(1) 会社の基本方針
当社グループは、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献する」を企業理念に、環境保全への積極的な取り組みを経営における最重点課題の一つとして捉え、表面改質を通じて地球環境の保全に貢献することを経営の基本方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの充実及び社会貢献にも積極的に取り組み、ステークホルダーの皆様と共に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
地球環境問題などの社会課題の重要性が高まるなか、社会と共に持続的な成長を実現していくためには、SDGsを始めとする社会課題の解決に取り組むことが不可欠と考え、2030年のあるべき企業像と成長の道筋を示した長期ビジョン「Vision2030」を策定しました。当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、表面改質のスペシャリストとして、薬品、装置、加工の3つの事業領域で社会課題の解決に取り組み、2028年に迎える創業100周年、そして、その先の未来に向けて、新たな成長ステージを目指してまいります。
また、自動車の電動化やIoT革命など、100年に一度の大変革の時代と言われるなか、持続的な企業価値の向上を実現するには、これまで以上の大きなチャレンジに果敢に取り組んでいく必要があると考え、Vision2030では「あらゆる表面をカガクで変える」を目標の一つに掲げ、あらゆる素材の表面に、さまざまな機能を付与する技術の研究開発に取り組んでまいります。
(3) 目標とする経営指標
(第三次グループ中期経営計画:2022年3月期の目標)
・売 上 高 1,335億円
・営 業 利 益 190億円
・経 常 利 益 220億円
・総資産経常利益率 8%以上
・自己資本利益率(ROE) 8%以上
(4)会社が対処すべき課題
2022年3月期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響等による景気後退の長期化が懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続くと予想され、利益の減少を最小限に抑えるべく、成長投資を除く費用の削減を推進してまいります。
また、中長期的には、主要な供給先である自動車産業においては、グローバル競争の激化による価格低下及び国内市場の成熟等による需要減少リスクに加え、脱炭素社会に向けた自動車の電動化への取り組みがグローバルで加速しております。そのような市場環境のなか、当社グループの持続的な企業価値の向上には、既存事業の収益力強化と将来を見据えた技術開発が不可欠と考えており、Vision2030の実現に向けて、以下の取り組みを推進してまいります。
① 新規分野の開拓
自動車及び鉄鋼などの伝統的な市場だけでなく、医療機器、電子部品、航空宇宙、ヘルスケア、家庭用品など、新規市場及び新規分野への参入拡大を推進してまいります。
② 既存分野の深耕
次世代自動車に対応した技術開発、環境対応型製品及び高機能製品の開発など、社会のニーズに合わせた製品開発や技術開発により、既存分野の深耕を図ってまいります。
③ グローバル展開の加速
事業活動の更なるグローバル化を推進し、グループ総合力を活かして、社会課題の解決に貢献するソリューションをグローバルに提供する体制を強化してまいります。
④ グループ・ガバナンスの強化
中長期的な企業価値の向上に向けて、グローバルな事業活動を支えるためのグループ・ガバナンスの強化に取り組みます。
⑤ 多様な人材の活躍推進
イノベーションの創出と海外事業の拡大による持続的な成長を実現するため、ダイバーシティ経営をグローバルに推進し、多様な人材の活躍促進とグローバル人材の育成・確保に積極的に取り組みます。
(5)コーポレート・ガバナンス強化による企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み
当社では、上場会社として社会的な使命と責任を果たし、継続的な成長・発展を目指すためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題であると考えております。
この考えに基づき、(ⅰ)取締役会による重要な意思決定と職務の監督、(ⅱ)グループ全般を視野においた経営管理体制による意思決定の迅速化、(ⅲ)監査等委員による取締役の職務執行の監査、(ⅳ)社長直轄の内部監査室による内部監査の実施、(ⅴ)化学メーカーとしての責任である製商品に関する安全性確保、品質保証、環境対応及び法令遵守を全社統合的に推進する組織の編成、(ⅵ)コンプライアンス委員会・リスク管理委員会の設置、リスク管理規程・子会社管理規程の整備等の施策を実行しております。
当社グループの財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、自動車、鉄鋼、金属・非鉄金属、建築・建材、電子部品等の様々な業界へ表面処理に関する製品及びサービスを提供しており、特定の取引先数社に集中することはありませんが、日本、アジア、欧米と様々な地域で事業活動を展開しており、各国・地域における景気低迷等及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
薬品事業においては、主として日本及びアジアにおいて、様々な業界に金属表面処理薬剤を提供しておりますが、主に自動車・鉄鋼業界等の需要状況に影響を受けます。
装置事業においては、主として日本及びアジアにおいて、自動車生産及び一般産業向けに、前処理・塗装装置プラントの設計・販売等を行っておりますが、装置事業の売上は、顧客の設備投資需要に影響を受け、年度により、業績が大きく変動する可能性があります。
加工事業においては、日本及びアジア並びに北米において、防錆加工と熱処理加工を中心に行っておりますが、主に自動車、金属、機械業界等の需要状況に影響を受けます。
また、当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延し、社会・経済活動が大きく制限されるなど厳しい状況で推移し、今後につきましても、依然として先行き不透明な状況が続くと予想されます。当社グループでは、継続的な感染リスクの低減を図るほか、利益の減少を最小限に抑えるべく、成長投資を除く費用の削減を推進しておりますが、感染症の拡大による景気後退の長期化により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業は、競合他社との差別化が重要なファクターであり、クロムフリー薬剤等の環境対応型薬剤の開発、様々な用途開発、顧客との共同研究等を推進し、差別化技術の開発及び将来を見据えた研究開発に取り組んでおります。
表面処理のスペシャリストとして、時代を先取りした迅速で柔軟な研究開発により、他社技術と差別化できる技術の開発、新規市場の開拓等を進めておりますが、新技術のトレンドや顧客ニーズの予測及び対応を誤り、競合他社が当社を上回る高品質で安価な製品又はサービスを実現した場合、収益性やシェアが低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、表面処理薬剤メーカーとして、りん酸をはじめとする多くの原材料を国内及び海外から仕入れております。原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めておりますが、特定の地域からの輸入に頼る原料をはじめ、高度な技術により合成された化合物等、供給元が限定されている原料もあります。
サプライヤーチェーンBCP対応の推進に取り組んでおりますが、サプライヤーの被災、事故、倒産等による原材料の供給中断、需要の急増による供給不足等、予期せぬ事象が発生した場合、製品の安定的な製造・販売体制に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、ISO9001、IATF16949等認証取得を積極的に進める等、各拠点において、厳格な管理基準に従って製品製造及び受託加工等を行っております。
お客様に高品質な製品をタイムリーに提供できるように、要求された品質レベルを確保すべく、工程管理、監査、教育の強化等、未然防止活動の徹底を行っておりますが、全ての製品等について不良又は不具合等が発生しないという保証はありません。製造・輸送・保管等の過程における予期せぬトラブルによって、不良又は不具合等が発生した場合、顧客企業への補償や対策費用等の発生に加え、市場における信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、製品の製造及びサービスを提供するに際して、その全てのプロセスに万全の安全衛生管理体制を構築することを目標としています。具体的には、労働安全衛生法をはじめとした関連法規制の遵守徹底とともに、企業としての安全配慮義務の履行と、それらに基づく安全衛生活動を実施しております。その活動事例としては、各事業場における巡視や関連法規制の遵守状況の監査、計画的な安全衛生教育等があります。
しかしながら、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(6)環境保全
当社グループは、表面処理薬剤の製造及び加工処理等サービス提供のプロセスにおいて、大気、水質、土壌等の汚染防止や有害物質、廃棄物の管理等、環境保全に関連する法規制は全てこれを遵守しております。また環境保全に関連するものとしてはISO14001(環境ISO)の認証維持及びその要求事項に沿った活動も推進しております。
ただし、不測の事態により事業活動に起因する環境汚染等が発生した場合には、そのことによる経済的な損失や社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(7)公的規制等
当社グループ及び当社グループの顧客企業が事業を行うにあたり、化学物質等の取り扱いにおける国内法規、製品や原料の輸出入に関わる国内外の法規、更にREACH規則、TSCA、RoHS規制等の化学物質に係る様々な海外の法規を遵守する必要があります。
事業の継続及び機会の確保のため、こうした法規に関する情報収集と対策を積極的に進めておりますが、これらの法令等の改正や強化がされた場合には、事業活動が制限される、あるいは事業機会を逸し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、長年にわたって蓄積した技術を活用し、他社技術と差別化できる技術の開発と他社の知的財産権侵害の回避を行っておりますが、当社グループが独自に開発した技術の一部は、知的財産権による保護が不可能な場合又は限定的にしか保護されない場合があります。
当社グループは、保有する知的財産権の適切な保護及びノウハウ等の管理に努めていますが、当社グループの技術の模倣等によって第三者が類似した製品を製造することやコスト競争力のある製品を開発することを効果的に防止できない可能性があり、これらによって当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、将来の成長には、新製品の開発力を高めるための研究、技術及びノウハウの伝承、事業のグローバル展開が不可欠であり、これらに携わる人材の確保が重要な経営課題のひとつです。
「企業は人なり」の精神の下に、有能なエンジニアや将来の経営幹部等の確保と育成に力を入れております。また、多様な国籍の人材採用や経験者の通年採用を実施しております。しかしながら、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、りん酸他の金属塩類、無機物、有機物、その他用途別の様々な原材料を仕入れており、これらの原材料の仕入価格は、国際的情勢による需給バランス、為替レート、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)の相場等の影響を受けて変動します。
原材料価格の上昇局面においては、原価低減策によるコスト引き下げと製品価格への転嫁等を図ることにより、適正な利益の確保に努めております。原材料の種類は非常に多く、商社等を経由した輸入も多いため、原材料価格の変動が業績に与える影響を画一的に予想することはできませんが、急激な原材料価格の高騰は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(11) 事業投資等
当社グループは、「表面改質のスペシャリストとして真のグローバルカンパニーを目指す!」を経営ビジョンとして、持続的成長のために、グローバルに積極的な設備投資やM&Aを進めております。
重要な投資案件については、取締役会において、事業性を評価の上、決定するとともに、定期的に事業の進捗状況を確認し、必要に応じて、今後の方向性や業績改善の為の対策を検討していますが、想定外の市場環境の悪化等により、利益計画を大幅に下回った場合、設備投資により計上した有形固定資産やM&Aにより計上したのれん等の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、海外に多数の在外子会社を有しております。在外子会社は、原則として、その会社が属する国又は地域の通貨によって財務諸表を作成しており、連結財務諸表の作成過程において、資産及び負債は連結決算日の直物為替相場により円換算し、収益及び費用は期中平均相場により円換算されております。
在外子会社は、米ドル圏だけでなく、アジア各国等様々な通貨圏で事業活動を行っており、為替換算レートの変動による影響を画一的に予測することはできませんが、一般的には、円高の場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安の場合は好影響を及ぼします。
当社グループは、海外市場での事業拡大を成長戦略の一つとしていますが、海外では、政治不安、貿易・外貨規制、法令・税制の変更、治安悪化、紛争テロ、戦争、宗教や文化の相違等、様々な政治的、経済的又は法的な制約を伴う可能性があります。
リスク管理の強化やカントリーリスクの情報収集等に努めておりますが、予期せぬ事象の発生等により、事業活動が制限を受けたり、法令等に適合するための費用が増加する等、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、地震や台風等大規模な自然災害、火災等の事故、感染症によるパンデミックの発生時の安全確保と生産活動の中断による損害を最小限に抑えるため、定期的な製造設備の防災点検や防災訓練の他、事業継続計画(BCP)を策定して、早期に事業復旧できるように準備を行っております。
しかしながら、予期せぬ大規模な自然災害等が発生した場合には、人的、物的損害による事業活動の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応として、感染拡大防止対策本部を設置し、従業員及びその家族の安全確保と事業継続対策に努めております。感染拡大防止策として、マスクの着用、日常的な手洗い、咳エチケット等の衛生管理を徹底するほか、在宅勤務、サテライトオフィス、フレックス勤務、時差通勤等を推進しておりますが、従業員等が感染した場合、事業の一部停止など、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料の安定調達及び在庫の確保に努めておりますが、感染症の拡大により、海外からの原材料の調達に支障をきたした場合、一部の製品等の供給が困難になるなど、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延し、社会・経済活動が大きく制限され停滞するなど、極めて厳しい状況となりました。期後半は経済活動の再開や経済対策の効果により持ち直しの動きも見られましたが、地域によっては都市封鎖の再開や変異株の出現による感染再拡大の兆候が見られるなど、依然として予断を許さない状況が続いております。わが国経済におきましても、緊急事態宣言後の経済活動の再開に伴い、個人消費や企業収益に回復の兆しが見られましたが、緊急事態宣言の再発令や外出自粛による経済活動の制限に加えて、原材料価格の高騰や半導体の供給不足などのリスク要因もあり、引き続き先行きは不透明な状況です。
当社グループを取り巻く事業環境は、主要な供給先であります自動車業界では、足元は回復基調にあるものの、世界の主要国で自動車生産台数が落ち込み、前年割れとなる月が続くなど厳しい状況で推移いたしました。もう一つの柱であります鉄鋼業界でも、新型コロナウイルス感染症の影響に加えて、長引く米中貿易摩擦や鉄鉱石価格の高止まりによる生産コストの上昇などにより事業環境は厳しさを増しております。このような状況のなか、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高は999億18百万円(前年同期比16.1%減)となりました。第1四半期は207億93百万円と厳しいスタートとなりましたが、以降は第2四半期235億24百万円、第3四半期253億76百万円、当第4四半期302億23百万円と緩やかな回復基調で推移いたしました。事業の種類別セグメント毎の売上高は、前年同期に比べ薬品事業が11.9%減、装置事業が26.8%減、加工事業が13.9%減、その他が25.2%減といずれも減収となりました。また、地域別セグメントは、国内が14.5%減、アジアが19.5%減、欧米が13.2%減といずれも減収となりました。
営業利益は106億81百万円(前年同期比15.2%減)と、売上高の減少に伴い減益となりました。経常利益は141億97百万円(前年同期比9.7%減)、特別利益として退職給付信託設定益30億10百万円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は99億99百万円(前年同期比5.8%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の総資産経常利益率(ROA)は6.5%と前年同期と比べ0.7ポイント減少いたしました。また、自己資本利益率(ROE)は6.8%と前年同期と比べ0.1ポイント増加いたしました。
海外業績の換算による損益計算書に与える影響額は、売上高11億57百万円程度の減収、営業利益で71百万円程度の減益となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
外部顧客に対する売上高は406億5百万円(前年同期比11.9%減)となり、営業利益は63億80百万円(前年同期比17.1%減)となりました。当事業部門は、金属などの表面に耐食性、耐摩耗性、潤滑性など機能性向上を目的とする化成皮膜を施し、素材の付加価値を高める薬剤などを中心に製造・販売しております。期前半は新型コロナウイルス感染症の影響により、国内では鉄鋼・自動車業界などの取引先で減産調整が行われ、海外においても政府要請による工場シャットダウンを余儀なくされるなど厳しい状況で推移しました。期後半は鉄鋼・自動車業界などの取引先において生産好転がみられましたが、前半の落ち込みを挽回するまでには至らず、全体としては減収減益となりました。
装置事業
外部顧客に対する売上高は175億11百万円(前年同期比26.8%減)となり、営業利益は4億30百万円(前年同期比30.3%減)となりました。当事業部門は、輸送機器業界を中心に前処理設備、塗装設備及び粉体塗装設備などを製造・販売しております。大型案件の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による現場行程の遅れや顧客の設備投資見直しによる売上計上時期の遅れが発生したほか、為替変動による収益性の悪化もあり減収減益となりました。
外部顧客に対する売上高は390億96百万円(前年同期比13.9%減)となり、営業利益52億6百万円(前年同期比29.1%減)となりました。当事業部門は、熱処理加工、防錆加工、めっき処理などの表面処理の加工サービスを提供しております。期前半は国内の一部工場での一時休業の実施や、海外では政府要請による工場シャットダウンなどにより、生産活動が制限されたことにより厳しい状況で推移しました。期後半は国内主要取引先である自動車部品メーカーの生産好転により回復傾向が見られたものの、タイや米国など海外では収益面での回復が遅れたため、全体として減収減益となりました。
外部顧客に対する売上高は27億5百万円(前年同期比25.2%減)となり、営業利益は39百万円(前年同期比103.2%増)となりました。当事業部門は、為替の影響を受けない国内を中心に、ビルメンテナンス事業、太陽光発電事業などを営んでおります。また、ライフサイエンス事業として、一般消費者向けに抗菌剤「Pal-feel」の販売を開始しました。併せて、医療機器への参入を進めており、自社開発のコーティング技術により、血液や生体組織の付着を低減した電気メス部品「CHIDORI」を上市し、2020年“超”モノづくり部品大賞「健康福祉・バイオ・医療機器部品賞」を受賞しました。
当社グループでは、第三次グループ中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である2022年3月期の目標として、売上高1,335億円、営業利益190億円、経常利益220億円、総資産経常利益率8%以上、自己資本利益率(ROE)8%以上を設定しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等による景気後退の長期化が懸念されるなか、売上目標等の達成は難しい状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、新たに策定した長期ビジョン「Vision2030」の実現に向けて、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に、グループ一丸となって取り組んでまいります。
当社グループは主として販売計画に基づいた見込生産及び短納期での受注生産によっております。そのため、生産実績及び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注)1 金額には消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
3 当連結会計年度の期首から、事業区分を見直したことに伴い、一部の装置事業およびその他に含まれていた運送事業・金属板試験片製造・販売事業について薬品事業へ変更し、一部の薬品事業について加工事業へ変更いたしました。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。
(2) 財政状態
(資産の部)
資産合計は、前連結会計年度末と比較し34億36百万円増加し2,202億10百万円となりました。流動資産は37億54百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が65億96百万円増加した一方で、有価証券が21億9百万円減少いたしました。固定資産は3億17百万円減少いたしました。主な要因は、有形固定資産が35億81百万円減少した一方で、投資その他の資産が投資有価証券の時価上昇などにより33億42百万円増加いたしました。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末と比較し22億83百万円減少し435億42百万円となりました。流動負債は5億94百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が14億45百万円減少した一方で、前受金が19億52百万円増加いたしました。固定負債は28億77百万円減少いたしました。主な要因は、投資有価証券の時価上昇に伴い繰延税金負債が18億88百万円増加した一方で、退職給付信託の追加設定などにより退職給付に係る負債が41億10百万円減少いたしました。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末と比較し57億19百万円増加し1,766億67百万円となりました。主な要因は利益剰余金が70億39百万円、自己株式が13億56百万円、その他有価証券評価差額金が33億13百万円それぞれ増加した一方で、為替換算調整勘定が11億10百万円、非支配株主持分が25億45百万円それぞれ減少いたしました。
以上の結果、自己資本比率は68.8%と前連結会計年度末と比較し2.7ポイント増加するとともに、1株当たり純資産は1,288円1銭と84円67銭増加いたしました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し4億9百万円増加し556億66百万円となりました。流動資産は10億13百万円増加し407億81百万円となりました。有形固定資産は5億円減少し140億45百万円となりました。無形固定資産は27百万円減少し5億8百万円となりました。投資その他の資産は76百万円減少し3億31百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し11億6百万円増加し206億25百万円となりました。流動資産は10億56百万円増加し186億27百万円となりました。有形固定資産は72百万円減少し8億84百万円となりました。無形固定資産は50百万円増加し76百万円となりました。投資その他の資産は72百万円増加し10億35百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し10億14百万円減少し764億65百万円となりました。流動資産は21億38百万円増加し392億68百万円となりました。有形固定資産は25億82百万円減少し310億31百万円となりました。無形固定資産は1億46百万円減少し15億89百万円となりました。投資その他の資産は4億24百万円減少し45億75百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し9億76百万円減少し17億20百万円となりました。流動資産は7億37百万円減少し9億62百万円となりました。有形固定資産は1億98百万円減少し6億70百万円となりました。無形固定資産は2百万円減少し1百万円となりました。投資その他の資産は39百万円減少し85百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、当連結会計年度の期首と比較し6億円増加し、571億8百万円となりました。なお、当連結会計年度は、現金及び現金同等物に係る換算差額により2億41百万円減少しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ13億2百万円収入が減少し162億12百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益164億62百万円、減価償却費56億22百万円、受取利息及び受取配当金9億26百万円、売上債権の増加額8億73百万円、仕入債務の減少額11億68百万円、前受金の増加額19億52百万円、法人税等の支払額34億53百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ14億69百万円支出が減少し72億63百万円の支出となりました。主な支出は、定期預金の預入による支出50億60百万円、有形固定資産の取得による支出49億8百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ19億96百万円支出が増加し81億6百万円の支出となりました。主な支出は、配当金の支払額30億23百万円、自己株式の取得による支出14億87百万円、子会社の自己株式による支出27億88百万円であります。
(キャッシュ・フロー関連指標)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、加工処理費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、配当金の支払、運転資金及び設備投資資金等であります。
当連結会計年度は、有形固定資産の取得49億8百万円、法人税等の支払額34億53百万円、配当金の支払30億23百万円、子会社の自己株式の取得による支出27億88百万円等の資金需要がありました。また、現金及び預金同等物の期末残高は、期首に比べ6億円増加いたしました。有利子負債は当連結会計年度は3億15百万円減少しております。
基本的に運転資金については、期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社で運転資金として使用する現地の通貨で調達しております。設備投資資金については、原則として自己資金を利用しておりますが、一部では借入金によるものがあります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その適用においては、過去の実績等を勘案して将来の見積りを計上することが必要とされる場合があります。特に連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要とする項目は以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (追加情報)」に記載しております。
①完成工事高
完成工事高の計上は工事完了まで一定期間を要し、かつ成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事進行基準対象工事につきましては将来の発生原価を合理的に見積っておりますが、現場の状況の変化、市場環境の変化、原材料価格の変動等の要因によりその見積り額が変動した場合は工事損益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸倒引当金
売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財政状態が悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③有形固定資産
償却資産に関しては、一般に公正妥当と認められる減価償却方法に基づき実施しております。また、固定資産の減損に係る会計基準に従い、減損損失の認識と測定を実施しておりますが、資産の市場価格の見積りや将来キャッシュ・フローの見積りは、合理的な仮定や予測に基づいて算出するため、当社グループによる見積りより悪化した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
④投資有価証券
当社グループは金融機関及び販売、仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しております。なお、将来の市況悪化や投資先の業績不振等、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、期待収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれます。当社及び一部の連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は安全性の高い長期債券をもとに算出しています。期待収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を勘案し計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来の費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(1) 技術導入契約
(2) 代理店契約
(3) 資本・業務提携
当社グループは技術立社として、「金属表面処理技術の経験を活かして自動車・鉄鋼業等を中心に産業に貢献すべく、あらゆる素材の表面改質の分野で市場における技術的な優位性を維持し、世界のリーダーたる」ことを基本方針に掲げ、国内外関係会社の技術開発部門が連携し、先進性と独創性に秀でる表面処理技術の開発を進め、その地位を確固たるものにするために日々努力しております。
当社グループの事業領域は、表面処理薬剤の製造販売を中心とする薬品事業領域、防錆加工及び熱処理加工を行う加工事業領域の2つに大別されます。これら事業領域を網羅した基礎的な研究開発については総合技術研究所を中心として推進されており、同所が技術開発の発信拠点となっております。一方、東日本・西日本の各地域の技術センター、加工技術センターや防錆材料開発センターは、顧客により近い立場での応用開発を行っております。市場ニーズの急激な変化へ対応するために、シーズ開発から製品開発までを一貫して行うと共に、グローバルな製品展開を視野に入れ、迅速で柔軟な研究開発体制を構築しております。また、自社の持つコア技術を軸とした新技術創生活動にも力を入れております。更に製品の製造に関しては、多様化する製品群に対し安定した品質を保証できる製造技術の開発を製造技術センターにおいて推進しております。
主な研究開発の概要及び成果は、以下のとおりです。
薬品事業領域では、従来から対象としてきた鉄鋼材料・自動車車体・塑性加工パーツ・非鉄材料といった主な分野で、性能とコストを両立させ、更にグルーバル展開を意識し、環境に配慮した新しい表面処理技術・材料の開発を積極的に進めております。自動車車体の塗装下地分野では、りん酸亜鉛処理に替わる環境負荷の少ない新規化成処理の市場拡大がより進み、次世代に向けた応用開発も同時並行で進めてきました。同じくりん酸亜鉛処理に頼っていた塑性加工用潤滑処理についても、環境対応型の一液型潤滑処理の市場が海外展開を含めて進んでおります。非鉄材料分野では、エアコン用熱交換器に対して新たな機能を付与した皮膜処理剤の開発を進め、家電用エアコンへの市場化を目指しています。また、コア技術を応用して絶縁、断熱、撥水、抗菌といった新たな機能を有する皮膜処理技術を開発することにより、電子部品、日用品、医療機器と言った新規市場分野に対する用途開発を積極的に進め、一部市場化することができました。今後、更なる市場拡大が期待できます。
装置事業領域では、IoT設備管理システム「LEAPS」の実ライン導入により、生産品質向上やコスト低減、設備の予防保全の先進化を推進しております。更に早期実用を可能とする「簡易版LEAPS LE」を開発し、小規模設備への機能特化対応や初期投資を抑えるサブスクリプション利用など、多様化するユーザーニーズにも対応しています。また、新塗装システム(自動塗装機器及び塗装ブース)の開発や、粉体塗装機器においては、メタリック等を含む全種類の塗料で定量供給及びLEAPSのデータ管理を可能とした新流量検知センサーの開発を推進しております。
加工事業領域では、防錆加工分野では耐食性、接着性、意匠性等の様々な要求に対応する化成処理や、めっき処理技術等の開発を行っております。熱処理分野においては塩浴軟窒化処理“イソナイトLS”の開発及び生産技術的研究を行い事業化につなげました。また、軟窒化と高周波焼入れの複合熱処理等の検討も行っており、その応用技術の実用化を推進しております。
当連結会計年度では、総研究開発費として