文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
当社グループは「経営理念」「経営ビジョン」「行動指針」の3つの要素から構成される「The DIC WAY」を経営の基本的な考え方としています。
「経営理念」は当社グループが追い求める究極的な「ありたい姿」を、「経営ビジョン」は「経営理念」を実現するために当社グループが進むべき事業の大きな方向性を、「行動指針」は「経営理念」を実現するにあたり当社グループ社員が、常に心に刻み、具体的な行動の道標にすべき行動原則をそれぞれ表しています。
|
The DIC WAY
[経営理念] 絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献する
[経営ビジョン] 化学で彩りと快適を提案する - Color & Comfort by Chemistry -
[行動指針] 進取、誠実、勤勉、協働、共生
|
(2)当社グループの経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境は、世界の景気は全体として緩やかに回復したものの、通商問題や英国のEU離脱など先行きが見通しにくい中で不安定な状態が続きました。北米及び欧州においては、北米で景気の回復が続いた一方で、欧州の景気は弱い回復となりました。アジアにおいては、中国の景気は緩やかな減速が続きましたが、東南アジアや南アジアの景気は弱い動きとなりました。国内においては、景気は緩やかに回復しました。
このような事業環境の中で、当社グループは、2021年度を最終年度とする中期経営計画「DIC111」を策定しました。当社が目指す事業領域を、成長性、収益性、資本効率等の「経済的価値」と、社会要請を踏まえた「社会的価値」、これら2つの価値が両立する事業領域とし、以下の基本戦略を実行していきます。
1.成長実現にむけたポートフォリオ転換
・Value Transformation
セグメントごとに進むべき事業領域を特定し、質的転換を進めます。
・New Pillar Creation
社会課題、社会変革と当社グループのコンピタンスとの交点を重点領域と定め、次世代事業創出を加速します。
2.グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化
3.戦略投資を実行しつつ、財務体質と株主還元とのベストバランスを追求するキャッシュフローマネジメント並びに大型買収案件についての確実な経営統合 (PMI) の推進及びシナジーの追求
(注)大型買収に係る重要な契約については、「4.経営上の重要な契約等」に記載しています。
(3)目標とする経営指標
中期経営計画「DIC111」における目標とする経営指標は次のとおりです。
(単位:億円)
|
|
2019年度計画 |
2020年度計画 |
2021年度計画 |
|
売上高 |
8,500 |
9,000 |
9,500 |
|
営業利益 |
520 |
600 |
700 |
|
売上高営業利益率 |
6.1% |
6.7% |
7.4% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
350 |
370 |
450 |
|
EBITDA (注) |
870 |
910 |
1,020 |
|
売上高EBITDA率 |
10.2% |
10.1% |
10.7% |
|
ROE |
10~12% |
||
(注)EBITDA=親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。
しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
1.需要業界・地域の動向
当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
2.為替レートの変動
当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。
3.原料調達
当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
4.有利子負債
当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
5.固定資産の減損
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
6.繰延税金資産
当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
7.退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
8.公的規制
当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
9.紛争、訴訟等
当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
10.製品の品質
当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
11.知的財産
当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
12.災害、事故
当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
13.情報管理
当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
14.企業買収、資本提携、事業再構築
当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
15.気候変動への対応
当社グループは、事業活動を通じてCO₂排出量の削減に取り組み、気候変動リスクの低減に努めていますが、気候変動に関連する移行リスクや物理的リスクが顕在化する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
気候変動に関する移行リスクとして、脱炭素社会への急速な移行に対応できず、原燃料価格の上昇やこれに伴う電力価格の上昇などに伴うコストの増加により、収益性が低下する可能性があります。物理的リスクとしては、異常気象の深刻化により、生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。
一方で当社グループは、気候変動をビジネスの機会と捉え、低炭素製品・サービスの開発及び普及等に取り組むといった事業活動を通じて、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当連結会計年度の業績は次のとおりです。
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
現地通貨ベース 前年同期比 |
|
売上高 |
8,055 |
7,686 |
△4.6% |
△1.3% |
|
営業利益 |
484 |
413 |
△14.6% |
△8.7% |
|
経常利益 |
487 |
413 |
△15.2% |
- |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
320 |
235 |
△26.6% |
- |
|
EBITDA |
814 |
674 |
△17.2% |
- |
|
US$/円(平均) |
110.46 |
109.11 |
△1.2% |
- |
|
EUR/円(平均) |
130.46 |
122.13 |
△6.4% |
- |
EBITDA:親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当連結会計年度(2019年1月~12月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比4.6%減の7,686億円でした。現地通貨ベースでは1.3%の減収となりました。世界的に景気減速の影響がみられ、電気・電子や自動車向け材料を中心に広範な分野で出荷が落ち込みました。
営業利益は、前年同期比14.6%減の413億円でした。現地通貨ベースでは8.7%の減益となりました。高付加価値製品を中心に出荷数量が落ち込んだことに加えて、一部品目で製品価格が低下したことにより減益となりました。また、円高による海外事業の換算目減りも利益を押し下げました。減益幅は、原料価格の低下や合理化によるコスト削減効果により第1四半期を底に改善しました。特に、中国・東南アジアにおいては第2四半期から増益に転じました。
経常利益は、前年同期比15.2%減の413億円でした。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比26.6%減の235億円でした。事業の効率化に係る特別損益が発生したことに加えて、災害や買収関連の一時費用が発生しました。
EBITDAは、前年同期比17.2%減の674億円でした。親会社株主に帰属する当期純利益の減少などにより減益となりました。
また、各セグメントの業績は次のとおりです。
|
|
|
|
|
|
|
|
(単位:億円) |
|
|
セグメント |
売 上 高 |
営 業 利 益 |
||||||
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
前年 同期比 |
現地通貨 ベース 前年同期比 |
|
|
パッケージング& グラフィック |
4,347 |
4,164 |
△4.2% |
+0.6% |
199 |
192 |
△3.6% |
+8.0% |
|
カラー&ディスプレイ |
1,241 |
1,164 |
△6.2% |
△3.8% |
150 |
108 |
△28.0% |
△25.4% |
|
ファンクショナル プロダクツ |
2,821 |
2,686 |
△4.8% |
△3.6% |
208 |
192 |
△7.6% |
△6.6% |
|
その他、全社・消去 |
△354 |
△328 |
- |
- |
△73 |
△79 |
- |
- |
|
計 |
8,055 |
7,686 |
△4.6% |
△1.3% |
484 |
413 |
△14.6% |
△8.7% |
(注)2019年度より中期経営計画「DIC111」の開始に伴い、セグメントを変更しました。なお、前連結会計年度については、変更後のセグメントに組み替えて記載しています。
中期経営計画「DIC111」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.html をご覧ください。
[パッケージング&グラフィック]
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
現地通貨ベース 前 年 同 期 比 |
||
|
売 上 高 |
4,347 |
億円 |
4,164 |
億円 |
△4.2% |
+0.6% |
|
営 業 利 益 |
199 |
億円 |
192 |
億円 |
△3.6% |
+8.0% |
売上高は、前年同期比4.2%減の4,164億円でした。現地通貨ベースでは0.6%の増収となりましたが、ユーロ及び新興国通貨安の影響により円貨ベースで目減りしました。食品包装分野では、パッケージ用インキは、アジアや南米などの新興国を中心として増収となりました。ポリスチレンは、出荷数量は増加しましたが、原料価格の低下に伴う製品値下げの影響により減収となりました。出版や新聞を主用途とする出版用インキは、需要減少により減収となりました。一方で、デジタル印刷で使用されるジェットインキは増収となりました。
営業利益は、前年同期比3.6%減の192億円でした。現地通貨ベースでは8.0%の増益となりました。品目構成の改善や合理化の効果に加えて、主にアジアで原料価格が低下しました。しかしながら、売上高と同様に円貨ベースでは目減りしました。
[カラー&ディスプレイ]
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
現地通貨ベース 前 年 同 期 比 |
||
|
売 上 高 |
1,241 |
億円 |
1,164 |
億円 |
△6.2% |
△3.8% |
|
営 業 利 益 |
150 |
億円 |
108 |
億円 |
△28.0% |
△25.4% |
売上高は、前年同期比6.2%減の1,164億円でした。色材分野では、化粧品用顔料や一般顔料の出荷が貿易摩擦の影響などにより低調に推移しました。ディスプレイ分野では、カラーフィルタ用顔料の出荷は堅調に推移しましたが、TFT液晶は競争激化に伴う製品価格の低下により減収となりました。
営業利益は、前年同期比28.0%減の108億円でした。TFT液晶の製品価格低下のほか、一般顔料の出荷低調により大幅減益となりました。また、中国における環境規制の強化や貿易摩擦に伴って顔料の原料価格が上昇したことも利益を圧迫しました。
[ファンクショナルプロダクツ]
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
現地通貨ベース 前 年 同 期 比 |
||
|
売 上 高 |
2,821 |
億円 |
2,686 |
億円 |
△4.8% |
△3.6% |
|
営 業 利 益 |
208 |
億円 |
192 |
億円 |
△7.6% |
△6.6% |
売上高は、前年同期比4.8%減の2,686億円でした。自動車の軽量化や電装化に伴って用途が拡大しているPPSコンパウンドは、世界的な自動車生産台数の減少影響を受けて出荷が低調に推移しました。スマートフォンや半導体分野を主用途とするエポキシ樹脂や工業用テープは、景気減速の影響を受けて出荷が落ち込みました。合成樹脂全般も景気減速の影響を受けて低調に推移しましたが、概ね第1四半期を底に回復がみられました。
営業利益は、前年同期比7.6%減の192億円でした。全般的な出荷の落ち込みにより減益となりました。営業利益率は、エポキシ樹脂など高付加価値製品の出荷が第1四半期を底に回復したことや原料価格が低下したことより徐々に改善しました。
②キャッシュ・フロー
[営業活動によるキャッシュ・フロー] 506億円(前連結会計年度 510億円)
当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が347億円、減価償却費が331億円となりました。また、法人税等に71億円を支払い、運転資本の増加により82億円の資金を使用しました。以上の結果、営業活動により得られた資金の総額は506億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー] △249億円(前連結会計年度 △384億円)
当連結会計年度は、設備投資に350億円、子会社株式の取得により13億円の資金を使用しました。一方で、関係会社株式及び出資金の売却により95億円を取得しました。以上の結果、投資活動に使用した資金の総額は249億円となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー] △268億円(前連結会計年度 △118億円)
当連結会計年度は、有利子負債の返済に126億円の資金を使用し、剰余金の配当として118億円を支払いました。以上の結果、財務活動に使用した資金の総額は268億円となりました。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
|
|
|
2017年度 |
2018年度 |
2019年度 |
|
自己資本比率 |
(%) |
37.9 |
37.3 |
38.9 |
|
時価ベースの自己資本比率 |
(%) |
48.5 |
39.8 |
35.8 |
|
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率 |
(年) |
4.9 |
5.2 |
5.0 |
|
事業収益インタレスト・ カバレッジ・レシオ |
(倍) |
16.5 |
10.3 |
11.9 |
(注)1.各指標の算式は以下のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後))/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
事業収益インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業利益+受取利息+受取配当金)/支払利息
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びリース債務を対象にしています。
営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
また、支払利息については、連結損益計算書の支払利息を使用しています。
4.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日) 等を当連結会計年度の期首から適用しており、2018年度に係るキャッシュ・フロー関連指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっています。
③生産、受注及び販売の実績
(イ) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメント |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
パッケージング&グラフィック |
386,022 |
- |
|
カラー&ディスプレイ |
109,594 |
- |
|
ファンクショナルプロダクツ |
262,450 |
- |
|
報告セグメント計 |
758,066 |
- |
|
その他 |
- |
- |
|
計 |
758,066 |
- |
(注)1.生産実績は期中平均販売価格により算出しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.当社は、中期経営計画「DIC111」の開始に伴い、2019年1月1日付けでセグメント区分を変更しています。
そのため、前年同期比については記載していません。
(ロ) 受注実績
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(ハ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
セグメント |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
パッケージング&グラフィック |
416,377 |
- |
|
カラー&ディスプレイ |
86,500 |
- |
|
ファンクショナルプロダクツ |
265,248 |
- |
|
報告セグメント計 |
768,125 |
- |
|
その他 |
443 |
- |
|
計 |
768,568 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3.当社は、中期経営計画「DIC111」の開始に伴い、2019年1月1日付けでセグメント区分を変更しています。そのため、前年同期比については記載していません。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況の分析
① 経営成績の分析
経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載しています。
② 財政状態の分析
当連結会計年度の資産の部は、主に退職給付に係る資産及び有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べて18億円増加し、8,031億円となりました。負債の部は、主に有利子負債の減少などにより、前連結会計年度末比144億円減の4,596億円となりました。また、純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払に加えて、株価の上昇の影響などにより、前連結会計年度比162億円増の3,435億円となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日) 等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の前連結会計年度末の数値で比較しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しています。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式及び出資金の取得、関連会社株式及び出資金の取得等によるものです。今後の設備投資計画等については、「第3 設備の状況 3.設備の新設、除却等の計画」に記載しています。
これらの資金需要に対して当社グループは、運転資金については、自己資金のほか短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの発行により、また設備投資等の長期資金については、長期借入金及び社債で調達を行っています。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,526億円です。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は167億円です。
(3)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における中期経営計画「DIC111」の達成状況は次のとおりです。
(単位:億円)
|
|
2019年度計画 |
2019年度実績 |
2020年度計画 |
2021年度計画 |
|
売上高 |
8,500 |
7,686 |
9,000 |
9,500 |
|
営業利益 |
520 |
413 |
600 |
700 |
|
売上高営業利益率 |
6.1% |
5.4% |
6.7% |
7.4% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
350 |
235 |
370 |
450 |
|
EBITDA(注) |
870 |
674 |
910 |
1,020 |
|
売上高EBITDA率 |
10.2% |
8.8% |
10.1% |
10.7% |
|
ROE |
10~12% |
7.7% |
10~12% |
10~12% |
(注)EBITDA=親会社株主に帰属する当期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
翌連結会計年度の経済状況については、国内外において、緩やかな回復が期待されますが、通商問題の動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などによるリスクに留意する必要があります。
このような状況の下、当社グループは中期経営計画「DIC111」の基本戦略である「事業体質の強化」と「新事業の創出」の取り組みを加速しつつ、パッケージ材料、機能性顔料やサステナブル樹脂の拡販を進めるとともにコストダウン施策に取り組んでいくことにより全セグメントで増収増益を見込んでいます。
また、2019年8月29日に発表したBASF社グローバル顔料事業の買収については、2020年12月末までのクロージング及びその後のスムーズな事業移管に向けて引き続き作業を進めていきます。
当社は、2019年8月29日、欧州化学メーカー最大手のドイツBASF社が保有する顔料事業であるBASF Colors & Effectsに関する株式及び資産の取得を決定し、同日付でMaster Sale and Purchase Agreement(包括契約)を締結しました。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。
当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。
事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、従来の基盤技術の深耕と新規の基盤技術の創製を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部が当社の研究開発組織として、さらにDICグラフィックス株式会社、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターが一体となって、グローバルに製品・技術の開発を行っています。
一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。
当連結会計年度における研究開発費は、
(1) パッケージング&グラフィック
グラビアインキは、裏刷り、表刷り、シュリンクフィルム等各種用途でバイオマス認証を取得し、広範なラインアップで市場展開しています。またオフセットインキも、従来型及びLED-UVランプ対応型のパッケージ印刷用途向けUVインキでバイオマス認証を取得しました。接着剤では、VOCやCO2の排出を削減し、エージング時間を半減できる速硬化型無溶剤接着剤とそれを用いた新規無溶剤ラミネーションシステムを開発しました。海外ではサンケミカルグループが、環境への意識がより高まっている市場ニーズに対応し、従来の水性インキよりも大幅にCO2発生量を抑制した新製品が実績を拡大しており、またプラスチック包装のリサイクル性を向上させる脱墨インキの開発なども進めています。
パッケージ分野では、包材使用量の削減を目標にフィルムの薄膜化を推進し、フィルムの強度と包装適性を維持しつつ環境負荷を低減したことが評価されパン包装用フィルムとして、またイージーピール型フィルムは容器のトップシール化により食品の賞味期間を延長できることによるフードロス対策などからコンビニ向けサラダ容器のフタ材として、各々実績を拡大しています。
(2) カラー&ディスプレイ
カラーマテリアルでは、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、藍藻類スピルリナから抽出した天然青色色素について、これまでの食品用途に加え化粧品原料への展開にも取り組み、化粧品に関する欧州の統一基準である「COSMOS」認証を取得しました。海外ではサンケミカルグループが、種子コーティング用や芝生着色剤用、風船着色用などの顔料、また化粧品用の天然ワックス分散体など、各種新製品を市場に投入しました。
液晶材料では8Kディスプレイ向けに、高透過率、高速応答、高反応性のPSA(Polymer Sustained Alignment)液晶のサンプルワークを進めています。また、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インクの開発に注力しています。
(3) ファンクショナルプロダクツ
電気電子材料用途では、スマートフォンの基地局向けに誘電特性に優れたエポキシ硬化剤の実績が拡大しています。またパッケージレジスト用高耐熱・高速現像性ノボラック樹脂の開発にAI技術を活用し、開発開始からわずか1年での商業化生産を実現しました。工業用粘着テープでは、貼付作業性と接着性に優れる薄型粘着テープがスマートフォン向けに、テープを引伸ばして剥がせる易解体性粘着テープの厚手タイプがテレビ向けに実績を拡大しています。
自動車関連用途では、自動車部品用スーパータフPPSコンパウンド、カーボンブラック超高分散技術により成形品の表面平滑性と高漆黒性を両立した各種エンプラ用着色剤、自動車構造接着剤用の柔軟性エポキシ樹脂などを市場に展開しています。
サステナブルな新製品としては、再生可能資源である植物を原料とするポリエステル系可塑剤を開発し、業界初となるバイオマス度100%の認定を取得しました。
(4) その他
当社グループの配線用導電インキを用いた印刷方式と当社の再剥離性粘着テープなどを組み合わせて、柔らかく曲げることができ、貼る、剥がすといった設置・除去作業の簡便化を実現した無線タイプのセンシングデバイスを開発しました。温度や湿度、照度を計測するセンサーとして、ショッピングセンターでのIoT実証実験を開始しており、早期の製品化を図るとともに、センサーのラインナップ拡充も検討しています。
また、サステナブル関連の基盤技術創製への取り組みとして、バイオベンチャー企業であるGreen Earth Institute社と天然由来アスパラギン酸及びそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの共同研究を開始しました。再生可能資源を原料とし、生分解性を兼備するポリマの低コストプロセスを開発することにより、低炭素社会の実現とプラスチック廃棄問題の解決への貢献を目指しています。