(1) 会社の基本方針
当社グループは、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献する」を企業理念に、環境保全への積極的な取り組みを経営における最重点課題の一つとして捉え、表面改質を通じて地球環境の保全に貢献することを経営の基本方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの充実及び社会貢献にも積極的に取り組み、ステークホルダーの皆様と共に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
地球環境問題などの社会課題の重要性が高まるなか、社会と共に持続的な成長を実現していくためには、SDGsを始めとする社会課題の解決に取り組むことが不可欠と考え、2030年のあるべき企業像と成長の道筋を示した長期ビジョン「Vision2030」を策定しております。「Vision2030」では、表面改質のスペシャリストとして「表面改質技術を通じて、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する」を目標に、あらゆる素材の表面に、多様な機能を付加する技術の研究開発に取り組んでまいります。
第4次グループ中期経営計画では、当社グループが取り組むべき6つの重要課題を選定し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進する他、成長戦略、社会課題解決、企業変革の3つを柱として、Vision2030の実現に向けた経営基盤の強化に取り組みます。
また、2050年のカーボンニュートラルに向けては、2030年までに、当社単体でCO2排出量を30%削減することを目標として、再生エネルギーの利用拡大など、製造および加工段階でのCO2の削減に取り組む他、工程短縮や低温処理などを通じてCO2削減に寄与する製品(PALLUCID、PULS)の拡販などを推進し、サプライチェーン全体でのCO2削減にも取り組みます。
当社は1928年に創業し、2028年に創業100周年を迎えますが、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献する」という企業理念のもと、これまで以上の大きなチャレンジに果敢に取り組み、社会と共に持続的な成長・発展を目指してまいります。
(3) 目標とする経営指標
(第4次グループ中期経営計画:2025年3月期の目標)
・売 上 高 1,300億円
・営 業 利 益 169億円
・経 常 利 益 195億円
・売上高営業利益率 13%以上
・売上高経常利益率 15%以上
・自己資本利益率(ROE) 8~10%以上
(4)会社が対処すべき課題
2023年3月期における日本および世界経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大やウクライナ情勢の動向、中国の景気減速懸念などリスク要因も多く、急激な為替変動やエネルギー価格の上昇など懸念材料もあり、国内外ともに依然として先行き不透明な状況が続くと予想されますが、販売価格への転嫁や原価低減により、適正なマージンを確保できるように取り組んでまいります。
また、中長期的には、主要な供給先である自動車産業においては、グローバル競争の激化による価格低下及び国内市場の成熟等による需要減少リスクに加え、脱炭素社会に向けた自動車の電動化への取り組みがグローバルで加速しております。そのような市場環境のなか、当社グループの持続的な企業価値の向上には、既存事業の収益力強化と将来を見据えた技術開発が不可欠と考えており、Vision2030の実現に向けて、以下の取り組みを推進してまいります。
① 新規分野の開拓
自動車及び鉄鋼などの伝統的な市場だけでなく、医療機器、電子部品、航空宇宙、ヘルスケア、家庭用品など、新規市場及び新規分野への参入拡大を推進してまいります。
② 既存分野の深耕
次世代自動車に対応した技術開発、環境対応型製品及び高機能製品の開発など、社会のニーズに合わせた製品開発や技術開発により、既存分野の深耕を図ってまいります。
③ グローバル展開の加速
事業活動の更なるグローバル化を推進し、グループ総合力を活かして、社会課題の解決に貢献するソリューションをグローバルに提供する体制を強化してまいります。
④ グループ・ガバナンスの強化
中長期的な企業価値の向上に向けて、グローバルな事業活動を支えるためのグループ・ガバナンスの強化に取り組みます。
⑤ 多様な人材の活躍推進
イノベーションの創出と海外事業の拡大による持続的な成長を実現するため、ダイバーシティ経営をグローバルに推進し、多様な人材の活躍促進とグローバル人材の育成・確保に積極的に取り組みます。
(5)コーポレート・ガバナンス強化による企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み
当社では、上場会社として社会的な使命と責任を果たし、継続的な成長・発展を目指すためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題であると考えております。
この考えに基づき、(ⅰ)取締役会による重要な意思決定と職務の監督、(ⅱ)グループ全般を視野においた経営管理体制による意思決定の迅速化、(ⅲ)監査等委員による取締役の職務執行の監査、(ⅳ)社長直轄の内部監査室による内部監査の実施、(ⅴ)化学メーカーとしての責任である製商品に関する安全性確保、品質保証、環境対応及び法令遵守を全社統合的に推進する組織の編成、(ⅵ)コンプライアンス委員会・リスク管理委員会の設置、リスク管理規程・子会社管理規程の整備等の施策を実行しております。
当社グループの財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、自動車、鉄鋼、金属・非鉄金属、建築・建材、電子部品等の様々な業界へ表面処理に関する製品及びサービスを提供しており、特定の取引先数社に集中することはありませんが、日本、アジア、欧米と様々な地域で事業活動を展開しており、各国・地域における景気低迷等及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
薬品事業においては、主として日本及びアジアにおいて、様々な業界に金属表面処理薬剤を提供しておりますが、主に自動車・鉄鋼業界等の需要状況に影響を受けます。
装置事業においては、主として日本及びアジアにおいて、自動車生産及び一般産業向けに、前処理・塗装装置プラントの設計・販売等を行っておりますが、装置事業の売上は、顧客の設備投資需要に影響を受け、年度により、業績が大きく変動する可能性があります。
加工事業においては、日本及びアジア並びに北米において、防錆加工と熱処理加工を中心に行っておりますが、主に自動車、金属、機械業界等の需要状況に影響を受けます。
また、当連結会計年度における世界経済は、各国の経済対策やワクチン接種の進展により経済・社会活動の正常化が進み、概ね回復基調で推移しましたが、半導体不足等の供給制約により後半は回復ペースが鈍化し、足元では、原材料価格の急騰、急激な為替変動、ウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格の上昇などの懸念材料もあり、先行きは不透明な状況となっております。当社グループでは、急激な需要変動にも対応できるように、柔軟な生産体制の整備に努めておりますが、国内外の経済情勢の変化により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業は、競合他社との差別化が重要なファクターであり、クロムフリー薬剤等の環境対応型薬剤の開発、様々な用途開発、顧客との共同研究等を推進し、差別化技術の開発及び将来を見据えた研究開発に取り組んでおります。
表面処理のスペシャリストとして、時代を先取りした迅速で柔軟な研究開発により、他社技術と差別化できる技術の開発、新規市場の開拓等を進めておりますが、新技術のトレンドや顧客ニーズの予測及び対応を誤り、競合他社が当社を上回る高品質で安価な製品又はサービスを実現した場合、収益性やシェアが低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、表面処理薬剤メーカーとして、りん酸をはじめとする多くの原材料を国内及び海外から仕入れております。原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めておりますが、特定の地域からの輸入に頼る原料をはじめ、高度な技術により合成された化合物等、供給元が限定されている原料もあります。
サプライヤーチェーンBCP対応の推進に取り組んでおりますが、サプライヤーの被災、事故、倒産等による原材料の供給中断、需要の急増による供給不足等、予期せぬ事象が発生した場合、製品の安定的な製造・販売体制に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、ISO9001、IATF16949等認証取得を積極的に進める等、各拠点において、厳格な管理基準に従って製品製造及び受託加工等を行っております。
お客様に高品質な製品をタイムリーに提供できるように、要求された品質レベルを確保すべく、工程管理、監査、教育の強化等、未然防止活動の徹底を行っておりますが、全ての製品等について不良又は不具合等が発生しないという保証はありません。製造・輸送・保管等の過程における予期せぬトラブルによって、不良又は不具合等が発生した場合、顧客企業への補償や対策費用等の発生に加え、市場における信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、製品の製造及びサービスを提供するに際して、その全てのプロセスに万全の安全衛生管理体制を構築することを目標としています。具体的には、労働安全衛生法をはじめとした関連法規制の遵守徹底とともに、企業としての安全配慮義務の履行と、それらに基づく安全衛生活動を実施しております。その活動事例としては、各事業場における巡視や関連法規制の遵守状況の監査、計画的な安全衛生教育等があります。
しかしながら、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(6) 環境保全
当社グループは、表面処理薬剤の製造及び加工処理等サービス提供のプロセスにおいて、大気、水質、土壌等の汚染防止や有害物質、廃棄物の管理等、環境保全に関連する法規制は全てこれを遵守しております。また環境保全に関連するものとしてはISO14001(環境ISO)の認証維持及びその要求事項に沿った活動も推進しております。
ただし、不測の事態により事業活動に起因する環境汚染等が発生した場合には、そのことによる経済的な損失や社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(7) 公的規制等
当社グループ及び当社グループの顧客企業が事業を行うにあたり、化学物質等の取り扱いにおける国内法規、製品や原料の輸出入に関わる国内外の法規、更にREACH規則、TSCA、RoHS規制等の化学物質に係る様々な海外の法規を遵守する必要があります。
事業の継続及び機会の確保のため、こうした法規に関する情報収集と対策を積極的に進めておりますが、これらの法令等の改正や強化がされた場合には、事業活動が制限される、あるいは事業機会を逸し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、長年にわたって蓄積した技術を活用し、他社技術と差別化できる技術の開発と他社の知的財産権侵害の回避を行っておりますが、当社グループが独自に開発した技術の一部は、知的財産権による保護が不可能な場合又は限定的にしか保護されない場合があります。
当社グループは、保有する知的財産権の適切な保護及びノウハウ等の管理に努めていますが、当社グループの技術の模倣等によって第三者が類似した製品を製造することやコスト競争力のある製品を開発することを効果的に防止できない可能性があり、これらによって当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、将来の成長には、新製品の開発力を高めるための研究、技術及びノウハウの伝承、事業のグローバル展開が不可欠であり、これらに携わる人材の確保が重要な経営課題のひとつです。
「企業は人なり」の精神の下に、有能なエンジニアや将来の経営幹部等の確保と育成に力を入れております。また、多様な国籍の人材採用や経験者の通年採用を実施しております。しかしながら、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、りん酸他の金属塩類、無機物、有機物、その他用途別の様々な原材料を仕入れており、これらの原材料の仕入価格は、国際的情勢による需給バランス、為替レート、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)の相場等の影響を受けて変動します。
原材料価格の上昇局面においては、原価低減策によるコスト引き下げと製品価格への転嫁等を図ることにより、適正な利益の確保に努めております。原材料の種類は非常に多く、商社等を経由した輸入も多いため、原材料価格の変動が業績に与える影響を画一的に予想することはできませんが、急激な原材料価格の高騰は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(11) 事業投資等
当社グループは、「表面改質のスペシャリストとして真のグローバルカンパニーを目指す!」を経営ビジョンとして、持続的成長のために、グローバルに積極的な設備投資やM&Aを進めております。
重要な投資案件については、取締役会において、事業性を評価の上、決定するとともに、定期的に事業の進捗状況を確認し、必要に応じて、今後の方向性や業績改善の為の対策を検討していますが、想定外の市場環境の悪化等により、利益計画を大幅に下回った場合、設備投資により計上した有形固定資産やM&Aにより計上したのれん等の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、海外に多数の在外子会社を有しております。在外子会社は、原則として、その会社が属する国又は地域の通貨によって財務諸表を作成しており、連結財務諸表の作成過程において、資産及び負債は連結決算日の直物為替相場により円換算し、収益及び費用は期中平均相場により円換算されております。
在外子会社は、米ドル圏だけでなく、アジア各国等様々な通貨圏で事業活動を行っており、為替換算レートの変動による影響を画一的に予測することはできませんが、一般的には、円高の場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安の場合は好影響を及ぼします。
当社グループは、海外市場での事業拡大を成長戦略の一つとしていますが、海外では、政治不安、貿易・外貨規制、法令・税制の変更、治安悪化、紛争テロ、戦争、宗教や文化の相違等、様々な政治的、経済的又は法的な制約を伴う可能性があります。
リスク管理の強化やカントリーリスクの情報収集等に努めておりますが、予期せぬ事象の発生等により、事業活動が制限を受けたり、法令等に適合するための費用が増加する等、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、地震や台風等大規模な自然災害、火災等の事故、感染症によるパンデミックの発生時の安全確保と生産活動の中断による損害を最小限に抑えるため、定期的な製造設備の防災点検や防災訓練の他、事業継続計画(BCP)を策定して、早期に事業復旧できるように準備を行っております。
しかしながら、予期せぬ大規模な自然災害等が発生した場合には、人的、物的損害による事業活動の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症に関しましては、国内外におけるワクチン接種の進展等により、経済活動は正常化しつつありますが、変異株の発生などもあり、感染の再拡大や経済活動の自粛に伴う消費の低迷や景気の悪化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、各国の経済対策やワクチン接種の進展により経済・社会活動の正常化が進み、概ね回復基調で推移しましたが、半導体不足等の供給制約により後半は回復ペースが鈍化しました。また、日本経済におきましても、海外の景気回復を受けた輸出増加や企業生産・設備投資が持ち直しの動きを見せ、回復基調が継続しましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原材料価格の急騰により後半は足踏み状態となりました。足元では、急激な為替変動やウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格の上昇など懸念材料もあり、国内外ともに先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの主要な供給先であります自動車業界では、期前半は景気回復に伴う旺盛な需要を背景に、生産・販売ともに回復基調で推移しておりましたが、徐々に半導体不足等による生産調整の影響が出始め、期後半では世界の主要国で自動車生産台数が前年を下回る月が続きました。もう一つの柱であります鉄鋼業界では、製造業の生産回復に伴い鋼材需要は総じて回復基調で推移し、国内外の年間粗鋼生産量は前年を上回る水準となりました。一方で、足元では部品供給不足等による製造業の生産調整を背景に、国内の粗鋼生産量は前年割れする月が続いており、鋼材需給はやや緩和傾向にあります。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、2028年の創業100周年へ向け、当社の企業理念を実現し、持続可能な社会の実現に貢献するため、新たに「Vision2030」を策定いたしました。Vision2030では、「あらゆる表面をカガクで変える」をキャッチフレーズに、あらゆる素材に、様々な機能を付与する表面改質技術の開発に取り組み、コア事業である、薬剤、装置、加工の3つの事業領域で、社会課題の解決に貢献し、社会と共に持続可能な成長・発展を目指しております。「既存分野の深耕と新規分野の開拓」「グローバル展開の加速」「グループ・ガバナンスの強化」「多様な人材の活躍推進」を基本戦略として掲げ、新たな成長ステージを目指した諸施策を推進しております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高は1,177億52百万円(前年同期比17.8%増)となりました。事業の種類別セグメント毎の売上高は、前年同期に比べ薬品事業が14.8%、装置事業が36.6%、加工事業が14.6%の増収、その他が11.8%の減収となりました。また、地域別セグメントは、国内が8.9%、アジアが37.2%、欧米が8.5%といずれも増収となりました。
営業利益は133億70百万円(前年同期比25.2%増)と、売上高の増加に伴い増益となりました。経常利益は170億3百万円(前年同期比19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億46百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は1億95百万円、売上原価が1億36百万円、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益が58百万円それぞれ増加しております。
この結果、当連結会計年度の総資産経常利益率(ROA)は7.6%と前年同期と比べ1.1ポイント増加いたしました。また、自己資本利益率(ROE)は5.8%と前年同期と比べ1.0ポイント減少いたしました。
海外業績の換算による損益計算書に与える影響額は、売上高で22億99百万円程度の増収、営業利益で1億82百万円程度の増益となっています。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
外部顧客に対する売上高は466億31百万円(前年同期比14.8%増)となり、営業利益は76億56百万円(前年同期比20.0%増)となりました。当事業部門は、あらゆる産業分野における素材の洗浄、防錆、塗装下地、潤滑、意匠などを目的とした表面処理剤の製造・販売と、これにともなう最新のノウハウ、技術サポートを提供しております。当期は主要顧客による生産調整の影響があったものの、金属表面処理剤の販売は前期後半からの回復基調が継続したため、売上高は期を通じて順調に推移しました。一方で、営業利益については、前年同期比では増益となったものの、リン酸、ニッケルなど主要原材料の価格急騰の影響などにより、四半期ごとに減少幅が大きくなり収益性は悪化しました。地域別では、国内および中国・タイ・インドネシア・インドなどアジア地域での販売回復が大きく、薬品事業全体としては増収増益となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高と売上原価はそれぞれ4億60百万円減少しております。
装置事業
外部顧客に対する売上高は239億14百万円(前年同期比36.6%増)となり、営業利益は1億51百万円(前年同期比64.7%減)となりました。当事業部門は、輸送機器業界を中心に前処理設備、塗装設備及び粉体塗装設備などを製造・販売しております。国内外ともに設備投資持ち直しの動きが見られ、自動車メーカー向け前処理装置の工事が進捗するなど順調に推移し、売上高は増収となりました。主に国内およびタイ、インドの販売回復が目立ちました。収益面では、鋼材価格の上昇やオミクロン株の感染拡大による工期の遅れなどが影響し、営業利益は減益となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は5億15百万円、売上原価は4億60百万円、営業利益は54百万円それぞれ増加しております。
外部顧客に対する売上高は448億20百万円(前年同期比14.6%増)となり、営業利益は67億81百万円(前年同期比30.3%増)となりました。当事業部門は、金属の強度や耐久性を高める「熱処理加工」、潤滑性・高密着性などの機能性を付与する「防錆加工」、素材表面に薄膜金属を被膜することで高耐食性、耐摩耗性などを付与できる「めっき処理」などの表面処理の加工サービスを提供しております。北米地域では苦戦を強いられましたが、国内および中国・タイ・インドネシア・ベトナムなどのアジア地域では、主要取引先である自動車部品メーカーの生産回復に伴い順調に推移し、加工事業全体では増収増益となりました。
外部顧客に対する売上高は23億87百万円(前年同期比11.8%減)となり、営業利益は29百万円(前年同期比24.2%減)となりました。当事業部門は、ビルメンテナンス事業、太陽光発電事業などを営んでおります。ビルメンテナンス事業では大型の大規模修繕工事を複数件受注したことにより増収となりましたが、前期末にボルトの製造・販売をしている会社を売却したことにより、全体としては減収減益となりました。また、ライフサイエンス事業として、前期より一般消費者向けに抗菌剤「Pal-feel」の販売を開始しました。併せて、医療機器への参入を進めており、自社開発のコーティング技術により、血液や生体組織の付着を低減した電気メス部品「CHIDORI」の製造販売やカテーテルガイドワイヤーの表面処理加工を行っております。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億39百万円、売上原価は1億36百万円、営業利益は3百万円それぞれ増加しております。
第3次グループ中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である2022年3月期は、各国の経済対策やワクチン接種の進展により経済・社会活動の正常化が進み、概ね回復基調で推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響、半導体不足による自動車生産台数の減少、原材料価格の高騰等により、数値目標は未達となりました。
(単位:百万円)
2023年3月期を初年度とする第4次グループ中期経営計画では、成長戦略、社会課題解決、企業変革の3つを柱として、Vision2030の実現に向けた経営基盤の強化に取り組んでまいります。
当社グループは主として販売計画に基づいた見込生産及び短納期での受注生産によっております。そのため、生産実績及び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 財政状態
(資産の部)
資産合計は、前連結会計年度末と比較し87億72百万円増加し2,289億82百万円となりました。流動資産は114億69百万円増加いたしました。主な要因としては、現金及び預金が88億69百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末においては受取手形及び売掛金)が20億92百万円それぞれ増加したことなどが挙げられます。固定資産は26億97百万円減少いたしました。主な要因としては、有形固定資産が8億72百万円、投資その他の資産が19億2百万円それぞれ減少したことなどが挙げられます。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末と比較し22億33百万円減少し413億9百万円となりました。流動負債は3億78百万円減少いたしました。主な要因としては、支払手形及び買掛金が1億72百万円増加した一方で、前受金が17億30百万円減少したことなどが挙げられます。固定負債は18億54百万円減少いたしました。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末と比較し110億5百万円増加し1,876億73百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が57億93百万円、為替換算調整勘定が37億84百万円、非支配株主持分が22億11百万円それぞれ増加したことなどが挙げられます。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の当期首残高へ与える影響額は軽微であります。
以上の結果、自己資本比率は70.0%と前連結会計年度末と比較し1.2ポイント増加するとともに、1株当たり純資産は1,366円47銭と78円46銭増加いたしました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し63億25百万円増加し619億91百万円となりました。流動資産は67億10百万円増加し474億92百万円となりました。有形固定資産は2億57百万円減少し137億87百万円となりました。無形固定資産は44百万円増加し5億53百万円となりました。投資その他の資産は1億72百万円減少し1億58百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し20億26百万円減少し185億98百万円となりました。流動資産は21億53百万円減少し164億74百万円となりました。有形固定資産は82百万円増加し9億66百万円となりました。無形固定資産は18百万円減少し57百万円となりました。投資その他の資産は63百万円増加し10億99百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し12億22百万円減少し776億88百万円となりました。流動資産は26億67百万円増加し419億36百万円となりました。有形固定資産は8億19百万円減少し302億12百万円となりました。無形固定資産は1億3百万円増加し16億92百万円となりました。投資その他の資産は7億28百万円減少し38億47百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し37百万円増加し17億58百万円となりました。流動資産は1億3百万円増加し10億65百万円となりました。有形固定資産は67百万円減少し6億3百万円となりました。無形固定資産は0百万円減少し1百万円となりました。投資その他の資産は1百万円増加し87百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、当連結会計年度の期首と比較し49億75百万円増加し、620億83百万円となりました。なお、当連結会計年度は、現金及び現金同等物に係る換算差額により14億55百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ19億30百万円収入が減少し142億81百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益158億45百万円、減価償却費59億12百万円、法人税等の支払額47億47百万円、前受金の減少額17億64百万円、減損損失12億60百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ6億7百万円支出が減少し66億55百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出42億32百万円、定期預金の預入による支出39億54百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ40億1百万円支出が増加し41億5百万円の支出となりました。これは主に、配当金の支払額32億42百万円の影響によるものです。
(キャッシュ・フロー関連指標)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、加工処理費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、配当金の支払、運転資金及び設備投資資金等であります。
当連結会計年度は、法人税等の支払額47億47百万円、有形固定資産の取得42億32百万円、配当金の支払32億42百万円等の資金需要がありました。また、現金及び預金同等物の期末残高は、期首に比べ49億75百万円増加いたしました。有利子負債は当連結会計年度は1億5百万円増加しております。
基本的に運転資金については、期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社で運転資金として使用する現地の通貨で調達しております。設備投資資金については、原則として自己資金を利用しておりますが、一部では借入金によるものがあります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その適用においては、過去の実績等を勘案して将来の見積りを計上することが必要とされる場合があります。特に連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要とする項目は以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (追加情報)」に記載しております。
①工事請負契約に係る収益認識
工事請負契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度は、当連結会計年度末までに発生した工事原価を工事原価総額の見積りと比較することにより測定しております。工事原価総額は、必要となる資材や技術員、完成するまでの期間等に基づいて算定いたします。工事契約の着手後に判明する事実の存在、現場の状況の変化、市場環境の変化によって作業内容等が変更される結果、進捗度の測定の前提となる工事原価総額の見積りに影響を与え、工事損益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸倒引当金
売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財政状態が悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③有形固定資産
償却資産に関しては、一般に公正妥当と認められる減価償却方法に基づき実施しております。また、固定資産の減損に係る会計基準に従い、減損損失の認識と測定を実施しておりますが、資産の市場価格の見積りや将来キャッシュ・フローの見積りは、合理的な仮定や予測に基づいて算出するため、当社グループによる見積りより悪化した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
④投資有価証券
当社グループは金融機関及び販売、仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しております。なお、将来の市況悪化や投資先の業績不振等、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、期待収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれます。当社及び一部の連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は安全性の高い長期債券をもとに算出しています。期待収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を勘案し計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来の費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(1) 技術導入契約
(2) 代理店契約
(3) 資本・業務提携
当社グループは技術立社として、「金属表面処理技術の経験を活かして自動車・鉄鋼業等を中心に産業に貢献すべく、あらゆる素材の表面改質の分野で市場における技術的な優位性を維持し、世界のリーダーたる」ことを基本方針に掲げ、国内外関係会社の技術開発部門が連携し、先進性と独創性に秀でる表面処理技術の開発を進め、その地位を確固たるものにするために日々努力しております。また、有害物質の代替や低減、ゼロエミッション化など環境負荷の抑制を可能とする技術開発を進め、社会課題にも積極的に取り組んでおります。
当社グループの事業領域は、表面処理薬剤の製造販売を中心とする薬品事業領域、防錆加工及び熱処理加工を行う加工事業領域、表面処理及び塗装に関連する設備機器の製造販売を行う装置事業領域の3つに大別されます。これら事業領域を網羅した基礎的な研究開発については総合技術研究所を中心として推進されており、同所が技術開発の発信拠点となっております。一方、東日本・西日本の各地域の技術センター、加工技術センター、油性製品技術センターや海外技術センターは、顧客により近い立場での応用開発を行っております。市場ニーズの急激な変化へ対応するために、シーズ開発から製品開発までを一貫して行うと共に、グローバルな製品展開を視野に入れ、迅速で柔軟な研究開発体制を構築しております。また、自社の持つコア技術を軸とした新技術創生活動にも力を入れております。更に製品の製造に関しては、多様化する製品群に対し安定した品質を保証できる製造技術の開発を製造技術センターにおいて推進しております。
主な研究開発の概要及び成果は、以下のとおりです。
薬品事業領域では、従来から対象としてきた鉄鋼材料・自動車車体・塑性加工パーツ・非鉄材料といった主な分野で、環境課題にも積極的に取り組んでおり、性能とコストを両立させ、環境に配慮した新しい表面処理技術・材料の開発を進めております。自動車車体の塗装下地分野では、りん酸亜鉛処理に替わる環境負荷の少ない新規化成処理のグローバル展開を進めており、次世代に向けた応用開発も同時並行で行っています。同じくりん酸亜鉛処理に頼っていた塑性加工用潤滑処理についても、環境対応型の一液型潤滑処理の市場が海外展開を含めて進んでおります。非鉄材料分野では、エアコン用熱交換器に対して新たな機能を付与した皮膜処理剤の開発を進め、家電用エアコンへの市場化を目指しています。また、コア技術を応用して絶縁、断熱、撥水、抗菌といった新たな機能を発現する皮膜処理技術の開発や新たなコア技術を創生することによって、電子部品、日用品、医療機器といった新規市場分野に対する用途開発を積極的に進めています。今後、更なる市場拡大が期待できます。
装置事業領域では、開発部門を集結し技術開発センターを設立いたしました。環境負荷を軽減し塗装効率を上げる塗装ブースシステムの開発をはじめ、IoT設備管理システムでは、予防保全機能・予兆監視機能を強化した「新型粉体塗装機専用のLEAPS CPPA(シッパ)」を開発し、更に火災等を防止する安全監視システムの開発を新たに推進しております。また、船橋実験センターをリニューアル中であり、完成後にはお客様に新しい塗装システム・IoT環境・塗装機器を体感して頂ける展示室を併設し、さらなる新しいニーズに応えることのできる開発体制を構築してまいります。
加工事業領域では、防錆加工分野では耐食性、接着性、意匠性等の様々な要求に対応する化成処理や、めっき処理技術等の開発を行っております。熱処理分野においては塩浴軟窒化処理“イソナイトLS”の開発及び生産技術的研究を行い事業化につなげました。また、軟窒化と高周波焼入れの複合熱処理等の検討も行っており、その応用技術の実用化を推進しております。
当連結会計年度では、総研究開発費として