第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。

当社グループのコアビジネスである塗料事業は、自動車をはじめとする各種工業製品、建築、建造物、船舶等幅広い分野の顧客によって支えられております。この顧客の満足を得ることが当社グループの存立基盤であり、その実現により社会に貢献し、企業価値を向上させることで当社グループを取り巻く関係各位に貢献しうるものと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指します。主な経営指標として、EBITDAの拡大とともに、継続的にROE 10%超を目標とします。

 

(3)経営戦略、経営環境及び対処すべき課題

今後の世界経済の見通しは、米国新政権による経済金融政策の動向、中国をはじめとする新興国等の経済の先行き不安、地政学的リスクの影響などの懸念があるものの、インド経済が引き続き大きく伸長し、アメリカ経済は着実に回復、ヨーロッパ、アセアン経済は緩やかに回復していくものと想定しております。わが国経済においては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される一方、一部に景気改善の遅れがみられることや原材料価格及び為替の変動が企業収益を圧迫することが懸念されます。

このような情勢のなか、当社グループは、2016年度を初年度とする中期3ヵ年経営計画を策定し、以下の重点方針の達成を目指してグループ力を結集し、さらなる業績向上に向け事業活動を展開してまいります。

①グローバル化の加速

成長期待の高い新興国を中心とする海外事業について、市場ニーズへの対応とコスト・品質・機能の最適化により競争力を強化し、既存事業の市場における地位を確固たるものとしていくとともに、プレゼンスを一層高める。加えて、安定した成長が見込める先進国市場を含む未参入地域・分野での事業参入をすすめ、事業拡大を加速し、連結業績への貢献度を一段と高める。

また、様々な事業分野及び地域展開を行うことにより獲得・保有した製品ラインナップ、ビジネスノウハウなどを有効活用することにより、事業参入ならびに競争力強化を加速させる。

②収益力の向上

海外においては、事業規模の拡大及び効率向上により、一層の利益拡大を図る。国内については、組織や業務の効率化、最適化によるトータルコストの低減を通じて生産性向上を図ることにより事業競争力を強化し、シェアの維持・拡大と、収益力向上を図る。

③グループ経営基盤の強化

グローバル化の加速に対応し、かつ更なる加速につなげるため、当社グループを統括するとともに、連携を高め、当社及びグループ各社に利益をもたらす経営基盤となるヘッドクォーター機能を確立し、その機能推進を図る。その機能推進を通じ、グループ各社及び各地域における事業を一層強化するとともに、グループ内における経営資源の共有化と有効活用を行うことで、シナジー効果を創出し、当社グループの利益を極大化する。

 

(4)会社の支配に関する基本方針

Ⅰ 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容

当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。即ち、当社グループのコアビジネスである塗料事業を通じて、顧客の満足を得ることが当社グループの存立基盤であり、その実現により社会に貢献し、企業価値を向上させることが、株主をはじめとする取引先、従業員、地域社会等、当社グループのステークホルダーに貢献しうるものと考えております。

したがって、当社では、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、この使命目的を理解したうえで様々なステークホルダーとの信頼関係を維持し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を、継続的に確保・向上させていく者でなければならないと考えております。

逆に、上記使命目的を理解せず、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。

Ⅱ 基本方針の実現に資する取組

当社グループは上記使命目的のもと、創業以来、一貫して塗料についての製品開発を行い事業を営んでまいりました。その結果、当社グループは、自動車をはじめとする各種工業製品、建築、建造物、船舶等幅広い分野のお客様との良好な関係を構築するにいたっており、このようなお客様との関係は、当社グループにとって最も重要な財産の一つであります。

当社グループは、これまで、使命目的の実現を志向して事業の発展に努めてまいりましたところ、当期は、以下の重点方針を掲げて事業活動を展開してまいりました。

① グローバル化の加速

成長期待の高い新興国を中心とする海外事業について、市場ニーズへの対応とコスト・品質・機能の最適化により競争力を強化し、既存事業の市場における地位を確固たるものとしていくとともに、プレゼンスを一層高める。加えて、安定した成長が見込める先進国市場を含む未参入地域・分野での事業参入をすすめ、事業拡大を加速し、連結業績への貢献度を一段と高める。

また、様々な事業分野及び地域展開を行うことにより獲得・保有した製品ラインナップ、ビジネスノウハウなどを有効活用することにより、事業参入並びに競争力強化を加速させる。

② 収益力の向上

海外においては、事業規模の拡大及び効率向上により、一層の利益拡大を図る。国内については、組織や業務の効率化、最適化によるトータルコストの低減を通じて生産性向上を図ることにより事業競争力を強化し、シェアの維持・拡大と、収益力向上を図る。

③ グループ経営基盤の強化

グローバル化の加速に対応し、かつさらなる加速につなげるため、当社グループを統括するとともに、連携を高め、当社及びグループ各社に利益をもたらす経営基盤となるヘッドクォーター機能を確立し、その機能推進を図る。その機能推進を通じ、グループ各社及び各地域における事業を一層強化するとともに、グループ内における経営資源の共有化と有効活用を行うことで、シナジー効果を創出し、当社グループの利益を極大化する。

④ 企業の社会的責任の推進

資源を保護し、環境を守り、豊かな社会を建設・持続させるという塗料本来の使命を十分に自覚し、レスポンシブル・ケア宣言に基づいた、環境・安全・健康問題に対してより総合的な見地から地球環境保全の取組を継続する。また、コンプライアンスの徹底、社会的貢献活動及び的確な情報開示を推進し、企業としての社会的責任を誠実に果たす。

今後とも、上記①~④を実行することにより、継続的な企業価値向上と株主共同の利益の維持、拡大に努めてまいります。

 

Ⅲ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組

当社は、2007年6月28日開催の第143回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式の買付行為、または特定株主グループの議決権割合が結果として20%以上となる当社株式の買付行為に関する対応方針として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針」いわゆる買収防衛策を導入し、その後2年毎に定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただき、これを継続しております。

本対応方針は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、①大規模買付者に対して、事前に必要かつ十分な情報の提供を求め、②株主の皆様が適切に判断するために必要な情報や時間、あるいは当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保したうえで、③大規模買付行為がなされた場合の対応方針として、当社取締役会から独立した独立委員会の勧告を最大限尊重するかたちで、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないなど、当該買付行為が当社企業価値及び株主共同の利益を著しく損なう場合には、対抗措置として新株予約権の無償割当てを行うことを内容としています。

また、対抗措置の発動要件は、いわゆる高裁四類型と強圧的二段階買収に限定し、大規模買付者等に対しては、名目の如何を問わず、金銭等の交付その他経済的対価の交付を行わないことを明記しています。

なお、本対応方針の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.kansai.co.jp/finance/index.html)に掲載の「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。

 

Ⅳ 上記取組に対する当社取締役会の判断及びその理由

Ⅱの取組は、まさに当社の基本方針を具体化したものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、当社の株主共同の利益に資するものであります。

また、Ⅲの取組は、

 ① 株主の皆様が適切に判断するために必要な情報や時間、代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能とすることによって、当社企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されていること。

 ② 株主総会での導入・廃止、2年間という有効期間の設定など、その導入・消長の場面において、株主の皆様のご意向が反映される仕組みとなっていること。

 ③ 独立委員会は3名以上の社外有識者により構成され、独立した第三者の助言を受けることができるとされていること、当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かを決定するに当たって、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとされていることなど、独立性の高い独立委員会により、当社取締役会が恣意的に対抗措置の発動を行うことのないよう厳しく監視することによって、当社企業価値及び株主共同の利益に資する範囲で本対応方針の運用が行われる仕組みが確保されていること。

 ④ 大規模買付行為に対する対抗措置は、あらかじめ定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されていること。

 ⑤ 買収と無関係の株主に不測の損害を与えるものではないこと。

 ⑥ 取締役の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策ではないこと。

などから、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則及び必要性・相当性確保の原則を充足しており、高度の合理性を有しております。よって、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、当社の基本方針に沿い、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼすリスクとして以下の事項があり、これらは投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済・市況等に係るもの

① 当社グループの業績・財務状況は、当社グループが製品を販売する国・地域の経済状況のほか、当社グループの顧客企業の業績、他社との競合による市場価格の変動及び原材料価格の変動等の影響を受けます。

② 為替・金利等の相場変動につきましては、一部についてヘッジ取引を行っておりますが、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。
 また、連結財務諸表の作成にあたっては、海外グループ会社の財務諸表等を外貨から円貨に換算しており、外貨建数値に変動がない場合でも、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼします。

③ 従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等の年金数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されておりますが、前提条件が変更された場合、または前提条件と実際の結果との間に著しい乖離が発生した場合には、積立不足の発生等により、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。

(2)法律・規制、政治的要因等に係るもの

当社グループは、国内外で事業を展開しておりますが、以下のリスクが当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 予期しえない法律・規制、租税制度等の変更

② 不利な影響を及ぼす政治的要因の発生

③ 戦争、テロ等の社会的混乱の発生

(3)その他

① 当社グループは、事業の展開にあたって、技術提携、合弁等の形態で他社と共同活動を行っておりますが、共同活動の当事者間で歩調の不一致等が生じた場合は、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 当社グループは、知的財産について充分な調査及び管理を行っておりますが、他社との間で、当社グループの保有する特許その他の知的財産、または他社の保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 当社グループは、品質管理基準に従って製品の製造を行っており、また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製造物責任賠償保険で填補しえない製品の欠陥による損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 当社グループは、レスポンシブル・ケア宣言に基づき、環境・安全・健康問題に対してより総合的な見地から地球環境保全の取組を行っておりますが、万一、環境に関する法整備以前の過去の行為、将来法規制等が強化された場合における現在の行為等に起因した、予期せぬ環境汚染等による第三者への損害及び社会的信用の低下等に伴う損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 当社グループは、事故発生を未然に防止し、災害発生時の被害を軽減すべく、社員教育、設備等の点検整備及び生産拠点の分散化等の対策に取り組んでおり、また、損害保険等に加入しておりますが、万一、損害保険等で填補しえない自然災害を含む事故・災害が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当期における世界経済は、地政学的リスクの高まりや、各国の政治・政策動向など依然として不確実性が見られますが、米国の好調な企業マインドや雇用の改善、欧州の底堅い個人消費などに加え、中国を始めアジア新興国も各種政策の効果により景気の持ち直しの動きが継続しました。わが国経済は、世界景気や雇用所得環境の改善を受け、景気は緩やかに回復しました。

 当社グループの当連結会計年度における売上高は4,019億77百万円(前期比21.7%増)となりましたが、営業利益は原材料価格高騰や販売費及び一般管理費が増加したことにより358億2百万円(前期比1.4%増)となりました。経常利益は為替差損が減少したものの、アジアでの持分法投資利益が減少したことや、貸倒引当金を計上したことなどにより332億41百万円(前期比16.9%減)となりました。また、日本において退職給付制度改定益の計上がありました一方、土地の減損損失を計上しました。さらに、アフリカにおいて早期割増退職金を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は177億1百万円(前期比26.8%減)となりました。

 

 各セグメントの状況は以下のとおりであります。

 

1)日本

 自動車分野は、新車用分野では自動車生産台数が前年を上回り、売上は伸長しました。工業分野では、建設機械向け塗料などが堅調に推移し、売上は前年を上回りました。防食分野においては市況に回復の動きが見られ、売上は前年を上回りました。自動車分野(補修用)では、市況が低調に推移するなか、高付加価値製品の拡販に努めましたが、売上は前年を僅かながら下回りました。建築分野及び船舶分野においては、市況の本格的回復にはいたらず、売上は前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメント全体の売上は前年を上回りました。しかしながら、為替差損が減少したものの原材料価格の高騰や、業績が低迷している中東地域の関連会社向けの債権について貸倒引当金を計上したことなどにより利益は減少しました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,555億52百万円(前期比2.7%増)、経常利益は190億51百万円(前期比19.1%減)となりました。

 

2)インド

 引き続き経済が伸長するなか、自動車分野では自動車生産台数の増加が続き、売上は伸長しました。建築分野においても、需要拡大が継続するなか販売活動の促進に取組み、売上は伸長しました。原材料価格高騰の影響を受けたもののコスト低減に努め、利益は増加しました。また、円貨ベースでの業績は、為替換算による押し上げの影響を受けました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は834億32百万円(前期比11.7%増)、経常利益は133億66百万円(前期比15.0%増)となりました。

 

3)アジア

 中国においては、自動車生産は堅調に推移し、自動車分野での売上は前年並みを維持しました。工業分野の売上は建設機械向け塗料などが伸長し、中国全体での売上は前年を上回りました。一方、ローカル自動車メーカー向けの販売が振るわなかったことから持分法投資利益は減少しました。インドネシアにおいては、経済が堅調に推移するなか、自動車分野及び建築分野において売上は前年を上回りました。タイにおいては、自動車生産に回復の動きが見られたものの、業績は前年を下回りました。中東地域においては、積極的に販売活動の促進に努めましたが、業績は低調に推移しました。また、事業計画が当初の予定よりも遅延しており収益性が低下していることから、のれん相当額の減損処理を行い、持分法投資利益は大きく減少しました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は633億円(前期比11.8%増)となりましたが、経常利益は原材料価格高騰の影響や販売費及び一般管理費が増加したこと、さらに持分法投資利益が大幅に減少したことなどにより4億31百万円(前期比93.4%減)となりました。

 

4)アフリカ

 南アフリカ及び近隣諸国の経済が低迷するなか、引き続き販売活動の促進に努めました。また、2017年8月に連結子会社化した、東アフリカ地域各社の業績が寄与し、売上は前年を上回りました。しかしながら、通貨安による原材料価格の高騰及び価格競争の激化、また株式取得関連費用を計上したことなどから、収益は大きく圧迫され、業績は前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は351億32百万円(前期比25.4%増)、経常損益はのれんの償却を含め経常損失49億65百万円(前期比 - %)となりました。

 

5)欧州

 トルコでは、自動車生産の増加を受け、自動車用及び自動車部品向け塗料が好調に推移し、現地通貨ベースでは売上は大きく増加し、各種コスト低減にも努めました結果、利益も大きく増加しました。しかしながら、円貨ベースでの業績は為替換算による押し下げの影響を受けました。

 なお、2016年12月に持分法適用会社とした、トルコのPolisan Kansai Boya Sanayi Ve Ticaret A.S.の業績を、のれん相当額の償却を含め、持分法投資利益に計上しております。また、2017年3月に連結子会社化した、Kansai Helios Groupの業績を、のれんの償却を含め計上しております

 これらの結果、当セグメントの売上高は590億98百万円(前期比251.1%増)、経常利益は43億95百万円(前期比329.1%増)となりました。

 

6)その他

 北米では、自動車生産は低調に推移し、競争の激化等の影響もあり、持分法投資利益は減少しました。

なお、2016年8月に連結子会社化した、米国のU.S. Paint Corporationの業績を、のれんの償却を含め計上しております。

 これらの結果、当セグメントの売上高は54億61百万円(前期比106.6%増)、経常利益は9億63百万円(前期比4.1%減)となりました。

 

(財政状態の状況)

1)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産合計は、2,662億14百万円(前期末比322億61百万円増)となりました。

 流動資産の増加は、主に現金及び預金及び受取手形及び売掛金などの増加によるものであります。

2)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産合計は、3,375億51百万円(前期末比293億40百万円増)となりました。

 固定資産の増加は、主に有形固定資産及びのれんなどの増加によるものであります。

3)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債合計は、1,363億10百万円(前期末比368億37百万円増)となりました。

 流動負債の増加は、主に支払手形及び買掛金及び短期借入金などの増加によるものであります。

4)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債合計は、1,450億29百万円(前期末比14億96百万円減)となりました。

 固定負債の減少は、主に長期借入金及び退職給付に係る負債などの減少によるものであります。

5)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、3,224億25百万円(前期末比262億60百万円増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ88億57百万円増加し611億71百万円となりました。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比43億63百万円収入が増加し、335億9百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益342億58百万円及び仕入債務の増加額116億91百万円の収入、法人税等の支払額154億20百万円の支出などによるものであります。

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比632億63百万円支出が減少し、337億56百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出154億86百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出133億67百万円などによるものであります

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比522億4百万円収入が減少し、80億59百万円の収入となりました。これは主に、短期借入金の増加額186億78百万円の収入、長期借入金の返済による支出22億48百万円、配当金の支払額63億26百万円などによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

80,217

3.6

インド

54,093

10.9

アジア

47,428

14.1

アフリカ

22,516

22.3

欧州

42,851

462.4

 報告セグメント計

247,107

27.5

その他

2,136

168.9

合計

249,243

28.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、製造原価によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、欧州におけるKansai Helios Groupの連結子会社化などによるものであります。

 

2)受注実績

当社グループは、見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

155,552

2.7

インド

83,432

11.7

アジア

63,300

11.8

アフリカ

35,132

25.4

欧州

59,098

251.1

 報告セグメント計

396,516

21.0

その他

5,461

106.6

合計

401,977

21.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、欧州におけるKansai Helios Groupの連結子会社化などによるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績に重要な影響を与える要因)

 当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。

 当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。

 また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組み等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

・資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。

 

・財務政策

 当社グループは、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。

 当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。

 また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 当社グループは、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指しております。主な経営指標として、EBITDAの拡大とともに、継続的にROE10%超を目標としております。

 当連結会計年度におけるEBITDAは、564億円(前期比6.3%増)、ROEは、6.7%(前期比2.8ポイント減)、のれんの償却の影響を除いた調整後ROEは9.5%(前期比0.6ポイント減)となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

 (1)技術援助契約

契約

会社名

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価




Kansai Nerolac

Paints Ltd.

インド

各種塗料の製造技術及び製造販売権並びに商標の使用許諾

2018年4月1日から2019年3月31日まで

売上高に対して一定率

Thai Kansai Paint

Co.,Ltd.

タイ

各種塗料の製造技術及び商標の使用許諾

1995年7月1日から会社存続期間中

売上高に対して一定率

PPG Kansai

Automotive Finishes

Technologies,LP

米国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2005年1月4日から相手先との合意により解約するまで

売上高に対して一定率

湖南湘江関西塗料

有限公司

中国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2013年6月1日から2023年5月31日まで

売上高に対して一定率

 

(2)その他経営上の重要な契約

(欧州事業への合弁パートナーの出資参画)

 当社は、三井物産株式会社(以下、三井物産)が当社の100%連結子会社であるKansai Helios Coatings GmbHへ新たに出資参画することに合意し、株主間協定書を含む関連契約の締結を完了いたしました。

 参画後の出資比率は、当社80%、三井物産20%となります。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、2研究所1センターを中核とし、神奈川県平塚市にある開発センターを中心にグループ各社の技術部門と連携をとりながら、市場ニーズに適応した技術・製品をタイムリーに開発するべく、効率的で幅広い研究開発活動を目指しております。また、グローバル展開を加速していくなかで、グループ各社との連携をより一層強化し、各国市場に適合した新技術の開発及び世界に通用する人材育成に取り組んでおります。

 当連結会計年度に支出した当社グループ全体の研究開発費の総額は65億92百万円であり、当社グループ全体の研究開発活動に関わる技術員数は総計908人であります。

 主な研究開発活動状況は次のとおりであります。

 

 当社の基礎研究は、塗料に有用な基盤技術の蓄積を目的としております。基盤技術として高分子合成、新規架橋反応、顔料分散、界面制御、レオロジーコントロール及び環境改善技術等を主な研究対象として、グローバルに対応可能な新しい材料の創製を目指しております。基礎分析・解析面では、評価技術の確立が非常に困難な塗膜の形成過程における諸現象や塗膜の諸性能及び諸機能に関し、新規の分析・解析技術を確立し、精確な考察により製品開発に貢献しております。得られた技術はグループ各社との共有化を図り、品質管理や環境・安全面に関する指導、お客様に対するコンサルティングなどのサービスに努め、信頼性の高いグローバル体制の確立をすすめております。

 色彩・意匠研究においては、自動車塗料分野では、国内外の展示会調査や最新の流行色動向を調査・分析し、その結果を反映させたアドバンスカラー提案色群を開発・提案いたしました。さらにアジア諸国では色彩動向調査を継続的に実施し、色彩提案活動を牽引しました。色彩適用技術としては、環境適応型塗料における耐候性及び色安定性向上の技術開発を推進し、意匠的付加価値の高い色開発に適用しました。また、色彩光学分野では、ITを用いたカラーデザインの適用研究を行い国内外の塗色獲得率の効率化と最大化を推進しております。

 塗料・塗装システム開発においては、社会への持続的な貢献を目指し、地球環境に配慮した塗料や塗装を実現する技術の開発を推進しております。自動車塗料分野では、省工程・省エネルギーの環境対応技術として評価の高い水性3ウェット塗装システムの拡大・多様化の研究開発を一層推進するとともに、低温硬化・薄膜システム等、さらなる環境負荷低減材料設計を行っております。工業塗料分野においても、環境対応・省工程・水性化に関する技術開発を行っております。建築塗料及び防食塗料分野においては、塗料の水性化を推進するとともに、遮熱、抗菌、防蚊、多彩模様化などの高機能化に関する研究と商品化に努めました。これらの塗料開発に必要な評価技術や評価装置の開発もあわせて行い、塗料開発の効率化、開発品の完成度向上を図っております。

 なお、セグメントごとの研究開発費は、「日本」44億3百万円、「インド」4億24百万円、「アフリカ」87百万円、「欧州」14億56百万円、「その他」2億20百万円であります。