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、本記載は将来発生しうるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)事業展開に係るリスク
① 市場環境変化に関するリスク
当社グループの事業は、1)国内塗料事業、2)海外塗料事業、3)照明機器事業、4)蛍光色材事業、5)その他事業で構成され、売上の拡大や生産性の向上を図るとともに、原材料費用の低減並びに販売費及び一般管理費の抑制等のコスト削減に注力し、事業環境の変化に影響されにくい高い収益性を維持できる収益体質を確立すべく事業を展開しております。これらの関連業界市場の需要減少や販売地域での景気後退により、特に近年ではパンデミック(新型コロナウイルス感染症等)、地政学的な問題(戦争、テロ、社会的不安等)及び自然災害(地震、台風、大雨等)の要因で販売数量の減少や価格の下落が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
事業ごとの状況は以下のとおりであります。
1)国内塗料事業では、国内市場において広範囲な産業に製品を提供しております。製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、これらの市場において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に創業以来培ってきた防食技術の需要分野は多方面に亘り、売上の重要部分を占めておりますが、防食塗料の需要は公共投資の動向に多大な影響を受けます。また、外装建材用塗料については民間住宅投資の動向やそれに係わる法的規制等に多大な影響を受けます。
2)海外塗料事業では、東南アジア、中国、メキシコに製造・販売拠点を構築し、グローバルに製品を提供しております。新規顧客の開拓や製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、為替レートの変動に加え、法律・規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更や政治・経済状況の激変、テロ・戦争等海外特有の社会的混乱、その他予期せぬリスクが生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
3)照明機器事業では、建設業許可を受け、電気工事業者として登録し、主として当事業の製品である照明器具について、商業施設の内装に係る工事を受注しております。LEDをはじめとした新しい光源の発達に対応すべく今まで培ってきた技術力・ノウハウ・人材を活かして事業の拡大を図っておりますが、販売競争の激化等が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
4)蛍光色材事業では、蛍光顔料、蛍光塗料、特殊コーティング材等で、蛍光色材の国内唯一の総合メーカーとして、国内外市場において広範囲な産業に製品を提供しております。製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、これらの業界市場において需要の低迷が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
5)その他事業では、塗装工事及び塗料製品の運送・保管等で、需要の低迷が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料調達に関するリスク
当社グループの塗料事業に用いる原材料は、ナフサ等からなる石油化学製品であり、原材料の調達においては複数購買、代替品調査等の施策により安価で安定した調達を図っておりますが、石油関連製品の世界的需要構造の変化及び為替レートの変動により原材料価格が大幅に上昇した場合や、需給バランスの逼迫や遅延により原材料の調達が困難になった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 販売価格に関するリスク
当社グループは、原材料価格の高騰に対し販売価格に転嫁すべく努力しておりますが、販売競争の激化等により価格転嫁が充分に進まない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替レート変動に関するリスク
当社グループの海外展開する連結会社等は、財務諸表項目の円換算額が為替レートの変動による影響を受けるため為替レートに大幅な変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動の基盤である情報システム・情報ネットワークに対し、様々なセキュリティ対策を実施しておりますが、災害、サイバー攻撃、不正アクセス等により情報システム等に障害が生じた場合、企業情報及び個人情報等が社外に流出した場合は、事業活動の停滞や社会的評価・信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 退職給付に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等の前提に基づき計算されておりますが、年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 固定資産の減損に関するリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下又は市場価格の下落等により、減損損失が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 繰延税金資産の取崩しに関するリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産が減額された場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法律及び規制に係るリスク
① 法的規制等に関するリスク
当社グループは、事業活動を行う上で、商取引、環境、安全、保安、品質保証、化学物質管理、労働、特許、会計基準及び租税等の様々な法規制の適用を受けており、法令遵守を基本として事業活動を行っております。
特に環境・安全・健康を確保するための責任ある自主活動「レスポンシブル・ケア」のほか、ISO14001の認証取得による全事業所での環境マネジメントシステムを実施し、環境汚染の防止に関する各種法律の遵守、重防食塗装を全て水性塗料で可能とする「DNT水性重防食システム」や、低臭気の室内用水性塗料「COZY PACK(コージーパック)」をはじめとする環境対応型各種塗料、抗菌・抗ウイルス塗料「COZY PACK Air」を開発しておりますが、今後の法改正や法規制強化のあり方次第では、生産・研究施設の改善あるいは製品設計・開発に多大な投資を必要とし、新製品開発の遅延による機会損失が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理しておりますが、第三者による侵害や訴訟を提起された場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 製品品質に関するリスク
当社グループは、製品の特性に応じて品質保証及び環境保全を最優先課題として製品を製造しておりますが、様々な技術上、あるいはそれ以外の要因により不良品が発生し、クレームを受ける場合があります。大規模なクレームや製造物責任を問われる事態が生じた場合は、これらの補償、対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に住宅建材メーカーに納入する外装建材用塗料については、1999年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されて以降、住宅建材メーカー各社がこれを契機に高級外装材の拡販戦略として10年あるいはそれ以上の長期保証を打ち出し、塗料メーカーにも同様の塗膜保証を求めてきております。同塗料のトップメーカーである当社としては、製品の開発・製造には万全の注意を払い、損害賠償保険等による対策をとっておりますが、保証期間が伸長され、新製品発売も数多くに上るという現状は、当社のクレーム発生件数増加や補償負担の発生リスクを伴うものであります。
(3)災害等に係るリスク
① 災害、事故に関するリスク
当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めておりますが、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、火災等の事故が発生した場合は、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に当社グループの事業拠点について、塗料事業の生産拠点は分散化を図っておりますが、照明機器事業の生産拠点として、蛍光ランプ類は神奈川県秦野市に、安定器・照明器具類は秋田県潟上市に、蛍光色材事業の生産拠点は神奈川県鎌倉市にあり、自然災害等の外的要因により生産活動を停止せざるを得ないケースでは、代替する生産拠点を有しておりません。
各事業の生産拠点のいずれかが地震等の災害に罹災し稼働困難となった場合、コンピュータの基幹システムに重大な障害が発生した場合、あるいは電力需要調整の必要が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 感染症に関するリスク
当社グループの従業員への新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症に対しては、手洗い、うがい、マスク着用、アルコール消毒等の感染防止策を講じておりますが、感染者が発生し一時的に操業を停止した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に新型コロナウイルス感染症の対応については、ソーシャル・ディスタンスを意識した上で、三つの密(密閉・密集・密接)を避けるとともに、手洗い、うがい、マスク着用(2023年3月13日以降マスク着用は個人の判断に委ねる)、アルコール消毒を徹底し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出された地域にある事業所においては、更に在宅勤務(テレワーク)、不要不急の外出禁止、時差出勤、フレックスタイム制度等を活用して新型コロナウイルス感染の防止に努めております。
当社では、新型コロナウイルス感染症対策期間中は、適宜、新型コロナウイルス感染症対策会議を実施しておりました。会議の出席者は、社長、役員、本社の部長等によって構成されており、政府方針に基づいた当社グループにおける対策の決定や、感染者が発生した場合の対応策を議論しております。
なお、新型コロナウイルス感染症については、2023年5月8日から「5類感染症」に引き下げられ、国内外において概ね収束状況にありますが、新たな変異株の発生に伴い感染症が再拡大する可能性も踏まえて感染症対策に取り組みます。
③ 気候変動対応に関するリスク
当社グループは、環境対応型各種塗料の開発に注力するなど、事業活動を通じてCO2出量の削減等に取り組み、環境改善や気候変動リスクの低減に努めております。また、以下の気候変動リスクを識別及び評価しております。
・脱炭素化に向けたクリーンエネルギー及びCO2排出削減設備を導入することによるコスト増加
・環境負荷の低い原材料を購入することによる購入コストの増加
・気候変動による異常気象がもたらすサプライチェーンや事業活動停止によるコスト増加
・環境配慮型製品への需要シフトといった市場ニーズに変化による当社の既存製品の陳腐化による事業悪化
・温室効果ガスの捻出に関する新たな税負担が発生した場合のコスト増加
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動の両立が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格やエネルギー価格の上昇のほか、世界的な金融引締めが海外景気の下振れや為替相場の急変をもたらすなど、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループの経営成績については、売上高は各セグメントにおいて価格是正に努め、728億4千9百万円(前期比 8.8%増)となりました。利益面では、照明機器事業の好調な推移により営業利益は39億4千6百万円(同 7億6千2百万円増)、経常利益は43億1千6百万円(同 8億5千万円増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は第4四半期における固定資産売却益の計上により34億5千8百万円(同 14億2千6百万円増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
[国内塗料事業]
一般用分野では構造物用塗料の市況が堅調に推移しましたが、工業用分野では建材用塗料を中心に需要が減少しました。当セグメントの売上高は、原材料価格上昇に対する価格是正に努めたことで前期を上回りました。利益面では、生産効率化及び原材料や塗料配合の見直し等のコスト低減策に努めたことで前期並みの水準となりました。
この結果、売上高は532億5千万円(前期比 7.3%増)、営業利益は19億8千6百万円(同 3百万円減)となりました。
[海外塗料事業]
東南アジア地域では、タイにおいて半導体等の部材不足の影響で自動車部品用塗料の需要が低調に推移した一方、シンガポール及びマレーシアにおいては建材用塗料や焼付用塗料の需要が増加しました。北中米地域では、主要顧客の生産減少を受け自動車部品用塗料の需要が減少しました。中国では、焼付用塗料の需要が増加した一方、ゼロコロナ政策による影響を受け自動車部品用塗料の需要が減少しました。当セグメントの売上高は、円安による為替換算の影響により、前期を上回りました。利益面では、原材料価格の上昇及びタイ、メキシコにおける需要減少に加え、中国事業における在庫評価損の計上により、前期を下回りました。
この結果、売上高は80億6千6百万円(前期比 16.2%増)、営業利益は2億3百万円(同 3千2百万円減)となりました。
[照明機器事業]
業務用LED照明分野では、商業施設向けや建築向けの需要が回復したことに加え、原材料価格上昇に対する価格是正の実施により、当セグメントの売上高は前期を上回りました。利益面では、売上増加のほか経費の抑制に努めたことで前期を上回りました。
この結果、売上高は85億5千7百万円(前期比 11.8%増)、営業利益は12億8千5百万円(同 7億8百万円増)となりました。
[蛍光色材事業]
加工品分野では、安全対策用途の市場開拓や各種イベント類の再開により需要が回復しましたが、顔料分野では国内外の市況が低迷し、当セグメントの売上高は前期を下回りました。利益面では、付加価値の高い加工品分野の売上増加や経費削減により、前期を上回りました。
この結果、売上高は11億5千4百万円(前期比 5.7%減)、営業利益は7千1百万円(同 2千4百万円増)となりました。
[その他事業]
物流事業は、取扱量の減少により運送売上が前期を下回りました。塗装工事業は、主に首都圏における需要が回復し売上高は前期を上回りました。
この結果、売上高は18億2千万円(前期比 20.8%増)、営業利益は1億5千9百万円(同 4千4百万円増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1億3千8百万円減少し、63億4千万円となりました。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、12億8千2百万円(前連結会計年度は33億6千4百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益及び減価償却費をベースに、仕入債務の増加等による収入と、売上債権の増加、退職給付に係る資産の増加、法人税等の支払等の支出を主因とするものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、14億4千9百万円(前連結会計年度は9億6千6百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の売却等の収入と、有形固定資産の取得等の支出を主因とするものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、4億7千3百万円(前連結会計年度は28億4千1百万円の支出)となりました。これは短期借入金の借入等の収入と、配当金の支払、長期借入金の返済、リース債務の返済等の支出を主因とするものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループでは、営業活動から得られたキャッシュ・フローの収入を財源に運転資金、製造設備や研究開発設備の購入、配当金の支払い及び借入金の返済等に利用しております。
事業活動の持続的成長に欠かせない資金の流動性や安定的確保において、短期運転資金については、自己資金及び取引金融機関からの短期借入を基本とし、また設備投資など長期運転資金の調達については、長期借入を基本としております。当連結会計年度においては、重要な資金調達はありません。その結果、短期借入金残高は37億円(前連結会計年度は24億5千万円)、長期借入金残高は13億円(前連結会計年度は18億円)となっております。
当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は74億8千1百万円となっております。また、現金及び預金残高は68億6千4百万円となっております。国内子会社については、各社の余剰資金を効率的に活用するため、CMS(キャッシュマネジメントサービス)を導入し、資金及び財務効率性を目的とした一元管理を行っております。なお、在外子会社については、現地での設備投資や運転資金等の資金需要のために必要な現預金を保有しており、余剰資金が発生した場合には、将来的な資金需要を考慮しながら配当金を通じて、当社が余剰資金を回収しております。
新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢の不安定等、足元の業績が不透明な中で、当社としては手元資金の流動性の確保に向け金融機関と日々連携しており、当面の資金繰りについては、十分に担保されております。今後、運転資金等の需要が増加した場合には、コミットメントライン契約の活用の検討や、主力銀行等からの追加の短期資金調達を実施いたします。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内塗料(百万円) |
53,991 |
108.3 |
|
海外塗料(百万円) |
6,407 |
98.2 |
|
照明機器(百万円) |
5,373 |
132.7 |
|
蛍光色材(百万円) |
1,098 |
100.7 |
|
合 計(百万円) |
66,870 |
108.7 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.前記セグメント区分以外の「その他」は、塗装工事事業、物流事業等であり、提供するサービスの性格上、生産実績を定義することが困難であるため、記載しておりません。
② 受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は、一部特需関係等を除き主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残等について特に記載すべき事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
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国内塗料(百万円) |
53,250 |
107.3 |
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海外塗料(百万円) |
8,066 |
116.2 |
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照明機器(百万円) |
8,557 |
111.8 |
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蛍光色材(百万円) |
1,154 |
94.3 |
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報告セグメント計(百万円) |
71,028 |
108.5 |
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その他(百万円) |
1,820 |
120.8 |
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合 計(百万円) |
72,849 |
108.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相 手 先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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三菱商事ケミカル株式会社 |
12,726 |
19.0 |
- |
- |
3.当連結会計年度の三菱商事ケミカル株式会社の販売実績については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループの連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ、新型コロナウイルス感染症による世界的な景気悪化から需要が回復した影響により増収増益となりました。
売上高と営業利益のセグメントごとの経営成績の詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)当連結会計年度における財政状態の分析
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前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
増減額 |
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資産 (百万円) |
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87,705 |
92,805 |
5,099 |
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負債 (百万円) |
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35,713 |
37,594 |
1,880 |
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純資産(百万円) |
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51,991 |
55,210 |
3,218 |
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自己資本比率(%) |
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55.9 |
56.1 |
0.2ポイント増 |
当連結会計年度末における総資産は、928億5百万円となり、前連結会計年度末と比較して50億9千9百万円の増加となりました。流動資産は、386億4百万円で前連結会計年度末と比較して38億3千万円の増加となりましたが、これは受取手形、売掛金及び契約資産の増加9億7千6百万円、電子記録債権の増加19億5百万円、棚卸資産の増加9億1千2百万円が主因であります。固定資産は、542億円で前連結会計年度末と比較して12億6千8百万円の増加となりましたが、これは投資その他の資産の増加12億4千4百万円が主因であります。
負債は、375億9千4百万円となり、前連結会計年度末と比較して18億8千万円の増加となりました。流動負債は、282億4千万円で前連結会計年度末と比較して24億4千9百万円の増加となりましたが、これは支払手形及び買掛金の増加9億2千9百万円、短期借入金の増加12億5千万円、未払法人税等の増加2億9千1百万円、製品補償引当金の減少1億5千4百万円、リース債務の増加1億9千3百万円が主因であります。固定負債は、93億5千4百万円で前連結会計年度末と比較して5億6千8百万円の減少となりましたが、これは長期借入金の減少5億円、再評価に係る繰延税金負債の減少1億1千4百万円、リース債務の減少3億9百万円、繰延税金負債の増加2億8千9百万円が主因であります。
純資産は、552億1千万円となり、前連結会計年度末と比較して32億1千8百万円の増加となりましたが、これは利益剰余金の増加28億8千9百万円、自己株式の減少1億2千万円、その他有価証券評価差額金の増加3億3千1百万円、土地再評価差額金の減少1億6千5百万円、為替換算調整勘定の増加7億9千3百万円、退職給付に係る調整累計額の減少9億5千2百万円、非支配株主持分の増加2億8千万円が主因であります。
(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは経営理念のもと、持続的成長力を持つ企業たるべく事業展開を図っております。そのために、売上高営業利益率10%を中長期的な目標として位置付け、各期において外部・内部環境等を考慮して計画値を設定し、その基準を達成できるように努めてまいります。
当連結会計年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
2022年5月11日公表の業績予想との比較では、売上高は予想比20億4千9百万円増(予想比2.9%増)、営業利益は予想比6億4千6百万円増(同 19.6%増)となりました。この要因としては、国内塗料事業においては原材料価格の上昇を受けて取り組んだ価格是正が想定を上回る水準で推移したこと、照明機器事業においては商業施設向けや建築向けの需要が回復したことに加えて原材料価格上昇に対する価格是正が順調に推移したことが挙げられます。
この結果、売上高営業利益率は予想比0.7ポイント増の5.4%となっております。
また、2022年10月27日には業績予想の修正を行っており、修正業績予想との比較では売上高は予想比8億4千9百万円増(修正予想比1.2%増)、営業利益は予想比1億4千6百万円増(同 3.8%増)の結果となり、売上高、営業利益ともに概ね修正予想水準での着地となりました。この結果、売上高営業利益率は修正予想比0.1ポイント増の5.4%となりました。
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2022年5月11日業績予想発表時 |
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指 標 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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(予 想) |
(実 績) |
(予想比) |
(予想比)(%) |
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売上高(百万円) |
70,800 |
72,849 |
2,049 |
2.9 |
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営業利益(百万円) |
3,300 |
3,946 |
646 |
19.6 |
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売上高営業利益率(%) |
4.7 |
5.4 |
0.7ポイント増 |
- |
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2022年10月27日業績予想発表時(修正) |
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指 標 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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(予 想) |
(実 績) |
(予想比) |
(予想比)(%) |
|
|
売上高(百万円) |
72,000 |
72,849 |
849 |
1.2 |
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営業利益(百万円) |
3,800 |
3,946 |
146 |
3.8 |
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売上高営業利益率(%) |
5.3 |
5.4 |
0.1ポイント増 |
- |
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前連結会計年度実績比較 |
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指 標 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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(実 績) |
(実 績) |
(実績比) |
(実績比)(%) |
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売上高(百万円) |
66,948 |
72,849 |
5,900 |
8.8 |
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営業利益(百万円) |
3,183 |
3,946 |
762 |
24.0 |
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売上高営業利益率(%) |
4.8 |
5.4 |
0.6ポイント増 |
- |
技術提携
(1)技術供与
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相手先 |
国別 |
契約の内容 |
契約期間 |
対価 |
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PPG Coatings (Malaysia)Sdn.Bhd. |
マレーシア |
プラスチック用塗料の製造販売権 |
2022年7月1日から2025年6月30日まで |
売上高に対して一定率 |
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Taiyang Paints Corporation |
台湾 |
重防食塗料及びその他工業用塗料 の製造販売権 |
2022年10月20日から2027年10月19日まで |
売上高に対して一定率 |
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The Sherwin-Williams Company |
米国 |
プラスチック用塗料の製造販売権 |
①2021年12月1日から2024年11月30日まで 以後3年毎の自動更新 ②2016年8月1日から2026年7月31日まで 以後10年毎の自動更新 |
売上高に対して一定率 |
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P.T. Tunggal Djaja Indah |
インドネシア |
重防食塗料及びその他工業用塗料 の製造販売権 |
2023年1月8日から2024年1月7日まで |
売上高に対して一定率 |
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Maharani Innovative Paints Pvt. Ltd. |
インド |
自動車部品用塗料及びその他工業 用塗料の製造販売権 |
2014年2月21日から2024年2月20日まで 以後3年毎の自動更新 |
①イニシャルロイヤリティー ②売上高に対して一定率 |
(2)技術導入
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相手先 |
国別 |
契約の内容 |
契約期間 |
対価 |
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Valspar Corporation |
米国 |
パイプ用塗料の製造販売権 |
2023年3月27日から2024年3月26日まで 以後1年毎の自動更新 |
売上高に対して一定率 |
|
The Sherwin-Williams Company |
米国 |
インモールドコーティングの製造 販売権 |
2021年1月1日から2025年12月31日まで 以後5年毎の自動更新 |
売上高に対して一定率 |
当社グループの研究開発活動は、コアビジネスである塗料事業をはじめ、照明機器、蛍光色材、ジェットインク及び機能性材料などの塗料事業以外の商品開発にも取り組んでおります。塗料事業においてはSDGsの達成に向け地球環境に優しい商品、省エネルギー・省力化に対応した製品、高機能・高付加価値商品の開発に注力すると共に、2020年度に開所した防食技術センター、コーティング技術センターの両センターを活用しつつ、新商品開発の基礎となる機能性を有する塗料用樹脂や新規材料の調査・研究開発を始め、防食理論、分析・評価技術、顔料分散技術、塗膜形成技術及び、塗装技術等の基盤技術を拡充し、新しい価値を継続的に市場へ提供できる取り組みを進めております。また、CO2削減の提案に向けた取り組みとして、省工程化を目的とした簡易的なインフラ点検方法や効率的な補修方法に関する基盤技術の構築、更にバイオマス原料を活用した塗料の脱炭素化、カーボンニュートラルに貢献できる技術の調査を進めております。当連結会計年度における研究開発費の総額は
当連結会計年度の主な研究開発活動は次のとおりであります。
(1)国内塗料事業
① 構造物塗料分野
橋梁や各種プラント施設に代表される大型の鋼構造物や土木コンクリート構造物などにおいて「LCC(ライフサイクルコスト)の低減」、「環境負荷低減」、「省力化」、「点検・診断」、「安全・安心」をキーワードに、公共性の高い社会インフラを長期間護るための材料開発と、塗装システム開発及びメンテナンス市場をターゲットとした補修・補強材料や塗膜診断技術を活用した塗膜の寿命予測などに注力しております。LCCの低減では、塩害環境向け高遮断塗装システム「タイエンダーシステム」や新設コンクリート向け養生被覆工法「シールドベトン工法」、環境負荷低減では、「塗る」作業を「貼る」作業に変える画期的商品である重防食シート「メタモルシート#1」やVOC(揮発性有機化合物)を大幅に削減した「DNT水性重防食システム」「水性グリーンボーセイ速乾」、点検・診断では、鋼構造物点検時の簡易補修材料「サビシャットスプレー」、安全・安心では、橋脚や標識ポール、照明等の地際・基部腐食対策塗装システム「ポールダンサーシステム」等の開発を行い、市場展開に取り組んでおります。また、防食技術センターを活用して、顧客と協業での現場施工性に関する検証試験や企業間コラボレーションによる新規材料・工法の研究開発を進めております。
② 建築塗料分野
戸建・集合住宅やオフィスビルの新築・改修において、「高耐久性・省エネ・省工程・安全・快適」をキーワードに環境に優しい独創的な製品の開発に取り組んでおります。高層ビル等の外壁に使用されるカーテンウォールの改修用として、業界初となる高意匠メタリック仕上げをローラー塗装で可能にする弱溶剤形ふっ素樹脂塗料「Vフロン#200スマイルRBメタリック」、オフィスビル、商業施設等の扉や手摺りなど、人の手が多く触れる箇所での皮脂による汚れ、はがれの問題を解決し、かつ臭気を抑えた「アクアマリンタックレス 凛」、従来のエマルション塗料から90%以上の臭気を低減した「COZY PACK」、更に抗ウイルス性、抗菌性を付与した「COZY PACK Air」などの製品で市場展開に取り組んでおります。
③ 車輌産機・自動車補修塗料・プラスチック塗料分野
車輌産機塗料分野では環境対応型塗料として1液型ウレタン樹脂系エマルジョン塗料「AQシリーズ」を開発して工業用水性塗料として市場展開しております。
自動車補修塗料分野では環境対応型塗料として1液型アクリルウレタン塗料「Autoハイドロシャーシ」を開発して自動車下塗り周辺塗料として市場展開し、また既存の溶剤系下塗り塗料「Autoラピッドドライシャーシ」も特別化学物質障害予防規則への対応品としてリニューアルして市場展開しております。
自動車プラスチック塗料分野においてはインモールドコーティング(IMC)塗料の新規開発において、具体的な生産工程を想定した試験を実施し、市場での採用活動をしております。
新意匠性・工程短縮として、工程短縮での金属調塗料の検討、メッキに代わる更なる金属調塗料の開発に取り組んでおります。
④ 建材塗料分野
新設住宅市場向けの外装建材用塗料、屋根建材用塗料、内装建材用塗料での高意匠、高機能、高耐久化などの顧客ニーズに応える環境に配慮した高付加価値塗料と塗装システムの開発に取り組んでおります。特にインクジェット加飾システムによる高意匠化と高耐久・高付加価値塗料とを組み合わせた積層塗膜での提案を進めております。
また、戸建を含む住宅分野だけでなく、店舗や非住宅分野へも展開できる意匠性や塗装システムの開発にも取り組んでおります。
⑤ 金属焼付塗料・粉体塗料分野
厚膜塗装作業性に優れるエポキシ変性ポリエステル樹脂下塗塗料「メタルコングプライマーGP」を発売しました。1コート60μmの塗装が可能であり、鉄・非鉄金属に幅広く密着することを特徴としており、市場で好評を得ております。既に発売しております低温焼付形ポリウレタン樹脂系上塗塗料「Vクロマ#100ECO-LB」との組み合わせにて、耐久性が良好な塗膜品質が得られるとともに、焼付乾燥炉の低温化によるエネルギー削減にも貢献しております。弊社独自技術により塗膜形成時に二層分離形構造を形成する「パウダーフロンSELA」の「ボンディングメタリック」について、従来の溶剤系ふっ素樹脂塗料(メタリック色)と比べて大幅な工程短縮につながることから、市場で好評を得ております。
⑥ インクジェット・新事業分野
当社の各種塗料配合技術をインクジェットインク開発に応用し、UV硬化インクや水性インク等の環境対応製品の開発を進めております。新事業としては、貴金属ナノ粒子の合成技術と表面処理技術を応用したバイオセンシング用診断材料や無機酸化物を数10nmレベルまで分散した反射防止用コーティング液などの機能材開発に取り組んでおります。
コーティング技術センターでは当社の強みであるインクジェットインクによる加飾技術と塗料の積層技術を組み合わせた高意匠性で高付加価値な製品の提案も行っております。2022年度においては住宅建材・内装材関係の検討とインクジェットインク・塗料の積層コーティングを請負う加飾プロバイダーに対するインク販売を開始して更なる市場展開を進めております。
⑦ 防食技術センター(2020年度に那須工場内に開所)
2020年7月に開所して以来、延べ400社を超える企業、研究機関の方々に施設の見学及び様々な塗料の検証にご活用いただいております。VOC削減、塗装環境改善を目的とした水性塗料、低温環境でも施工性に優れた塗料、塗装時間・工程を短縮し塗装工事を効率的に実施できる貼る塗料、新規塗装工法の検証などを行っており、ユーザーとの共同開発商品も誕生しております。
⑧ コーティング技術センター(2020年度に小牧工場内に開所)
2020年6月に開所して以来、延べ370社を超える企業、商社の方々に来所いただき、施設の見学及び新規採用の塗装仕様検討などにご活用いただいております。来客数だけではなく、販売実績に繋がったテーマも2021年度11件、2022年度16件と順調に増加しております。また、環境対応と高意匠に対する関心が高く、インクジェット、インモールドコーティングを中心に新塗装システムの構築、提案を実施してまいります。
(2)海外塗料事業
自動車プラスチック塗料分野においては、中国市場におけるGB規格へ対応したアルミホイール向けプライマー・トップクリヤーの市場展開を検討しております。
メキシコ市場においては、UV塗料の自動車内装向け塗料の開発と承認活動に取り組んでおります。
重防食塗料分野においては、中国、東南アジアを中心としたプラント設備向けや政府開発援助(ODA)橋梁案件向けに日本の塗料設計技術を提供し、LCCの低減や環境負荷低減の実現を目標として市場展開に取り組んでおります。
(3)照明機器事業
LED照明器具が登場してから10年以上が経過し、新設の照明器具はほぼ100%LED照明器具になり、白熱電球や蛍光灯といった従来型光源を使った既存照明器具のLED化も進んでおります。市場のLED照明に対するニーズも、コンパクト化、高効率化、高演色化、様々な制御への対応、様々なモノやコトと繋がる照明など高度化かつ多様化しております。
照明機器事業を担当するDNライティンググループでは、今年度も照明器具の存在感を誇張せず、美しく心地よい空間を演出するキーワード「納まる溶け込む」をコンセプトにした照明器具の開発に注力し、極細でありながら美しい曲線を表現可能にしたFXU-LEDシリーズ、横方向にも縦方向にも曲げることのできるFXC-LEDシリーズ、防水性能を大幅に向上させ家庭やホテルでの浴室でも使用可能なSO4-LEDシリーズなどを新たに発売いたしました。一方、特殊用途の分野では極めて太陽光に近い特殊LEDを用いて、自動車メーカーの新開発車プレゼンルーム用照明器具を開発しました。また制御の分野では無線制御システムや調光・調色システムの開発、改良を継続しております。
昨年、DNライティングが所属する日本照明工業会では政府が提唱する未来社会のコンセプトである「Society5.0」に対応する新時代のあかりの概念として「Lighting5.0」を定義しました。これは従来の空間を明るくする機能だけではなく、「健康」「安全」「快適」「便利」という、4つの更に進化した価値をもたらす照明を「Lighting 5.0」と総称しております。「Lighting 5.0」は、分野や業種を超えた様々なモノ、コトにつながることで、多様な環境やライフスタイルに合わせたより豊かな暮らしを、照明を通して創造します。DNライティングもさまざまなモノやコトとつながる「健康」「安全」「快適」「便利」なあかりの普及を通して、ニューノーマルに適した新しいあかり文化の創生と脱炭素社会への貢献を目指しながら、持続可能な社会に向けた取り組みを拡大・加速してまいります。
(4)蛍光色材事業
蛍光顔料事業では、新色を含め色のバリエーションを揃えた環境対応型製品の樹脂着色用顔料「FX-300シリーズ」が耐熱性や耐ブリード性に優れており、好評いただいております。
蛍光塗料事業では、気候変動に伴う自然災害から未然に人身を守る防災・減災・避難分野に適合した製品を提案しており、当社の特徴的な製品である視認性が非常に高い蛍光塗料「スーパールミノVトップ」と夜間にライトに反射する「ビームライト」を組み合わせた量水標が多くの自治体で採用されております。また、VOC削減対策としてプラスチック用の水性塗料「ルミノプラコート」を開発し、ヘルメット等への採用に向けて市場展開中です。今後も環境や社会問題に配慮した製品を提案しながら、ESG活動に取り組んでまいります。
なお、セグメントごとの研究開発費は、「国内塗料事業」