(1)業績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境については、世界の景気は緩やかに回復しましたが、経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響、原油価格の動向などに留意すべき状況が続きました。北米及び欧州においては、景気回復が緩やかに継続しました。アジアにおいては、景気持ち直しの動きがみられました。国内においては、緩やかな回復基調が続きました。
このような事業環境の中、当連結会計年度の売上高は、出荷が堅調に推移したことなどにより、789,427百万円と前年同期比5.1%の増収となりました。
営業利益は、高付加価値製品の伸長やコストダウンが原料価格上昇などのマイナス影響をカバーし、56,483百万円と前年同期比4.2%の増益となりました。
経常利益は、営業利益の増加や金融収支の改善などにより、56,960百万円と前年同期比2.1%の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の減少などにより、38,603百万円と前年同期比11.0%の増益となりました。
以上の結果、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高益を更新しました。
(単位:百万円)
|
セグメント |
売上高 |
営業利益 |
||||
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
|
|
プリンティングインキ |
365,189 |
373,666 |
+2.3% |
18,363 |
17,447 |
△5.0% |
|
ファインケミカル |
128,176 |
135,420 |
+5.7% |
14,430 |
17,355 |
+20.3% |
|
ポリマ |
180,935 |
197,883 |
+9.4% |
19,642 |
19,608 |
△0.2% |
|
コンパウンド |
61,119 |
64,680 |
+5.8% |
4,975 |
4,989 |
+0.3% |
|
アプリケーション マテリアルズ |
55,675 |
56,077 |
+0.7% |
1,867 |
2,598 |
+39.2% |
|
その他、全社・消去 |
△39,656 |
△38,299 |
- |
△5,095 |
△5,514 |
- |
|
計 |
751,438 |
789,427 |
+5.1% |
54,182 |
56,483 |
+4.2% |
各セグメントの業績は次のとおりです。前年同期比の( )内の数値は、現地通貨ベースでの増減比を表しています。なお、プリンティングインキセグメントの業績にはセグメント内の地域間取引が含まれており、合計金額は前述の業績数値と一致しません。
[プリンティングインキ]
・日本 売 上 高: 77,139百万円 前年同期比 △ 3.3%
営業利益: 3,938百万円 前年同期比 △22.5%
パッケージ用インキは出荷が堅調に推移しましたが、出版用インキ及び新聞用インキの需要減少などにより、減収となりました。
営業利益は、上記の売上状況などにより、大幅な減益となりました。
・米州・欧州 売 上 高: 241,103百万円 前年同期比 + 3.6% (+ 1.4%)
営業利益: 9,534百万円 前年同期比 +12.9% (+16.5%)
北米では、出版用インキ及び新聞用インキの需要は減少しましたが、パッケージ用インキの出荷が伸びたことなどにより、前年同期並となりました。欧州では、出版用インキ及びパッケージ用インキの堅調な出荷が新聞用インキの需要減少をカバーし、増収となりました。中南米では、パッケージ用インキの出荷が好調に推移し、増収となりました。以上の結果、増収となりました。
営業利益は、上記の売上状況や合理化などにより、増益となりました。
・アジア・オセアニア 売 上 高: 64,827百万円 前年同期比 + 5.3% (+ 2.2%)
営業利益: 4,010百万円 前年同期比 △17.2% (△19.8%)
中国では、パッケージ用インキは出荷が堅調に推移しましたが、出版用インキ及び新聞用インキの需要減少などにより、減収となりました。東南アジアでは、出版用インキ及びパッケージ用インキの出荷が伸長したことにより、増収となりました。オセアニアでは、新聞用インキの需要減少などにより、減収となりました。インドでは、出版用インキ及びパッケージ用インキの出荷が好調であったことにより、増収となりました。以上の結果、全体としては増収となりました。 営業利益は、上記の売上状況ながら原料価格上昇の影響などにより、減益となりました。
[ファインケミカル]
売 上 高: 135,420百万円 前年同期比 + 5.7% (+ 3.5%)
営業利益: 17,355百万円 前年同期比 +20.3% (+18.3%)
顔料は、カラーフィルタ用などの機能性顔料の出荷が伸長しましたが、その他顔料の需要減少を受け、減収となりました。TFT液晶は、出荷が順調に拡大したことにより、大幅な増収となりました。以上の結果、全体としては増収となりました。
営業利益は、品目構成の改善などにより、大幅な増益となりました。
[ポリマ]
売 上 高: 197,883百万円 前年同期比 + 9.4% (+ 8.4%)
営業利益: 19,608百万円 前年同期比 △ 0.2% (△ 0.7%)
国内では、高付加価値製品やポリスチレンなどの出荷が伸長したことにより、増収となりました。海外では、出荷が総じて伸長したことにより、大幅な増収となりました。以上の結果、増収となりました。
営業利益は、原料価格上昇の影響を受けたものの、上記の売上状況などにより、前年同期並となりました。
[コンパウンド]
売 上 高: 64,680百万円 前年同期比 + 5.8% (+ 4.8%)
営業利益: 4,989百万円 前年同期比 + 0.3% (+ 0.9%)
PPSコンパウンドは、出荷が好調に推移したことにより、増収となりました。ジェットインキは、出荷が順調に拡大し、増収となりました。以上の結果、増収となりました。
営業利益は、原料価格の上昇や先行投資による費用増を上記の売上状況などでカバーし、前年同期並となりました。
[アプリケーションマテリアルズ]
売 上 高: 56,077百万円 前年同期比 + 0.7% (+ 0.4%)
営業利益: 2,598百万円 前年同期比 +39.2% (+38.9%)
工業用粘着テープや中空糸膜モジュールなどの出荷が伸長し、増収となりました。
営業利益は、品目構成の改善やコストダウンなどにより、大幅な増益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
[営業活動によるキャッシュ・フロー] 54,196百万円(前連結会計年度 62,504百万円)
当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が54,829百万円、減価償却費が31,524百万円となりました。また、法人税等に12,294百万円を支払い、運転資本の増加により7,484百万円の資金を使用しました。以上の結果、営業活動により得られた資金の総額は54,196百万円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー] △58,938百万円(前連結会計年度 △32,202百万円)
当連結会計年度は、設備投資に33,584百万円、関係会社株式及び出資金の取得により27,209百万円の資金を使用しました。一方で、有形固定資産の売却により2,103百万円を取得しました。以上の結果、投資活動に使用した資金の総額は58,938百万円となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー] 11,375百万円(前連結会計年度 △26,852百万円)
当連結会計年度は、借入等により26,073百万円の資金を調達した一方で、剰余金の配当として11,376百万円を支払いました。以上の結果、財務活動により得られた資金の総額は11,375百万円となりました。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメント |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
プリンティングインキ |
354,829 |
105.2 |
|
ファインケミカル |
128,749 |
107.1 |
|
ポリマ |
223,796 |
109.1 |
|
コンパウンド |
71,833 |
107.3 |
|
アプリケーションマテリアルズ |
26,343 |
105.4 |
|
報告セグメント計 |
805,550 |
106.8 |
|
その他 |
- |
- |
|
計 |
805,550 |
106.8 |
(注)1.生産実績は期中平均販売価格により算出しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 受注状況
主に見込生産によっています。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメント |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
プリンティングインキ |
373,666 |
102.3 |
|
ファインケミカル |
100,878 |
110.1 |
|
ポリマ |
193,649 |
109.3 |
|
コンパウンド |
64,605 |
105.8 |
|
アプリケーションマテリアルズ |
56,019 |
100.7 |
|
報告セグメント計 |
788,817 |
105.1 |
|
その他 |
610 |
78.3 |
|
計 |
789,427 |
105.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」の3つの要素から構成される「The DIC WAY」を経営の基本的な考え方としています。
「経営理念」は当社グループが追い求める究極的な「ありたい姿」を、「経営ビジョン」は「経営理念」を実現するために当社グループが進むべき事業の大きな方向性を、「行動指針」は「経営理念」を実現するにあたり当社グループ社員が、常に心に刻み、具体的な行動の道標にすべき行動原則をそれぞれ表しています。
|
The DIC WAY
[経営理念] 絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献する
[経営ビジョン] 化学で彩りと快適を提案する - Color & Comfort by Chemistry -
[行動指針] 進取、誠実、勤勉、協働、共生
|
(2)当社グループの経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境については、世界の景気は緩やかに回復しましたが、経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響、原油価格の動向などに留意すべき状況が続きました。北米及び欧州においては、景気回復が緩やかに継続しました。アジアにおいては、景気持ち直しの動きがみられました。国内においては、緩やかな回復基調が続きました。
このような事業環境の中で、当社グループは、経営理念、経営ビジョン及びコーポレートバリュー(注)を踏まえ、持続的な成長を実現するために、2018年までになすべきことを中期経営計画「DIC108」として策定し、以下の基本戦略を実行していきます。
1.4つの事業施策
・成長牽引事業の拡大
・戦略的投資(M&A等)機会の追求
・成熟地域での更なる合理化
・次世代事業の創出
2.成長投資、財務体質、株主還元の最適バランスを追求するキャッシュフローマネジメント
3.グローバル化・高度化を下支えする経営インフラの整備
(注)当社グループのコーポレートバリュー
・Making it Colorful - DICは彩りある生活をつくります -
・Innovation through Compounding - DICはCompoundingという中核技術で社会に革新をもたらします -
・Specialty Solutions - DICは専門力と総合力で課題を解決していきます -
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現させるため、売上高、営業利益、親会社株主に
帰属する当期純利益、株主資本利益率、D/Cレシオ(注)、配当性向を主な経営指標として用いています。
(注)D/Cレシオ=有利子負債/(有利子負債+純資産)
当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
1.需要業界・地域の動向
当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
2.為替レートの変動
当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。
3.原料調達
当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
4.有利子負債
当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
5.固定資産の減損
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
6.繰延税金資産
当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
7.退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
8.公的規制
当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
9.紛争、訴訟等
当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
10.製品の品質
当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
11.知的財産
当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
12.災害、事故
当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
13.情報管理
当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
14.企業買収、資本提携、事業再構築
当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。
当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D統括本部、さらに技術統括本部とR&D統括本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D統括本部開発品の早期事業化をプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。
また、国内のDICグラフィックス株式会社や、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、印刷インキ技術センター(中国、アジア・パシフィック(AP)地域)、ポリマ技術センター(中国、AP地域)、ファインケミカル技術センター(韓国)、ソリッドコンパウンド技術センター(中国、ドイツ、AP地域)、藻類研究センター(米国)などの技術拠点と一体となり、グローバルに製品・技術の開発を行っています。
一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。
当連結会計年度における研究開発費は、12,427百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,983百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。
(1) プリンティングインキ
環境調和型製品の開発に注力し、米ぬか油の非食用部(廃棄成分)を原料とする食品の包装材料(以下、包材)に用いる表刷りグラビアインキや植物油インキマーク対応高感度UVインキ、また、詰替え包材用に高隠蔽性と物性を両立させたラミネート用白インキなどを開発、販売を開始しました。包材用接着剤においても植物由来原料を使用した新製品を開発しました。
海外ではサンケミカルグループが、植物由来原料を使用した新しい水性インキシステムや、カルトン、フィルムなどの包材用UV LEDインキなどを市場に投入し、また、シュリンクラベル用の自己脱離型接着剤などの開発を進めています。
(2) ファインケミカル
ディスプレイ関連の新製品開発に注力しています。カラーフィルタ用顔料では、ブルー顔料の性能向上に取り組み、市場での実績が拡大しました。液晶材料では、PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性モノマーのサンプルワークを進めています。また、当社独自技術であるナノ相分離液晶ではPSA液晶と同等の透過率を保持したまま応答速度を大幅に改良しました。配向膜が不要な自発垂直配向型n型液晶では新材料のサンプル提供を開始しました。
一方、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキの開発をNanosys社(米国)と共同で進めています。
(3) ポリマ
塗料用樹脂では、遮熱ガラス向けバインダーとして塗装作業性に優れ長期耐久性塗膜を形成するUV硬化型無機-有機複合コート剤や、塗装鋼板(プレコートメタル)用塗料向けに高機能・低VOCのグローバルスタンダード製品を開発したほか、防食塗料用水性エポキシ樹脂の改良を進め、環境規制強化の進む中国市場において実績を拡大しました。また、熱交換器の着霜防止用途や塗料用添加剤として高い滑水性を付与するフッ素系界面活性剤を開発しました。電子材料用途では半導体パッケージ基板材料としてナフタレン型エポキシ樹脂を開発、市場での採用が進みました。
(4) コンパウンド
プリンテッドエレクトロニクス材料では、金属めっき膜の下地となる銀ナノ粒子及び高分子密着層材料を商業化しました。エネルギー関連では、太陽電池バックシート用接着剤を中国、インド市場向けに展開し、また、リチウムイオン電池セパレーター用バインダーを市場に投入しました。PPSコンパウンドでは、米国FDAの規格に適合し食品接触部分に使用可能な新製品を開発、欧州でサンプルワークを開始し、また、高強度・高耐湿熱タイプの新製品を水廻り部品向けに販売開始するとともに、本命の自動車冷却部品用途に向けてサンプルワークを加速しました。繊維用カラーマスターバッチでは、台湾において調色体制を確立、染料代替テーマに取り組み、カラービジネスの拡大を目指しています。
(5) アプリケーションマテリアルズ
工業用粘着テープでは、モバイル機器用に導電性を有する薄型テープを開発、スマートフォン用に採用されました。建材関連では、太陽熱を有効に活用し室内の温度変化を抑える蓄熱シートが住宅メーカーに採用され、さらなる用途展開に取り組んでいます。液体中の溶存気体の除去に使用されている中空糸膜モジュールでは、純水・超純水製造工程におけるイオン交換樹脂の延命に寄与する脱炭酸タイプを開発、販売を開始しました。ヘルスケア関連では、合成着色料からの移行が急速に進む天然系色素市場をターゲットとして、食品用藻類天然色素の次世代製品についてFermentalg社(フランス)との共同開発を開始しました。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境については、世界の景気は緩やかに回復しましたが、経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響、原油価格の動向などに留意すべき状況が続きました。北米及び欧州においては、景気回復が緩やかに継続しました。アジアにおいては、景気持ち直しの動きがみられました。国内においては、緩やかな回復基調が続きました。
このような事業環境の中、当連結会計年度の売上高は、出荷が堅調に推移したことなどにより、789,427百万円と前年同期比5.1%の増収となりました。
営業利益は、高付加価値製品の伸長やコストダウンが原料価格上昇などのマイナス影響をカバーし、56,483百万円と前年同期比4.2%の増益となりました。
経常利益は、営業利益の増加や金融収支の改善などにより、56,960百万円と前年同期比2.1%の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の減少などにより、38,603百万円と前年同期比11.0%の増益となりました。
以上の結果、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高益を更新しました。
当連結会計年度の業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
(現地通貨ベース) |
|
売上高 |
751,438 |
789,427 |
+5.1% |
+3.5% |
|
営業利益 |
54,182 |
56,483 |
+4.2% |
+3.9% |
|
経常利益 |
55,797 |
56,960 |
+2.1% |
- |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
34,767 |
38,603 |
+11.0% |
- |
当連結会計年度の決算に当たり、海外関係会社の現地通貨建て業績を円貨に換算する主な為替レートは下表のとおりです。
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|
前連結会計年度 (平成28年1月~12月) |
当連結会計年度 (平成29年1月~12月) |
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円/USドル |
109.96 |
112.33 |
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は、主に関係会社株式及び出資金の取得や運転資本の増加などにより、前連結会計年度末と比べて66,928百万円増加し、831,756百万円となりました。負債の部は、主に有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末比29,994百万円増の487,805百万円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払などにより、前連結会計年度末比36,934百万円増の343,951百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「1.業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しています。
(4) 次連結会計年度における事業の取り組み
次連結会計年度の経済状況については、国内外において、緩やかに回復していくことが期待されますが、世界経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響、原油価格の動向などに留意する必要があります。
このような状況の下、当社グループでは、引き続き成長牽引事業の拡大や成熟地域での更なる合理化へ取り組んでいきます。