第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものです。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」の3つの要素から構成される「The DIC WAY」を経営の基本的な考え方としています。

 「経営理念」は当社グループが追い求める究極的な「ありたい姿」を、「経営ビジョン」は「経営理念」を実現するために当社グループが進むべき事業の大きな方向性を、「行動指針」は「経営理念」を実現するにあたり当社グループ社員が、常に心に刻み、具体的な行動の道標にすべき行動原則をそれぞれ表しています。

 

The DIC WAY

 

[経営理念]

絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献する

 

[経営ビジョン]

化学で彩りと快適を提案する   - Color & Comfort by Chemistry -

 

[行動指針]

進取、誠実、勤勉、協働、共生

 

(2)当社グループの経営環境及び対処すべき課題

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境については、世界の景気は一部に弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復しました。北米及び欧州においては、景気回復が緩やかに継続しました。アジアにおいては、中国では景気が緩やかに減速している一方で東南アジアやインドでは景気は緩やかに回復しました。国内においては、景気は緩やかに回復しました。

 このような事業環境の中で、当社グループは、2021年度を最終年度とする新中期経営計画「DIC111」を策定しました。当社が目指す事業領域を、成長性、収益性、資本効率等の「経済的価値」と、社会要請を踏まえた「社会的価値」、これら2つの価値が両立する事業領域とし、以下の基本戦略を実行していきます。

 

 1.成長実現にむけたポートフォリオ転換

・Value Transformation

セグメントごとに進むべき事業領域を特定し、質的転換を進めます。

・New Pillar Creation

社会課題、社会変革と当社グループのコンピタンスとの交点を重点領域と定め、次世代事業創出を加速します。

 

 2.グローバル経営、ESG経営を下支えする経営基盤の高度化

 

 3.戦略投資を実行しつつ、財務体質と株主還元とのベストバランスを追求するキャッシュフローマネジメント

 

(3)目標とする経営指標

 新中期経営計画「DIC111」における目標とする経営指標は次のとおりです。

                                 (単位:百万円)

 

2019年度計画

2020年度計画

2021年度計画

売上高

850,000

900,000

950,000

営業利益

52,000

60,000

70,000

売上高営業利益率

6.1%

6.7%

7.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

35,000

37,000

45,000

EBITDA (注)

87,000

91,000

102,000

売上高EBITDA率

10.2%

10.1%

10.7%

ROE

10~12%

(注)EBITDA=親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
 しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

1.需要業界・地域の動向
 当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
 また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

2.為替レートの変動
 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
 また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。

 

3.原料調達
 当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

4.有利子負債
 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

5.固定資産の減損
 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

6.繰延税金資産
 当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

7.退職給付債務
 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

8.公的規制
 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

9.紛争、訴訟等
 当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

10.製品の品質
 当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

11.知的財産

 当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

12.災害、事故

 当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

13.情報管理

 当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

14.企業買収、資本提携、事業再構築

 当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
 また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績

 当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境については、世界の景気は一部に弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復しました。北米及び欧州においては、景気回復が緩やかに継続しました。アジアにおいては、中国では景気が緩やかに減速している一方で東南アジアやインドでは景気は緩やかに回復しました。国内においては、景気は緩やかに回復しました。

 このような事業環境の中、当連結会計年度の売上高は、製品価格の改定や堅調な出荷などにより、805,498百万円と前年同期比2.0%の増収となりました。

 営業利益は、原料価格上昇や物流コスト増の影響に加えて欧州新興国通貨安による換算目減りなどにより、48,385百万円と前年同期比14.3%の減益となりました。

 経常利益は、営業利益の減少などにより、48,702百万円と前年同期比14.5%の減益となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少などにより、32,028百万円と前年同期比17.0%の減益となりました。

 

当連結会計年度の業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

(現地通貨ベース)

売上高

789,427

805,498

+2.0%

3.3%

営業利益

56,483

48,385

△14.3%

△11.4%

経常利益

56,960

48,702

△14.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

38,603

32,028

△17.0%

US$/円(平均)

112.33

110.46

1.7%

EUR/円(平均)

127.03

130.46

+2.7%

 

また、各セグメントの業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメント

売上高

営業利益

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

プリンティングインキ

373,666

380,558

+1.8%

17,447

13,783

△21.0%

ファインケミカル

135,420

132,267

△2.3%

17,355

16,409

△5.5%

ポリマ

197,883

205,818

+4.0%

19,608

17,532

△10.6%

コンパウンド

64,680

65,222

+0.8%

4,989

3,221

△35.4%

アプリケーション

マテリアルズ

56,077

58,479

+4.3%

2,598

3,196

+23.0%

その他、全社・消去

△38,299

△36,846

△5,514

△5,756

789,427

805,498

+2.0%

56,483

48,385

△14.3%

 

 前年同期比の( )内の数値は、現地通貨ベースでの増減比を表しています。なお、プリンティングインキセグメントの業績にはセグメント内の地域間取引が含まれており、合計金額は前述の業績数値と一致しません。

 

 [プリンティングインキ]

  ・日本

売 上 高:

74,380

百万円 前年同期比

△ 3.6%

 

営業利益:

1,834

百万円 前年同期比

△53.4%

 

 出版用インキの需要減少などにより、減収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況に加えて原料価格上昇や物流コスト増の影響などにより、大幅な減益となりました。

 

  ・米州・欧州

売 上 高:

247,226

百万円 前年同期比

+ 2.5%

(+ 6.1%)

 

営業利益:

8,804

百万円 前年同期比

△ 7.7

(+ 9.3%)

 

 北米では、パッケージ用インキが伸長しましたが、出版用インキ及び新聞用インキの需要減少などにより、減収となりました。欧州では、パッケージ用インキの出荷が好調に推移し、増収となりました。中南米では、全品目において増収となりました。以上の結果、全体としてはパッケージ用インキの伸長などにより、増収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況に加えてセキュリティ印刷用インキの売上増などにより現地通貨ベースでは増益となりましたが、トルコリラなど新興国通貨安の影響により、減益となりました。

 

  ・アジア・オセアニア

売 上 高:

67,590

百万円 前年同期比

+ 4.3%

(+ 7.1%)

 

営業利益:

3,218

百万円 前年同期比

△19.8

(△18.6%)

 

 中国及び東南アジアでは、パッケージ用インキ及び出版用インキの出荷が伸長し、増収となりました。オセアニアでは、出版用インキ及び新聞用インキの需要減少などにより、減収となりました。インドでは、全品目において増収となりました。以上の結果、全体としては増収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況ながら原料価格上昇の影響などにより、大幅な減益となりました。

 

 [ファインケミカル]

 

売 上 高:

132,267

百万円 前年同期比

△ 2.3%

(△ 1.8%)

 

営業利益:

16,409

百万円 前年同期比

△ 5.5%

(△ 5.9%)

 

 顔料は、カラーフィルタ用や光輝材などの出荷は伸長しましたが、化粧品用の出荷低調やその他顔料の需要減少などにより、減収となりました。TFT液晶は、製品価格低下の影響などにより、減収となりました。以上の結果、減収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況に加えて中国における環境規制の影響などにより、減益となりました。

 

 [ポリマ]

 

売 上 高:

205,818

百万円 前年同期比

+ 4.0%

(+ 3.8%)

 

営業利益:

17,532

百万円 前年同期比

△10.6

(△10.7%)

 

 国内外でエポキシ樹脂などが電気・電子向けに伸長したことに加えて製品価格の改定が進んだことなどにより、全般的に増収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況ながら製品価格の改定が原料価格上昇スピードに追いつかなかったことなどにより、減益となりました。

 

 [コンパウンド]

 

売 上 高:

65,222

百万円 前年同期比

+ 0.8%

(+ 0.9%)

 

営業利益:

3,221

百万円 前年同期比

△35.4%

(△35.7%)

 

 PPSコンパウンド及びジェットインキの出荷は順調に拡大しましたが、低収益製品の事業縮小などにより、全体としては若干の増収にとどまりました。

 営業利益は、低収益製品の事業縮小に伴う一時的なコスト増や原料価格が上昇したことなどにより、大幅な減益となりました。

 

 [アプリケーションマテリアルズ]

 

売 上 高:

58,479

百万円 前年同期比

+ 4.3%

(+ 4.1%)

 

営業利益:

3,196

百万円 前年同期比

+23.0

(+22.4%)

 

 多層フィルムや中空糸膜モジュールなどの高付加価値製品の出荷が伸長したことなどにより、増収となりました。

 営業利益は、上記の売上状況などにより、大幅な増益となりました。

 

 

②キャッシュ・フロー

 

  [営業活動によるキャッシュ・フロー]     50,990百万円(前連結会計年度    54,196百万円)

 当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が48,836百万円、減価償却費が32,825百万円となりました。また、法人税等に13,080百万円を支払い、運転資本の増加により3,653百万円の資金を使用しました。以上の結果、営業活動により得られた資金の総額は50,990百万円となりました。

 

  [投資活動によるキャッシュ・フロー]   △38,388百万円(前連結会計年度  △58,938百万円)

 当連結会計年度は、設備投資に32,084百万円、子会社株式の取得により11,524百万円の資金を使用しました。一方で、投資有価証券の売却により4,150百万円を取得しました。以上の結果、投資活動に使用した資金の総額は38,388百万円となりました。

 

  [財務活動によるキャッシュ・フロー]   △11,781百万円(前連結会計年度    11,375百万円)

 当連結会計年度は、借入等により1,734百万円の資金を調達した一方で、剰余金の配当として11,375百万円を支払いました。以上の結果、財務活動に使用した資金の総額は11,781百万円となりました。

 

  (キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

 

2016年度

2017年度

2018年度

自己資本比率

(%)

36.4

37.9

37.1

時価ベースの自己資本比率

(%)

44.0

48.5

39.6

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率

(年)

3.9

4.9

5.2

事業収益インタレスト・

カバレッジ・レシオ

(倍)

17.1

16.5

10.3

(注)1.各指標の算式は以下のとおりです。

自己資本比率             :(純資産-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率       :株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  :有利子負債/営業キャッシュ・フロー

事業収益インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業利益+受取利息+受取配当金)/支払利息

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びリース債務を対象にしています。

営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。

また、支払利息については、連結損益計算書の支払利息を使用しています。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(イ) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメント

金額(百万円)

前年同期比(%)

プリンティングインキ

356,562

100.5

ファインケミカル

127,151

98.8

ポリマ

219,748

98.2

コンパウンド

72,850

101.4

アプリケーションマテリアルズ

26,758

101.6

報告セグメント計

803,069

99.7

その他

803,069

99.7

 (注)1.生産実績は期中平均販売価格により算出しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(ロ) 受注実績

 当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

(ハ) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメント

金額(百万円)

前年同期比(%)

プリンティングインキ

380,558

101.8

ファインケミカル

99,659

98.8

ポリマ

201,231

103.9

コンパウンド

65,111

100.8

アプリケーションマテリアルズ

58,427

104.3

報告セグメント計

804,986

102.0

その他

512

84.0

805,498

102.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況の分析

① 経営成績の分析

 

経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。

 

② 財政状態の分析

 

 当連結会計年度の資産の部は、無形固定資産が増加した一方、投資有価証券の売却や為替の影響などにより、前連結会計年度末と比べて26,270百万円減少し、805,486百万円となりました。負債の部は、主に為替の影響により、前連結会計年度末比9,653百万円減の478,152百万円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上した一方、配当金の支払に加えて、株価の下落及び為替の影響などにより、前連結会計年度比16,617百万円減の327,334百万円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 

 キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しています。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式及び出資金の取得、関連会社株式及び出資金の取得等によるものです。今後の設備投資計画等については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載しています。

 これらの資金需要に対して当社グループは、運転資金については、自己資金のほか短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行により、また設備投資等の長期資金については、長期借入金及び社債で調達を行っています。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は264,465百万円です。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は18,631百万円です。

 

(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における中期経営計画「DIC108」の達成状況は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

2016年度実績

2017年度実績

2018年度実績

2018年度計画

売上高

751,438

789,427

805,498

960,000

営業利益

54,182

56,483

48,385

65,000

親会社株主に帰属する

当期純利益

34,767

38,603

32,028

40,000

ROE

12.9%

13.0%

10.4%

12.0%

D/Cレシオ

44.0%

43.6%

44.7%

50%程度

配当性向

27.3%

29.4%

36.9%

30%程度

 次連結会計年度の経済状況については、国内外において、緩やかに回復していくことが期待されますが、通商問題の動向、中国経済の先行き、政策に関する不確実性、金融資本市場の変動などによるリスクに留意する必要があります。

 このような状況の下、当社グループは目標値の達成に向け、製品価格の改定や高付加価値製品の拡販を進めていきます。また、新中期経営計画「DIC111」に基づいて、事業体質の強化と新事業の創出に取り組んでいきます。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。

 当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D統括本部、さらに技術統括本部とR&D統括本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D統括本部開発品の早期事業化をプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。

 また、国内のDICグラフィックス株式会社、サンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)とも連携し、さらに2014年からは、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点として、印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターを整備し、グループが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。

 一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。

 当連結会計年度における研究開発費は、12,923百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,457百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。

 

(1) プリンティングインキ

 グラビアインキではバイオマス系のラミネート用インキを開発しバイオマス認定を取得、包装用接着剤の新製品もバイオマス認定を取得し、バイオマス製品のラインアップの拡充を進めています。また、耐油性、耐水性を付与できる食品紙容器の内面に使用できる水性コーティング剤や、高精細印刷対応のボイル・レトルトパッケージ向け水性フレキソインキ、各種用途向け高感度UVインキなどの環境調和型の製品を市場に投入しました。

海外ではサンケミカルグループが、再生可能な包装材への取り組みを強化しており、植物由来の再生可能な樹脂をベースにした水性インキの新シリーズの拡充を図っています。

 

(2) ファインケミカル

 ディスプレイ関連の新製品開発に注力しており、カラーフィルタ用顔料の輝度向上や、ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶、ディスプレイの高速応答化に有用なナノ相分離液晶、ポリイミド配向膜が不要な自発垂直配向型液晶などの開発に取り組んでいます。また、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキに関しNanosys社(米国)との共同開発を進めています。

 

(3) ポリマ

 電子材料用途では、耐熱性等に優れる半導体封止材向け活性エステル型硬化剤や、半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂を開発しました。特に、厚膜レジスト用樹脂は独自の高分子設計技術とAI技術を駆使し新たなフェノール樹脂骨格を見出すことにより高耐熱性と柔軟性を両立したものです。また、低VOC型コイルコーティング用ハイソリッドポリエステル/アクリルハイブリッド樹脂や各種水性樹脂、無溶剤型樹脂など環境調和型製品の開発に注力しています。

 

(4) コンパウンド

 電気自動車のモータ部品や機能部品用に、PPSコンパウンドの新製品を開発しました。自動車部品用途向けではほかにも、高耐冷熱衝撃性グレード、高流動良耐冷熱衝撃グレードなどのラインアップの拡充を図りました。ジェットインキ関連製品では、サンケミカルグループがテキスタイル用の顔料IJインキを市場に投入しました。プリンテッドエレクトロニクス分野では、高導電性銀インクや銅ナノペーストなどの開発に注力しています。新規分野では、3Dプリンタ向けの成型材料として光造形用コンパウンドの開発が本格化し、歯科分野や工業用分野での成形部品などへの展開に取り組んでいます。

 

(5) アプリケーションマテリアルズ

 工業用粘着テープでは、テープを引き延ばして剥がせる易解体性を付与した両面粘着テープを開発、強接着で剥がせるという機能が大型ディスプレイの固定用として市場の好評価を得ています。多層フィルムでは、透明薄手フィルムとマット調フィルムが菓子パン包装用で、イージーピール型はコンビニの惣菜用容器のシール用で市場実績を拡大しています。ヘルスケア関連では、次世代食用天然着色料の研究にFermentalg社(フランス)と共同で取り組んでいます。