第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。当社グループのコアビジネスである塗料事業を通じて、顧客からの信頼と満足を得ることが当社グループの存立基盤であり、その実現によって利益がもたらされることによる企業価値の向上が、株主をはじめとする取引先、従業員、地域社会等、当社グループのステークホルダーに貢献し得るものと考えております。

これからもグローバル・カンパニーとして社会から必要とされる存在であり続けるために、当社グループは徹底した顧客志向に立脚し、顧客との信頼関係に基づく持続的な利益成長を通じて企業価値を向上させてまいります。

 

(2)中長期的な経営戦略

2020年11月、当社はグループ全体の成長戦略“Good to Great”を公表いたしました。この成長戦略では、創業の精神に立ち戻り「利益追求と社会発展への貢献」を理念とすることを掲げております。事業とは社会的責任を果たすことであり、さらなる社会課題の発見が新しい事業機会に繋がり、持続可能な社会貢献が創出される、という考え方が、企業としての中長期的成長への道筋であると考えております。成長戦略の数値目標としては2025年度時点の業績を、EBITDAマージン18%超、調整後ROE13%超と設定し、これを持続的に達成し得る企業を目指します。

この成長戦略は第16次中期経営計画の下で実行してきた取組みを基軸として、経営環境の変化を予測しつつ、向かうべき方向性を確かなものにすることで、グローバル企業として飛躍するためのロードマップを精緻化させていくためのものです。そのために必要な要素として、「持続的利益成長」「戦略的集中投資」「パートナーシップの拡大」「徹底的な収益性強化」「事業特性に即した組織改編」「人財育成」「基盤強化」、この7つを「KSF」(Key Success Factor)として掲げました。

これらを元に、2022年度よりスタートする第17次中期経営計画を実行性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めます。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

塗料産業は一大成長産業であり、今後も世界的、中長期的に着実に需要が伸長していくものと見込んでおります

が、一方、昨年来の新型コロナウイルス感染症蔓延による市場への影響や、世界的な通商問題、中国経済の先行き、新興国経済の動向や政策に関する不確実性、金融資本市場の変動、主要市場である自動車産業の変化や半導体需給の影響等のリスク要因があり、これらは当社グループの全事業分野に対し、著しく不透明性を増すものとして引き続き慎重な注視を要する状況です。

 これらの状況下、当社グループは、市場回復へ対応する態勢を整えながら、社員とその家族の安全を確保すること及びステークホルダーに対する責務を果たすことを大前提とし、事業継続に努めているところであります。当社は、これらの経営環境を踏まえながら、持続性の高い企業として変革するため、第16次中期経営計画にて策定した「資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長」、「事業競争力の向上」及び「グループ総合力の向上」という3つの取組みを、次のように進めてまいります。

・資本生産性及び収益性の向上を伴う利益成長

当社グループは塗料事業で利益を稼ぐ力を強化し、継続的に成長していくためにROEを重要指標として掲げており

ます。ROEの目標を達成するためには、利益率のみならず、バランスシートの改善が不可欠であり、バランスシートの要素と日常業務の連動性を高める必要がある為、コントロールドライバーとしてROICツリーの導入を進めています。ROICツリーとは、予算と実績を比較する形で、事業活動テーマを漏れや重複なく分解し、分解した個別テーマを分析し改善を図ることが目的です。グループ各社や事業毎に業績の進捗をROICツリーに分解し、日常業務の見える化を進めるとともに、ROEを向上させることに活用していきます。ROIC導入の背反となる縮小均衡に陥ることを防ぐために、全社効率性向上を目的とした分科会を立ち上げ、部門をまたがる課題や部門共通の課題を解決し、収益性の向上を並行して進めています。

これらの活動に加え、成長戦略を通じ、当社の強みである自動車事業(後述の「グローバル自動車事業」)及び日

本セグメントの事業全般(後述の「日本事業」)の収益性を最大限に高め、そこで生まれた経営資源を、今後とも高い成長が見込めるインドセグメントの各種事業に積極投入していくことで、これを当社グループの最大の強みに育てていきます。

 

・事業競争力の向上

当社グループ全ての事業について、定量、定性両面から過去、現在、未来を査定し、低収益資産と判断した事業に

ついては整理を行い、継続的な業績改善を実現します。また経営資源を再編する目的で個々の事業、部門の現状を分析し、有望で強化すべき事業、分野へ資源を再投入するサイクルを回してまいります。同時に、当社グループには優れたノウハウ、ビジネスモデルがあり、それらをグローバルで活用することで事業競争力を強化してまいります。加えて、分散技術を応用したリチウムイオン電池事業等、当社のコア技術を応用した形での新規ビジネスへの参入についても積極的に推進してまいります。

・グループ総合力の向上

当社は2021年度より社内カンパニー制を導入し、「グローバル自動車事業部門」「日本事業部門」「国際事業部

門」という3つの事業部門と「経営推進部門」「生産・SCM・調達部門」「研究開発部門」という3つのコーポレート部門による6部門制へ組織を再編することといたしました。この組織再編により各部門が明確な責任と権限を持ち、それぞれの事業特性に対し最適な形で迅速かつ的確な経営判断を行う体制へ移行いたします。また、これらの組織機能を支え、経営リスクをコントロールするため、引き続き当社グループ統制の基盤強化を実施してまいります。業績管理の新システムを2020年度から導入し、これまで個別管理となっていた海外グループ各社の経営数値の一元化と共有のスピードアップを図ってまいりました。デジタル化は不可欠な要素であり、全ての事業領域に対し推進してまいります。第16次中期経営計画下において実施しております監督と執行の分離を主とする経営機能の強化、責任権限の明確化、また、当社グループ監査体制強化、経営リスク管理の実効性向上を継続していきます。中長期的に多様な企業価値を創出できる人財を育成するための、制度・運用検討も継続的に進めております。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼすリスクとして以下の事項があり、これらは投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済・市況等に係るもの

① 当社グループの業績・財務状況は、当社グループが製品を販売する国・地域経済状況のほか、当社グループの顧客企業や市場の動向、他社との競合による市場価格の変動等の影響を受けます。これらの影響を最小化すべく、新規事業への参入に努め、国内外の販売チャネルの最適化を行うとともに、当該国・地域における事業環境を常に注視して適切な対応を取ってまいります。また、ROICツリーを活用し、柔軟で状況に適合したコストダウン施策の迅速な展開も図ってまいります。

② 当社グループが生産活動で使用する原材料は、世界的な経済動向による需給バランス、為替変動等の影響を受けます。また、一部の特殊な原材料については限定的な調達ソースによるものがあります。原材料価格の急激な高騰は生産コストの上昇につながる可能性があり、また一部の原材料の需要動向やサプライヤーでのトラブルは当社グループの製品供給に支障をきたす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、継続的な原価低減施策の遂行や、原材料高騰時の適切な価格転嫁、調達のマルチソース化等に努めております。

③ 為替、金利等の相場変動については、一部についてヘッジ取引を行っておりますが、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。また、連結財務諸表の作成にあたっては、海外グループ会社の財務諸表等を外貨から円貨に換算しており、外貨建数値に変動がない場合でも、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼします。

④ 従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等の年金数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されておりますが、前提条件が変更された場合、または前提条件と実際の結果との間に著しい乖離が発生した場合には、積立不足の発生等により、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。

(2)法律・規制、社会的・政治的要因等に係るもの

① 当社グループが事業活動を行う国・地域における以下のリスクが当社の事業活動・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく当該国・地域における事業環境を常に注視して適切な対応を取ってまいります。

・予期しえない法律・税制・租税制度等の変更

・不利な影響を及ぼす政治的要因の発生

・戦争、テロ、インフラ基盤の脆弱性、自然災害、感染症等に起因する社会的または政治的混乱の発生

② 当社グループの国内外の事業活動に関連し、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

③ 当社グループは、知的財産についての管理規程を定め、充分な調査及び管理を行ってリスクを最小限にするよう努めておりますが、他社との間で、当社グループの保有する特許その他の知的財産、または他社の保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 当社グループは、事業活動を行う上で、様々な法規制の適用を受けております。これらの法令等に対する違反や社会的要請に反した行動等により、処罰・訴訟の提起・社会的制裁やステークホルダーの信頼失墜に繋がる可能性があります。当社は、法令等の遵守はもとより企業としての社会的責任を果たすため、「利益と公正」を企業活動の基軸とする行動指針を明確に打ち出しておりますが、それにもかかわらず当社グループ及び関係先等が重大なコンプライアンス違反を発生させた場合、当社グループの信用・業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)製品、品質の要因によるもの

 当社グループは、品質管理基準に従って製品の製造を行っており、また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製造物責任賠償保険で填補しえない製品の欠陥による損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)新型コロナウイルス感染症拡大によるもの

 当社グループは、国内外の事業展開において、新型コロナウイルス感染症によって引き起こされた市況の悪化、及びロックダウンが実施された国における稼働上の制約等影響を受けておりますが、変異型ウイルス等による感染のさらなる拡大により、一段と市況が悪化したり、規制が強化されたりした場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、従業員とそのご家族の健康と安全を確保すること、及び、顧客への供給責任を果たすことを第一に事業継続を行っており、また長期化リスクを考慮のうえ、安定的な資金確保など不測の事態に対し備えを適宜行っております。

(5)環境・気候変動によるもの

 当社グループは、レスポンシブル・ケア宣言に基づき、環境・気候変動・安全・健康問題に対してより総合的な見地から地球環境保全の取組みを行っておりますが、この社会的課題に対し適切な解決ができない場合、あるいは万一、環境に関する法整備以前の過去の行為、将来法規制等が強化された場合における現在の行為等に起因した、予期せぬ環境汚染等による第三者への損害及び社会的信用の低下等に伴う損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害・事故災害によるもの

 当社グループは、事故発生を未然に防止し、災害発生時の被害を軽減すべく、社員教育、設備等の点検整備及び事業継続計画に基づく生産拠点の分散化等の対策に取り組んでおり、また、損害保険等に加入しておりますが、万一、損害保険等で填補しえない自然災害を含む事故・災害が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)その他

① 当社グループは、事業の展開にあたって、技術提携、合弁等の形態で他社と共同活動を行っておりますが、共同活動の当事者間で歩調の不一致等が生じた場合は、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを最小限にとどめる為、合弁事業については当社社員を役員として派遣し、共同活動を行う他社と当社の間で良好な関係を築くように努めております。

② 当社グループは、事業活動におけるITの効率的活用により、ITシステムへの依存度が高くなっております。また、これら機密情報に対するサイバー攻撃や、機器やソフトウェアの障害に伴う事業中断・損害の発生、個人情報を含む機密情報の漏洩等のリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績・財務状況に影響を与える可能性があります。情報セキュリティを経営問題と捉え、その脅威に対応してまいります。

③ 当社グループにおいては、メディアやSNSを媒体とした情報発信やブランディング活動を推進していくことが想定され、当社グループの情報発信等における不適切な表現が、SNS等を通じて拡散された場合、あるいは当社グループの誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を低下させる可能性があります。

④ 当社グループの日本セグメントにおいては定年退職者の増加による従業員数の減少が予測されております。必要となる専門性を有する、あるいはグローバル視点で実行力・構想力を有する人財の、要件定義のうえでの計画的確保と育成、及び、社員のエンゲージメントを高める試みを行っておりますが、これらの推進に関わらず人材の確保が達成されず事業活動に支障が出る場合には、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当期における世界経済は、地政学的リスクへの懸念に加えて、年初から新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、一時的に景気の減速感が強まりましたが、経済活動の再開に伴い消費の持ち直しが見られました。そのような状況下、中国においては、新型コロナウイルス感染症から一早く回復し、景気は持ち直しました。米国、欧州、その他のアジア新興国及びアフリカにおいては、景気は依然として厳しい状況で推移しましたが、一部市場を除き、持ち直しや下げ止まりの動きがみられました。わが国経済は、設備投資や生産に持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況で推移いたしました。

 当社グループの当連結会計年度における売上高は3,646億20百万円(前期比10.4%減)となりました。売上高の減少の影響を受ける一方で、原材料価格の下落や販売費及び一般管理費の削減の取り組みにより、営業利益は312億28百万円(前期比0.9%減)となりました。経常利益は持分法投資利益が増加したことなどにより、358億80百万円(前期比2.9%増)となりました。また、政策保有株縮減に伴う投資有価証券売却益が増加した一方、インドネシアにおいて火災による損失を計上したほか、中国及びマレーシアにおいて有形固定資産及び無形固定資産の減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は200億27百万円(前期比8.4%増)となりました。

 

 各セグメントの状況は次のとおりであります。

1)日本

 自動車分野は、新車用分野では自動車生産台数に回復の動きが見られるものの、前年を下回り、売上は減少しました。工業分野では、自動車部品向け塗料や建設機械向け塗料などが生産調整による影響を受け、売上は前年を下回りました。建築分野では、家庭用塗料の需要の高まりにより、売上は前年を上回りました。船舶分野では、修繕船の工事延期等の影響により、売上は前年を下回りました。自動車分野(補修用)及び防食分野では、国内市況が低調に推移し、売上は前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,429億99百万円(前期比7.8%減)、経常利益は155億32百万円(前期比14.4%減)となりました。

 

2)インド

 自動車分野では、年後半に持ち直しの動きが見られたものの、4月から6月における自動車生産台数の大幅減少により売上は前年を下回りました。建築分野では、年後半には地方を中心に回復の動きが見られましたが、年初における新型コロナウイルス感染症拡大を抑止するためのロックダウンの影響を受け売上は前年を下回り、当セグメント全体の売上は前年を下回りました。そのような状況下、原材料価格が下落したことに加え、経費削減の取り組みにより、利益はわずかな減少にとどまりました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は730億84百万円(前期比10.5%減)、経常利益は101億98百万円(前期比0.7%減)となりました。

 

3)欧州

 トルコでは、工業用分野及び自動車分野の現地通貨ベースでの売上は伸長し、原材料価格が下落したことにより利益も増加しましたが、円貨ベースでの業績は為替換算による押し下げの影響を受けました。一方、建築分野では、堅調な需要に加え、当該分野を主力とする持分法適用会社において、設備投資優遇措置によって租税負担が減少したことなどにより持分法投資利益は増加しました。その他欧州各国においては、自動車分野(補修用)、建築分野及び防食分野では堅調な需要に支えられ売上は前年を上回りましたが、工業用分野の売上は前年を下回り、欧州全体の売上は前年を下回りました。そのような状況下、原材料価格が安定的に推移したほか、経費削減の取り組みや各国政府による政策の下支えもあり、利益は増加しました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は660億2百万円(前期比3.2%減)、経常利益はのれんの償却を含め52億20百万円(前期比91.9%増)となりました。

 

4)アジア

 中国においては、年初からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞から一早く回復し、売上は前年に比べわずかな減少にとどまりました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大により自動車生産台数が減少し、年後半に持ち直しの動きが見られたものの、売上は前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は495億4百万円(前期比 17.7%減)、経常利益46億38百万円(前期比15.0%減)となりました。

 

5)アフリカ

 南アフリカ及び近隣諸国の経済が低迷するなか、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンの実施による経済停滞も加わり、南アフリカ地域の売上は前年を大きく下回りました。東アフリカ地域においては、建築分野において堅調な需要を取り込み売上は伸長しましたが、アフリカ全体の売上は前年を下回りました。原材料価格が下落したことに加え、原価低減の取り組み、不採算事業の整理及び固定費の削減を進め、売上が大きく減少する中、損失の拡大を抑えました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は279億17百万円(前期比21.9%減)、経常損益はのれんの償却を含め経常損失8億58百万円(前期比 - %)となりました。

 

6)その他

 北米では、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞が続き、工業分野において売上は前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は51億12百万円(前期比15.1%減)、経常利益は11億49百万円(前期比7.6%減)となりました。

 

(財政状態の状況)

1)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産合計は、3,004億71百万円(前期末比595億32百万円増)となりました。

 流動資産の増加は、主に資金の借入の実行により現金及び預金が増加したことによるものであります。

2)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産合計は、3,061億8百万円(前期末比29億23百万円増)となりました。

 固定資産の増加は、のれん及び繰延税金資産などが減少したものの、投資有価証券などが増加したことによるものであります。

3)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債合計は、1,563億57百万円(前期末比442億44百万円増)となりました。

 流動負債の増加は、短期借入金が減少したものの、支払手形及び買掛金及び1年内返済予定の長期借入金などが増加したことによるものであります。

4)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債合計は、1,113億63百万円(前期末比49百万円増)となりました。

 固定負債の増加は、長期借入金が減少したものの、繰延税金負債などが増加したことによるものであります。

5)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、3,388億59百万円(前期末比181億62百万円増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ577億82百万円増加し1,083億77百万円となりました。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比23億22百万円収入が増加し、426億47百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益408億26百万円及び減価償却費143億19百万円などの収入、法人税等の支払額75億74百万円の支出などによるものであります。

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比215億37百万円支出が減少し、5億7百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額105億92百万円などの支出、投資有価証券の売却による収入額87億74百万円の収入などによるものであります。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、168億28百万円(前連結会計年度は374億3百万円の支出)の収入となりました。これは主に、長期借入れによる収入額435億75百万円などの収入、短期借入金の減少額121億16百万円、長期借入金の返済による支出額25億86百万円、配当金の支払額77億46百万円及び非支配株主への配当金の支払額35億75百万円などの支出によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

75,032

△10.2

インド

47,609

△6.3

欧州

44,915

△10.3

アジア

38,877

△14.7

アフリカ

17,971

△20.8

 報告セグメント計

224,406

△11.2

その他

2,453

△12.3

合計

226,860

△11.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、製造原価によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2)受注実績

当社グループは、見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

142,999

△7.8

インド

73,084

△10.5

欧州

66,002

△3.2

アジア

49,504

△17.7

アフリカ

27,917

△21.9

 報告セグメント計

359,508

△10.3

その他

5,112

△15.1

合計

364,620

△10.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

指標

当連結会計年度(実績)

2021年度見込

連結売上高(百万円)

364,620

400,000

営業利益(百万円)

31,228

38,000

経常利益(百万円)

35,880

44,000

連結EBITDA(百万円)

54,010

62,000

連結EBITDAマージン(%)

14.8%

15.5%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

20,027

26,000

調整後ROE(%)

8.5%

10.4%

営業CF(百万円)

42,647

42,400

(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益

2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)

 

 

 円高による為替換算影響を控除した当連結会計年度の連結売上高は3,783億円(前期比7.0%減)、営業利益は325億円(前期比3.2%増)となりました。また、低収益資産の整理、販売費及び一般管理費の削減の取り組みにより、連結EBITDAマージンは14.8%(前期比1.3ポイント増)、調整後ROEは8.5%(前期比0.2ポイント減)となりました。2021年度は第16次中期経営計画の最終年度でありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞により、連結売上高4,900億円及び3か年累計営業CF1,400億円の達成は難しい状況ではありますが、EBITDAマージンと調整後ROEの目標を必達とし当社グループ史上最高益を目標としております。

 

 

(マネジメント・サイクル)

 

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 上記目標を達成するために、当社はマネジメント・サイクルを活用して第16次中期経営計画にて策定した「資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長」、「事業競争力の向上」及び「グループ総合力の向上」の重点方針のもと、提出日現在までに次のような取り組みを行ってまいりました。

 

・低収益資産の整理

 これまで実施してきたこととしては、5社+1Project撤退、中東・ナイジェリア地域の事業撤退及びアフリカ地域の自動車補修販売店売却であります。

・業績改善分科会の設立

 第16次中期経営計画の重点施策の1つであります「資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長」の一環として業績改善分科会を立ち上げ、業務プロセス変革とITインフラの強化を目的に、現場の課題や改善提案を吸い上げるというボトムアップ型のアプローチを採用して活動を進めております。

・総資産圧縮による成長投資資金の捻出

 政策保有株式については経済合理性を検証しながら削減推進をしており、当連結会計年度にて86億円売却が完了しております。また、既存不動産の削減・有効活用の検討を開始しております。

 

・組織変革

 当社は2021年4月より社内カンパニー制を導入しました。「グローバル自動車事業部門」「日本事業部門」「国際事業部門」という3つの事業部門と「経営推進部門」「生産・SCM・調達部門」「研究開発部門」という3つのコーポレート部門による6部門制へ組織を再編し、各部門が明確な責任と権限を持ち、最適な形で経営判断を行う体制へ移行しております。

・デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進

 当社はDXの推進の加速に向け、2020年10月に日本アイ・ビー・エム株式会社とパートナーシップを強化することを決定いたしました。最先端テクノロジーを活用することでDXを推進し、継続的な企業価値の向上を図ってまいります。

・成長戦略

 2020年11月、当社はグループ全体の成長戦略“Good to Great”を公表いたしました。この成長戦略では、創業の精神に立ち戻り「利益追求と社会発展への貢献」を理念とすることを掲げております。成長戦略の数値目標としては2025年度時点の業績を、EBITDAマージン18%超、調整後ROE13%超と設定し、これを持続的に達成し得る企業を目指しております。この数値目標を達成していくために7つの要因が必要であり、これらが成長戦略の骨格となるものであります。

 

0102010_002.png

 

 成長戦略は第16次中期経営計画の下で実行してきた取組みを基軸として、経営環境の変化を予測しつつ、向かうべき方向性を確かなものにすることで、グローバル企業として飛躍するためのロードマップを精緻化させていくためのものであります。そのために必要な要素として、この7Keysを掲げました。これらを元に、2022年度よりスタートする第17次中期経営計画を実行性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めてまいります。

 

地域別セグメントの業績は次のとおりであります。

セグメント

の名称

売上高

経常利益または経常損失

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2021年度

見込

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2021年度

見込

(百万円)

日本

155,078

142,999

△7.8

142,500

18,153

15,532

△14.4

17,000

インド

81,697

73,084

△10.5

90,500

10,268

10,198

△0.7

13,000

欧州

68,168

66,002

△3.2

72,500

2,719

5,220

91.9

5,500

アジア

60,176

49,504

△17.7

57,000

5,456

4,638

△15.0

6,500

アフリカ

35,742

27,917

△21.9

32,000

△2,967

△858

-

500

その他

6,021

5,112

△15.1

5,500

1,243

1,149

△7.6

1,500

合計

406,886

364,620

△10.4

400,000

34,874

35,880

2.9

44,000

 

 

 

事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります

セグメント

の名称

自動車塗料

工業塗料

建築塗料

船舶・防食

塗料

その他

合計

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

日本

53,334

△10.5

37,229

△9.8

23,730

7.5

18,136

△3.5

10,568

△20.5

142,999

△7.8

インド

18,898

△13.5

9,731

△13.1

43,959

△8.9

-

-

495

15.4

73,084

△10.5

欧州

10,950

△10.3

31,836

△4.4

5,555

3.9

1,889

20.8

15,770

0.2

66,002

△3.2

アジア

22,591

△19.3

15,988

△17.0

7,862

△10.3

1,059

△36.8

2,002

△19.8

49,504

△17.7

アフリカ

2,507

△43.2

2,894

△33.8

20,014

△19.8

302

△27.6

2,197

38.3

27,917

△21.9

その他

506

△23.4

4,605

△14.1

-

-

-

-

-

-

5,112

△15.1

合計

108,788

△14.1

102,285

△10.9

101,122

△7.5

21,388

△4.8

31,034

△7.5

364,620

△10.4

 

上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。

1)売上高及び営業利益

 当期の売上高は前期比10.4%減、422億65百万円減収の3,646億20百万円となり、営業利益は前期比0.9%減、2億82百万円減の312億28百万円となりました。当期は4月~6月を中心にインド、アフリカ他多くの地域で新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動停滞の影響を受けました。売上高については7月以降徐々に回復したことにより通期では前連結会計年度比10%減にとどめることができました。利益については第16次中期経営計画にて進めております構造改革により、特にインド、欧州及びアフリカで大きく進展し業績の利益改善に多大な貢献をしております。具体的にはインドは売上高が前連結会計年度比10%減に対し、営業利益はほぼ前連結会計年度と同等という結果であり構造改革の成果を示しております。また、欧州及びアフリカについては営業利益が前連結会計年度比で大幅にプラスとなっております。

 その他の要因は次のとおりです。

(円高による為替換算の影響)売上高137億21百万円の減収、営業利益12億93百万円の減益

 各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)

国名

自動車生産台数(万台)

前連結会計年度

当連結会計年度

日本

949

796

インド

418

369

中国

2,572

2,523

タイ

201

143

インドネシア

129

69

マレーシア

57

49

トルコ

143

111

日本の2021年度の自動車生産台数は895万台と推定

出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度及び2021年度は当社推定

 

 (単位:円/kl)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

2021年度

上期

下期

上期

下期

通期

国内ナフサ価格

42,800

43,100

27,600

35,000

47,000

上記数値は当社推定値であります。

 

2)営業外損益及び経常利益

 当期の営業外損益は前期比12億88百万円増加の46億52百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び為替差損の減少によるものです。主な減少要因は、貸倒引当金繰入額の増加によるものです。

 これらの結果、当期の経常利益は前期比2.9%増、10億6百万円増益の358億80百万円となりました。

 

3)特別損益及び税金等調整前当期純利益

 当期の特別損益は前期比53億29百万円増加の49億45百万円のプラスとなりました。主な増加要因は政策保有株の売却による投資有価証券売却益の増加によるものです。主な減少要因はアジア地域で発生した災害損失及び固定資産の減損損失によるものです。

 これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比18.4%増、63億36百万円増益の408億26百万円となりました。

 

4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

 当期の法人税等は、前期比59億48百万円増加の172億59百万円となりました。主な増加要因は当社における税引前当期純利益の増加による税金費用の増加によるものです。

 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比8.4%増、15億50百万円増益の200億27百万円となりました。

 

財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。

 当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。

 当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。

 また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組み等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、代表取締役専務執行役員 古川秀範を委員長とした新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。

・安全を確保しながら事業を継続

・在宅勤務とスプリット制の推進

・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築

・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築

・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。

 当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。

 また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。

 さらに、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動低迷等の不測の事態に備えて2020年5月に40,000百万円の借入による資金調達を実施した他、コマーシャル・ペーパーの発行を行うなど資金調達方法の多様化を進めております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(有形固定資産及び無形固定資産)

 固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

 

(投資有価証券)

 その他有価証券のうち時価のあるものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる非上場株式の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 技術援助契約

契約

会社名

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価




Kansai Nerolac

Paints Ltd.

インド

各種塗料の製造技術及び製造販売権並びに商標の使用許諾

2021年4月1日から2026年3月31日まで

売上高に対して一定率

Thai Kansai Paint

Co.,Ltd.

タイ

各種塗料の製造技術及び商標の使用許諾

1995年7月1日から会社存続期間中

売上高に対して一定率

PPG Kansai

Automotive Finishes

Technologies,LP

米国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2005年1月4日から相手先との合意により解約するまで

売上高に対して一定率

湖南湘江関西塗料

有限公司

中国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2013年6月1日から2023年5月31日まで

売上高に対して一定率

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、2研究所1センターからなるR&D部門を中核とし、神奈川県平塚市にある開発センターを中心に塗料事業部と共にグループ各社の技術部門と連携をとりながら、市場ニーズに適応した技術・製品をタイムリーに開発して参りました。当連結会計年度より新たな成長戦略を実現するべく、当社は技術開発部含む研究開発部門を事業部門と独立させ、更に効率的で幅広い研究開発活動を目指しております。また、グローバル展開を加速していくなかで、事業部門含めたグループ各社との連携をより一層強化し、各国市場に適合した新技術の開発及び世界に通用する人材育成に取り組んでまいります。

 当連結会計年度に支出した当社グループ全体の研究開発費の総額は6,400百万円であり、当社グループ全体の研究開発活動に関わる技術員数は総計831人であります。

 主な研究開発活動状況は次のとおりであります。

 

 当社の基礎研究は、塗料に有用な基盤技術の蓄積を目的としております。基盤技術としては、樹脂設計、分散技術、色彩設計であり、グローバルに対応可能な新しい材料の創製を目指しております。また、デジタルツールの利用を積極的に取り入れ、機械学習を基にした調色システムなどを導入しています。更に既存塗料領域だけでなく、電池の電極膜のような成長市場の分野に対しても、配合設計や粒子分散など当社のコア技術を展開し成果をあげてきております。

 分析研究においては、塗料・塗膜および電極膜のような新規分野製品の組成・状態・現象などを分析・解析できる技術を確立し、当社の研究開発に貢献しております。また、蓄積された莫大な耐久性に関する分析データを活用して高耐久性塗料の製品開発や販売促進に有用な情報を提供するなど、当社グループ全体の事業に支援・貢献しております。

 色彩・意匠研究においては、自動車塗料分野では、国内外の展示会調査や最新の流行色動向を調査・分析し、その結果を反映させたアドバンスカラー提案色群を開発・提案いたしました。さらにグローバルに色彩動向調査を継続的に実施し、色彩提案活動を牽引しました。色彩適用技術としては、環境適応型塗料における耐候性及び色安定性向上の技術開発を推進し、意匠的付加価値の高い色開発に適用しました。また、色彩光学分野では、ITを用いたカラーデザインの適用研究を行い国内外の塗色獲得率の効率化と最大化を推進しております。

 塗料・塗装システム開発においては、社会への持続的な貢献を目指し、地球環境に配慮した塗料や塗装を実現する技術の開発を推進しております。自動車塗料分野では、省工程・省エネルギーの環境対応技術として評価の高い水性3ウェット塗装システムの拡大・多様化の研究開発を一層推進するとともに、低VOC塗料・低温硬化・脱スプレー化・薄膜システム等、さらなる環境負荷低減材料設計を行っております。工業塗料分野においても、環境対応・省工程・水性化・ハイソリッド化に関する技術開発を行っています。建築塗料及び防食塗料分野においては、塗料の水性化を推進するとともに、遮熱・抗菌・抗ウィルス・防蚊・多彩模様化・耐火などの高機能化に関する研究と商品化に努めました。これらの塗料開発に必要な評価技術や評価装置の開発もあわせて行い、塗料開発の効率化、開発品の完成度向上を図っております。

 得られた技術は当社グループ各社との共有化を図り、品質管理や環境・安全面に関する指導、お客様に対するコンサルティングなどのサービスに努め、信頼性の高いグローバル体制の確立をすすめております。また、コンプライアンスの視点から製品品質のみならず化学物質管理における当社グループ全体のガバナンス強化を進めており、よりお客様に安心・安全の製品の提供と共に情報の公開を更に推進してまいります。

 なお、セグメントごとの研究開発費は、「日本」4,086百万円、「インド」417百万円、「欧州」1,610百万円、「アフリカ」44百万円、「その他」242百万円であります。