文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、常に顧客の立場に立った革新的な製品とサービスを供給し、社業の発展を通じて社会に貢献するとともに、遵法精神を主軸に、会社の継続的存立とステークホルダーとの信頼性確保を図ることを基本理念に、次の経営基本方針を掲げて取り組んでおります。
① 最高の品質で、顧客の信頼と満足を確保する。
② 世界的な視野に立ち、常に技術革新を行い新製品の開発に努める。
③ 経営の科学化を図り、会社の継続的存立と利潤を確保し社会に貢献する。
④ 誠実を旨とし、和を重んじ公明正大を期す。
⑤ 環境に即応した社内標準化を推進し、組織的運営と活動を図る。
(2) 会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略(中期経営計画)
当社グループは、近年では各年度の利益水準が造船業の好不況や原材料価格動向といった外部環境に大きく左右される不安定な収益構造となっており、収益性の改善と安定化は喫緊の課題であると認識しております。また、当社グループが中長期的に事業を継続していくためには、着実な利益の確保に加え、各国の環境規制強化に対応した製品の転換や製造工程の抜本的な改善を進めて行く必要もあります。
こうした中、当社グループでは、2019年3月期から3ヵ年の中期経営計画「CMP New Century Plan 1」(以下「本中計」)を2018年5月に策定いたしました。本中計は、「コンパクトで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」という長期ビジョンのもと、「コスト改革」、「マーケティング」、「生産体制見直し」、「自己資本コントロール」を重点テーマと位置付け、これらに沿った施策を実行することで、企業体質の強化と自己資本利益率(ROE)の改善を図るものです。
<本中計の骨子>
■ 長期ビジョン:コンパクトで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業
■ 重点テーマ
■ 株主還元方針
本中計の2年目であった2020年3月期における主な取り組み状況は以下のとおりです。
(コスト改革)
製品の統廃合を推進し前年比で約13%の品目を削減したほか、一部の原材料について調達先の集約やグローバル調達を実施いたしました。
(マーケティング)
マーケティングプロジェクトチームにて高付加価値製品の拡販を推進したほか、船体性能計測に関する新サービスの開発に取り組みました。
(生産体制見直し)
生産工場再編プロジェクトチームにて具体的なプランニングを推進いたしましたが、事業環境の変化等を踏まえ、滋賀工場及び中国拠点における再編計画を変更(一旦凍結)いたしました。
(自己資本コントロール)
株主還元方針に基づいて、約23.4億円の自己株式を取得いたしました。配当は1株当たり年間34円を実施し、連結自己資本配当率(DOE)は3.4%となりました。
最終年度となる2021年3月期も本中計の諸施策を着実に実行し、引き続き収益性の改善と中長期的な企業価値向上を目指してまいりますが、新型コロナウイルスの感染拡大により先行き不透明な事業環境となっており、2021年度以降も含めて当社グループの業績や財政状態への影響を正確に予測するのは難しい状況です。このような環境下では、将来の経営リスクに備えて十分な手元流動性の確保や財務基盤の安定化を優先させることが当社グループの持続的な企業価値向上に資するものと判断し、株主還元のうち自己株式取得については、当分の間見合わせることといたしました。
当社グループでは、事業等に関するリスクについて、四半期に1回開催されるリスク管理委員会において、リスクの洗い出しやその評価、対策を立案し、推進状況についてもモニタリングを行う体制としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在における当社判断に基づいております。
(1) 市況変動に関するリスク
当社グループは、船舶を中心としてコンテナ、その他工業用塗料などの分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。売上高の8割以上は比較的市況の影響を受けやすい船舶用塗料とコンテナ用塗料分野が占めており、特にコンテナ用塗料分野においては、市況の影響を大きく受ける傾向にあります。こうした環境下においても、船舶、コンテナの両分野について、市況を見極め採算性を重視することで、その影響が最小限に止まるよう対策を講じております。また、これらの分野への依存を軽減すべく、海外を中心に比較的収益が安定している工業用塗料分野やその他分野の拡販にも努めておりますが、世界経済の停滞、ひいては新造船建造量またはコンテナ生産量の減少や公共・民間建設投資の低迷などが、塗料販売量の減少を引き起こし、売上高・利益の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料調達に関するリスク
当社グループにおける原材料の調達は、世界のネットワークを活用し安定的な数量での仕入れに努めておりますが、当社が使用する原材料需要の高まりや、サプライヤーの予期せぬトラブル等により、調達に支障を来す可能性があります。また、価格面においても原材料価格が上昇する局面では、不断の原価低減への取り組みや販売価格への転嫁等の施策により、その影響を最小限に止めるよう対策を講じておりますが、塗料製造における主要原材料の一つとなる樹脂や溶剤の仕入れ値は、ナフサ価格の影響を大きく受け、銅や亜鉛等の非鉄金属価格についても国際市況に影響され大きく変動します。これらの主要原材料価格が想定以上に高騰した場合には、調達コストの上昇により利益率が低下し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 海外事業活動に関するリスク
当社グループの売上高における海外の売上割合は、国内の売上割合を上回っております。
今後も海外での売上・生産の規模は増大するものと思われ、それと同時に海外事業活動におけるリスクの高まりを伴うため、営業、技術、生産、管理の各側面から考え得るリスクを洗い出し、事象発生時への対策を立案しております。しかしながら、海外における現地経済・市場動向の悪化やテロ・紛争の発生等に係るリスクを見通すことは困難であり、また事業を展開している国や地域の政治体制、法環境または税制の変化などの予期せぬ事象が生じた場合には、当該地域における塗料販売に支障を来し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競争に関するリスク
当社グループは、国内外での各種塗料販売において、競合他社との間で価格や性能面等の様々な要素での競争関係に晒されております。より一層のコスト削減や技術力向上による製品差別化等に努めておりますが、価格競争の激化により市場における販売価格が著しく低下し、このような取り組みを踏まえても価格競争を克服できない場合には、採算性の悪化を招く恐れがあります。また、性能面においても、当社に先駆けた画期的な他社製品の出現により、当社の競争力が低下する場合には、売上高・利益の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 債権管理に関するリスク
当社グループは、世界各国の様々な顧客に製品を供給しております。こうした取引において、常に顧客情報の収集に努める等、与信管理を徹底しており、債権管理については、回収可能性を慎重に検討した上で一定の繰入額に到達した場合、四半期毎にその状況を経営会議へ報告する体制を取るとともに、顧客の財務状況などに注意し債権回収に努めております。しかしながら、何らかの事情により予想できない多大な貸倒が発生した場合には利益が減少し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 金利変動に関するリスク
当社グループは、各種設備投資や運転資金等、必要な資金の一部について借入を行っておりますが、これらは主に短期借入であります。
長短借入のバランスについては絶えず金利動向を勘案しながら決定しておりますが、急激な金利変動により支払利息が増加する場合には利益が減少し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替変動に関するリスク
当社グループの海外売上比率は増加するものと予想されますが、海外売上の大半は現地生産・現地販売によるものであるため、為替による損益への影響はグループ各社ベースでは限定的と思われます。しかしながら、連結財務諸表の作成に当たっては、海外グループ各社の財務諸表等を各国通貨から円貨に換算しており、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 災害・事故・感染症等に関するリスク
当社グループは、自然災害や不慮の事故、または新型コロナウイルス等の感染症の流行により、主要工場が生産不能に陥った場合を想定し、グループ会社間での供給補完等様々なシミュレーションを行い万一に備えております。しかしながら、当社グループは化学品を製造販売する企業であるため、火災をはじめとする不慮の事故が発生する可能性があり、また災害による工場設備の被害状況等により操業停止が相当期間に及ぶ場合や、感染症の大規模な流行等により操業停止が複数拠点に及ぶ場合には、塗料供給に支障を来し、販売量が減少することから、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 安全・環境規制に関するリスク
当社グループは、製造、輸送、使用の過程における製品安全性の向上と環境負荷の低減を重要課題と認識し、さまざまな取り組みを進めておりますが、安全・環境に関する社会的要求は厳しさを増し、規制も次第に強化されています。
今後、日本をはじめ進出先国における安全・環境規制の強化に伴い、工場の操業制限もしくは停止の処分がされ、または環境投資の大幅な増加や租税、賦課金その他公課の負担が増すこと等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法令違反に関するリスク
当社グループは、業務の適法性を確保すべく、法令遵守を経営理念に掲げるとともに、コンプライアンスマニュアルを策定しており、国内外でコンプライアンス研修を実施するなど、グループ各社従業員に対して定期的に社内教育を実施し、コンプライアンス体制の構築及び維持に努めております。しかしながら、このような対策を講じても法令違反に関するリスクを完全に排除できない可能性があり、当該事象が発生した場合には、各規制当局からの処分、取引先等からの損害賠償請求、社会的信用の低下等により、損失の発生や塗料販売の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、他社製品との差別化を図った多様な知的財産権を保有しており、その独自の技術や製品の保護は専門部署により厳正に管理されております。また他社が有する知的財産権についても、権利侵害とならないよう十分な調査を実施しておりますが、第三者が当社グループの知的財産を使用し類似品を販売することや、知的財産に係る紛争が発生し、当社に不利な判断がなされる場合には、販売量の減少や費用の増加等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 品質に関するリスク
当社グループは、国内外の主要工場で品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証取得をしており、高度な品質マネジメントシステムの構築と継続的改善に努めておりますが、製品の不具合や塗装方法または塗装環境等の外的要因により本来の製品性能を発揮できない場合には、多大な補償負担や信用の低下に繋がる恐れがあり、収益の悪化等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 減損処理や繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形固定資産や繰延税金資産を計上しております。これらの資産については、業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待される将来キャッシュ・フローを生み出すことが出来ない場合には、減損処理や繰延税金資産の取崩しにより財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 投資有価証券の評価損に関するリスク
当社グループは、当連結会計年度末時点において、取引先や金融機関等の市場性のある株式を約32億円(帳簿価額)保有しております。当該株式保有の合理性については、毎年1回以上、取締役会において保有に伴う便宜やリスクが資本コストに見合っているかを検証しており、保有意義が希薄であると判断される場合は、原則として縮減対象とし、時価の趨勢と取得原価、市場への影響等を勘案しつつ、売却を検討しております。しかしながら、株式相場の大幅な下落が生じた場合、評価損を計上する恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 退職給付に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、死亡率等の数理計算上の仮定に基づいて算定しております。これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定が変更された場合、退職給付費用や退職給付制度への必要拠出額に影響を与えることにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 訴訟の提起に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業展開をしており、国内に止まらず海外を含め様々な訴訟を受ける可能性があります。当社事業に係る各種法令の遵守に加え、製品品質の維持や相手方との事前協議等を実施することで訴訟の未然防止に努めておりますが、実際に訴訟が提起された場合には、結果によっては社会的信用の低下を招く恐れや損害賠償が命じられる恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 事業買収・業務提携・合弁事業に関するリスク
当社グループは、事業拡大や収益力の向上を目的とし、事業買収、業務提携、合弁事業等を行う可能性があります。事前に経済的価値等の観点から入念な調査を実施したうえで決定しますが、当社グループ及び出資先企業を取り巻く環境の変化により、様々な不確実性を伴うため、当初の期待していたシナジー効果やキャッシュ・フローを生み出すことが出来ない場合には、当該目的のため計上された固定資産やのれんの減損処理等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱等により先行き不透明感が強まる展開となりました。さらに年度末にかけては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の下振れリスクが高まり、世界的に急激な景気減速が懸念される状況となりました。
当社グループを巡る環境といたしましては、主力の船舶用塗料分野においては、新造船竣工量の増加や堅調な海上荷動きに加え、2020年1月に開始された船舶燃料のSOx(硫黄酸化物)規制強化への対応に伴う船舶の修繕入渠増加等を背景に世界的に塗料需要の回復傾向がみられました。また、工業用塗料分野では、東南アジア市場においてインフラ整備に伴うビジネスチャンスの拡大が続いております。一方、コンテナ用塗料分野では、コンテナボックスの主産地である中国市場において、前年度までの大量供給の反動もあり需要が大きく減退するとともに激しい価格競争が続くなど事業環境は厳しさを増しております。
このような状況のもと、船舶用塗料分野については、積極的な営業活動を推進し戦略的製品の拡販に努めたこと等が奏功し、2期連続で業容を拡大させることができました。工業用塗料分野については、成長市場である東南アジアにおいて各種インフラ需要の取り込みに注力し重防食塗料の販売が伸長いたしましたが、国内の建材用塗料が低調に推移したことで、全体の売上高は前年度比でほぼ横ばいにとどまりました。コンテナ用塗料分野については、厳しい事業環境のもと低採算案件の受注を抑制したこともあり、大幅な減収となりました。損益面では、販売価格の適正化に努めたほか、原油価格の下落を背景に原材料価格が前年度に比べ軟化基調となったことや購買手法の見直しによる原材料調達コストの低減が寄与し、収益性が大幅に改善いたしました。なお、当期においては、新型コロナウイルスの感染拡大による業績影響は軽微にとどまりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は87,729百万円(前期比0.8%減)、営業利益は3,441百万円(前連結会計年度は643百万円の営業損失)、経常利益は4,007百万円(前連結会計年度は224百万円の経常損失)となりました。一方、業績低迷が続いている中国のコンテナ用塗料製造関連設備について減損処理を実施したほか、株式市況の大幅な下落を受けて保有する一部の投資有価証券について評価損を計上するなど、合計2,818百万円の特別損失を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失は124百万円(前連結会計年度は760百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
日本
主力の船舶用塗料分野において、修繕船向けの販売が伸長した一方、工業用塗料の販売が建材分野を中心に低調に推移し、売上高は35,389百万円(前期比2.2%増)となりました。原材料価格が軟化基調の中、原材料調達手法の見直しや経費削減、販売価格の適正化等に努めたことにより、セグメント利益は1,673百万円(同834.0%増)となりました。
中国
船舶用塗料において新造船向けの販売が大幅に拡大したものの、コンテナ用塗料の販売が価格競争の激化に伴う受注抑制や需要減により大きく落ち込んだことから、売上高は18,419百万円(同21.1%減)となりました。損益面では、コンテナ用塗料において売上縮小と価格競争激化により大幅に採算が悪化した一方、船舶用塗料分野の採算性改善や各種コスト削減効果もあり、セグメント損失は1,134百万円(前連結会計年度はセグメント損失1,377百万円)となりました。
韓国
船舶用塗料において、新造船の竣工量拡大に伴って塗料販売が好調に推移したことから、売上高は7,317百万円(同24.1%増)となりました。不採算案件の減少や原材料調達コストの低下等により採算性も大幅に改善し、セグメント利益は111百万円(前連結会計年度はセグメント損失1,282百万円)となりました。
東南アジア
船舶用塗料においては修繕船向けが、工業用塗料においては重防食分野の販売がそれぞれ伸長したことから、売上高は12,665百万円(同10.1%増)となりました。原価率の低下等により、セグメント利益は1,721百万円(同49.8%増)となりました。
欧州・米国
修繕船向け船舶用塗料の販売拡大が寄与し、売上高は13,937百万円(同6.6%増)となりました。一方で、他地域で納入する船舶用塗料の受注拡大により営業コストが増加したことから、セグメント損失は883百万円(前連結会計年度はセグメント損失680百万円)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ7,780百万円減少し、106,074百万円となりました。また自己資本は前連結会計年度末に比べ5,250百万円減少し57,465百万円となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べ46.11円減少し987.09円となりました。
流動資産
流動資産は前連結会計年度末に比べ4,279百万円減少の75,281百万円となりました。主な減少要因は、現金及び預金の減少(2,539百万円)や受取手形及び売掛金の減少(1,309百万円)であります。
固定資産
固定資産は前連結会計年度末に比べ3,501百万円減少の30,792百万円となりました。主な減少要因は、投資その他の資産の減少(1,891百万円)や無形固定資産の減少(827百万円)であります。
流動負債
流動負債は前連結会計年度末に比べ3,817百万円減少の35,280百万円となりました。主な減少要因は、支払手形及び買掛金の減少(1,954百万円)や1年内返済予定の長期借入金の減少(1,002百万円)であります。
固定負債
固定負債は前連結会計年度末に比べ1,619百万円増加の8,571百万円となりました。主な増加要因は、長期借入金の増加(990百万円)やリース債務の増加(598百万円)であります。
純資産
純資産は前連結会計年度末に比べ5,582百万円減少の62,221百万円となりました。主な減少要因は、自己株式の増加(2,330百万円)や剰余金の配当などによる利益剰余金の減少(2,148百万円)であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ679百万円増加し、21,479百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、4,612百万円(前期比47.1%増)となりました。主な増加は、減価償却費2,159百万円、減損損失1,626百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって得られたキャッシュ・フローは、2,237百万円(前連結会計年度は186百万円の使用)となりました。主な増加は、定期預金の払戻による収入12,991百万円、主な減少は、定期預金の預入による支出9,924百万円、固定資産の取得による支出1,345百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは、5,950百万円(前連結会計年度は6,754百万円の使用)となりました。主な減少は、自己株式の取得による支出2,344百万円、非支配株主への支払いを含めた配当金の支払額2,230百万円です。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前期比増減率(%) |
|
日本(百万円) |
28,909 |
△2.8 |
|
中国(百万円) |
19,108 |
△19.8 |
|
韓国(百万円) |
5,900 |
3.1 |
|
東南アジア(百万円) |
9,124 |
7.7 |
|
欧州・米国(百万円) |
4,404 |
△8.0 |
|
合計(百万円) |
67,448 |
△7.0 |
(注) 1 金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
一部の特殊品を除いて販売予量に基づく見込み生産を行っております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前期比増減率(%) |
|
日本(百万円) |
35,389 |
2.2 |
|
中国(百万円) |
18,419 |
△21.1 |
|
韓国(百万円) |
7,317 |
24.1 |
|
東南アジア(百万円) |
12,665 |
10.1 |
|
欧州・米国(百万円) |
13,937 |
6.6 |
|
合計(百万円) |
87,729 |
△0.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績としては、売上高は87,729百万円(前期比0.8%減)、営業利益は3,441百万円(前連結会計年度は643百万円の営業損失)、経常利益は4,007百万円(前連結会計年度は224百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は124百万円(前連結会計年度は760百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
これらの要因は下記のとおりであります。
a.売上高
製品分野別・セグメント(地域)別の売上高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
船舶用塗料分野の売上高は、前連結会計年度比10.1%(6,442百万円)増の70,274百万円となり、全地域で2期連続の増収を実現いたしました。特に新造船向けの売上比率が高い中国、韓国では、新造船の竣工量増加等を背景に大幅に伸長いたしました。また、修繕船向けも、堅調な海上荷動きや2020年1月に開始された船舶燃料のSOx(硫黄酸化物)規制強化への対応に伴う船舶の修繕入渠増加等を背景に需要が拡大する中、戦略的製品の拡販といったマーケティング施策も奏功し、日本、東南アジア、欧米の各地域を中心に順調に売上を伸ばすことができました。
工業用塗料分野の売上高は、前連結会計年度比1.8%(221百万円)減の12,353百万円となりました。重防食用塗料では、成長市場である東南アジアにおいて各種インフラ需要の取り込みに注力したことで販売が伸長いたしました。一方、建材用塗料では、特に日本国内における木質床材及び外装材用の出荷減が影響し、低調に推移いたしました。
コンテナ用塗料分野の売上高は、前連結会計年度比59.3%(6,949百万円)減の4,772百万円となりました。コンテナボックスの主要生産地である中国市場において、前年度までの大量供給の反動もあり需要が大きく減退するとともに激しい価格競争が続く厳しい事業環境の中、低採算案件の受注を抑制したこともあり、大幅な減収となりました。
なお、当連結会計年度においては、ユーロと人民元を中心に為替が円高基調で推移したことから、連結財務諸表作成時の円貨換算で2,323百万円の減収要因となりました。
b.売上原価・売上総利益
売上原価については、主要原材料価格の指標となる国産ナフサ価格が前年度比で約13%下落するなど、原材料価格が軟化基調となったことや、調達先の集約やグローバル調達といった購買手法の見直しを実施したことで原材料調達コストがグループ全体で低減し、前連結会計年度比7.1%(4,839百万円)減の63,743百万円となりました。原価の低減に加え、船舶用塗料を中心とした販売価格適正化への取り組みも奏功し、売上総利益は前連結会計年度比20.7%(4,116百万円)増の23,986百万円、売上総利益率は同4.8ポイント上昇し27.3%となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費については、一部の費目で原価からの振り替えによる増加があったものの、全体的に適切なコストコントロールがなされ、前連結会計年度比0.2%(31百万円)増の20,544百万円となりました。
営業利益については、売上総利益の拡大が寄与し、前連結会計年度比4,084百万円増の3,441百万円(前連結会計年度は643百万円の営業損失)と大幅に改善、営業利益率は3.9%となりました。地域別では、特に新造船向けの採算性改善が進んだ日本国内と韓国における増益幅が大きくなりました。
d.営業外損益・特別損益
営業外収益では為替差益が増加し、営業外費用では前連結会計年度に一時的に計上していた支払手数料が減少したことなどから、566百万円の益(前連結会計年度比35.3%増)となりました。
特別損失については、中国子会社において業績低迷が続いているコンテナ用塗料製造関連設備について減損損失1,626百万円を計上いたしました。また、株式市況の大幅な下落を受けて、当社が保有する投資有価証券の一部銘柄において決算期末日の時価が取得価額に比べて著しく下落したため、投資有価証券評価損1,167百万円を計上いたしました。これらの結果、特別損益は2,722百万円の損(前連結会計年度560百万円の益)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「CMP New Century Plan 1」における業績目標及び2021年3月期の業績予想は以下のとおりです。
(金額単位:百万円)
※1 2019年5月9日発表
※2 2020年5月11日発表
(2021年3月期の期初業績予想に関する補足説明)
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている中、消費の減退や生産活動の縮小による世界の経済活動への影響は甚大で、米中貿易摩擦による影響も含めて先行きは当面不透明な状況が続くものと思われます。当社の主力製品である船舶用塗料に関しては、新造船向けは2021年3月期の売上計上予定案件の大半が2019年以前の受注であるため影響は軽微にとどまる見通しですが、修繕船向けは経済活動の低迷を受けた海上荷動きの鈍化や修繕スケジュールの延期等により一定程度の需要の減退が見込まれます。工業用塗料についても顧客業種において生産量の減少やプロジェクトの遅延・中断等が発生することが想定され、影響は避けられない見通しです。コンテナ用塗料については、2020年3月期より需要減と価格競争激化に見舞われていましたが、物流の停滞等により需要が一段と低迷する見込みです。一方で、景気の急激な減速等を受けて足元の原油価格が歴史的低水準で推移していることから主要原材料価格も当面は大幅に下落する見通しであり、この状況が持続すれば調達コストの低下により利益率が向上することが見込まれます。
以上の状況を踏まえ、2021年3月期の連結業績予想について算定いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の収束時期や原材料価格動向の不確実性を考慮し、開示についてはレンジ形式とさせていただきます。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度においては、営業活動・投資活動・財務活動の全てのキャッシュ・フローが前連結会計年度より増加し、現金及び現金同等物の増減額は前連結会計年度比5,159百万円増と大幅に改善いたしました。
各キャッシュ・フローの主な変動要因は以下のとおりです。
(単位:百万円)
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、塗料原材料等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性を確保すると共に資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、自己資金または金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の資金調達につきましては、自己資金または金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は20,818百万円となっております。
短期運転資金以外の資金の活用としては、生産設備の新設やリニューアル、競争力強化の為の製品開発といった成長投資を優先いたします。その上で、余剰資金については積極的な株主還元を行うことで自己資本を適切にコントロールし、自己資本利益率(ROE)の改善を図ってまいります。当連結会計年度においては、設備投資に1,345百万円、配当に2,040百万円、自己株式取得に2,344百万円、それぞれ資金を配分いたしました。
当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は21,479百万円(前連結会計年度末比679百万円増加)となりました。また、自己資本比率については、自己資本コントロールの推進もあり54.2%(前連結会計年度末比0.9ポイント低下)となりましたが、十分な財務安全性を保っております。今後とも資産効率及び資本効率の向上や営業キャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
イ. 固定資産の減損
概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産をグルーピングし、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
ロ. 繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性を検討し、当該繰延税金資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性は、当社及び連結子会社の課税所得の予想や、税法、税率等現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しておりますが、将来の業績の変動や関連法令の改正等により見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
ハ. 退職給付
主な退職給付制度の退職給付費用及び債務は、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、死亡率等の数理計算上の仮定に基づいて算定しております。最も重要な仮定は、割引率と長期期待運用収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、退職給付の支払期日までの間利用可能と予想される確定利付の国債の利回り等を考慮して決定しています。長期期待運用収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、運用基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定が変更された場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が高く、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載のとおりです。
技術供与関係
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契約会社名 |
契約締結先 |
技術の種類 |
契約年月日 |
契約期間 |
摘要 |
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中国塗料 株式会社 (当社)
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ニュージーランド OCEANMAX INTERNATIONAL LIMITED |
塗料の製造技術 |
1991.12.17 |
契約開始日から3年間(2019年3月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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オーストラリア SUPALUX PAINT Co. Pty. Ltd. |
塗料の製造技術 |
1994.11.2 |
契約開始日から3年間(2019年11月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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フィリピン DAVIES PAINTS PHILIPPINES, INC. |
塗料の製造技術 |
1995.8.8 |
契約発効日から5年間(2016年1月1日更新5年間、2025年12月31日まで延長) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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南アフリカ共和国 DEKRO PAINTS (PTY) Ltd. |
塗料の製造技術 |
1996.1.1 |
契約発効日から10年間(2011年10月1日更新10年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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ベトナム HAIPHONG PAINT JOINT STOCK COMPANY |
塗料の製造技術 |
1998.4.25 |
契約発効日から4年間(2020年4月1日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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ベトナム PETRO VIETNAM PAINT JOINT STOCK COMPANY |
塗料の製造技術 |
2008.4.10 |
契約発効日から5年間(2020年2月3日更新2023年12月24日まで、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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エジプト SUEZ CANAL PAINTS & CHEMICALS Co. |
塗料の製造技術 |
2009.7.1 |
契約発効日から10年間(2019年7月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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ブラジル RENNER HERRMANN S.A. |
塗料の製造技術 |
2013.1.31 |
契約発効日から5年間(2018年6月12日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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アルゼンチン SINTEPLAST S.A. |
塗料の製造技術 |
2012.11.1 |
契約発効日から3年間(2018年2月15日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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インド BERGER PAINTS INDIA |
塗料の製造技術 |
2019.10.1 |
契約開始日から3年間(以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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バングラデシュ BERGER PAINTS |
塗料の製造技術 |
2020.1.1 |
契約開始日から3年間(以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
当社グループは、市場ニーズに適合した製品開発を行い、高品質かつ収益性の高い製品をタイムリーに供給することを基軸として研究開発活動を行っております。
現在の研究開発は、SDGsで掲げられた課題解決を念頭に省エネルギー、温室効果ガス削減やVOC削減といった環境保全および省資源、更に工程合理化や顧客の利便性を追求した高機能化等のニーズに対応した製品の開発を推進し、得意分野である船舶用塗料、工業用塗料、コンテナ用塗料の各分野で競争力のある基幹製品群の更なる拡充を目指しております。
研究開発の体制は、日本の広島県大竹市と滋賀県野洲市にある研究開発部門が基幹技術の研究開発にあたり、中国の上海、韓国、シンガポール、オランダにある技術部門が補完する体制となっております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、研究開発については、塗料の分野別に研究開発を行っていることから、各分野別に記載しております。
船舶用塗料分野
(1) 世界のあらゆる海域や各船種、さまざまな運航状況においても高い防汚性能を発揮し、併せて環境対策、省エネ・省力化を考慮した低燃費技術を兼備する防汚塗料の研究開発を重点的に行っております。その研究成果を基に各種の新規加水分解型防汚塗料や塗膜表面自由エネルギーを制御したシリコーンタイプ、更に新規素材を導入した船底防汚塗料を研究開発しております。
(2) 新造船用塗料では環境対応型の防食塗料や、塗装工程の合理化、省力化に寄与する製品等、より使い易くまた海外ニーズにも応えた製品の開発・改良に努めております。
(3) 各種用途に応じてVOC排出規制に対応したハイソリッド、無溶剤および水系などの各種塗料の開発や、国際海事機構のバラストタンクおよびカーゴタンクの塗装標準化等に対応した長期耐久性と環境対応を兼備する高性能防食塗料の開発を行っております。
(4) 更にこれら船舶塗料分野の技術を海洋開発分野へ水平展開しております。
これらは主として広島県大竹市の研究開発部門が担当しております。
工業用塗料分野
(1) 住宅フロアー等の木質建材用塗料では顧客ニーズに沿った製品の開発と改良を実施するとともに、無機建材用塗料の開発にも注力することにより市場シェアを確保してまいりました。特に木質建材用塗料については、VOC規制・特化則に対応できる塗料および塗装系の開発に注力し、無溶剤や水系タイプの塗料開発に取り組んでおります。
更に木質建材用塗料の研究で培ったUV硬化技術を塩ビフロアーや内装建材へも水平展開を進めております。
(2) 一般の重防食分野においては環境に優しく機能性の高い塗料の開発というコンセプトを基本に市場ニーズである長期防食性、超耐候性、耐汚染性や遮熱性などの性能を備えた塗料や、水中硬化塗料、水系塗料等の開発・改良を行っております。
併せて、近年増加している海洋構造物に適した長期耐久性塗料の開発・改良に努めております。
(3) その他にも特殊な技術を要する電波吸収塗料、鉄道用および船舶機器据付け用充填材、スマートフォンディスプレーに使用されるフィルム等に機能を付与するプラスチック用各種機能性塗料、コンクリート用塗料などの開発・改良に努めております。
(4) 全般にVOCを抑制した塗料(粉体塗料、水系塗料を含む)と塗装システムの開発を進めており、既存顧客だけでなく新規市場への展開を図るべく研究開発を重ねております。
(5) 工業用塗料においても中国、韓国、東南アジアをはじめとし、世界をターゲットにした塗料製品の研究開発を行っております。
これらは主として滋賀県野洲市の研究開発部門が担当しております。
コンテナ用塗料分野
世界中で運用されるコンテナには常に防食性・耐候性の優れた製品が求められますが、新たな顧客ニーズに迅速に対応しながら、塗装仕様も考慮した製品開発と製品改良に力を注いでおります。
更には、環境対応を重視した低臭気型塗料や水系塗料等の研究開発を進めております。
これらコンテナ用塗料は主として広島県大竹市の研究開発部門と新造コンテナの90%以上が製造されている中国に拠点をおく上海の技術部門が担当しております。
塗料用樹脂原料分野
塗料の開発改良およびコスト削減に重要な要素である樹脂原料の研究開発に取り組んでおり、グループ内での樹脂製造や新規塗料製品の創出に寄与しております。
これら塗料用樹脂原料は主として広島県大竹市の研究開発部門が担当しております。