文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営理念
当社グループでは、「経営方針」を以前より掲げておりましたが、持続可能社会実現への貢献やマルチ・ステークホルダーを意識した経営を志向するという考え方を明確にするため、従来の「経営方針」の内容を一部見直し、新たに「経営理念」として再定義しております。
① 最高の品質で、顧客の信頼と満足を確保する
② 世界的視野に立ち、常に技術革新を行い新製品の開発に努める
③ 経営の科学化を図り、会社の継続的存立と利潤を確保する
④ 誠実を旨とし、和を重んじ公明正大を期す
⑤ 事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、全てのステークホルダーの幸福を追求する
(2) 会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略(中期経営計画等)
当社グループでは、サステナブル経営を推進し、地球環境や社会の諸課題の解決に貢献することにより創出される社会的価値と事業活動の結果生み出される利益等の経済的価値双方の極大化を実現すべく、従来の長期ビジョンの内容を改定するとともに、2022年3月期~2026年3月期(5年間)の新たな中期経営計画「CMP New Century Plan 2」(以下「本中計」)を策定し、2021年5月に公表いたしました。
長期ビジョンのキーメッセージは、「サステナブルで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」とし、船舶用塗料の販売シェア及びその中核となる船底防汚塗料の供給による船舶の温暖化ガス削減貢献という両面で世界トップとなることを主眼としております。
本中計は、長期ビジョンの実現に向けて経営の変革を進め、価値創造の基盤をつくることを主な目的としており、そのために、「環境・社会貢献による提供価値拡大」、「利益体質の改善と安定化」、「組織基盤の整備」、「積極的な株主還元と資本効率向上」という4つの基本方針(重点テーマ)を設定いたしました。
■基本方針(重点テーマ)
これらの基本方針に沿った戦略・施策を各部門で実行していくことで、本中計の目的達成と長期ビジョンの実現を目指してまいります。
■最終年度(2026年3月期)の連結業績目標 ※2023年10月31日付で改定(上方修正)
○ 売上高:1,200億円
○ 営業利益:110億円
○ 親会社株主に帰属する当期純利益:70億円
○ ROE:10%以上
本中計の3年目であった2024年3月期における主な取り組み状況は以下のとおりです。
① 環境・社会貢献による提供価値拡大
主には、温暖化ガス及び揮発性有機化合物(VOC)の削減につながる製品の拡販に努めました。その結果、高性能船底防汚塗料の供給による温暖化ガスの削減貢献量は131万トン(中計目標に対する比率:101%)、低VOC塗料の拡販によるVOCの排出削減量は2,239トン(同:44%)となりました。
② 利益体質の改善と安定化
新造船向けも含めて、製造コストに見合った販売価格の改定に取り組み、採算を大幅に改善いたしました。また、原材料調達における価格変動リスクの抑制に向けて、一部の原材料で金融ヘッジ手法の活用を開始いたしましたが、市場価格が目標水準まで下落することがなかったため、実行には至りませんでした。
③ 組織基盤の整備
2022年6月に設置したサステナビリティ委員会にて、温室効果ガスの排出削減をはじめとする様々なサステナビリティ関連課題に取り組みました。人財のパフォーマンス向上に関しては、本格的な人的資本経営にシフトすべく人財戦略の策定を推進したほか、管理部門を中心に積極的な人財採用による人員拡充を図りました。
④ 積極的な株主還元と資本効率向上
株主還元方針に基づき、1株当たり年間配当金は前期に比べ45円増配となる80円を予定しております。その結果、本中計で株主還元の基準としている連結自己資本総還元率(D&BOE)は6.2%となる見込みです。
2025年3月期以降も、長期ビジョン及び本中計のもとサステナブル経営を推進し、社会的価値の拡大も含めた中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティ全般>
(1)ガバナンス
当社グループの中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティへの取り組みを強化するため、2022年6月よりサステナビリティ委員会を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長とし、執行役員や各本部長を中心に構成されており、当社のサステナビリティに関する方針・目標・実行計画の策定、サステナビリティ課題に対する取り組み推進やモニタリング、マテリアリティ(重点課題)の特定を担っています。また、その内容を四半期に一回取締役会に報告しており、取締役会はサステナビリティ活動やKPIのモニタリングを行う仕組みとしています。
■サステナビリティに関するガバナンス体制図
(2)戦略
前記「
■経営理念
全5項目のうち1項目を「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、全てのステークホルダーの幸福を追求する」とし、株主を含めた全てのステークホルダーに配慮した経営を推進することを明確にしております。また、本項目をもとに、各ステークホルダーに対するスタンスを表明した「サステナビリティ基本方針」も制定しております。
■長期ビジョン
キーメッセージを「サステナブルで高収益なグローバル・ニッチ・トップ企業」とし、船舶用塗料の販売シェア及びその中核となる船底防汚塗料の供給による船舶の温暖化ガス削減貢献という両面で世界トップとなることを主眼としております。
■中期経営計画
長期ビジョン実現に向けた4つの基本方針(重点テーマ)の1つ目に「環境・社会貢献による提供価値拡大」を掲げております。船舶のCO2排出削減に寄与する船底防汚塗料の供給をはじめとする環境・社会貢献につながるビジネスを伸長させ、社会的価値の創出を推進、その結果として、経済的価値の源泉となる売上高の拡大を図ってまいります。また、人的資本に関しては、3つ目の基本方針「組織基盤の整備」において、事業活動を支える人財のパフォーマンス向上等を通じて、永続的な成長に資する価値創造の基盤を確立することを目指しております。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスクについては、各部門または各専門部会で抽出された後、サステナビリティ委員会にて識別・評価を行います。そこで、リスク影響度、発生可能性に基づき固有リスクスコアを算出することでその重要性を判断し、重要度の高いリスクについてはリスク管理委員会、中~低レベルのリスクに関してはサステナビリティ委員会にて対応方針の検討を行います。
リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会は、リスクの対応方針を検討した上で、年1回以上取締役会へ報告する体制としております。リスク対応策の実行プロセスとしては、担当本部、または専門部会が対応策を推進し、両委員会は常に対応状況をモニタリングしています。
このように、サステナビリティに関するリスクに関しては、リスク管理委員会及びサステナビリティ委員会の連携を通じ、全社的なリスクと同様のプロセスで管理され、統合的なリスク管理体制を構築しております。
(4)指標と目標
前記「(2)戦略」に基づき、マテリアリティ(重要課題)を以下の5分野に特定するとともに、関連する目標とKPIを設定し、適宜アップデートしております。
◆気候変動対応
◆環境保全(水資源・生物多様性を含む)
◆イノベーション・研究開発
◆人財開発・ 多様な人財の活躍
◆サプライチェーンマネジメント
■マテリアリティに関する主な目標・KPI(一部抜粋)
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カテゴリー |
課題・取り組み |
目標・KPI |
目標等の 対象範囲 |
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気候変動対応 |
①温室効果ガス排出削減 |
■温室効果ガス排出量の削減率(Scope1+2/2021年度基準) ・2024年度:15%減 ・2030年度:45%減 ・2050年度:カーボンニュートラル |
グループ 全体 |
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②エネルギーの適切な使用 |
■エネルギー原単位の削減(2021年度基準) ・2024年度:3.6%減 ・2025年度:4.8%減 |
当社及び 国内子会社 |
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③製品による顧客の温室効果ガス排出量削減貢献 |
■高性能船底防汚塗料の供給拡大による温室効果ガス削減貢献量(2008年基準) ・2025年度:130万t-CO2 ※集計対象:3,000DWT以上の外航船 |
グループ 全体 |
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人財開発・ 多様な人財の活躍 |
①従業員の能力開発 |
■2024年度から2026年度にかけて人財育成システムを再構築 |
当社 |
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②従業員の働きがい向上 |
■従業員エンゲージメントの持続的向上 ・2024年度以降:前年度比でスコアアップ |
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③女性活躍推進 |
■ ・ ■ ・ |
上記以外のマテリアリティ及び目標・KPIの詳細については、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページに掲載しております。
https://www.cmp.co.jp/sustainability.html
関連する目標に対する2023年度の実績については、2024年9~10月頃を目途に発行予定の社会・環境報告書(2024年版)等にて公表する予定です。
<気候変動関連>
当社グループは、「気候変動」を重要な経営課題の一つとして認識しており、2023年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同を表明いたしました。TCFD提言の枠組みに則った情報開示については、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」ページに掲載しております。
https://www.cmp.co.jp/sustainability.html
<人的資本関連>
中期経営計画の基本方針に基づき、当社の人財に対するスタンスを明確にし、本格的な人的資本経営にシフトするため、2024年4月に当社としての人財戦略を策定いたしました。その概要は以下の通りです。
■目指す姿
メインテーマとして、「多様な人財がグローバルに活躍」と「ウェルビーイング(社員の幸せ)の実現」を掲げております。すなわち、様々なバックグラウンドを持った多様な人財が集い国内外で各自の能力を最大限発揮するとともに、一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと働き充実した人生を送ることができる会社を目指すものです。そのような状態を実現することにより、従業員エンゲージメントと採用競争力を向上させ、人財・組織のパフォーマンスの最大化につなげていくことを企図しております。
■目指す姿を実現するための中核となる取り組み
年功要素を薄め成果要素を強めること主眼とした「人事制度の見直し」、教育・研修のみならず従業員のキャリア形成を図る「人財育成システムの再構築」、「女性や外国人の活躍支援」、「働く場所の多様化」の4項目を定めました。今後はこれらの取り組みそれぞれについて具体的施策を順次決定し実行してまいります。
■求める人財像
目指す姿を実現するとともに、環境変化に対応し組織成果の最大化を永続的に発揮するためには、一人ひとりが主役となり主体的に行動していく「自律型人財」を増やすことが重要であると認識しております。採用、配置、教育といった人財サイクル全体を通じて育成を図ってまいります。
当社グループでは、「リスク管理基本規定」を制定し、事業運営上において発生しうるあらゆるリスクの予防、発見、是正、及び再発防止に係る管理体制の整備と発生したリスクへの対応方針を示すことで円滑な経営を行うことを目的に、管理本部長を委員長とした「リスク管理委員会」を設置しております。事業等に関するリスクについては、四半期に1回開催される同委員会において、リスクの洗い出しやその評価、対策を立案し、推進状況についてもモニタリングを行う体制としております。同委員会は、委員長である管理本部長の他、役付取締役、各本部長及び関連部門長等を委員とし構成されています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在における当社判断に基づいております。
(1) 市況変動に関するリスク
当社グループは、船舶を中心としてコンテナ、その他工業用塗料などの分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。売上高の8割以上は比較的市況の影響を受けやすい船舶用塗料とコンテナ用塗料分野が占めており、特にコンテナ用塗料分野においては、市況の影響を大きく受ける傾向にあります。こうした環境下においても、船舶、コンテナの両分野について、市況を見極め採算性を重視することで、その影響が最小限に止まるよう対策を講じております。また、これらの分野への依存を軽減すべく、海外を中心に比較的収益が安定している工業用塗料分野やその他分野の拡販にも努めておりますが、世界経済の停滞、ひいては新造船建造量またはコンテナ生産量の減少や公共・民間建設投資の低迷などが、塗料販売量の減少を引き起こし、売上高・利益の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料調達に関するリスク
当社グループにおける原材料の調達は、世界のネットワークを活用し安定的な数量での仕入れに努めておりますが、当社が使用する原材料需要の高まりや、サプライヤーの予期せぬトラブル等により、調達に支障を来す可能性があります。また、価格面においても原材料価格が上昇する局面では、不断の原価低減への取り組みや販売価格への転嫁等の施策により、その影響を最小限に止めるよう対策を講じておりますが、塗料製造における主要原材料の一つとなる樹脂や溶剤の仕入れ値は、ナフサ価格の影響を大きく受け、銅や亜鉛等の非鉄金属価格についても国際市況に影響され大きく変動します。これらの主要原材料価格が想定以上に高騰した場合には、調達コストの上昇により利益率が低下し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 海外事業活動に関するリスク
当社グループの売上高における海外の売上割合は、国内の売上割合を上回っております。
今後も海外での売上・生産の規模は増大するものと思われ、それと同時に海外事業活動におけるリスクの高まりを伴うため、営業、技術、生産、管理の各側面から考え得るリスクを洗い出し、事象発生時への対策を立案しております。しかしながら、海外における現地経済・市場動向の悪化やテロ・紛争の発生等に係るリスクを見通すことは困難であり、また事業を展開している国や地域の政治体制、法環境または税制の変化などの予期せぬ事象が生じた場合には、当該地域における塗料販売に支障を来し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競争に関するリスク
当社グループは、国内外での各種塗料販売において、競合他社との間で価格や性能面等の様々な要素での競争関係に晒されております。より一層のコスト削減や技術力向上による製品差別化等に努めておりますが、価格競争の激化により市場における販売価格が著しく低下し、このような取り組みを踏まえても価格競争を克服できない場合には、採算性の悪化を招く恐れがあります。また、性能面においても、当社に先駆けた画期的な他社製品の出現により、当社の競争力が低下する場合には、売上高・利益の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 債権管理に関するリスク
当社グループは、世界各国の様々な顧客に製品を供給しております。こうした取引において、常に顧客情報の収集に努める等、与信管理を徹底しており、債権管理については、回収可能性を慎重に検討した上で一定の繰入額に到達した場合、四半期毎にその状況を経営会議へ報告する体制を取るとともに、顧客の財務状況などに注意し債権回収に努めております。しかしながら、何らかの事情により予想できない多大な貸倒が発生した場合には利益が減少し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 金利変動に関するリスク
当社グループは、各種設備投資や運転資金等、必要な資金の一部について借入を行っておりますが、これらは主に短期借入であります。
長短借入のバランスについては絶えず金利動向を勘案しながら決定しておりますが、急激な金利変動により支払利息が増加する場合には利益が減少し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替変動に関するリスク
当社グループの海外売上比率は増加するものと予想されますが、海外売上の大半は現地生産・現地販売によるものであるため、為替による損益への影響はグループ各社ベースでは限定的と思われます。しかしながら、連結財務諸表の作成に当たっては、海外グループ各社の財務諸表等を各国通貨から円貨に換算しており、為替相場の変動が円換算後の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動対応を重要課題と位置づけ、TCFD提言に賛同を表明するとともに、TCFD提言のフレームワークに沿ったシナリオ分析を実施し、抽出されたリスクに対する対応策の検討を行っております。また、気候変動対応はリスクだけでなく機会としても捉え、当社グループにおける事業活動を通じて環境、社会課題の解決につながるビジネスに注力しております。しかしながら、世界的な脱炭素社会への移行に向けた各種規制強化が急速に進み大幅なコスト増となる場合や、異常気象の発生が頻発し操業度の低下が広範囲に及ぶ場合等には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害・事故・感染症等に関するリスク
当社グループは、自然災害や不慮の事故、または新型コロナウイルス等の感染症の流行により、主要工場が生産不能に陥った場合を想定し、グループ会社間での供給補完等様々なシミュレーションを行い万一に備えております。しかしながら、当社グループは化学品を製造販売する企業であるため、火災をはじめとする不慮の事故が発生する可能性があり、また災害による工場設備の被害状況等により操業停止が相当期間に及ぶ場合や、感染症の大規模な流行等により操業停止が複数拠点に及ぶ場合には、塗料供給に支障を来し、販売量が減少することから、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 安全・環境規制に関するリスク
当社グループは、製造、輸送、使用の過程における製品安全性の向上と環境負荷の低減を重要課題と認識し、さまざまな取り組みを進めておりますが、安全・環境に関する社会的要求は厳しさを増し、規制も次第に強化されています。
今後、日本をはじめ進出先国における安全・環境規制の強化に伴い、工場の操業制限もしくは停止の処分がされ、または環境投資の大幅な増加や租税、賦課金その他公課の負担が増すこと等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法令違反に関するリスク
当社グループは、業務の適法性を確保すべく、法令遵守を行動基準に掲げるとともに、コンプライアンスマニュアルを策定しており、国内外でコンプライアンス研修を実施するなど、グループ各社従業員に対して定期的に社内教育を実施し、コンプライアンス体制の構築及び維持に努めております。しかしながら、このような対策を講じても法令違反に関するリスクを完全に排除できない可能性があり、当該事象が発生した場合には、各規制当局からの処分、取引先等からの損害賠償請求、社会的信用の低下等により、損失の発生や塗料販売の減少等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 知的財産権に関するリスク
当社グループは、他社製品との差別化を図った多様な知的財産権を保有しており、その独自の技術や製品の保護は専門部署により厳正に管理されております。また他社が有する知的財産権についても、権利侵害とならないよう十分な調査を実施しておりますが、第三者が当社グループの知的財産を使用し類似品を販売することや、知的財産に係る紛争が発生し、当社に不利な判断がなされる場合には、販売量の減少や費用の増加等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 品質に関するリスク
当社グループは、国内外の主要工場で品質マネジメントシステム(ISO9001)の認証取得をしており、高度な品質マネジメントシステムの構築と継続的改善に努めておりますが、製品の不具合や塗装方法または塗装環境等の外的要因により本来の製品性能を発揮できない場合には、多大な補償負担や信用の低下に繋がる恐れがあり、収益の悪化等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 減損処理や繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、事業用の様々な有形固定資産・無形固定資産や繰延税金資産を計上しております。これらの資産については、業績計画との乖離や時価の下落等によって、期待される将来キャッシュ・フローを生み出すことが出来ない場合には、減損処理や繰延税金資産の取崩しにより財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 投資有価証券の評価損に関するリスク
当社グループは、取引先や金融機関等の市場性のある株式を保有しております。当該株式保有の合理性については、毎年1回以上、取締役会において保有に伴う便宜やリスクが資本コストに見合っているかを検証しており、保有意義が希薄であると判断される場合は、原則として縮減対象とし、時価の趨勢と取得原価、市場への影響等を勘案しつつ、売却を検討しております。しかしながら、株式相場の大幅な下落が生じた場合、評価損を計上する恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 退職給付に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、死亡率等の数理計算上の仮定に基づいて算定しております。これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定が変更された場合、退職給付費用や退職給付制度への必要拠出額に影響を与えることにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 訴訟の提起に関するリスク
当社グループは、グローバルに事業展開をしており、国内に止まらず海外を含め様々な訴訟を受ける可能性があります。当社事業に係る各種法令の遵守に加え、製品品質の維持や相手方との事前協議等を実施することで訴訟の未然防止に努めておりますが、実際に訴訟が提起された場合には、結果によっては社会的信用の低下を招く恐れや損害賠償が命じられる恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 事業買収・業務提携・合弁事業に関するリスク
当社グループは、事業拡大や収益力の向上を目的とし、事業買収、業務提携、合弁事業等を行う可能性があります。事前に経済的価値等の観点から入念な調査を実施したうえで決定しますが、当社グループ及び出資先企業を取り巻く環境の変化により、様々な不確実性を伴うため、当初の期待していたシナジー効果やキャッシュ・フローを生み出すことが出来ない場合には、当該目的のために計上された固定資産やのれんの減損処理等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動において顧客情報や技術情報など様々な機密情報を保有しております。当社グループでは、サステナビリティ委員会傘下に情報セキュリティ部会を設置し情報管理体制を整備しているほか、従業員教育や啓蒙活動を定期的に実施する等の対策を講じ情報セキュリティ強化に努めております。しかしながら、従業員等による故意または過失、第三者による不正アクセスやコンピューターウイルスの感染、災害等不測の事態により当社グループが保有する情報の漏洩、消失や改ざん等が発生した場合には、事業活動への支障や信用の低下等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、パンデミックが収束し経済活動の活性化が進む一方、欧米諸国を中心に、インフレを背景とした世界的な金融引き締めの影響や、地政学リスクの高まりに起因する資源価格の上昇等により景気後退が懸念され、依然として先行き不透明な状況が継続する展開となりました。
そうした中、当社グループの主力製品である船舶用塗料分野において、新造船向けでは、主に中国や韓国において販売量が増加したことや製造コストに見合った販売価格の適正化を行ったこと等により、全体として大幅な増収となりました。修繕船向けにおいても、IMO(国際海事機関)燃費規制への対応を始めとする船舶のCO2排出量削減への動きの高まりにより、世界的に高性能船底防汚塗料へのニーズが高まる中、欧州や国内を中心に販売価格の適正化や高付加価値製品の販売を推進したことから、好調に推移しました。
工業用塗料分野では、国内や東南アジアにおける重防食塗料の販売が堅調に推移したものの、国内における建材用塗料の販売の落ち込みをカバーすることができず、売上高は横ばいとなりました。コンテナ用塗料分野では、中国においてコンテナ市場の縮小傾向が継続するなか、低採算案件の受注抑制を行ったことから、大幅な減収となりました。
損益面では、製造コストに見合った販売価格の適正化や、高付加価値製品や環境対応型製品の拡販に努めた他、海外においては原材料価格が軟化基調で推移したこともあり収益性が向上しました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は116,174百万円(前期比16.8%増)、営業利益は12,185百万円(同213.5%増)、経常利益は13,025百万円(同199.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,892百万円(同157.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
船舶用塗料において、新造船及び修繕船向けの需要が堅調に推移する中、製造コストに見合った販売価格の適正化を推進したこと等により売上高が増加しました。工業用塗料においては、重防食塗料の販売が堅調に推移した一方、建材用塗料の販売が落ち込み収益が悪化したことから、全体としては減収となりました。その結果、売上高は40,580百万円(前期比9.2%増)となりました。損益面では、新造船向けの採算改善が限定的なものに止まったものの、全体的に製造コストに見合った販売価格の適正化や高付加価値製品の拡販に努めたこと等により、セグメント利益は1,957百万円(前連結会計年度はセグメント損失418百万円)となりました。
(中国)
船舶用塗料において、新造船及び修繕船向けの需要が堅調に推移する中、新造船向けの販売量が大幅に増加したほか、修繕船においても製造コストに見合った販売価格の適正化を行ったことや、円安となった為替の影響も加わり売上高が増加しました。工業用塗料においては、重防食塗料の販売が低調に推移し、コンテナ用塗料においても、低採算案件の受注抑制を行ったことから販売が落ち込みました。その結果、全体として売上高は19,950百万円(同22.7%増)となりました。損益面では、製造コストに見合った販売価格の適正化に加え、増収効果もあり、セグメント利益は3,107百万円(同812.6%増)となりました。
(韓国)
船舶用塗料において、新造船向けでは前期に工程遅延の影響で販売量が減少していた反動や製造コストに見合った販売価格の適正化を行ったことで、修繕船向けの減収分を吸収し、売上高は11,876百万円(同48.9%増)となりました。一方、損益面では、製造コストに見合った販売価格の適正化に加え、増収効果もあり、セグメント利益は780百万円(前連結会計年度はセグメント損失137百万円)となりました。
(東南アジア)
修繕船向けを中心とした船舶用塗料や重防食塗料において、製造コストに見合った販売価格の適正化を行ったことや、円安となった為替の影響も加わり、売上高は17,081百万円(同9.2%増)となりました。損益面では、販売価格の見直し等により、セグメント利益は2,984百万円(同36.9%増)となりました。
(欧州・米国)
船舶用塗料において、堅調な需要が継続する中、製造コストに見合った販売価格の適正化や高付加価値製品の拡販に注力したほか、円安となった為替の影響により、主に修繕船向けの販売が伸長し、売上高は26,685百万円(同18.8%増)となりました。損益面では、販売価格の見直し等により、セグメント利益は1,661百万円(同150.3%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ16,290百万円増加の97,379百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加(11,713百万円)や受取手形及び売掛金の増加(5,161百万円)であります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ3,366百万円増加の35,025百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の増加(2,716百万円)や繰延税金資産の増加(384百万円)であります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ19,656百万円増加し、132,404百万円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ5,304百万円増加の47,520百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加(1,580百万円)や支払手形及び買掛金の増加(1,003百万円)、未払法人税等の増加(627百万円)であります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ1,307百万円増加の8,708百万円となりました。主な要因は、繰延税金負債の増加(1,018百万円)や長期借入金の増加(700百万円)、退職給付に係る負債の減少(492百万円)であります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ6,612百万円増加し、56,229百万円となりました。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べ13,044百万円増加の76,175百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(7,315百万円)や為替換算調整勘定の増加(2,810百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(1,926百万円)であります。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の51.6%から53.3%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9,491百万円増加し、27,705百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、12,388百万円となりました。主な増加は、税金等調整前当期純利益12,601百万円、棚卸資産の増減額2,128百万円、減価償却費1,641百万円、主な減少は売上債権の増減額3,551百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用されたキャッシュ・フローは、1,625百万円となりました。主な減少は、定期預金の預入による支出5,557百万円、固定資産の取得による支出1,532百万円です。主な増加は、定期預金の払戻による収入3,641百万円、固定資産の売却に係る手付金収入1,524百万円、投資有価証券の売却による収入243百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは、1,980百万円となりました。主な減少は、非支配株主への支払いを含めた配当金の支払額2,940百万円、主な増加は、短期借入金の純増減額1,185百万円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比増減率(%) |
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日本(百万円) |
33,825 |
△6.7 |
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中国(百万円) |
11,852 |
△11.0 |
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韓国(百万円) |
9,375 |
16.5 |
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東南アジア(百万円) |
12,216 |
△2.6 |
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欧州・米国(百万円) |
9,566 |
19.1 |
|
合計(百万円) |
76,835 |
△1.7 |
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注実績
一部の特殊品を除いて販売予量に基づく見込み生産を行っております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比増減率(%) |
|
日本(百万円) |
40,580 |
9.2 |
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中国(百万円) |
19,950 |
22.7 |
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韓国(百万円) |
11,876 |
48.9 |
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東南アジア(百万円) |
17,081 |
9.2 |
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欧州・米国(百万円) |
26,685 |
18.8 |
|
合計(百万円) |
116,174 |
16.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は116,174百万円(前期比16.8%増)、営業利益は12,185百万円(同213.5%増)、経常利益は13,025百万円(同199.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,892百万円(同157.0%増)となりました。
これらの要因は下記のとおりであります。
a.売上高
製品分野別・セグメント(地域)別の売上高は以下のとおりです。
分析内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に含めて記載しております。
(単位:百万円)
b.売上原価・売上総利益
上記の通り売上高は前連結会計年度比16.8%増加したものの、主要原材料価格が軟化基調で推移したこと等により原材料調達コストが低下し、売上原価は同8.1%(6,080百万円)増の80,830百万円にとどまりました。さらに、新造船向けも含めて製造コストに見合った販売価格の適正化を推進したことや高付加価値製品の販売比率が拡大したこと等もあり採算が改善し、売上総利益は前連結会計年度比42.9%(10,613百万円)増の35,343百万円、売上総利益率は同5.6ポイント上昇し30.4%となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費については、賃金改定等により人件費が増加したほか、円安が進行したことに伴う為替換算による押し上げ分もあり、前連結会計年度比11.1%(2,314百万円)増の23,158百万円となりました。売上高販管費比率については、増収効果もあり前連結会計年度比で低下いたしました。
営業利益については、売上総利益の増加が販売費及び一般管理費の増加を大きく上回ったことで、前連結会計年度比213.5%(8,298百万円)増の12,185百万円、営業利益率は同6.6ポイント上昇し10.5%となりました。
d.営業外損益・特別損益・税金費用
営業外収益のうち受取利息や為替差益が大幅に増加したこと等から、営業外損益は840百万円の益(前連結会計年度比81.0%増)となりました。
特別損失としてミャンマー子会社に係る減損損失644百万円を計上したこと等から、特別損益は424百万円の損(前連結会計年度比148.4%減)となりました。
上記の結果、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度比141.0%(7,373百万円)増の12,601百万円と大幅に増加したものの、一部の海外子会社において繰越欠損金により税負担が軽減されたこともあり、税金費用は同74.4%(852百万円)増の1,998百万円にとどまりました。その結果、法人税等の負担率は15.9%(前連結会計年度は21.9%)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画における業績目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略(中期経営計画等)」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度より大幅に増加した一方、投資及び財務キャッシュ・フローが減少し、現金及び現金同等物の増減額は前連結会計年度比8,426百万円改善し9,491百万円の増加となりました。
各キャッシュ・フローの主な変動要因は以下のとおりです。
(単位:百万円)
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、塗料原材料等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性を確保すると共に資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、自己資金または金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の資金調達につきましては、自己資金または金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は25,587百万円(前連結会計年度末比1,681百万円増)となっております。
短期運転資金以外の資金の活用としては、生産設備の新設やリニューアル、競争力強化の為の製品開発といった成長投資を優先いたします。その上で、余剰資金については積極的な株主還元を行うことで自己資本を適切にコントロールし、自己資本利益率(ROE)の改善を図ってまいります。当連結会計年度においては、設備投資に1,683百万円、配当に2,577百万円、それぞれ資金を配分いたしました。
当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は27,705百万円(前連結会計年度末比9,491百万円増加)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加等により自己資本が前連結会計年度末比12,338百万円(21.2%)増加した一方、総資産は同19,656百万円(17.4%)増にとどまったことから、自己資本比率は53.3%(前連結会計年度末比1.7ポイント上昇)となりました。今後とも資産効率及び資本効率の向上や営業キャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
技術供与関係
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契約会社名 |
契約締結先 |
技術の種類 |
契約年月日 |
契約期間 |
摘要 |
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中国塗料 株式会社 (当社) |
ニュージーランド PROPSPEED INTERNATIONAL LIMITED |
塗料の製造技術 |
1991.12.17 |
契約開始日から3年間(2022年3月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
|
オーストラリア SUPALUX PAINT Co. Pty. Ltd. |
塗料の製造技術 |
1994.11.2 |
契約開始日から5年間(2022年11月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
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フィリピン DAVIES PAINTS PHILIPPINES, INC. |
塗料の製造技術 |
1995.8.8 |
契約発効日から5年間(2025年12月31日まで、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
|
南アフリカ DEKRO PAINTS (PTY) Ltd. |
塗料の製造技術 |
1996.1.1 |
契約発効日から7年間(2021年7月22日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
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ベトナム HAIPHONG PAINT JOINT STOCK COMPANY |
塗料の製造技術 |
1998.4.25 |
契約発効日から5年間(2022年5月17日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
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ベトナム PETRO VIETNAM PAINT JOINT STOCK COMPANY |
塗料の製造技術 |
2008.4.10 |
契約発効日から5年間(2023年12月1日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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エジプト SUEZ CANAL ADVANCED PAINTS & CHEMICALS Co. |
塗料の製造技術 |
2009.7.1 |
契約発効日から10年間(2022年7月1日更新2年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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ブラジル RENNER HERRMANN S.A. |
塗料の製造技術 |
2013.1.31 |
契約発効日から5年間(2023年11月21日更新5年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
|
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インド BERGER PAINTS INDIA |
塗料の製造技術 |
2019.10.1 |
契約開始日から3年間(2022年10月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
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バングラデシュ BERGER PAINTS |
塗料の製造技術 |
2020.1.1 |
契約開始日から3年間(2023年1月1日更新3年間、以降交渉) |
①イニシャルロイヤリティー ②販売価額に対して一定料率のロイヤリティー |
当社グループは、グローバルで市場ニーズに適合した製品開発を行い、地球環境への負荷を低減した高品質かつ収益性の高い製品をタイムリーに供給することを基軸として研究開発活動を行っております。
高機能を有し顧客のニーズに対応した製品の開発をはじめとして、SDGsで掲げられた課題解決を念頭に省エネルギーや省資源、温室効果ガス削減やVOCなどの有害物質の削減に加えて、バイオマス由来原材料への転換やカーボンフットプリントを一つの指標としたサステナブルな製品開発を推進し、得意分野である船舶用塗料をはじめ、工業用塗料、コンテナ用塗料の各分野で競争力のある基幹製品群の更なる拡充を目指しております。
更に当社独自技術の権利化を推進しグローバルな戦略的特許網の構築や、各国の化学品法規を遵守した体制強化も進めております。
研究開発の体制は、日本の広島県大竹市と滋賀県野洲市にある研究開発部門が基幹技術の研究開発にあたり、自社開発に加えてオープンイノベーションやDXを活用し製品開発の促進や顧客サービスの充実化を図っております。また当社のグローバルネットワークを生かし、中国の上海、韓国、シンガポール、オランダにある技術部門が補完する体制を構築しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、研究開発については、塗料の分野別に研究開発を行っていることから、各分野別に記載しております。
(船舶用塗料分野)
(1) 世界のあらゆる海域や各船種、さまざまな運航状況、更に近年進む地球温暖化に伴う高い海洋生物活性環境下においても優れた防汚性能を発揮し、併せて二酸化炭素排出量削減にも貢献できる低燃費技術を兼備する船底防汚塗料の研究開発を重点的に行っております。その研究成果を基に新たな加水分解型防汚塗料や塗膜表面自由エネルギーを制御したシリコーンタイプ防汚塗料の開発、環境負荷低減に貢献する新規素材を導入した防汚塗料の研究開発も行っております。また、防汚塗料の効果が反映される船舶性能の解析技術も深化させ、船舶の燃費性能解析や就航解析を行う技術サービス(CMP-MAP)も提供し、低燃費で航行するための最適な防汚塗料のご提案なども行っております。更にこれらの解析技術の信頼性と透明性を高めるために第三者機関の認証取得なども積極的に取り組んでおります。
(2) 防食塗料分野では、各国のVOCおよびその他の有害物質規制に対応したハイソリッド、無溶剤及び水系などの各種塗料の開発や、国際海事機関のバラストタンク及びカーゴタンクの塗装標準化等に対応した長期耐久性と環境対応を兼備する高性能防食塗料の開発に加え、脱石油由来原材料適用の取り組みを行っております。また、塗装工程の合理化、省力化に寄与する製品、メンテナンスサイクル延長を可能とする製品、海外ニーズにも応えたグローバルに対応可能な製品など、顧客にメリットを実感いただける高付加価値製品の開発・改良に努めております。
(3) 更にこれら船舶塗料分野の技術を再生可能エネルギーなどの海洋開発分野へ水平展開しております。
これらは主として広島県大竹市の研究開発部門が担当しております。
(工業用塗料分野)
(1) 住宅建材用途では、顧客ニーズに沿った木質建材用塗料や窯業系外装建材用塗料などの開発を行っております。木質建材用塗料では、フロアー向けを中心に抗ウイルス機能を付与したSIAA(抗菌製品技術協会)マークの認証を取得した無溶剤UV硬化塗料や植物由来材料を含有したバイオマスマーク(日本有機資源協会)認定の無溶剤UV硬化塗料などを開発し、製品ラインナップの充実化を進めております。窯業系外装建材用塗料では、外装建材の耐久性向上を目的とした水性塗料の開発を行っております。また、非住宅建材用途では、塩ビフロアー用塗料として木質建材用塗料同様の高い製品開発力で、汚染性・耐久性に優れた無溶剤UV硬化塗料を開発し、シェア拡大を進めております。
(2) 重防食分野においては、社会インフラの整備や維持につながる長期防食性、超耐候性等の性能を有し、VOC削減にもつながる水性塗料やハイソリッド塗料、無溶剤塗料の開発を重点的に行っています。また、コンクリート用塗料では、はく落防止性などの機能を持った塗料の開発に注力しています。
併せて近年注目されている再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電等の海洋構造物に適した製品の開発にも努めております。
(3) その他にも特殊な技術を要する電波吸収塗料、鉄道向け軌道用及び船舶機器据付け用充填材、スマートフォンなどの各種ディスプレーに使用されるフィルムや車載用フィルム等への機能性付与、車のヘッドライトカバーの保護、車体を傷から保護するペイントプロテクションフィルム等高機能製品の開発・改良に努めております。
(4) またVOCを含まない粉体塗料と塗装システムの開発を進めており、既存顧客だけでなく新規市場への展開を図るべく研究開発を重ねております。
(5) 工業用塗料においても日本国内をはじめとして中国、韓国、東南アジアなど、グローバルにビジネス展開可能な製品の研究開発を行っております。
これらは主として滋賀県野洲市の研究開発部門が担当しております。
(コンテナ用塗料分野)
世界の貿易や物流に使用されるコンテナは90%以上が中国で製造されており、中国のVOC規制に対応した製品が必要とされております。コンテナ用塗料分野ではVOCの排出量を大幅に削減できる水系塗料を中心にコスト競争力のある製品の研究開発に取組み、これらは主として広島県大竹市の研究開発部門が担当しております。
(塗料用樹脂原材料分野)
塗料用樹脂の研究開発を自社で行い、塗料製品の高性能化及び環境負荷低減など多様な顧客ニーズに対応しております。また塗料製品の安定供給及びコスト変動を最小限に抑えることにも寄与しております。
これら塗料用樹脂原料は主として広島県大竹市の研究開発部門が担当しております。