第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。この使命目的は、当社の歴史において脈々と受け継がれてきた理念に由来するものであり、言わば「創業の精神」に立脚するものであります。

2020年11月、当社は成長戦略「Good to Great」を策定し、ESGを根幹とする経営への大きな変革の途上にありますが、その変革とは、まさに当社が、「創業の精神」に立ち返り、顧客との信頼関係のもと、塗料ビジネスのプロフェッショナルとして、持続的な利益成長と社会貢献をもたらし得る会社であり続けるためのものであります。

当社はこのような考えのもと、これからも社会から必要とされる、真のGreatカンパニーとなるべく、企業価値向上に取り組んでまいります。

 

(2)中長期的な経営戦略

当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、2022年4月より始動しました。

本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている持続的成長サイクルへ転換するための重要フェーズと位置付けており、2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」、すなわち「脱炭素の実現」「QOLの向上」「資源と経済循環両立の高度化」「多様な人財が活躍するグループへ」の達成に向け、ESG経営を根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。

本計画を進めるにあたり、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。2022年度はこれら重点方針のもと、アフリカ事業の売却決定をはじめとする将来に向けた適切な事業ポートフォリオの組み換え施策を具体的に推進するとともに、資金調達の多様化、政策保有株式等の売却等を進めることにより、キャッシュアロケーションの計画を着実に実行しております。

海外事業につきましては、収益性と成長性が高く、第17次中期経営計画の成長ドライバーと位置付けております。そのうち、欧州セグメントはHeliosグループを主軸として、粉体塗料や鉄道車両用をはじめとする成長性の高い工業分野の強化を推進しており、ボルトオンM&Aを実行しました。インドセグメントは、自動車分野の圧倒的シェアの維持、収益性向上に努めながら、成長性の高い粉体塗料ビジネスや建築分野への投資を強化し、自動車/工業・建築の両輪による持続的な成長を目指してまいります。なお、アフリカセグメントは事業売却を完了するまで当社の中核事業としてマネジメントを進めてまいります。

日本セグメントにおきましては、各分野とも販売価格や商品ミックスの改善による収益性向上に注力しました。また水性・粉体塗料等の環境対応塗料を強化しつつ、粉体塗料については新会社を設立し、事業の再編・拡大により競争力を強化してまいります。

また当社グループ全体では長期的な取り組みとして、サプライチェーンの刷新プロジェクトを推進し、徹底的に収益性を高める構造改革を断行してまいります。

経営基盤の強化につきましては、「最も重要な基盤は人財である」という信念のもと、2021年度に移行した部門制の定着を一層推進するとともに、真のグローバル化に向けた人事制度の刷新、エンゲージメントの向上など会社機能の強化及び人財への重点的投資を進め、役員報酬制度の改定も併せ、「利益と公正」を徹底する仕組みを引き続き強化してまいります。またこれらの投資の効果を最大化し、定着させていくためにITに継続的に投資をしてまいります。

以上のような考え方のもと、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13% と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した当時の現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。なお、配当につきましては配当性向30%を目安として安定的継続的に適切な株主還元を実施してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後もグローバルベースでは、塗料需要は中長期的に着実に伸長することが見込まれ、国内でも新型コロナウイルス感染症についても感染症法上の位置づけが変わり、各種政策の効果もあって今後経済活動が持ち直していくことが期待されます。一方で国際的政情不安のリスクは今後更に増大し、金融引き締め等による世界的な景気の下振れの懸念も依然続き、各国におけるインフレ影響により様々なコストが引き続き高騰基調にあること、また自動車産業の構造変化等のリスク要因が存在し不透明感を増すものとして、引き続き慎重な対応を要する状況です。

 

当社は、外部環境の変化は今後も発生し続けるとの前提のもと、具体的戦略を策定し実行しております。外部環境の変化に適切に対応することで、これらの課題を機会と捉え、構造改革や様々な変革を進め、持続的成長サイクルへと転換してまいります。

その根幹となる、ESG経営の推進により、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。

具体的には、グローバルデジタルプラットフォームを導入し、ESG活動・関連データの集計を当社グループ全体に及ぼしてまいります。気候変動対応の活動については、京都大学と産学連携しつつ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿って、財務や業績への影響の開示を追求します。また、サステナビリティの関連課題の解決に向けて専門部署を設け、マネジメント体制を強化いたします。

人財への取り組みは経営基盤強化の最重要課題と位置付け、「全員参加」で挑戦・変革に取り組み成長戦略を実現できる環境を整備してまいります。経営層においては社外取締役によるトレーニングを実施し、管理職についてはジョブ型人事制度や外部アセスメントを利用した昇格審査を導入いたしました。また全社員を対象に、業績改善分科会や海外重要ポストへの抜擢など、多様な活躍の機会を与えて、人的資本の充実、最大化を図っております。

さらに経営基盤の核として、引き続きコーポレート・ガバナンスの強化に努めるとともに、サイバー攻撃のリスクに対して情報セキュリティ委員会を立ち上げ、eラーニングによる社員教育を進めるなど、情報セキュリティガバナンス体制の整備を進めてまいります。

第17次中期経営計画で目指す持続的成長を支える一つはDXの有効活用であると認識しており、今後これら全ての活動についてIT中期計画を策定し、洗い出された課題の解決に取り組みます。ESG関連以外においても、サプライチェーンの刷新を継続し、まずは日本国内の拠点集約を推進しながら、BCP・生産性向上・脱炭素化を図り、将来的にはグローバル展開につなげてまいります。

以上の諸施策を強力に推進し、第17次中期経営計画を実効性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革をさらに加速してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

   文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

 塗料が担う役割の一つはモノの寿命を延ばすことであり、その製造過程におけるCO₂排出量は少なく、本来サステナビリティに大きく貢献している産業です。さらに、お客様との長きにわたる協業において、お客様で使用される時に発生するCO₂削減を可能にする塗料の開発や、粉体塗料、水性塗料に代表される環境負荷を小さくする事業をサステナビリティ経営が叫ばれるはるか昔より進めてきています。しかしながら、人類が直面している地球環境の変化はこれまで私たちが想定してきたものよりも大きく、社会発展の在り方そのものの見直しが求められています。石油などの鉱物資源に由来する原料を扱ってきた化学産業は、商品の設計、原材料、製造、物流、販売など様々な領域で非連続な転換が必要です。

 私たちは自らのバリューチェーンを抜本的に見直し、これからのお客様と社会のニーズに応え、新たな価値提供を実現することが課題であり、同時に機会でもあると考えています。

 そのため、「コンプライアンス/ガバナンス」及び「環境・社会配慮」といった汎用的課題だけでなく、「社会課題を事業や製品を通じて解決する」という当社特有の課題を認識し、事業を通じたサステナブルな社会の実現及び自社活動における社会的責任を果たすために当社として重要視するマテリアリティ(長期目標)を選定しました。

 また、グループ全体で環境負荷低減活動の見える化と推進体制の強化を進めております。環境情報の集計カバー率は、2021統合報告書では32.9%でしたが、2022統合報告書では62.5%となっており、2023統合報告書では91.2%の見込みです。2024統合報告書までに90%以上のカバー率を目指しておりましたが、2023統合報告書にて達成の見込みです。今後は更なるカバー率の向上とともに、データ精度の向上にも注力します。

 

サステナビリティ情報全般に関する開示

(1)ガバナンス

 2022年4月より、サステナビリティ推進委員会は経営の主軸に関わる活動として、経営監理委員会に組み入れ、当社グループ全体の活動推進を牽引する体制を整えました。また、2023年4月より、サステナビリティ担当役員及び以下の2つの専門部署を設置しました。サステナビリティ企画部では、サステナビリティ経営に向けた基盤整備をよりスピード感を持って重点的に対応してまいります。サステナビリティ推進部では、サステナビリティ経営に関わる情報の収集分析、マテリアリティの具体策立案、推進への支援、社内の推進環境を整えるための情宣活動等を遂行してまいります。KPIに関する計画と進捗を四半期毎に経営会議・取締役会へ報告し、取締役会における監視の徹底に努めます。

 

(2)リスク管理

①リスクを評価・識別するプロセス

リスクの識別、当社グループへの影響度基準の策定

②リスクを管理するプロセス

1)シナリオ分析について重要な変更点が無いかをサステナビリティ推進委員会にて確認

2)シナリオ分析から導かれた全社としての行動方針については、取締役会で審議・決議

3)各事業部門の行動計画は、経営会議にて審議・決議し、中期経営計画及び毎年度の組織及び予算に織り込む

4)決議された行動計画は、四半期毎にサステナビリティ推進委員会が取りまとめ、経営会議と取締役会で報告、討議する

5)リスク管理委員会とサステナビリティ推進委員会は、情報共有を密にする

 

前述の2つのプロセスが総合的リスク管理に統合されているかを、毎年の予算や中期経営計画にて確認を行います。

 

 

(3)戦略

以下の4つのマテリアリティを選定し、取り組んでおります。

①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

(取り組み)

お客様

1)お客様の塗料使用段階でのエネルギー使用の低減に寄与

2)製品ライフサイクルでのCO₂排出を大幅に縮減

社会

1)脱炭素に積極貢献する製品開発・技術開発を行う

2)ZEBやZEHに塗料で寄与

 

3)交通システム全体の変革に合わせた最適塗料の開発

4)脱炭素領域での事業拡大

自社

1)生産・物流に用いるエネルギーを変える

2)使用エネルギーの大幅縮減を図る

3)脱炭素を推進しやすい社内環境・社内制度を整備する

4)脱炭素エネルギー・低炭素エネルギーの調達を行う

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上させる

(取り組み)

1)QOL向上につながる製品サービスの提供

2)サプライチェーンに関わる人の健康、安全性、効率性の向上

3)サステナブル製品(主にQOLに寄与するもの)を開発・提供

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

(取り組み)

1)サプライチェーンの全ての過程で資源の有効活用の高度化を図る

2)塗料と塗料が塗られるあらゆるもののリサイクル、リユースを後押しする製品・サービスの普及を図る

3)お客様での塗料使用における廃棄物量を低減する

4)グループ拠点における資源利用の効率化・リサイクル推進を図る

5)サプライチェーン企業と協働し、資源循環の高度化を図る

6)最終製品の資源有効利用に寄与する塗料・製品を開発する

7)原料段階・生産段階・使用段階での資源循環コストを検討する

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向)を受容し、人財の多様性推進を図る

(取り組み)

1)公平な人財育成と登用の実現

・女性活躍推進を図る

・グローバルの生産拠点における管理人財の育成を図る

・海外の販売拠点におけるローカルマネージャー比率の向上を図る

2)多様な働き方の実現

3)健康・福祉を増進し安全な職場の実現

 

(4)目標及び指標

 ①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

  ・長期視点に立ち、脱炭素の観点から、使用するエネルギー種別を変えていきます

   (脱化石燃料、再生可能エネルギーや次世代エネルギーの導入等)

  ・中期視点に立ち、事業活動の最適化によって、使用するエネルギーの量を大幅に縮減させます

  ・お客様やサプライヤーとともに、製品ライフサイクル全体でのCO₂排出を減らします

  ・設備投資の機会を捉え、エネルギー使用のあり方を変革します

    ・エネルギー消費量(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・再生可能エネルギー比率(2030年度目標):使用率15%以上

    ・GHG排出量(Scope1&2)(2030年度目標):30%減(2021年比)

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上させる

    ・塗料によって社会全体を美しく強靭にすることで、生活者の暮らしの質を向上します

    ・健康や衛生に寄与する塗料を供給し、ユーザーの生命の質を向上します

    ・労働安全衛生や職場環境を整えることにより、ユーザー、サプライヤー、従業員の安全を向上します

    ・気候変動に伴う健康被害(高温被害・衛生悪化等)をなくしていくことに貢献します

    ・サステナビリティ製品の展開(2030年度目標):対象製品比率30%以上

 

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

    ・原料、生産、使用、そして塗装された最終製品という全ての段階を視野に入れ、社会全体の資源循環の高度化を探求し続けます

    ・資源循環と経済循環の両立という「ブレークスルー」を目指します

    ・塗装された最終製品や、塗料自体のリサイクル性の向上に挑戦します

    ・自社グループでは徹底した資源利用の効率化やリサイクル推進を図ります

    ・水使用量(取水量)(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・廃棄物量(2030年度目標):30%削減(2021年比)

    ・リサイクル容器の使用率(2030年度目標):50%以上

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向)を受容し、人財の多様性推進を図る

・グローバルでの理念共有や人財育成を図るとともに、運営のローカライゼーションを図ります

・公平な人財育成と登用により、グループ全体の従業員に占める女性比率20%以上、管理職に占める女性比率15%以上(2030年)を目指します

・女性活躍の推進を図り、役員の女性比率25%達成(2030年)を目指します

・多様な働き方の実現を通じて、多様な人財の活躍を促進します

・年齢を超えた技術やノウハウの継承を図り、関西ペイントグループに対するお客様からの信頼を継続します

 

 なお、詳細につきましては、2023統合報告書(2023年8月頃公表予定)にて開示予定です。グループ各社と達成に向けた戦略の精緻化を進め、連携を強化していきます。

 

(5)TCFDに対する取組

 当社グループはTCFD提言の11の推奨開示項目を順次開示していく取り組みを進めています。

 気候変動はもはや人類共通の、誰もが逃れることのできない課題です。当社グループでは経営上の最重要課題の一つと捉え、社内における議論、各方面の知見者からのヒアリングを経て、グループ全体で取り組むことを宣言。2021年11月にはその活動の幹となる新しいマテリアリティを公表し、その中で気候変動への取り組みとしての「脱炭素の実現」「資源と経済循環両立の高度化」を掲げています。

 2021年11月にはTCFDへの賛同を表明しました。気候変動への取り組みとともにTCFDに基づく情報開示を進めシナリオ分析、リスク機会の特定と情報公開も進めていきます。これらを進めるにあたり、京都大学との産学連携により、当社を取り巻く市場環境における気候変動の影響、グローバルにおける地域特性などに関する検討を行っています。

 シナリオ分析にあたっては気候変動対応シナリオ(1.5℃)、成り行きシナリオ(4℃)における様々な影響を検討しながら、市場環境の変化を想定します。想定に基づき各事業部におけるリスクと機会の再評価を進めています。

 

人的資本に関する開示

(1)戦略

 当社グループの人事ビジョンとして、人財こそが「宝」であり、企業価値の源泉であると考えています。予測不能なこの大変革の時代を勝ち残り、企業として持続可能な成長を遂げるために、多様な人財一人一人が個の力を高め、その力を最大限に発揮できる環境整備を目指していきます。従業員と会社がともに対話を通じて成長できるよう、相互のコミュニケーションを促進し、積極的で主体的な風土を醸成し、創業の精神である「利益追求と社会発展への貢献」を実現していきます。

 中長期的な視点での人財開発戦略として、利益追求と社会発展への貢献という企業価値を実現するため、次の10年を見据えた人財開発戦略を構築していきます。従業員全員が「利益と公正」を体現し、働きがいと働きやすさの両方を実感しながら、最前線で新たな価値を創出し続けられる好循環を生み出します。

当社の人財開発戦略における3つの重点領域は以下のとおりです。

①変革と成長を促進する人財開発

変化に柔軟に対応し、新たな価値を創出し続ける人財を育てていくために、従業員一人一人の個の力を高める取り組みを実施しています。以下のとおり、従業員に当社のビジョン実現を担う人財像を示し、挑戦の機会を提供することで、従業員が自ら学び変革を成し遂げられるよう支援しています。

当社のビジョン実現を担う人財

・当社の真のグローバル化、持続的成長を実現するのは「私たち一人一人」という覚悟

・最前線で新たな価値を創出し続けられるように、社外の動きを踏まえ、社内の常識や前例に囚われない思考

・自身の信念と共に異なる意見にも耳を傾ける柔軟性を持ち、変革につながる対話を生む力

・部署や職位を超えて周囲を巻き込み、挑戦する人を支え、皆で成功をもたらすよう促す姿勢

②多様な個が活躍できる環境づくり

子育て・治療・介護との両立やLGBTQへの取り組みを通じて、多様なスキル・経験・価値観を持つ人財が活躍できる環境づくりに努めています。一人一人が力を最大限発揮できるよう支援し、それら多様な個の力を結集させることで、組織としての競争力を強化します。

③双方向エンゲージメントによる信頼関係の強化と継続的な改善

従業員が会社の理念やビジョンに共感し、誇りや働きがいを感じながら働くことができるよう、従業員と会社の信頼関係の一層の強化に取り組んでいきます。実施した様々な施策の効果を定期的に評価することで、現状の課題を分析し、継続的な改善を行い、従業員と会社が互いの中長期的な成長を促進しあう関係性を築きます。

 

(2)目標及び指標

 当社グループのマテリアリティの一つである「多様な人財が活躍するグループへ」の目標及び指標は、サステナビリティ情報全般に関する開示の(4)④を参照ください。

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績等に影響を及ぼすリスクとして以下の事項があり、これらは投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済・市況等に係るもの

① 当社グループの業績・財務状況は、当社グループが製品を販売する国・地域経済状況のほか、当社グループの顧客企業や市場の動向、他社との競合による市場価格の変動等の影響を受けます。これらの影響を最小化すべく、グループ各社業績及び業績指標推移の定期的なモニタリングの実施により、地域・市場分野毎の事業特性分析、収益性評価、低収益資産の整理等を通じ、地域事業の強化を図るとともに、グループ経営の安定化を推進してまいります。

② 当社グループが生産活動で使用する原材料は、世界的な経済動向による需給バランス、為替変動等の影響を受けます。これらの急激な高騰は生産コスト上昇につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の特殊な原材料については限定的な調達ソースによるものがあります。これらの影響を最小化すべく、ハイリスクな原材料、または使途先が限定される原材料につき、選定し代替原材料を検討するとともに、他の原材料への統合も図ってまいります。

③ 為替、金利等の相場変動については、一部についてヘッジ取引を行っておりますが、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。また、連結財務諸表の作成にあたっては、海外グループ会社の財務諸表等を外貨から円貨に換算しており、外貨建数値に変動がない場合でも、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼします。これらの影響を最小化すべく、デリバティブ取引実績や残高などは、経営会議・取締役会へ定期的に報告し、これら内容を含むオフバランス取引についても、モニタリングを実施しております。

④ 従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等の年金数理計算上の前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されておりますが、前提条件が変更された場合、または前提条件と実際の結果との間に著しい乖離が発生した場合には、積立不足の発生等により、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼします。なお、これら要素の一部については、外部機関へ運用支援を委託することにより影響の緩和を図っております。

(2)法律・規制、社会的・政治的要因等に係るもの

① 当社グループが事業活動を行う国・地域における予期せぬ法律・税制変更など、政治的要因、戦争やテロが当社の事業活動・業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、事業拠点の多様化・最適化を進める中で、カントリーリスクの検証を含む、国際情勢の情報収集に努めてまいります。

② 当社グループの国内外の事業活動に関連し、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループの業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、専門家のサポート体制を拡充し連携を密にして、訴訟等が発生した場合には、迅速かつ適切に対応する体制をとっております。

③ 当社グループは、知的財産についての管理規程を定め、充分な調査及び管理を行ってリスクを最小限にするよう努めておりますが、他者との間で、当社グループの保有する特許その他の知的財産、または他者の保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、他者の権利を侵害する可能性を市場展開前にチェックしており、研究開発テーマを設定する際にもその可能性を調査しております。

④ 当社グループは、事業活動を行う上で、様々な法規制の適用を受けております。これらの法令等に対する違反や社会的要請に反した行動等により、処罰・訴訟の発生、社会的制裁またはステークホルダーの信頼失墜に繋がり、業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、法令等の遵守はもとより企業としての社会的責任を果たすため、「利益と公正」を企業活動の基軸とする行動指針を明確に打ち出しておりますが、それにもかかわらず当社グループ及び関係先等が重大なコンプライアンス違反を発生させた場合、当社グループの信用・業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、「コンプライアンス推進委員会」を主体として、組織的に社内教育・啓蒙活動を推進しております。

 

(3)製品、品質の要因によるもの

 当社グループは、品質管理基準に従って製品の製造を行っており、また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、万一、製造物責任賠償保険で填補しえない製品の欠陥による損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、品質保証体制の整備に努めております。

(4)新型コロナウイルス等の感染症拡大によるもの

 当社グループは、国内外の事業展開において、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけが変わり、今後は経済活動が持ち直していくと考えておりますが、同感染症が再び蔓延した場合、または新たな感染症が発生・拡大した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、対策委員会や専門部会を設置し、タイムリーかつ効果的な対策を検討の上、通達やマニュアル等の発信を行い、従業員の安全確保と事業を継続するための統制、及びグループ各社との連携を図って対処する体制としております。

(5)環境・気候変動によるもの

 当社グループは、環境・気候変動・安全・健康問題に対してより総合的な見地から地球環境保全の取組を行っておりますが、気候変動による地球規模での気温上昇の影響を抑えるための社会的課題に対し適切な解決ができない場合、あるいは万一、予期せぬ環境汚染等による第三者への損害及び社会的信用の低下等に伴う損失が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、当社は、地球環境に関する会社方針を定め、製品の環境負荷低減、製品安全の確保、お客様への情報提供などをトップ診断の下で活動を行っています。また、気候変動に関しては、TCFDに賛同を表明し、その指針に沿ったシナリオ分析等について京都大学と産学連携で進めていく体制としております。

(6)自然災害・事故災害によるもの

 当社グループは、事故発生の未然防止、また災害発生時の被害軽減を図るため、国内外グループでの教育・啓蒙、施設・設備等の対策、点検整備及び事業継続計画に基づく生産拠点の分散化等の対策に取り組んでおりますが、万一、損害保険等で填補しえない自然災害を含む事故・災害が発生した場合には、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、「リスク管理委員会」を設置し、災害発生時の、主にサプライチェーンにおけるBCP文書の策定や訓練実施など、事業継続計画の精緻化推進を行っております。また、損害保険の付保内容については、外部機関による妥当性の評価を受けるなどして適正化を図っております。

(7)その他

① 当社グループは、事業の展開によっては、技術提携、合弁等の形態で他社と共同活動を行っておりますが、共同活動の当事者間で歩調の不一致等が生じた場合は、当社グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、事業部門制に基づき、グループ会社の管掌を明確化し、連携強化に努め、また合弁事業については当社から役員を派遣するなど、適切な関係を以って事業活動が推進されるよう努めております。

② 当社グループは、事業活動におけるITの効率的活用により、ITシステムへの依存度は高まっておりますが、これら機密情報等に対するサイバー攻撃や、機器やソフトウェアの障害に伴う事業中断・損害の発生、個人情報を含む機密情報の漏洩等のリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績・財務状況に影響を与える可能性があります。これらの影響を最小化すべく、部門横断の「情報セキュリティ委員会」を設置し、事故防止や攻撃防御に関する教育・啓蒙活動、及び監視システムの導入等、対策を推進する体制としております。

③ 当社グループにおいては、メディアやSNSを媒体とした情報発信やブランディング活動を推進していくことが想定され、当社グループの情報発信等における不適切な表現が、SNS等を通じて拡散された場合、あるいは当社グループの誤った情報が拡散された場合、当社グループのブランド価値や企業の信用を低下させる可能性があります。これらの影響を最小化すべく、ホームページやSNSの運用体制・ガイドラインを整備するとともに、チェック体制を整備しております。

④ 当社グループが、今後持続的成長を成していくためには、必要となる専門性を有する、あるいはグローバル視点で実行力・構想力を有する人財の計画的確保と育成が必要でありますが、人財の確保や定着が達成されず事業活動に支障が出る場合には、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小化すべく、人事制度改訂やエンゲージメントを高める活動の推進、多様な人財が活躍するための土壌醸成を進めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当期における世界経済は感染症による影響が緩和され回復基調にありましたが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰に加えて世界的なインフレの影響で多くの国で金融引き締めが進展しており、その回復ペースが鈍化しております。そのような状況下、中国においては感染症拡大を受けて一時期多くの地域で活動規制が厳格化され、景気は低迷しております。米国、欧州においては利上げが景気を下押しするものの緩やかな持ち直しが継続しております。その他の地域においては、景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、資源高や為替の急激な変動、海外経済の減速などの影響を受けつつも、感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直しております。

 当社グループの当連結会計年度における売上高は5,090億70百万円(前期比21.4%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰の影響が継続し、売上増に伴い販売費用が増加する中で、販売価格への価格転嫁などの利益改善に取り組んだ結果、320億77百万円(前期比6.6%増)となりました。経常利益は持分法投資利益が増加した影響などにより402億16百万円(前期比6.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益を計上する一方で、前期に当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、251億95百万円(前期比5.0%減)となりました。

 

 各セグメントの状況は次のとおりであります。

1)日本

 自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。工業分野、建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況が低調に推移した一方で、販売価格の改善に取り組んだことなどから売上は前年を上回りました。船舶分野では、市況は回復し売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰の影響を受けた一方で、商品ミックスの改善やトータルコストの削減により前年を上回りました。

 これらの結果、売上高は1,525億8百万円(前期比10.0%増)、経常利益は168億77百万円(前期比17.3%増)となりました。

 

2)インド

 建築分野では需要は前年を僅かに下回りましたが、自動車分野の力強い回復により、売上は前年を上回りました。原材料価格高騰の影響は大きいものの、販売価格の改善に継続して取り組んだことから利益も前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,275億44百万円(前期比31.3%増)、経常利益は107億99百万円(前期比49.1%増)となりました。

 

3)欧州

 トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられ売上は前年を上回り、欧州全体の売上は前年を上回りました。一方で、利益は原材料価格やエネルギーコストの高騰及びトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,120億70百万円(前期比32.9%増)、経常利益は15億64百万円(前期比72.1%減)となりました。

 

4)アジア

 中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの、主要顧客の需要が伸び悩み、自動車分野での売上は前年を下回りました。工業分野では産業機械向け塗料において主要顧客の需要が減少し、売上は前年を下回りました。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回りました。インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回りました。利益は原材料価格高騰による影響を受けたものの、販売価格改善による効果が徐々に発現したことにより前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は680億70百万円(前期比18.1%増)、経常利益は74億97百万円(前期比3.3%増)となりました。

 

5)アフリカ

 南アフリカ及び近隣諸国の経済は回復が遅れており需要が低迷する中、販売価格改善の取り組みにより南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域においても、建築分野における拡販や販売価格改善の取り組みにより売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。利益は売上の増加に加え、過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減や、一過性の感染症関連保険金の受領などにより前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は418億31百万円(前期比15.8%増)、経常利益は20億99百万円(前期比55.0%増)となりました。

 

6)その他

 北米では、自動車生産台数は前年を上回り、売上は前年を上回りました。一方で、利益は持分法投資利益が増加したものの、原材料価格の高騰による影響や前期に一過性の収益を計上したことなどにより前年を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は70億45百万円(前期比31.6%増)、経常利益は13億77百万円(前期比21.6%減)となりました。

 

(財政状態の状況)

1)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産合計は、3,196億17百万円(前期末比429億67百万円増)となりました。

 流動資産の増加は、主に現金及び預金、商品及び製品、原材料及び貯蔵品などが増加したことによるものであります。

2)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産合計は、3,498億46百万円(前期末比264億39百万円増)となりました。

 固定資産の増加は、主に有形固定資産及びのれんなどが増加したことによるものであります。

3)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債合計は、2,653億32百万円(前期末比922億48百万円増)となりました。

 流動負債の増加は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが減少したものの、短期借入金及び短期社債などが増加したことによるものであります。

4)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債合計は、511億12百万円(前期末比7億47百万円減)となりました。

5)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、3,530億20百万円(前期末比220億94百万円減)となりました。

 純資産の減少は、主に自己株式取得による減少等によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ235億54百万円増加し832億63百万円となりました。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比347億6百万円収入が増加し、502億31百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益434億69百万円及び減価償却費157億71百万円などの収入、棚卸資産の増加額40億61百万円及び法人税等の支払額74億57百万円の支出などによるものであります。

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比85億56百万円支出が増加し、106億43百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額93億47百万円などの支出によるものであります。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比458億3百万円支出が減少し、182億96百万円の支出となりました。これは主に、社債の償還による支出額1,249億99百万円、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出額600億円、自己株式の取得による支出額534億43百万円、配当金の支払額73億82百万円などの支出、社債の発行による収入額1,699億99百万円及び短期借入金の純増加額651億66百万円などの収入によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

93,818

14.8

インド

90,886

26.9

欧州

89,554

50.1

アジア

56,682

21.6

アフリカ

27,495

17.2

 報告セグメント計

358,437

26.6

その他

4,915

60.6

合計

363,353

27.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、製造原価によっております。

 

2)受注実績

当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

152,508

10.0

インド

127,544

31.3

欧州

112,070

32.9

アジア

68,070

18.1

アフリカ

41,831

15.8

 報告セグメント計

502,024

21.3

その他

7,045

31.6

合計

509,070

21.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

指標

当連結会計年度(実績)

2023年度見込

連結売上高(百万円)

509,070

550,000

営業利益(百万円)

32,077

42,000

経常利益(百万円)

40,216

45,000

連結EBITDA(百万円)

57,776

67,000

連結EBITDAマージン(%)

11.3%

12.2%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

25,195

55,000

調整後ROE(%)

9.6%

18.5%

(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益

2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)

 

 

 当連結会計年度の連結売上高は5,090億円(前期比21.4%増)、営業利益は320億円(前期比6.6%増)となりました。また、価格転嫁と原価低減を積極的に進めた結果、売上高、利益額は増加したものの原材料費、エネルギー費、物流費、世界的インフレによる人件費の高騰などの影響により、連結EBITDAマージンは11.3%(前期比1.5ポイント減)、調整後ROEは9.6%(前期比0.4ポイント減)となりました。2023年度は第17次中期経営計画の2年目であり、第16次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高5,500億円、営業利益420億円、経常利益450億円、親会社株主に帰属する当期利益550億円と各段階利益全てにおいて過去最高値の更新を計画しております。

 

 当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、2022年4月より始動しました。

 本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている持続的成長サイクルへ転換するための重要フェーズと位置付けており、2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」、すなわち「脱炭素の実現」「QOLの向上」「資源と経済循環両立の高度化」「多様な人財が活躍するグループへ」の達成に向け、ESG経営を根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。

 本計画を進めるにあたり、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。(下図ご参照)

 

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 2022年度はこれら重点方針のもと、アフリカ事業の売却決定をはじめとする将来に向けた適切な事業ポートフォリオの組み換え施策を具体的に推進するとともに、資金調達の多様化、政策保有株式等の売却等を進めることにより、キャッシュアロケーションの計画を着実に実行しております。

 海外事業につきましては、収益性と成長性が高く、第17次中期経営計画の成長ドライバーと位置付けております。そのうち、欧州セグメントはHeliosグループを主軸として、粉体塗料や鉄道車両用をはじめとする成長性の高い工業分野の強化を推進しており、ボルトオンM&Aを実行しました。インドセグメントは、自動車分野の圧倒的シェアの維持、収益性向上に努めながら、成長性の高い粉体塗料ビジネスや建築分野への投資を強化し、自動車/工業・建築の両輪による持続的な成長を目指してまいります。なお、アフリカセグメントは事業売却を完了するまで当社の中核事業としてマネジメントを進めてまいります。

 日本セグメントにおきましては、各分野とも販売価格や商品ミックスの改善による収益性向上に注力しました。また水性・粉体塗料等の環境対応塗料を強化しつつ、粉体塗料については新会社を設立し、事業の再編・拡大により競争力を強化してまいります。

 また当社グループ全体では長期的な取り組みとして、サプライチェーンの刷新プロジェクトを推進し、徹底的に収益性を高める構造改革を断行してまいります。

 経営基盤の強化につきましては、「最も重要な基盤は人財である」という信念のもと、2021年度に移行した部門制の定着を一層推進するとともに、真のグローバル化に向けた人事制度の刷新、エンゲージメントの向上など会社機能の強化及び人財への重点的投資を進め、役員報酬制度の改定も併せ、「利益と公正」を徹底する仕組みを引き続き強化してまいります。またこれらの投資の効果を最大化し、定着させていくためにITに継続的に投資をしてまいります。

 以上のような考え方のもと、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13%と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した当時の現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じて企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

 2022年度通期決算の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2023/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/news/)をご参照ください。

 

 

地域別セグメントの業績は次のとおりであります。

セグメント

の名称

売上高

調整後営業利益

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2023年度

見込

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2023年度

見込

(百万円)

日本

138,620

152,508

10.0

165,000

11,600

13,285

14.5

16,000

インド

97,133

127,544

31.3

133,000

7,444

10,987

47.6

12,000

欧州

84,320

112,070

32.9

135,000

5,679

1,991

△64.9

3,500

アジア

57,631

68,070

18.1

70,000

6,826

7,344

7.6

9,000

アフリカ

36,131

41,831

15.8

40,000

2,394

2,724

13.8

3,000

その他

5,352

7,045

31.6

7,000

1,519

1,374

△9.6

2,000

合計

419,190

509,070

21.4

550,000

35,507

37,840

6.6

45,500

  (注)調整後営業利益=営業利益+持分法投資損益

 

事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります

セグメント

の名称

自動車塗料

工業塗料

建築塗料

自動車(補修用)船舶・

防食塗料

その他

合計

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

日本

58,450

12.4

34,472

7.6

23,549

1.0

32,496

15.5

3,539

13.7

152,508

10.0

インド

36,651

53.6

18,406

32.3

69,333

22.9

2,460

58.5

691

△49.5

127,544

31.3

欧州

8,220

53.4

55,811

36.6

6,891

21.1

13,237

35.5

27,910

23.3

112,070

32.9

アジア

38,604

20.9

13,128

11.0

9,929

17.7

3,334

34.3

3,074

4.6

68,070

18.1

アフリカ

461

△15.5

4,426

23.8

31,587

21.8

2,566

20.6

2,788

△29.5

41,831

15.8

その他

7,045

31.6

7,045

31.6

合計

149,434

25.5

126,244

23.5

141,291

17.9

54,096

22.7

38,003

11.8

509,070

21.4

 

上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。

1)売上高及び営業利益

 当期の売上高は前期比21.4%増、898億80百万円増収の5,090億70百万円となり、営業利益は前期比6.6%増、19億80百万円増の320億77百万円となりました。売上高、営業利益ともに前年11月時点で見直した公表値を上回る結果となりました。増収増益の主たる要因は価格転嫁に加えてトータルコストの削減によるもので、原材料費高騰の影響を受けたものの、増益となっております。

 各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)

国名

自動車生産台数(万台)

前連結会計年度

当連結会計年度

日本

755

810

インド

445

561

中国

2,608

2,702

タイ

169

188

インドネシア

112

147

マレーシア

48

70

トルコ

103

107

日本の2023年度の自動車生産台数は900万台と想定

出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定

 (単位:円/kl)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

2023年度

上期

下期

上期

下期

通期

国内ナフサ価格

50,600

62,600

83,700

69,500

66,000

上記数値は当社推定値であります。

 

2)営業外損益及び経常利益

 当期の営業外損益は前期比6億24百万円増加の81億39百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び支払利息の減少によるものであります。

 これらの結果、当期の経常利益は前期比6.9%増、26億4百万円増益の402億16百万円となりました。

 

3)特別損益及び税金等調整前当期純利益

 当期の特別損益は前期比29億71百万円減少の32億53百万円のプラスとなりました。主な減少要因は固定資産売却益の減少等によるものであります。

 これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比0.8%減、3億66百万円減益の434億69百万円となりました。

 

4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

 当期の法人税等は、前期比23億64百万円増加の139億55百万円となりました。主な増加要因は税金費用の増加によるものであります。

 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5.0%減、13億30百万円減益の251億95百万円となりました。

 

財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。

 当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。

 当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。

 また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。

・安全を確保しながら事業を継続

・在宅勤務とスプリット制の推進

・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築

・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築

・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。

 当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。

 また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。

 さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(有形固定資産及び無形固定資産)

 固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

 

(投資有価証券)

 その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 技術援助契約

契約

会社名

相手先

国別

契約の内容

契約期間

対価




Kansai Nerolac

Paints Ltd.

インド

各種塗料の製造技術及び製造販売権並びに商標の使用許諾

2021年4月1日から2026年3月31日まで

売上高に対して一定率

Thai Kansai Paint

Co.,Ltd.

タイ

各種塗料の製造技術及び商標の使用許諾

1995年7月1日から会社存続期間中

売上高に対して一定率

PPG Kansai

Automotive Finishes

Technologies,LP

米国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2005年1月4日から相手先との合意により解約するまで

売上高に対して一定率

湖南湘江関西塗料

有限公司

中国

自動車用塗料の製造技術及び製造販売権

2013年6月1日から会社存続期間中

売上高に対して一定率

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、R&D部門、技術開発部門を中核とする開発センターを中心に、国内外グループ各社の技術部門と連携をとりながら、市場ニーズに適応した製品のタイムリーな開発及び、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでおります。また、グローバル展開を加速していくなかで、事業部門含めたグループ各社との連携をより一層強化し、各国市場に適合した新技術の開発及び世界に通用する人材育成に取り組んでおります。

 当連結会計年度に支出した当社グループ全体の研究開発費の総額は7,621百万円であり、当社グループ全体の研究開発活動に関わる技術員数は総計909人であります。

 主な研究開発活動状況は次のとおりであります。

 当社の基礎研究は、塗料に有用な基盤技術の蓄積を目的としております。基盤技術としては、樹脂設計、分散技術、色彩設計であり、グローバルに対応可能な新しい材料の創製を目指しております。また、デジタルツールの利用を積極的に取り入れ、例えば機械学習を基にした調色システムを市場導入しております。更に既存塗料領域だけでなく、電池の電極膜のような成長市場の分野に対しても、配合設計や粒子分散など当社のコア技術を展開し成果をあげてきております。

 分析研究においては、塗料・塗膜および電極膜のような新規分野製品の組成・状態・現象などを分析・解析できる技術を確立し、当社の研究開発に貢献しております。また、蓄積された莫大な耐久性に関する分析データを活用して高耐久性塗料の製品開発や販売促進に有用な情報を提供するなど、当社グループ全体の事業を支援しております。

 色彩・意匠研究では、特に自動車塗料分野において、海外JVデザイナーとグローバル視点での流行色動向を調査・分析し、その結果を反映させたグローバルトレンドカラーを開発・提案しております。また、ITを用いたカラーデザインツールの適用開発によって、顧客や社内とのコミュニケーションや開発業務を効率化し、塗色獲得率の最大化を推進しております。

 高まる環境意識に対し、近年、基礎研究領域ではエコフレンドリーテーマを増大させております。開発・製造効率を向上させるデバイスやデジタルツールを自ら作成したり、材料開発の段階から負荷の少ない製造工程を模索したりすることで、製品を生み出すための消費エネルギーを低減させております。またバイオマスポリマーなどの非石油系材料の探索も始めております。

 塗料・塗装システム開発においては、社会への持続的な貢献を目指し、地球環境に配慮した塗料や塗装を実現する技術の開発や、嗜好の多様性にマッチした新しい意匠、メンテナンス低減を可能にする塗料の開発を推進しております。自動車塗料分野では、省工程・省エネルギーの環境対応技術として評価の高い水性3ウェット塗装システムの拡大・多様化の研究開発を一層推進するとともに、低VOC塗料・低温硬化・光硬化・脱スプレー化・薄膜システム等、さらなる環境負荷低減材料設計を行っております。工業塗料分野においても、環境対応・省工程・水性化・ハイソリッド化に関する技術開発を行っております。建築塗料及び防食塗料分野においては、塗料の水性化推進するとともに、遮熱・抗菌・抗ウィルス・防蚊・多彩模様化・耐火などの高機能化に関する研究と商品化に努めました。また、自動車補修分野では、業界初のオール有機則フリーシステムへの高作業性と短時間硬化性付与、及びコンピューター調色システムの調色精度向上等、市場をリードする開発に取り組んでおります。これらの塗料開発に必要な評価技術や評価装置の開発もあわせて行い、塗料開発の効率化、開発品の完成度向上を図っております。

 得られた技術は当社グループ各社との共有化を図り、品質管理や環境・安全面に関する指導、お客様に対するコンサルティングなどのサービスに努め、信頼性の高いグローバル体制の確立をすすめております。また、コンプライアンスの視点から製品品質のみならず化学物質管理における当社グループ全体のガバナンス強化を進めており、お客様により安心・安全にご利用いただける製品の提供をおこなうと共に、情報公開を更に推進してまいります。

 なお、セグメントごとの研究開発費は、「日本」4,382百万円、「インド」668百万円、「欧州」2,276百万円、「アジア」20百万円、「アフリカ」17百万円、「その他」257百万円であります。