文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。この使命目的は、当社の歴史において脈々と受け継がれてきた理念に由来するものであり、言わば「創業の精神」に立脚するものであります。
2020年11月、当社は成長戦略「Good to Great」を策定し、ESGを根幹とする経営への大きな変革の途上にありますが、その変革とは、まさに当社が、「創業の精神」に立ち返り、顧客との信頼関係の下、塗料ビジネスのプロフェッショナルとして、持続的な利益成長と社会貢献をもたらし得る会社であり続けるためのものであります。
当社はこのような考えの下、これからも社会から必要とされる、真のGreatカンパニーとなるべく、企業価値向上に取り組んでまいります。
(2)中長期的な経営戦略
当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、本年4月より始動しました。
本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている「持続的成長サイクル」へ転換するための重要フェーズと位置付けております。2021年度を最終年度とする第16次中期経営計画におきまして、当社は「資本生産性・収益性の向上」「事業競争力の向上」「グループ総合力の向上」の3点を掲げ、事業特性に即し再編した組織体制(社内カンパニー制)の下、数々の施策を断行し「稼ぐ力」を高めるとともに、企業体質の改善を着実に実行してまいりました。
第17次中期経営計画では、これらの積み上げた成果をベースに、成長戦略「Good to Great」で設定した2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」達成に向け、持続的成長サイクルへの転換を確立させていく、ESGを根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。そして、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。
海外事業はこれまでの取組により確保してきた、各セグメント毎の事業競争力を背景として規模拡大に注力してまいります。
欧州セグメントは日本・インドと並ぶ柱として成長してまいりました。Heliosグループを主軸とした各社の協業を推進し、さらなる拡大を図ります。インドセグメントは、建築・自動車・工業の各分野の市場成長に確実に乗じた伸長を図り、アフリカセグメントは引き続き構造改革を完遂の上、現地での地位を確立させます。
一方、日本セグメントにおきましては、当社の強みである自動車用塗料をさらに強化するとともに、より合理的な調達・設計・製造を確立するなどの手法でコスト競争力を確保し収益性向上を図ります。
これら取組を通じて獲得する収益、また、これまでの財務戦略による資産の圧縮等の施策を引き続き実行することで資金を確保の上、本経営計画では、1,000億円規模の成長投資の実行を織り込んでいます。海外事業拡大、国内構造改革、新規事業開発、DX関連投資など、投資構想はすべて成長サイクルの原動力とするためのものであります。また、地域・事業ポートフォリオの整備を行いながら、既存のビジネスモデルを補完するボルトオン型のM&Aも積極的に実行してまいります。また、当社の強固な財務基盤を活用した大型M&Aの機会も探索してまいります。これらの施策を進め、当社グループの成長を牽引していく考えです。
以上のような考え方の下、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13% と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じた適切な株主還元を行ってまいります。なお、配当につきましては配当性向30%を目安として安定的継続的に実施してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
塗料産業をグローバル視点で展望しますと、今後も中長期的には着実な需要伸長を見込みますが、それは持続可能性を前提とする性格のものに大きくシフトしていくことが予想されます。一方、原油価格上昇をはじめとする様々な要因による原材料費・物流費が、引き続き高騰基調にあることは免れず、利益創出の難易度は高まっていくものと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症変異株の蔓延、国際的政情不安の高まり、為替・金融資本市場の変動、主要事業である自動車産業の構造変化や半導体需給の影響拡大等、これらのリスク要因は当社グループのすべての市場分野に対し、著しく不透明性を増すものとして引き続き慎重な対応を要する状況です。
当社グループは、これらリスクをコントロールし、従業員とその家族の安全確保とステークホルダーへの責務を果たすことを最優先として事業を継続するとともに、大きな環境変化を変革のチャンスと捉え、塗料ビジネスのプロフェッショナルとしての真価を発揮し、成長軌道への舵取りを行うためのさらなる経営基盤強化施策を講じてまいります。
サプライチェーンについては、設計・調達・製造・物流すべての領域を対象に、サステナビリティ観点とコスト・品質・デリバリー等の事業観点の双方から見直し、DX推進とともに、レジリエンスと競争力を高めるための抜本的な刷新を行う計画を立案、まず国内から、この中期計画にて実行着手し、その先はグローバルの次世代サプライチェーンモデルへ展開させていく考えです。サステナビリティ課題については、当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同しており、京都大学と提携し、産学連携で気候変動関連項目のリスクと機会を分析、抽出の上、事業戦略に反映させていく体制としております。
また、グローバル企業としてあるべき企業であり続けるための仕組みを作り、コーポレート・ガバナンスをさらに強化するとともに、人事制度刷新による従業員エンゲージメント、人財育成、ダイバーシティ推進など、サステナブルな成長企業であるための、新たな企業文化醸成を図る施策も実行してまいります。
以上の諸施策を推進し、第17次中期経営計画を実効性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めてまいります。
当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼすリスクとして以下の事項があり、これらは投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済・市況等に係るもの
① 当社グループの業績・財務状況は、当社グループが製品を販売する国・地域経済状況のほか、当社グループの顧客企業や市場の動向、他社との競合による市場価格の変動等の影響を受けます。これらの影響を最小化すべく、グループ各社業績及び業績指標推移の定期的なモニタリングの実施により、地域・市場分野毎の事業特性分析、収益性評価、低収益資産の整理等を通じ、地域事業の強化を図るとともに、グループ経営の安定化を推進してまいります。
② 当社グループが生産活動で使用する原材料は、世界的な経済動向による需給バランス、為替変動等の影響を受けます。これらの急激な高騰は生産コスト上昇につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の特殊な原材料については限定的な調達ソースによるものがあります。これらの影響を最小化すべく、ハイリスクな原材料、または使途先が限定される原材料につき、選定し代替原材料を検討するとともに、他の原材料への統合も図ってまいります。
③ 為替、金利等の相場変動については、一部についてヘッジ取引を行っておりますが、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。また、連結財務諸表の作成にあたっては、海外グループ会社の財務諸表等を外貨から円貨に換算しており、外貨建数値に変動がない場合でも、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼします。これらの影響を最小化すべく、デリバティブ取引実績や残高などは、経営会議・取締役会へ定期的に報告し、これら内容を含むオフバランス取引についても、モニタリングを実施しております。
④ 従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等の年金数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されておりますが、前提条件が変更された場合、または前提条件と実際の結果との間に著しい乖離が発生した場合には、積立不足の発生等により、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。なお、これら要素の一部については、外部機関へ運用支援を委託することにより影響の緩和を図っております。
(2)法律・規制、社会的・政治的要因等に係るもの
① 当社グループが事業活動を行う国・地域における予期せぬ法律・税制変更など、政治的要因、戦争やテロが当社の事業活動・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、事業拠点の多様化・最適化を進める中で、カントリーリスクの検証を含む、国際情勢の情報収集に努めてまいります。
② 当社グループの国内外の事業活動に関連し、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、専門家のサポート体制を拡充し連携を密にして、訴訟等が発生した場合には、迅速かつ適切に対応する体制をとっております。
③ 当社グループは、知的財産についての管理規程を定め、充分な調査及び管理を行ってリスクを最小限にするよう努めておりますが、他者との間で、当社グループの保有する特許その他の知的財産、または他者の保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、他者の権利を侵害する可能性を市場展開前にチェックしており、研究開発テーマを設定する際にもその可能性を調査しております。
④ 当社グループは、事業活動を行う上で、様々な法規制の適用を受けております。これらの法令等に対する違反や社会的要請に反した行動等により、処罰・訴訟の発生、社会的制裁またはステークホルダーの信頼失墜に繋がり、業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、法令等の遵守はもとより企業としての社会的責任を果たすため、「利益と公正」を企業活動の基軸とする行動指針を明確に打ち出しておりますが、それにもかかわらず当社グループ及び関係先等が重大なコンプライアンス違反を発生させた場合、当社グループの信用・業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、「コンプライアンス推進委員会」を主体として、組織的に社内教育・啓蒙活動を推進しております。
(3)製品、品質の要因によるもの
当社グループは、品質管理基準に従って製品の製造を行っており、また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製造物責任賠償保険で填補しえない製品の欠陥による損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、品質保証体制の整備に努めております。
(4)新型コロナウイルス等の感染症拡大によるもの
当社グループは、国内外の事業展開において、新型コロナウイルス等の感染症によって市況の悪化、及びロックダウンが実施されるなど、国や地域によって稼働上の制約を受けた場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、対策委員会や専門部会を設置し、タイムリーかつ効果的な対策を検討の上、通達やマニュアル等の発信を行い、従業員の安全確保と事業を継続するための統制、及びグループ各社との連携を図って対処する体制としております。
(5)環境・気候変動によるもの
当社グループは、環境・気候変動・安全・健康問題に対してより総合的な見地から地球環境保全の取組を行っておりますが、気候変動による地球規模での気温上昇の影響を抑えるための社会的課題に対し適切な解決ができない場合、あるいは万一、予期せぬ環境汚染等による第三者への損害及び社会的信用の低下等に伴う損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、当社は、地球環境に関する会社方針を定め、製品の環境負荷低減、製品安全の確保、お客様への情報提供などをトップ診断の下で活動を行っています。また、気候変動に関しては、TCFDに賛同を表明し、その指針に沿ったシナリオ分析等について京都大学と産学連携で進めていく体制としております。
(6)自然災害・事故災害によるもの
当社グループは、事故発生の未然防止、また災害発生時の被害軽減を図るため、国内外グループでの教育・啓蒙、施設・設備等の対策、点検整備及び事業継続計画に基づく生産拠点の分散化等の対策に取り組んでおりますが、万一、損害保険等で填補しえない自然災害を含む事故・災害が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、「リスク管理委員会」を設置し、災害発生時の、主にサプライチェーンにおけるBCP文書の策定や訓練実施など、事業継続計画の精緻化推進を行っております。また、損害保険の付保内容については、外部機関による妥当性の評価を受けるなどして適正化を図っております。
(7)その他
① 当社グループは、事業の展開によっては、技術提携、合弁等の形態で他社と共同活動を行っておりますが、共同活動の当事者間で歩調の不一致等が生じた場合は、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、事業部門制に基づき、グループ会社の管掌を明確化し、連携強化に努め、また合弁事業については当社から役員を派遣するなど、適切な関係を以って事業活動が推進されるよう努めております。
② 当社グループは、事業活動におけるITの効率的活用により、ITシステムへの依存度は高まっておりますが、これら機密情報等に対するサイバー攻撃や、機器やソフトウェアの障害に伴う事業中断・損害の発生、個人情報を含む機密情報の漏洩等のリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績・財務状況に影響を与える可能性があります。これらの影響を最小化すべく、部門長の統制の下、事故防止や攻撃防御に関する教育・啓蒙活動、及び監視システムの導入等、対策を推進する体制としております。
③ 当社グループにおいては、メディアやSNSを媒体とした情報発信やブランディング活動を推進していくことが想定され、当社グループの情報発信等における不適切な表現が、SNS等を通じて拡散された場合、あるいは当社グループの誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を低下させる可能性があります。これらの影響を最小化すべく、ホームページやSNSの運用体制・ガイドラインを整備するとともに、チェック体制を整備しております。
④ 当社グループが、今後持続的成長を成していくためには、必要となる専門性を有する、あるいはグローバル視点で実行力・構想力を有する人材の計画的確保と育成が必要でありますが、人材の確保や定着が達成されず事業活動に支障が出る場合には、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、人事制度改訂やエンゲージメントを高める活動の推進、多様な人財が活躍するための土壌醸成を進めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当期における世界経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつも総じて回復傾向にありましたが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰が継続しており、先行き不透明な状況で推移いたしました。そのような状況下、欧州、米国、中国及びその他アジア新興国においては、感染症の再拡大や供給制約の影響はあったものの、経済活動の再開を受け、回復が見られました。アフリカにおいては、景気は感染症の再拡大が見られる一部の地域を除いて持ち直しの動きが見られました。一方、当期におけるわが国経済は、供給制約の影響は残りつつも企業収益や業況感は全体的に改善を続けており、感染症の影響から一部に弱めの動きがあったものの、基調としては持ち直した形で推移いたしました。
当社グループの当連結会計年度における売上高は4,191億90百万円(前期比15.0%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰や販売費及び一般管理費が増加したことなどにより300億96百万円(前期比3.6%減)となりました。経常利益は持分法投資利益の増加や為替差益に転じたことなどにより376億11百万円(前期比4.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益の計上等により265億25百万円(前期比32.4%増)となりました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。
1)日本
自動車分野は、新車用分野及び自動車部品向け塗料では自動車生産台数が前期を下回り、国内向け売上は減少しましたが、輸出が増加したことから、売上は前期並となりました。工業分野では、産業機械向け塗料などが堅調に推移し、売上は前期を上回りました。建築分野では家庭用塗料の需要の低下により、売上は前期を僅かながら下回りました。自動車分野(補修用)及び防食分野では、国内市況の本格的な回復には至らなかったものの、売上は前期を上回りました。船舶分野では、売上は前期を僅かながら上回りました。利益は、為替差益が増加した一方、原材料価格高騰の影響を受け、前期を下回りました。
これらの結果、売上高は1,386億20百万円(前期比3.1%減)、経常利益は143億91百万円(前期比7.3%減)となりました。
2)インド
自動車分野及び建築分野では、新型コロナウイルス感染症による経済活動低迷の影響を受けたものの、前期が年初における新型コロナウイルス感染症拡大を抑止するためのロックダウンの影響を大きく受けていたこともあり、売上は前期を上回りました。利益は、原材料価格高騰の影響を受け、前期を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は971億33百万円(前期比32.9%増)、経常利益は72億40百万円(前期比29.0%減)となりました。
3)欧州
トルコでは、現地通貨ベースでの売上は伸長しましたが、通貨安による原材料価格への影響等が収益を圧迫しました。また、持分法適用会社において前期に受けた、設備投資優遇措置による租税負担減少の反動により持分法投資利益は減少しました。その他欧州各国においては、工業分野及び自動車分野(補修用)を中心に堅調な需要に支えられ売上は前期を上回り、欧州全体の売上は前期を上回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は843億20百万円(前期比27.8%増)、経常利益は56億8百万円(前期比7.4%増)となりました。
4)アジア
中国においては、自動車生産台数の回復を受け、自動車分野での売上は前期を上回りました。工業分野では産業機械向け塗料が堅調に推移し、売上は前期を上回りました。これらの結果、中国全体での売上は前期を上回りました。インドネシア、タイにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前期を上回りました。利益は、売上が増加した影響に加え、中国における持分法投資利益が増加したことなどにより増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は576億31百万円(前期比16.4%増)、経常利益は72億59百万円(前期比56.5%増)となりました。
5)アフリカ
南アフリカ及び近隣諸国の経済は新型コロナウイルス感染症の再拡大により厳しい状況が続いたものの、建築分野の需要を取り込み、南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域においても、建築分野における堅調な需要を取り込み売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前期を上回りました。また、前期より不採算事業の整理及び固定費の削減を進めた結果、収益性が改善されました。
これらの結果、当セグメントの売上高は361億31百万円(前期比29.4%増)、経常利益は13億54百万円(前期比- %)となりました。
6)その他
北米では、自動車生産台数は前期並みとなったものの、自動車部品向け塗料などの売上は前期を上回り、また持分法投資利益も増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は53億52百万円(前期比4.7%増)、経常利益は17億56百万円(前期比52.8%増)となりました。
なお、前連結会計年度まで工業分野に区分しておりました自動車部品向け塗料につきましては、当連結会計年度より自動車分野に区分しております。
(財政状態の状況)
1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産合計は、2,766億50百万円(前期末比238億21百万円減)となりました。
流動資産の減少は、主に現金及び預金などが減少したことによるものであります。
2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産合計は、3,234億7百万円(前期末比172億98百万円増)となりました。
固定資産の増加は、主に投資有価証券などが増加したことによるものであります。
3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債合計は、1,730億83百万円(前期末比167億26百万円増)となりました。
流動負債の増加は、1年内返済予定の長期借入金が減少したものの、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが増加したことによるものであります。
4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債合計は、518億59百万円(前期末比595億4百万円減)となりました。
固定負債の減少は、主に転換社債型新株予約権付社債などが減少したことによるものであります。
5)純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、3,751億14百万円(前期末比362億55百万円増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ486億67百万円減少し597億9百万円となりました。
1)営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比271億22百万円収入が減少し、155億24百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益438億36百万円及び減価償却費142億91百万円などの収入、棚卸資産の増加額173億40百万円及び法人税等の支払額170億61百万円の支出などによるものであります。
2)投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比15億79百万円支出が増加し、20億87百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額145億69百万円などの支出、有価証券の減少額72億22百万円及び有形固定資産の売却による収入額45億73百万円の収入などによるものであります。
3)財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、641億円(前連結会計年度は168億28百万円の収入)の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出額511億73百万円、配当金の支払額77億46百万円及び非支配株主への配当金の支払額48億26百万円などの支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
81,689 |
8.9 |
|
インド |
71,624 |
50.4 |
|
欧州 |
59,674 |
32.9 |
|
アジア |
46,630 |
19.9 |
|
アフリカ |
23,464 |
30.6 |
|
報告セグメント計 |
283,084 |
26.1 |
|
その他 |
3,060 |
24.7 |
|
合計 |
286,144 |
26.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2.金額は、製造原価によっております。
2)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。
3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
138,620 |
△3.1 |
|
インド |
97,133 |
32.9 |
|
欧州 |
84,320 |
27.8 |
|
アジア |
57,631 |
16.4 |
|
アフリカ |
36,131 |
29.4 |
|
報告セグメント計 |
413,837 |
15.1 |
|
その他 |
5,352 |
4.7 |
|
合計 |
419,190 |
15.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
|
指標 |
当連結会計年度(実績) |
2022年度見込 |
|
連結売上高(百万円) |
419,190 |
460,000 |
|
営業利益(百万円) |
30,096 |
29,000 |
|
経常利益(百万円) |
37,611 |
36,000 |
|
連結EBITDA(百万円) |
53,679 |
53,000 |
|
連結EBITDAマージン(%) |
12.8% |
11.5% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
26,525 |
21,000 |
|
調整後ROE(%) |
10.0% |
7.6% |
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)
当連結会計年度の連結売上高は4,191億円(前期比15.0%増)、営業利益は300億円(前期比3.6%減)となりました。また、売上高は増加したものの原料費高騰の影響により、連結EBITDAマージンは12.8%(前期比2.0ポイント減)、当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益の計上等により調整後ROEは10.0%(前期比1.5ポイント増)となりました。2022年度は第17次中期経営計画の初年度であり、第16次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高4,600億円と過去最高売上高を計画しております。
(第17次中期経営計画位置づけ)
2021年度を最終年度とする第16次中期経営計画において、当社は「資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長」、「事業競争力の向上」及び「グループ総合力の向上」の重点方針のもと、連結売上高4,900億円、連結EBITDAマージン15.5%、調整後ROE10%超を目標に始動しました。しかしながら、新型コロナウイルスの発生により目標を途中で修正せざるを得ず、また2021年度に原材料費高騰があり修正後の目標に対しても利益率の目標を達成することができませんでした。一方で、低収益資産の整理、戦略的投資、総資産圧縮による成長投資資金の捻出等により調整後ROE10%超を達成したことは企業体質の改善の成果であると考えております。
なお、当連結会計年度において政策保有株式17億円の売却が完了しており、既存不動産の削減・有効活用として当社東京事業所の土地一部売却が完了しております。
第17次中期経営計画では、2021年11月17日に公表した成長戦略で設定した2050年時点の長期目標(マテリアリティ)達成に向け、持続的成長サイクルへの転換を確立させる3か年計画として策定しております。その重点方針としては「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げており、具体的には下記の図にある活動を計画しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,000億円、連結EBITDAマージン17%、調整後ROE13%超を設定しております。
これらを元に、2022年度よりスタートする第17次中期経営計画を実効性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めてまいります。
なお、第17次中期経営計画の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2022/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/news/)をご参照ください。
地域別セグメントの業績は次のとおりであります。
|
セグメント の名称 |
売上高 |
経常利益または経常損失 |
||||||
|
前連結 会計年度 (百万円) |
当連結 会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
2022年度 見込 (百万円) |
前連結 会計年度 (百万円) |
当連結 会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
2022年度 見込 (百万円) |
|
|
日本 |
142,999 |
138,620 |
△3.1 |
152,500 |
15,532 |
14,391 |
△7.3 |
12,500 |
|
インド |
73,084 |
97,133 |
32.9 |
115,000 |
10,198 |
7,240 |
△29.0 |
9,000 |
|
欧州 |
66,002 |
84,320 |
27.8 |
85,000 |
5,220 |
5,608 |
7.4 |
2,000 |
|
アジア |
49,504 |
57,631 |
16.4 |
65,000 |
4,638 |
7,259 |
56.5 |
8,000 |
|
アフリカ |
27,917 |
36,131 |
29.4 |
37,000 |
△858 |
1,354 |
- |
2,500 |
|
その他 |
5,112 |
5,352 |
4.7 |
5,500 |
1,149 |
1,756 |
52.8 |
2,000 |
|
合計 |
364,620 |
419,190 |
15.0 |
460,000 |
35,880 |
37,611 |
4.8 |
36,000 |
事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります
|
セグメント の名称 |
自動車塗料 |
工業塗料 |
建築塗料 |
自動車(補修用)船舶・ 防食塗料 |
その他 |
合計 |
||||||
|
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
|
日本 |
52,025 |
0.8 |
32,025 |
7.0 |
23,308 |
△1.8 |
28,146 |
3.6 |
3,114 |
△70.5 |
138,620 |
△3.1 |
|
インド |
23,867 |
34.7 |
13,916 |
43.0 |
56,428 |
28.4 |
1,552 |
31.3 |
1,368 |
176.4 |
97,133 |
32.9 |
|
欧州 |
5,360 |
3.2 |
40,867 |
31.0 |
5,692 |
2.5 |
9,769 |
18.0 |
22,631 |
43.5 |
84,320 |
27.8 |
|
アジア |
31,937 |
15.3 |
11,832 |
22.2 |
8,439 |
7.3 |
2,482 |
10.5 |
2,940 |
46.8 |
57,631 |
16.4 |
|
アフリカ |
546 |
45.3 |
3,574 |
23.5 |
25,929 |
29.6 |
2,128 |
△12.6 |
3,952 |
79.8 |
36,131 |
29.4 |
|
その他 |
5,352 |
6.5 |
- |
△100.0 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
5,352 |
4.7 |
|
合計 |
119,089 |
10.7 |
102,215 |
22.4 |
119,797 |
18.5 |
44,079 |
6.7 |
34,007 |
9.6 |
419,190 |
15.0 |
前連結会計年度まで工業分野に区分しておりました自動車部品向け塗料につきましては、当連結会計年度より自動車分野に区分しており、前連結会計年度まで自動車分野に区分しておりました自動車(補修用)塗料につきましては、当連結会計年度より自動車(補修用)・船舶・防食分野に区分しております。また、増減率につきましては前連結会計年度を変更後の区分に基づき計算しております。
上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。
1)売上高及び営業利益
当期の売上高は前期比15.0%増、545億70百万円増収の4,191億90百万円となり、営業利益は前期比3.6%減、11億32百万円減の300億96百万円となりました。売上高は前年11月時点で見直した公表値を上回る結果となりました。上振れした主たる要因は売上数量増と価格転嫁であります。営業利益は原材料費高騰の影響を受けた結果、減益となっております。日本、インドともに価格転嫁に対して市場が厳しく遅れが生じたことで両国の営業利益が減益となっております。日本とインドの遅れを既に3つ目の柱に成長した欧州を筆頭にアジア、構造改革を成功させ黒字化が定着したアフリカ、自動車が回復基調の北米がカバーしたことで当社グループとしては増収増益を達成しております。
各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)
|
国名 |
自動車生産台数(万台) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
|
日本 |
797 |
755 |
|
インド |
369 |
445 |
|
中国 |
2,523 |
2,608 |
|
タイ |
143 |
169 |
|
インドネシア |
69 |
112 |
|
マレーシア |
49 |
48 |
|
トルコ |
111 |
103 |
日本の2022年度の自動車生産台数は900万台と想定
出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定
(単位:円/kl)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
2022年度 |
||
|
上期 |
下期 |
上期 |
下期 |
通期 |
|
|
国内ナフサ価格 |
27,600 |
35,000 |
50,600 |
62,600 |
88,000 |
上記数値は当社推定値であります。
2)営業外損益及び経常利益
当期の営業外損益は前期比28億62百万円増加の75億14百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び為替差益の増加によるものであります。
これらの結果、当期の経常利益は前期比4.8%増、17億31百万円増益の376億11百万円となりました。
3)特別損益及び税金等調整前当期純利益
当期の特別損益は前期比12億78百万円増加の62億24百万円のプラスとなりました。主な増加要因は固定資産売却による固定資産売却益の増加等によるものであります。
これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比7.4%増、30億10百万円増益の438億36百万円となりました。
4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益
当期の法人税等は、前期比56億68百万円減少の115億91百万円となりました。主な減少要因は当社における税金費用の減少によるものであります。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32.4%増、64億98百万円増益の265億25百万円となりました。
財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。
当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。
当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。
また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、代表取締役専務執行役員 古川秀範を委員長とした新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。
・安全を確保しながら事業を継続
・在宅勤務とスプリット制の推進
・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築
・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築
・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。
当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。
また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。
さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(有形固定資産及び無形固定資産)
固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
(投資有価証券)
その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
技術援助契約
|
契約 会社名 |
相手先 |
国別 |
契約の内容 |
契約期間 |
対価 |
|
提 |
Kansai Nerolac Paints Ltd. |
インド |
各種塗料の製造技術及び製造販売権並びに商標の使用許諾 |
2021年4月1日から2026年3月31日まで |
売上高に対して一定率 |
|
Thai Kansai Paint Co.,Ltd. |
タイ |
各種塗料の製造技術及び商標の使用許諾 |
1995年7月1日から会社存続期間中 |
売上高に対して一定率 |
|
|
PPG Kansai Automotive Finishes Technologies,LP |
米国 |
自動車用塗料の製造技術及び製造販売権 |
2005年1月4日から相手先との合意により解約するまで |
売上高に対して一定率 |
|
|
湖南湘江関西塗料 有限公司 |
中国 |
自動車用塗料の製造技術及び製造販売権 |
2013年6月1日から2023年5月31日まで |
売上高に対して一定率 |
当社グループは、R&D部門、技術開発部門を中核とする開発センターを中心に、国内外グループ各社の技術部門と連携をとりながら、市場ニーズに適応した製品のタイムリーな開発及び、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおります。また、グローバル展開を加速していくなかで、事業部門含めたグループ各社との連携をより一層強化し、各国市場に適合した新技術の開発及び世界に通用する人材育成に取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した当社グループ全体の研究開発費の総額は
主な研究開発活動状況は次のとおりであります。
当社の基礎研究は、塗料に有用な基盤技術の蓄積を目的としております。基盤技術としては、樹脂設計、分散技術、色彩設計であり、グローバルに対応可能な新しい材料の創製を目指しております。また、デジタルツールの利用を積極的に取り入れ、例えば機械学習を基にした調色システムを市場導入しております。更に既存塗料領域だけでなく、電池の電極膜のような成長市場の分野に対しても、配合設計や粒子分散など当社のコア技術を展開し成果をあげてきております。
分析研究においては、塗料・塗膜および電極膜のような新規分野製品の組成・状態・現象などを分析・解析できる技術を確立し、当社の研究開発に貢献しております。また、蓄積された莫大な耐久性に関する分析データを活用して高耐久性塗料の製品開発や販売促進に有用な情報を提供するなど、当社グループ全体の事業を支援しております。
色彩・意匠研究では、特に自動車塗料分野において、最新の流行色動向を調査・分析し、その結果を反映させたアドバンスカラーを開発・提案しております。また、色彩光学分野では、ITを用いたカラーデザインの適用研究を行い国内外の塗色獲得率の効率化と最大化を推進しております。高まる環境意識に対し、近年、基礎研究領域ではエコフレンドリーテーマを増大させております。開発・製造効率を向上させるデバイスやデジタルツールを自ら作成したり、材料開発の段階から負荷の少ない製造工程を模索したりすることで、製品を生み出すための消費エネルギーを低減させております。またバイオマスポリマーなどの非石油系材料の探索も始めております。
塗料・塗装システム開発においては、社会への持続的な貢献を目指し、地球環境に配慮した塗料や塗装を実現する技術の開発や、嗜好の多様性にマッチした新しい意匠、メンテナンス低減を可能にする塗料の開発を推進しております。自動車塗料分野では、省工程・省エネルギーの環境対応技術として評価の高い水性3ウェット塗装システムの拡大・多様化の研究開発を一層推進するとともに、低VOC塗料・低温硬化・光硬化・脱スプレー化・薄膜システム等、さらなる環境負荷低減材料設計を行っております。工業塗料分野においても、環境対応・省工程・水性化・ハイソリッド化に関する技術開発を行っております。建築塗料及び防食塗料分野においては、塗料の水性化推進するとともに、遮熱・抗菌・抗ウィルス・防蚊・多彩模様化・耐火などの高機能化に関する研究と商品化に努めました。また、自動車補修分野では、業界初のオール有機則フリーシステムへの高作業性付与、及びコンピューター調色システムの調色精度向上等、市場をリードする開発に取り組んでおります。これらの塗料開発に必要な評価技術や評価装置の開発もあわせて行い、塗料開発の効率化、開発品の完成度向上を図っております。
得られた技術は当社グループ各社との共有化を図り、品質管理や環境・安全面に関する指導、お客様に対するコンサルティングなどのサービスに努め、信頼性の高いグローバル体制の確立をすすめております。また、コンプライアンスの視点から製品品質のみならず化学物質管理における当社グループ全体のガバナンス強化を進めており、お客様により安心・安全にご利用いただける製品の提供をおこなうと共に、情報公開を更に推進してまいります。
なお、セグメントごとの研究開発費は、「日本」