第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における日本経済は、雇用及び所得環境の改善が進みましたが、個人消費や設備投資の回復はやや力強さに欠ける結果となりました。一方、海外経済におきましては、米国経済は堅調な個人消費に支えられ緩やかながらも成長が続き、アジア新興国地域においては、中国経済は低水準ではあるが下げ止まり、アセアン経済は一部を除き堅調に推移いたしました。

このような経済環境のもとで、当連結会計年度の売上高は、1,571億8千5百万円(前年同期比2.2%減)となりましたが、営業利益は高付加価値製品へのシフトもあり119億8千2百万円(同20.4%増)、経常利益は122億4百万円(同17.6%増)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は99億5千万円(同152.2%増)と大幅な増益となりましたが、これは前連結会計年度に環境対策のための投資費用を特別損失に計上したためなどによるものであります。

 

次に事業セグメントの業績についてご報告いたします。

なお、営業利益につきましては、全社費用等の配分前で記載しております。

 

(化成品事業)

当事業は、無機・有機顔料、各種着色剤、情報記録関連材料の製造・販売を行っております。情報記録関連材料の製品が好調に推移し、その他の汎用顔料は堅調に推移いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上高は244億2千5百万円(同0.5%増)となり、営業利益は36億8千3百万円(同2.0%増)となりました。

(化学品事業)

当事業は、各種合成樹脂着色剤・コンパウンド、各種コート材の製造・販売を行っております。車両業界向け着色剤は海外向けが好調に推移しました。国内においては情報電子業界向けのコート材製品が好調に推移しました。海外連結子会社においては華南地区や東南アジアのコンパウンド事業拠点の業績が改善しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は851億3千7百万円(同2.3%減)となりましたが、営業利益は62億3千万円(同35.1%増)となりました。

(高分子事業)

当事業は、高分子製品、天然高分子製品の製造・販売を行っております車両業界向けの内装用材料は北米市場向けが堅調に推移し、情報記録関連材料の特殊コーティング剤も引き続き伸長いたしました。海外連結子会社においては中国、アメリカの事業拠点の業績が好調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は180億6千8百万円(同0.9%減)となりましたが、営業利益は41億円(同15.4%増)となりました。

(印刷総合システム事業)

当事業は、各種印刷インキの製造・販売及び事業に付帯する商品とサービスを提供しております。パッケージ業界向けグラビアインキは概ね堅調に推移しました。一方、オフセットインキは需要減少に対して、コストダウンに注力しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は281億2千3百万円(同5.0%減)となり、営業利益は29億5千8百万円(同2.5%減)となりました。

(その他事業)

当事業は、グループ各社への不動産賃貸及び金融事業等を行っております。当セグメントの売上高は14億3千万円(同1.5%減)となり、営業損失は2億1千万円となりました。

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて67億3千7百万円増加し、当連結会計年度末には311億1千7百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は129億8千1百万円(前年同期比107.8%増)となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を132億9千5百万円計上したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は27億3千2百万円(同0.4%増)となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」として33億8百万円支出したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は35億2千万円(同43.0%減)となりました。これは主に借入金の収入及び支出の結果として16億9千5百万円支出したことなどによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

 至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(t)

14,135

101.2

化学品事業(t)

218,930

104.3

高分子事業(t)

23,396

105.2

印刷総合システム事業(t)

39,721

98.1

その他事業(t)

1,317

94.5

合計(t)

297,499

103.3

(2)商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

 至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(百万円)

2,720

92.6

化学品事業(百万円)

1,520

132.3

高分子事業(百万円)

1,589

84.2

印刷総合システム事業(百万円)

5,357

87.9

その他事業(百万円)

723

67.8

合計(百万円)

11,912

90.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)受注状況

 当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。

(4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

 至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(百万円)

24,425

100.5

化学品事業(百万円)

85,137

97.7

高分子事業(百万円)

18,068

99.1

印刷総合システム事業(百万円)

28,123

95.0

その他事業(百万円)

1,430

98.5

合計(百万円)

157,185

97.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。

 

<企業理念>

・人に興味を持とう

・新しいことに興味を持とう

・未来に興味を持とう

 

<行動指針>

人間は面白い。

その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。

全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。

人に興味を持とう。

新しいことはワクワクする。

技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。

新しいことに興味を持とう。

未来を考えることは楽しい。

未来は子供たちのものだ。

未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。

顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。

更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。

未来に興味を持とう。

 

一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。

上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。

 

<必達>

私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう

1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう

1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう

1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう

1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう

1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、総資産の効率的な運用を行い、収益力を高め、財務体質の改善・強化を図るため、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題等

翌連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、国内経済の緩やかな回復基調の継続や、東南アジアの内需主導の緩やかな景気回復が見込まれる一方、米国新政権の経済政策や中国の成長鈍化等による世界経済の下振れ懸念はなお拭えず、引き続き不確実な状況が続くものと予想されます。

このような経営環境のもとで、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の4つの施策を重点的に推進してまいります。

 

ア.海外売上高比率50%の達成

 当社グループ全体の業績向上のために、海外生産拠点の増産投資を積極的に実施し、海外における売上高を増強いたします。

イ.国内生産体制の拡充

 伸びる製品の増産のため、移転あるいはスクラップアンドビルドを視野に入れた事業展開を行います。これに併せ、効率の高い新設備、省人化設備の導入、適切な配置など、技術や生産面での効率アップを進めます。また、引き続き環境対策、人材育成を積極的に実施いたします。

ウ.発展分野研究開発への注力

 有機無機合成・顔料処理技術、分散・加工技術、樹脂合成技術など、当社グループのコア技術を深化、発展させると同時に、それらを基礎として、次の4つの重点ターゲットへの一層の貢献を目指します。

 ・環境分野(二酸化炭素を原料とするウレタン樹脂など)

 ・エネルギー分野(カーボンナノチューブ分散体など)

 ・パーソナルケア分野(パーソナルケア向け天然由来高分子など)

 ・IT・エレクトロニクス分野(多様な機能設計が可能な高機能ポリマーなど)

エ.システム再編

 以下の2つの対応を行います。

 ・ERPシステム導入

 的確で迅速な意思決定を行うために、グループ会社の経営情報をリアルタイムに把握するERPシステムを導入します。

 ・物流システムの合理化

 輸送、在庫コストの削減とサービスの維持向上を同時に実現するため、抜本的な合理化を進めます。

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針について

 会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は以下のとおりであります。

① 会社の支配に関する基本方針
 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社をご支持くださる多数のステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。
 当社株主の在り方は、当社株式の市場における自由な取引を通じて決定されるものであり当社の支配権の移転を伴う大規模な買付提案等がなされた場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではなく、これに応じるか否かのご判断も、最終的には株主の皆様のご意思に基づき行われるべきものと理解しております。
 
しかしながら、近年、資本市場における株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、当社や株主の皆様に対して買付けに係る内容及び代替案等を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付けに応じることを株主の皆様に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が不適切であるもの等々、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。
 
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。

② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み

 当社は、1931年(昭和6年)に顔料の製造・販売を目的に設立し、プラスチック時代の幕開けとなった1940年代半ばより、国産化・自社開発に拘りながら各種プラスチック製品の着色化に貢献、また合成繊維の誕生に合わせて化・合成繊維の原液着色の技術を開発しました。1970年代より海外市場へ展開し、日本企業の海外進出に合わせ、エリアを拡大してまいりました。創業以来培ってきました技術の継承と新規分野の研究開発を背景に、材料特性を熟知した素材メーカーとして、カラー化時代の先取りと様々なユーザーニーズに応える分散・加工・配合等の基本技術と応用展開の結実として、現在、各種合成樹脂着色剤、各種印刷インキ、合成樹脂に加えて時代の要請に即した機能性付与製品や情報記録関連の製品、環境配慮型製品まで多様な製品ラインアップを擁し、広範な業界の多数のお取引先から厚い信頼を得ております。
 このように、
当社は創立以来蓄積してきた「有機無機合成・顔料処理技術」「分散・加工技術」「樹脂合成技術」の3つのコア技術を企業価値の源泉とし、品質・コスト競争力とブランドの向上に努めながら、株主の皆様、取引先の皆様、従業員、さらには地域社会等との長年に亘る信頼関係を構築しております。これらは、数値に表れ難い企業価値として重要な要素と認識しております。

 当社は、「大日精化環境方針」、「環境に関する経営基本方針」を制定しております。人類文化の保護発展と自然環境を護り、「環境・安全・健康・品質」を良好に保つことを企業目的の一つとしております。国際規則及び国内外の関係法令を順守するとともに、企業活動に伴う資源・エネルギーの効率的な利用、産業廃棄物の減量、再資源化・再利用化、安全のための予防・緊急対策等をも含めて化学メーカーとしての行動指針としております。
 また、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化を通じて、経営の透明性及び効率性を確保し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの信頼をより高め、社会責任を全うするため、ガバナンス機能の充実が経営上の重要な課題であると認識しております。法令順守及びリスク管理等の徹底のために、「CSR・リスク管理推進本部」を設置し、内部監査の独立部門である内部監査室と情報の共有化を図り、内部統制システムの充実に積極的に取り組んでおります。
 
以上、当社では多くの投資家の皆様に中長期的に当社への投資を継続していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上のため、役員・社員一丸となって上記のような取組みを実施しております。今後とも株主の皆様、お取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーからの信頼を磐石なものとするため一層その充実、拡充に努める所存であります。これらの取組みは上記①会社の支配に関する基本方針の実現にも資するものと考えております。

③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み

 当社は、会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)について、平成29年6月29日開催の第114期定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、株主の皆様にご承認いただき継続しております。

 本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。

 本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、また株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間と株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。

 本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当て等、会社法その他の法律及び当社定款が認める検討可能な対抗措置をとることがあります。

 このように対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、本プランの有効期限は平成32年6月30日までに終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。

 継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.daicolor.co.jp/)に掲載しております。

④ 本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

 本プランは、ⅰ.買収防衛策に関する指針において定める三原則を充足していること及び経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっていること、ⅱ.当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、ⅲ.株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、ⅳ.独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、ⅴ.デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策でないこと等の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

4【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 原材料価格

当社グループ製品の主力原材料である石油化学誘導品の市況が、原油価格の動向により、大幅に変動し、製品価格での適正な対応に不足がある場合、収益を圧迫する可能性があります。

(2) 為替リスク

当社グループの連結売上高に占める海外売上高の比率は30%程度となっており、為替変動の影響を受けやすくなってきております。為替リスクを回避、軽減するために手段を講じておりますが、為替相場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 金利変動リスク

当社グループは、事業資金の一部を主として金融機関から借入金として調達しております。総資産の効率的な運用を行い、財務体質の改善・強化を図るべく有利子負債の返済に努めておりますが、現行の金利水準が変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 貸倒リスク

当社グループの取引先において、大型の貸倒リスクが顕在化した場合、売上債権・貸付金等に追加的な損失や引当金の計上が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(5) 固定資産の減損会計

当社グループの各事業セグメントの収益状況により新たな固定資産の減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(6) 法的規制

当社グループの各製造工場においては、各種の化学物質を取り扱っており、法令遵守を徹底しております。しかしながら、化学物質管理や環境管理関連などにおいて、国内・海外を問わずさまざまな法的規制が強化されることも考えられます。その様な場合、大型投資や関連費用の増加が見込まれ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 自然災害等のリスク

地震等の自然災害により、当社グループの製造拠点及び情報処理システムが損害を受ける可能性があります。自然災害等の発生に備えて対策を進めておりますが、これらの設備のいずれかが重大な損害を被った場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することに伴う売上高の減少や供給責任及び製造拠点等の修復または代替のために巨額の費用を要することとなる可能性があります。

(8) 知的財産・製造物責任・品質管理体制・化学物質管理

当社グループにおいて知的財産に係わる紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、化学物質管理体制や、製品の品質管理体制から、大規模な損害賠償につながるリスクが現実化し、賠償責任保険などにより補填できない規模の賠償金支払いが生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(9) 海外生産拠点とグループ危機管理

当社グループの海外生産拠点は、中国の華南、華東地区やタイ・ベトナムなどの東南アジア、インド及び欧州等にあります。政治体制、経済的基盤及び自然災害発生のリスクがあり、これらが、グループ危機管理の想定以上に深刻化した場合には、各生産拠点の生産活動に重大な支障が生じ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行3行とコミットメントライン契約を締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」及び「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)」 に記載しております。

6【研究開発活動】

 当社は既存事業の再編と新規事業の確立に向け更なる強固な基盤作りを目指し、全社的・総合的な改革に取り組んでおります。研究開発においては、創業からのコアである顔料・色材の高度利用技術の深耕を基盤として、環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス分野を対象とした製品開発に注力しております。顔料・色材で培ったファインケミカル技術により「オンリーワン」のスペシャリティ製品開発を目指しております。

 当社グループの技術研究開発組織は当社コーポレート研究部門である「合成研究本部」「分散研究本部」、およびスタッフ部門である「技術管理本部」、それに加えて各事業部の「技術統括部」からなります。新事業・新製品開発のスピードアップと効率化を図るため全社技術を集約し、重点テーマの選定とリソース(人・物・金・情報)の集中を図り、開発を進めてまいります。

 日本の企業を取り巻くグローバル化と、技術革新のスピードがますます速まる中、オープンイノベーションを更に強化し、技術研究開発を促進しております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、30億9千4百万円であります。

(化成品事業)

 当事業では、顔料合成技術を基にして粒子形状や表面性質を高度に制御することで各種用途分野への高付加価値製品の提供を行っております。

 顔料開発においては技術水準の高度化に加えて、迅速性が求められており、関係技術部門の連携を一層強化し、当社の要素技術を複合化することで市場ニーズに対応しております。最近は超微細化技術と新規表面処理剤の開発により、色特性の向上と分散性、機能性を兼ね備えた先端顔料、加工顔料の開発を主なテーマとして取り組んでおります。また、製造プロセスの検討を行い、高品位でコスト競争力のある顔料を市場へ提供することを目指しております。

 無機材料開発においては、湿式法合成技術による微粒子無機顔料、各種機能性を付与した新規無機顔料に加えて環境負荷の低減に貢献する環境配慮型無機材料の開発を加速させております。

 化成品部門は、微分散化技術と調色・配合設計技術を基に、各種マスターバッチ製品、液状および粉状加工顔料製品を広範な分野に提供しております。多様化するユーザーのニーズに対応した製品設計に積極的に取り組んでおり、顔料微分散加工品のみならず、遮熱・難燃・帯電防止・紫外線吸収等の機能性分散体の開発も進めております。また、情報記録・表示用材料分野向け製品の高機能化研究を進めております。

 今後も当社基盤技術を活かした研究開発を行い、競争力のある製品を提供してまいります。

 当連結会計年度における化成品事業に係る研究開発費は8億3千3百万円であります。

(化学品事業)

 当事業は、顔料分散加工技術を基に、各種合成樹脂用着色剤、コーティング剤を内外の様々な産業分野に提供しております。また、自社技術の多角的な展開を図り、各種機能性材料の開発・製品化にも取り組んでおります。

合成樹脂分野では、顔料及び機能性材料をマスターバッチ・コンパウンドに分散加工して、医療・光学・包装・車両・建材等、幅広い用途に展開しております。また、プラスチック材料はニーズの多様化と高機能化が進展しており、こうした要求に対応したテーラーメイド製品の開発や、新たな加工技術の開発に取り組むとともに、ナノ材料のプラスチックへの応用展開や用途開発が進むハイパフォーマンスポリマー(フッ素樹脂等)関連テーマ、遮熱・軽量化等の省エネルギーやIT化に伴う情報通信関連テーマに着目し、研究開発を進めております。

 コーティング剤分野では、紫外線・電子線硬化型コーティング剤、機能性プラスチック用コーティング剤の開発を行っております。紫外線硬化型コーティング剤においてはノートPCやスマートフォンなどの筐体に使われるプラスチック成型品の表面加飾用フィルムの耐擦傷性用途、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどのディスプレイ分野における耐擦傷性改善、機能性発現用途、塩ビ製床材の表面保護用途、半導体製造の工程フィルム用途、電子線硬化型コーティング剤においては非塩ビ内装建材の表面保護用途、機能性プラスチック用コーティング剤においては事務用機器の内部部品用機能性用途の開発に取り組んでおり、広範なニーズに応えております。

 当連結会計年度における化学品事業に係る研究開発費は5億6千6百万円であります。

(高分子事業)

 合成高分子は、重付加反応よりウレタン、縮合反応よりエステル・アミドイミドおよびラジカル重合反応より特殊アクリルを設計・製造しております。これらの樹脂合成技術、分散・加工技術、配合技術のコア技術を融合し、合成擬革・透湿素材、接着剤、熱可塑性エラストマー、ウレタン微粒子、シリコーン共重合樹脂、耐熱コーティング剤などの製品を上市しております。また、環境対応製品として無溶剤・水系ウレタン材料等のVOC対策品の自動車用・衣料用素材への展開、植物由来原料によるバイオマスウレタンの上市、ウレタン系材料の耐熱性・耐久性の向上を通じて、エネルギー、エレクトロニクス、ウェアラブル部材、ナノファイバー、医療・化粧品用の関連材料開発を進めております。

 天然高分子であるキチン・キトサン及びコラーゲン製品では、素材が持つ保湿性、抗菌性、消臭性などの機能を生かし、パーソナルケア、環境、エネルギー分野を中心に製品化を進めております。また、誘導体合成技術による差別化製品の開発にも取り組んでおります。

 当連結会計年度における高分子事業に係る研究開発費は6億3千1百万円であります。

(印刷総合システム事業)

 オフセットインキ製品部門では、商業オフ輪インキと枚葉インキを主体として提供しております。主力製品である商業オフ輪インキは、印刷品質と生産性の向上、環境負荷低減などユーザーニーズに沿った製品の開発、改良に取り組み、低温乾燥型インキのラインアップ化など高機能製品の拡充に努めてまいりました。また、メタリックインキなどの特殊インキにおける特長のある製品ラインアップの拡充、開発に引き続き取り組んでおります。

 グラビアインキ製品部門では、ラミネート用インキや接着剤、シュリンクラベルや食品トレー用途であるパッケージ関連の印刷インキと共に、建材用、産業資材分野用グラビアインキの製品を提供しております。また、有機溶剤系のインキが大半を占める業界の中でVOC削減や省資源化に繋がる水性フレキソインキの開発にも注力しており、最近の高精細印刷の実現により注目度が増し実績を挙げてきております。更に、環境対応型のインキ開発としては残留溶剤低減型のインキなどの開発に取り組み、また産業資材分野においては各種機能性コーティング剤の開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度における印刷総合システム事業に係る研究開発費は4億5千1百万円であります。

(その他の研究開発活動)

 当社グループでは新規事業の芽と評価技術の導出を目的として、外部研究機関との連携を行っております。代表的なものとして、「リビングラジカル重合による機能性材料の開発」や「癒着防止膜の開発」など、国内では京都大学、埼玉大学、信州大学、神奈川大学等と、国外ではシンガポールの南洋理工大学と共同研究を進めております。

 ブランド名「カラコムシステム」としてのCCM(コンピューターカラーマッチング)や各種色彩管理システムの開発においては、世界唯一のインターネットCCMを海外展開し、新規顧客への着色剤販売に寄与するなど、着色剤メーカーとしての当社技術を支えております。

 当連結会計年度におけるその他の研究開発費は6億1千1百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているため、省略しております。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

 当連結会計年度の売上高は、1,571億8千5百万円と前連結会計年度に比べ35億8千5百万円(前年同期比2.2%減)の減収となりました。これは、海外会社において円高により外貨建売上高の円換算額が減少したことなどによるものであります。

②売上原価・販売費及び一般管理費・営業利益

 売上原価は、1,273億円と前連結会計年度に比べ57億6千5百万円(同4.3%減)減少となりました。売上原価率は、高付加価値製品の販売が増えたことから81.0%と前連結会計年度に比べて1.8ポイント改善しました。売上総利益は298億8千5百万円と21億7千9百万円(同7.9%増)の増益となりました。

 販売費及び一般管理費は、連結子会社の増加などもあり179億3百万円と1億5千2百万円(同0.9%増)の増加となりました。

 これらの結果、営業利益は119億8千2百万円と20億2千7百万円(同20.4%増)の増益となりました。

③営業外損益・経常利益

 営業外収益については、受取配当金の減少及び、関連会社が減益であったため持分法投資利益が減少し、当連結会計年度の営業外収益は12億5千3百万円(同19.2%減)となりました。

 営業外費用は、支払利息の減少等により、10億3千1百万円(同8.5%減)となりました。

 これらの結果、経常利益は122億4百万円と18億2千5百万円(同17.6%増)の増益となり、総資産経常利益率(ROA)は6.7%と前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加いたしました。

④特別損益

 特別利益は、環境対策引当金戻入額を5億9千5百万円、固定資産売却益を9億7千3百万円計上したことなどにより、20億4千万円(同147.9%増)となりました。

 特別損失は、インド子会社で減損損失3億6千5百万円を計上したこと等により、9億4千9百万円(同83.9%減)となりました。

 これらの結果、税金等調整前当期純利益は132億9千5百万円と79億8千9百万円(同150.6%増)の増益となりました。

⑤親会社株主に帰属する当期純利益

 税金等調整前当期純利益から法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は99億5千万円と60億4百万円(同152.2%増)の増益となりました。

⑥包括利益

 その他の包括利益は、株価の上昇によるその他投資有価証券評価差額金の増加などにより35億4百万円となりました。

 これらの結果、包括利益は135億1千9百万円と前連結会計年度に比べて138億9千5百万円の増益となりました。

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

(流動資産)

「現金及び預金」は、設備投資に33億8百万円、長短借入金の返済に16億9千5百万円使用しましたが、営業活動により129億8千1百万円の資金を得たこと等により73億8千5百万円増加いたしました。「商品及び製品」、「原材料及び貯蔵品」及び「仕掛品」を合計した棚卸資産は、当社東海製造事業所の設備改修により在庫を積み増していた影響が解消され9億9千3百万円減少いたしました。

 これらの結果、「流動資産」は1,096億8千1百万円と前連結会計年度末に比べ79億7千万円(前年同期比7.8%増)増加いたしました。

(固定資産)

 「有形固定資産」は、中国子会社の清算手続きの一環で固定資産を売却したこと等により、442億6千7百万円と11億2千8百万円(同2.5%減)減少いたしました。

 「投資その他の資産」は、株価の上昇により「投資有価証券」が増加したこと等により、323億4千7百万円と73億3千2百万円(同29.3%増)増加いたしました。

 これらの結果、固定資産は、785億6千6百万円と65億3千3百万円(同9.1%増)増加いたしました。

 

(流動負債・固定負債)

借入金は、返済を進めたこともあり長短合わせて期末の残高が16億2千8百万円減少いたしました。これにより、手形割引高を含めた有利子負債残高は、452億3千3百万円と19億7百万円減少し、有利子負債依存度は24.0%と前連結会計年度に比べ3.1ポイント改善しております。

一方で、「支払手形及び買掛金」の増加、株価の上昇に伴う「繰延税金負債」の増加などにより「負債合計」は、998億8百万円と21億5千8百万円(同2.2%増)増加いたしました。

※ 有利子負債=借入金+リース債務+割引手形

※ 有利子負債依存度=有利子負債/(負債純資産合計+割引手形)

(純資産)

 「株主資本」は、当期純利益の計上及び配当金の支払等の結果「利益剰余金」が87億8千8百万円増加したことにより、791億6千4百万円と93億2千6百万円(同13.4%増)増加いたしました。

 「その他の包括利益累計額」は、株価の上昇により「その他有価証券評価差額金」が31億9千1百万円増加したこと等により71億9千万円と35億6千2百万円増加いたしました。

 これらの結果、「純資産合計」は884億3千9百万円と123億4千5百万円(同16.3%増)増加いたしました。また、自己資本当期純利益率は12.5%と7.2ポイント増加し、自己資本比率は45.9%と3.6ポイント増加しました。

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載しているため、省略しております。

(5) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。