第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)企業理念、行動指針、必達

当社グループでは、創業者である高橋義博が1968年に制定した<必達>を経営方針の中心に据えて経営に取り組んで参りました。職場の目に付くところに掲示し、役職員で毎朝唱和することにより、<必達>に込められた精神、考え方を常に確認すると同時に、従業員への浸透を図ることを行ってきました。

 

<必達>の精神は、現在においても何らその価値を失っていないものと考えますが、既存の仕事、製品を軸に、役職員個々人の心構えや行動に重点を置いた内容としているため、近年の社会環境、経済環境の変化をみたとき、社内外の人との関連性、新しい技術革新、製品開発への一層の目配り、社会の中における当社の連環という視点に不十分さをぬぐえない状況にありました。

 

そのため、2015年12月開催の当社取締役会において、<必達>の考え方に加える形で、新たに<企業理念>、<行動指針>を規定し、経営方針を一層充実したものといたしました。

 

これは、すべての経済原則や経営理論は「人」の行動原理に基づくものであるとの理解に立ち、まずは社内外を問わず全ての「人」に興味を持つべきであるとし、技術革新や商品開発など新しいことへの取り組みが、人や企業の活性化につながるという点を改めて確認し、一方、未来に目を向けると、人も企業も他者との連環(関連)の中で生き抜いていかざるをえないことを再認識した上で、社会に必要とされ、社会の発展に資する姿勢を打ち出していくべきとしたものであります。比較的平易な表現とすることで、若手従業員から経営トップに至るまで、<必達>と合わせて、浸透を図ることを企図したものであります。

 

これらを踏まえ、当社グループは以下の<企業理念>、<行動指針>、<必達>の社是の下、事業活動を行い、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。

 

<企業理念>

・人に興味を持とう

・新しいことに興味を持とう

・未来に興味を持とう

 

<行動指針>

人間は面白い。

その面白い人間が作っているのが企業であり、また顧客である。

全ての経済原則、経営理論は、人の行動原理に基本がある。

人に興味を持とう。

新しいことはワクワクする。

技術革新や商品開発は顧客や市場を開拓すると同時に、人間も活性化する。

新しいことに興味を持とう。

未来を考えることは楽しい。

未来は子供たちのものだ。

未来を考えれば、人も企業も自分だけでは生きて行けないことが分かる。

顧客の発展が無ければ、当社は富んでも長続きしない。

更に、社会に生かされなければ、人も企業も存続し得ない。

未来に興味を持とう。

一方、当社には1968年に制定した、社是「必達」が存在します。上記の企業理念と共に、歴史ある社是「必達」を誇りを持って遵守しています。

 

<必達>

私たちはカラーエイジを担う大日精化の社員として<必達>の社是のもとに誇りを持って仕事をすすめよう

1.仕事は必ず目標を立てこれを必達しよう

1.正しい製品知識を身につけ製品普及のチャンスを積極的に求めよう

1.仕事を通じ製品を通じて会社の信用を更に高めよう

1.社会人として常に教養を高め反省を深める機会を持とう

1.仕事を通じて社会に貢献し大日精化を最高の企業体としよう

 

(2)経営理念

創業者 高橋義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました3つのコア技術、すなわち、①有機無機合成・顔料処理技術、②分散・加工技術、③樹脂合成技術と、これらを組み合わせ、素材が持つ特性や機能を生かした製品開発、すなわち、ファンクションテクノロジーを一体となって機能させることにより、お客様の課題解決を提案してまいりました。その結果、生み出してまいりました製品は、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたっており、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。今後とも、地道で着実な研究開発とものづくりを通して、お客様や社会の課題解決に貢献することにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、総資産の効率的な運用を行い、収益力を高め、財務体質の改善・強化を図るため、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。

 

(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

当社グループの置かれている経営環境については、下記のとおりと認識しております。

 

①お客様の国内外における事業展開に対して的確にキャッチアップする必要があることと同時に、販売、生産に係る収益性、効率性などの観点から、国内外における積極的な業務展開は不可避な状況にあり、国内、海外の一方に偏することなくバランスよい業務展開を実施すべきである。

 

②市場環境の変化と、国内製造事業所の置かれている立地環境の変化と生産設備の物理的、経済的な償却に伴い、防災、安全に十分に配慮した上で、安定的かつ効率的な生産を実施することが必要である。

 

③本項「(2)経営理念」の箇所でも述べたとおり、3つのコア技術とファンクションテクノロジーを十分に活用することで、お客様のニーズに合わせた製品を適時、的確に開発することと合わせ、持続的な成長を維持するために、成長性の見込める発展分野の研究開発に注力する必要がある。

 

④社会的、経済的環境の変化と需要動向を的確に把握し、迅速に経営上の意思決定を行うために新基幹システムの活用を積極的に進めると同時に、上昇する輸送・在庫コストを抑制するために物流システムの合理化を一層進める必要がある。

 

⑤新型コロナウイルス感染拡大の影響を軽減・緩和させるべく、従業員の安全確保・製品の安定供給・資金計画など事業継続策の実施および経済活動再開後に既存製品だけではなくコロナ後の需要動向を的確に把握、製品開発を進める必要がある。

これらを踏まえ、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の創出のため、次の5つの施策を重点的に進めております。

 

ア.海外売上高比率50%の達成

当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、リスク分散の観点からもバランスよく事業育成をしていく必要があるとの理解の元に、国内外における市場環境と当社グループの収益面、その他の影響を継続的に検討の上、現状29%(2020年3月末現在)の海外売上高比率を50%に引き上げることを、継続的な目標として掲げ、引き続き注力してまいります。

2019年度では、高分子事業における米国のウレタン樹脂新工場の稼働(2019年12月)や、化学品事業におけるタイ国の樹脂コンパウンド新工場の本格稼働(2020年1月)で生産能力を拡充すると同時に、顔料やグラビアインキ等既に海外での事業活動を精力的に展開している地域においては、収益環境を常時モニターすることにより、「攻略市場と戦略製品の選択と集中」を図り、「生産拠点の再構築」も含めて、グローバルな視点から適材適所での拠点化を進めてまいります。また、特にアジア新興国地域においては生産した製品を生産した国で販売し使っていただく「地産地消」をスローガンとして業務展開を進めていくことといたします。

 

イ.国内生産体制の拡充

社会、経済環境の変化に伴い、現行国内生産拠点においては維持拡大が困難となってきています(周辺宅地化、法規制の変更、地域の理解など)。また、生産設備の老朽化に伴い、効率的な生産が維持できなくなるケースも生じています。

このため、現行拠点については、周辺環境に配慮した設備、体制で生産継続するとともに、新たに郊外の工業団地に生産拠点を移転することで対応しております。また、防災、安全にも十分に配慮した生産体制を構築します。

具体的には、印刷総合システム事業および化学品事業では、2017年12月に取得した茨城県の坂東インター工業団地内の7万平米の区画に、2021年中の本格稼働を目指し、2019年11月に工事着工、現在も建設中にあります。技術や生産面での効率アップを目的とし、グラビアインキ、特殊コーティング剤等向けの効率の高い新設備、省人化設備の導入、適切な設備配置などを進めます。高分子事業では、赤羽製造事業所から佐倉製造事業所への生産部門の移転計画は完了し、2019年4月より、生産プロセスの改善、増産対応、新規開発品の生産対応など、新たな生産体制で運営しています。また、佐倉製造事業所に技術棟を新設し、赤羽製造事業所からの完全移転を完了します。これにより、原材料メーカー、顧客との協働テーマ開発体制を一層強化してまいります。

 

ウ.発展分野の研究開発に注力

お客様のニーズに合った製品を適時に供給することと同時に、企業価値創出を目的とし技術成果を事業に的確に結びつけるマネジメント手法により、既存分野に新たな技術を投入し、技術開発を促進します。また、継続的な成長の促進のためにも、長期的な視点から、発展分野と想定できる次の4つの分野に、資金と人材を投入していきます。

・環境分野

・エネルギー分野

・パーソナルケア分野

・IT・エレクトロニクス分野

 

その手法として、次の3つの方法で対応してまいります。

①環境調和、ESG、SDGsに向けた製品開発・・・二酸化炭素を原料とした樹脂、生分解性微粒子、化粧品用材料、

バイオマス由来製品、水性製品

②高機能性材料の開発・・・カーボンナノチューブ分散体、放熱材料、顔料分散剤、機能性顔料

③基礎研究、社内外連携による研究開発の促進・・・機能性ポリマー、低摩擦ポリマー、燃料電池触媒

 

エ.新システム活用

2018年10月より新基幹システムを導入しました。同様に大日精化(上海)化工有限公司、DAINICHI COLOR(THAILAND),LTD.にも同システムを導入済みです。これにより、連結売上高ベースの約80%をカバーしています。

海外法人残り6社についても、順次、新基幹システムの導入を進めていきます(ベトナム、インドネシア、中国、アメリカ等)。但し、現地法人の事業実態及び業務負担を考え、現地の事情に合致したローカルシステムを導入しますが、経営指標については、本社と共通した基準での数値を取り込み、連結での経営管理を行います。

新基幹システム導入と同時に、国内では3PL化(Third-party Logistics:物流業務の包括委託)及びWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を導入し、全社物流費データの把握が可能となりました。

データ解析をもとに物流費抑制の取り組みを開始します。計画的な配送大口化、ストックポイントの集約など合理的な物流体制を構築します。

 

オ.不測の事態に対する的確な対応

従業員の安全確保と同時に製商品安定供給の観点から、2019年12月に端を発して拡大した新型コロナウイルス感染症に対しては、①従業員の感染を予防する措置、②従業員が感染したときの措置、③供給責任を果たすための措置、④経済情勢の悪化を想定した措置など、早期から事業継続のための対策を図っております。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

現状、特に重大なリスクとして認識している点は、2019年12月に中国において端を発し、2020年2月以降日本にも上陸した新型コロナウイルス感染症、その感染拡大防止策の施行が、世界経済に多大な影響をもたらし、当社グループの業績に対しても甚大な影響を与えていることであります。現状当社グループが認識しているリスクの局面としては以下のようなものが考えられます。

 

・車両生産台数の減少による車両業界向け当社グループ製品の需要減少

・従業員の罹患や罹患防止策に伴う当社グループにおける生産の遅延、停止

・サプライチェーン各社における諸施策により、原材料や製商品のフロー遅滞

・業績悪化となったお客様に関連する貸倒発生

・資金調達が困難となることによる財政状態の悪化

 

従業員の安全確保、製商品の安定供給のために、健康・衛生管理、会議・研修・イベント等への参加自粛、国内外出張の制限、在宅勤務、テレワーク導入等、逐次対策を検討・実施すると同時に、下記で述べるような為替、購買、貸倒などに係るリスク軽減・緩和策を逐次検討・導入しております。また、お客様や金融機関などとも緊密に情報交換を行いながら、業績への影響を緩和させるべく、対処してまいる所存であります。

 

(1)戦略リスク

グローバル化への対応と事業の長期発展に対応するための戦略に起因するリスクのうち、現状、以下の3つを主要なリスクと認識しております。

 

①需要構造変化への対応

当社グループは、車両業界、情報・電子業界、建材業界、パッケージ業界など様々なお客様向けに材料や製品を提供し、グローバルに事業展開をしております。その裾野が幅広いこともあって、お客様における好調・不調を相互に補完できる構成であると判断しております。

 

Ⅰ.当社グループ製品の最終生産財・消費財への活用状況を勘案すると、構成比率が高い車両業界、情報・電子業界の動向が当社グループ製品の売上高に影響を与えることとなります。各業界の動向を十分に注視しながらお客様のニーズを十分満たす製品の適時な供給を行うことで、バランスよく業務推進することとしております。

 

Ⅱ.食品包装等の用途に活用される製品については、それら食品の需要自体が天候に左右されやすいこともあり、異常気象などにより、当社グループ製品の売上高に影響を与えることとなりますが、市場ニーズに合った製品を供給することにより安定的な収益確保を図っております。

 

Ⅲ.情報媒体が紙などを使ったハードコピーから電子媒体への移行が進んでいるため、商業印刷市場に依存したオフセットインキ事業においては市場縮小の影響を受けております。このトレンドは一層強まることとなると予想しており、印刷インキのみならず印刷周辺材料へのラインナップを充実させることで極力収益確保を図ることとしておりますが、同事業のありかたも含め引き続き検討を進めていく予定です。

 

Ⅳ.海洋プラスチック問題やフードロス問題に象徴されておりますように、地球環境に配慮して、最終消費財の供給、消費のありかたやその廃棄・処理に関する社会の考え方も大きく変わりつつあります。今後も環境負荷の高い素材から環境にやさしい素材への移行は間違いなく進むと考えます。この動きに遅れることのないように、お客様との協働、あるいは当社グループ独自に、社会に十分受け入れられる製品開発を進めてまいります。

Ⅴ.「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」(以下「対処すべき課題等」という。)において、海外売上高比率50%の達成を掲げており、アメリカ、中国を始めとした諸外国への製品の輸出、海外拠点における製品の製造、販売を積極的に展開しておりますので、諸外国の経済的、社会的環境の変化が当社グループ売上高に大きな影響を与えることがあります。インド、メキシコなど特定の地域における事業環境を鑑みると、当該国における社会的、経済的環境の変化から、当初想定していた時間軸での利益確保が困難となると予想されることもあり、当面、事業の内容を精査しつつ、抜本的対策も視野に入れた検討を進めてまいります。また、直近では、2019年12月より中国を発信源として蔓延した新型コロナウイルス感染症の当社グループの経営全般に与える影響は、現状予断を許さない状況にあるものと判断いたしております。このため、設備投資・修繕、諸経費の必要性・緊急性の再確認、再検討を実施し、今まで以上に、会社資産の効率的な活用に努め、業績にあたえる影響を極力緩和させてまいります。

 

②海外事業活動に関するリスク

上記「①-Ⅴ」で言及したことと合わせ、当社グループの海外生産拠点は、当該国の政治体制、経済的基盤及び自然災害発生のリスクがあり、これらが、グループ危機管理の想定以上に深刻化した場合には、各生産拠点の生産活動に重大な支障が生じ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。リスク評価しづらく、生じる蓋然性は低いと思われるものの、発生した場合の当社グループ全体に与える影響は甚大なものになると予想されます。このリスクを回避するためには、特定国への投資に過大にシフトすることなく、リスク要因も考慮の上で適正な水準・割合に配分することで全体的なリスク緩和を図ることとしてまいります。

 

③金融リスク

Ⅰ.為替リスク

「対処すべき課題等」においても述べているとおり、当社グループの連結売上高に占める海外売上高を50%に達成するべく業務展開を実施しております。現状では29%にとどまっているものの、為替変動の影響を受けやすい水準であることは事実であり、今後同比率を50%に高めていくことにより、一層の為替リスクに直面することが想定されます。これを極力回避するため、収入、支出を極力同一通貨で支払うこと、海外拠点における現地通貨の借入れを検討すること、必要に応じて為替先物契約の締結などにより、リスクヘッジを図ってまいります。

 

Ⅱ.金利変動リスク

当社グループは、事業資金の一部を主として金融機関から借入金として調達しております。総資産の効率的な運用を行い、財務体質の改善・強化を図るべく有利子負債の返済に努めておりますが、2020年3月末時点において長短期借入金合計で408億円程度あり、今後の金利水準が上昇した場合には、支払利息の金額水準が上昇することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。しかしながら、足元の金融環境を勘案すると、金利水準は当面低位に推移するものと考えられることから、現状の金融環境に大きな変化がないかぎり本リスクが当社グループに与える影響は比較的小さいと思われると同時に、新たに資金需要が生じた場合においても、まずは当社グループ内に存する資金を効率的に活用することを検討し、次に、資金使途や資金繰りなどを勘案し、取引金融機関との間で調整の上で、長短金利スワップ契約等を導入することで、長期にわたって低金利を享受できる契約構成を維持できるよう進めてまいります。

 

(2)オペレーショナルリスク

事業系オペレーショナルリスク(仕入・生産・販売活動)及び管理系オペレーショナルリスク(事業継続するための管理体制とCSR対応)に起因するリスクのうち、現状、以下の3つを主要なリスクと認識しております。

 

①購買に関わるリスク

主力原材料である石油化学誘導品は、原油価格の動向に伴う価格変動のほか、天災、事故、政策なども含めた生産国での状況の変化などにより、価格変動のみならず、調達不安に陥る可能性もあります。当社グループ製品が使用されている最終消費財の市況や供給責任なども勘案しますと、原材料価格の上昇をすぐさま製品価格に反映させることはお客様の理解を得られず、結果として原材料価格の上昇が当社グループの収益を圧迫することにつながります。これらリスクは、化学メーカーである当社グループにとって回避しづらいものであることは事実ですが、生産計画策定にあたっては、価格予測、需要予測をできうる限り丁寧に行い、また、一定の原材料在庫を保有した上で市場状況を見ながら原材料購入のタイミングを図る、あるいは、特定の企業・国に偏することなく、原材料の代替購入先を常日頃から調査の上で確保することなどにより、当社グループの業績にあたえる影響を緩和することに努めております。

②コンプライアンスに係わるリスク

Ⅰ.化学物質管理・品質管理体制

当社グループでは、多種の化学物質を取り扱っており、その保管、使用、移動、排出、廃棄において法令遵守を徹底しております。しかしながら、化学物質管理や環境管理関連において、国内・海外を問わず法的要件が強化されることがあり、遵守できていない場合には罰則を受けるだけでなく、輸出入の禁止や生産活動の停止による、収益機会の喪失、あるいは対処するための投資を招く蓋然性があり、当社グループの業績に与える影響は甚大となる可能性があります。

このため、特定のセグメント(事業機構)から独立した化学物質管理体制、および環境、安全衛生体制(組織)を充実させることと同時に、特に化学物質管理においては要件変更への対処に遺漏が生じることのないように、システムによる管理(新化学物質管理システム)を導入するべく着手しており、これによりリスクコントロールを行うこととしております。

 

Ⅱ.製造物責任

環境、安全衛生上の問題や、製品の品質管理上の問題などに起因して、大規模な損害賠償につながるリスクが現実化し、賠償金支払いが生じる可能性があります。現在、当社グループが付保しております賠償責任保険等、保険契約の内容を勘案すると、これらの発生する蓋然性は比較的小さいものと判断しておりますが、引き続き、保険内容を十分に検討した上での付保手続きを進めてまいります。

 

③貸倒リスク

当社グループのお客様に大型の貸倒リスクが顕在化した場合、売上債権等に追加的な損失や引当金の計上が必要となる場合があります。貸倒リスクを回避するために、当社グループでは、従前より、お客様別の信用状況とお取引状況を一元管理し、事前に設定した取引与信枠内での取引を進めているかどうかを常時モニターしております。

 

(3)自然災害等のリスク

地震等の自然災害により、当社グループの製造拠点及び情報処理システムが損害を受ける可能性があります。当社グループは、自然災害等の発生に備えて順次対策を進めておりますが、当該リスクが発生する蓋然性を事前に評価することは極めて困難ですので、建物、機械設備等の状況を十分に把握の上で合理的な内容で損害保険を付保することを行っております。2019年度は、台風19号の影響により工場等に一部損害が発生しましたが、上記の保険でカバーできることとなりました。同時に、製造・輸送コスト等も十分に検討しながら、お客様への製品供給が不合理に途切れることなく維持できるようにBCPの観点からも、製造場所の複数化なども実施してきております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績

当連結会計年度の世界経済は、期初から期央にかけて、米国経済は良好な雇用・所得環境が個人消費を下支えしましたが、中国経済は対米貿易摩擦により輸出が低迷、その他アジア新興国地域は対中国向けの輸出が低迷するなど、それぞれ弱含みで推移しました。日本経済は海外経済の減速により輸出が減少し、さらに10月以降の消費増税により消費者マインドが悪化、個人消費が低迷しました。加えて、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界経済の停滞が始まりました。

このような経済環境のもとで、当連結会計年度における売上高は、化学品事業及び高分子事業の車両業界向け製品及び化成品事業の情報・電子業界向け顔料等が低調に推移し1,551億8百万円(前年同期比9.0%減)と減収になりました。営業利益は、売上高の減収により48億5千万円(同44.4%減)、経常利益は55億8千2百万円(同39.7%減)とそれぞれ減益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に投資有価証券売却益を計上したほか、清算が決定したスペイン子会社の株式評価損に係る繰延税金資産を計上したことなどにより39億7千7百万円(同2.6%増)と増益となりました。

 

次に事業セグメントの業績についてご報告いたします。

なお、営業利益につきましては、全社費用等の配分前で記載しております。

 

(化成品事業)

当事業は、塗料、印刷インキ、情報表示・記録用の無機・有機顔料及び加工顔料、繊維用着色剤の製造・販売を行っております。情報表示・記録用顔料は下期に減速し低調に推移しました。また、その他汎用顔料は低調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は241億5千4百万円(同5.6%減)、営業利益は21億5千9百万円(同36.6%減)となりました。

 

(化学品事業)

当事業は、マスターバッチ、樹脂コンパウンドなどのプラスチック用着色剤、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っております。車両業界向けは樹脂コンパウンド及び海外向けのマスターバッチが低調に推移しました。コーティング剤は情報・電子業界向けが堅調に推移しました。海外連結子会社においては東南アジアの樹脂コンパウンドが低調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は844億6千万円(同10.6%減)、営業利益は39億3千8百万円(同29.1%減)となりました。

 

(高分子事業)

当事業は、ウレタン樹脂、天然物由来高分子の製造・販売を行っております産業資材業界向けの特殊コーティング剤が低調に推移しました。また、海外連結子会社においては中国・アメリカの事業拠点の業績が低調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は181億5千1百万円(同8.9%減)、営業利益は27億1千3百万円(同22.7%減)となりました。

 

(印刷総合システム事業)

当事業は、印刷インキの製造・販売及び事業に付帯する商品とサービスを提供しております。グラビアインキは国内の一般包材向けのパッケージ関連が低調に推移しましたが、海外連結子会社においては、インドネシアの拠点の業績が堅調に推移しました。一方、オフセットインキは需要減少が続きました。

これらの結果、当セグメントの売上高は281億5百万円(同5.9%減)、営業利益は20億3千6百万円(同6.1%減)の減益となりました。

 

(その他事業)

当事業は、グループ各社等への不動産賃貸等を行っております。当セグメントの売上高は2億3千6百万円(同52.6%減)となり、営業損失は2億2千6百万円となりました。

②財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は1,872億9千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ34億4百万円減少いたしました。これは、「投資有価証券」が減少したことなどによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は916億2千1百万円となり、前連結会計年度末と比べ30億2千4百万円減少いたしました。これは、「支払手形及び買掛金」が減少したことなどによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は956億7千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ3億8千万円減少いたしました。これは、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加した一方で、「その他有価証券評価差額金」及び「退職給付に係る調整累計額」が減少したことなどによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ62億1千6百万円増加し、当連結会計年度末には276億3千6百万円となりました当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりとなっております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は128億2千9百万円となりました。これは主に「売上債権」「たな卸資産」及び「法人税等の支払額」が減少したことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は35億5千2百万円(前年同期比48.7%減)となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」として支出したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は30億2千6百万円(同155.7%増)となりました。これは主に「配当金の支払額」及び「借入金の返済による支出」として支出したことなどによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(t)

12,263

88.0

化学品事業(t)

205,748

86.8

高分子事業(t)

23,248

87.1

印刷総合システム事業(t)

36,473

95.5

その他事業(t)

1,215

92.3

合計(t)

278,947

87.9

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(百万円)

2,919

83.1

化学品事業(百万円)

1,805

96.8

高分子事業(百万円)

1,371

71.7

印刷総合システム事業(百万円)

5,453

81.6

その他事業(百万円)

514

73.2

合計(百万円)

12,065

82.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

 当社グループは過去の販売実績と将来の予想に基づいて見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

化成品事業(百万円)

24,154

94.4

化学品事業(百万円)

84,460

89.4

高分子事業(百万円)

18,151

91.1

印刷総合システム事業(百万円)

28,105

94.1

その他事業(百万円)

236

47.4

合計(百万円)

155,108

91.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討等

ⅰ経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの経営成績に対して特に重要な影響を与えた事象は、以下のとおりと考えております。

海外売上高比率50%確保を目指し、積極的な事業展開を実施しておりますので、海外経済状況は当社グループの業績に対して直接の影響を及ぼすことになります。米国においては期央以降、個人消費が弱含みとなり、中国においては対米貿易摩擦により輸出が低迷し、その他アジア新興国地域においても中国向け輸出の低迷により弱含みで推移しました。加えて、2020年1月以降新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済の停滞が始まりました。これらの社会的、経済的状況を反映して、海外売上高比率29%を維持しております当社グループの経営全般に与える影響は、現状では厳しいものと判断しております。

 

また、政府統計において公表されておりますとおり、2019年10月より消費税が8%から10%へ引き上げられたこと等を主要因として、2019年10月~12月のGDP成長率が△1.8%(年率△7.1%)となったことなどもあり、これら日本国内におけるマクロ経済動向が、当社グループの製品が使われている一般消費財、耐久消費財に与える影響は、依然として予断を許しません。

このため、売上高は1,551億8百万円(前年同期比9.0%減)となり、営業利益は48億5千万円(同44.4%減)、経常利益は55億8千2百万円(同39.7%減)となりました。

 

国内外で生じたリスクの顕在化に伴い、対前年マイナスの実績とはなりましたが、当社グループの収益、成長の源泉は、国内・海外双方に存在し、リスク分散の観点からもバランスよく事業育成をしていく必要があると考えるため、海外売上高比率50%の達成という点を引き続き長期的な課題として認識し、常に念頭に置きながら業務の展開を進めてまいります。すなわち、「対処すべき課題等」にも記載しましたとおり、米国におけるウレタン樹脂新工場の稼働(2019年12月)やタイにおける樹脂コンパウンド新工場の本格稼働(2020年1月)を行う等、積極的な投資を行うと同時に、既に業務展開している地域においては、収益環境を常時モニターすることにより、「攻略市場と戦略製品の選択と集中」を図り、「生産拠点の再構築」も検討し、グローバルな視点から適材適所での拠点化を進めることで、着実な収益確保・成長戦略を描くことができるものと考えております。

 

また国内におきましても、当社グループ製品の最終生産財・消費財への活用状況を勘案し、車両業界を始めとした各業界の動向は十分に注視すると同時に、お客様のニーズを十分満たす製品の適時な供給を行うことで、バランスよく業務推進することにより、適正な事業ポートフォリオを維持してまいります。

 

合わせて足元の収益環境悪化をカバーするためにも、「2 事業等のリスク」で記載したとおり、各リスクに対応したリスク回避・削減策を積極的に起動させていくことといたします。

 

各セグメントの概況は以下のとおりであります。なお、セグメント毎の営業実績は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に、生産実績・商品仕入実績・受注実績・販売実績は、同「④生産、受注及び販売の実績」にて、それぞれ記載しております。

 

(化成品事業)

当事業は、塗料・印刷インキ、情報表示・記録用の無機・有機顔料及び加工顔料、繊維用着色剤の製造・販売を行っております。用途別に見ますと、情報表示・記録用顔料は下期に入り低調に推移、その他汎用顔料は年間を通じて低調に推移しました。需要家別に見ますと、お客様毎に、ばらつきなどはあるものの、「2 事業等のリスク (1)戦略リスク」に記載しましたとおり、足元では、新型コロナウイルス感染症による一般消費財、耐久消費財に対する消費減少に伴う影響が大きいことは事実ですが、一方で情報媒体や食品用包装などの需要に係る構造的変化によるものも見逃せない状況にあります。海外においては、中国やインドなどで生産される製品との競合などにより、総じて低調な結果となりました。このため、刻々と変化するお客様のニーズに合った製品を適時に提供することにより、今後も一層の収益確保・拡大を図ってまいります。

(化学品事業)

当事業は、マスターバッチ、樹脂コンパウンドなどのプラスチック用着色剤、紫外線・電子線硬化型コーティング剤の製造・販売を行っております。用途別に見ますと、車両業界向けの樹脂コンパウンド及び着色剤は国内・海外向けともに低調に推移し、一方、コーティング剤は主として情報・電子業界向けが堅調に推移しました。当事業における海外連結子会社においては、中国、東南アジアの樹脂コンパウンド事業が低調に推移しました。

需要家別に見ますと、お客様の生産・販売計画に拠り、ばらつきが生じていますが、国内外における一般消費財、耐久消費財に対する需要減退が大きな原因だと判断しております。当事業はお客様の必要とされる品質とスペックの製品を適時にかつ的確に供給することが必要ですので、市場動向、需要動向に関してお客様と情報交換を緊密にしつつ、収益確保・拡大を図ってまいります。

 

(高分子事業)

当事業は、ウレタン樹脂、天然物由来高分子の製造・販売を行っております。用途別に見ますと、産業資材業界向けの特殊コーティング剤が低調に推移しました。また、海外連結子会社において、アメリカの事業拠点の業績が低調に推移しました。これは、国内外における一般消費財、耐久消費財に対する需要減退が大きな原因だと判断しております。市場動向、需要動向に関してお客様と情報交換を緊密にしつつ、お客様のニーズにあった製品を適時・的確に供給することで、収益確保・拡大を図ってまいります。

 

(印刷総合システム事業)

当事業は、印刷インキの製造・販売及び事業に付帯する商品とサービスを提供しております。グラビアインキは、一般包材向けパッケージ関連が不振となりましたが、インドネシアの海外連結子会社の業績は堅調に推移しました。しかしながらオフセットインキは需要減少が続きました。グラビアインキについては、異常気象天候不順(冷夏、暖冬)などによる最終消費財の需要減少から派生するものがある一方で、環境問題に端を発する最終消費財の供給、消費のありかたやその廃棄・処理に関する社会の考え方の変化に伴う構造的な要因も看過できません。また、オフセットインキについては、情報媒体が紙などを使ったハードコピーから電子媒体への移行が進んでいることにより、引き続き需要減少の傾向は続くものと思われます。これまでの事業活動に加えて、これらの構造的な変化に対して、たとえば、食品用途の印刷インキにおいては、バイオマスインキやフィルム向けフレキソ印刷用水性インキなどの製品供給をすることや印刷周辺材料を含めたラインナップの拡充を図ることなどで市場ニーズに対応し、収益確保を図ってまいります。

 

ⅱ財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における総資産は1,872億9千6百万円となり、前連結会計年度末と比べ、34億4百万円減少いたしました。これは、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、当連結会計年度に当該「受取手形及び売掛金」を回収したことにより、「現金及び預金」が増加したことによるものです。また、有形固定資産のうち「土地」の減少は、主に赤羽製造事業所(浮間合成㈱)の土地・建物を売却したことによるものです。同「建物及び構築物(純額)」「機械装置及び運搬具(純額)」等の増加は、「対処すべき課題等」においても述べたとおり、国内外での生産設備(建物、機械設備)への投資に拠るものです。また、「投資有価証券」の減少は、保有株式の時価下落及び株式の持合いの解消に伴い売却を進めたことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は916億2千1百万円となり、前連結会計年度と比べ、30億2千4百万円減少いたしました。これは、第4四半期連結会計期間の売上が前年同期比22億円減少したことにより、これに付随して原材料仕入が減少、「支払手形及び買掛金」が減少したことによるものです。また、「短期借入金」、「1年以内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」の合計となる外部借入債務は、420億円から408億円へと減少しました。資産の部で述べたとおり、国内外での生産設備に積極的に投資を進めたことに伴い、設備投資資金を銀行借入で調達する一方、国内子会社で返済を進めたことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、956億7千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ3億8千万円減少いたしました。この結果、自己資本比率は50.1%となり、前連結会計年度に比べ0.8ポイント増加いたしました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ62億1千6百万円増加し、当連結会計年度末には276億3千6百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、連結キャッシュ・フロー計算書も合わせてご参照ください。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動から得られたキャッシュ・フローは合計128億2千9百万円となりました。これは税金等調整前当期純利益に減価償却費、売上債権、支払債務、棚卸資産などの増減を考慮したものであります。2019年度においては、主として売上債権の減少が59億4千6百万円と、営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、合計35億5千2百万円となりました。

有形固定資産の取得の内訳としては、「対処すべき課題等」に述べておりますとおり、海外事業の積極展開による海外売上高比率50%の達成及び国内生産体制拡充に資するために、米国におけるウレタン樹脂新工場やタイ国における樹脂コンパウンド新工場、国内では茨城県坂東市におけるグラビアインキ、特殊コーティング剤新工場などの建物への投資を実施すると同時に、効率的な生産実施のために機械設備購入に積極的に資金投下した結果であります。また、無形固定資産の取得の内訳としては、同じく「対処すべき課題等」に記載のとおり、経営上の意思決定の迅速化のためのシステム導入や輸送コスト、在庫コストの削減とサービス向上のためにシステム導入を行った結果であります。

このように当社グループの長期的な成長のために必要な投資は、引き続き積極的に実施してまいります。2020年度に想定される大型の投資としましては、坂東新工場建屋に36億円、同工場の機械設備導入にあたり7億円を予定しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、合計30億2千6百万円となりました。

主な項目

前連結会計年度

(自 2018年4月1日)

 至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日)

 至 2020年3月31日)

短期借入による収入

9,557

9,449

短期借入金の返済による支出

△9,284

△9,507

長期借入による収入

10,636

9,300

長期借入金の返済による支出

△10,220

△10,460

リース債務の返済による支出

△242

△189

 

投資活動に使用した資金をまかなうために、当社グループ内にて保有する資金のうちから営業活動の遂行にあたり必要となる資金相当分を控除した資金を活用することと合わせ、当該資金で不足する場合には、調達までの機動性や増資等による株式の希薄化を回避するためにも、主として銀行借入により調達しております。なお、2020年度における主要な借入ですが、取引銀行から坂東製造事業所建設資金として50億円程度(総額83億円)を協調融資で調達することを想定しております。

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入金などにより、資金を調達しております。財務上の方針としては、キャッシュ・フローの創出能力を最大化し、事業成長・企業価値向上に向けて、継続的に財務面から支援を行うこととし、規律ある積極投資の基準を設けるとともに、経済の不安定要素に対する影響を抑えるため有利子負債の上限値を設け、資金調達コストを抑制しております。

有利子負債に関する数値基準としては、D/Eレシオ1倍以下を目安としており、当連結会計年度におけるD/Eレシオは0.44倍となっております。金融機関には充分な借入枠を有していること、また、取引銀行3行と総額80億円の貸出コミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。

80億円という金額は、大日精化工業㈱個社における平常時、月次資金繰りに支障がないレベルの手元保有資金残高が基準となっており、現在、新型コロナウイルス感染症の影響をふまえ、前述の80億円の貸出コミットメントラインに加え、さらにその倍程度(2か月分)の貸出コミットメントラインの設定を金融機関に依頼しております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結ROA(総資産経常利益率)5%以上を達成することを主な経営目標に掲げております。これは株主の持ち分である自己資本のみならず金融機関からの借入金など他人資本も活用して積み上げてきた棚卸資産、生産設備を含めた総資産を規準として評価することが、当社グループの事業の実情に即しているものと判断したためであります。また、臨時的な要素の強い特別利益や特別損失を考慮しない経常利益で算定することが当社グループの事業の実力を的確に判断していただけるものと判断しているからであります。当連結会計年度における連結ROAは、3.0%であり、前連結会計年度と比較して1.7ポイント下落いたしました。引き続き当該指標の達成に努めていく所存であります。

 

⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

(退職給付引当金)

当社グループは、従業員の大多数を対象とするいくつかの退職一時金制度を有しており、大日精化工業㈱及び一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しております。

前払年金費用、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれております。使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、前払年金費用、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

割引率は、国内社債の利回りに基づいて決定しております。前連結会計年度末における割引率は0.53%、当連結会計年度末の割引率は0.63%であります。

期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多用な試算からの現在及び将来期待される収益率を考慮し、決定しております。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、年金資産の期待運用収益率は、共に2.0%であります。期待運用収益率は、国内外債券54%、国内外株式28%、生命保険一般勘定15%、短期資産等3%の資産構成を前提として算定しております。

これらの基礎率は、退職給付債務及び費用に重要な影響を及ぼします。割引率及び期待運用収益率を、それぞれ0.1%変更した場合の連結財務諸表への影響は以下の通りであります。

 

退職給付費用への影響額

(百万円)

退職給付債務への影響額

(百万円)

割引率

0.1%減少

24

473

0.1%増加

△24

△464

期待運用収益率

0.1%減少

△32

0.1%増加

32

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行3行と貸出コミットメントライン契約を締結しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」及び「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)」 に記載しております。

5【研究開発活動】

 当社グループは、企業の持続的な成長には新しい価値を創出し、社会貢献を行うことが必要という原点に立ち返り、変化する経済環境にも迅速に対応できる事業基盤を強化し、お客様へ課題解決を提案する化学メーカーとなるべく積極的に活動を進めております。環境、エネルギー、パーソナルケア、IT・エレクトロニクス分野を対象として「環境配慮」「高機能」「基礎研究」を重点と定め、製品開発に注力しております。

 当社グループの技術研究開発組織は当社コーポレート研究部門である「合成研究本部」「分散研究本部」、およびスタッフ部門である「技術管理本部」、それに加えて各事業部の「技術統括部」からなります。新事業・新製品開発のスピードアップと効率化を図るため全社技術を集約し、重点テーマの選定とリソース(人材・物資・資金・情報)の集中を図り、開発を進めてまいります。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費の金額は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、2,992百万円であります。

 

(化成品事業)

 当事業では、顔料合成技術を基に粒子形状や表面性質を高度に制御することで各種用途分野への高付加価値製品を提供しております。

 顔料部門においては、顔料粒子制御技術、超微細化技術を駆使して、各種用途へ優れた適性を持つ高品位製品の開発に取り組んでおります。また、市場の要望に迅速に対応するため、関係技術部門との連携を緊密にし、要素技術の複合化により色特性、機能性の向上を図っております。一方、品質やコストの基礎となる、製造プロセスの開発、合理化に取り組み、高品位でコスト競争力のある製品を市場へ提供することを目指しております。

 近年は、微分散加工顔料などコーティング分野に訴求性の高い製品の開発、環境・エネルギー分野に貢献する各種機能性を付与した無機・有機材料、天然物由来材料など、環境配慮型製品の開発を鋭意進めております。

 化成品部門においては、微分散化技術と調色・配合設計技術を基に、各種マスターバッチ、液状および粉状加工顔料を広範な分野に提供しております。多様化するユーザーのニーズに対応した製品設計に積極的に取り組んでおり、顔料微分散加工品のみならず、遮熱、難燃、帯電防止、紫外線吸収等の機能性分散体の開発も進めております。また、情報表示・記録用材料分野向け製品の高機能化研究を進めております。

 今後も当社基盤技術を活かした研究開発を行い、競争力のある製品を提供してまいります。

 当連結会計年度における化成品事業に係る研究開発費は820百万円であります。

 

(化学品事業)

 当事業は、分散・加工技術を基に、各種合成樹脂用着色剤、コーティング剤を内外の様々な産業分野に提供しております。また、自社技術の多角的な展開を図り、各種機能性材料の開発・製品化にも取り組んでおります。

合成樹脂部門においては、顔料及び機能性材料をマスターバッチやコンパウンドに分散加工して、医療、光学、通信、包装、車両、建材等、幅広い用途に展開しております。また、プラスチック材料はニーズの多様化と高機能化が進展しており、こうした要求に対応したテーラーメイド製品の開発や、新たな加工技術の開発に取り組むとともに、ナノ材料のプラスチックへの応用展開や用途開発が進むハイパフォーマンスポリマー(フッ素樹脂等)関連テーマ、環境規制、省エネルギー、IT化・FA化等業界が指向するテーマに着目し、研究開発を進めております。

 コーティング剤部門においては、紫外線・電子線硬化型コーティング剤、機能性プラスチック用コーティング剤の開発を行っております。紫外線硬化型コーティング剤は、プラスチック成型品の表面加飾用フィルム用途及びフラットパネルディスプレイやタッチパネルなどの液晶パネル分野、塩ビ製床材などの内装建材分野、半導体関連用途などに製品を展開しており、新たには既存のコーティング分野にとらわれない無溶剤設計の各種製品を開発しております。電子線硬化型コーティング剤は、非塩ビフィルムあるいは化粧紙などの建材分野、機能性プラスチック用コーティング剤は精密機械分野などに使われる製品の開発・改良に取り組んでおり、広範なニーズに応えております。

 当連結会計年度における化学品事業に係る研究開発費は635百万円であります。

 

(高分子事業)

 当事業では、樹脂合成技術を基に、主にウレタン樹脂の開発・製品化と、天然物由来材料を使用した素材の開発・製品化に取り組んでおります。

 高分子製品部門においては、コア技術である樹脂合成技術、配合技術、分散・加工技術及びこれら技術のシナジー効果による開発を進めております。重付加反応によりウレタン樹脂、縮合反応によりエステル・アミドイミド樹脂、ラジカル重合反応により特殊アクリル樹脂を合成し、配合、分散・加工により、合成皮革・透湿素材、着色剤、接着剤、熱可塑性ウレタン、ウレタン微粒子、シリコーン共重合樹脂、耐熱用コーティング剤、機能性コーティング剤等を提供しております。

 また、SDGsへの貢献を視野に環境に配慮した製品開発に注力しており、無溶剤あるいは水系ウレタン樹脂、バイオマスウレタン樹脂を自動車用や衣料用、パッケージ素材等に展開、海外三拠点と共同でグローバル市場への展開も加速させております。

 更に新たな環境対応素材としてCO2を原材料とするウレタン樹脂の開発も進めています。

 新市場領域としては、ウレタン樹脂の耐熱性・耐久性向上により、エネルギー、エレクトロニクス、ウェアラブル等、スマート社会実現に着目した素材開発を進めております。加えて、樹脂の形状制御により、ウレタン微粒子、ナノファイバー等、医療・化粧品用途での素材開発を進めております。

 天然高分子製品部門においては、カニ殻からキチン・キトサンを製造しております。工業的に利用可能な数少ない天然カチオン性ポリマー素材として、農業を始め、繊維、化粧品、塗料など幅広い分野に素材を提供しております。また、今後の市場領域としてパーソナルケア、環境、エネルギー分野を中心に開発を進めております。

 当連結会計年度における高分子事業に係る研究開発費は626百万円であります。

 

(印刷総合システム事業)

 当事業では、分散・加工技術を基に汎用の印刷インキの提供とともに、独自の配合技術などを活用し、特殊インキ・コーティング剤の開発・製品化に取り組んでおります。

 オフセットインキ部門においては、商業オフ輪インキと枚葉インキを主体として提供しております。市場でニーズの高まっている製品の高機能化や印刷作業性の向上に努めております。また、メタリックインキなどの特殊用途インキにおいて、特長のある製品ラインアップの拡充、開発に取り組んでおります。

 グラビアインキ部門においては、ラミネート用インキや接着剤、シュリンクラベルや食品トレー用途に印刷されるパッケージ用インキと共に、建材用や産業資材分野用インキも提供しております。また、有機溶剤系のインキが大半を占める業界の中で、VOC排出量削減や省資源化に繋がる水性フレキソインキの開発にも注力しており、最近の高精細印刷の実現と共に環境負荷が低いことなどから注目度が増し、実績を挙げてきております。また、産業資材分野での各種機能性コーティング剤の開発のほか、パッケージ分野を中心に循環型社会に貢献するためのバイオマスインキの開発に取り組んでおります。

 当連結会計年度における印刷総合システム事業に係る研究開発費は368百万円であります。

 

(その他の研究開発活動)

 当社グループでは新規事業の芽と評価技術の導出を目的として、外部研究機関との連携を行っております。代表的なものとして、「リビングラジカル重合による機能性材料の開発」が挙げられます。また、国内外の大学と共同研究を進めており、具体例としては「濃厚ポリマーブラシ(CPB)の工業的製造方法の確立」などがあり、新規機能性材料の研究開発を行っています。

 ブランド名「カラコム」としてのCCM(コンピューター・カラー・マッチング)や各種色彩管理システムの開発においては、世界唯一のインターネットを利用したCCMを海外展開し、新規顧客への着色剤販売に寄与するなど、着色剤メーカーとしての当社技術を支えております。

 当連結会計年度におけるその他の研究開発費は541百万円であります。